説明

管継手

【課題】雌部材と雄部材とが連結されているときに押圧している部位と押圧されている部位との間に液体が入り込むことを抑えた管継手を提供する。
【解決手段】雌部材10は、差込み口12aを有する雌側筒体11と、差込み口12aに向かって付勢された雌側弁体25と、雌側筒体11に固定されて、押圧先端部18を先端に有する雌側押圧部15とを備える。雄部材40は、雌側押圧部15が挿通される雄側開口47が形成され雌側弁体25を押圧する雄側押圧部46を有する雄側筒体41と、雄側開口47に向かって付勢された雄側弁体53とを備えている。そして、雄側弁体53には、雌部材10と雄部材40とが連結状態にあるときに押圧先端部18を収容する凹部60が形成されており、押圧先端部18には、凹部60に圧接して押圧先端部18と雄側弁体53との隙間をシールするOリング19が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、雄部材と雌部材とから構成され、雌部材に雄部材が差し込まれることにより互いに連結されて液体が流通可能になる管継手に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば特許文献1に開示されている管継手が知られている。図4及び図5は、従来例の管継手を構成する雄部材の断面構造と雌部材の断面構造とを示した断面図であって、図4は雄部材と雌部材との連結が解除された解除状態を示し、図5は雄部材と雌部材とが連結された連結状態を示す。
【0003】
図4に示されるように、管継手100を構成する雄部材110の雄側筒体111は、軸線方向Aに延びる略円筒形状に形成されている。この雄側筒体111において、軸線方向Aにおける上側は、連結状態で雌部材120に差し込まれる部分である雄側押圧部111Aであり、また、軸線方向Aにおける下側は、配管部材MPが取付けられる部分である雄側基部111Bである。
【0004】
雄側筒体111の内側面112のうち、雄側押圧部111A側には、雄側筒体111の内径が縮径された雄側弁座112Aが形成されている。また、雄側筒体111の内側面112のうち、雄側基部111B側には、配管部材MPの螺着される雌ねじ部112Bが形成されている。雄側筒体111の内部において、これら雄側弁座112Aと雌ねじ部112Bとの間には、略円筒形状のスパイダー113が嵌め込まれている。スパイダー113は、図示しないスナップリングによって、雄側基部111B側への移動が制限されている。
【0005】
スパイダー113の中心には、軸線方向Aに延びる弁体通路113aを有した筒状の案内スリーブ113bが突設され、また、スパイダー113において案内スリーブ113bの外側には、軸線方向Aに延びる複数の流路113cが貫通している。このスパイダー113が有する案内スリーブ113bには、コマ状をなす雄側弁体114の軸部115が、軸線方向Aに沿って摺動可能に挿通されている。軸部115の上端には、案内スリーブ113bの上方に配置された円錐台状の弁体先端部116が一体形成されている。この弁体先端部116の軸部115側である基端には、雄側弁座112Aと密着することの可能な図示しない環状シールが取付けられている。そして、弁体先端部116とスパイダー113との間には、弁体先端部116を雄側弁座112Aに向けて付勢する、すなわち環状シールを雄側弁座112Aに向けて付勢する雄側ばね117が挟み込まれている。
【0006】
一方、管継手100を構成する雌部材120の雌側筒体121は、雄側筒体111と同じく軸線方向Aに延びる略円筒形状をなし、雄側筒体111の外径よりも大きい内径を有している。この雌側筒体121において、軸線方向Aにおける下側は、連結状態で雄部材110の差し込まれる部分である差込み部121Aであり、また、軸線方向Aにおける上側は、配管部材MPが取付けられる部分である雌側基部121Bである。
【0007】
雌側筒体121の内側面122のうち、差込み部121A側には、雄側筒体111が差し込み可能及び引き出し可能な差込み口122Aが形成されている。また、雌側筒体121の内側面122のうち、雌側基部121B側には、配管部材MPの螺着される雌ねじ部122Bが形成されている。雌側筒体121の内部において、これら差込み口122Aと雌ねじ部122Bとの間には、縮径された部分である支持部123が形成されている。
【0008】
支持部123の中心には、軸線方向Aに沿って延びる円柱状の雌側弁座124が固定されるとともに、支持部123において雌側弁座124の外側には、軸線方向Aに延びる複数の流路123cが貫通している。雌側弁座124における軸線方向の両端のうち、差込み口122A側の端には、上記弁体先端部116が嵌め込まれることの可能な逆椀状の受け部125が形成されている。また、雌側筒体121の内部には、受け部125をその全周にわたって囲う円筒状の雌側弁体126が、雌側筒体121の内周面に対して摺動可能に嵌め込まれている。雌側弁体126の内周面のうち、差込み部121A側には、受け部125の外径よりも小さい内径からなる環状シール125aが嵌め込まれている。そして、雌側弁体126と支持部123との間には、雌側弁体126を差込み口122A側に付勢する、すなわち雌側弁体126の環状シール125aを雌側弁座124の受け部125に向けて付勢するばね127が挟み込まれている。
【0009】
そして、雄部材110が雌部材120の差込み口122Aに差し込まれると、まず、雄側押圧部111Aの端面と雌側弁体126の端面とが当接するとともに、雌側弁座124の受け部125に雄側弁体114の弁体先端部116が当接する。この状態から、雄部材110が雌部材120にさらに差し込まれると、図5に示されるように、雄側押圧部111Aの端面から受ける力によって、雌側弁体126が雌側筒体121の雌ねじ部122B側に移動する。また、雌側弁座124の受け部125から受ける力によって、雄側弁体114が雄側筒体111の雌ねじ部112B側に移動する。これにより、雄部材110においては、雄側弁体114と雄側弁座112Aとの間に通路が形成され、また、雌部材120においては、雌側弁体126と雌側弁座124との間に通路が形成される。その結果、これらの通路を通じて雄部材110と雌部材120との間で液体が流通することが可能になる。なお、これら雄部材110及び雌部材120には、外部へと液体が漏れないように各所にシール部材が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特表平11−501715号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところで、上述した構成の管継手100においては、雄部材110と雌部材120とが連結状態であるとき、雄側弁体114の弁体先端部116が雌側弁座124の受け部125に嵌め込まれている。この際、弁体先端部116と受け部125との間には僅かな隙間が形成されているため、これらの周囲を流通している液体が上記隙間に入り込むこととなる。その結果、雄部材110と雌部材120との連結が解除されたときには、液体の付着した弁体先端部116の表面と、同じく液体の付着した受け部125の表面とが大気に曝されることとなる。
【0012】
液体が付着している部分には、液体が付着していない部分よりも大気中を浮遊している異物が付着しやすく、また液体の乾燥後もその付着した異物が残渣として残ってしまう。そのため、異物が付着した状態のまま雄部材110と雌部材120とを再び連結すると、それら付着した異物が液体に混入してしまうばかりか、上記隙間を拡大させ当該隙間に液体が入り込みやすくなってしまう。
【0013】
本発明は、上記実状を鑑みてなされたものであり、その目的は、雄部材と雌部材とで構成される管継手において、雄部材の表面及び雌部材の表面に液体が付着することを抑えることが可能な管継手を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
請求項1に記載の発明は、狭窄した筒開口である雄側開口を雄側筒端に有した雄側筒体内にて前記雄側開口に向けて付勢された雄側弁体を有した雄部材と、前記雄側筒体の差し込み可能な差込み部を有した雌側筒体と、前記雌側筒体の軸方向に延びる柱状をなし前記雌側筒体内に配置され、前記差込み部とは反対側の端部で前記雌側筒体に固定された雌側押圧部と、前記雌側押圧部が内挿される筒開口である雌側開口を有し、前記雌側筒体と前記雌側押圧部との間の環状の隙間を前記差込み部にて塞ぐ筒状をなして前記差込み部に向けて付勢された雌側弁体と、を有した雌部材と、を備え、前記雄側筒体が前記差込み部に差し込まれた状態で、前記雌側押圧部が前記雄側開口を通じて前記雄側弁体を前記雄側筒体内に押し込み、且つ前記雄側筒端が前記差込み部を通じて前記雌側弁体を前記雌側筒内に押し込むことによって、前記雄側開口と前記雌側開口とを通して互いに連通する管継手において、前記雌側押圧部及び前記雄側弁体の少なくとも1つには、前記雌側押圧部が前記雄側弁体を押圧している状態で前記雌側押圧部と前記雄側弁体とに圧接して、前記雌側押圧部と前記雄側弁体との隙間をシールする環状の第1シール部材が備えられていることを要旨とする。
【0015】
請求項1に記載の管継手によれば、雄部材の流路と雌部材の流路とが互いに連通する連結状態にあるとき、雌側押圧部と雄側弁体との隙間がシール部材によってシールされることから、流通している液体が当該隙間に入り込むことを抑えることができる。それゆえに、雌部材と雄部材との連結を解除したときに雌側押圧部の表面及び雄側弁体の表面に液体が付着していることを抑えることができる。
【0016】
請求項2に記載の発明は、前記雌側押圧部の先端及び前記雄側弁体の先端のいずれか一方には、前記雌側押圧部が前記雄側弁体を押圧している状態で、他方と嵌合する凹部が形成されていることを要旨とする。
【0017】
請求項2に記載の管継手によれば、雌側押圧部の先端及び雄側弁体の先端のいずれか一方が他方に形成された凹部に嵌合するため、雌側押圧部が雄側弁体を押圧する状態では、雌側押圧部の先端と雄側弁体の先端との位置の整合性を高めることが可能である。
【0018】
請求項3に記載の発明は、前記雌側押圧部は、前記差込み部側が閉じられて前記雌側筒体の軸方向に延び、前記雌部材の流路が内部に形成された管であり、前記管の周壁を貫通するとともに前記雌側筒体に前記雄側筒体が差し込まれた状態では前記雄側筒体内に配置される横穴である連通路を有し、前記雄側筒端の内側面には、前記雌側筒体に前記雄側筒体が差込まれた状態で、前記雄側筒端に貫挿された前記雌側押圧部の外側面と前記雄側筒端の内側面とに圧接して、前記雄側筒端と前記雌側弁体との隙間をシールする環状の第2シール部材が備えられていることを要旨とする。
【0019】
請求項3に記載の管継手によれば、雄部材と雌部材とが連結状態にあるとき、雄側筒端と雌側弁体との隙間が第2シール部材によってシールされる。そのため、雄部材と雌部材との間で流通する液体が、雄側筒端とそれに押圧される雌側弁体との隙間に入り込むことを抑えることができる。それゆえに、雌部材と雄部材との連結を解除したときに、雌側押圧部の表面及び雄側弁体の表面に加えて、雄側筒端の表面及び雌側弁体の表面に液体が付着していることを抑えることができる。
【0020】
請求項4に記載の発明は、前記第2シール部材は、前記雄側弁体が前記雄側開口を塞いでいる状態で、前記雄側弁体の外側面と前記雄側筒端の内側面とに圧接して、前記雄側筒体の内部を前記雄側筒体の外部に対してシールすることを要旨とする。
【0021】
雄部材と雌部材とが非連結状態にあるときには、その雄部材に対し、雄側筒体内の液体が外部に漏れ出すことを抑える機能が求められる。請求項4に記載の管継手によれば、こうした非連結状態にて、第2シール部材が雄側弁体の外側面と雄側開口の内側面とに圧接する。その結果、非連結状態において、雄部筒体内に滞留している液体が外部に漏れだすことが、上述した第2シール部材で抑えることができる。すなわち、連結状態では雄側筒端の表面及び雌側弁体の表面に液体が付着することを抑える第2シール部材が、非連結状態では雄部材に求められる漏洩の抑制機能を発現することにもなる。それゆえに、雌側弁体の表面及び雄側押圧部の表面への液体の付着を抑えるうえで、雄部材を構成する部品点数が増加することを抑えることができる。
【0022】
請求項5に記載の発明は、前記雄部材は、前記雄側弁体を摺動可能に案内するとともに、前記雌側押圧部の先端により前記雄側弁体が前記雄側筒体内に押し込まれた状態では、前記雄側弁体ともども前記雌側押圧部の先端が押し込まれている筒状の案内部を有し、前記案内部の内側面には、環状の第3シール部材が取付けられ、前記第3シール部材は、前記雌側押圧部の先端により前記雄側弁体が前記雄側筒体内に押し込まれた状態で、前記雄側弁体の外側面と前記雌側押圧部の外側面とに跨る位置に配置され、前記雄側弁体の外側面及び前記雌側押圧部の外側面と前記案内部の内側面とに圧接して、前記雄側弁体と前記雌側押圧部の先端との隙間をシールすることを要旨とする。
【0023】
請求項5に記載の管継手によれば、雌部材と雄部材とが連結状態にあるとき、雄側弁体と雌側押圧部の先端との隙間が案内部に取付けられた第3シール部材によってシールされる。その結果、流通している液体が雄側弁体と雌側押圧部の先端との隙間に入り込むことを各々の外側面にて抑えることができる。それゆえに、雌部材と雄部材との連結を解除したときに雌側押圧部及び雄側弁体に液体が付着していることをさらに抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施の形態に係る管継手を構成する雄部材及び雌部材の断面構造を示す断面図であって、非連結状態における雄部材及び雌部材の断面構造を示す図。
【図2】連結開始時における雄部材及び雌部材の断面構造を示す断面図。
【図3】連結状態における雄部材及び雌部材の断面構造を示す断面図。
【図4】従来例における管継手を構成する雄部材及び雌部材の断面構造を示した断面図であって、非連結状態における断面構造を示した図。
【図5】従来例における管継手を構成する雄部材及び雌部材の断面構造を示した断面図であって、連結状態における断面構造を示した図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明に係る管継手の一実施の形態について図1〜図3を参照して説明する。まず、管継手を構成する雌部材について図1を参照して説明する。
(雌部材)
図1に示されるように、管継手1を構成する雌部材10は、両端が開口した多段の円筒形状をなして軸線方向Aに沿って延びる雌側筒体11を有している。雌側筒体11における一方の筒端である下端には、雄部材40が差し込まれるとともに当該雄部材40を差し込みやすくするように外側に拡開された雌側開口である差込み口12aが形成されている。一方、雌側筒体11における他方の筒端である封止口12bには、図示しないガスケットを介して、弁押体13が固定されている。
【0026】
弁押体13は、雌側筒体11の上端を覆うように雌側筒体11の該上端に連結される円環状の鍔部14を有している。鍔部14の中心には、軸線方向Aに沿って差込み口12a側に延びる円筒形状の雌側押圧部15が鍔部14と一体的に形成され、また軸線方向Aに沿って上側に延びる円筒形状の雌側接続部16がこれもまた鍔部14と一体的に形成されている。雌側接続部16は、その状態が外部の配管に接続される部位であり、これら雌側押圧部15及び雌側接続部16は、上下方向に連続する一つの流路17を形成している。
【0027】
雌側押圧部15の先端部には、軸線方向Aに延びる多段の有蓋円筒状をなす押圧先端部18が形成されている。押圧先端部18の外周面における軸線方向Aの途中には、押圧先端部18の全周にわたる溝が形成され、第1シール部材であるOリング19が該溝内に装着されている。また、雌側押圧部15には、上記Oリング19の上側に、雌側押圧部15の外径と押圧先端部18の外径との違いに基づく段差部20が形成されている。また、雌側押圧部15の周壁のうち押圧先端部18寄りの部位には、雌部材10の流路17と雌側押圧部15の外部とを連通する連通路21が貫通している。
【0028】
雌側筒体11の内部には、雌側筒体11と同心の円筒形状をなす雌側弁体25が内挿されている。また、雌側弁体25における筒内には、上述した雌側押圧部15が挿通されている。
【0029】
雌側弁体25の外周面のうち、雌側筒体11の封止口12b側の部位には、雌側弁体25の周方向の全体にわたる突溝である外側シール溝26が形成されている。この外側シール溝26は、雌側筒体11の内径と略同じ外径を有している。また、雌側弁体25の内周面のうち、雌側筒体11の封止口12b側には、これもまた雌側弁体25の周方向の全体にわたる突溝である内側シール溝27が出形成されている。さらにまた、雌側弁体25の内周面のうち、雌側筒体11の差込み口12a側には、これもまた雌側弁体25の周方向の全体にわたる突溝である内側シール溝28が出形成されている。これら上下一対の内側シール溝27,28は、雌側押圧部15の外径と同じ内径を有しており、内側シール溝28は、その内側面によって雌側開口29を形成している。そして、雌側弁体25は、雌側筒体11内の空間のうち弁押体13と雌側弁体25とによって画定される空間30の容積を増減させながら軸線方向Aに変位する。
【0030】
また、外側シール溝26の溝内には、雌側筒体11の内側面11aに圧接する環状のシール部材31が装着されている。また、内側シール溝27,28の溝内には、雌側押圧部15の外側面に圧接する環状のシール部材32,33がそれぞれ装着されている。雌側弁体25の外側シール溝26及び内側シール溝27に装着されたシール部材31,32は、それぞれ雌側筒体11の内側面11a及び雌側押圧部15の外側面15aに圧接して上記空間30を密閉する。また、内側シール溝28に装着されたシール部材33は、雌側押圧部15の外側面15aに圧接する。
【0031】
そして、上述した連通路21が軸線方向Aにおいて内側シール溝27と内側シール溝28との間にあるときは、上述したシール部材33のシール機能により、流路17に収容された液体が雌側弁体25内から漏れ出すことがない。これに対して、連通路21が軸線方向Aにおいて内側シール溝28よりも下側にあるとき、流路17に収容された液体が連通路21を介して雌側弁体25の外側に流れることとなる。
【0032】
雌側筒体11の内部のうち、弁押体13と雌側弁体25とで挟まれる空間30内には、弁押体13の鍔部14に一端が支持されたコイルばね35が収容されている。このコイルばね35は、雌側弁体25を軸線方向Aに沿って差込み口12aに向けて付勢している。また、雌側筒体11の内周面のうち、軸線方向Aにおける略中央には、雌側筒体11の周方向の全体にわたり係止部36が突設されている。この係止部36は、雌側弁体25の外側シール溝26と係合することにより、雌側弁体25の差込み口12a側への変位を規制する。なお、係止部36によって雌側弁体25が係止された状態で、該雌側弁体25の差込み口12a側の端面である被押圧面25aから雌側押圧部15の押圧先端部18が突出するように、係止部36は形成されている。
【0033】
本実施形態では、雌側筒体11において、差込み口12aからこの係止部36までの部位が差込み部に相当する。また、雌側弁体25が取り得る位置のうち、雌側弁体25の外側シール溝26が上記係止部36と係合する位置を閉弁位置という。また、雌側弁体25が取り得る位置のうち、雌側弁体25の被押圧面25aが連通路21よりも封止口12b側に配置される位置を開弁位置という。
【0034】
(雄部材)
雄部材40は、両端が開口した略円筒形状をなして軸線方向Aに沿って延びる雄側筒体41を有している。雄側筒体41は、その外側面41aが雌側筒体11の内側面11aを摺動可能なかたちに形成されており、その内部には流路42が形成されている。また、雄側筒体41には、該雄側筒体41よりも小さな径で形成された円筒形状をなして図示しない外部の配管が接続される雄側接続部43と、雄側筒体41と雄側接続部43とを連結する縮径部44とが一体形成されている。
【0035】
雄側筒体41における一方の筒端には、狭窄された筒開口を有する円環状の雄側押圧部46が一体形成されている。雄側押圧部46における上側の端面には、雌側弁体25の被押圧面25aと相似形である押圧面46aが形成されている。そして、雄部材40が雌部材10に差し込まれると、雄側押圧部46の端面である押圧面46aが雌側弁体25の被押圧面25aを押圧する。さらに、この押圧面46aが雌側筒体11の係止部36と係合することによって、雌部材10への雄部材40の差し込みが規制される。
【0036】
雄側押圧部46には、雌側押圧部15の外径と略同じ内径を有し雄側筒体41の内径に対して狭窄された雄側開口47が軸線方向Aに沿って貫通している。また、雄側押圧部46側の外側面41aには、該外側面41aの周方向の全体にわたる環状の溝部が形成され、また雄側開口47の内側面にも、該内側面の周方向の全体にわたる環状の溝部が形成されている。これら雄側押圧部46に形成された2つの溝部には、それぞれ環状の外側シール部材48と、第2シール部材である同じく環状の内側シール部材49とが装着されている。
【0037】
雄側筒体41の内部には、軸線方向Aに沿って延びる支持部51が縮径部44の内周面に連結され、また支持部51の上端には、軸線方向Aに延びる有底筒状のケース体52が連結されている。ケース体52の先端部には、狭窄された開口を有する円環状の案内部55が形成されている。案内部55の内側面には、案内部55の周方向の全体にわたる環状の凸溝が形成され、該凸溝の内部には、断面U字型に形成された第3シール部材である環状のシール部材63が装着されている。そして、シール部材63の内部には、案内部55の内径と略同じ外径を有して軸線方向Aに沿って延びる有蓋円筒形状の雄側弁体53が、同じく軸線方向Aに沿って摺動可能に内挿されている。
【0038】
雄側弁体53の頂面53bには、雌側押圧部15の押圧先端部18が嵌合可能な凹部60が凹設されている。凹部60の内径は、押圧先端部18の外径よりも若干大きく、押圧先端部18が凹部60にて軸線方向Aに摺動可能な大きさである。また、凹部60の深さは、押圧先端部18における軸線方向Aの長さと略等しく、押圧先端部18が凹部60に収容された状態で、凹部60の底面60aと押圧先端部18の押圧面18aとが当接し、且つ雄側弁体53の頂面53bと雌側押圧部15の段差部20とが当接する大きさである。
【0039】
雄側弁体53の外側面53aにおける下端には、雄側弁体53における周方向の全体にわたり径方向の外側に突出する係止片57が形成されている。また、ケース体52の内部のうち、ケース体52内の底部と凹部60の底部との間には、ケース体52に支持されたコイルばね56が収容されている。コイルばね56の付勢は、該コイルばね56が自然長にある状態で、雄側弁体53の頂面53bと雄側押圧部46の押圧面46aとが面一になるように設定されている。そして、雄側弁体53は、雄側筒体41内の空間のうち、雄側弁体53とケース体52とによって画定される空間65の容積を増減させながら軸線方向Aに変位する。なお、コイルばね56の急激な付勢による雄側開口47側への雄側弁体53の変位は、雄側弁体53の係止片57が案内部55に当接することにより規制される。
【0040】
本実施形態では、雄側弁体53が取り得る位置のうち、コイルばね56が自然長である雄側弁体53の位置を閉弁位置という。一方、雄側弁体53が取り得る位置のうち、雄側弁体53の頂面53bが雄側筒体41の内部にある位置であって、且つ雄側弁体53の頂面53bが案内部55の凸溝内にある位置を開弁位置という。
【0041】
なお、雄側押圧部46に装着された内側シール部材49は、閉弁位置に配置されている雄側弁体53の外側面53aに圧接する。これにより、雄側弁体53が閉弁位置に配置される状態において、雄側押圧部46と雄側弁体53との隙間から流路42に異物が混入すること、流路42に滞留している液体が当該隙間から外部に漏れ出すことを抑えることができる。
【0042】
(作用)
次に、上述した構成の管継手1の作用のうち、雌部材10に雄部材40が差込まれるときの作用について、図2及び図3を参照しながら説明する。
【0043】
まず、図2に示されるように、雌部材10の差込み口12aと雄部材40の雄側押圧部46とが軸線方向Aで対向するように配置される。そして、差込み口12aを通じて雌部材10に雄部材40が差し込まれると、雄側筒体41の雄側筒体41が雌側筒体11の内側面11aを摺動して雄側押圧部46の押圧面46aと雌側弁体25の被押圧面25aとが当接する。また、雌側押圧部15の押圧先端部18が雄側弁体53の凹部60に収容されて、押圧先端部18の押圧面18aと凹部60の底面60aとが当接するとともに、雌側押圧部15の段差部20と凹部60の側壁61とが当接する。この際、押圧先端部18に装着されたOリング19は、押圧先端部18と凹部60の側壁61とに圧接して押圧先端部18の押圧面18aと凹部60の底面60aとの隙間をシールする。
【0044】
この状態から雄部材40がさらに差し込まれると、雄側押圧部46は、コイルばね35の付勢力に抗して雌側弁体25を押圧し、雌側開口29内で雌側押圧部15を摺動させながら、閉弁位置にある雌側弁体25を雌側筒体11の封止口12b側に向かって変位させる。また、雌側押圧部15は、コイルばね56の付勢力に抗して雄側弁体53を押圧し、雄側押圧部46に形成された雄側開口47内で雌側押圧部15を摺動させながら、また案内部55に雄側弁体53を摺動させながら、閉弁位置にある雄側弁体53をケース体52の底部に向かって変位させる。
【0045】
そして、図3に示されるように、雄側押圧部46と雌側筒体11の内側面11aに突設された係止部36とが係合する位置まで雄部材40が差し込まれると、雌側弁体25及び雄側弁体53がともに開弁位置に配置されて雌部材10と雄部材40とが連結状態となる。この際、雌側押圧部15に形成された連通路21は、雌側開口29及び雄側開口47を通じて雄側筒体41の内部に配置される。これにより、雌部材10の流路17は、連通路21を通じて雄部材40の流路42と互いに連通し、例えば図3に矢印で示すように液体の流通が可能となる。
【0046】
雌部材10と雄部材40とが連結状態であるとき、案内部に装着されたシール部材63は、凹部60の側壁61と雌側押圧部15の段差部20とに跨るように配置されるとともに、これらに圧接して凹部60の側壁61と雌側押圧部15の段差部20との隙間をシールする。すなわち、流通している液体が凹部60の側壁61と雌側押圧部15の段差部20との隙間に入り込むこと、ケース体52の内部に入り込むこと、それらを抑えることができる。また、押圧先端部18の押圧面18aと凹部60の底面60aとの隙間に液体が入り込むことを抑えることもできる。
【0047】
また、雄側押圧部46の雄側開口47に装着された内側シール部材49は、雌側押圧部15に圧接して雌側弁体25の被押圧面25aと雄側押圧部46の押圧面46aとの間をシールする。これにより、流通している液体が、雌側弁体25の被押圧面25aと雄側押圧部46の押圧面46aとの隙間に入り込むことを抑えることができる。
【0048】
また、雄側押圧部46の外側に装着されている外側シール部材48は、雌部材10に雄部材40が差し込まれている期間、雌側筒体11の内側面11aに圧接して、雄側押圧部46の押圧面46aと雄側筒体41の外側面41aとの間をシールする。これにより、たとえ雌側弁体25の被押圧面25aと雄側押圧部46の押圧面46aとの隙間に液体が入り込んでしまっても、その液体が雌側筒体11と雄側筒体41の雄側筒体41との隙間を通じて外部に漏れ出すことを抑えることができる。
【0049】
一方、雌部材10と雄部材40との連結を解除する際には、雌部材10から雄部材40を引き抜く。この際、雌側弁体25は、コイルばね35の付勢力によって、雌側筒体11の内側面11a及び雌側押圧部15の外側面15aを摺動しながら閉弁位置へと変位する。また、雄側弁体53は、コイルばね56の付勢力によって、凹部60に押圧先端部18を収容したまま雄側押圧部46の雄側開口47を摺動して閉弁位置へと変位する。ここで、雄側弁体53が閉弁位置に変位する際、弁押体13の雌側押圧部15が雄側押圧部46の雄側開口47内を摺動するため、雌側押圧部15に形成された連通路21が雌側弁体25の被押圧面25aと雄側押圧部46の押圧面46aとの当接部分を通過することになる。しかしながら、その通過時間は僅かな時間である。そのため、連通路21を通じて雌側弁体25の被押圧面25aと雄側押圧部46の押圧面46aとの隙間に液体が入り込んでしまったとしても、その量は、内側シール部材49が設けられていない構成の雄部材40と雌部材10とが連結状態にあるときに比べれば非常に少ない量である。
【0050】
以上説明したように、本実施の形態に係る管継手1によれば、以下列記するような効果が得られるようになる。
(1)雄側弁体53には、雄側弁体53を押圧する押圧先端部18を収容する凹部60が凹設されている。また、その押圧先端部18には、凹部60に収容されることによって凹部60の側壁61に圧接するOリング19が装着されている。こうした構成によれば、雌部材10と雄部材40とが連結状態にあるとき、流通している液体が押圧先端部18の押圧面18aと凹部60の底面60aとの隙間に入り込むことを抑えることができる。それゆえ、雌部材10と雄部材40との連結が解除されたときに、押圧先端部18の押圧面18a及び凹部60の底面60aに液体が付着していることを抑えることができる。
【0051】
(2)また、凹部60に押圧先端部18が収容されることによって、押圧先端部18の押圧面18aと凹部60の底面60aとの隙間がOリング19によってシールされる。こうした構成によれば、押圧先端部18が凹部60に嵌め込まれることによって、凹部60の側壁61の位置とOリング19の位置とが整合することになる。それゆえに、雌部材10と雄部材40とが連結する際の初動において、側壁61とOリング19との位置合わせが間接的に行われることとなる。その結果、側壁61とOリング19との位置合わせを別途行うことが不要であることから、雄部材40の抜き差しを容易に行うことができる。
【0052】
(3)弁押体13の雌側押圧部15は、雄側開口47内を摺動可能に形成されている。また、その雄側開口47には、雌側押圧部15の外側面15aに圧接する内側シール部材49が装着されている。こうした構成によれば、雌部材10と雄部材40とが連結状態にあるとき、流通している液体が雌側弁体25の被押圧面25aと雄側押圧部46の押圧面46aとの隙間に液体が入り込むことを抑えることができる。それゆえ、雌部材10と雄部材40との連結が解除されたときに、雌側弁体25の被押圧面25a及び雄側押圧部46の押圧面46aに液体が付着していることを抑えることができる。
【0053】
(4)雄側弁体53の外径が雌側押圧部15の外径と略等しいことから、内側シール部材49は、雄側弁体53が閉弁位置にあるときには雄側弁体53に圧接し、雄側弁体53が開弁位置にあるときには弁押体13の雌側押圧部15に圧接する。
【0054】
こうした構成によれば、雌部材10と雄部材40とが非連結状態にあるとき、雄側押圧部46と雄側弁体53との隙間から流路42に異物が混入すること、雄部材40の流路42に満たされた液体が当該隙間から外部に漏れ出すことを抑えることができる。すなわち、内側シール部材49が、雌部材10と雄部材40とが連結状態にあるときと非連結状態にあるときとで異なる機能を果たすため、雄側押圧部46及び雌側弁体25への液体の付着を抑えるうえで、雄部材40を構成する部材点数が増加することを抑えることができる。
【0055】
(5)案内部55には、雌部材10と雄部材40とが連結状態にあるときに、凹部60の側壁61と雌側押圧部15の段差部20とに跨るシール部材63が装着されている。こうした構成によれば、雌部材10と雄部材40とが連結状態にあるとき、流通している液体が凹部60の側壁61と雌側押圧部15の段差部20との隙間に入り込むことを抑えることができる。それゆえ、雌部材10と雄部材40との連結を解除したときに、雌側押圧部15の段差部20及び雄側弁体53の頂面53bに液体が付着していることを抑えることができる。
【0056】
(6)また、押圧先端部18の押圧面18aと凹部60の底面60aとの隙間に液体が入り込むことをさらに抑えることができる。
(7)さらに、シール部材63は、雌部材10と雄部材40とが非連結状態にあるときには、雄側弁体53の外側面53aに圧接する。これにより、雄部材40の流路42にある液体がケース体52内に形成された空間65に入り込むことを抑えることができる。この空間65は、雄側弁体53が変位する際にその容積が増減する空間であって、雄部材40の組み立て完了時には空気で満たされている。すなわち、上記シール部材63によって空間65に液体が入り込むことが抑えられることによって、雄側弁体53は、主に圧縮性を有する空気で満たされた空間65の容積を増減させながら変位することになる。その結果、空間65が非圧縮性の液体で満たされている場合に比べて、雌部材10と雄部材40とを連結する際、あるいは雌部材10と雄部材40との連結を解除する際に必要な力を低減することができる。
【0057】
(8)雌側弁体25は、雌側筒体11と弁押体13と雌側弁体25とによって画定されてシール部材31,32によって密閉された空間30の容積を増減させながら変位する。
こうした構成によれば、上記(7)と同様に、空間30に液体が入り込むことが雌部材10と雄部材40とを連結する際、あるいは雌部材10と雄部材40との連結を解除する際に必要な力を低減することができる。
【0058】
なお、上記実施の形態は、以下のような態様をもって実施することもできる。
・シール部材63が割愛されてもよい。こうした構成であっても、上記(1)〜(3)に記載した効果に準ずる効果を得ることができる。
【0059】
・雄側弁体53の外径が雌側押圧部15の外径と等しい径で形成されていることから、雌部材10と雄部材40とが連結状態にあるときには、内側シール部材49が雌側押圧部15の外側面15aに圧接する。また、雌部材10と雄部材40とが非連結状態にあるときには、その内側シール部材49が雄側弁体53の外側面53aに圧接する。
【0060】
これに限らず、押圧先端部18が割愛されて雌側押圧部15が雄側弁体53を押圧する構成のように、雄側弁体53の外径が雌側押圧部15の外径より大きい構成であってもよい。この際、雄側押圧部46には、押圧面46a側で縮径された多段状の雄側開口部が形成されるとともに、多段状の雄側開口部における小径部には、弁押体13の雌側押圧部15に圧接するシール部材が装着され、且つ当該雄側開口部における大径部に雄側弁体53に圧接するシール部材が装着される。
【0061】
こうした構成であれば、非連結状態において雄側押圧部46と雄側弁体53との隙間から流路42に異物が混入すること、雄部材40の流路42に満たされた液体が当該隙間から外部に漏れ出すことを抑えたうえで、上記(1)(2)に記載した効果に準ずる効果を得ることができる。
【0062】
・雄側開口47は、雌側押圧部15の外径と押圧先端部18の外径との違いに関わらず、これら雌側押圧部15と押圧先端部18とが挿通可能な大きさを有していればよい。その際、雌側押圧部15が雄側開口47にて摺動しない場合には、雌側弁体25の被押圧面25aと雄側押圧部46の押圧面46aとの隙間をシールすることが困難であるものの、上記(1)に記載した効果に準ずる効果を得ることができる。
【0063】
・雌部材10の流路17は、雌側接続部16に連通していればよく、弁押体13の内部に限らず、従来例のように弁押体13の周りに形成されてもよい。こうした構成であっても、上記(1)に記載した効果に準ずる効果を得ることができる。
【0064】
・雄側弁体53の外径と略等しい内径を有した凹部が押圧先端部18に形成されるとともに、雄部材40が雌部材10に差し込まれる際に、押圧先端部18の凹部に雄側弁体53が嵌め込まれる構成であってもよい。この際、押圧先端部18の外径は、雌側押圧部15の外径と同じであってもよいし互いに異なる大きさであってもよい。こうした構成であっても上記(1)に記載した効果に準ずる効果を得ることができる。
【0065】
・Oリング19の装着される位置は、押圧先端部18の押圧面18aと凹部60の底面60aとの隙間がシールされる構成であれば、雄側弁体53の凹部60であってもよい。
・雌側弁体25において、外側シール溝26に装着されたシール部材31と内側シール溝27に装着されたシール部材32との少なくとも一方が割愛されてもよい。こうした構成であっても、上記(1)〜(4)に記載した効果に準ずる効果を得ることができる。
【0066】
・有底円筒形状のケース体52は、支持部51によって雄側筒体41に対して固定されて、その底部でコイルばね56の一端を支持するとともに、その先端部に案内部55が形成されている。これに限らず、例えば、コイルばね56の一端を支持する支持部を支持部51で固定するとともに雄側筒体41に固設された連結部材に案内部55を連結することによってケース体52が割愛されるような構成であってもよい。
【符号の説明】
【0067】
A…軸線方向、MP…配管部材、1…管継手、10…雌部材、11…雌側筒体、11a…内側面、12a…差込み口、12b…封止口、13…弁押体、14…鍔部、15…雌側押圧部、15a…外側面、16…雌側接続部、17…流路、18…押圧先端部、18a…押圧面、19…Oリング、20…段差部、21…連通路、25…雌側弁体、25a…被押圧面、26…外側シール溝、27…内側シール溝、28…内側シール溝、29…雌側開口、30…空間、31,32,33…シール部材、35…コイルばね、36…係止部、40…雄部材、41…雄側筒体、41a…外側面、42…流路、43…雄側接続部、44…縮径部、46…雄側押圧部、46a…押圧面、47…雄側開口、48…外側シール部材、49…内側シール部材、51…支持部、52…ケース体、53…雄側弁体、53a…外側面、53b…頂面、55…案内部、56…コイルばね、57…係止片、60…凹部、60a…底面、61…側壁、63…シール部材、65…空間、100…管継手、110…雄部材、111…雄側筒体、111A…雄側押圧部、111B…雄側基部、112…内側面、112A…雄側弁座、112B…雌ねじ部、113…スパイダー、113a…弁体通路、113b…案内スリーブ、113c…流路、114…雄側弁体、115…軸部、116…弁体先端部、117…雄側ばね、120…雌部材、121…雌側筒体、121A…差込み部、121B…雌側基部、122…内側面、122A…差込み口、122B…雌ねじ部、123…支持部、123c…流路、124…雌側弁座、125…受け部、125a…環状シール、126…雌側弁体、127…ばね。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
狭窄した筒開口である雄側開口を雄側筒端に有した雄側筒体内にて前記雄側開口に向けて付勢された雄側弁体を有した雄部材と、
前記雄側筒体の差し込み可能な差込み部を有した雌側筒体と、前記雌側筒体の軸方向に延びる柱状をなし前記雌側筒体内に配置され、前記差込み部とは反対側の端部で前記雌側筒体に固定された雌側押圧部と、前記雌側押圧部が内挿される筒開口である雌側開口を有し、前記雌側筒体と前記雌側押圧部との間の環状の隙間を前記差込み部にて塞ぐ筒状をなして前記差込み部に向けて付勢された雌側弁体と、を有した雌部材と、
を備え、
前記雄側筒体が前記差込み部に差し込まれた状態で、前記雌側押圧部が前記雄側開口を通じて前記雄側弁体を前記雄側筒体内に押し込み、且つ前記雄側筒端が前記差込み部を通じて前記雌側弁体を前記雌側筒内に押し込むことによって、前記雄側開口と前記雌側開口とを通して互いに連通する管継手において、
前記雌側押圧部及び前記雄側弁体の少なくとも1つには、前記雌側押圧部が前記雄側弁体を押圧している状態で前記雌側押圧部と前記雄側弁体とに圧接して、前記雌側押圧部と前記雄側弁体との隙間をシールする環状の第1シール部材が備えられていることを特徴とする管継手。
【請求項2】
前記雌側押圧部の先端及び前記雄側弁体の先端のいずれか一方には、前記雌側押圧部が前記雄側弁体を押圧している状態で、他方と嵌合する凹部が形成されている
請求項1に記載の管継手。
【請求項3】
前記雌側押圧部は、
前記差込み部側が閉じられて前記雌側筒体の軸方向に延び、前記雌部材の流路が内部に形成された管であり、前記管の周壁を貫通するとともに前記雌側筒体に前記雄側筒体が差し込まれた状態では前記雄側筒体内に配置される横穴である連通路を有し、
前記雄側筒端の内側面には、
前記雌側筒体に前記雄側筒体が差込まれた状態で、前記雄側筒端に貫挿された前記雌側押圧部の外側面と前記雄側筒端の内側面とに圧接して、前記雄側筒端と前記雌側弁体との隙間をシールする環状の第2シール部材が備えられている
請求項1または2に記載の管継手。
【請求項4】
前記第2シール部材は、
前記雄側弁体が前記雄側開口を塞いでいる状態で、前記雄側弁体の外側面と前記雄側筒端の内側面とに圧接して、前記雄側筒体の内部を前記雄側筒体の外部に対してシールする
請求項3に記載の管継手。
【請求項5】
前記雄部材は、
前記雄側弁体を摺動可能に案内するとともに、前記雌側押圧部の先端により前記雄側弁体が前記雄側筒体内に押し込まれた状態では、前記雄側弁体ともども前記雌側押圧部の先端が押し込まれている筒状の案内部を有し、
前記案内部の内側面には、
環状の第3シール部材が取付けられ、
前記第3シール部材は、
前記雌側押圧部の先端により前記雄側弁体が前記雄側筒体内に押し込まれた状態で、前記雄側弁体の外側面と前記雌側押圧部の外側面とに跨る位置に配置され、前記雄側弁体の外側面及び前記雌側押圧部の外側面と前記案内部の内側面とに圧接して、前記雄側弁体と前記雌側押圧部の先端との隙間をシールする
請求項4に記載の管継手。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−2531(P2013−2531A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−133386(P2011−133386)
【出願日】平成23年6月15日(2011.6.15)
【出願人】(000135209)株式会社ニフコ (972)
【Fターム(参考)】