管継手
【課題】挿口を受口に挿入する際に要する挿入力（接合力）を低減することが可能な管継手を提供する。
【解決手段】受口３３の内周面に嵌め込み溝３７が形成され、受口３３と挿口３５との間はシール材４５によりシールされ、シール材４５は、嵌め込み溝３７内に嵌め込まれるヒール部４６と、受口３３の内周面と挿口３５の外周面との間に挟まれるバルブ部とを有し、バルブ部は第１および第２バルブ４８，４９を備え、第１バルブ４８の外周部に、受口３３の内周面に圧接する第１シール部５０が形成され、第２バルブ４９の内周部に、挿口３５の外周面に圧接する第２シール部５１が形成され、第１バルブ４８と第２バルブ４９との接合部分にくびれ部が形成され、第２バルブ４９は、その内径が挿口３５の外径Ｄよりも小さく設定され、且つ、くびれ部の変形により管径方向において拡縮自在である。
【解決手段】受口３３の内周面に嵌め込み溝３７が形成され、受口３３と挿口３５との間はシール材４５によりシールされ、シール材４５は、嵌め込み溝３７内に嵌め込まれるヒール部４６と、受口３３の内周面と挿口３５の外周面との間に挟まれるバルブ部とを有し、バルブ部は第１および第２バルブ４８，４９を備え、第１バルブ４８の外周部に、受口３３の内周面に圧接する第１シール部５０が形成され、第２バルブ４９の内周部に、挿口３５の外周面に圧接する第２シール部５１が形成され、第１バルブ４８と第２バルブ４９との接合部分にくびれ部が形成され、第２バルブ４９は、その内径が挿口３５の外径Ｄよりも小さく設定され、且つ、くびれ部の変形により管径方向において拡縮自在である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、互いに接続される一方の管の端部に形成された受口に、他方の管の端部に形成された挿口を挿入する管継手に関する。
【背景技術】
【０００２】
従来、この種の管継手としては、図６に示すように、スリップオンタイプの離脱防止管継手１１がある。この管継手１１は、互いに接続される一方の管１２の端部に形成された受口１３に、他方の管１４の端部に形成された挿口１５が挿入されている。
【０００３】
受口１３の内周には、シール材配置凹部１７と、シール材配置凹部１７よりも奥側に位置するロックリング溝１９とが形成されている。また、シール材配置凹部１７の周面２３には係止溝２４が形成されている。
【０００４】
ロックリング溝１９には、周方向一つ割りのロックリング２０が装着されているとともに、ロックリング２０の外周とロックリング溝１９の底面との間には、ロックリング２０を固定するためのゴム輪などの弾性付勢手段２１が配置されている。また、挿口１５の先端部外周には、ロックリング２０に受口奥側から係合可能な突部２２が形成されている。
【０００５】
シール材配置凹部１７には、受口１３と挿口１５との間を全周にわたりシールするゴム製で環状のシール材１８が配置されている。図６，図７に示すように、シール材１８は、係止溝２４内に嵌入係合するヒール部２５と、上記周面２３と挿口１５の外周面との間で圧縮されてシール面圧を生ずるバルブ部２６とを備えている。このバルブ部２６は受口奥側ほど内径を小さく形成され、その断面形状が管中心に向けて斜め方向に舌状に突出する略長円形に形成されている。
【０００６】
以上のような構成によると、受口１３に挿口１５を挿入して接合する時、挿口１５の突部２２がシール材１８の内周を通過する際に、図８に示すように、バルブ部２６の内周部が仮想線で示す状態から実線で示すように管径方向外方に撓むように変形（拡径）する。
【０００７】
その後、突部２２がシール材１８の内周を通過してしまうと、図６に示すように、バルブ部２６が挿口１５の外周面とシール材配置凹部１７の周面２３との間で圧縮され、バルブ部２６の内周部が挿口１５の外周面に圧接するとともに外周部がシール材配置凹部１７の周面２３（受口１３の内周面）に圧接し、これにより、シール面圧が確保される。
【０００８】
尚、上記のような管継手１１に用いられるシール材１８については例えば下記特許文献１に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００９】
【特許文献１】特開平５−２３１５７０号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【００１０】
しかしながら上記の従来形式では、図８に示すように、受口１３に挿口１５を挿入する時、バルブ部２６の内周部を仮想線で示す状態から実線で示すように管径方向外方に撓むように変形（拡径）させるのに要する力を低減させることは困難であった。このため、挿口１５を受口１３に挿入する際に、大きな挿入力（接合力）を作用させる必要があるといった問題があった。
【００１１】
本発明は、挿口を受口に挿入する際に要する挿入力（接合力）を低減することが可能な管継手を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【００１２】
上記目的を達成するために、本第１発明は、互いに接続される一方の管の端部に形成された受口に、他方の管の端部に形成された挿口を挿入する管継手であって、
受口の内周面に、嵌め込み溝と、嵌め込み溝よりも奥側に位置する凹部と、凹部よりも奥側に位置するロックリング収容溝とが形成され、
ロックリング収容溝にロックリングが設けられ、
挿口の外周に、ロックリングに受口奥側から係合可能な突部が形成され、
受口と挿口との間は弾性材からなる環状のシール材によって全周にわたりシールされ、
シール材は、嵌め込み溝内に嵌め込まれるヒール部と、受口の内周面と挿口の外周面との間に挟まれるバルブ部とを有し、
バルブ部は互いに接合された第１バルブと第２バルブとを備え、
第１バルブの外周部に、受口の内周面に圧接する第１シール部が形成され、
第２バルブの内周部に、挿口の外周面に圧接する第２シール部が形成され、
第１バルブがヒール部に接合され、
第１バルブと第２バルブとの接合部分には、第１および第２バルブよりも薄いくびれ部が形成され、
第２バルブは、第１バルブに対して受口の奥側に位置し、且つ、第１バルブから管中心に向って傾斜しており、
ヒール部は、第１バルブに対して、受口の奥側とは反対の手前側に位置し、
第２バルブは、その内径が挿口の外径よりも小さく設定され、且つ、くびれ部の変形により管径方向において拡縮自在であるものである。
【００１３】
これによると、一方の管と他方の管とを接合するとき、予め、ロックリングをロックリング収容溝に設け、シール材のヒール部を嵌め込み溝内に嵌め込んでおく。その後、挿口を受口に挿入する。
【００１４】
このとき、第２バルブが挿口により管径方向において拡大（拡径）され、挿口がシール材の内周に挿入され、バルブ部の第１シール部が受口の内周面に圧接するとともに第２シール部が挿口の外周面に圧接する。これにより、受口と挿口との間で高い水密性を保持することができる。
【００１５】
上記のように挿口を受口に挿入した際、第１および第２バルブよりも薄いくびれ部が変形することで、第２バルブが管径方向において拡大するため、第２バルブを管径方向において拡大させるのに要する力が低減され、これにより、挿口を受口に挿入する際に要する挿入力（接合力）を低減することができる。
【００１６】
また、本第２発明は、第１シール部は受口の嵌め込み溝と凹部との間に形成された凸部の内周面に圧接し、
第１シール部の位置と第２シール部の位置とが管軸方向にずれているものである。
【００１７】
これによると、第１バルブの径を小さくして、受口の凸部の内径を小さくすることができ、これにより、受口の凸部と挿口との隙間が小さくなり、水圧負荷時にシール材に作用する水圧の絶対値が小さくなる。したがって、高水圧負荷時でも、シール材が受口と挿口との隙間から離脱し難くなる。また、受口の端面開口部の内径を従来よりも大きくすることができ、挿口が曲がった状態で受口に接合することができる。
【００１８】
また、本第３発明は、第１バルブの管径方向の厚さは第２バルブの管径方向の厚さよりも薄く、
第２バルブの外周と凹部の底面との間に間隙が形成されているものである。
【００１９】
これによると、挿口の突部が第１バルブの内周を通過する際、第１バルブの厚さは第２バルブの厚さよりも薄いため、第１バルブの管径方向の圧縮量が小さくなり、挿口の突部が第１バルブの内周をスムーズに通過し、挿口を受口に挿入する際に要する挿入力（接合力）をさらに低減することができる。
【００２０】
その後、挿口の突部が第２バルブの内周を通過する際、間隙が逃げ代となって、第２バルブが、突部に対して、管径方向の外向きに変位して逃げる。これにより、挿口を受口に挿入する際に要する挿入力（接合力）をさらに低減することができる。
【００２１】
また、互いに接合された管内に水圧が作用すると、第２バルブの外周と凹部の底面との間隙にも水圧が作用するため、第２バルブには管中心に向いた押付力が作用し、これにより、第２バルブの第２シール部が挿口の外周面に強く押し付けられ、受口と挿口との間の水密性がさらに向上する。
【発明の効果】
【００２２】
以上のように本発明によると、挿口を受口に挿入する際に要する挿入力（接合力）を低減することができ、受口と挿口との間で高い水密性を保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【００２３】
【図１】本発明の実施の形態における管継手の断面図である。
【図２】同、管継手に備えられるシール材の自然状態（シール材を管継手から取り外した非圧縮状態）での横断面図である。
【図３】同、管継手に供えられるシール材の自然状態（シール材を管継手から取り外した非圧縮状態）での各部分の寸法を示した横断面図である。
【図４】同、管同士を接合する手順を示す断面図である。
【図５】同、管同士を接合する手順を示す断面図である。
【図６】従来の管継手の断面図である。
【図７】同、管継手に備えられるシール材の自然状態（シール材を管継手から取り外した非圧縮状態）での横断面図である。
【図８】同、管同士を接合する手順を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【００２４】
以下、本発明における実施の形態を、図面を参照して説明する。
図１に示すように、３１はプッシュオンタイプの離脱防止管継手であり、互いに接続される一方の管３２の端部に形成された受口３３に、他方の管３４の端部に形成された挿口３５が挿入されている。
【００２５】
受口３３の内周面には、嵌め込み溝３７と、嵌め込み溝３７よりも受口奥側に位置する凹部３８と、凹部３８よりも受口奥側に位置するロックリング収容溝３９とがそれぞれ全周にわたり形成されている。嵌め込み溝３７と凹部３８との間には凸部４４が形成されている。また、ロックリング収容溝３９から奥側に距離をおいた受口３３の内部には、管径方向の奥端面４０が形成されている。
【００２６】
ロックリング収容溝３９には金属製の周方向一つ割りのロックリング４１が収容されている。このロックリング４１は、弾性的な縮径力を有することで、挿口３５の外周面に弾性的に抱き付くように構成されている。ロックリング４１の外周面とロックリング収容溝３９の底面との間には心出しゴム体４２が配置されており、挿口３５が受口３３に挿入されていないときにロックリング４１を受口３３に対して心出し状態に保持可能である。また、挿口３５の先端部の外周には、ロックリング４１に受口奥側から係合可能な突部４３が形成されている。尚、突部４３は挿口３５の先端面よりも所定距離だけ引き抜き方向へ後退した位置に形成されている。
【００２７】
受口３３と挿口３５との間はゴム（弾性材の一例）製で環状のシール材４５によって全周にわたりシールされている。シール材４５は以下のように構成されている。
図１〜図３に示すように、シール材４５は、嵌め込み溝３７に嵌め込まれるヒール部４６と、受口３３の内周面と挿口３５の外周面との間に挟まれるバルブ部４７とを有している。ヒール部４６は横断面形状（周方向に対して垂直な断面の形状）が方形をした環状の部材である。
【００２８】
バルブ部４７は、環状の部材であり、互いに接合された第１バルブ４８および第２バルブ４９とを備えている。第１バルブ４８の横断面形状は管軸方向に長く且つ両端部に半径ｒ１の半円部を有する長円形状である。また，第２バルブ４９の横断面形状は半径ｒ２の円形状である。尚、上記半径ｒ１は半径ｒ２よりも小さく、第１バルブ４８の厚さＴ１は第２バルブ４９の厚さＴ２よりも薄い。また、第２バルブ４９の横断面の直径（＝２×ｒ２）は凸部４４の内周面と挿口３５の外周面との管径方向の間隔Ｓよりも大きく形成されている。
【００２９】
第１バルブ４８はヒール部４６に接合され、第１バルブ４８とヒール部４６との接合部分の外周部には凹部５２が形成されている。尚、第１バルブ４８の内径は挿口３５の外径よりも僅かに小さく形成され、第１バルブ４８の外径は凸部４４の内径よりも僅かに大きく形成されている。
【００３０】
ヒール部４６は、第１バルブ４８に対して、受口３３の奥側とは反対の手前側に位置している。また、第１バルブ４８と第２バルブ４９との接合部分には、第１および第２バルブ４８，４９よりも薄いくびれ部５３が形成されている。くびれ部５３の内周面と外周面とにはそれぞれ、円弧状の凹部５４，５５が形成されている。
【００３１】
第２バルブ４９は、第１バルブ４８に対して受口３３の奥側に位置し、且つ、第１バルブ４８から管中心に向って傾斜している。尚、図３に示すように、第１バルブ４８の第２バルブ４９寄りの端部の半円部の中心Ｐ１と第２バルブ４９の中心Ｐ２とを含む面をＬ１とし、上記中心Ｐ１を含み且つシール材４５の径方向の面をＬ２とすると、面Ｌ２に対する面Ｌ１の傾斜角度Ｍは１５〜３５°に設定されている。さらに、第２バルブ４９は、その内径ｄが挿口３５の外径Ｄよりも小さく設定され、且つ、くびれ部５３の弾性変形により管径方向において拡縮自在である。また、ヒール部４６の内径Ｊは第１バルブ４８の内径Ｋよりも大きく設定されている。
【００３２】
第１バルブ４８の外周部には、凸部４４の内周面（受口３３の内周面）に圧接する第１シール部５０が全周にわたり形成されている。また、第２バルブ４９の内周部には、挿口３５の外周面に圧接する第２シール部５１が全周にわたり形成されている。第１シール部５０の位置と第２シール部５１の位置とは管軸方向にずれている。また、図１に示すように、管径方向において、第２バルブ４９の外周と凹部３８の底面との間には間隙５７が全周にわたり形成されている。また、凸部４４の管軸方向の長さは第２バルブ４９を圧縮しない長さに設定されている。尚、ヒール部４６はバルブ部４７よりも硬質のゴムで形成されている。
【００３３】
以下、上記構成における作用を説明する。
一方の管３２と他方の管３４とを接合する場合、先ず、ロックリング収容溝３９にロックリング４１と心出しゴム体４２とを収容し、図４（ａ）に示すように、シール材４５のヒール部４６を嵌め込み溝３７に嵌め込んで、シール材４５を受口３３の内部に装着する。
【００３４】
次に、挿口３５を受口３３に挿入する。このとき、図４（ｂ）に示すように、挿口３５の先端は、第１バルブ４８の内周に挿入され、第２バルブ４９に接触して、第２バルブ４９を挿入方向へ押す。これにより、第２バルブ４９が管径方向において拡大（拡径）される。
【００３５】
その後、挿口３５がさらに受口３３に挿入されると、図４（ｃ）に示すように、挿口３５の突部４３がヒール部４６の内周を通って第１バルブ４８の内周に当接し、第１バルブ４８が、突部４３の外周面と凸部４４の内周面（受口３３の内周面）との間に挟まれて、管径方向において圧縮される。この際、管径方向において拡大（拡径）した第２バルブ４９の外周と凹部３８の底面との間には間隙５７が全周にわたり形成される。
【００３６】
その後、挿口３５がさらに受口３３に挿入されると、図５（ａ）に示すように、挿口３５の突部４３が第１バルブ４８の内周を通って第２バルブ４９の内周に当接する。この際、上記間隙５７が形成されているため、第２バルブ４９は、突部４３に対して、管径方向の外向きに変位して逃げることができる。
【００３７】
その後、挿口３５がさらに受口３３に挿入されると、図５（ｂ），図１に示すように、挿口３５の突部４３は、第２バルブ４９の内周を通過した後、ロックリング４１を受口手前側から受口奥側へ通過する。これにより、一方の管３２と他方の管３４とが接合される。この際、第２バルブ４９は、管径方向において拡大（拡径）された状態であるため、挿口３５の外周面に張り付くとともに、第２バルブ４９の拡径に付随して第１バルブ４８が管径方向の外向きに押される。これにより、第１バルブ４８の第１シール部５０が凸部４４の内周面（受口３３の内周面）に圧接するとともに、第２バルブ４９の第２シール部５１が挿口３５の外周面に圧接するため、受口３３と挿口３５との間で高い水密性を保持することができる。
【００３８】
上記のように挿口３５を受口３３に挿入した際、第１および第２バルブ４８，４９よりも薄いくびれ部５３が弾性変形することで、第２バルブ４９が管径方向において拡大するため、第２バルブ４９を管径方向において拡大させるのに要する力が低減され、これにより、挿口３５を受口３３に挿入する際に要する挿入力（接合力）を低減することができる。
【００３９】
また、図４（ｂ）に示すように、先ず、挿口３５の先端が第２バルブ４９を管径方向において拡大し、その後、図４（ｃ）に示すように、突部４３が第１バルブ４８を圧縮するため、第２バルブ４９の管径方向における拡大と第１バルブ４８の圧縮とが同時に起こらず、これにより、挿口３５を受口３３に挿入する際に要する挿入力（接合力）を低減することができる。さらに、ヒール部４６の内径Ｊは第１バルブ４８の内径Ｋよりも大きいため、第１バルブ４８が圧縮される際、第１バルブ４８の一部がヒール部４６と挿口３５との間に逃げることができる。このことによっても、上記挿入力（接合力）を低減することができる。
【００４０】
また、図４（ｃ）に示すように、第１バルブ４８が突部４３の外周面と凸部４４の内周面との間に挟まれて圧縮されたとき、各凹部５２，５４，５５（図２参照）が逃げ代となって第１バルブ４８の圧縮量が減少する。これにより、挿口３５の突部４３が第１バルブ４８の内周をスムーズに通過するため、挿口３５を受口３３に挿入する際に要する挿入力（接合力）を低減することができる。また、図３に示すように、第１バルブ４８の厚さＴ１は第２バルブ４９の厚さＴ２よりも薄いため、これによっても、第１バルブ４８の管径方向の圧縮量が小さくなり、挿口３５の突部４３が第１バルブ４８の内周をスムーズに通過し、挿口３５を受口３３に挿入する際に要する挿入力（接合力）をさらに低減することができる。
【００４１】
また、図５（ａ）に示すように、挿口３５の突部４３が第２バルブ４９の内周を通過する際、間隙５７（図４（ｃ）参照）が逃げ代となって、第２バルブ４９が、突部４３に対して、管径方向の外向きに変位（拡径）して逃げる。これにより、挿口３５を受口３３に挿入する際に要する挿入力（接合力）をさらに低減することができる。
【００４２】
また、互いに接合された管３２，３４内に水圧が作用すると、図１，図５（ｂ）に示すように、この水圧によってバルブ部４７を受口３３の奥側から手前側に押し出そうとする押出し力Ｆ１が管軸方向に作用する。これに対して、第１シール部５０の位置と第２シール部５１の位置とが管軸方向にずれているため、押出し力Ｆ１によってバルブ部４７が受口３３の奥側から手前側に押し出されてしまうのを防止することができる。特に、第１シール部５０の位置と第２シール部５１の位置との管軸方向におけるずれ量Ａを大きくするほど、大きな押出し力Ｆ１に対して、バルブ部４７が押し出されてしまうのを防止することができる。これにより、受口３３と挿口３５との間の水密性が向上する。
【００４３】
また、第２バルブ４９の横断面の直径（＝２×ｒ２）は凸部４４の内周面と挿口３５の外周面との管径方向の間隔Ｓよりも大きく形成されているため、バルブ部４７が押出し力Ｆ１によって押されても、第２バルブ４９は上記間隔Ｓを通過し難く、これによっても、バルブ部４７が受口３３の奥側から手前側に押し出されてしまうのを防止することができる。
【００４４】
また、間隙５７にも水圧が作用するため、第２バルブ４９には管中心に向いた押付力Ｆ２が作用し、これにより、第２バルブ４９の第２シール部５１が挿口３５の外周面に強く押し付けられ、受口３３と挿口３５との間の水密性がさらに向上する。
【００４５】
尚、上記実施の形態では、図１に示すように、挿口３５を受口３３に挿入して一方の管３２と他方の管３４とを接合した場合、第１バルブ４８の内周面が挿口３５の外周面に接触しているが、第１バルブ４８の内周面と挿口３５の外周面との間に隙間が形成されていてもよい。この場合、バルブ部４７が押出し力Ｆ１によって押されると、第２バルブ４９が上記第１バルブ４８の内周面と挿口３５の外周面との隙間に入り込むように押されるため、受口３３と挿口３５との間の水密性がさらに向上する。
【符号の説明】
【００４６】
３１ 管継手
３２ 一方の管
３３ 受口
３４ 他方の管
３５ 挿口
３７ 嵌め込み溝
３８ 凹部
３９ ロックリング収容溝
４１ ロックリング
４３ 突部
４４ 凸部
４５ シール材
４６ ヒール部
４７ バルブ部
４８ 第１バルブ
４９ 第２バルブ
５０ 第１シール部
５１ 第２シール部
５３ くびれ部
５７ 間隙
ｄ 第２バルブの内径
Ｄ 挿口の外径
Ｔ１ 第１バルブの厚さ
Ｔ２ 第２バルブの厚さ
【技術分野】
【０００１】
本発明は、互いに接続される一方の管の端部に形成された受口に、他方の管の端部に形成された挿口を挿入する管継手に関する。
【背景技術】
【０００２】
従来、この種の管継手としては、図６に示すように、スリップオンタイプの離脱防止管継手１１がある。この管継手１１は、互いに接続される一方の管１２の端部に形成された受口１３に、他方の管１４の端部に形成された挿口１５が挿入されている。
【０００３】
受口１３の内周には、シール材配置凹部１７と、シール材配置凹部１７よりも奥側に位置するロックリング溝１９とが形成されている。また、シール材配置凹部１７の周面２３には係止溝２４が形成されている。
【０００４】
ロックリング溝１９には、周方向一つ割りのロックリング２０が装着されているとともに、ロックリング２０の外周とロックリング溝１９の底面との間には、ロックリング２０を固定するためのゴム輪などの弾性付勢手段２１が配置されている。また、挿口１５の先端部外周には、ロックリング２０に受口奥側から係合可能な突部２２が形成されている。
【０００５】
シール材配置凹部１７には、受口１３と挿口１５との間を全周にわたりシールするゴム製で環状のシール材１８が配置されている。図６，図７に示すように、シール材１８は、係止溝２４内に嵌入係合するヒール部２５と、上記周面２３と挿口１５の外周面との間で圧縮されてシール面圧を生ずるバルブ部２６とを備えている。このバルブ部２６は受口奥側ほど内径を小さく形成され、その断面形状が管中心に向けて斜め方向に舌状に突出する略長円形に形成されている。
【０００６】
以上のような構成によると、受口１３に挿口１５を挿入して接合する時、挿口１５の突部２２がシール材１８の内周を通過する際に、図８に示すように、バルブ部２６の内周部が仮想線で示す状態から実線で示すように管径方向外方に撓むように変形（拡径）する。
【０００７】
その後、突部２２がシール材１８の内周を通過してしまうと、図６に示すように、バルブ部２６が挿口１５の外周面とシール材配置凹部１７の周面２３との間で圧縮され、バルブ部２６の内周部が挿口１５の外周面に圧接するとともに外周部がシール材配置凹部１７の周面２３（受口１３の内周面）に圧接し、これにより、シール面圧が確保される。
【０００８】
尚、上記のような管継手１１に用いられるシール材１８については例えば下記特許文献１に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００９】
【特許文献１】特開平５−２３１５７０号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【００１０】
しかしながら上記の従来形式では、図８に示すように、受口１３に挿口１５を挿入する時、バルブ部２６の内周部を仮想線で示す状態から実線で示すように管径方向外方に撓むように変形（拡径）させるのに要する力を低減させることは困難であった。このため、挿口１５を受口１３に挿入する際に、大きな挿入力（接合力）を作用させる必要があるといった問題があった。
【００１１】
本発明は、挿口を受口に挿入する際に要する挿入力（接合力）を低減することが可能な管継手を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【００１２】
上記目的を達成するために、本第１発明は、互いに接続される一方の管の端部に形成された受口に、他方の管の端部に形成された挿口を挿入する管継手であって、
受口の内周面に、嵌め込み溝と、嵌め込み溝よりも奥側に位置する凹部と、凹部よりも奥側に位置するロックリング収容溝とが形成され、
ロックリング収容溝にロックリングが設けられ、
挿口の外周に、ロックリングに受口奥側から係合可能な突部が形成され、
受口と挿口との間は弾性材からなる環状のシール材によって全周にわたりシールされ、
シール材は、嵌め込み溝内に嵌め込まれるヒール部と、受口の内周面と挿口の外周面との間に挟まれるバルブ部とを有し、
バルブ部は互いに接合された第１バルブと第２バルブとを備え、
第１バルブの外周部に、受口の内周面に圧接する第１シール部が形成され、
第２バルブの内周部に、挿口の外周面に圧接する第２シール部が形成され、
第１バルブがヒール部に接合され、
第１バルブと第２バルブとの接合部分には、第１および第２バルブよりも薄いくびれ部が形成され、
第２バルブは、第１バルブに対して受口の奥側に位置し、且つ、第１バルブから管中心に向って傾斜しており、
ヒール部は、第１バルブに対して、受口の奥側とは反対の手前側に位置し、
第２バルブは、その内径が挿口の外径よりも小さく設定され、且つ、くびれ部の変形により管径方向において拡縮自在であるものである。
【００１３】
これによると、一方の管と他方の管とを接合するとき、予め、ロックリングをロックリング収容溝に設け、シール材のヒール部を嵌め込み溝内に嵌め込んでおく。その後、挿口を受口に挿入する。
【００１４】
このとき、第２バルブが挿口により管径方向において拡大（拡径）され、挿口がシール材の内周に挿入され、バルブ部の第１シール部が受口の内周面に圧接するとともに第２シール部が挿口の外周面に圧接する。これにより、受口と挿口との間で高い水密性を保持することができる。
【００１５】
上記のように挿口を受口に挿入した際、第１および第２バルブよりも薄いくびれ部が変形することで、第２バルブが管径方向において拡大するため、第２バルブを管径方向において拡大させるのに要する力が低減され、これにより、挿口を受口に挿入する際に要する挿入力（接合力）を低減することができる。
【００１６】
また、本第２発明は、第１シール部は受口の嵌め込み溝と凹部との間に形成された凸部の内周面に圧接し、
第１シール部の位置と第２シール部の位置とが管軸方向にずれているものである。
【００１７】
これによると、第１バルブの径を小さくして、受口の凸部の内径を小さくすることができ、これにより、受口の凸部と挿口との隙間が小さくなり、水圧負荷時にシール材に作用する水圧の絶対値が小さくなる。したがって、高水圧負荷時でも、シール材が受口と挿口との隙間から離脱し難くなる。また、受口の端面開口部の内径を従来よりも大きくすることができ、挿口が曲がった状態で受口に接合することができる。
【００１８】
また、本第３発明は、第１バルブの管径方向の厚さは第２バルブの管径方向の厚さよりも薄く、
第２バルブの外周と凹部の底面との間に間隙が形成されているものである。
【００１９】
これによると、挿口の突部が第１バルブの内周を通過する際、第１バルブの厚さは第２バルブの厚さよりも薄いため、第１バルブの管径方向の圧縮量が小さくなり、挿口の突部が第１バルブの内周をスムーズに通過し、挿口を受口に挿入する際に要する挿入力（接合力）をさらに低減することができる。
【００２０】
その後、挿口の突部が第２バルブの内周を通過する際、間隙が逃げ代となって、第２バルブが、突部に対して、管径方向の外向きに変位して逃げる。これにより、挿口を受口に挿入する際に要する挿入力（接合力）をさらに低減することができる。
【００２１】
また、互いに接合された管内に水圧が作用すると、第２バルブの外周と凹部の底面との間隙にも水圧が作用するため、第２バルブには管中心に向いた押付力が作用し、これにより、第２バルブの第２シール部が挿口の外周面に強く押し付けられ、受口と挿口との間の水密性がさらに向上する。
【発明の効果】
【００２２】
以上のように本発明によると、挿口を受口に挿入する際に要する挿入力（接合力）を低減することができ、受口と挿口との間で高い水密性を保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【００２３】
【図１】本発明の実施の形態における管継手の断面図である。
【図２】同、管継手に備えられるシール材の自然状態（シール材を管継手から取り外した非圧縮状態）での横断面図である。
【図３】同、管継手に供えられるシール材の自然状態（シール材を管継手から取り外した非圧縮状態）での各部分の寸法を示した横断面図である。
【図４】同、管同士を接合する手順を示す断面図である。
【図５】同、管同士を接合する手順を示す断面図である。
【図６】従来の管継手の断面図である。
【図７】同、管継手に備えられるシール材の自然状態（シール材を管継手から取り外した非圧縮状態）での横断面図である。
【図８】同、管同士を接合する手順を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【００２４】
以下、本発明における実施の形態を、図面を参照して説明する。
図１に示すように、３１はプッシュオンタイプの離脱防止管継手であり、互いに接続される一方の管３２の端部に形成された受口３３に、他方の管３４の端部に形成された挿口３５が挿入されている。
【００２５】
受口３３の内周面には、嵌め込み溝３７と、嵌め込み溝３７よりも受口奥側に位置する凹部３８と、凹部３８よりも受口奥側に位置するロックリング収容溝３９とがそれぞれ全周にわたり形成されている。嵌め込み溝３７と凹部３８との間には凸部４４が形成されている。また、ロックリング収容溝３９から奥側に距離をおいた受口３３の内部には、管径方向の奥端面４０が形成されている。
【００２６】
ロックリング収容溝３９には金属製の周方向一つ割りのロックリング４１が収容されている。このロックリング４１は、弾性的な縮径力を有することで、挿口３５の外周面に弾性的に抱き付くように構成されている。ロックリング４１の外周面とロックリング収容溝３９の底面との間には心出しゴム体４２が配置されており、挿口３５が受口３３に挿入されていないときにロックリング４１を受口３３に対して心出し状態に保持可能である。また、挿口３５の先端部の外周には、ロックリング４１に受口奥側から係合可能な突部４３が形成されている。尚、突部４３は挿口３５の先端面よりも所定距離だけ引き抜き方向へ後退した位置に形成されている。
【００２７】
受口３３と挿口３５との間はゴム（弾性材の一例）製で環状のシール材４５によって全周にわたりシールされている。シール材４５は以下のように構成されている。
図１〜図３に示すように、シール材４５は、嵌め込み溝３７に嵌め込まれるヒール部４６と、受口３３の内周面と挿口３５の外周面との間に挟まれるバルブ部４７とを有している。ヒール部４６は横断面形状（周方向に対して垂直な断面の形状）が方形をした環状の部材である。
【００２８】
バルブ部４７は、環状の部材であり、互いに接合された第１バルブ４８および第２バルブ４９とを備えている。第１バルブ４８の横断面形状は管軸方向に長く且つ両端部に半径ｒ１の半円部を有する長円形状である。また，第２バルブ４９の横断面形状は半径ｒ２の円形状である。尚、上記半径ｒ１は半径ｒ２よりも小さく、第１バルブ４８の厚さＴ１は第２バルブ４９の厚さＴ２よりも薄い。また、第２バルブ４９の横断面の直径（＝２×ｒ２）は凸部４４の内周面と挿口３５の外周面との管径方向の間隔Ｓよりも大きく形成されている。
【００２９】
第１バルブ４８はヒール部４６に接合され、第１バルブ４８とヒール部４６との接合部分の外周部には凹部５２が形成されている。尚、第１バルブ４８の内径は挿口３５の外径よりも僅かに小さく形成され、第１バルブ４８の外径は凸部４４の内径よりも僅かに大きく形成されている。
【００３０】
ヒール部４６は、第１バルブ４８に対して、受口３３の奥側とは反対の手前側に位置している。また、第１バルブ４８と第２バルブ４９との接合部分には、第１および第２バルブ４８，４９よりも薄いくびれ部５３が形成されている。くびれ部５３の内周面と外周面とにはそれぞれ、円弧状の凹部５４，５５が形成されている。
【００３１】
第２バルブ４９は、第１バルブ４８に対して受口３３の奥側に位置し、且つ、第１バルブ４８から管中心に向って傾斜している。尚、図３に示すように、第１バルブ４８の第２バルブ４９寄りの端部の半円部の中心Ｐ１と第２バルブ４９の中心Ｐ２とを含む面をＬ１とし、上記中心Ｐ１を含み且つシール材４５の径方向の面をＬ２とすると、面Ｌ２に対する面Ｌ１の傾斜角度Ｍは１５〜３５°に設定されている。さらに、第２バルブ４９は、その内径ｄが挿口３５の外径Ｄよりも小さく設定され、且つ、くびれ部５３の弾性変形により管径方向において拡縮自在である。また、ヒール部４６の内径Ｊは第１バルブ４８の内径Ｋよりも大きく設定されている。
【００３２】
第１バルブ４８の外周部には、凸部４４の内周面（受口３３の内周面）に圧接する第１シール部５０が全周にわたり形成されている。また、第２バルブ４９の内周部には、挿口３５の外周面に圧接する第２シール部５１が全周にわたり形成されている。第１シール部５０の位置と第２シール部５１の位置とは管軸方向にずれている。また、図１に示すように、管径方向において、第２バルブ４９の外周と凹部３８の底面との間には間隙５７が全周にわたり形成されている。また、凸部４４の管軸方向の長さは第２バルブ４９を圧縮しない長さに設定されている。尚、ヒール部４６はバルブ部４７よりも硬質のゴムで形成されている。
【００３３】
以下、上記構成における作用を説明する。
一方の管３２と他方の管３４とを接合する場合、先ず、ロックリング収容溝３９にロックリング４１と心出しゴム体４２とを収容し、図４（ａ）に示すように、シール材４５のヒール部４６を嵌め込み溝３７に嵌め込んで、シール材４５を受口３３の内部に装着する。
【００３４】
次に、挿口３５を受口３３に挿入する。このとき、図４（ｂ）に示すように、挿口３５の先端は、第１バルブ４８の内周に挿入され、第２バルブ４９に接触して、第２バルブ４９を挿入方向へ押す。これにより、第２バルブ４９が管径方向において拡大（拡径）される。
【００３５】
その後、挿口３５がさらに受口３３に挿入されると、図４（ｃ）に示すように、挿口３５の突部４３がヒール部４６の内周を通って第１バルブ４８の内周に当接し、第１バルブ４８が、突部４３の外周面と凸部４４の内周面（受口３３の内周面）との間に挟まれて、管径方向において圧縮される。この際、管径方向において拡大（拡径）した第２バルブ４９の外周と凹部３８の底面との間には間隙５７が全周にわたり形成される。
【００３６】
その後、挿口３５がさらに受口３３に挿入されると、図５（ａ）に示すように、挿口３５の突部４３が第１バルブ４８の内周を通って第２バルブ４９の内周に当接する。この際、上記間隙５７が形成されているため、第２バルブ４９は、突部４３に対して、管径方向の外向きに変位して逃げることができる。
【００３７】
その後、挿口３５がさらに受口３３に挿入されると、図５（ｂ），図１に示すように、挿口３５の突部４３は、第２バルブ４９の内周を通過した後、ロックリング４１を受口手前側から受口奥側へ通過する。これにより、一方の管３２と他方の管３４とが接合される。この際、第２バルブ４９は、管径方向において拡大（拡径）された状態であるため、挿口３５の外周面に張り付くとともに、第２バルブ４９の拡径に付随して第１バルブ４８が管径方向の外向きに押される。これにより、第１バルブ４８の第１シール部５０が凸部４４の内周面（受口３３の内周面）に圧接するとともに、第２バルブ４９の第２シール部５１が挿口３５の外周面に圧接するため、受口３３と挿口３５との間で高い水密性を保持することができる。
【００３８】
上記のように挿口３５を受口３３に挿入した際、第１および第２バルブ４８，４９よりも薄いくびれ部５３が弾性変形することで、第２バルブ４９が管径方向において拡大するため、第２バルブ４９を管径方向において拡大させるのに要する力が低減され、これにより、挿口３５を受口３３に挿入する際に要する挿入力（接合力）を低減することができる。
【００３９】
また、図４（ｂ）に示すように、先ず、挿口３５の先端が第２バルブ４９を管径方向において拡大し、その後、図４（ｃ）に示すように、突部４３が第１バルブ４８を圧縮するため、第２バルブ４９の管径方向における拡大と第１バルブ４８の圧縮とが同時に起こらず、これにより、挿口３５を受口３３に挿入する際に要する挿入力（接合力）を低減することができる。さらに、ヒール部４６の内径Ｊは第１バルブ４８の内径Ｋよりも大きいため、第１バルブ４８が圧縮される際、第１バルブ４８の一部がヒール部４６と挿口３５との間に逃げることができる。このことによっても、上記挿入力（接合力）を低減することができる。
【００４０】
また、図４（ｃ）に示すように、第１バルブ４８が突部４３の外周面と凸部４４の内周面との間に挟まれて圧縮されたとき、各凹部５２，５４，５５（図２参照）が逃げ代となって第１バルブ４８の圧縮量が減少する。これにより、挿口３５の突部４３が第１バルブ４８の内周をスムーズに通過するため、挿口３５を受口３３に挿入する際に要する挿入力（接合力）を低減することができる。また、図３に示すように、第１バルブ４８の厚さＴ１は第２バルブ４９の厚さＴ２よりも薄いため、これによっても、第１バルブ４８の管径方向の圧縮量が小さくなり、挿口３５の突部４３が第１バルブ４８の内周をスムーズに通過し、挿口３５を受口３３に挿入する際に要する挿入力（接合力）をさらに低減することができる。
【００４１】
また、図５（ａ）に示すように、挿口３５の突部４３が第２バルブ４９の内周を通過する際、間隙５７（図４（ｃ）参照）が逃げ代となって、第２バルブ４９が、突部４３に対して、管径方向の外向きに変位（拡径）して逃げる。これにより、挿口３５を受口３３に挿入する際に要する挿入力（接合力）をさらに低減することができる。
【００４２】
また、互いに接合された管３２，３４内に水圧が作用すると、図１，図５（ｂ）に示すように、この水圧によってバルブ部４７を受口３３の奥側から手前側に押し出そうとする押出し力Ｆ１が管軸方向に作用する。これに対して、第１シール部５０の位置と第２シール部５１の位置とが管軸方向にずれているため、押出し力Ｆ１によってバルブ部４７が受口３３の奥側から手前側に押し出されてしまうのを防止することができる。特に、第１シール部５０の位置と第２シール部５１の位置との管軸方向におけるずれ量Ａを大きくするほど、大きな押出し力Ｆ１に対して、バルブ部４７が押し出されてしまうのを防止することができる。これにより、受口３３と挿口３５との間の水密性が向上する。
【００４３】
また、第２バルブ４９の横断面の直径（＝２×ｒ２）は凸部４４の内周面と挿口３５の外周面との管径方向の間隔Ｓよりも大きく形成されているため、バルブ部４７が押出し力Ｆ１によって押されても、第２バルブ４９は上記間隔Ｓを通過し難く、これによっても、バルブ部４７が受口３３の奥側から手前側に押し出されてしまうのを防止することができる。
【００４４】
また、間隙５７にも水圧が作用するため、第２バルブ４９には管中心に向いた押付力Ｆ２が作用し、これにより、第２バルブ４９の第２シール部５１が挿口３５の外周面に強く押し付けられ、受口３３と挿口３５との間の水密性がさらに向上する。
【００４５】
尚、上記実施の形態では、図１に示すように、挿口３５を受口３３に挿入して一方の管３２と他方の管３４とを接合した場合、第１バルブ４８の内周面が挿口３５の外周面に接触しているが、第１バルブ４８の内周面と挿口３５の外周面との間に隙間が形成されていてもよい。この場合、バルブ部４７が押出し力Ｆ１によって押されると、第２バルブ４９が上記第１バルブ４８の内周面と挿口３５の外周面との隙間に入り込むように押されるため、受口３３と挿口３５との間の水密性がさらに向上する。
【符号の説明】
【００４６】
３１ 管継手
３２ 一方の管
３３ 受口
３４ 他方の管
３５ 挿口
３７ 嵌め込み溝
３８ 凹部
３９ ロックリング収容溝
４１ ロックリング
４３ 突部
４４ 凸部
４５ シール材
４６ ヒール部
４７ バルブ部
４８ 第１バルブ
４９ 第２バルブ
５０ 第１シール部
５１ 第２シール部
５３ くびれ部
５７ 間隙
ｄ 第２バルブの内径
Ｄ 挿口の外径
Ｔ１ 第１バルブの厚さ
Ｔ２ 第２バルブの厚さ
【特許請求の範囲】
【請求項１】
互いに接続される一方の管の端部に形成された受口に、他方の管の端部に形成された挿口を挿入する管継手であって、
受口の内周面に、嵌め込み溝と、嵌め込み溝よりも奥側に位置する凹部と、凹部よりも奥側に位置するロックリング収容溝とが形成され、
ロックリング収容溝にロックリングが設けられ、
挿口の外周に、ロックリングに受口奥側から係合可能な突部が形成され、
受口と挿口との間は弾性材からなる環状のシール材によって全周にわたりシールされ、
シール材は、嵌め込み溝内に嵌め込まれるヒール部と、受口の内周面と挿口の外周面との間に挟まれるバルブ部とを有し、
バルブ部は互いに接合された第１バルブと第２バルブとを備え、
第１バルブの外周部に、受口の内周面に圧接する第１シール部が形成され、
第２バルブの内周部に、挿口の外周面に圧接する第２シール部が形成され、
第１バルブがヒール部に接合され、
第１バルブと第２バルブとの接合部分には、第１および第２バルブよりも薄いくびれ部が形成され、
第２バルブは、第１バルブに対して受口の奥側に位置し、且つ、第１バルブから管中心に向って傾斜しており、
ヒール部は、第１バルブに対して、受口の奥側とは反対の手前側に位置し、
第２バルブは、その内径が挿口の外径よりも小さく設定され、且つ、くびれ部の変形により管径方向において拡縮自在であることを特徴とする管継手。
【請求項２】
第１シール部は受口の嵌め込み溝と凹部との間に形成された凸部の内周面に圧接し、
第１シール部の位置と第２シール部の位置とが管軸方向にずれていることを特徴とする請求項１記載の管継手。
【請求項３】
第１バルブの管径方向の厚さは第２バルブの管径方向の厚さよりも薄く、第２バルブの外周と凹部の底面との間に間隙が形成されていることを特徴とする請求項１又は請求項２記載の管継手。
【請求項１】
互いに接続される一方の管の端部に形成された受口に、他方の管の端部に形成された挿口を挿入する管継手であって、
受口の内周面に、嵌め込み溝と、嵌め込み溝よりも奥側に位置する凹部と、凹部よりも奥側に位置するロックリング収容溝とが形成され、
ロックリング収容溝にロックリングが設けられ、
挿口の外周に、ロックリングに受口奥側から係合可能な突部が形成され、
受口と挿口との間は弾性材からなる環状のシール材によって全周にわたりシールされ、
シール材は、嵌め込み溝内に嵌め込まれるヒール部と、受口の内周面と挿口の外周面との間に挟まれるバルブ部とを有し、
バルブ部は互いに接合された第１バルブと第２バルブとを備え、
第１バルブの外周部に、受口の内周面に圧接する第１シール部が形成され、
第２バルブの内周部に、挿口の外周面に圧接する第２シール部が形成され、
第１バルブがヒール部に接合され、
第１バルブと第２バルブとの接合部分には、第１および第２バルブよりも薄いくびれ部が形成され、
第２バルブは、第１バルブに対して受口の奥側に位置し、且つ、第１バルブから管中心に向って傾斜しており、
ヒール部は、第１バルブに対して、受口の奥側とは反対の手前側に位置し、
第２バルブは、その内径が挿口の外径よりも小さく設定され、且つ、くびれ部の変形により管径方向において拡縮自在であることを特徴とする管継手。
【請求項２】
第１シール部は受口の嵌め込み溝と凹部との間に形成された凸部の内周面に圧接し、
第１シール部の位置と第２シール部の位置とが管軸方向にずれていることを特徴とする請求項１記載の管継手。
【請求項３】
第１バルブの管径方向の厚さは第２バルブの管径方向の厚さよりも薄く、第２バルブの外周と凹部の底面との間に間隙が形成されていることを特徴とする請求項１又は請求項２記載の管継手。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【公開番号】特開２０１０−１７４９０６（Ｐ２０１０−１７４９０６Ａ）
【公開日】平成２２年８月１２日（２０１０．８．１２）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００９−１４８３６（Ｐ２００９−１４８３６）
【出願日】平成２１年１月２７日（２００９．１．２７）
【出願人】（０００００１０５２）株式会社クボタ (4,415)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２２年８月１２日（２０１０．８．１２）
【国際特許分類】
【出願日】平成２１年１月２７日（２００９．１．２７）
【出願人】（０００００１０５２）株式会社クボタ (4,415)
【Ｆターム（参考）】
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