説明

管継手

【課題】金属製接続部材とその後端側に連なる合成樹脂管とからなる管継手において、金属製接続部材周面と合成樹脂管との間の界面における止水性に優れている管継手を提供する。
【解決手段】管継手1は、金属製接続部材10と、該金属製接続部材10に連なり、該金属製接続部材10の後端側から延出する合成樹脂管20と、該金属製接続部材10の外周面の溝11に装着され、該合成樹脂管20の外周被覆部21がその外周を取り巻いているOリング30とを備えている。合成樹脂管20は、後部17の外周面に被さる外周被覆部21と、六角形状部16から後部17の内周面に被さる内周被覆部22と、該外周被覆部21及び内周被覆部22に連なり、金属製接続部材10から延出する管状部23とを有する。外周被覆部21の厚さは3mm以上である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給水管、給湯管等の継手として好適に用いられる管継手に係り、特に、金属製接続部材と合成樹脂管とを一体化してなる管継手に関する。
【背景技術】
【0002】
水道管、排水管等として、軽量性及び可撓性に優れた合成樹脂管が普及しているが、耐圧性が要求される箇所等では金属管も用いられており、合成樹脂管と金属管が併用されている。合成樹脂管と金属管を併用する場合、両管を接続するための管継手としてノズル状の金属製接続部材の後端側に合成樹脂管を接続して一体化したものが用いられている。この場合、金属製接続部材の周面に対し合成樹脂管が水密的に密着し、止水性に優れていることが必要となる。
【0003】
特開平9−250675には、金属製接続部材の周面に窪みを設け、合成樹脂管の合成樹脂を該窪みに入り込ませて金属製接続部材と合成樹脂管との離反を防止した管継手が記載されている。このように窪みを設けた場合には、金属製接続部材周面と合成樹脂管との接触面積が大きくなるので、両者の界面の止水性が向上する。
【0004】
なお、同号公報には、金属製接続部材を変性ポリオレフィンで被覆しておき、金属製接続部材と合成樹脂との接着性を高めることが記載されている。
【0005】
特開2004−98635には、安定した架橋特性を有し、耐クリープ性、耐熱性、耐薬品性等に優れたシラン架橋ポリエチレン成形体の製造法が記載されている。
【特許文献1】特開平9−250675
【特許文献2】特開2004−98635
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1の管継手では、金属製接続部材と合成樹脂管との界面の止水性が不足することがある。なお、変性ポリオレフィンで金属製接続部材を被覆する場合には、管継手の製造に手間がかかるようになると共に、原材料コストも嵩む。
【0007】
本発明は、金属製接続部材とその後端側に連なる合成樹脂管とからなる管継手において、金属製接続部材周面と合成樹脂管との間の界面における止水性に極めて優れている管継手を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の管継手は、貫通孔を有した管状の金属製接続部材と、該金属製接続部材に一体化された合成樹脂管とを有し、該合成樹脂管は、該金属製接続部材の少なくとも一端側の外周面に被さる外周被覆部と、該金属製接続部材の少なくとも一端側の内周面に被さる内周被覆部と、該外周被覆部及び内周被覆部に連なり、該金属製接続部材の該一端側から延在する管状部とを有しており、該合成樹脂管は架橋ポリエチレン管である管継手において、該外周被覆部は、管軸方向の5mm以上の範囲において厚みが2mm以上であることを特徴とするものである。
【0009】
請求項2の管継手は、請求項1において、前記金属製接続部材の外周面に第1の溝が周設され、該第1の溝にOリングが装着され、前記外周被覆部が該Oリングに被さっており、該Oリングは、該Oリングに被さる外周被覆部の収縮力によって該第1の溝の内面に押し付けられており、該Oリングに被さる外周被覆部の厚みが2mm以上であることを特徴とするものである。
【0010】
請求項3の管継手は、請求項1又は2において、前記金属製接続部材の外周面に深さ2mm以上の第2の溝が周設され、該第2の溝を前記外周被覆部が埋めていることを特徴とするものである。
【0011】
請求項4の管継手は、請求項1ないし3のいずれか1項において、前記金属製接続部材の内周面に深さ2mm以上の第3の溝が周設され、該第3の溝を前記内周被覆部が埋めていることを特徴とするものである。
【0012】
請求項5の管継手は、請求項1ないし4のいずれか1項において、前記金属製接続部材の外周面に、周方向に間隔をあけて複数個の凹穴が設けられており、該凹穴を前記外周被覆部が埋めていることを特徴とするものである。
【0013】
請求項6の管継手は、請求項1ないし5のいずれか1項において、前記合成樹脂管は、前記Oリングを装着した金属製接続部材に未架橋ポリエチレン又は低架橋ポリエチレンを射出成形し、次いで架橋処理することにより形成されたものであることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明の管継手にあっては、合成樹脂管は架橋ポリエチレンよりなる。この架橋ポリエチレンは、架橋工程において収縮する。そのため、金属製接続部材と合成樹脂管とを接続するに際し、未架橋ポリエチレン又は低架橋ポリエチレン管と金属製接続部材の周面とを接触させておいてポリエチレンを架橋すると、製造された管継手の合成樹脂管は、その収縮力によって金属製接続部材に密着する。本発明では、合成樹脂管のうち金属製接続部材の外周面に被さる外周被覆部の厚みが2mm以上と厚いため、外周被覆部の収縮力が強く、外周被覆部が金属製接続部材の外周面に強力に密着し、金属製接続部材外周面と合成樹脂管の金属製接続部材との間の止水性が極めて優れたものとなる。
【0015】
この金属製接続部材の外周面の第1の溝にOリングを装着し、該Oリングに被さる外周被覆部の被り厚みを2mm以上とした場合、Oリングがそれに被さる外周被覆部によって強力に第1の溝の溝面に押し付けられ、Oリングと金属製接続部材外周面との間の水密性が良好となる。また、Oリングに被さる外周被覆部とOリングとの間の水密性も同様に良好となる。
【0016】
金属製接続部材の外周面に深さ2mm以上の第2の溝を周設し、この第2の溝を外周被覆部で埋めるようにした場合には、溝面にも外周被覆部が接触することにより金属製接続部材と外周被覆部との接触面積が大きなものとなり、金属製接続部材外周面と外周被覆部との間の止水性が良好となる。
【0017】
金属製接続部材の内周面に深さ2mm以上の第3の溝を設け、この第3の溝を内周被覆部によって埋めるようにした場合には、金属製接続部材と内周被覆部との接触面積が大きなものとなると共に、水圧がかかったときに内周被覆部が第3の溝の内面に強力に押し付けられ、金属製接続部材内周面と内周被覆部との間の止水性が良好となる。
【0018】
金属製接続部材の外周面に周方向に間隔をあけて複数個の凹穴を設け、この凹穴を外周被覆部で埋めるようにした場合には、合成樹脂管の金属製接続部材周方向への回転止め効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図面を参照して実施の形態について説明する。第1図は実施の形態に係る管継手の管軸方向の断面図、第2図は金属製接続部材の管軸方向の断面図、第3図は金属製接続部材の斜視図、第4図は管継手の使用例を示す側面図である。
【0020】
この管継手1は、金属製接続部材10と、該金属製接続部材10に連なり、該金属製接続部材10の後端側から延出する合成樹脂管20と、該金属製接続部材の外周面に装着され、該合成樹脂管20の外周被覆部21がその外周を取り巻いているOリング30とを備えている。
【0021】
金属製接続部材10は、貫通孔10hを有した略筒形状の金属製部材であって、軸心方向の中間付近に六角形状部16が設けられ、この六角形状部16にスパナ、レンチ等を係合させて回転させることが可能に構成されている。この六角形状部16よりも後方側の後部17の外周面に、Oリング30を装着するための第1の溝としての溝11が設けられると共に、該溝11よりも後方に、第2の溝として複数条(この実施の形態では2条)の溝12,13が設けられている。溝11〜13は金属製接続部材10の外周面を周回している。後部17の管軸方向の長さは5mm以上であり、好ましくは5〜15mm、より好ましくは8〜15mm特に好ましくは10〜13mmである。
【0022】
六角形状部16における貫通孔10hの内周面には、金属製接続部材10の内周面を周回して、第3の溝としての溝14が設けられている。六角形状部16よりも先端側の前部18における貫通孔10hの内周面には雌螺子19が刻設されている。前部18の外周面は円筒形であるが、六角筒形などであってもよい。
【0023】
給湯・給水用樹脂配管に用いられる管継手の場合、後部17における貫通孔10hの内径dは15〜17mm程度であるが、その場合、後部17の外径dはdよりも6〜10mm特に7〜8mm程度大きいことが好ましい。また、この場合、Oリング用溝11の幅Wは2〜3mm特に2.4〜2.8mm程度であることが好ましく、その深さaは1〜3mm特に1.7〜2.3mm程度であることが好ましい。溝12,13の幅W,Wは2〜3mm特に2.4〜2.8mm程度が好ましく、深さa,aは1〜3mm特に1.5〜2.6mm程度が好ましい。内周面の溝14の幅Wは2〜4mm特に2〜3mm程度が好ましく、深さaは2mm以上、例えば2〜5mm特に4〜5mm程度が好ましい。溝14の深さaと金属製接続部材10の内径dとの比a/dは0.1〜0.4特に0.2〜0.4程度が好ましい。
【0024】
合成樹脂管20は、後部17の外周面に被さる外周被覆部21と、六角形状部16から後部17の内周面に被さる内周被覆部22と、該外周被覆部21及び内周被覆部22に連なり、金属製接続部材10から延出する管状部23とを有する。外周被覆部21は、Oリング30にも被さっている。この外周被覆部21の金属製接続部材10の外周面に対する被り厚さtは2mm以上、特に2.5〜4mm特に3〜3.5mm程度が好ましい。外周被覆部21のOリング30に対する被り厚さも2mm以上、例えば2.5〜4mm特に3〜3.5mmであることが好ましい。内周被覆部22の金属製接続部材10の内周面に対する被り厚さtは1〜2mm特に1.5〜1.8mm程度が好ましい。
【0025】
この管継手1を製造するには、金型内に金属製接続部材10を配置した後、エチレン系樹脂組成物を射出して合成樹脂管20形状の成形物を成形し、脱型する。次いでこの成形物を架橋処理して架橋度を好ましくは65%以上特に好ましくは65〜70%程度とする。この架橋処理により合成樹脂管20が収縮し、外周被覆部21が後部18に強く押し付けられる。(なお、一般に、ポリエチレンを65〜70%の架橋度にて架橋すると1%程度収縮する。)また、外周被覆部21によってOリング30が金属製接続部材10に押し付け得られるように圧迫される。これにより、外周被覆部21と、Oリング30との間の止水性が向上すると共に、Oリング30が溝11の内面(溝11の底面と側面)に強く押し付けられ、金属製接続部材10と合成樹脂管20との間の止水性(水密性)が向上する。上記の外周被覆部21の被り厚さtを2mm以上としておくと、このOリング30に加えられる圧迫力が十分に高くなる。さらに、外周被覆部21が溝12,13の内面に強く押し付けられる。このようなことから、外周被覆部21と金属製接続部材10との間の止水性が極めて高いものとなる。
【0026】
この実施の形態では、金属製接続部材10の内周面に十分に深い溝14を設けているので、水圧がかかったときに内周被覆部22が溝14の内面に強く押し付けられるようになり、内周被覆部22と金属製接続部材10との間の止水性が極めて高いものとなる。この実施の形態の管継手は、最高使用圧力1.5MPaでも十分な止水性を有する。
【0027】
[エチレン系樹脂組成物の好適例]
上記のエチレン系樹脂組成物としては特開2004−98635に記載されたものが好適である。
【0028】
即ち、エチレン系樹脂組成物としては、エチレン重合体又はエチレンと炭素数4以上のα−オレフィン類との共重合体(a)と、後述の一般式(I)で表されるエチレン性不飽和シラン化合物(b)とをラジカル発生剤(c)の存在下でグラフト反応させ、次いでこの反応物に、シラノール縮合触媒(d)と安定剤(e)とを含有させたものが好適である。このエチレン系樹脂組成物を成形した後、水の存在下に上記結合シランの加水分解反応により架橋することにより、シラン架橋ポリエチレン成形体(合成樹脂管20)が得られる。
【0029】
このエチレン重合体及びエチレンと炭素数4以上のα−オレフィン類との共重合体(成分(a))は、チーグラー系触媒、クロム系触媒等の各種触媒を用い、中低圧下又は高圧下において、気相法、溶液法、懸濁重合法等の各種重合法により得られた重合体が好適である。炭素数4以上のα−オレフィン類としては、1−ブテン、2−メチル−1−ブテン、1−ペンテン、2−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、2,2−ジメチル−1−ブテン、2−メチル−1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、2−メチル−1−ヘキセン、3−メチル−1−ヘキセン、2,2−ジメチル−1−ペンテン、3,3−ジメチル−1−ペンテン、2,3−ジメチル−1−ペンテン、3−エチル−1−ペンテン、2,2,3−トリメチル−1−ブテン、1−オクテン、2,2,4−トリメチル−1−オクテン等が挙げられる。
【0030】
エチレン性不飽和シラン化合物(成分(b))としては、次の一般式(I)で表される化合物が使用される。
【0031】
SiR3−n …(I)
一般式(I)において、Rはエチレン性不飽和炭化水素基(酸素原子を有していてもよい)であり、ラジカル反応性を有するものである。このような基としては、炭素数2〜12のアルケニル基、アリル基やオキシアルケニル基が好ましく、例えば、ビニル基、アリル基、イソプロペニル基、ブテニル基、γ−(メタ)アクリルオキシプロピル基等が挙げられる。Rは炭素数1〜12のアルキル基であり例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、デシル基等が挙げられる。Yは加水分解可能な有機基を表し、例としては、メトキシ基、エトキシ基、ホルミルオキシ基、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、アリールアミノ基などが挙げられる。
【0032】
グラフト変性させる反応系に存在させるエチレン性不飽和シラン化合物の量は、目的とする成型品の架橋度、反応条件(温度、時間)などにより決定されるが、経済性、反応前・反応中の取り扱いの容易性から成分(a)100重量部に対し、0.1〜10重量部の範囲から選ばれる。好ましくは、0.2〜5重量部である。
【0033】
ラジカル発生剤(成分(c))は、ポリオレフィンのグラフト化反応に一般的に用いられる化合物であればよく、特に限定されるものではないが、グラフト反応温度において6分未満の半減期を有する化合物の中から選ぶのが好ましい。より好ましくは、グラフト反応温度において1分間未満の半減期を有する化合物である。具体的には、ベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルオキシ−2−エチルヘキサノエートなどの有機過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル、メチルアゾビスイソブチレートなどのアゾ化合物が挙げられ、これらの1種もしくは2種以上が好適に用いられる。これらの添加量は特に限定されるものではないが、前述の成分(a)100重量部に対し、通常0.001〜5重量部であり、好ましくは0.01〜2重量部である。
【0034】
シラノール縮合触媒(成分(d))としては、錫、亜鉛、鉄、鉛、コバルト等の金属カルボン酸塩、チタン酸エステルおよびキレート化合物の有機金属化合物、有機塩基、無機酸および有機酸などが挙げられる。具体的には、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、ジオクチル錫ジラウレート、酢酸第一錫、カプリル酸第一錫、ナフテン酸鉛、ナフテン酸コバルト、チタン酸テトラブチルエステル、チタン酸テトラノニルエステル、ジブチルアミン、ヘキシルアミン、ピリジン、硫酸、塩酸、トルエンスルホン酸、酢酸、ステアリン酸、マレイン酸などが挙げられる。これらの添加量は特に限定されるものではないが、前述の成分(a)100重量部に対し、通常0.001〜5重量部であり、好ましくは0.005〜2重量部である。
【0035】
安定剤(成分(e))としては、必要に応じて酸化防止剤、光安定剤、金属害防止剤等が使用できる。
【0036】
金属害防止剤は、ヒドラジド誘導体、シュウ酸誘導体、サリチル酸誘導体などを挙げることができる。
【0037】
これらの添加量は特に限定されるものではないが、前述の成分(a)100重量部に対し、通常0.001〜5重量部であり、好ましくは0.001〜3重量部である。
【0038】
成分(b)、成分(c)は成分(a)に前もって含浸させた後、グラフト反応を行なうことが好ましい。
【0039】
上記のグラフト反応は押出機中で行うのが好ましい。
【0040】
上記プロセスにて得られた樹脂成形体は水雰囲気中に曝すことにより、架橋が進行する。進行速度は水雰囲気中に曝す条件によって決まるが、室温〜200℃の温度範囲で、10分〜1週間の範囲で曝せばよい。特に好ましい条件は、常温〜130℃の温度範囲で、30分〜100時間の範囲である。架橋ポリエチレンを長期間に亘って優れた特性を発揮させるためには、ISO 10147−1994に準拠して測定したゲル分率(架橋度)が65%以上であることが好ましい。ゲル分率は、エチレン性不飽和シラン化合物のグラフト率、シラノール縮合触媒の種類、量、架橋させる際の条件(温度、時間)などを変えることにより、調整することができる。
【0041】
[管継手の使用例]
この管継手1は、金属製接続部材10の雌螺子19を金属製の相手方部材に螺着させ、合成樹脂管20の後端に合成樹脂チューブを例えばエレクトロフュージョン継手などを用いて接続するように用いられる。この管継手1の使用例を第4図に示す。
【0042】
ヘッダー、太い給湯・給水配管、給湯機などの機器40の流入又は流出口41の先端側に雄螺子42が刻設されている。この雄螺子42と金属製接続部材10の雌螺子19とを螺合させて管継手1と流入又は流出口41とを接続する。この管継手1の合成樹脂管20の末端にエレクトロフュージョン継手50を介して合成樹脂チューブ51を接続する。なお、合成樹脂管20の末端に予めエレクトロフュージョン継手機構を組み込んでおいてもよい。エレクトロフュージョン継手以外の継ぎ手を用いてもよい。
【0043】
[別の実施の形態]
本発明では、金属製接続部材の後部の周面、好ましくは外周面に凹穴を設け、この凹穴を合成樹脂管20で埋めるようにしてもよい。
【0044】
第5図(a)はこの実施の形態に用いられる管継手の金属製接続部材の一例を示す斜視図、第5図(b)はその凹穴付近の拡大斜視図である。この金属製接続部材10Aでは、後部17の外周面に、周方向に間隔をおいて凹穴60が設けられている。この実施の形態では、凹穴60は円筒を弦方向に切った形状であり、この円筒の直径は3〜5mm特に3〜4mm、深さは2〜4mm特に2〜3mm程度が好ましい。この凹穴60に対し、合成樹脂管20(第5図では図示略)が入り込むことにより、合成樹脂管20の回転(金属製接続部材10Aの軸心周りの回転)防止効果が高くなる。なお、凹穴60は溝12の内面に設けられているが、他の溝の内面など他の部位に設けられてもよい。凹穴60は、金属製接続部材10内の軸心周りに90°の間隔で設けられているが、これに限定されず、回り止め防止効果が十分となるように適宜に設定すればよい。第5図の管継手10Aのその他の構成は前記管継手10と同一であり、同一符号は同一部分を示している。
【0045】
第5図では円筒を弦方向に切った形状の凹穴60が設けられているが、これ以外の形状の凹穴を設けてもよい。
【0046】
上記の金属製接続部材10,10Aはそれぞれ前部18の内周面に雌螺子19が設けられているが、外周面に雄螺子が設けられてもよい。第6図はその一例に係る金属製接続部材10Bの斜視図であり、前部18Aの外周面に雄螺子が設けられている。第6図のその他の構成は管継手10と同一であり、同一符号は同一部分を示している。なお、第6図の金属製接続部材10Bでも、第5図の如く凹穴を後部17の外周面に設けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】実施の形態に係る管継手の管軸方向の断面図である。
【図2】金属製接続部材の管軸方向の断面図である。
【図3】金属製接続部材の斜視図である。
【図4】管継手の使用例を示す側面図である。
【図5】別の実施の形態に用いられる金属製接続部材の斜視図である。
【図6】さらに別の実施の形態に用いられる金属製接続部材の斜視図である。
【符号の説明】
【0048】
1 管継手
10,10A,10B 金属製接続部材
10h 貫通孔
11〜14 溝
16 六角形状部
17 後部
18,18A 前部
20 合成樹脂管
21 外周被覆部
22 内周被覆部
30 Oリング
60 凹穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
貫通孔を有した管状の金属製接続部材と、該金属製接続部材に一体化された合成樹脂管とを有し、
該合成樹脂管は、該金属製接続部材の少なくとも一端側の外周面に被さる外周被覆部と、該金属製接続部材の少なくとも一端側の内周面に被さる内周被覆部と、該外周被覆部及び内周被覆部に連なり、該金属製接続部材の該一端側から延在する管状部とを有しており、
該合成樹脂管は架橋ポリエチレン管である管継手において、
該外周被覆部は、管軸方向の5mm以上の範囲において厚みが2mm以上であることを特徴とする管継手。
【請求項2】
請求項1において、前記金属製接続部材の外周面に第1の溝が周設され、該第1の溝にOリングが装着され、前記外周被覆部が該Oリングに被さっており、
該Oリングは、該Oリングに被さる外周被覆部の収縮力によって該第1の溝の内面に押し付けられており、
該Oリングに被さる外周被覆部の厚みが2mm以上であることを特徴とする管継手。
【請求項3】
請求項1又は2において、前記金属製接続部材の外周面に深さ2mm以上の第2の溝が周設され、該第2の溝を前記外周被覆部が埋めていることを特徴とする管継手。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項において、前記金属製接続部材の内周面に深さ2mm以上の第3の溝が周設され、該第3の溝を前記内周被覆部が埋めていることを特徴とする管継手。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項において、前記金属製接続部材の外周面に、周方向に間隔をあけて複数個の凹穴が設けられており、
該凹穴を前記外周被覆部が埋めていることを特徴とする管継手。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1項において、前記合成樹脂管は、前記Oリングを装着した金属製接続部材に未架橋ポリエチレン又は低架橋ポリエチレンを射出成形し、次いで架橋処理することにより形成されたものであることを特徴とする管継手。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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