説明

管継手

【課題】管の接続作業が簡単で、しかも低コストな管継手を提供する。
【解決手段】継手本体2の内周に、コイルスプリング6とこのコイルスプリング6により軸方向外側へ付勢されるスリーブ7とが挿入される。継手本体2の内周面には奥部側が漸次大径となるテーパ面2cが形成され、スリーブ7にテーパ面2cと管3の外周面とに接触する複数のロック部材8を保持する。ロック部材8は軸方向両側面の中心に軸部8bが突設された円柱形であり、スリーブ7にはロック部材保持用の開口部7cが周方向に複数個形成され、開口部7cの内側面にはロック部材8の軸部8bを受ける受け溝7dが形成され、ロック部材8が開口部7cから内径方向に脱落するのを防止できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は管継手、特に水道配管等の接続作業などに用いることができる管継手に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、水道埋設配管などの接続作業には、雌ねじ付きの管継手を用いるのが一般的である。すなわち、配管の端部に雄ねじを形成しておき、この雄ねじを管継手の雌ねじに螺合させることにより、配管を接続している。しかしながら、このような螺合による接続方式の場合、配管の端部に予め雄ねじを形成しておかなければならず、ねじ加工に時間がかかるとともに、現場での接続作業にも多大の手間がかかるという欠点があった。
【0003】
このような問題を解消するものとして、特許文献1に示すように、管を受け入れる継手本体の端部に、内面にテーパ面を形成した外カラーを取り付け、外カラーの中にスプリングと内カラーとを挿入し、内カラーに周方向に間隔をあけて形成された複数の開口部に、上記テーパ面と管の外周面とに接触するロック部材を配置した構造の管継手が提案されている。この管継手の場合、継手本体に挿入された管に抜け方向の力が作用すると、管の外周に爪部が係合しているロック部材も軸方向外側へ引っ張られるので、ロック部材の外側面が外カラーのテーパ面の小径側へ押され、ロック部材の爪部がさらに管に食い込むことで管の抜けを防止するものである。そのため、管の端部に予め雄ねじを加工しておく必要がなく、管を継手本体に差し込むだけでよいため、管を簡単に接続できるという利点がある。
【0004】
しかしながら、上記構造の管継手の場合、継手本体に挿入された管に抜け方向の力が作用した時、ロック部材の爪部は軸方向外側へ、ロック部材の外側面は軸方向内側へ押されるので、ロック部材には倒れ方向のモーメントが作用する。このロック部材の倒れを内カラーの開口部で支えることになるが、内カラーは樹脂成形品のように比較的硬度の低い材料で形成されることが多いので、内カラーに割れ等が発生する可能性があった。また、ロック部材は非円形部品のため、切削加工ができず、鍛造、鋳造、焼結などで製作せざるを得ない。しかし、ロック部材には挿入された管に食い込むだけの強度が求められるので、高硬度材料を用いる必要があり、鍛造や鋳造では製作が困難である。一方、焼結は高強度の構造を得ることが可能であるが、一般に高価である。このような高価なロック部材が1つの管継手に対して、通常6個以上必要であるため、さらなるコスト上昇を招く結果となっていた。
【0005】
一方、ロック部材としてビーズ状のコマを用い、これらコマにワイヤを挿通することで脱落規制した管継手が提案されている(特許文献2参照)。この管継手の場合、ビーズ状のコマは円形部品であるため、管に引張り力が作用したとき、コマに倒れ方向のモーメントが作用せず、コマを保持しているスリーブに過大な負荷がかからない。また、非円形のロック部材に比べて製造コストを低減できる。しかし、コマ以外にワイヤを必要とするので、部品点数が増加するとともに、ワイヤを嵌め込むためのワイヤ嵌合溝をスリーブの内周側あるいは外周側に形成する必要があり、この嵌合溝はスリーブの周方向に連続した溝であることから、スリーブの強度低下を招く恐れがあった。
【特許文献1】特開平10−122460号公報
【特許文献2】特開2000−179769号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明の目的は、管の接続作業が簡単で、しかも低コストな管継手を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、管を受け入れる筒状の継手本体の内周に、弾性体とこの弾性体により軸方向外側へ付勢されるスリーブとが配置され、上記継手本体の内周面には奥部側が漸次大径となるテーパ面が形成され、上記スリーブに周方向に間隔をあけて内外周に貫通する複数の開口部が形成され、各開口部に上記テーパ面と上記管の外周面とに接触するロック部材が配置された管継手において、上記ロック部材は上記開口部の半径方向厚みより直径の大きな円柱又は円板形状に形成され、上記ロック部材の軸方向両側面の中心には軸部が突設され、上記スリーブの開口部に、上記ロック部材がその軸部がスリーブの周方向を向くように収納され、上記開口部の内側面に、上記軸部を受ける受け溝が上記スリーブの外周面から内径方向に向かって形成されていることを特徴とする管継手を提供する。
【0008】
本発明ではロック部材として、円柱又は円板形状で、その軸方向両側面に軸部が突設されたものを使用する。ロック部材はスリーブの開口部の中に収納され、ロック部材の軸部は開口部の内側面に形成された受け溝に嵌合される。そのため、ロック部材の外周部の一部がスリーブの内周側に突出することができ、かつロック部材がスリーブの内径方向へ脱落するのが防止される。継手本体に管を挿入すると、スリーブが弾性体により軸方向外側へ付勢されているので、ロック部材は継手本体のテーパ面と管の外周面とに接触する。管に引張り力が作用すると、テーパ面の作用によりロック部材は管の外周面に食い込むので、管の抜けを防止できる。管に引張り力が作用したとき、ロック部材の内周側が管によって外側へ引っ張られ、ロック部材の外周側がテーパ面に当たって内側へ押されるが、ロック部材は円形部品であるため、前後方向に倒れることがない。そのため、ロック部材を保持しているスリーブに過大な負荷がかからず、スリーブが樹脂成形品であっても割れ等を防止できるし、引抜き阻止力を低下させない。
【0009】
管を継手本体から取り外す場合には、スリーブを弾性体に抗して軸方向奥側へ押し込めばよい。そのためには、スリーブの軸方向一端部が継手本体から外部へ突出しているのが望ましい。これにより、ロック部材もスリーブと一体に軸方向奥側へ移動し、テーパ面と離れる。そのため、管に対するロック部材の圧接が解除されて、管に対する係止力がなくなり、ロック部材は回転自在となり、管を容易に引き抜くことができる。
【0010】
ロック部材は円柱又は円板形状で、両端面に軸部が突設された形状であるため、従来のような鍛造、鋳造、焼結といった高コストの加工方法を用いず、例えば丸棒材から切削加工により簡単に製造できる。また、ビーズ型のロック部材のように、中心部に穴を設ける必要もない。そのため、ロック部材を安価に製造でき、1つの管継手に対し多数個のロック部材を必要とする場合でも、コスト上昇を抑えることができ、安価な管継手を実現できる。さらに、ロック部材を開口部に保持するためのワイヤを必要とせず、部品数を削減できるとともに、スリーブにはワイヤ嵌合溝のような周方向に連続した溝を形成する必要がないので、スリーブの強度低下を防止できる。
【0011】
好ましい実施形態によれば、ロック部材の外周面に管の外周面に摩擦圧接可能な微小な凹凸部を形成するのが望ましい。本発明の管継手の場合、管を挿入しただけでは、ロック部材が管の外周に圧接しているものの、食い込んでいる訳ではない。管に引抜き力が作用して初めてロック部材が管に食い込むが、その際、管継手と管との間にはずれ(初期ずれ量と呼ぶ)が発生する。ロック部材の外周に凹凸部を形成すれば、ロック部材が管に対して食い込み易くなるので、初期ずれ量を小さくすることができる。特に、管の外周面が平滑である場合に効果が大きい。また、ロック部材の凹凸部が管の外周面とテーパ面とに摩擦圧接するので、ロック部材の回転が阻止され、大きな引抜き阻止力を発揮できる。凹凸部としては、例えば微小な突起を分散形成してもよいし、網目状または交差状セレーションを形成してもよい。
【0012】
ロック部材の凹凸部は、軸方向とほぼ平行なセレーションとしてもよい。ロック部材の凹凸部は、管の外周面および継手本体のテーパ面に対して強い摩擦力を発生させるものであれば、如何なる形状であってもよいが、軸方向とほぼ平行なセレーションとした場合には、ロック部材の回転を強く阻止できるので、管に対する引抜き阻止力を大きくできるとともに、加工も容易である。なお、セレーションとは、微小な突起をスプライン状に形成したものの総称であり、ローレット等も含む。
【0013】
開口部の内側面に形成された受け溝の半径方向深さは、ロック部材をスリーブの開口部に収納した状態でスリーブを継手本体の中に挿入したとき、ロック部材の外周部が継手本体の開口端に当たって挿入を阻害することのない深さとするのが望ましい。継手本体にテーパ面が一体形成されている場合、その小径側からスリーブを挿入する必要があり、スリーブの開口部に保持されたロック部材が開口部から外周側に大きく突出していると、ロック部材が継手本体の開口端に当たって挿入できなくなることがある。そこで、受け溝の半径方向深さ(スリーブ半径方向の深さ)を、ロック部材の外周部が継手本体の開口端に当たって挿入を阻害することのない深さに設定することで、スリーブを継手本体の中に円滑に挿入できる。なお、挿入を阻害しない受け溝の深さとは、ロック部材が開口部の中に完全に沈み込む程度の深さである必要はなく、ロック部材の一部が開口部から外周側に突出していてもよいが、その場合でもスリーブを継手本体に挿入しうる程度の突出量となる深さであるという意味である。
【0014】
本発明のロック部材を用いた場合、管の引抜き阻止力を大きくするには、継手本体の内面に形成されたテーパ面の角度を15°以下とするのが望ましい。テーパ角を15°以下とすることで、ロック部材の外周面が凹凸のない円筒面であっても、楔効果(ロック部材がテーパ面と管の外周面との間に楔のように食い込むこと)によって管を確実に抜け止めできる。テーパ角を小さくすると、引抜き阻止力を高くできる反面、初期引張り時の管のずれ量が大きくなる。しかし、ロック部材にセレーションなどの摩擦面を形成することで、初期ずれ量を低減できる。また、管の直径が大きくなると、継手本体に内装されている弾性体(例えばコイルスプリング)のばね圧が必然的に低下するため、初期ずれ量も拡大しやすいが、このようなばね圧が低い場合でも、ロック部材の外周面にセレーションなどの凹凸部を形成することで、初期ずれ量を確実に低減できる。
【0015】
本発明にかかるロック部材は、丸棒材を切削加工することにより製作することが可能である。すなわち、丸棒材を切削加工機によって切削し、軸部と同時に加工するとともに所定寸法に切断することで、簡単にロック部材を得ることができる。外周部に軸方向と平行なセレーションを持つロック部材を製作する場合には、外周面に予めセレーション付きの棒材を準備し、その棒材を切削加工すればよい。セレーション付きの棒材は、丸棒を型を通して押出し又は引抜くことで、簡単に準備できる。なお、ロック部材の軸部は円柱部と一体部品である必要はなく、例えば円筒状の部品の穴にピンを圧入することで、本発明のロック部材を製作することもできる。
【発明の効果】
【0016】
以上のように、本発明によれば、円柱又は円板形状で、その軸方向両側面に軸部が突設されたロック部材を用い、スリーブの開口部両側面に軸部を受ける受け溝を形成したので、ロック部材がスリーブの内径側へ脱落することなく、ロック部材をスリーブの内径側へ大きく突出させることができる。そのため、ロック部材と管との係合代が大きく取れ、大きな引抜き阻止力を発揮できる。また、ロック部材は円形部品であるから、管に引張り力が作用したとき、ロック部材に倒れが発生せず、ロック部材を保持しているスリーブに過大な負荷がかかったり、引抜き阻止力を低下させるような不具合がない。さらに、鍛造や焼結といった高価な加工方法を用いず、切削加工で簡単に製造できるので、ロック部材が安価になり、低コストの管継手を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に、本発明の好ましい実施の形態を、実施例に基づいて説明する。
【実施例1】
【0018】
図1は本発明にかかる管継手の第1実施例を示す。この実施例の管継手1は、筒状の金属製継手本体2を備えており、2本の管(例えばステンレス製水道配管など)3を接続するために使用される。管継手1は左右対称構造であるため、その一端側の構造についてのみ説明する。
【0019】
図2に示すように、継手本体2の中央部(最奥部)内面には、挿入された管3の外周をガイドするガイド面2fが形成され、ガイド面2fの中央部に管3の端面を位置規制するためのストッパ部2aが突設されている。継手本体2の内面には、ガイド部2fより軸方向外側にガイド部2fより大径な段丘状の凹部2bが形成されており、この凹部2bにOリングのようなシール材4が配置されている。Oリングに代えて成形リングを用いてもよい。シール材4に対し軸方向に隣接して、ばね受けリング5とコイルスプリング(弾性体)6とが順に配置されている。ばね受けリング5はコイルスプリング6の一端側内周を支えるように断面L字形に形成されている。ここでは、シール材4とコイルスプリング6とが同じ凹部2bに配置され、コイルスプリング6のばね力がシール材4に作用する例を示したが、シール材4にコイルスプリング6のばね力が作用しないように、シール材4を配置するための環状溝を別に設けてもよい。凹部2bより軸方向外側には、奥部側が漸次大径となるテーパ面2cが形成されている。この実施例では、テーパ面2cの最大径部は凹部2bより大径であり、最小径部は凹部2bとほぼ同径である。テーパ面2cのテーパ角θは15°以下に設定されている。テーパ面2cの最小径部である継手本体2の開口端には、雌ねじ2dが形成されている。上記のように、ガイド部2f、ストッパ部2a、凹部2b、テーパ面2cおよび雌ねじ2dが継手本体2に一体に形成されている。
【0020】
継手本体2の内部には、円筒状のスリーブ7が軸方向移動自在に挿入されており、コイルスプリング6によって外方へ付勢されている。コイルスプリング6に代えて、板ばねや弾性ゴムを用いることも可能である。スリーブ7は図3に示すように、樹脂材料で円筒状に一体成形されており、その軸方向一端部にはコイルスプリング6の内径側を受けるばね受け部7aが設けられている。スリーブ7の中央部には環状の厚肉部7bが形成されており、厚肉部7bの外径寸法は継手本体2の雌ねじ2dの内径より小さく設定されている。厚肉部7bには、半径方向に貫通した開口部7cが周方向に等間隔で複数個(この実施例では8個)形成されている。開口部7cの周方向の両内側面には、受け溝7dがスリーブ7の外周面から内径方向に向かって形成されており、受け溝7dは開口部7cの内側面の途中で終端となっている。スリーブ7の軸方向他端部には、厚肉部7bより小径な筒状のガイド部7eが一体に形成されている。
【0021】
スリーブ7の開口部7cには、それぞれ円柱状のロック部材8がその軸方向両側面がスリーブ7の周方向を向くように収納されている。ロック部材8は、継手本体2や管3より高硬度の金属材料によって形成されており、図4に示すように、外周面には軸方向と平行なセレーション8aが形成されている。ロック部材8の軸方向両側面の中央には、短い軸部8bが突設されている。軸部8bはスリーブ7の受け溝7dに嵌合され、ロック部材8が開口部7cの内径側に脱落するのが防止される。受け溝7dの半径方向深さSは、ロック部材8の軸部8bが受け溝7dの底部に位置した状態で、ロック部材8の外周部の一部がスリーブ7の内周側に十分な量だけ突出するように設定され、さらに、ロック部材8を開口部7cに収納した状態でスリーブ7を継手本体2の中に挿入したとき、ロック部材8の外周部が継手本体2の開口端に当たって挿入を阻害することのない深さに設定されている。受け溝7dの半径方向深さSを、ロック部材8が開口部7cの中に完全に沈み込むことができる深さとしてもよいが、スリーブ7の厚肉部7bの外径と雌ねじ2dの内径との間に隙間がある場合や、スリーブ7が半径方向に撓み得る場合には、ロック部材8の一部が開口部7cから突出するような深さSとしてもよい。要するに、ロック部材8を保持したスリーブ7を継手本体2の中に挿入できればよい。
【0022】
ロック部材8の直径Dは開口部7cの径方向寸法(厚肉部7bの厚み)より大きい。そのため、ロック部材8の外周部がテーパ面2cと管3の外周面3とに同時に圧接でき、管3の抜けを防止できる。ロック部材8の軸方向寸法Lは直径Dより短い(L<D)ものがよい。その理由は、ロック部材8の外周面の軸方向両端のみがテーパ面2cと接触するのを防止し、接触面積を大きくして引抜き阻止力を増加させること、ロック部材8の軸寸法Lに対応して開口部7cの周方向寸法も小さくできるので、スリーブ7の強度低下を防止できること、および1種類のロック部材8を径の異なる管3のための管継手に共用できること、などである。なお、ロック部材8の外周形状は厳密な円柱形状である必要はなく、例えば稜線をアーチ状(いわゆる太鼓型)としたり、軸方向両端を面取りした形状としてもよい。
【0023】
継手本体2の開口端の雌ねじ2dには、ストップリング9が螺着されている。ストップリング9の内径は、スリーブ7のガイド部7eの外径より大きく、厚肉部7bの外径より小さいため、ストップリング9によってスリーブ7の厚肉部7bを抜け止めすることができる。ガイド部7eの一部はストップリング9から軸方向に突出している。
【0024】
ここで、管継手の組立方法について説明する。まず、継手本体2の中にOリング4とばね受けリング5とスプリング6とを順次挿入し、その後でスリーブ7を挿入する。このスリーブ7の各開口部7cには既にロック部材8が嵌め込まれている。スリーブ7を継手本体2に挿入する際、ロック部材8が開口部7cから脱落するのを防止するため、例えばロック部材8の軸部8bと受け溝7dとの間に摩擦力が発生するような寸法設定としてもよい。受け溝7dの半径方向深さSは、スリーブ7を継手本体2の中に挿入したとき、ロック部材8の外周部が継手本体2の開口端に当たって挿入を阻害することのない深さに設定されているので、スリーブ7を円滑に挿入できる。スリーブ7の挿入後、継手本体2の雌ねじ2dにストップリング9を螺着することで、組立を終了する。
【0025】
上記のようにして組立られた管継手1において、スプリング6のばね力によりスリーブ7は軸方向外方へ押され、スリーブ7はその厚肉部7bがストップリング9に当たって抜け止めされている。この状態で、ロック部材8はテーパ面2cの小径側に接触しているため、開口部7cから内径方向に大きく突出している。管継手1に管3を挿入すると、管3の先端がロック部材8に接触するが、ロック部材8は継手本体2の内方へ押されるとともにテーパ面2cの大径側へ逃げることができるので、管3を抵抗なく挿入することができる。管3をその先端がストッパ部2aと当接するまで挿入した状態で、スプリング6のばね力により、ロック部材8がテーパ面2cと管3の外周面とに接触した状態で安定する。この状態が、図1の左半分である。
【0026】
管3に引張り力Fが作用すると、管3の外周面に圧接したロック部材8は管3とともに引抜き方向に移動し、スリーブ7もロック部材8と共に引抜き方向に移動する。ロック部材8が引抜き方向に移動すると、ロック部材8はテーパ面2cの小径側に接触するので、ロック部材8は内径方向に押され、管3に食い込む。そのため、管3の引抜きが阻止される。この状態が、図1の右半分である。図1の右半分で示すように、管3の引抜きが阻止された状態で、管3の先端とストッパ部2aとの間には初期ずれ量δが発生しているが、そのずれ量δはガイド部2fの長さ(ストッパ部2aからOリング4までの距離)より短いので、管3がOリング4から外れることがなく、水漏れは確実に防止される。初期ずれ量δは、管3の外周面形状、テーパ面2cの角度θ、ロック部材8の外周面形状などによって影響を受ける。すなわち、管3の外周面形状が平滑である程、ずれ量δが大きくなり、また、テーパ角θを15°以下とすると、引抜き阻止力が増大する反面、ずれ量δが大きくなる傾向にある。ロック部材8の外周面にセレーション8aを形成することで、ずれ量δをできるだけ小さくすることができる。
【0027】
管継手1から管3を取り外す必要が生じた場合には、スリーブ7のガイド部7eを押し込めばよい。これにより、スプリング6が圧縮されるとともに、スリーブ7に保持されたロック部材8がテーパ面2cから離れるので、ロック部材8と管3とのロックが解除され、ロック部材8は回転自在となる。この状態で管3を引っ張ると、ロック部材8は管3の外周面を転動するので、管3を容易に引き抜くことができる。
【実施例2】
【0028】
図6は管継手の第2実施例を示す。この実施例では、継手本体2の開口端内周に雌ねじに代えて環状溝2eを形成し、この環状溝2eにスリーブ7を抜け止めするためのスナップリング10を嵌着したものである。スナップリング10を内径側に撓めながら環状溝2eに嵌め込む必要があるため、嵌着状態ではスナップリング10とガイド部7eとの間には隙間が存在するが、スナップリング10の内径はスリーブ7の厚肉部7bの外径より小さいので、スリーブ7を確実に抜け止めできる。
【実施例3】
【0029】
図7はロック部材の他の実施例を示す。この実施例では、ロック部材8’の外周面に網目状または交差状のセレーション8cを形成したものである。この場合も、セレーション8cがテーパ面2cおよび管3の外周面に摩擦圧接するので、初期ずれ量δを小さくできる効果がある。
【0030】
上記実施例では、継手本体が2方向に開口したソケット形の例を示したが、一端部にネジを形成して配管に螺着する構造としてもよいし、継手本体に3方向または4方向の接続口を設けた構造としてもよいことは勿論である。
また、本発明の管継手は、ステンレス管のような金属管の接続だけでなく、比較的剛性の高い樹脂管の接続にも使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明にかかる管継手の第1実施例の断面図である。
【図2】図1のA−A線断面図である。
【図3】継手本体の半断面図である。
【図4】スリーブの断面図およびB−B線断面図である。
【図5】ロック部材の正面図および側面図である。
【図6】本発明の第2実施例の部分断面図である。
【図7】ロック部材の他の実施例の正面図である。
【符号の説明】
【0032】
1 管継手
2 継手本体
2c テーパ面
3 管(配管)
4 シール材(Oリング)
5 ばね受けリング
6 コイルスプリング(弾性体)
7 スリーブ
7b 厚肉部
7c 開口部
7d 受け溝
7e ガイド部
8 ロック部材
8a セレーション
8b 軸部
9 ストップリング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
管を受け入れる筒状の継手本体の内周に、弾性体とこの弾性体により軸方向外側へ付勢されるスリーブとが配置され、上記継手本体の内周面には奥部側が漸次大径となるテーパ面が形成され、上記スリーブに周方向に間隔をあけて内外周に貫通する複数の開口部が形成され、各開口部に上記テーパ面と上記管の外周面とに接触するロック部材が配置された管継手において、
上記ロック部材は上記開口部の半径方向厚みより直径の大きな円柱又は円板形状に形成され、
上記ロック部材の軸方向両側面の中心には軸部が突設され、
上記スリーブの開口部に、上記ロック部材がその軸部がスリーブの周方向を向くように収納され、
上記開口部の内側面に、上記軸部を受ける受け溝が上記スリーブの外周面から内径方向に向かって形成されていることを特徴とする管継手。
【請求項2】
上記ロック部材の外周面に、上記管の外周面に摩擦圧接可能な微小な凹凸部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の管継手。
【請求項3】
上記ロック部材の凹凸部は、軸方向とほぼ平行なセレーションであることを特徴とする請求項2に記載の管継手。
【請求項4】
上記受け溝の半径方向深さは、ロック部材をスリーブの開口部に収納した状態でスリーブを継手本体の中に挿入したとき、ロック部材の外周部が継手本体の開口端に当たって挿入を阻害することのない深さに設定されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の管継手。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−144865(P2008−144865A)
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−332839(P2006−332839)
【出願日】平成18年12月11日(2006.12.11)
【出願人】(592255305)
【Fターム(参考)】