管被覆切断具
【課題】 外周面に長手方向に沿って環状溝21aを形成してある蛇腹管21の外周面を軟質樹脂で被覆してある被覆管20の被覆膜22を、環状溝21aに沿って切断する切断刃5を備え、その厚み方向を被覆管20の軸芯P方向に沿わせた状態で被覆管20を切断刃5に向けて受入自在な開端部4aが一端側に形成されて、互いに弾性的に離間自在な挟持片部4を開端部4aに対向配置してある管保持部3を、被覆管20の軸芯P周りに回転することで、被覆膜22を周方向に切断する管被覆切断具について、被覆管を安定保持しながら、管保持部に無理な力の及ばないようにする。
【解決手段】 挟持片部4を、夫々2分割して夫々独立して弾性的に離間自在な分割挟持片部6を形成し、分割した分割挟持片部6同士の間に間隙を設けて、夫々弾性的に近接離間自在にしてある。
【解決手段】 挟持片部4を、夫々2分割して夫々独立して弾性的に離間自在な分割挟持片部6を形成し、分割した分割挟持片部6同士の間に間隙を設けて、夫々弾性的に近接離間自在にしてある。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は外周面に長手方向に沿って間隔を空けて環状溝を形成してある蛇腹管の前記外周面を軟質樹脂で被覆してある被覆管に対してその軟質樹脂製の被覆膜を前記環状溝に沿って切断する管被覆切断具に関し、詳しくは、その軟質樹脂製の被覆膜を前記環状溝に沿って切断する切断刃を備え、その厚み方向を前記被覆管の軸芯方向に沿わせた状態で前記被覆管を前記切断刃に向けて受入自在な開端部が一端側に形成され、且つ、互いに弾性的に離間自在な挟持片部を前記開端部に対向配置してある管保持部を設け、前記被覆管を前記管保持部内に挟持して、前記軸芯周りに前記管保持部を回転することで、前記被覆膜を周方向に切断する管被覆切断具に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、上記管被覆切断具においては、例えば図10に示すように、外周面に長手方向に沿って間隔を空けて環状溝21aを形成してある蛇腹管21の前記外周面を軟質樹脂で被覆してある被覆管20に対して、その軟質樹脂製の被覆膜22を前記環状溝21aに沿って切断する切断刃5を備え、その厚み方向を前記被覆管20の軸芯P方向に沿わせた状態で前記被覆管20を前記切断刃5に向けて受入自在な開端部4aが一端側に形成され、且つ、互いに弾性的に離間自在な挟持片部4を前記開端部4aに対向配置してある管保持部3を設け、前記被覆管20を前記管保持部3内に挟持して、前記軸芯P周りに前記管保持部3を回転することで、前記被覆膜22を周方向に切断するように構成してあった。前記把持部2には、両側に前記保持部3を設けてあり、両側の前記管保持部3内に突出し、前記被覆膜22の上から前記蛇腹管21の環状溝21a内に進入自在な案内突起11を形成して、前記案内突起11により前記切断刃5を前記環状溝21aに位置合わせして、前記被覆膜22内方の前記蛇腹管21に当接して、前記蛇腹管21を損傷したり、前記切断刃5自身が折損したり、前記被覆膜22外周に沿う切れ目が、螺旋状になったり、一周後に食い違ったりすることを防止してある。前記切断刃5は、本体を構成する把持部2に、前記管保持部3に臨ませて、前記案内突起11によって相対的に位置決めされた前記被覆管20に対して、前記被覆膜22に切り込むように配置してあり、前記挟持片部4は、前記把持部2から前記管保持部3の両側に延出し、前記把持部2の厚み方向に夫々一体に形成されていた(同図(ロ)参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記従来構成の管被覆切断具においては、図10に示した例のように、前記挟持片部4が前記管保持部3の両側方に夫々一体に形成されていたから、この切断具を被覆管20に取り付け、或いは取り外す際に、例えば図11に示すように、例えば取り外す際に、梃子の原理を利用するために、前記管保持部3を中心として前記被覆管20の軸芯P方向に向けて回して、前記開端部4aが前記被覆管20に軸芯Pに対して斜めになるようになった場合には、前記把持部2の開端部4a側に捻れが生じ(同図(ロ)参照)、前記挟持片部4に無理な力が加わる結果、前記挟持片部4の付け根に損傷をもたらす場合があった。また、例えば図12に示すように、前記被覆管20が曲管である場合には、前記環状溝21aのピッチが前記被覆管20の曲率半径の内外位置で異なる。そこで、前記案内突起11を前記挟持片部4に、前記厚み方向の複数位置に形成して、複数の環状溝21aに嵌入可能とすれば、前記案内突起11が前記環状溝21aから外れた位置に嵌入するようになり、前記被覆膜22に前記被覆管20の長さ方向への力を作用させるようになる場合が生ずる結果、安定して前記被覆管20を前記管保持部3内に保持することに無理が生ずることになる。
【0004】そこで、本発明の目的は、安定して被覆管を保持しながら、管保持部に無理な力の及ばない管被覆切断具を提供する点にある。
【0005】
【課題を解決するための手段】〔本発明の特徴構成〕請求項1に係わる本発明の管被覆切断具の特徴構成は、管保持部の挟持片部を、その切断具の厚み方向に2分割して分割挟持片部を形成し、対向する分割挟持片部を、夫々独立して弾性的に離間自在に構成してある(第1特徴構成)点にある。これを図1に示す例に沿って説明すれば、図示の例においては、把持部2から延出し、対向する挟持片部4を、夫々前記把持部2の厚み方向に2分割して分割挟持片部6を形成し、対向する前記分割挟持片部6を、夫々独立して弾性的に離間自在にしてある。
【0006】請求項2に係わる本発明の管被覆切断具の特徴構成は、上記第1特徴構成における分割挟持片部夫々に、被覆管の環状溝に向けて嵌入して、前記環状溝の位置を切断刃の位置に合わせつつ、前記被覆管を両挟持片部間に形成される保持空間内に案内する案内突起を前記挟持片部の開端部に設け、前記分割した分割挟持片部同士を、互いに弾性的に離間自在にしてある(第2特徴構成)点にある。これを図1に示す例に沿って説明すれば、図示の例においては、対向する挟持片部4を夫々把持部2の厚み方向に分割した分割挟持片部6夫々に、被覆管20の環状溝21aに向けて嵌入して、前記環状溝21aの位置を切断刃5の位置に合わせつつ、前記被覆管20を前記対向する両挟持片部4間に形成される保持空間内に案内する案内突起10を前記各分割挟持片部6の開端部4aに設け、前記分割した分割挟持片部6同士を、互いに弾性的に離間自在にしてある。
【0007】請求項3に係わる本発明の管被覆切断具の特徴構成は、上記第1特徴構成又は第2特徴構成において、分割した分割挟持片部の間に間隙を設けて、前記分割した分割挟持片部同士を、互いに弾性的に近接離間自在にしてある(第3特徴構成)点にある。これを図1に示す例に沿って説明すれば、図示の例においては、挟持片部4を把持部2の厚み方向に分割した分割挟持片部6の間に間隙を設けて、前記分割した分割挟持片部6同士を、互いに弾性的に近接離間自在にしてある。
【0008】〔特徴構成の作用及び効果〕上記本発明に係わる管被覆切断具の第1特徴構成によれば、たとえ管保持部内の被覆管が傾いて保持された状況となっても、挟持片部に無理な力が作用することを回避できる。つまり、分割挟持片部が個々に離間するから、前記被覆管の長さ方向で前記分割挟持片部間が異なる間隔となることが許容されて、前記挟持片部に捻れが加わることを回避できる。これを図1に示した例に沿って説明すると、図6R>6及び図7に示すように、対向する一方の挟持片部4Aを、一方の分割挟持片部6Aと他方の分割挟持片部6Bとに分割すると共に、他方の挟持片部4Bも、一方の分割挟持片部6Aと他方の分割挟持片部6Bとに分割して、対向する一方の分割挟持片部6Aの間の間隔と、対向する他方の分割挟持片部6Bの間の間隔が異なることを許容しているから、前記各分割挟持片部6に捻り力が作用することを抑制できて、この捻れによる損傷を招くことを防止できるのである。
【0009】上記本発明に係わる管被覆切断具の第2特徴構成によれば、上記第1特徴構成の作用効果を奏しながら、被覆管を保持空間の入り口側で切断刃に向けて位置合わせしながら間保持部内に誘導できるようになる。つまり、挟持片部の開端部に案内突起を設けて、被覆管の環状溝に嵌入させることで、確実に前記被覆管に対して切断刃の位置を合わせることができながら、例えば被覆管の曲管部においても、その曲率半径の外方で、前記環状溝のピッチが大きくなっていても、これに合わせて前記分割挟持片部同士の間隔を開くことで、前記案内突起の間隔を拡げて前記管状溝内に嵌入させれば、確実に前記管状溝と前記切断刃との位置合わせをできるのである。これを図1に示した例に沿って説明すると、例えば図8に示すように、被覆管20を曲がり部の外方から管保持部3内に導入する場合に、挟持片部4を分割した分割挟持片部6の間を開いて、案内突起10を前記被覆管20の環状溝21aに合わせることで、確実に位置合わせしながら前記被覆管20を保持空間内に導入でき、管保持部3に保持された状態では、切断刃5は、前記環状溝21aに位置合わせされているのである。
【0010】上記本発明に係わる管被覆切断具の第3特徴構成によれば、上記第1特徴構成又は第2特徴構成の作用効果を奏しながら、被覆管の曲がり部においても、姿勢を問わず位置合わせできる。つまり、被覆管の曲がり部における曲率半径の内側では環状溝のピッチが直管部よりも小さくなっているのに対して、分割した分割挟持片部に間隙を設けてあるから、この分割挟持片部同士が弾性的に近接することによって、案内突起を環状溝に嵌入させた状態を維持できるのである。これを図1に示した例に沿って説明すると、例えば図9に示すように、被覆管20の曲がり部において、対向する一方の挟持片部4Aが前記曲がりの内側に位置し、他方の挟持片部4Bが前記曲がりの外側に位置する場合でも、前記一方の挟持片部4Aの側では、これを分割した分割挟持片部6A,6Bに設けられた案内突起10がピッチの小さくなった環状溝21a内に夫々嵌入した状態で、両分割挟持片部6A,6Bは相互に弾性的に接近し、前記他方の挟持片部4Bの側では、これを分割した分割挟持片部6A,6B同士が相互に弾性的に離間して、ピッチの大きくなった環状溝21aに案内突起10が夫々嵌入した状態で、被覆管20に対する前記切断刃5の位置を定めるようになる。
【0011】尚、上記の本発明の課題を解決するための手段の説明において、図面を参照し、図面との対照を便利にするために符号を記したが、上記図面の参照及び符号の記入により本発明が参照図面他添付図面の構成に限定されるものではない。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係わる管被覆切断具の実施の形態の一例について図面を参照しながら説明する。図1は本発明に係る管被覆切断具の一例を示す斜視図であり、図2はその把持部の正面視した縦断面図であり、図3は上下分割した管被覆切断具の分解斜視図である。尚、図10乃至図12に関して説明した点については、これに示したと同一の要素或いは同様の機能を果たす要素に関しては、同一或いは関連する符号を付して、詳細の説明の一部を省略する。
【0013】管被覆切断具は、図1に示すように、その厚み方向を前記被覆管20の軸芯P方向に沿わせた状態で前記被覆管20を切断刃5に向けて受入自在な開端部4aが一端側に形成され、且つ、その開端部4aが互いに弾性的に離間自在な挟持片部4を対向配置してある管保持部3を把持部2の両側に設け、前記被覆管20を保持空間内に挟持して、前記軸芯P周りに前記管保持部3を回転することで、前記被覆膜22を周方向に切断するものである。前記把持部2の両側に設けた各管保持部3は、その保持空間の大きさを変え、二種類のサイズの被覆管20に対応できるようにしてある。この管被覆切断具を形成する材料としては、ナイロン66、ポリプロピレン樹脂、ポリアセタール樹脂等が、その適度の柔軟性、曲げに対する強度、耐久性、耐候性、単位重量等、取り扱い上の要件を満たすものとして好適に用いられる。
【0014】図3に示すように、管被覆切断具1は、前記厚み方向に重ね合わせた一方の第一分割切断具1Aと他方の第二分割切断具1Bとの一対の分割切断具1A,1Bに分割形成してある。そして、図2に示すように、前記被覆管20の被覆膜22を切断する切断刃5を、前記両分割切断具1A,1Bを相互に重ね合わせた境界部に介在させてあり、前記挟持片部4が前記厚み方向に分割して形成される両分割挟持片部6の境界部は、夫々外面側からの高さを低くしてある。従って、前記両分割切断具1A,1Bを合体した状態で、前記分割挟持片部6の境界部には間隙が形成される(図1参照)。
【0015】前記両挟持片部4を夫々分割して形成した一方の分割挟持片部6Aと他方の分割挟持片部6B(何れも分割挟持片部6)は、夫々対向するもの同士(対向する一方の分割挟持片部6A同士、及び対向する他方の分割挟持片部6B同士)の間で、独立して弾性的に離間自在に(図7(ロ)参照)、さらに、前記分割した一方の分割挟持片部6Aと他方の分割挟持片部6Bとの間で、分割したもの同士(一方の挟持片部4Aを分割した分割挟持片部6同士、及び他方の挟持片部4Bを分割した分割挟持片部6同士)が互いに弾性的に近接離間自在に(図9参照)してある。そして、前記分割挟持片部6夫々に、前記被覆管20の前記環状溝21aに向けて嵌入して、前記環状溝21aの位置を前記切断刃5の位置に合わせつつ、前記被覆管20を前記両挟持片部4間に形成される保持空間内に案内する案内突起10を前記開端部4aに設けてある。また、前記被覆管20を前記保持空間内に保持した状態で、前記環状溝21a内に嵌入して前記切断刃5の位置を前記環状溝21a内に維持する別の案内突起11を、前記切断刃5の両側部に設けてある。
【0016】図3に示すように、前記切断刃5は、中央部に長穴5aを貫通させて短冊形に形成された刃物鋼板の両端部を斜めにカットして刃研ぎしたものである。前記第一分割切断具1Aには、その対向面1a上に平行して突出形成し、安全板9の幅方向の移動を規制する、対向側面14aを平面で構成した二本の突条部14を設けてあり、それらの間の刃物載置面15に突出する刃物位置決め凸部15aを設けてある。また、前記第二分割切断具1Bには、安全板9を受け入れ可能に形成した安全板受入溝部16を形成してあり、その安全板受入溝部16に突出し、上面が平面に形成された平面視長円形の突出部17を設けてあり、前記突出部17には、前記刃物位置決め凸部15aを受け入れる凹部17aが形成されている。前記切断刃5は、前記刃物載置面15上で、前記刃物位置決め凸部15aに前記長穴5aを外嵌し、前記突出部17との間に挟持して位置固定される。前記安全板受入溝部16には、長穴9aを備える安全板9が、前記長穴9aを前記突出部17に外嵌した状態で長さ方向に前後移動自在に嵌装される。前記突出部17は、前記安全板9の前後移動範囲を所定範囲内に規制する役割も果たす。
【0017】夫々の分割挟持片部6の開端部4aには、前記挟持片部4の前記開端部4aに、前記被覆管20を前記保持空間内に受け入れるに際して、前記被覆管20の軸芯P方向に平坦に形成された導入面部13を対向形成して、前記案内突起10を、前記導入面部13の前記保持空間外方に対向形成されて、前記被覆管20を前記保持空間内に案内自在な導入突起部10aと、前記保持空間側に対向形成されて、前記別の案内突起11と同様に前記保持空間内に受け入れた前記被覆管20を位置決め自在な位置決め突起部10bとに分割形成してある。
【0018】上記管被覆切断具の組み立ては、以下のようにして行う。先ず、前記第一分割切断具1Aの前記刃物位置決め凸部15aに、前記切断刃5の長穴5aを外嵌して、前記二本の突条部14の間に載置する。その切断刃5の上から、前記安全板9を、幅方向両側面を前記突条部14の対向側面14aに沿わせて載置する(図4参照)。その上から、前記突出部17を前記安全板9の長穴9a内に位置させ、且つ、安全板受入溝部16の両側壁を前記両突条部14の外側壁に沿わせて、前記第二分割切断具1Bを被せ、その対向面1aを前記第一分割切断具1Aの対向面1aに接当させる(図5参照)。この際、前記第一分割切断具1Aの分割挟持片部6と、前記第二分割切断具1Bの分割挟持片部6との間に間隙が形成される。前記突条部14の前記安全板受入溝部16への係入は、両分割切断具1A,1Bの位置合わせ手段でもある。以上のようにして両分割切断具1A,1Bの対向面1a同士を接当させて、境界部を位置ずれなく位置決めした後、ボルトナットを用いて両者を締結し、合体させる。
【0019】以上の構成により、上記本発明の管被覆切断具1は、二分割した両分割切断具1A,1Bの境界部の間で切断刃5を挟持するように構成してあるから、上述のように簡単に組み立てられ、しかも、切断刃5の交換に際して、両分割切断具1A,1Bを組み合わせるだけでよい。また、従来のように切断刃を組み付けるための深い溝を形成していないから、把持部2の断面積は小さくなっておらず、挟持片部4が繰り返し弾性変形しても、強度不足を招くことを回避し、その歪みに伴う応力を集中させることもない。さらに、各分割挟持片部6が縦方向横方向に弾性変形自在に構成してあるから、被覆管20の環状溝21aの間隔に変化があっても(図9参照)、また、前記被覆管20を前記分割挟持片部6の間に斜めに挟持する状態になっても(図6(ロ)参照)、前記各分割挟持片部6の個別の変形により対応できるようになる。また、前記分割挟持片部6の開端部4a側端部に隙間を形成してあるから、前記被覆管20の軸芯Pに直交する方向で、この隙間が切断刃5の位置に一致しており、その隙間を前記被覆管20を構成する蛇腹管21に形成された環状溝21aに位置合わせして、そのまま真っ直ぐに保持空間内に前記被覆管20を誘導すれば、前記切断刃5は確実に前記環状溝21aの位置に被さる被覆膜22を切断するようになる。さらに、例えば、図8に示すように、被覆管20の曲がり部において、その曲がりの側方から前記保持空間内に導入する場合であっても、一方の挟持片部4Aが前記曲がりの内側に位置し、他方の挟持片部4Bが前記曲がりの外側に位置する場合でも、前記一方の挟持片部4Aの側では、夫々に設けられた案内突起10がピッチの小さくなった環状溝21a内に嵌入した状態で、両分割挟持片部6A,6Bは弾性的に接近し、前記他方の挟持片部4Bの側では、両分割挟持片部6A,6B同士が弾性的に離間して、ピッチの大きくなった環状溝21aに案内突起10が夫々嵌入した状態で、被覆管20に対する前記切断刃5の位置を定めるようになる。
【0020】〔別実施形態〕
〈1〉上記実施の形態においては、各挟持片部4を分割した分割挟持片部6の間に間隙を形成してある例について説明したが、隙間のない状態で各挟持片部4を分割してあってもよい。例えば、図7に示すように、一方の分割挟持片部6Aの間の間隔と、他方の分割挟持片部6Bの間の間隔が異なることを許容しているから、前記各分割挟持片部6に捻り力が作用して、損傷を招くことは防止できる。また、図7に示したように、被覆管20を曲がり部の外方から管保持部3内に導入する場合に、挟持片部4を分割した分割挟持片部6の間を開いて、案内突起10を前記被覆管20の環状溝21aに合わせることで、確実に位置合わせしながら前記被覆管20を保持空間内に導入でき、管保持部3に保持された状態では、切断刃5は、前記環状溝21aに位置合わせされる。尚、図6乃至図8は何れも、両分割挟持片部6の間に隙間を設けてある例を示しているが、上記に関しては、この隙間がなくても同様である。
【0021】〈2〉以上は、切断具を第一分割切断具1Aと第二分割切断具1Bとに分割した例について説明したが、一体に形成して、挟持片部4のみを分割挟持片部6に分割してあってもよい。
【0022】〈3〉上記実施の形態においては、安全板9の幅方向の移動を規制する二本の突条部14と、その間に突出する刃物位置決め凸部15aとを前記第一分割切断具1Aに設け、前記二本の突条部14を受け入れ、且つ、安全板9を受け入れ可能な安全板受入溝部16と、前記安全板受入溝部16に突出する突出部17とを前記第二分割切断具1Bに設けて、前記安全板9を、前記切断刃5の前記第二分割切断具1Bの側にのみ配置する例について説明したが、前記二本の突条部14の間の刃物載置面15を深くして、前記安全板9を受け入れ可能な他の安全板受入溝部とし、その深くしたに相当する高さの、前記第二分割切断具1Bと同様の突出部を形成して、その突出部に刃物位置決め凸部15aを形成して、前記切断刃5の両側に前記安全板9を配置するようにしてもよい。
【0023】〈4〉上記実施の形態においては、安全板9の幅方向の移動を規制する二本の突条部14と、その間に突出する刃物位置決め凸部15aとの、何れも突出する部分を前記第一分割切断具1Aに設け、前記二本の突条部14を受け入れ自在な安全板受入溝部16と、前記刃物位置決め凸部15aを受け入れ自在な凹部17aとの、何れも凹入する部分を前記第二分割切断具1Bに設ける例について説明したが、上記〈3〉のように構成すると共に、前記第一分割切断具1Aの対向面上の幅方向の一方には、それらの突出部分を形成し、他方には、前記第二分割切断具1Bの凹入する部分を形成することで、これに対向する前記第二分割切断具1Bを前記第一分割切断具1Aと同一形状にすることができる。このようにすれば、両分割切断具1A,1Bを形成するための金型を一つにすることができる。
【0024】〈5〉上記実施の形態においては、安全板9を切断刃5に対して、第二分割切断具1Bの側に配置した例を示したが、前記安全板9は省略可能である。
【0025】〈6〉上記実施の形態においては、各分割挟持片部6の開端部4aに前記被覆管20の前記環状溝21aに向けて嵌入して、保持空間内に案内する案内突起10を設けてある例について説明したが、この分割挟持片部6に設けた案内突起10は省略可能である。先述のように、前記分割挟持片部6の間の合わせ目を目印として、これを前記被覆管20の環状溝21aに合わせることで、前記被覆管20を保持空間内に、位置決めした状態で導入することが可能である。
【0026】〈7〉上記実施の形態においては、この管被覆切断具を形成する材料として、ナイロン66、ポリプロピレン樹脂、ポリアセタール樹脂等が、取り扱い上の要件を満たすものとして好適に用いられるとして説明したが、この管被覆切断具を他の材料で形成してあってもよく、適度の柔軟性、曲げに対する強度、耐久性、耐候性、単位重量等、取り扱い上の要件を満たすものであればよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る管被覆切断具の使用中の例を示す斜視図
【図2】図1に示した例の保持部側から見た把持部の縦断面図
【図3】図1に示した管被覆切断具を説明する分解斜視図
【図4】図1に示した例の第一分割切断具を境界部から見た一部断面を示す平面図
【図5】図4に示したX−X方向に見た管保持部の縦断面図
【図6】図1に示した例の作用説明図
【図7】図1に示した例の作用説明図
【図8】図1に示した例の作用説明図
【図9】図1に示した例の作用説明図
【図10】従来の管被覆切断具を説明する断面図
【図11】図10に示した例の作用説明図
【図12】従来の管被覆切断具の他の例の作用説明図
【符号の説明】
3 管保持部
4 挟持片部
4a 開端部
5 切断刃
6 分割挟持片部
10 案内突起
20 被覆管
21 蛇腹管
21a 環状溝
22 被覆膜
P 被覆管の軸芯
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は外周面に長手方向に沿って間隔を空けて環状溝を形成してある蛇腹管の前記外周面を軟質樹脂で被覆してある被覆管に対してその軟質樹脂製の被覆膜を前記環状溝に沿って切断する管被覆切断具に関し、詳しくは、その軟質樹脂製の被覆膜を前記環状溝に沿って切断する切断刃を備え、その厚み方向を前記被覆管の軸芯方向に沿わせた状態で前記被覆管を前記切断刃に向けて受入自在な開端部が一端側に形成され、且つ、互いに弾性的に離間自在な挟持片部を前記開端部に対向配置してある管保持部を設け、前記被覆管を前記管保持部内に挟持して、前記軸芯周りに前記管保持部を回転することで、前記被覆膜を周方向に切断する管被覆切断具に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、上記管被覆切断具においては、例えば図10に示すように、外周面に長手方向に沿って間隔を空けて環状溝21aを形成してある蛇腹管21の前記外周面を軟質樹脂で被覆してある被覆管20に対して、その軟質樹脂製の被覆膜22を前記環状溝21aに沿って切断する切断刃5を備え、その厚み方向を前記被覆管20の軸芯P方向に沿わせた状態で前記被覆管20を前記切断刃5に向けて受入自在な開端部4aが一端側に形成され、且つ、互いに弾性的に離間自在な挟持片部4を前記開端部4aに対向配置してある管保持部3を設け、前記被覆管20を前記管保持部3内に挟持して、前記軸芯P周りに前記管保持部3を回転することで、前記被覆膜22を周方向に切断するように構成してあった。前記把持部2には、両側に前記保持部3を設けてあり、両側の前記管保持部3内に突出し、前記被覆膜22の上から前記蛇腹管21の環状溝21a内に進入自在な案内突起11を形成して、前記案内突起11により前記切断刃5を前記環状溝21aに位置合わせして、前記被覆膜22内方の前記蛇腹管21に当接して、前記蛇腹管21を損傷したり、前記切断刃5自身が折損したり、前記被覆膜22外周に沿う切れ目が、螺旋状になったり、一周後に食い違ったりすることを防止してある。前記切断刃5は、本体を構成する把持部2に、前記管保持部3に臨ませて、前記案内突起11によって相対的に位置決めされた前記被覆管20に対して、前記被覆膜22に切り込むように配置してあり、前記挟持片部4は、前記把持部2から前記管保持部3の両側に延出し、前記把持部2の厚み方向に夫々一体に形成されていた(同図(ロ)参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記従来構成の管被覆切断具においては、図10に示した例のように、前記挟持片部4が前記管保持部3の両側方に夫々一体に形成されていたから、この切断具を被覆管20に取り付け、或いは取り外す際に、例えば図11に示すように、例えば取り外す際に、梃子の原理を利用するために、前記管保持部3を中心として前記被覆管20の軸芯P方向に向けて回して、前記開端部4aが前記被覆管20に軸芯Pに対して斜めになるようになった場合には、前記把持部2の開端部4a側に捻れが生じ(同図(ロ)参照)、前記挟持片部4に無理な力が加わる結果、前記挟持片部4の付け根に損傷をもたらす場合があった。また、例えば図12に示すように、前記被覆管20が曲管である場合には、前記環状溝21aのピッチが前記被覆管20の曲率半径の内外位置で異なる。そこで、前記案内突起11を前記挟持片部4に、前記厚み方向の複数位置に形成して、複数の環状溝21aに嵌入可能とすれば、前記案内突起11が前記環状溝21aから外れた位置に嵌入するようになり、前記被覆膜22に前記被覆管20の長さ方向への力を作用させるようになる場合が生ずる結果、安定して前記被覆管20を前記管保持部3内に保持することに無理が生ずることになる。
【0004】そこで、本発明の目的は、安定して被覆管を保持しながら、管保持部に無理な力の及ばない管被覆切断具を提供する点にある。
【0005】
【課題を解決するための手段】〔本発明の特徴構成〕請求項1に係わる本発明の管被覆切断具の特徴構成は、管保持部の挟持片部を、その切断具の厚み方向に2分割して分割挟持片部を形成し、対向する分割挟持片部を、夫々独立して弾性的に離間自在に構成してある(第1特徴構成)点にある。これを図1に示す例に沿って説明すれば、図示の例においては、把持部2から延出し、対向する挟持片部4を、夫々前記把持部2の厚み方向に2分割して分割挟持片部6を形成し、対向する前記分割挟持片部6を、夫々独立して弾性的に離間自在にしてある。
【0006】請求項2に係わる本発明の管被覆切断具の特徴構成は、上記第1特徴構成における分割挟持片部夫々に、被覆管の環状溝に向けて嵌入して、前記環状溝の位置を切断刃の位置に合わせつつ、前記被覆管を両挟持片部間に形成される保持空間内に案内する案内突起を前記挟持片部の開端部に設け、前記分割した分割挟持片部同士を、互いに弾性的に離間自在にしてある(第2特徴構成)点にある。これを図1に示す例に沿って説明すれば、図示の例においては、対向する挟持片部4を夫々把持部2の厚み方向に分割した分割挟持片部6夫々に、被覆管20の環状溝21aに向けて嵌入して、前記環状溝21aの位置を切断刃5の位置に合わせつつ、前記被覆管20を前記対向する両挟持片部4間に形成される保持空間内に案内する案内突起10を前記各分割挟持片部6の開端部4aに設け、前記分割した分割挟持片部6同士を、互いに弾性的に離間自在にしてある。
【0007】請求項3に係わる本発明の管被覆切断具の特徴構成は、上記第1特徴構成又は第2特徴構成において、分割した分割挟持片部の間に間隙を設けて、前記分割した分割挟持片部同士を、互いに弾性的に近接離間自在にしてある(第3特徴構成)点にある。これを図1に示す例に沿って説明すれば、図示の例においては、挟持片部4を把持部2の厚み方向に分割した分割挟持片部6の間に間隙を設けて、前記分割した分割挟持片部6同士を、互いに弾性的に近接離間自在にしてある。
【0008】〔特徴構成の作用及び効果〕上記本発明に係わる管被覆切断具の第1特徴構成によれば、たとえ管保持部内の被覆管が傾いて保持された状況となっても、挟持片部に無理な力が作用することを回避できる。つまり、分割挟持片部が個々に離間するから、前記被覆管の長さ方向で前記分割挟持片部間が異なる間隔となることが許容されて、前記挟持片部に捻れが加わることを回避できる。これを図1に示した例に沿って説明すると、図6R>6及び図7に示すように、対向する一方の挟持片部4Aを、一方の分割挟持片部6Aと他方の分割挟持片部6Bとに分割すると共に、他方の挟持片部4Bも、一方の分割挟持片部6Aと他方の分割挟持片部6Bとに分割して、対向する一方の分割挟持片部6Aの間の間隔と、対向する他方の分割挟持片部6Bの間の間隔が異なることを許容しているから、前記各分割挟持片部6に捻り力が作用することを抑制できて、この捻れによる損傷を招くことを防止できるのである。
【0009】上記本発明に係わる管被覆切断具の第2特徴構成によれば、上記第1特徴構成の作用効果を奏しながら、被覆管を保持空間の入り口側で切断刃に向けて位置合わせしながら間保持部内に誘導できるようになる。つまり、挟持片部の開端部に案内突起を設けて、被覆管の環状溝に嵌入させることで、確実に前記被覆管に対して切断刃の位置を合わせることができながら、例えば被覆管の曲管部においても、その曲率半径の外方で、前記環状溝のピッチが大きくなっていても、これに合わせて前記分割挟持片部同士の間隔を開くことで、前記案内突起の間隔を拡げて前記管状溝内に嵌入させれば、確実に前記管状溝と前記切断刃との位置合わせをできるのである。これを図1に示した例に沿って説明すると、例えば図8に示すように、被覆管20を曲がり部の外方から管保持部3内に導入する場合に、挟持片部4を分割した分割挟持片部6の間を開いて、案内突起10を前記被覆管20の環状溝21aに合わせることで、確実に位置合わせしながら前記被覆管20を保持空間内に導入でき、管保持部3に保持された状態では、切断刃5は、前記環状溝21aに位置合わせされているのである。
【0010】上記本発明に係わる管被覆切断具の第3特徴構成によれば、上記第1特徴構成又は第2特徴構成の作用効果を奏しながら、被覆管の曲がり部においても、姿勢を問わず位置合わせできる。つまり、被覆管の曲がり部における曲率半径の内側では環状溝のピッチが直管部よりも小さくなっているのに対して、分割した分割挟持片部に間隙を設けてあるから、この分割挟持片部同士が弾性的に近接することによって、案内突起を環状溝に嵌入させた状態を維持できるのである。これを図1に示した例に沿って説明すると、例えば図9に示すように、被覆管20の曲がり部において、対向する一方の挟持片部4Aが前記曲がりの内側に位置し、他方の挟持片部4Bが前記曲がりの外側に位置する場合でも、前記一方の挟持片部4Aの側では、これを分割した分割挟持片部6A,6Bに設けられた案内突起10がピッチの小さくなった環状溝21a内に夫々嵌入した状態で、両分割挟持片部6A,6Bは相互に弾性的に接近し、前記他方の挟持片部4Bの側では、これを分割した分割挟持片部6A,6B同士が相互に弾性的に離間して、ピッチの大きくなった環状溝21aに案内突起10が夫々嵌入した状態で、被覆管20に対する前記切断刃5の位置を定めるようになる。
【0011】尚、上記の本発明の課題を解決するための手段の説明において、図面を参照し、図面との対照を便利にするために符号を記したが、上記図面の参照及び符号の記入により本発明が参照図面他添付図面の構成に限定されるものではない。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係わる管被覆切断具の実施の形態の一例について図面を参照しながら説明する。図1は本発明に係る管被覆切断具の一例を示す斜視図であり、図2はその把持部の正面視した縦断面図であり、図3は上下分割した管被覆切断具の分解斜視図である。尚、図10乃至図12に関して説明した点については、これに示したと同一の要素或いは同様の機能を果たす要素に関しては、同一或いは関連する符号を付して、詳細の説明の一部を省略する。
【0013】管被覆切断具は、図1に示すように、その厚み方向を前記被覆管20の軸芯P方向に沿わせた状態で前記被覆管20を切断刃5に向けて受入自在な開端部4aが一端側に形成され、且つ、その開端部4aが互いに弾性的に離間自在な挟持片部4を対向配置してある管保持部3を把持部2の両側に設け、前記被覆管20を保持空間内に挟持して、前記軸芯P周りに前記管保持部3を回転することで、前記被覆膜22を周方向に切断するものである。前記把持部2の両側に設けた各管保持部3は、その保持空間の大きさを変え、二種類のサイズの被覆管20に対応できるようにしてある。この管被覆切断具を形成する材料としては、ナイロン66、ポリプロピレン樹脂、ポリアセタール樹脂等が、その適度の柔軟性、曲げに対する強度、耐久性、耐候性、単位重量等、取り扱い上の要件を満たすものとして好適に用いられる。
【0014】図3に示すように、管被覆切断具1は、前記厚み方向に重ね合わせた一方の第一分割切断具1Aと他方の第二分割切断具1Bとの一対の分割切断具1A,1Bに分割形成してある。そして、図2に示すように、前記被覆管20の被覆膜22を切断する切断刃5を、前記両分割切断具1A,1Bを相互に重ね合わせた境界部に介在させてあり、前記挟持片部4が前記厚み方向に分割して形成される両分割挟持片部6の境界部は、夫々外面側からの高さを低くしてある。従って、前記両分割切断具1A,1Bを合体した状態で、前記分割挟持片部6の境界部には間隙が形成される(図1参照)。
【0015】前記両挟持片部4を夫々分割して形成した一方の分割挟持片部6Aと他方の分割挟持片部6B(何れも分割挟持片部6)は、夫々対向するもの同士(対向する一方の分割挟持片部6A同士、及び対向する他方の分割挟持片部6B同士)の間で、独立して弾性的に離間自在に(図7(ロ)参照)、さらに、前記分割した一方の分割挟持片部6Aと他方の分割挟持片部6Bとの間で、分割したもの同士(一方の挟持片部4Aを分割した分割挟持片部6同士、及び他方の挟持片部4Bを分割した分割挟持片部6同士)が互いに弾性的に近接離間自在に(図9参照)してある。そして、前記分割挟持片部6夫々に、前記被覆管20の前記環状溝21aに向けて嵌入して、前記環状溝21aの位置を前記切断刃5の位置に合わせつつ、前記被覆管20を前記両挟持片部4間に形成される保持空間内に案内する案内突起10を前記開端部4aに設けてある。また、前記被覆管20を前記保持空間内に保持した状態で、前記環状溝21a内に嵌入して前記切断刃5の位置を前記環状溝21a内に維持する別の案内突起11を、前記切断刃5の両側部に設けてある。
【0016】図3に示すように、前記切断刃5は、中央部に長穴5aを貫通させて短冊形に形成された刃物鋼板の両端部を斜めにカットして刃研ぎしたものである。前記第一分割切断具1Aには、その対向面1a上に平行して突出形成し、安全板9の幅方向の移動を規制する、対向側面14aを平面で構成した二本の突条部14を設けてあり、それらの間の刃物載置面15に突出する刃物位置決め凸部15aを設けてある。また、前記第二分割切断具1Bには、安全板9を受け入れ可能に形成した安全板受入溝部16を形成してあり、その安全板受入溝部16に突出し、上面が平面に形成された平面視長円形の突出部17を設けてあり、前記突出部17には、前記刃物位置決め凸部15aを受け入れる凹部17aが形成されている。前記切断刃5は、前記刃物載置面15上で、前記刃物位置決め凸部15aに前記長穴5aを外嵌し、前記突出部17との間に挟持して位置固定される。前記安全板受入溝部16には、長穴9aを備える安全板9が、前記長穴9aを前記突出部17に外嵌した状態で長さ方向に前後移動自在に嵌装される。前記突出部17は、前記安全板9の前後移動範囲を所定範囲内に規制する役割も果たす。
【0017】夫々の分割挟持片部6の開端部4aには、前記挟持片部4の前記開端部4aに、前記被覆管20を前記保持空間内に受け入れるに際して、前記被覆管20の軸芯P方向に平坦に形成された導入面部13を対向形成して、前記案内突起10を、前記導入面部13の前記保持空間外方に対向形成されて、前記被覆管20を前記保持空間内に案内自在な導入突起部10aと、前記保持空間側に対向形成されて、前記別の案内突起11と同様に前記保持空間内に受け入れた前記被覆管20を位置決め自在な位置決め突起部10bとに分割形成してある。
【0018】上記管被覆切断具の組み立ては、以下のようにして行う。先ず、前記第一分割切断具1Aの前記刃物位置決め凸部15aに、前記切断刃5の長穴5aを外嵌して、前記二本の突条部14の間に載置する。その切断刃5の上から、前記安全板9を、幅方向両側面を前記突条部14の対向側面14aに沿わせて載置する(図4参照)。その上から、前記突出部17を前記安全板9の長穴9a内に位置させ、且つ、安全板受入溝部16の両側壁を前記両突条部14の外側壁に沿わせて、前記第二分割切断具1Bを被せ、その対向面1aを前記第一分割切断具1Aの対向面1aに接当させる(図5参照)。この際、前記第一分割切断具1Aの分割挟持片部6と、前記第二分割切断具1Bの分割挟持片部6との間に間隙が形成される。前記突条部14の前記安全板受入溝部16への係入は、両分割切断具1A,1Bの位置合わせ手段でもある。以上のようにして両分割切断具1A,1Bの対向面1a同士を接当させて、境界部を位置ずれなく位置決めした後、ボルトナットを用いて両者を締結し、合体させる。
【0019】以上の構成により、上記本発明の管被覆切断具1は、二分割した両分割切断具1A,1Bの境界部の間で切断刃5を挟持するように構成してあるから、上述のように簡単に組み立てられ、しかも、切断刃5の交換に際して、両分割切断具1A,1Bを組み合わせるだけでよい。また、従来のように切断刃を組み付けるための深い溝を形成していないから、把持部2の断面積は小さくなっておらず、挟持片部4が繰り返し弾性変形しても、強度不足を招くことを回避し、その歪みに伴う応力を集中させることもない。さらに、各分割挟持片部6が縦方向横方向に弾性変形自在に構成してあるから、被覆管20の環状溝21aの間隔に変化があっても(図9参照)、また、前記被覆管20を前記分割挟持片部6の間に斜めに挟持する状態になっても(図6(ロ)参照)、前記各分割挟持片部6の個別の変形により対応できるようになる。また、前記分割挟持片部6の開端部4a側端部に隙間を形成してあるから、前記被覆管20の軸芯Pに直交する方向で、この隙間が切断刃5の位置に一致しており、その隙間を前記被覆管20を構成する蛇腹管21に形成された環状溝21aに位置合わせして、そのまま真っ直ぐに保持空間内に前記被覆管20を誘導すれば、前記切断刃5は確実に前記環状溝21aの位置に被さる被覆膜22を切断するようになる。さらに、例えば、図8に示すように、被覆管20の曲がり部において、その曲がりの側方から前記保持空間内に導入する場合であっても、一方の挟持片部4Aが前記曲がりの内側に位置し、他方の挟持片部4Bが前記曲がりの外側に位置する場合でも、前記一方の挟持片部4Aの側では、夫々に設けられた案内突起10がピッチの小さくなった環状溝21a内に嵌入した状態で、両分割挟持片部6A,6Bは弾性的に接近し、前記他方の挟持片部4Bの側では、両分割挟持片部6A,6B同士が弾性的に離間して、ピッチの大きくなった環状溝21aに案内突起10が夫々嵌入した状態で、被覆管20に対する前記切断刃5の位置を定めるようになる。
【0020】〔別実施形態〕
〈1〉上記実施の形態においては、各挟持片部4を分割した分割挟持片部6の間に間隙を形成してある例について説明したが、隙間のない状態で各挟持片部4を分割してあってもよい。例えば、図7に示すように、一方の分割挟持片部6Aの間の間隔と、他方の分割挟持片部6Bの間の間隔が異なることを許容しているから、前記各分割挟持片部6に捻り力が作用して、損傷を招くことは防止できる。また、図7に示したように、被覆管20を曲がり部の外方から管保持部3内に導入する場合に、挟持片部4を分割した分割挟持片部6の間を開いて、案内突起10を前記被覆管20の環状溝21aに合わせることで、確実に位置合わせしながら前記被覆管20を保持空間内に導入でき、管保持部3に保持された状態では、切断刃5は、前記環状溝21aに位置合わせされる。尚、図6乃至図8は何れも、両分割挟持片部6の間に隙間を設けてある例を示しているが、上記に関しては、この隙間がなくても同様である。
【0021】〈2〉以上は、切断具を第一分割切断具1Aと第二分割切断具1Bとに分割した例について説明したが、一体に形成して、挟持片部4のみを分割挟持片部6に分割してあってもよい。
【0022】〈3〉上記実施の形態においては、安全板9の幅方向の移動を規制する二本の突条部14と、その間に突出する刃物位置決め凸部15aとを前記第一分割切断具1Aに設け、前記二本の突条部14を受け入れ、且つ、安全板9を受け入れ可能な安全板受入溝部16と、前記安全板受入溝部16に突出する突出部17とを前記第二分割切断具1Bに設けて、前記安全板9を、前記切断刃5の前記第二分割切断具1Bの側にのみ配置する例について説明したが、前記二本の突条部14の間の刃物載置面15を深くして、前記安全板9を受け入れ可能な他の安全板受入溝部とし、その深くしたに相当する高さの、前記第二分割切断具1Bと同様の突出部を形成して、その突出部に刃物位置決め凸部15aを形成して、前記切断刃5の両側に前記安全板9を配置するようにしてもよい。
【0023】〈4〉上記実施の形態においては、安全板9の幅方向の移動を規制する二本の突条部14と、その間に突出する刃物位置決め凸部15aとの、何れも突出する部分を前記第一分割切断具1Aに設け、前記二本の突条部14を受け入れ自在な安全板受入溝部16と、前記刃物位置決め凸部15aを受け入れ自在な凹部17aとの、何れも凹入する部分を前記第二分割切断具1Bに設ける例について説明したが、上記〈3〉のように構成すると共に、前記第一分割切断具1Aの対向面上の幅方向の一方には、それらの突出部分を形成し、他方には、前記第二分割切断具1Bの凹入する部分を形成することで、これに対向する前記第二分割切断具1Bを前記第一分割切断具1Aと同一形状にすることができる。このようにすれば、両分割切断具1A,1Bを形成するための金型を一つにすることができる。
【0024】〈5〉上記実施の形態においては、安全板9を切断刃5に対して、第二分割切断具1Bの側に配置した例を示したが、前記安全板9は省略可能である。
【0025】〈6〉上記実施の形態においては、各分割挟持片部6の開端部4aに前記被覆管20の前記環状溝21aに向けて嵌入して、保持空間内に案内する案内突起10を設けてある例について説明したが、この分割挟持片部6に設けた案内突起10は省略可能である。先述のように、前記分割挟持片部6の間の合わせ目を目印として、これを前記被覆管20の環状溝21aに合わせることで、前記被覆管20を保持空間内に、位置決めした状態で導入することが可能である。
【0026】〈7〉上記実施の形態においては、この管被覆切断具を形成する材料として、ナイロン66、ポリプロピレン樹脂、ポリアセタール樹脂等が、取り扱い上の要件を満たすものとして好適に用いられるとして説明したが、この管被覆切断具を他の材料で形成してあってもよく、適度の柔軟性、曲げに対する強度、耐久性、耐候性、単位重量等、取り扱い上の要件を満たすものであればよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る管被覆切断具の使用中の例を示す斜視図
【図2】図1に示した例の保持部側から見た把持部の縦断面図
【図3】図1に示した管被覆切断具を説明する分解斜視図
【図4】図1に示した例の第一分割切断具を境界部から見た一部断面を示す平面図
【図5】図4に示したX−X方向に見た管保持部の縦断面図
【図6】図1に示した例の作用説明図
【図7】図1に示した例の作用説明図
【図8】図1に示した例の作用説明図
【図9】図1に示した例の作用説明図
【図10】従来の管被覆切断具を説明する断面図
【図11】図10に示した例の作用説明図
【図12】従来の管被覆切断具の他の例の作用説明図
【符号の説明】
3 管保持部
4 挟持片部
4a 開端部
5 切断刃
6 分割挟持片部
10 案内突起
20 被覆管
21 蛇腹管
21a 環状溝
22 被覆膜
P 被覆管の軸芯
【特許請求の範囲】
【請求項1】 外周面に長手方向に沿って間隔を空けて環状溝を形成してある蛇腹管の前記外周面を軟質樹脂で被覆してある被覆管に対して、その軟質樹脂製の被覆膜を前記環状溝に沿って切断する切断刃を備え、その厚み方向を前記被覆管の軸芯方向に沿わせた状態で前記被覆管を前記切断刃に向けて受入自在な開端部が一端側に形成され、且つ、互いに弾性的に離間自在な挟持片部を前記開端部に対向配置してある管保持部を設け、前記被覆管を前記管保持部内に挟持して、前記軸芯周りに前記管保持部を回転することで、前記被覆膜を周方向に切断する管被覆切断具であって、前記挟持片部を、夫々前記厚み方向に2分割して分割挟持片部を形成し、前記対向する分割挟持片部を、夫々独立して弾性的に離間自在にしてある管被覆切断具。
【請求項2】 前記分割挟持片部夫々に、前記被覆管の前記環状溝に向けて嵌入して、前記環状溝の位置を前記切断刃の位置に合わせつつ、前記被覆管を前記両挟持片部間に形成される保持空間内に案内する案内突起を前記開端部に設け、前記分割した分割挟持片部同士を、互いに弾性的に離間自在にしてある請求項1記載の管被覆切断具。
【請求項3】 前記分割した分割挟持片部の間に間隙を設けて、前記分割した分割挟持片部同士を、互いに弾性的に近接離間自在にしてある請求項1又は2に記載の管被覆切断具。
【請求項1】 外周面に長手方向に沿って間隔を空けて環状溝を形成してある蛇腹管の前記外周面を軟質樹脂で被覆してある被覆管に対して、その軟質樹脂製の被覆膜を前記環状溝に沿って切断する切断刃を備え、その厚み方向を前記被覆管の軸芯方向に沿わせた状態で前記被覆管を前記切断刃に向けて受入自在な開端部が一端側に形成され、且つ、互いに弾性的に離間自在な挟持片部を前記開端部に対向配置してある管保持部を設け、前記被覆管を前記管保持部内に挟持して、前記軸芯周りに前記管保持部を回転することで、前記被覆膜を周方向に切断する管被覆切断具であって、前記挟持片部を、夫々前記厚み方向に2分割して分割挟持片部を形成し、前記対向する分割挟持片部を、夫々独立して弾性的に離間自在にしてある管被覆切断具。
【請求項2】 前記分割挟持片部夫々に、前記被覆管の前記環状溝に向けて嵌入して、前記環状溝の位置を前記切断刃の位置に合わせつつ、前記被覆管を前記両挟持片部間に形成される保持空間内に案内する案内突起を前記開端部に設け、前記分割した分割挟持片部同士を、互いに弾性的に離間自在にしてある請求項1記載の管被覆切断具。
【請求項3】 前記分割した分割挟持片部の間に間隙を設けて、前記分割した分割挟持片部同士を、互いに弾性的に近接離間自在にしてある請求項1又は2に記載の管被覆切断具。
【図1】
【図2】
【図4】
【図3】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
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【図11】
【図12】
【公開番号】特開2000−51549(P2000−51549A)
【公開日】平成12年2月22日(2000.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平10−221357
【出願日】平成10年8月5日(1998.8.5)
【出願人】(000119830)因幡電機産業株式会社 (147)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成12年2月22日(2000.2.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成10年8月5日(1998.8.5)
【出願人】(000119830)因幡電機産業株式会社 (147)
【Fターム(参考)】
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