管設置装置
【課題】管を地中においてスムーズに推進させることができるようにする。
【解決手段】断面四角形状の管2を推進させて地中に設置する管設置装置において、管の推進方向と交差する回転中心線を回転中心として回転する回転掘削体46を有した掘削機械を用い、回転掘削体は、第1の掘削ビット80と第2の掘削ビット81とを備え、回転中心線から回転中心線と直交する線上を経由した第1の掘削ビットの先端までの第1距離と回転中心線から回転中心線と直交する線上を経由した第2の掘削ビットの先端までの第2距離とが異なり、第1距離は、回転掘削体が管の内側で回転中心線を中心として回転可能な回転半径に設定され、第2距離は、回転掘削体が管の内側で回転中心線を中心として回転不可能で、かつ、回転掘削体が管の先頭開口の前方に位置された場合に回転中心線を中心として回転可能な回転半径に設定された。
【解決手段】断面四角形状の管2を推進させて地中に設置する管設置装置において、管の推進方向と交差する回転中心線を回転中心として回転する回転掘削体46を有した掘削機械を用い、回転掘削体は、第1の掘削ビット80と第2の掘削ビット81とを備え、回転中心線から回転中心線と直交する線上を経由した第1の掘削ビットの先端までの第1距離と回転中心線から回転中心線と直交する線上を経由した第2の掘削ビットの先端までの第2距離とが異なり、第1距離は、回転掘削体が管の内側で回転中心線を中心として回転可能な回転半径に設定され、第2距離は、回転掘削体が管の内側で回転中心線を中心として回転不可能で、かつ、回転掘削体が管の先頭開口の前方に位置された場合に回転中心線を中心として回転可能な回転半径に設定された。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、断面四角形状の管を地中に設置するための管設置装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、断面矩形状の管を地中に設置するための装置が知られている。
例えば、円弧を描くように曲がって延長する断面矩形状の曲管(管の中心軸が曲線である管)、あるいは、真っ直ぐに延長する断面矩形状の管(管の中心軸が直線である管)を地中に設置する場合、先に地中に入れる管の先頭開口側の内側に、高圧水を噴射する噴射装置を設置したり、管の中心軸を回転中心としてビットを回転させることにより地中を掘削する回転掘削体を有した掘削機械を設置し、かつ、回転掘削体で掘削されない管の内側の角部付近の土を掘削するための噴射装置を設置し、管を押圧するとともに、高圧水で地中を掘削したり、掘削機械及び高圧水で地中を掘削することにより、管を推進させて地中に設置する管設置装置が知られている(例えば、特許文献1等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−83007号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、地中が、硬質・レキ混じりの地中である場合、高圧水では地中を掘削できないという問題点があった。
また、上述した掘削機械を用いる場合は、地中が、硬質・レキ混じりの地中であっても掘削可能である。しかしながら、当該掘削機械の回転掘削体の回転中心線と管の推進方向とが同じであるため、回転掘削体の掘削によって、推進方向に向けて延長する円筒状の空洞部を形成できるだけであり、回転掘削体の掘削によって形成できる円筒状の空洞部と断面矩形状の管の断面形状とが一致しないので、硬質・レキ混じりの地中の場合は、断面矩形状の管の内側の角部付近の地中部分を掘削できず、管を地中においてスムーズに推進させることができないという欠点があった。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、地中が、硬質・レキ混じりの地中である場合でも、管を地中においてスムーズに推進させることができる管設置装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、断面四角形状の管を地中に形成された空洞部から地中に設置する場合に、先に地中に入れる管の先頭開口側に掘削機械を設置し、管を押圧するとともに掘削機械で地中を掘削することにより、管を推進させて地中に設置する管設置装置において、掘削機械として、管の推進方向と交差する回転中心線を回転中心として回転する回転掘削体を有した掘削機械を用い、回転掘削体は、回転中心線を回転中心として回転する回転体と、回転体の外周面より突出するように設けられた掘削ビットとを備え、回転中心線から回転中心線と直交する線上を経由した回転体の外周面までの第1距離と回転中心線から回転中心線と直交する線上を経由した掘削ビットの先端までの第2距離とが異なり、第1距離は、回転掘削体が管の内側で回転中心線を中心として回転可能な回転半径に設定され、第2距離は、回転掘削体が管の内側で回転中心線を中心として回転不可能で、かつ、回転掘削体が管の先頭開口の前方に位置された場合に回転中心線を中心として回転可能な回転半径に設定され、回転掘削体が管の先頭開口の前方に位置された状態で回転駆動されることによって掘削ビットが管の先頭開口の前方位置の地盤を掘削し、かつ、回転掘削体が管内を通過して管を出発させた空洞部に回収可能に構成されたので、管の先端開口の前方において、管の先端開口の四角断面の幅寸法(回転掘削体の径方向に対応する幅寸法)より幅寸法の大きい四角断面の孔を効率的に掘削できる。従って、管の先端開口縁が地盤に衝突する前に、管の先端開口の前方に位置する地盤を掘削ビットにより掘削できて、管の先端が硬質の地盤に衝突して管を推進できなくなるような事態を防止でき、地中が硬質・レキ混じりの地中である場合でも、管をよりスムーズに推進させることができる。
また、回転体の外周面より突出するように設けられた第1の掘削ビットと第2の掘削ビットとを備え、回転中心線から回転中心線と直交する線上を経由した第1の掘削ビットの先端までの第1距離と回転中心線から回転中心線と直交する線上を経由した第2の掘削ビットの先端までの第2距離とが異なり、第1距離は、回転掘削体が管の内側で回転中心線を中心として回転可能な回転半径に設定され、第2距離は、回転掘削体が管の内側で回転中心線を中心として回転不可能で、かつ、回転掘削体が管の先頭開口の前方に位置された場合に回転中心線を中心として回転可能な回転半径に設定され、回転掘削体が管の先頭開口の前方に位置された状態で回転駆動されることによって第1の掘削ビット及び第2の掘削ビットが管の先頭開口の前方位置の地盤を掘削し、かつ、回転掘削体が管内を通過して管を出発させた空洞部に回収可能に構成されたので、第1の掘削ビットを備えたことにより、管をよりスムーズに推進させることができる。
第2の掘削ビットを回転体の回転中心線に沿った方向に複数個並べて形成した第2の掘削ビット群が、回転体の外周面上で周方向に所定距離離れた位置にそれぞれ設けられ、各第2の掘削ビット群の各第2の掘削ビットの先端同士が、回転掘削体の回転中心線と直交する同一の面上に位置しないように設定されたので、回転掘削体の回転により一方の第2の掘削ビット群で掘削できない地盤部分を他方の第2の掘削ビット群で掘削でき、管の先端開口の前方において、管の先端開口の矩形断面の幅寸法より幅寸法の大きい四角断面の孔をより効率的に掘削できる。
第2の掘削ビットは、回転中心線を中心として回転体の外周面上で周方向に180°離れた位置にそれぞれ設けられたので、回転掘削体の回転重心を一定に保てるようになり、回転掘削体の回転がスムーズになるので、管の先端開口の前方において回転掘削体により地盤をより効率的に掘削できる。
第2距離が、管の断面中心から回転中心線に沿った管の互いに向かい合う一対の板のうちの一方の板の外面までの最短距離に設定されたので、管の先端開口より前方の地盤の掘削量を少なくでき、地盤沈下等、地中に与える影響を少なくできる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】管設置装置の断面図(実施形態1)。
【図2】(a)は先頭管の先頭部分を示した斜視図、(b)一対の第2の掘削ビット群の関係を示す断面図(実施形態1)。
【図3】(a)は回転掘削体の掘削時の状態を示す図、(b)は回転掘削体の回収時の姿勢状態を示す図(実施形態1)。
【図4】地中への管の設置方法を示す図(実施形態1)。
【図5】曲管の形状、設置形態を示す斜視図(実施形態1)。
【図6】直管を設置する管設置方法により構築される支保工の例を示す断面図(実施形態1)。
【図7】曲管を設置する管設置方法により構築される支保工の例を示す断面図(実施形態1)。
【図8】トンネルの壁に間欠的に設けられた出発口を経由して管を設置する管設置方法を示す斜視図(実施形態1)。
【図9】互いに隣り合うように地中に設置される管と管との間の止水処理を示す断面図(実施形態1)。
【図10】曲管を設置する管設置方法により構築される支保工の例を示す断面図(実施形態1)。
【図11】直管を設置する管設置方法により構築される支保工の例を示す断面図(実施形態1)。
【図12】補強体をトンネルの空洞部側から見た図(実施形態1)。
【図13】トンネルの空洞部と補強体と管との関係を示す断面図(実施形態1)。
【図14】地下空間を形成するための止水処理を説明した斜視図(実施形態1)。
【図15】地下空間が形成される地中部分の一端側の止水処理を説明した断面図(実施形態1)。
【図16】止水構造体の諸形態を示す図(実施形態1)。
【図17】管設置装置の断面図(実施形態1)。
【図18】先頭管の先頭部分を分解して示した斜視図(実施形態1)。
【図19】先頭管の先頭部分を示した斜視図(実施形態1)。
【図20】管設置装置の断面図(実施形態2)。
【図21】管設置装置の断面図(実施形態3)。
【図22】管設置装置の断面図(実施形態4)。
【図23】管設置装置の断面図(実施形態5)。
【図24】(a)は立坑とシールドトンネルとの間に空洞部としての連通路を形成するための管の設置状態を示す斜視図、(b)は連通路を形成するための管の設置状態を示す拡大斜視図(実施形態6)。
【発明を実施するための形態】
【0007】
実施形態1
まず、図1乃至図19に基づいて、実施形態1による管設置装置1の基本構成及び動作について説明する。
図1に示すように、管設置装置1は、管2と、掘削装置3と、推進装置4と、推進力伝達装置70とを備える。尚、以下、図1における上側を管2や管設置装置1の先頭あるいは前側と定義し、図1における下側を管2や管設置装置1の後側と定義し、図1における左右側を管2や管設置装置1の左右側と定義し、図1の紙面と直交する方向の上下側を管2や管設置装置1の上下側と定義して説明する。図2(a)に管2や管設置装置1の前側、後側、左側、右側、上側、下側を明記した。
【0008】
管2は、図5;図7に示すような、円弧を描くように曲がって延長するように形成された曲管(管の中心軸が曲線である管)、あるいは、図6に示すような、真っ直ぐに延長する管(管の中心軸が直線である管(以下、直管という))であって、管の中心軸と直交する面で管を切断した場合の断面形状が矩形状の管により形成される。管2としては例えば鋼製の管が用いられる。管2の大きさは、例えば、管の長さ(前後長さ)が1.5m、左右幅が1.2m、上下幅が0.7mである。
そして、図5;図7に示すように、複数の曲管が順次連結されて地中10に設置されることによって円弧を描くように曲がって延長する支保工11が地中10に構築されたり、図6に示すように、複数の直管が順次連結されて地中10に設置されることによって真っ直ぐに延長する支保工11が地中10に構築される。
図5に示すように、実施形態1の管設置装置1及び管設置方法によって地中に構築される支保工11は、先頭に位置される管2(以下、先頭管という)と後続の複数の管2(以下、後続管という)とにより形成される。即ち、支保工11は、先頭に位置される曲管である先頭管6と先頭管6の後に続くように設けられる後続の複数の曲管である後続管7とにより形成される連続する曲管67によって構築される。
支保工11としては、図7(a)に示すように、地中10に形成された一方の空洞部100と他方の空洞部100との間に跨るように複数の管2としての複数の曲管を連続させて構築される支保工11や、図7(b)に示すように、地中10に形成された空洞部100から出発して当該空洞部100に戻るように複数の管2としての複数の曲管を連続させて構築される支保工11や、図6に示すように、一方の空洞部100と他方の空洞部100との間に跨るように複数の管2としての複数の直管を連続させて設置して構築される支保工11などがある。
【0009】
以下、図1乃至図3を参照して管設置装置1の構成について説明する。
先頭管6は、管の先端側に案内刃部を備えた構成であり、例えば、図1に示すように、管6xと、管6xの先端に設けられた案内刃部として機能する案内刃管9とで形成される。案内刃管9は、管の一方の開口端縁13が鋭利に形成された刃部14を備えた管である。
先頭管6は、案内刃管9の他方の開口端部と管6xの先端の開口端部8とが接続されて形成される。この場合、例えば、案内刃管9の管の外径寸法が管6xの管の外径寸法よりも大きく、案内刃管9の他方の開口端面15側には、開口端面15における管の内周面側が削られて、段差が設けられることで、管6xの先端の開口端部8を嵌め込む嵌合孔16が形成された構成とする。そして、案内刃管9の他方の開口部17に設けられた嵌合孔16内に管6xの先端の開口端部8を嵌め込み、かつ、これら両者が、ボルト接合,溶接などの図外の接続手段によって接続されることで、案内刃管9の他方の開口端部と管6xの先端の開口端部8とが接続された構成とする。このように、案内刃管9の他方の開口部17に設けられた嵌合孔16内に管6xの先端の開口端部8を嵌め込んで、案内刃管9が管6xの先端開口端面18を覆うように取付けられた構成としたことで、管6xの推進の際に、管6xの先端開口端面18が地中10の抵抗を受けず、推進抵抗を少なくできる。また、管6xの先端の開口端部8を嵌め込む嵌合孔16が形成された構成としたことで、管6xの先端に容易に案内刃管9を設置でき、先頭管6を形成するための管6xと案内刃管9との組み立てを容易とすることができる。この場合、先頭管6の矩形外周面において管6xと案内刃管9との間で段差が生じるが、この段差は、管2の矩形外周面と後述の補強体116の矩形内周面との間に設けられる水密性能維持部材117b(図12;図13参照)により止水性能を維持できるように小さく(例えば、1cm程度)形成される。
【0010】
尚、案内刃管9と管6xとの外径寸法を同径とし、案内刃管9の後端縁面と管6xの先端開口端面18とを突き合わせた状態でこれらの境界部分を全周溶接、又は、点溶接することで先頭管6を形成してもよい。
また、管の先端側が案内刃管9として機能する案内刃部に形成された管を先頭管6として用いてもよい。
このようにすれば、先頭管6の矩形外周面の段差を小さくできるか、段差が生じないので、管2の矩形外周面と補強体116の矩形内周面との間に設けられる水密性能維持部材117bによる止水性能を良好に維持できる。
【0011】
先頭管6の管の内面20において、管の延長方向(管の中心軸に沿った方向)の中央部よりも先頭側の位置には、管側推進力受け部21が設けられる。管側推進力受け部21は、後述する掘削装置3に設けられた基板25を介して推進装置4からの推進力を受けて先頭管6を推進させる。管側推進力受け部21は、先頭管6の断面(先頭管の中心軸と直交する面で先頭管を切断した場合の断面)の内面を一周した矩形形状に対応した矩形枠外周寸法に形成された矩形枠体22により形成され、矩形枠体22の外周面23と先頭管6の管の内周面20aとが対応するように設置された状態で矩形枠体22が先頭管6の管の内周面20aに溶接、ボルト・ナットなどの図外の接続手段により固定される。
【0012】
掘削装置3は、基板25と、掘削機械26と、駆動源27と、水供給機構75と、排泥機構76とを備える。
基板25は、先頭管6の中心軸と基板25の中心軸とが一致するように配置されて先頭管6内を前後方向に移動可能に設けられる。基板25は、先頭管6の断面の内面を一周した矩形形状に対応した矩形板30により形成される。当該矩形板30の大きさは、先頭管6の断面の内面を一周した矩形の寸法よりも小さく、かつ、上記管側推進力受け部21を形成する矩形枠体22の矩形枠内周寸法よりも大きい。即ち、基板25を形成する矩形板30の前面39fにおける矩形周縁面33と、上記管側推進力受け部21を形成する矩形枠体22の枠後面32とが対向するように形成される。尚、基板25を形成する矩形板30の前面39fにおける矩形周縁面33と管側推進力受け部21を形成する矩形枠体22の枠後面32との間には例えば弾性体により形成された水密性能維持部材(パッキン)35が設けられる。水密性能維持部材35は、例えば、基板25を形成する矩形板30の前面39fにおける矩形周縁面33、又は、管側推進力受け部21を形成する矩形枠体22の枠後面32に取付けられる矩形枠体36により形成される。したがって、基板25に伝達された推進力が水密性能維持部材35を介して管側推進力受け部21に伝達されることにより、管2と掘削機械26とが一緒に推進する。
基板25の前面39fの中央部には、掘削機械26の支持部40の一端が固定される。
また、基板25の中央部には後述する耐圧ホース56を貫通させる貫通孔38aが形成される。
【0013】
掘削機械26は、支持部40と、回転部41とを備える。
支持部40は、1つの支柱42と2つの分岐支柱43とが組合されたT字状の中空支柱により形成される。支柱42の一端部には例えば図外の取付フランジが設けられ、この取付フランジがボルト及びナットのような固定具などによって基板25の前面39fの中央に着脱可能に固定されることによって支柱42の一端が基板25の前面39fの中央に固定され、支柱42が基板25の前面39fに対して直交する方向に延長する。2つの分岐支柱43は、支柱42の先端部(他端部)より支柱42の延長方向と直交する一直線上において互いに離れる方向に延長する。即ち、支持部40のT字状の中空路と貫通孔38aとが連通するように支柱42の一端が基板25に固定される。分岐支柱43の先端には、それぞれモータマウント44を備える。
【0014】
回転部41は、回転機構部45と、回転掘削体46とを備える。
回転機構部45は、例えばモータ47により構成される。各モータマウント44;44には、モータ47のケーシング48が固定される。
2つのモータ47;47の回転軸49;49は、支柱42の先端部より支柱の延長方向と直交する一直線上において互いに離れる方向に延長する。
【0015】
モータ47は、例えば、流体圧により作動するモータ、あるいは、電気で作動するモータを用いる。例えば油圧モータ(以下、油圧モータ47とする)を用いる場合、駆動源27としての油圧源55と油圧モータ47のケーシング48内とが圧油供給路56a及び油帰還路56bを形成する耐圧ホース56で繋がれる。即ち、耐圧ホース56は貫通孔38a及び支持部40のT字状の中空路を介して油圧モータ47のケーシング48に接続される。油圧モータ47は、耐圧ホース56を介してケーシング48内に供給される圧油によって回転軸49が回転するように構成される。
【0016】
例えば、回転掘削体46の回転体50の他端閉塞内面(筐体の内底面)53の中心と回転軸49の回転中心とが一致するように、回転体50の他端閉塞内面53と油圧モータ47により回転する回転軸49の先端に設けられた連結板54とがねじ等の連結具57により連結される。
即ち、2つの回転掘削体46が2つの回転軸49;49に共通の1つの回転中心線Lを回転中心として回転するように構成される。つまり、先頭管6の推進方向と直交する回転中心線Lを回転中心として回転する2つの回転掘削体46;46を備える。このような2つの回転掘削体46;46を備えた構成は、ツインヘッダと呼ばれる。先頭管6の推進方向と直交する回転中心線Lを回転中心として回転する2つの回転掘削体46;46を備えた所謂ツインヘッダを用いた場合、推進方向と直交する面内における回転掘削体46の掘削幅を大きくできるので、掘削幅に応じた矩形幅の管2を容易に地中10に設置できるようになる。
【0017】
回転掘削体46は、回転中心線Lを回転中心として回転する一端開口他端閉塞の円筒状の回転体50と、回転体50の外周面51より突出するように設けられた掘削刃としての第1の掘削ビット80及び第2の掘削ビット81とを備える。
複数個の第2の掘削ビット81が回転体50の回転中心線Lに沿った方向に並べられて第2の掘削ビット群810が構成される。
回転体50の外周面51には複数のビット取付部83が点在するように設けられる。第1の掘削ビット80は、回転体50の外周面51に設けられた個々のビット取付部83に1つ1つ個別に着脱可能に取り付けられる。第2の掘削ビット81は、回転体50の外周面に設けられた複数のビット取付部83に着脱可能に取り付けられるビット設置板84に設けられる。即ち、第2の掘削ビット群810は、ビット取付部83に取り付けられて回転体50の回転中心線Lに沿って回転体50の外周面51の周面幅(回転中心線Lに沿った方向の幅、即ち、回転体50の回転中心線Lに沿った方向の両方の端面)に渡って延長するビット設置板84のビット設置面84aに、複数の第2の掘削ビット81が回転中心線Lに沿った方向に並ぶように着脱可能又は固定的に設けられた構成である。
1つの1つの回転掘削体46は、2つの第2の掘削ビット群810;810を備え、2つの第2の掘削ビット群810;810は、回転体50の外周面51の周方向に互いに180°離れた位置にそれぞれ設けられる。第1の掘削ビット80は、回転体50の外周面51上において第2の掘削ビット群810が設けられていない部分に点在するように設けられる。
図2(b)に示すように、回転体50の外周面51上で周方向に互いに180°離れた位置に設けられた各第2の掘削ビット群810;810の各掘削ビット81の先端は、回転体50の回転中心線Lと直交する同一の面85上に位置しないように設定されている。つまり、一方の第2の掘削ビット群810において互いに隣り合う各掘削ビット81間で掘削されない地盤部分を他方の第2の掘削ビット群810の各掘削ビット81で掘削できるように構成されている。要するに、1つの1つの回転掘削体46は、一方の第2の掘削ビット群810で掘削できない地盤部分を他方の第2の掘削ビット群810で掘削できるようにした相補的な一対の第2の掘削ビット群810;810を備えた構成である。
そして、図3(a)に示すように、回転体50の回転中心線Lから回転中心線Lと直交する線上を経由した第1の掘削ビット80の先端までの第1距離80x(即ち、第1の掘削ビット80による掘削半径)と回転体50の回転中心線Lから回転中心線Lと直交する線上を経由した第2の掘削ビット81の先端までの第2距離81x(即ち、第2の掘削ビットによる掘削半径)とが異なる。
つまり、第1距離80xを掘削半径とした第1の掘削ビット80による掘削径は、先頭管6の案内刃管9の上下内面9u:9u間の寸法9xよりも小さく、第2距離81xを掘削半径とした第2の掘削ビット81による掘削径は、先頭管6の案内刃管9の上下内面9u:9u間の寸法9xよりも大きく設定されている。
即ち、第1距離80xは、回転掘削体46が先頭管6の内側で回転中心線Lを回転中心として回転可能な回転半径寸法に設定されたことによって、回転掘削体46が管2内を通過可能となり、掘削機械26を出発側の空洞部100に引き戻して回収できる。
また、第2距離は、回転掘削体46が先頭管6の内側で回転中心線Lを回転中心として回転不可能で、かつ、回転掘削体46が先頭管6の先頭開口6tの前方に位置された場合に回転可能な回転半径に設定される。
回転掘削体46は、先頭管6の先頭開口6tの前方に位置された状態で駆動可能なように、管側推進力受け部21の位置と支持部40の支柱42の長さとが決められている。
即ち、回転掘削体46が先頭管6の先頭開口6tの前方に位置された状態で回転駆動されることによって第1の掘削ビット80及び第2の掘削ビット81が先頭管6の先頭開口6tの前方位置の地盤を掘削可能であり、かつ、回転掘削体46が管2(先頭管6及び後続管7)内を通過して管2を出発させた空洞部100に回収可能に構成される。
以上のような回転掘削体46を備えたことにより、先頭管6の先端開口6tの前方において先端開口6tの断面よりも大きい断面の孔を掘削できるので、先頭管6の先端開口縁(案内刃管9の刃先9a)が地盤に衝突する前に地盤を掘削できて、管2をよりスムーズに推進させることができる。
また、掘削機械16の回収時には、図3(b)に示すように、第2の掘削ビット群810の第2の掘削ビット81の先端が、先頭管6の案内刃管9の上板の内面9uと同一平面を示す位置より上方に位置しない状態にしてから、回転掘削体46を管2内に引き戻して掘削機械26を出発側の空洞部100に回収する。
【0018】
回転掘削体46;46の間には固定掘削体77を備える。
固定掘削体77は、分岐支柱43よりも前方に突出するように2つの分岐支柱43;43の境界部分の前方外周面に溶接又はボルト、ナット等の固定手段によって固定状態に取付られる。
固定掘削体77は、例えば、上下間の中央部が前方側に膨出する湾曲形状に形成され、この湾曲面の左右幅間の中心が湾曲面の周方向に沿って連続する鋭利な刃形状となるように形成された構成である。
このように、固定掘削体77は、上下間の中央部が前方側に膨出する湾曲形状に形成された構成としたので、先頭管6が推進する際の地盤の抵抗を減らすことができ、先頭管6をよりスムーズに推進させることができるようになる。
【0019】
上記固定掘削体77が設けられていない場合には、掘削された土砂が回転掘削体46;46の間に詰まってしまう可能性があるが、回転掘削体46;46の間に固定掘削体77を設けた場合には、固定掘削体77が、先頭管6の推進により地盤に衝突することによって、地盤を削ったり、衝突した地盤部分にある土砂や岩を左右に振り分けて左右の回転掘削体46:46に仕向けたりするといった役割を果たすので、先頭管6をよりスムーズに推進させることができるようになる。
例えば、図1に示すように、回転掘削体46の回転中心線Lから固定掘削体77の刃の先端までの湾曲半径寸法と回転掘削体46の回転中心線Lから第2の掘削ビット81の先端までの寸法(第2の掘削ビット81による掘削半径寸法)とが同じに構成される。
このように回転掘削体46の回転中心線Lから固定掘削体77の刃の先端までの湾曲半径寸法と回転掘削体46の回転中心線Lから第2の掘削ビット81の先端までの寸法とを同じに構成した場合は、第2の掘削ビット群810による掘削と同時に第2の掘削ビット群810;810間に位置する地盤を掘削でき、前方地盤全体を効率的に掘削できる。
【0020】
尚、回転掘削体46の回転中心線Lから固定掘削体77の刃の先端までの湾曲半径寸法を、回転掘削体46の回転中心線Lから第2の掘削ビット81の先端までの寸法よりも小さくしたり、大きくしたりしてもよい。
【0021】
また、固定掘削体77の先端形状は、先頭管6の推進により地盤に衝突することによって、地盤を削ったり、衝突した地盤部分にある土砂や岩を左右に振り分けて左右の回転掘削体46:46に仕向けたり、掘削に先立って地盤にひび割れを誘発させて掘削しやすいようにするという役割を達成できる形状に形成されていればよい。例えば、上述したように前方先端が鋭利な刃先状に形成されたものでもよいし、前方先端が面状に形成されたものでもよく、地盤の地質によって、地盤を掘削して崩しやすい形状のものを選択すればよい。
【0022】
水供給機構75は、水貯留タンク75aと、基板25の前面39fと後面39とに貫通する水供給孔75bと、例えば蛇腹管や鋼管等により構成された水供給管75cと、送水用のポンプ75d、連結管75eとを備える。
基板25の前面39fと先頭管6の内面20とで囲まれた空間69内に水供給管75cの一端開口が連通するように、例えば、水供給孔75bの内側に水供給管75cの一端がねじ嵌合されることによって水供給孔75bと水供給管75cの一端とが結合される。そして、水供給管75cの他端開口と送水用のポンプ75dの吐出口とが連通可能に連結され、送水用のポンプ75dの吸込口と水貯留タンク75aとが連結管75eにより連通可能に連結される。
【0023】
排泥機構76は、基板25の前面39fと後面39とに貫通する排泥孔76aと、例えば蛇腹管や鋼管等により構成された排泥管76bと、排泥用のポンプ76cと、排泥タンク76dと、連結管76eとを備える。
空間69内に排泥管76bの一端開口が連通するように、例えば、排泥孔76aの内側に排泥管76bの一端がねじ嵌合されることによって排泥孔76aと排泥管76bの一端とが結合される。そして、排泥管76bの他端開口と排泥用のポンプ76cの吸込口とが連通可能に連結され、排泥用のポンプ76cの吐出口と排泥タンク76dとが連結管76eにより連通可能に連結される。
【0024】
尚、水貯留タンク75a及び排泥タンク76dは、水貯留タンク75aと排泥タンク76dとが一体となった集合タンク75Xにより構成される。即ち、集合タンク75Xの内部に仕切体75wを設けて集合タンク75Xの内部を2つの領域に区切り、一方の領域を水貯留タンク75aとして使用し、他方の領域を排泥タンク76dとして使用する。
つまり、最初に一定量の水を集合タンク75X内に満たしておき、送水用のポンプ75dを駆動して空間69内に水を圧送すると、空間69内に圧送された水と掘削機械26により掘削された土砂とが混ざって泥水となる。そして、排泥用のポンプ76cを駆動することにより、空間69内の泥水が排泥タンク76dに排出される。排泥タンク76dに排出された泥水中の泥が排泥タンク76dの底に沈殿するとともに、仕切体75wを越えて水貯留タンク75aに入り込んだ泥水が再び送水用のポンプ75dによって空間69内に圧送される。即ち、泥水を循環させて空間69内に供給できるようになるので、水の使用量を減らすことができる。また、水よりも比重が大きい泥水を空間69内に供給できるので、地盤及び地下水の圧力に抵抗できて、地盤及び地下水の圧力と空間69内の圧力とを均等にしやすくなるので、地盤沈下等、地中10に与える影響を少なくすることができる。また、空間69内が泥水化するので、排泥をスムーズに行えるようになり、掘削しやすくなる。
【0025】
また、水供給孔75bと水供給管75cの一端との結合構造、排泥孔76aと排泥管76bの一端との結合構造は、次のような結合構造であってもよい。基板の後面39に孔(水供給孔75b、排泥孔76a)に連通する図外の管部を形成しておいて、当該管部の開口端面と管(水供給管75c、排泥管76b)の一端開口端面とを互いに突き合わせた状態で環状ジョイント部材を当該突合せ部分に被せることにより管部と管とを結合したり、管の一端開口を介して管内に管部を嵌め込んだ状態で管の一端開口部の外周面を環状クリップ部材で締め付けることにより管部と管とを結合する。
尚、最初から泥水を集合タンク75X内に満たしておき、送水用のポンプ75dを駆動して空間69内と集合タンク75X内との間で泥水を循環させるようにしてもよい。
【0026】
推進装置4は、例えば、油圧ジャッキ62により構成される。油圧ジャッキ62のピストンロッド63の先端には押圧板64が設けられる。
【0027】
推進力伝達装置70は、推進力伝達棒状体71と、推進力伝達用の当て材72と、上述の基板25と、上述の水密性能維持部材35と、上述の管側推進力受け部21とを備える。
推進力伝達棒状体71は、一端71aから他端71bまでの長さが基板25の後面39と先頭管6の後端面102eとの間の最短距離よりも長い寸法の棒状体71xと、棒状体71xの他端71b側より突出させた傾き防止部71cとを備える。棒状体71xは例えばH形鋼を用い、傾き防止部71cは例えば棒状体71xを形成するH形鋼に溶接又はボルトなどの接続手段で結合された鋼材を用いる。尚、傾き防止部71cは、先頭管6の左内側面6aや右内側面6bに面接触する面を有した面体71dを備える。
推進力伝達棒状体71は、棒状体71xの中心軸が先頭管6の中心軸と同一方向を向くように設置され、かつ、面体71dの面と先頭管6の左内側面6aや右内側面6bとが面接触するように、一端71aと基板25の後面39とが溶接又はボルトなどの接続手段で結合される。
即ち、左の推進力伝達棒状体71Aの棒状体71xの中心軸が先頭管6の中心軸と同一方向を向くように設置され、かつ、左の推進力伝達棒状体71Aの面体71dの面と先頭管6の左内側面6aとが面接触するように、左の推進力伝達棒状体71Aの棒状体71xの一端71aと基板25の後面39とが溶接又はボルトなどの接続手段で結合される。また、右の推進力伝達棒状体71Bの棒状体71xの中心軸が先頭管6の中心軸と同一方向を向くように設置され、かつ、右の推進力伝達棒状体71Bの面体71dの面と先頭管6の右内側面6bとが面接触するように、右の推進力伝達棒状体71Bの棒状体71xの一端71aと基板25の後面39とが溶接又はボルトなどの接続手段で結合される。
左右の推進力伝達棒状体71A;71Bの一端71a;71aは、基板25の上下縁間の中央部に結合される。
【0028】
そして、当て材72を、先頭管6の後端面102eより後方に突出する左右の推進力伝達棒状体71A;71Bの他端71b;71b間に跨るように設置して他端71b;71bに図外のボルトや万力装置などで連結し、当て材72における先頭管6の中心軸が位置する部分を油圧ジャッキ62の押圧板64で押圧することにより、油圧ジャッキ62による押圧力が、当て材72、左右の推進力伝達棒状体71A;71B、基板25、管側推進力受け部21を介して先頭管6及び回転掘削体46;46に伝達されるので、案内刃管9及び先頭管6が前方に推進するとともに回転掘削体46;46が前方に推進する。
即ち、一方の推進力伝達棒状体である左の推進力伝達棒状体71Aを基板25の後面39の左側縁側における上下縁間の中央部に結合するとともに、他方の推進力伝達棒状体である右の推進力伝達棒状体71Bを基板25の後面39の右側縁側における上下縁間の中央部に結合し、これら左右の推進力伝達棒状体71A;71Bを油圧ジャッキ62で押圧して管2を推進させる構成としたので、管2の左右に均等に押圧力を加えることができるようになる。
【0029】
そして、実施形態1においては、例えば図8に示すように、セグメントにより筒状に構築されたセグメントトンネル110のトンネルの壁111で囲まれた内側空間であるトンネルの空洞部100から地中10に管2を推進させる際に、トンネルの空洞部100から地中10への管2の出発口112をセグメントトンネル110の中心軸113に沿った方向において所定の間隔(例えば400mm〜500mm程度)を隔ててトンネルの壁111に間欠的に設けるようにした。このように、出発口112をトンネルの壁111に間欠的に設けたことにより、出発口112を形成する互いに隣り合う孔115と孔115との間に所定の間隔h分のセグメントが残るためセグメントトンネル110の構造強度の低下を少なくできる。
【0030】
出発口112は、例えば図8に示すように、セグメントトンネル110の中心軸113に沿った方向の長さが管2を複数個並べた左右横幅分の長さに対応するように決められ、複数の出発口112を形成する孔115が、セグメントトンネル110の中心軸113に沿った方向に所定の間隔h(例えば400mm〜500mm程度)を隔てて隣り合うように形成される(図8では、出発口112のセグメントトンネル110の中心軸113に沿った方向の長さが管2を3個並べた左右横幅分の長さに対応するように決められている場合を図示している)。
あるいは、図示しないが、出発口112は、セグメントトンネル110の中心軸113に沿った方向の長さが1個の管2の左右横幅分の長さに対応するように決められ、複数の出発口112を形成する孔115が、セグメントトンネル110の中心軸113に沿った方向に所定の間隔h(例えば400mm〜500mm程度)を隔てて隣り合うように形成される。
【0031】
さらに、図12;図13に示すように、出発口112には、出発口112を補強するために、例えば金属製の補強体116が設けられる。補強体116は、一端開口の有底箱状に形成され、かつ、底壁117には管2を出入させるエントランス口118を備え、一端開口側には取付フランジ119を備える。取付フランジ119は、一端開口を囲むように設けられ、一端開口縁面116aと連続してトンネルの壁111の空洞部100側の面111a(セグメントトンネル110の内面)と対向する対向面116bを有する。一端開口縁面116aと対向面116bとにより止水面116cが構成される。出発口112の孔115を囲むように補強体116の止水面116cと面111aとを対向させ、かつ、止水面116cと面111aとの間に水密性能維持部材116dを挟んだ状態で、取付フランジ119がボルト119a等の取付手段により当該面111aに取付けられることにより、補強体116は面111aとの間の水密性能が維持された状態で面111aに固定される。止水面116cが面111aの湾曲凹面に対応して面接触可能な湾曲凸面に形成された場合、止水面116cと面111aとが等間隔に維持され、止水性能が向上する。
エントランス口118は、補強体116の底壁117に出発口112に対応して管2を通過させることの可能な寸法に形成された貫通孔117aと、この貫通孔117aの内周面に貫通孔117aを通過する管2の外面との水密性能を維持するための水密性能維持部材117bとを備える。水密性能維持部材117bは、出発口112の中心を中心とした環状の矩形枠体により形成される。
エントランス口118は、エントランス口118の中心線と出発口112の中心線とを結ぶ円弧と管2を推進させた場合の管2の進行軌跡とが一致するように位置決めされる。
このように、補強体116が出発口112の孔115を囲むように壁111の空洞部100側の面111aに取付手段によって固定されることによって、補強体116により出発口112が保形され、かつ、セグメントトンネル110の強度低下が防止される。
また、エントランス口118の中心線と出発口112の中心線とを結ぶ円弧と管2を推進させた場合の管2の進行軌跡とが一致するように構成されたので、管2がエントランス口118及び出発口112を通過する際に管2が管の推進方向に対して振れにくくなり、エントランス口118及び出発口112を通過するよう管2を正確に推進させることができる。
また、エントランス口118が水密性能維持部材117bを備えたので、管2がエントランス口118を通過する際の止水を行え、管2の推進作業を容易に行える。
尚、補強体116内に溜まる地下水は、補強体116に設けられた図外の排水口を介して補強体116の外側に排出すればよい。
【0032】
また、各出発口112から出発して地中10に設置された管2のうち、図9に示すように、隣り合う出発口112;112の左右の孔縁120;121側に位置する管2の側面122には注入口123が設けられる。そして、隣り合う出発口112;112の左右の孔縁120;121側に位置する管2の側面122;122間に位置する地中10に管2の注入口123より薬液やセメント系注入剤を注入する注入処理や凍結処理等による止水処理Wを施す。後述するパッカーを用いて注入処理を行う場合は、注入口123に、薬液やセメント系注入剤が地中10から管2内に逆流するのを防止するための図外の逆止弁が設けられた管2を用いる。
【0033】
エントランス口118及び出発口112のセグメントトンネル110の中心軸113に沿った方向の長さが1個の管2の左右横幅分の長さに対応するように決められている場合には、1個の先頭管6を出発口112経由で地中10に推進させて後続管7を後続させるので、上述した管設置装置1を用いればよい。
【0034】
次に、図4を参照して管設置装置1による地中10への管2の設置方法を説明する。尚、図4では、セグメントトンネル110、出発口112、補強体116の図示を省略している。
掘削機械26と推進力伝達棒状体71と水供給管75cと排泥管76bとが取付けられた基板25を先頭管6の内側に設置する。つまり、基板25を形成する矩形板30の前面39fにおける矩形周縁面33が、先頭管6の内側に管側推進力受け部21を形成する矩形枠体22の枠後面32に水密性能維持部材35を介して突き付けられた状態となるように設置する。これにより、管2を、地中10に形成された空洞部100から地中10に設置する場合に、先に地中10に入れる先頭管6の先頭開口6tの前方位置に掘削機械26の回転掘削体46;46が設置され、この回転掘削体46;46が回転駆動されることによって第2の掘削ビット81;第1の掘削ビット80が先頭管6の先頭開口6tの前方位置の地盤を掘削することになる。
そして、先頭管6の先端側を空洞部100からエントランス口118経由で補強体116に挿入し(図13参照)、当て材72を、先頭管6の後端面102eより後方に突出する左右の推進力伝達棒状体71A;71Bの他端71b;71b間に跨るように設置する。また、掘削機械26の耐圧ホース56の他端を油圧源55に接続する。そして、先頭管6の先端の案内刃管9の刃先9aを地中面101に押し付けた状態で油圧ジャッキ62を設置し、縮退したピストンロッド63の先端に設けられた押圧板64を当て材72における先頭管6の中心軸が位置する部分に位置させる。
そして、送水用のポンプ75dを駆動して空間69内に泥水を供給し、空間69内と集合タンク75X内との間で泥水を循環させるとともに、制御装置65による制御によって、油圧源55から油圧モータ47に圧油を供給して回転掘削体46を回転させながら、油圧ジャッキ62のピストンロッド63を伸ばして当て材72における後続管7の中心軸が位置する部分を押圧すると、推進力伝達装置70を介して先頭管6に伝達される推進力と回転掘削体46の回転に伴う地盤掘削とによって先頭管6が前方に推進し、先頭管6が地中10に設置される。
【0035】
先頭管6の後端面102eを残して先頭管6が地中10に設置された後、図4(b)に示すように、先頭管6の後端面102eに後続管7を溶接、又は、ボルト等の固定具により接続し、さらに、図4(c)に示すように、先頭の推進力伝達棒状体71の他端71bと後続の推進力伝達棒状体71の一端71aとをボルト、又は、溶接により結合することにより、先頭の推進力伝達棒状体71の後ろに後続の推進力伝達棒状体71を継ぎ足すとともに、また、耐圧ホース56の他端に図外の延長耐圧ホースを継ぎ足し、水供給管75cの他端に図外の延長水供給管を継ぎ足し、排泥管76bの他端に図外の延長排泥管を継ぎ足していく。
そして、図4(d)に示すように、当て材72を、後続管7の後端縁より後方に突出する左右の推進力伝達棒状体71A;71Bの他端71b;71b間に跨るように設置して、当て材72における後続管7の中心軸が位置する部分を油圧ジャッキ62のピストンロッド63で押圧しながら、掘回転掘削体46;46を回転駆動することにより、回転掘削体46が掘削を行いながら先頭管6が推進し、後続管7が地中に設置される。
尚、回転掘削体46;46が地中10を掘削した土砂は空間69内で水と混ざって泥水となって排泥タンク76dに排出される。
以後、同様に、前の後続管7の後端縁に後の後続管7を順次連結して地中10に設置していくことで、支保工11を構築できる。
【0036】
支保工11を構築した後は、掘削始点となった出発側の空洞部100内に掘削機械26を引き戻して回収する。回収の際には、回転掘削体46が管2内を通過可能なように、第2の掘削ビット群810の第2の掘削ビット81の先端が先頭管6の案内刃管9の上板の内面9uと同一平面を示す位置より上方に位置しない状態(回収可能状態)にしてから(図3(b)参照)、回転掘削体46を管2内に引き戻して掘削機械26を出発側の空洞部100に回収する。尚、回転掘削体46に回転掘削体46が回収可能状態になったことを検出する図外のエンコーダのような回転位置検出装置を設けておくことにより、作業者に回転掘削体が回収可能状態となったことを知らせるようにすればよい。
実施形態1によれば、推進力伝達棒状体71を継ぎ足していくことから、掘削機械26を回収する際には、最後尾の推進力伝達棒状体71側から推進力伝達棒状体71の1個長さ分ずつ空洞部100内に引き戻して、最後尾側から先頭まで順番に推進力伝達棒状体71を取り外していくことにより、掘削機械26を容易に回収できるようになる。この場合、推進装置4の一例である油圧ジャッキ62を掘削始点となる空洞部100内にのみ設置すれば良いので、装置コストを低減できる。
尚、到達側の空洞部100内に掘削機械26を押し出して回収するようしてもよい。た例えば、先頭管6を到達側の空洞部100に押し出して管側推進力受け部21を除去してから、到達側の空洞部100内に掘削機械26、基板25、推進力伝達棒状体71を押し出して回収する。この場合、掘削機械26を掘削始点となった空洞部100内に引き戻す作業よりも掘削機械26を到達側の空洞部100内に押し出す作業の方が容易となるので、掘削機械26の回収作業が容易となる。例えば、図10;図7(a);図11;図6のように、左右の空洞部100間に支保工11を構築する場合、掘削機械26を到達側の空洞部100内に回収して、左右の空洞部10から交互に掘削するようにしてもよい。この場合、推進装置4の一例である油圧ジャッキ62を左右の空洞部100にそれぞれ設置する必要があるが、掘削機械26の回収作業は容易となる。尚、図10;図11に示すように、到達側の空洞部100を形成するセグメントトンネル110の壁111に形成された到達口125にも補強体116を設けることが好ましい。
図7(b)のように、地中10に形成された1つの空洞部100から出発して当該空洞部100に戻るように支保工11を構築する場合には、掘削機械26が1つの空洞部100の到達口に到達したならば掘削機械26を到達口から当該空洞部100内に押し出すようにして回収すれば、掘削機械26の回収作業が容易となるとともに、油圧ジャッキ62を当該1つの空洞部100内にのみ設置すれば良いので装置コストも低減できる。
【0037】
例えば、図8に示すように、管2が複数の出発口112;112…からそれぞれ出発して空洞部100;100間を跨ぐように地中10に設置され、隣り合う出発口112;112の左右の孔縁120;121側に位置して間隔hを隔てて互いに隣り合う管2;2の側面122;122間に位置する地中10には、管2の注入口123より薬液やセメント系注入剤を注入する注入処理や凍結処理等による止水処理を施して成る止水処理部130(図14(a)参照)を形成する。注入処理は、例えば図外パッカーと呼ばれる注入装置を用いて逆止弁付きの注入口123と連通する注入口123付近の管2内空間を密閉し、当該密閉空間内に薬液やセメント系注入剤を供給したり、作業員が管2内に入り込んで注入口123の位置まで移動し、作業員が注入口123を介して薬液やセメント系注入剤の注入作業を行うことにより、薬液やセメント系注入剤が注入口123を介して地中10に注入され、注入口123付近の地中10が地盤改良されて止水処理が行われることになる。また、凍結処理は、例えば注入口123を介して図外の冷媒管を地中10に設置し、冷媒管内に冷媒を循環させて地中10の地盤を凍結させることにより行われる。
以上により、図14(a)に示すように、地中10に形成された止水処理部130と、止水処理部130を挟んで互いに隣り合うように設置された複数の管2とにより止水構造体131が形成される。
そして、必要に応じて、管2内に、コンクリートを充填したり、鉄筋を配置してコンクリートを充填することによって、管2の強度を上げた支保工11を構築する。
【0038】
さらに、図14(b)に示すように、空洞部100;100の端部100e(空洞部100の中心軸113に沿った方向の端部)側に位置して対向する上下の止水構造体131;131の上下の端部131e;131e間(図14(a)参照)を覆うように端部止水構造体132が形成される。この端部止水構造体132は、例えば、以下のように形成される。空洞部100;100の端部100e側の壁111に注入管133を通す貫通孔134を形成し、この貫通孔134を介して地中10に注入管133を設置する。注入管133は、例えば、管の周面に注入口135を複数備えたものである。そして、例えば、貫通孔134を介して空洞部100から複数の注入管133を空洞部100の断面中心を中心とした放射状に設置し、地中10に設置された複数の注入管133と、互いに隣り合う注入管133と注入管133との間の地中10に止水処理を施した止水処理部136とにより、空洞部100;100の端部100e側から止水構造体131で囲まれた地中部分への地下水の侵入を防止する端部止水構造体132が形成される。
尚、注入管133に代えて冷媒管を地中10に設置し、冷媒管内に冷媒を循環させて地中10の地盤を凍結させた止水処理部136を形成してもよい。
注入管133や冷媒管は、地中10に形成された一方の空洞部100と他方の空洞部100との間に跨る上下の止水構造体131;131の上下の端部131e;131e間及びその周辺を十分に覆う止水処理部136(図15(a))を形成できるように配置されたり、地中10に形成された空洞部100から出発して当該空洞部100に戻る左右の止水構造体131;131の端部開口13f;13f及びその周辺を十分に覆う止水処理部136(図15(b))を形成できるように配置される。
【0039】
そして、止水構造体131と端部止水構造体132とで囲まれて地下水が入り込まないように区画された地中部分137を掘削して地中10に地下空間を形成する。この場合、セグメントトンネル110の壁111に図外の掘削機械のための出入口を形成し、この出入口を介して止水構造体131と端部止水構造体132とで区画された地中部分137に掘削機械を搬入して掘削機械で当該地中部分137を掘削して地中10に地下空間を形成する。
この地下空間は、地下鉄のトンネルを形成するセグメントトンネル110とセグメントトンネル110との間に地下鉄ホームを形成するための地下空間、あるいは、道路の分岐部や合流部を形成するための地下空間として利用される。
【0040】
地下空間を形成するための地中部分137は、管2及び壁111で囲まれた筒状地中領域に限らず、壁111;111の上部間を跨ぐように設置された管2と壁111とで区画され壁111;111の下部間が開放された地中領域137a(図16(a)参照)、壁111;111の下部間を跨ぐように設置された管2と壁111とで区画され壁111;111の上部間が開放された地中領域137b(図16(b)参照)、又は、先頭管6の先頭が到着側の壁111に到達する前まで推進され、先頭管6の先頭と壁111との間に止水処理を施した止水処理部138と管2と壁111とで区画された地中領域137c(図16(c)参照)であってもよい。
尚、上記開放された壁111;111の下部間や上部間には、例えば、空洞部100内から地中10に薬液を注入することによる止水処理や、空洞部100の中心軸113に沿った方向に図外のパイプなどを地中10に設置することによる止水処理等の止水処理が施される。
【0041】
尚、図8;図10;図11に示すように、出発口112のセグメントトンネル110の中心軸113に沿った方向の長さが管2を複数個並べた左右横幅分の長さに対応するように決められている場合には、例えば、図17に示すような、先頭管6を複数個並べて一緒に推進させる管設置装置1Aを用いる。
即ち、先頭開口6t(開口端縁13)側の内側に複数の回転掘削体46を設置した先頭管6を先頭管6の推進方向と交差する方向に複数個並べ、これら各先頭管6の一面(外面)同士を突き合わせて連結手段で連結することにより各先頭管6;6間の隙間を塞いだ状態で、当該複数個の先頭管6;6を一緒(同時)に推進させる。図17では、先頭開口6t側の内側に2個の回転掘削体46;46を設置した先頭管6を左右に2個並べて一緒に推進させる例を図示している。
つまり、矩形筒状の各先頭管6の面板のうちの1つの面板(例えば、回転掘削体46;46の回転中心線Lと直交する面板(図18に示す先頭管の左右いずれかの面板)、又は、回転掘削体46;46の回転中心線Lと平行な面板(図18に示す先頭管の上下いずれかの面板))に、先頭管6の内外に貫通する連通孔90;90を形成し、そして、互いに隣り合う先頭管6:6の連通孔90;90同士が連通するように互いに隣り合う先頭管6:6の一面同士を突き合わせて互いに隣り合う先頭管6;6を溶接等による連結手段で連結し、この互いに隣り合うように連結された複数個の先頭管6;6を同時に推進させる。
例えば、図1に示す先頭管6を2つ用意して、図18に示すように、右の先頭管6の左側面と左の先頭管6の右側面とにそれぞれ連通孔90を形成し、図19に示すように、左右の先頭管6:6の連通孔90;90同士が連通するように右の先頭管6の左側面と左の先頭管6の右側面とを突き合わせ、突き合わされた左側面の上端縁と右側面の上端縁とを溶接により連結するとともに、突き合わされた左側面の下端縁と右側面の下端縁とを溶接により連結することによって、左右に並ぶように連結された左右の先頭管6;6を形成し、この連結された左右の先頭管6;6を同時に推進させる。
尚、1つの外面同士が突き合わされた先頭管6;6同士を連結して各先頭管6;6間の隙間を塞ぐ連結手段としては、接着剤、接合板、接合テープ等を用いてもよい。
上記のように、互いに隣り合って接触する先頭管6と先頭管6の面板同士を貫通して互いに隣り合う先頭管2;2内を繋ぐ通路となる連通孔90;90を設けたので、連通孔90;90を介して掘削土や水が互いに隣り合う先頭管2;2間を流通可能となる。
この場合、管2の推進方向と交差する方向に並ぶように地中10に設置されて互いに隣り合う複数列の管2の列同士間の隙間が連結手段により塞がれているので、互いに隣り合うように地中10に設置された管2と管2との間に連結手段による止水部91が形成されることになり、互いに隣り合うように地中10に設置された管2と管2との間の止水処理作業を省くことができる。
【0042】
管設置装置1Aの先頭管6は、案内刃管9の後端開口縁面側の矩形の内外径寸法と管6xの先端開口縁面側の矩形の内外径寸法とが同じ寸法に形成され、案内刃管9の後端開口端面17aと管6xの先端開口端面18とが互いに突き合わされた状態で案内刃管9の後端開口端面17aと管6xの先端開口端面18との境界部分が全周溶接又は点溶接により接続されたことにより、管6xの先端に案内刃管9が設けられた構成のものを用いる。
尚、管設置装置1Aの先頭管6は、管の先端側が案内刃管9として機能する案内刃部に形成された管を先頭管6として用いてもよい。
【0043】
管設置装置1Aでは、左右の先頭管6:6の連通孔90;90同士が連通するように左右の先頭管6:6の面同士を突き合わせて左右の先頭管6;6を溶接等による連結手段で連結し、この連結された左右の先頭管6;6を同時に推進させる構成であるため、例えば、図17に示すように、右の先頭管6の水供給管75cを用いて右の先頭管6の空間69内に泥水を供給し、左の先頭管6の排泥管76bを用いて排泥することにより、泥水が右の先頭管6の空間69から連通孔90;90を経由して左の先頭管6の空間69内にも流れ込み、排泥用のポンプ76cの駆動によって左右の先頭管6;6の空間69内の排泥が排泥タンク76dに排出される構成とする。
そして、右の先頭管6の排泥管76b、及び、左の先頭管6の水供給管75cは、右の先頭管6の水供給管75cや左の先頭管6の排泥管76bが詰まった場合の予備用として用いるようにした。
このように、互いに隣り合う先頭管2;2内を繋ぐ通路となる連通孔90;90を備え、連通孔90;90を介して掘削土や水が先頭管2;2間を流通可能となるように構成したことで、一方の先頭管2内に泥水を送って他方の先頭管2内経由で排泥を行うことができるようになったので、互いに隣り合う2つの先頭管2;2に対する泥水供給排泥経路を1系統にでき、送水用のポンプ75d;排泥用のポンプ76cの数を最小限にできて経済的である。
尚、図示しないが、右の先頭管6の水供給管75cを用いて右の先頭管6の空間69内に泥水を供給し、右の先頭管6の排泥管76bを用いて排泥する右の泥水供給排泥経路と、左の先頭管6の水供給管75cを用いて左の先頭管6の空間69内に泥水を供給し、左の先頭管6の排泥管76bを用いて排泥する左の泥水供給排泥経路とを形成してもよい。即ち、先頭管6毎に泥水供給排泥経路を個別に構成してもよい。
【0044】
そして、一緒に推進させる左右の先頭管6;6の後端面102e;102eより後方に突出するすべての推進力伝達棒状体71の他端71b間に跨る長さの当て材72を用い、当該当て材72を左右の先頭管の後端面102eより後方に突出するすべての推進力伝達棒状体71の他端71b間に跨るように設置して、当該当て材72を推進力伝達棒状体71の他端71bに図外のボルトや万力装置などで連結する。そして、当て材72における先頭管6の中心軸が位置する部分を油圧ジャッキ62の押圧板64で押圧することにより、油圧ジャッキ62による押圧力が、当て材72、すべての推進力伝達棒状体71、基板25、管側推進力受け部21を介して先頭管6及び回転掘削体46;46に伝達されるので、左右の先頭管6及び回転掘削体46;46が前方に一緒に推進する。
この場合、例えば、左の先頭管の後端面102eより後方に突出する左右の推進力伝達棒状体71A;71B間の中央に位置する当て材72の部分と、右の先頭管の後端面102eより後方に突出する左右の推進力伝達棒状体71A;71B間の中央に位置する当て材72の部分とを、2つの油圧ジャッキ62によりそれぞれ個別に押圧する。即ち、当て材72における各先頭管6;6の中心軸が位置する部分を個々に油圧ジャッキ62で押圧する。
以後、図4で説明したように、先頭管6の後端面102eに後続管7を接続し、左右に互いに隣り合う後続管7;7の一面(外面)同士を突き合わせて互いに隣り合う後続管7;7を溶接等による連結手段で連結し、推進力伝達棒状体71を継ぎ足して、先頭管6;後続管7を推進させる。その後、同様に前方の後続管7の後端に後続管7を順次接続していって、先頭管6;後続管7を推進させる。
【0045】
管設置装置1Aの場合、各先頭管6において、一方の推進力伝達棒状体である左の推進力伝達棒状体71Aを基板25の後面39の左側縁側における上下縁間の中央部に結合するとともに、他方の推進力伝達棒状体である右の推進力伝達棒状体71Bを基板25の後面39の右側縁側における上下縁間の中央部に結合し、並列に並べられた個々の先頭管6の各推進力伝達棒状体71の全てに跨るように当て材72を設置し、そして、当て材72における各先頭管6;6の中心軸が位置する部分を油圧ジャッキ62で個々に押圧する構成としたので、各油圧ジャッキ62;62からの押圧力が当て材72を介して各推進力伝達棒状体71に均等に伝達されて、各先頭管6;6の左右に均等に押圧力を加えることができるようになり、複数の先頭管6;6を同時(一緒)にスムーズに推進させることができる。
【0046】
また、管設置装置1Aを用いる場合、管2の推進方向と交差する方向に複数個並べられて互いに隣り合う管2と管2との間の隙間を連結手段を用いて塞いだ状態で、当該複数個の管2を一緒に推進させたので、互いに隣り合うように地中10に設置された管2と管2との間に連結手段による止水効果の高い止水部91が設けられることになることから、互いに隣り合うように地中10に設置された管2と管2との間の止水処理作業を省くことができ、地中部分に地下空間を形成する施工において、施工期間の短縮、施工費の削減等を実現できるとともに、止水効果の高い支保工を構築できる。
また、管2の推進方向と交差する方向に複数列並べられて互いに隣り合う複数列の管2の設置作業を容易に行えるとともに互いに隣り合う管2の複数列間の止水部91を溶接等の連結手段により確実かつ容易に形成できる。
また、互いに隣り合う先頭管2;2内を繋ぐ通路となる連通孔90;90を備えたので、互いに隣り合う2つの先頭管2;2内に対する泥水供給排泥経路を1系統にでき、送水用のポンプ75d;排泥用のポンプ76cの数を最小限にできて経済的である。即ち、互いに隣り合う2つの先頭管2;2内に送水し、互いに隣り合う2つの先頭管2;2内より排泥する設備コストを抑えることができて、経済的となる。
【0047】
実施形態1のように、先に地中10に入れる管としての先頭管6を押圧するとともに掘削機械26で地中10を掘削することにより先頭管6を推進させ、かつ、先頭管6の後端に後続管7を順次連結して先頭管6を推進させることによって、複数の管2を地中10に設置したので、中心軸に沿った方向の長さの短い管2を用いて中心軸に沿った方向の長さの長い支保工11を容易に構築できる。例えば、空洞部100の内部空間が狭い場合でも、複数の管2を順次繋いでいくことにより、長さの長い支保工11を容易に構築できるようになる。また、管2を短くできるので、管2の取り扱いも容易になり、作業も容易に行えるようになる。
【0048】
実施形態1によれば、先頭管6の先頭開口6t側の内側に、先頭管6の推進方向と交差する回転中心線Lを回転中心として回転する回転掘削体46を有した掘削機械26を設置し、管2を押圧するとともに掘削機械26で地中を掘削することにより、管2を推進させて地中10に設置したので、地中10が、硬質・レキ混じりである場合でも、断面矩形状の管2の内側の角部付近の地中部分を2つの回転掘削体46;46で掘削できるようになるので、管2を地中10においてスムーズに推進させることができるようになり、支保工11を容易に構築できるようになる。
また、実施形態1によれば、回転掘削体として、管2の推進方向と交差する回転中心線Lを回転中心として回転する回転掘削体46を備え、回転掘削体46の掘削ビット52;52a;52bが回転掘削体46の回転中心線Lと交差する方向に延長するように設けられていることから、回転掘削体46の回転によって掘削ビット52;52a;52bが地中10に食い込む動作が繰り返されて地中10が断面半円形状に掘削される。これと比較して、管2の中心軸を回転中心とする回転掘削体を備えた掘削機械を用いる場合(以下、比較例という)、掘削ビットの先端が管2の中心軸と直交する面上で円弧軌跡を描くように動いて地中10が断面矩形状に掘削される。
即ち、実施形態1の場合、回転掘削体46の回転方向と管2の推進方向と同じ方向を向くので、掘削ビット52;52a;52bで地盤を掻くようにして地中10を効率的に掘削できるのに対して、比較例の場合、回転掘削体の回転方向が管2の推進方向と直交する方向なので、地盤に押し付けられた状態の掘削ビットの先端で地盤を擦るようにして地中を掘削する。
例えば、実施形態1によれば、地中10が硬質・レキ混じりである場合であっても、掘削ビット52;52a;52bで地盤を掻いで掘削していくので、地中10を効率的に掘削できて、掘削機械26及び管2が地中10においてスムーズに進行する。一方、地中10が硬質・レキ混じりである場合、比較例によれば、掘削ビットを地盤に押し当てるので実施形態1と比べて掘削機械及び管2が地中10においてスムーズに進行しない場合が考えられる。
したがって、実施形態1と比較例とを比べた場合、実施形態1の方が、地中10をより効率的に掘削でき、管2を地中10においてスムーズに進行させやすい。
【0049】
さらに実施形態1によれば、回転体50の回転中心線Lから回転中心線Lと直交する線上を経由した第1の掘削ビット80の先端までの第1距離80x(即ち、第1の掘削ビット80による掘削半径)と回転体50の回転中心線Lから回転中心線Lと直交する線上を経由した第2の掘削ビット81の先端までの第2距離81x(即ち、第2の掘削ビットによる掘削半径)とが異なるように設定され、第1距離80xを掘削半径とした第1の掘削ビット80による掘削径が、先頭管6の案内刃管9の上下内面9u;9u間の寸法9xよりも小さく、第2距離81xを掘削半径とした第2の掘削ビット81による掘削径が、先頭管6の案内刃管9の上下内面9u;9u間の寸法9xよりも大きく設定された回転掘削体46を備えた。このため、先頭管6の先端開口6tより前方に位置する回転掘削体46を回転させて掘削ビット80;81が地盤を掘削することにより、先頭管6の先端開口6tの前方において、先頭管6の管の中心を中心とした矩形断面であって先頭管6の先端開口6tの矩形断面の幅寸法(回転掘削体46の径方向に対応する幅寸法、例えば、先頭管6の案内刃管9の上下内面9u:9u間の寸法9x)より幅寸法の大きい矩形断面の孔を掘削できる。よって、先頭管6の先端開口縁が地盤に衝突する前に、先頭管6の先端開口6tよりも前方に位置する地盤を掘削ビット80;81により確実に掘削できるので、先頭管6の先端開口縁(案内刃管9の刃先9a)が硬質の地盤に衝突して先頭管6を推進できなくなるような事態を防止でき、地中10が硬質・レキ混じりの地中10である場合でも、管2をよりスムーズに推進させることができる。
また、第1の掘削ビット80による掘削径が先頭管6の案内刃管9の上下内面9u:9u間の寸法9xよりも小さいので、掘削機械16の回収時には、図3(b)に示すように、第2の掘削ビット群810の第2の掘削ビット81の先端が先頭管6の案内刃管9の上板の内面9uと同一平面を示す位置より上方に位置しない状態にすることで、回転掘削体46が管2内を通過できるようになるので、回転掘削体46を管2内に通して引き戻すことにより掘削機械26を出発側の空洞部100に回収できる。
【0050】
また、回転体50の外周面51上で周方向に互いに180°離れた位置に設けられた各第2の掘削ビット群810;810の各掘削ビット81の先端位置が、回転体50の回転中心線Lと直交する同一の面85上に位置しないように設定されている。つまり、回転体50の外周面51上で周方向に互いに180°離れた位置に設けられた一対の第2の掘削ビット群810;810は、回転掘削体46の回転により一方の第2の掘削ビット群810で掘削できない地盤部分を他方の第2の掘削ビット群810で掘削できるように構成されているので、先頭管6の先端開口6tの矩形断面の幅寸法より幅寸法の大きい矩形断面の孔を効率的に掘削でき、管2をよりスムーズに推進させることができる。
【0051】
また、各第2の掘削ビット群810;810は、回転中心線Lを中心として回転体50の外周面51上で周方向に180°離れた位置にそれぞれ設けられたので、回転掘削体46の回転重心を一定に保てるようになり、回転掘削体46の回転がスムーズになって効率的に掘削できて、管2をよりスムーズに推進させることができる。
また、第2の掘削ビット81及び第1の掘削ビット80を備えたので、第2距離81xを掘削半径とした掘削径の孔を第2の掘削ビット81及び第1の掘削ビット80によってより効率的に掘削できるようになる。
【0052】
実施形態1によれば、地中10に形成された空洞部100を囲む壁111に設けられて管2を空洞部100から地中10に送る出発口112となる孔115を壁111に間欠的に設け、出発口112を介して空洞部100から複数列状に管2(曲管又は直管)を地中10に設置し、かつ、隣り合う出発口112;112を経由して地中に設置されることにより外面同士が互いに間隔hを隔てて隣り合うように地中10に設置された管2と管2との間の地中10に各管2;2の内外を貫通するように管壁に設けられた注入口123より止水処理を施した止水処理部130を形成し、地中10に間隔hを隔てて隣り合うように設置された複数の管2と止水処理部130とにより構成された止水構造体131及び止水構造体131;131の端部131e;131e間を覆うように形成された端部止水構造体132によって地下水が入り込まないように区画された地中部分137を掘削して地中10に地下空間を形成したので、従来のような継手付きの特殊な管を用いる必要がなく、地中10に地下空間を形成する際の止水処理のコスト、作業性の面を改善でき、また、管2を出発させる空洞部100を形成する壁111の構造強度の低下を少なくできる。
【0053】
また、出発口112の幅の長さが、管2を複数列(複数個)並べた分の長さに対応する長さに形成された場合において、上述した管設置装置1Aを用いる場合は、複数列の管2の設置作業を容易に行えるとともに互いに隣り合う複数の管2;2間の止水を溶接により確実かつ容易に行えるし、上述した管設置装置1を用いて管2を1列ずつ地中10に設置する場合は、隣り合う複数の管2;2の外面同士を容易に接触させることができるので、互いに隣り合う管2と管2との間の止水処理を容易に行える。
【0054】
また、出発口112を壁111に間欠的に設けたことにより、出発口112を形成する互いに隣り合う孔115と孔115との間に所定の間隔h分のセグメントが残るためセグメントトンネル110の構造強度の低下を少なくできるとともに、隣り合う出発口112;112の左右の孔縁120;121側に位置する管2の側面122;122間に位置する地中10には、管2の注入口123より薬液やセメント系注入剤を注入する注入処理や凍結処理等による止水処理を施したので、管2;2間を適切に止水できる。
また、補強体116を用いたので、出発口112を保形できるとともにセグメントトンネル110の強度低下を防止できる。また、補強体116は、エントランス口118の中心線と出発口112の中心線とを結ぶ円弧と管2を推進させた場合の管2の進行軌跡とが一致するように設けられたので、管2がエントランス口118及び出発口112を通過する際に管2が管の推進方向に対して振れにくくなり、管2がエントランス口118及び出発口112を通過するよう正確に推進させることができる。また、補強体116のエントランス口118が水密性能維持部材117bを備えたので、管2がエントランス口118を通過する際の止水を行え、管2の推進作業を容易に行える。
【0055】
実施形態1によれば、一方の推進力伝達棒状体である左の推進力伝達棒状体71Aを基板25の後面39の左側縁側における上下縁間の中央部に結合するとともに、他方の推進力伝達棒状体である右の推進力伝達棒状体71Bを基板25の後面39の右側縁側における上下縁間の中央部に結合し、これら先頭に位置する左右の推進力伝達棒状体71A;71Bを油圧ジャッキ62で押圧して先頭管6を推進させる構成とし、さらに、先頭の左右の推進力伝達棒状体71A;71Bに後続の左右の推進力伝達棒状体71A;71Bを順次継ぎ足していって、これら後続の左右の推進力伝達棒状体71A;71Bを油圧ジャッキ62で順次押圧して後続管7を順次推進させる構成としたので、先頭管6及び後続管7の左右に均等に押圧力を加えることができるようになり、先頭管6及び後続管7を予定の推進方向に真っ直ぐに正確に推進させることができる。
また、推進力伝達棒状体71は、先頭管6や後続管7の左内側面や右内側面に面接触する面体71dを持つ傾き防止部71cを備えているので、推進力伝達棒状体71に油圧ジャッキ62からの押圧力が加わった場合に、推進力伝達棒状体71が先頭管6や後続管7の左内側面側や右内側面側に傾くことを防止でき、油圧ジャッキ62からの押圧力を基板25に確実に伝達できるようになる。
【0056】
また、実施形態1によれば、空間69内に水を供給するための水供給機構75と空間69内の泥水を排出するための排泥機構76とを備え、水貯留タンク75aと排泥タンク76dとが一体となった集合タンク75Xを使用したので、管2を推進させる場合、図外の制御装置によって送水用のポンプ75dと排泥用のポンプ76cとを駆動させることにより、泥水を循環させて空間69内に供給できるようになるので、水の使用量を減らすことができ、地盤及び地下水の圧力と空間69内の圧力とを均等にしやすくなるので、地盤沈下等、地中に与える影響を少なくすることができ、しかも、空間69内が泥水化するので、排泥をスムーズに行えるようになり、掘削しやすくなるという効果が得られる。
【0057】
実施形態1においては、管2の後端面102eに後続管7を接続した後に、推進力伝達棒状体71の後ろに後続の推進力伝達棒状体を継ぎ足すようにしたが(図4(b);(c)参照)、逆に、推進力伝達棒状体71の後ろに後続の推進力伝達棒状体を継ぎ足した後に、管2の後端面102eに後続管7を接続するようにしてもよい。
推進力伝達棒状体71の後ろに後続の推進力伝達棒状体を継ぎ足した後に、管2の後端面102eに後続管7を接続する場合、継ぎ足した後続の推進力伝達棒状体の後方から後続管7を置いてから管2の後端面102eに移動させなくてはならないので、継ぎ足した後続の推進力伝達棒状体の後方に後続管7を置くための後方スペースが必要となるとともに管の移動作業が必要となるが、推進力伝達棒状体同士の接続作業を容易にできる。一方、管2の後端面102eに後続管7を接続した後に、推進力伝達棒状体71の後ろに後続の推進力伝達棒状体を継ぎ足すようにすれば、上述した後方スペースを少なくでき、かつ、管の移動作業も容易にできる。
【0058】
補強体としては、出発口112の孔115を囲むように壁111の空洞部100側の面111aに固定される補強部を備えたものを用いれば、出発口112を保形するとともにセグメントトンネル110の強度低下の防止できるので、エントランス口118や孔内筒部127を備えない補強体を用いてもよい。
【0059】
出発口112のセグメントトンネル110の中心軸113に沿った方向の長さが管2を左右に複数列並べた幅分の長さに対応するように決められている場合においては、上述したように、管設置装置1Aを用いて管2を複数列同時に地中10に送り出して地中10に設置しても良いし、管設置装置1を用いて管2を1列ずつ地中10に送り出して地中10に設置してもよい。管2を1列ずつ地中10に送り出して地中10に設置する場合には、複数の管2の外面同士が互いに接触するように複数の管2を地中に設置することにより、複数の管2で止水構造体を形成することが可能となり、複数の管2;2間の止水処理を容易にできる。
【0060】
実施形態2(管2の推進方法の他例1)
実施形態1においては、推進力を受ける基板25に掘削機械26を固定して設け、かつ、先頭管6の内面に基板25を介して推進力を受ける管側推進力受け部21を設けることによって、掘削機械26と管2とを一緒に推進させる構成、即ち、基板25を押して掘削機械26と管2とを一緒(同時)に推進させる構成を示したが、管2の後端面102eを押して管2と掘削機械26とを一緒に推進させる構成としてもよい。
即ち、図20に示すように、先頭管6の管の内周面20aに、基板25の後面39における外周縁側面と対向して管2に伝達された推進力を基板25に伝達する矩形枠状の推進力伝達体710を溶接やボルト・ナットのような固定手段で固定して設け、推進装置4としての油圧ジャッキ620が管2の後端面102eを押圧することにより管2が推進するとともに、推進力伝達体710が基板25に推進力を伝達して掘削機械26が推進する構成とした。
基板25は、先頭管6の中心軸と基板25の中心軸とが一致するように配置されて先頭管6内を前後方向に移動可能に設けられる。基板25は、先頭管6の断面の内面を一周した矩形形状に対応した矩形板30により形成される。当該矩形板30の大きさは、先頭管6の断面の内面を一周した矩形の寸法よりも小さく、かつ、上記推進力伝達体710の矩形枠内周寸法よりも大きい。即ち、基板25を形成する矩形板30の後面39における矩形周縁面と、上記推進力伝達体710の矩形枠の枠前面とが対向するように形成される。基板25の後面39における外周縁側面と矩形環状の推進力伝達体710との間には、上述した水密性能維持部材35と同様の水密性能維持部材(パッキン)350が設けられる。即ち、水密性能維持部材350は、例えば、基板25を形成する矩形板30の後面39における矩形周縁面、又は、推進力伝達体710を形成する矩形枠の枠前面に取付けられる矩形枠体により形成される。したがって、管2に伝達された推進力が推進力伝達体710、水密性能維持部材350を介して基板25に伝達されることにより、管2と掘削機械26とが一緒に推進する。
尚、押圧板64からの押圧力によって管2の後端面102eが変形してしまうことを防止するために、油圧ジャッキ620のピストンロッド63の先端の押圧板64と管2の後端面102eとの間に図外の面板を介在させたり、あるいは、管2の外面に、油圧ジャッキ620のピストンロッド63の先端の押圧板64を受けて油圧ジャッキ620からの推進力を管2に伝達する図外の推進力伝達体を設けてもよい。管2の外面に図外の推進力伝達体を設ける場合には、当該推進力伝達体の部分が補強体116の入口の直前に来た場合に当該推進力伝達体を取り外せばよい。
【0061】
実施形態2では、実施形態1と同様に、回転掘削体46を回転させながら、油圧ジャッキ620を駆動して先頭管6の後端面102eを押圧することにより、推進力伝達装置70を介して先頭管6に伝達される推進力と回転掘削体46の回転に伴う地盤掘削とによって先頭管6が前方に推進し、先頭管6が地中10に設置される。
先頭管6の後端面102eを残して先頭管6が地中10に設置された後、先頭管6の後端面102eに後続管7を溶接、又は、ボルト等の固定具により接続し、実施形態1と同様に、延長耐圧ホース、延長排泥管を継ぎ足していく。そして、回転掘削体46を回転させながら、油圧ジャッキ620を駆動して後続管7の後端面102eを押圧することにより、回転掘削体46が掘削を行いながら先頭管6が推進し、後続管7が地中に設置される。
実施形態2の場合、掘削機械26の回収は、到達側の空洞部100に押し出して回収するか、あるいは、先頭管6を空洞部100に押し出して推進力伝達体710を除去してから、出発側の空洞部100に引き戻して回収する。
【0062】
実施形態2によれば、前の管2に後続の管2を繋げて管2の後端面102eを推進装置4としての油圧ジャッキ620で押圧するだけで良く、推進力伝達棒状体71の継ぎ足しを不要とできるので、推進力伝達装置70の構成を簡単にできる。
尚、実施形態2においては、基板25の外周と先頭管6の内周面20aとを溶接等の連結手段で連結しておいてもよい。基板25の外周と先頭管6の内周面20aとを全周溶接で水密状態に連結すれば、水密性能維持部材350を不要とできる。
【0063】
実施形態3(管2の推進方法の他例2)
図21に示すように、管2と、掘削機械26が固定された基板25とが、個別に推進可能に構成され、基板25と管2とを別々の油圧ジャッキ62;621により個々に推進させることができるように構成した。
即ち、掘削機械26を推進させるための油圧ジャッキ62と管2を推進させるための油圧ジャッキ621とをそれぞれ個別に設け、これら油圧ジャッキ62と油圧ジャッキ621とを別々に制御することにより、掘削機械26と管2とがそれぞれ単独で推進可能に構成された。
実施形態3では、基板25が先頭管6内を前後方向に移動可能に設けられ、かつ、基板25を形成する矩形板30の矩形外周面331には先頭管6の内周面20aとの間の水密性を維持するための例えば弾性体により形成された水密性能維持部材(パッキン)351が設けられる。即ち、基板25の中心を中心とした環状の矩形枠体36により形成された水密性能維持部材351の環内面と基板25の矩形外周面331とを接触させて両者を例えば接着剤等で接着することにより水密性能維持部材351が基板25の矩形外周面331に取付けられ、かつ、環状の水密性能維持部材351の環外面と先頭管6の管の内周面20aとが接触した水密性能維持状態で基板25が先頭管6の中心軸に沿って移動可能に構成されたことにより、基板25で区切られる先頭管6の前方内側の空間69から基板25の矩形外周面331と先頭管6の管の内周面20aとの間を介して水が空洞部100に流れ込んでしまうことを防止できる。
尚、環状の水密性能維持部材351は、先頭管6の内周面20aに取付けてもよい。
実施形態3では、推進装置4としての油圧ジャッキ62と、推進力伝達用の当て材72と、推進力伝達棒状体71とで、推進力受け部としての基板25に推進力を付与する掘削機械推進力供給手段が構成される。
また、推進装置4としての油圧ジャッキ621は、管2の後端面102eを押圧板64で押圧することにより管2に推進力を供給する管推進力供給手段として機能する。
【0064】
実施形態3では、推進力伝達棒状体71の一端71aを基板25の後面39に連結し、推進力伝達棒状体71;71の他端71b間を跨ぐように当て材72を設置する。回転掘削体46を回転させながら、推進装置4としての油圧ジャッキ62を駆動して当て材72を押圧することで基板25及び掘削機械26を推進させるとともに、推進装置4としての油圧ジャッキ621を駆動して先頭管6の後端面102eを押圧することで先頭管6を推進させることにより、掘削機械26及び先頭管6に伝達される推進力と回転掘削体46の回転に伴う地盤掘削とによって掘削機械26及び先頭管6が前方に推進し、先頭管6が地中10に設置される。
先頭管6の後端面102eを残して先頭管6が地中10に設置された後、先頭管6の後端面102eに後続管7を溶接、又は、ボルト等の固定具により接続し、さらに、先頭の推進力伝達棒状体71の他端71bと後続の推進力伝達棒状体71の一端71aとをボルト、又は、溶接により結合することにより、先頭の推進力伝達棒状体71の後ろに後続の推進力伝達棒状体71を継ぎ足すとともに、後続管7の後端面102eにさらに後続管7を溶接、又は、ボルト等の固定具により接続し、実施形態1と同様に、延長耐圧ホース、延長排泥管を継ぎ足していく。そして、回転掘削体46を回転させながら、油圧ジャッキ62を駆動して基板25及び掘削機械26を推進させるとともに、油圧ジャッキ621を駆動して後続管7の後端面102eを押圧することにより先頭管6を推進させることにより、回転掘削体46が掘削を行いながら先頭管6が推進し、後続管7が地中に設置される。
実施形態3の場合、掘削機械26を、出発側の空洞部100に引き戻して回収したり、到達側の空洞部100に押し出して回収する。
【0065】
実施形態3によれば、掘削機械推進力供給手段と管推進力供給手段とを個別に備えたので、案内刃管9の刃先9aに対して回転掘削体46;46の前後位置を自由に設定できるようになる。つまり、掘削機械26を先頭管6の先頭開口6t側の内側の位置から先頭管6の先端開口6tより前方の位置に移動させることができるとともに、掘削機械26を先頭管6の先端開口6tより前方の位置から先頭管6の内側に移動させることができる。
例えば、先頭管6の先端の刃先9aが硬質の地盤に衝突して先頭管6が推進しなくなった場合に、油圧ジャッキ62を作動させながら回転掘削体46;46で掘削動作を行わせることにより、掘削機械26の回転掘削体46;46が先頭管6の先端開口6tより前方の位置で地盤を掘削しながら推進するので、地中10において管2をスムーズに推進させることができるようになる。
また、掘削機械26を先頭管6内に位置させた状態で先頭管6及び掘削機械26の推進動作及び回転掘削体46;46による掘削動作を行うことにより、先頭管6の内側に入り込んだ地中部分のみが回転掘削体46;46により掘削されるので、地中10の余掘り部分が少なくなり、地盤沈下等、地中に与える影響を少なくすることができる。
このように、実施形態1においては、地盤の状況や先頭管6の推進動作の状況によって、先頭管6に対して先頭管6の中心軸に沿った前後方向に回転掘削体46;46の位置を変更できるようになるため、上述したように、地中10において管2をスムーズに推進させることができるとともに、地盤沈下等、地中10に与える影響を少なくすることもできるようになる。
また、先頭管6の内面に先頭管6の中心軸の方向に突出する突出物がなくなるので、掘削機械26を固定した基板25を出発口112側に引き戻して回収する作業や、到達口125側に押し出して回収する作業が容易となる。
【0066】
実施形態4(管2の推進方法の他例3)
掘削機械26と管2とが個別に推進可能に構成され、掘削機械26と管2とを一緒に推進させる構成としてもよい。
即ち、図22に示すように、基板25が先頭管6内を前後方向に移動可能に設けられ、かつ、基板25の外周面と管2の内周面20aとの間に、上述した水密性能維持部材350と同様の環状の水密性能維持部材(パッキン)352を設ける。そして、実施形態1の推進力伝達棒状体71の他端71bと管2の後端面102eとが管2の中心軸と直交する1つの平面上に位置するように揃えられ、推進力伝達棒状体71の他端71bと管2の後端面102eとに跨るように当て材720を設置して、推進装置4としての油圧ジャッキ622を駆動して当て材720を押圧することにより、管2と基板25とを一緒に推進させる構成とした。
【0067】
実施形態4によれば、推進力伝達棒状体71の一端71aを基板25の後面39に連結し、推進力伝達棒状体71;71の他端71b間を跨ぐように当て材720を設置する。回転掘削体46を回転させながら、油圧ジャッキ622を駆動して、当て材720を介して先頭管6の後端面102e及び推進力伝達棒状体71を同時に押圧することにより、掘削機械26及び先頭管6に伝達される推進力と回転掘削体46の回転に伴う地盤掘削とによって掘削機械26及び先頭管6が前方に推進し、先頭管6が地中10に設置される。
先頭管6の後端面102eを残して先頭管6が地中10に設置された後、先頭管6の後端面102eに後続管7を溶接、又は、ボルト等の固定具により接続し、さらに、先頭の推進力伝達棒状体71の他端71bと後続の推進力伝達棒状体71の一端71aとをボルト、又は、溶接により結合することにより、先頭の推進力伝達棒状体71の後ろに後続の推進力伝達棒状体71を継ぎ足す。この際、推進力伝達棒状体71の他端71bと管2の後端面102eとが管2の中心軸と直交する1つの平面上に位置するように揃える。また、実施形態1と同様に、延長耐圧ホース、延長排泥管を継ぎ足していく。そして、回転掘削体46を回転させながら、油圧ジャッキ622を駆動して、当て材720を介して後続管7の後端面102e及び推進力伝達棒状体71を同時に押圧することにより、掘削機械26及び先頭管6に伝達される推進力と回転掘削体46の回転に伴う地盤掘削とによって掘削機械26及び先頭管6が前方に推進し、後続管7が地中に設置される。
【0068】
実施形態4によれば、当て材720を介して1つの油圧ジャッキ622による押圧力を基板25と管2との両方に伝達できるので、基板25を押圧する油圧ジャッキと管2を押圧する油圧ジャッキとを個別に用意する必要がなくなり、駆動源のコストを低減できる。また、先頭管6の内面に先頭管6の中心軸の方向に突出する突出物がなくなるので、掘削機械26を固定した基板25を出発口112側に引き戻して回収する作業や、到達口125側に押し出して回収する作業が容易となる。
【0069】
実施形態5
図23に示すように、基板25が、先頭管6の中心軸に沿った方向の長さ寸法が長く、かつ、管2の矩形断面の内径寸法に対応した外形寸法を有した矩形状の筒部25Aを備えた構成としてもよい。そして、筒部25Aの筒外周面25aと先頭管6の内周面20aとの間の水密性能を維持するために基板25の中心を中心とした環状の矩形枠体により形成された水密性能維持部材25bを備えた構成とした。水密性能維持部材25bは、筒部25Aの筒外周面25a又は先頭管6の内周面20aのいずれかに1つ以上取付けた構成とすればよい。尚、図23では、図1の実施形態1の構成に実施形態5の構成を適用した例を図示したが、実施形態5の構成は、実施形態2;3;4の構成にも適用できる。
実施形態5によれば、基板25の中心軸に沿った方向の長さ寸法が長い筒外周面25aを有した筒部25Aを備えた基板25を用いたことで、基板25が推進する際に基板25の推進方向と先頭管6の中心軸とを平行に維持でき、基板25を先頭管6の中心軸に沿って平行に推進させることができるので、基板25を容易に推進させることができる。つまり、基板25が推進する際に、先頭管6の中心軸に対して基板25の中心軸が傾いてしまって基板25を推進方向に推進させにくくなってしまうような事態を防止できる。
また、基板25の推進方向と先頭管6の中心軸とを平行に維持できるので、基板25の筒外周面25aと先頭管6の内周面20aとの間の水密性能維持部材25bによる水密性能を良好にできるので、管2内を経由して空洞部100に地下水が流入しないように、掘削機械26と管2とを個別に推進させることが可能となり、空洞部100での排水処理作業の負担を軽減できる。
環状の水密性能維持部材25bを、筒外周面25aや管2の中心軸に沿った方向に所定間隔隔てて複数個設ければ、水密性をより向上できて好ましい。
【0070】
実施形態6
本発明は、図24(a)に示すように、一方の空洞部100が地上から地中10に向けて形成された立坑140により形成され、他方の空洞部100がシールドトンネルのセグメント141で囲まれたシールドトンネル142により形成されている場合において、立坑140内とシールドトンネル142内とを連通させる地下空間としての連通路143を形成する場合にも利用可能である。この場合、管2として直管を用いて、立坑140とシールドトンネル142との間を管2を直進させて設置することで、図24(b)に示すような、円筒状の壁144を構築し、この壁144内を掘削して地下空間としての連通路143を形成する。
【0071】
実施形態7
管2を1列ずつ地中10に設置する場合に、壁111に管1列毎に対応する出発口112を形成していって、互いに隣り合う管列を間隔を隔てて設置し、互いに隣り合う1列毎の管2;2の間の地中に止水処理部を形成していってもよい。この場合、管2を地中10に推進させる際の管2;2同士の干渉がなくなって管2を地中10にスムーズに推進させることができ、作業性がより向上する。
【0072】
実施形態8
また、管2を1列ずつ地中10に設置する場合に、壁111に設けられた出発口112を介して空洞部100から複数の管2を複数列状に地中10に設置することによって互いに隣り合う複数列の管2の外面同士が互いに接触した複数の管2による止水構造体を形成し、この止水構造体によって地下水が入り込まないように区画された地中部分を掘削して地中に地下空間を形成してもよい。
この場合、壁111に管2の1列毎に対応する出発口112を形成していって、管設置装置1を用いて管2を1列ずつ地中10に送り出して複数列の管2の外面同士が互いに接触するように設置してもよいし、壁111に管2の複数列分の幅に対応する出発口112を順次形成していって、管設置装置1Aを用いて管2を複数列同時に地中10に送り出して地中10に設置しても良い。
【0073】
実施形態9
第2の掘削ビット群810は、回転体50の外周面51に設けられた個々の取付部83に個々に取付けられた第2の掘削ビット81の集合体により構成されても良い。
【0074】
実施形態10
回転体50の外周面51上において回転体50の回転中心線Lに沿った方向の両方の端面に跨って回転中心線Lに沿った方向に直線状又は非直線状に個々の第2の掘削ビット81が個々に並ぶように配置されていたり、回転体50の外周面51上において回転体50の回転中心線Lに沿った方向の両方の端面に跨って回転中心線Lに沿った方向に直線状又は非直線状に延長する1つの掘削刃を有した第2の掘削ビットを備えた構成の回転掘削体46であって、回転掘削体46が管2の内側で回転中心線Lを中心として回転不可能で、かつ、先頭管6の先頭開口6tの前方位置で回転可能なように構成されていればよい。
【0075】
実施形態11
第2の掘削ビット群810;810が回転体50の外周面51上で周方向に互いに180°離れた位置に設けられていなくてもよい。
【0076】
要するに、掘削機械26は、回転中心線Lから回転中心線Lと直交する線上を経由した第1の掘削ビット80の先端までの第1距離80xが、回転掘削体46が管6の内側で回転中心線Lを中心として回転可能な回転半径に設定され、回転中心線Lから回転中心線Lと直交する線上を経由した第2の掘削ビット81の先端までの第2距離81xが、回転掘削体46が管2の内側で回転中心線Lを中心として回転不可能で、かつ、回転掘削体46が先頭管6の先頭開口6tの前方に位置された場合に回転中心線Lを中心として回転可能な回転半径に設定されればよい。
【0077】
実施形態12
回転掘削体46は、第1の掘削ビット80を備えない構成としてもよい。即ち、掘削ビットとして第2の掘削ビット81のみを有した回転掘削体46を用いてもよい。
【0078】
要するに、回転掘削体46が第1の掘削ビット80を備えない構成の場合において、回転中心線Lから回転中心線Lと直交する線上を経由した回転掘削体46の回転体50の外周面51までの最短距離である第1距離が、回転掘削体46が管6の内側で回転中心線Lを中心として回転可能な回転半径に設定され、回転中心線Lから回転中心線Lと直交する線上を経由した第2の掘削ビット81(掘削ビット)の先端までの第2距離81xが、回転掘削体46が管2の内側で回転中心線Lを中心として回転不可能で、かつ、回転掘削体46が先頭管6の先頭開口6tの前方に位置された場合に回転中心線Lを中心として回転可能な回転半径に設定されればよい。
【0079】
実施形態13
支柱42の中心線と先頭管6の中心線とが一致するよう支柱42が配置され、回転掘削体46の回転中心線Lが先頭管6の先端開口6tの上下高さの1/2の位置に位置決めされた構成において、図3に示すように、回転掘削体46は、第2距離81xが、先頭管6の断面中心から回転中心線Lに沿った先頭管6の先端開口6t側において互いに向かい合う上板9m及び下板9n(一対の板)のうちの一方の板の外面9fまでの最短距離に設定される。
実施形態13によれば、先頭管6の先端が硬質の地盤に衝突して先頭管6を推進できなくなるような事態を防止できるとともに、先端開口6tより前方の地盤の掘削量を少なくできるので、地盤沈下等、地中10に与える影響を少なくすることができる。
【0080】
回転掘削体46を1つ又は3つ以上備えた掘削機械26を用いてもよい。
また、掘削機械26は、先頭管6の推進方向と交差する回転中心線を回転中心として回転する回転掘削体46を備えたものであってもよい。
【0081】
また、先に地中に入れる管の後端に後続管を連結しないようにし、地中に形成された空洞部から先に地中に入れる管のみを地中に設置して当該先に地中に入れる管のみ(即ち、1本の管)による支保工を形成するようにしてもよい。即ち、一方の空洞部100と他方の空洞部100とに跨る管を1本の管で形成するようにしてもよい。
【0082】
また、管2は、断面形状が四角形状のものであればよい。尚、本発明でいう断面形状が四角形状とは、断面長方形、断面正方形、断面台形、断面平行四辺形などの四角形状を指し、四角の角部が面取りされた形状のものも含む。
【0083】
本発明の空洞部100は、シールドトンネルのセグメントで囲まれた空洞部、又は、山岳トンネルの壁で囲まれたトンネル空洞部、又は、立坑内の空間等により形成される。そして、本発明により形成される地下空間としては、上述した地下鉄ホームを形成する空間、トンネルの道路や線路における往路空間及び復路空間、トンネルの道路や線路における合流部又は分岐部、トンネルの道路や線路における拡幅部、上述した連通路143等がある。
【0084】
尚、上述した管側推進力受け部21は、先頭管6の管の内面20より突出するように設けられた掘削機械ぶれ防止部としても機能する。当該掘削機械ぶれ防止部は、掘削機械26の回転掘削体46;46を先頭管6の先端開口6tより前方に位置させた状態において基板25の前方への移動を規制し、かつ、基板25の中心を通過して先頭管6の中心軸に沿って延長する基板25の中心軸が先頭管6の中心軸に対して傾かないように基板25を受け止めることにより、掘削機械26のぶれを防止するものである。
掘削機械ぶれ防止部は、基板25の前方への移動を規制するために先頭管6の管の内周面20aに沿って矩形状に設けられて先頭管6の中心軸と直交する矩形枠平面を備える。
図1に示すように、掘削機械ぶれ防止部と基板25との間に水密性能維持部材35を介在させた場合には、基板25が水密性能維持部材35を介して掘削機械ぶれ防止部の矩形枠平面に押し付けられることにより、基板25の中心軸が先頭管6の中心軸に対して傾くことが防止されて掘削機械26のぶれが防止される。
図22;24に示すように、水密性能維持部材351;352が基板25の矩形外周面331又は先頭管6の内周面20aに取付けられた場合には、基板25が図外の掘削機械ぶれ防止部の矩形枠平面に押し付けられることにより、基板25の中心軸が先頭管6の中心軸に対して傾くことが防止されて掘削機械26のぶれが防止される。
即ち、掘削機械ぶれ防止部は、基板25を受け止めて、基板25の前面39fを先頭管6の中心軸と直交する面に維持して、基板25の前面39fの中心より前面39fと直交するように設けられた支柱42の中心軸と先頭管6の中心軸とを一致するよう維持する機能を備えることにより、掘削機械26のぶれを防止する。よって、基板25の中心軸が先頭管6の中心軸に対して傾かないように掘削機械26の掘削姿勢が維持された状態で掘削機械26の回転掘削体46:46が地中10を掘削するので、地中10の予定位置を正しく掘削できて管2を予定の設置位置に正確に設置できるようになる。
掘削機械ぶれ防止部は、油圧ジャッキ62で押された基板25を受け止めて、前面39fを先頭管6の中心軸と直交する面に維持できるように、先頭管6の管の内周面20aに少なくとも2箇所以上に設けられた構成とすればよい。例えば、掘削機械ぶれ防止部は、先頭管6の管の矩形の内周面20aにおける左右の側面、あるいは、上下の面より個別に突出するように設けられて、基板25の前面39fを受け止める面又は線又は点を有した構成とすればよい。
【符号の説明】
【0085】
1 管設置装置、2 管、6 先頭管(管)、6t 先頭開口、7 後続管(管)、
10 地中、26 掘削機械、46 回転掘削体、50 回転体、
51 回転体の外周面、80 第1の掘削ビット、80x 第1距離、
81 第2の掘削ビット、81x 第2距離、100 空洞部、
810 第2の掘削ビット群、L 回転中心線。
【技術分野】
【0001】
本発明は、断面四角形状の管を地中に設置するための管設置装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、断面矩形状の管を地中に設置するための装置が知られている。
例えば、円弧を描くように曲がって延長する断面矩形状の曲管(管の中心軸が曲線である管)、あるいは、真っ直ぐに延長する断面矩形状の管(管の中心軸が直線である管)を地中に設置する場合、先に地中に入れる管の先頭開口側の内側に、高圧水を噴射する噴射装置を設置したり、管の中心軸を回転中心としてビットを回転させることにより地中を掘削する回転掘削体を有した掘削機械を設置し、かつ、回転掘削体で掘削されない管の内側の角部付近の土を掘削するための噴射装置を設置し、管を押圧するとともに、高圧水で地中を掘削したり、掘削機械及び高圧水で地中を掘削することにより、管を推進させて地中に設置する管設置装置が知られている(例えば、特許文献1等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−83007号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、地中が、硬質・レキ混じりの地中である場合、高圧水では地中を掘削できないという問題点があった。
また、上述した掘削機械を用いる場合は、地中が、硬質・レキ混じりの地中であっても掘削可能である。しかしながら、当該掘削機械の回転掘削体の回転中心線と管の推進方向とが同じであるため、回転掘削体の掘削によって、推進方向に向けて延長する円筒状の空洞部を形成できるだけであり、回転掘削体の掘削によって形成できる円筒状の空洞部と断面矩形状の管の断面形状とが一致しないので、硬質・レキ混じりの地中の場合は、断面矩形状の管の内側の角部付近の地中部分を掘削できず、管を地中においてスムーズに推進させることができないという欠点があった。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、地中が、硬質・レキ混じりの地中である場合でも、管を地中においてスムーズに推進させることができる管設置装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、断面四角形状の管を地中に形成された空洞部から地中に設置する場合に、先に地中に入れる管の先頭開口側に掘削機械を設置し、管を押圧するとともに掘削機械で地中を掘削することにより、管を推進させて地中に設置する管設置装置において、掘削機械として、管の推進方向と交差する回転中心線を回転中心として回転する回転掘削体を有した掘削機械を用い、回転掘削体は、回転中心線を回転中心として回転する回転体と、回転体の外周面より突出するように設けられた掘削ビットとを備え、回転中心線から回転中心線と直交する線上を経由した回転体の外周面までの第1距離と回転中心線から回転中心線と直交する線上を経由した掘削ビットの先端までの第2距離とが異なり、第1距離は、回転掘削体が管の内側で回転中心線を中心として回転可能な回転半径に設定され、第2距離は、回転掘削体が管の内側で回転中心線を中心として回転不可能で、かつ、回転掘削体が管の先頭開口の前方に位置された場合に回転中心線を中心として回転可能な回転半径に設定され、回転掘削体が管の先頭開口の前方に位置された状態で回転駆動されることによって掘削ビットが管の先頭開口の前方位置の地盤を掘削し、かつ、回転掘削体が管内を通過して管を出発させた空洞部に回収可能に構成されたので、管の先端開口の前方において、管の先端開口の四角断面の幅寸法(回転掘削体の径方向に対応する幅寸法)より幅寸法の大きい四角断面の孔を効率的に掘削できる。従って、管の先端開口縁が地盤に衝突する前に、管の先端開口の前方に位置する地盤を掘削ビットにより掘削できて、管の先端が硬質の地盤に衝突して管を推進できなくなるような事態を防止でき、地中が硬質・レキ混じりの地中である場合でも、管をよりスムーズに推進させることができる。
また、回転体の外周面より突出するように設けられた第1の掘削ビットと第2の掘削ビットとを備え、回転中心線から回転中心線と直交する線上を経由した第1の掘削ビットの先端までの第1距離と回転中心線から回転中心線と直交する線上を経由した第2の掘削ビットの先端までの第2距離とが異なり、第1距離は、回転掘削体が管の内側で回転中心線を中心として回転可能な回転半径に設定され、第2距離は、回転掘削体が管の内側で回転中心線を中心として回転不可能で、かつ、回転掘削体が管の先頭開口の前方に位置された場合に回転中心線を中心として回転可能な回転半径に設定され、回転掘削体が管の先頭開口の前方に位置された状態で回転駆動されることによって第1の掘削ビット及び第2の掘削ビットが管の先頭開口の前方位置の地盤を掘削し、かつ、回転掘削体が管内を通過して管を出発させた空洞部に回収可能に構成されたので、第1の掘削ビットを備えたことにより、管をよりスムーズに推進させることができる。
第2の掘削ビットを回転体の回転中心線に沿った方向に複数個並べて形成した第2の掘削ビット群が、回転体の外周面上で周方向に所定距離離れた位置にそれぞれ設けられ、各第2の掘削ビット群の各第2の掘削ビットの先端同士が、回転掘削体の回転中心線と直交する同一の面上に位置しないように設定されたので、回転掘削体の回転により一方の第2の掘削ビット群で掘削できない地盤部分を他方の第2の掘削ビット群で掘削でき、管の先端開口の前方において、管の先端開口の矩形断面の幅寸法より幅寸法の大きい四角断面の孔をより効率的に掘削できる。
第2の掘削ビットは、回転中心線を中心として回転体の外周面上で周方向に180°離れた位置にそれぞれ設けられたので、回転掘削体の回転重心を一定に保てるようになり、回転掘削体の回転がスムーズになるので、管の先端開口の前方において回転掘削体により地盤をより効率的に掘削できる。
第2距離が、管の断面中心から回転中心線に沿った管の互いに向かい合う一対の板のうちの一方の板の外面までの最短距離に設定されたので、管の先端開口より前方の地盤の掘削量を少なくでき、地盤沈下等、地中に与える影響を少なくできる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】管設置装置の断面図(実施形態1)。
【図2】(a)は先頭管の先頭部分を示した斜視図、(b)一対の第2の掘削ビット群の関係を示す断面図(実施形態1)。
【図3】(a)は回転掘削体の掘削時の状態を示す図、(b)は回転掘削体の回収時の姿勢状態を示す図(実施形態1)。
【図4】地中への管の設置方法を示す図(実施形態1)。
【図5】曲管の形状、設置形態を示す斜視図(実施形態1)。
【図6】直管を設置する管設置方法により構築される支保工の例を示す断面図(実施形態1)。
【図7】曲管を設置する管設置方法により構築される支保工の例を示す断面図(実施形態1)。
【図8】トンネルの壁に間欠的に設けられた出発口を経由して管を設置する管設置方法を示す斜視図(実施形態1)。
【図9】互いに隣り合うように地中に設置される管と管との間の止水処理を示す断面図(実施形態1)。
【図10】曲管を設置する管設置方法により構築される支保工の例を示す断面図(実施形態1)。
【図11】直管を設置する管設置方法により構築される支保工の例を示す断面図(実施形態1)。
【図12】補強体をトンネルの空洞部側から見た図(実施形態1)。
【図13】トンネルの空洞部と補強体と管との関係を示す断面図(実施形態1)。
【図14】地下空間を形成するための止水処理を説明した斜視図(実施形態1)。
【図15】地下空間が形成される地中部分の一端側の止水処理を説明した断面図(実施形態1)。
【図16】止水構造体の諸形態を示す図(実施形態1)。
【図17】管設置装置の断面図(実施形態1)。
【図18】先頭管の先頭部分を分解して示した斜視図(実施形態1)。
【図19】先頭管の先頭部分を示した斜視図(実施形態1)。
【図20】管設置装置の断面図(実施形態2)。
【図21】管設置装置の断面図(実施形態3)。
【図22】管設置装置の断面図(実施形態4)。
【図23】管設置装置の断面図(実施形態5)。
【図24】(a)は立坑とシールドトンネルとの間に空洞部としての連通路を形成するための管の設置状態を示す斜視図、(b)は連通路を形成するための管の設置状態を示す拡大斜視図(実施形態6)。
【発明を実施するための形態】
【0007】
実施形態1
まず、図1乃至図19に基づいて、実施形態1による管設置装置1の基本構成及び動作について説明する。
図1に示すように、管設置装置1は、管2と、掘削装置3と、推進装置4と、推進力伝達装置70とを備える。尚、以下、図1における上側を管2や管設置装置1の先頭あるいは前側と定義し、図1における下側を管2や管設置装置1の後側と定義し、図1における左右側を管2や管設置装置1の左右側と定義し、図1の紙面と直交する方向の上下側を管2や管設置装置1の上下側と定義して説明する。図2(a)に管2や管設置装置1の前側、後側、左側、右側、上側、下側を明記した。
【0008】
管2は、図5;図7に示すような、円弧を描くように曲がって延長するように形成された曲管(管の中心軸が曲線である管)、あるいは、図6に示すような、真っ直ぐに延長する管(管の中心軸が直線である管(以下、直管という))であって、管の中心軸と直交する面で管を切断した場合の断面形状が矩形状の管により形成される。管2としては例えば鋼製の管が用いられる。管2の大きさは、例えば、管の長さ(前後長さ)が1.5m、左右幅が1.2m、上下幅が0.7mである。
そして、図5;図7に示すように、複数の曲管が順次連結されて地中10に設置されることによって円弧を描くように曲がって延長する支保工11が地中10に構築されたり、図6に示すように、複数の直管が順次連結されて地中10に設置されることによって真っ直ぐに延長する支保工11が地中10に構築される。
図5に示すように、実施形態1の管設置装置1及び管設置方法によって地中に構築される支保工11は、先頭に位置される管2(以下、先頭管という)と後続の複数の管2(以下、後続管という)とにより形成される。即ち、支保工11は、先頭に位置される曲管である先頭管6と先頭管6の後に続くように設けられる後続の複数の曲管である後続管7とにより形成される連続する曲管67によって構築される。
支保工11としては、図7(a)に示すように、地中10に形成された一方の空洞部100と他方の空洞部100との間に跨るように複数の管2としての複数の曲管を連続させて構築される支保工11や、図7(b)に示すように、地中10に形成された空洞部100から出発して当該空洞部100に戻るように複数の管2としての複数の曲管を連続させて構築される支保工11や、図6に示すように、一方の空洞部100と他方の空洞部100との間に跨るように複数の管2としての複数の直管を連続させて設置して構築される支保工11などがある。
【0009】
以下、図1乃至図3を参照して管設置装置1の構成について説明する。
先頭管6は、管の先端側に案内刃部を備えた構成であり、例えば、図1に示すように、管6xと、管6xの先端に設けられた案内刃部として機能する案内刃管9とで形成される。案内刃管9は、管の一方の開口端縁13が鋭利に形成された刃部14を備えた管である。
先頭管6は、案内刃管9の他方の開口端部と管6xの先端の開口端部8とが接続されて形成される。この場合、例えば、案内刃管9の管の外径寸法が管6xの管の外径寸法よりも大きく、案内刃管9の他方の開口端面15側には、開口端面15における管の内周面側が削られて、段差が設けられることで、管6xの先端の開口端部8を嵌め込む嵌合孔16が形成された構成とする。そして、案内刃管9の他方の開口部17に設けられた嵌合孔16内に管6xの先端の開口端部8を嵌め込み、かつ、これら両者が、ボルト接合,溶接などの図外の接続手段によって接続されることで、案内刃管9の他方の開口端部と管6xの先端の開口端部8とが接続された構成とする。このように、案内刃管9の他方の開口部17に設けられた嵌合孔16内に管6xの先端の開口端部8を嵌め込んで、案内刃管9が管6xの先端開口端面18を覆うように取付けられた構成としたことで、管6xの推進の際に、管6xの先端開口端面18が地中10の抵抗を受けず、推進抵抗を少なくできる。また、管6xの先端の開口端部8を嵌め込む嵌合孔16が形成された構成としたことで、管6xの先端に容易に案内刃管9を設置でき、先頭管6を形成するための管6xと案内刃管9との組み立てを容易とすることができる。この場合、先頭管6の矩形外周面において管6xと案内刃管9との間で段差が生じるが、この段差は、管2の矩形外周面と後述の補強体116の矩形内周面との間に設けられる水密性能維持部材117b(図12;図13参照)により止水性能を維持できるように小さく(例えば、1cm程度)形成される。
【0010】
尚、案内刃管9と管6xとの外径寸法を同径とし、案内刃管9の後端縁面と管6xの先端開口端面18とを突き合わせた状態でこれらの境界部分を全周溶接、又は、点溶接することで先頭管6を形成してもよい。
また、管の先端側が案内刃管9として機能する案内刃部に形成された管を先頭管6として用いてもよい。
このようにすれば、先頭管6の矩形外周面の段差を小さくできるか、段差が生じないので、管2の矩形外周面と補強体116の矩形内周面との間に設けられる水密性能維持部材117bによる止水性能を良好に維持できる。
【0011】
先頭管6の管の内面20において、管の延長方向(管の中心軸に沿った方向)の中央部よりも先頭側の位置には、管側推進力受け部21が設けられる。管側推進力受け部21は、後述する掘削装置3に設けられた基板25を介して推進装置4からの推進力を受けて先頭管6を推進させる。管側推進力受け部21は、先頭管6の断面(先頭管の中心軸と直交する面で先頭管を切断した場合の断面)の内面を一周した矩形形状に対応した矩形枠外周寸法に形成された矩形枠体22により形成され、矩形枠体22の外周面23と先頭管6の管の内周面20aとが対応するように設置された状態で矩形枠体22が先頭管6の管の内周面20aに溶接、ボルト・ナットなどの図外の接続手段により固定される。
【0012】
掘削装置3は、基板25と、掘削機械26と、駆動源27と、水供給機構75と、排泥機構76とを備える。
基板25は、先頭管6の中心軸と基板25の中心軸とが一致するように配置されて先頭管6内を前後方向に移動可能に設けられる。基板25は、先頭管6の断面の内面を一周した矩形形状に対応した矩形板30により形成される。当該矩形板30の大きさは、先頭管6の断面の内面を一周した矩形の寸法よりも小さく、かつ、上記管側推進力受け部21を形成する矩形枠体22の矩形枠内周寸法よりも大きい。即ち、基板25を形成する矩形板30の前面39fにおける矩形周縁面33と、上記管側推進力受け部21を形成する矩形枠体22の枠後面32とが対向するように形成される。尚、基板25を形成する矩形板30の前面39fにおける矩形周縁面33と管側推進力受け部21を形成する矩形枠体22の枠後面32との間には例えば弾性体により形成された水密性能維持部材(パッキン)35が設けられる。水密性能維持部材35は、例えば、基板25を形成する矩形板30の前面39fにおける矩形周縁面33、又は、管側推進力受け部21を形成する矩形枠体22の枠後面32に取付けられる矩形枠体36により形成される。したがって、基板25に伝達された推進力が水密性能維持部材35を介して管側推進力受け部21に伝達されることにより、管2と掘削機械26とが一緒に推進する。
基板25の前面39fの中央部には、掘削機械26の支持部40の一端が固定される。
また、基板25の中央部には後述する耐圧ホース56を貫通させる貫通孔38aが形成される。
【0013】
掘削機械26は、支持部40と、回転部41とを備える。
支持部40は、1つの支柱42と2つの分岐支柱43とが組合されたT字状の中空支柱により形成される。支柱42の一端部には例えば図外の取付フランジが設けられ、この取付フランジがボルト及びナットのような固定具などによって基板25の前面39fの中央に着脱可能に固定されることによって支柱42の一端が基板25の前面39fの中央に固定され、支柱42が基板25の前面39fに対して直交する方向に延長する。2つの分岐支柱43は、支柱42の先端部(他端部)より支柱42の延長方向と直交する一直線上において互いに離れる方向に延長する。即ち、支持部40のT字状の中空路と貫通孔38aとが連通するように支柱42の一端が基板25に固定される。分岐支柱43の先端には、それぞれモータマウント44を備える。
【0014】
回転部41は、回転機構部45と、回転掘削体46とを備える。
回転機構部45は、例えばモータ47により構成される。各モータマウント44;44には、モータ47のケーシング48が固定される。
2つのモータ47;47の回転軸49;49は、支柱42の先端部より支柱の延長方向と直交する一直線上において互いに離れる方向に延長する。
【0015】
モータ47は、例えば、流体圧により作動するモータ、あるいは、電気で作動するモータを用いる。例えば油圧モータ(以下、油圧モータ47とする)を用いる場合、駆動源27としての油圧源55と油圧モータ47のケーシング48内とが圧油供給路56a及び油帰還路56bを形成する耐圧ホース56で繋がれる。即ち、耐圧ホース56は貫通孔38a及び支持部40のT字状の中空路を介して油圧モータ47のケーシング48に接続される。油圧モータ47は、耐圧ホース56を介してケーシング48内に供給される圧油によって回転軸49が回転するように構成される。
【0016】
例えば、回転掘削体46の回転体50の他端閉塞内面(筐体の内底面)53の中心と回転軸49の回転中心とが一致するように、回転体50の他端閉塞内面53と油圧モータ47により回転する回転軸49の先端に設けられた連結板54とがねじ等の連結具57により連結される。
即ち、2つの回転掘削体46が2つの回転軸49;49に共通の1つの回転中心線Lを回転中心として回転するように構成される。つまり、先頭管6の推進方向と直交する回転中心線Lを回転中心として回転する2つの回転掘削体46;46を備える。このような2つの回転掘削体46;46を備えた構成は、ツインヘッダと呼ばれる。先頭管6の推進方向と直交する回転中心線Lを回転中心として回転する2つの回転掘削体46;46を備えた所謂ツインヘッダを用いた場合、推進方向と直交する面内における回転掘削体46の掘削幅を大きくできるので、掘削幅に応じた矩形幅の管2を容易に地中10に設置できるようになる。
【0017】
回転掘削体46は、回転中心線Lを回転中心として回転する一端開口他端閉塞の円筒状の回転体50と、回転体50の外周面51より突出するように設けられた掘削刃としての第1の掘削ビット80及び第2の掘削ビット81とを備える。
複数個の第2の掘削ビット81が回転体50の回転中心線Lに沿った方向に並べられて第2の掘削ビット群810が構成される。
回転体50の外周面51には複数のビット取付部83が点在するように設けられる。第1の掘削ビット80は、回転体50の外周面51に設けられた個々のビット取付部83に1つ1つ個別に着脱可能に取り付けられる。第2の掘削ビット81は、回転体50の外周面に設けられた複数のビット取付部83に着脱可能に取り付けられるビット設置板84に設けられる。即ち、第2の掘削ビット群810は、ビット取付部83に取り付けられて回転体50の回転中心線Lに沿って回転体50の外周面51の周面幅(回転中心線Lに沿った方向の幅、即ち、回転体50の回転中心線Lに沿った方向の両方の端面)に渡って延長するビット設置板84のビット設置面84aに、複数の第2の掘削ビット81が回転中心線Lに沿った方向に並ぶように着脱可能又は固定的に設けられた構成である。
1つの1つの回転掘削体46は、2つの第2の掘削ビット群810;810を備え、2つの第2の掘削ビット群810;810は、回転体50の外周面51の周方向に互いに180°離れた位置にそれぞれ設けられる。第1の掘削ビット80は、回転体50の外周面51上において第2の掘削ビット群810が設けられていない部分に点在するように設けられる。
図2(b)に示すように、回転体50の外周面51上で周方向に互いに180°離れた位置に設けられた各第2の掘削ビット群810;810の各掘削ビット81の先端は、回転体50の回転中心線Lと直交する同一の面85上に位置しないように設定されている。つまり、一方の第2の掘削ビット群810において互いに隣り合う各掘削ビット81間で掘削されない地盤部分を他方の第2の掘削ビット群810の各掘削ビット81で掘削できるように構成されている。要するに、1つの1つの回転掘削体46は、一方の第2の掘削ビット群810で掘削できない地盤部分を他方の第2の掘削ビット群810で掘削できるようにした相補的な一対の第2の掘削ビット群810;810を備えた構成である。
そして、図3(a)に示すように、回転体50の回転中心線Lから回転中心線Lと直交する線上を経由した第1の掘削ビット80の先端までの第1距離80x(即ち、第1の掘削ビット80による掘削半径)と回転体50の回転中心線Lから回転中心線Lと直交する線上を経由した第2の掘削ビット81の先端までの第2距離81x(即ち、第2の掘削ビットによる掘削半径)とが異なる。
つまり、第1距離80xを掘削半径とした第1の掘削ビット80による掘削径は、先頭管6の案内刃管9の上下内面9u:9u間の寸法9xよりも小さく、第2距離81xを掘削半径とした第2の掘削ビット81による掘削径は、先頭管6の案内刃管9の上下内面9u:9u間の寸法9xよりも大きく設定されている。
即ち、第1距離80xは、回転掘削体46が先頭管6の内側で回転中心線Lを回転中心として回転可能な回転半径寸法に設定されたことによって、回転掘削体46が管2内を通過可能となり、掘削機械26を出発側の空洞部100に引き戻して回収できる。
また、第2距離は、回転掘削体46が先頭管6の内側で回転中心線Lを回転中心として回転不可能で、かつ、回転掘削体46が先頭管6の先頭開口6tの前方に位置された場合に回転可能な回転半径に設定される。
回転掘削体46は、先頭管6の先頭開口6tの前方に位置された状態で駆動可能なように、管側推進力受け部21の位置と支持部40の支柱42の長さとが決められている。
即ち、回転掘削体46が先頭管6の先頭開口6tの前方に位置された状態で回転駆動されることによって第1の掘削ビット80及び第2の掘削ビット81が先頭管6の先頭開口6tの前方位置の地盤を掘削可能であり、かつ、回転掘削体46が管2(先頭管6及び後続管7)内を通過して管2を出発させた空洞部100に回収可能に構成される。
以上のような回転掘削体46を備えたことにより、先頭管6の先端開口6tの前方において先端開口6tの断面よりも大きい断面の孔を掘削できるので、先頭管6の先端開口縁(案内刃管9の刃先9a)が地盤に衝突する前に地盤を掘削できて、管2をよりスムーズに推進させることができる。
また、掘削機械16の回収時には、図3(b)に示すように、第2の掘削ビット群810の第2の掘削ビット81の先端が、先頭管6の案内刃管9の上板の内面9uと同一平面を示す位置より上方に位置しない状態にしてから、回転掘削体46を管2内に引き戻して掘削機械26を出発側の空洞部100に回収する。
【0018】
回転掘削体46;46の間には固定掘削体77を備える。
固定掘削体77は、分岐支柱43よりも前方に突出するように2つの分岐支柱43;43の境界部分の前方外周面に溶接又はボルト、ナット等の固定手段によって固定状態に取付られる。
固定掘削体77は、例えば、上下間の中央部が前方側に膨出する湾曲形状に形成され、この湾曲面の左右幅間の中心が湾曲面の周方向に沿って連続する鋭利な刃形状となるように形成された構成である。
このように、固定掘削体77は、上下間の中央部が前方側に膨出する湾曲形状に形成された構成としたので、先頭管6が推進する際の地盤の抵抗を減らすことができ、先頭管6をよりスムーズに推進させることができるようになる。
【0019】
上記固定掘削体77が設けられていない場合には、掘削された土砂が回転掘削体46;46の間に詰まってしまう可能性があるが、回転掘削体46;46の間に固定掘削体77を設けた場合には、固定掘削体77が、先頭管6の推進により地盤に衝突することによって、地盤を削ったり、衝突した地盤部分にある土砂や岩を左右に振り分けて左右の回転掘削体46:46に仕向けたりするといった役割を果たすので、先頭管6をよりスムーズに推進させることができるようになる。
例えば、図1に示すように、回転掘削体46の回転中心線Lから固定掘削体77の刃の先端までの湾曲半径寸法と回転掘削体46の回転中心線Lから第2の掘削ビット81の先端までの寸法(第2の掘削ビット81による掘削半径寸法)とが同じに構成される。
このように回転掘削体46の回転中心線Lから固定掘削体77の刃の先端までの湾曲半径寸法と回転掘削体46の回転中心線Lから第2の掘削ビット81の先端までの寸法とを同じに構成した場合は、第2の掘削ビット群810による掘削と同時に第2の掘削ビット群810;810間に位置する地盤を掘削でき、前方地盤全体を効率的に掘削できる。
【0020】
尚、回転掘削体46の回転中心線Lから固定掘削体77の刃の先端までの湾曲半径寸法を、回転掘削体46の回転中心線Lから第2の掘削ビット81の先端までの寸法よりも小さくしたり、大きくしたりしてもよい。
【0021】
また、固定掘削体77の先端形状は、先頭管6の推進により地盤に衝突することによって、地盤を削ったり、衝突した地盤部分にある土砂や岩を左右に振り分けて左右の回転掘削体46:46に仕向けたり、掘削に先立って地盤にひび割れを誘発させて掘削しやすいようにするという役割を達成できる形状に形成されていればよい。例えば、上述したように前方先端が鋭利な刃先状に形成されたものでもよいし、前方先端が面状に形成されたものでもよく、地盤の地質によって、地盤を掘削して崩しやすい形状のものを選択すればよい。
【0022】
水供給機構75は、水貯留タンク75aと、基板25の前面39fと後面39とに貫通する水供給孔75bと、例えば蛇腹管や鋼管等により構成された水供給管75cと、送水用のポンプ75d、連結管75eとを備える。
基板25の前面39fと先頭管6の内面20とで囲まれた空間69内に水供給管75cの一端開口が連通するように、例えば、水供給孔75bの内側に水供給管75cの一端がねじ嵌合されることによって水供給孔75bと水供給管75cの一端とが結合される。そして、水供給管75cの他端開口と送水用のポンプ75dの吐出口とが連通可能に連結され、送水用のポンプ75dの吸込口と水貯留タンク75aとが連結管75eにより連通可能に連結される。
【0023】
排泥機構76は、基板25の前面39fと後面39とに貫通する排泥孔76aと、例えば蛇腹管や鋼管等により構成された排泥管76bと、排泥用のポンプ76cと、排泥タンク76dと、連結管76eとを備える。
空間69内に排泥管76bの一端開口が連通するように、例えば、排泥孔76aの内側に排泥管76bの一端がねじ嵌合されることによって排泥孔76aと排泥管76bの一端とが結合される。そして、排泥管76bの他端開口と排泥用のポンプ76cの吸込口とが連通可能に連結され、排泥用のポンプ76cの吐出口と排泥タンク76dとが連結管76eにより連通可能に連結される。
【0024】
尚、水貯留タンク75a及び排泥タンク76dは、水貯留タンク75aと排泥タンク76dとが一体となった集合タンク75Xにより構成される。即ち、集合タンク75Xの内部に仕切体75wを設けて集合タンク75Xの内部を2つの領域に区切り、一方の領域を水貯留タンク75aとして使用し、他方の領域を排泥タンク76dとして使用する。
つまり、最初に一定量の水を集合タンク75X内に満たしておき、送水用のポンプ75dを駆動して空間69内に水を圧送すると、空間69内に圧送された水と掘削機械26により掘削された土砂とが混ざって泥水となる。そして、排泥用のポンプ76cを駆動することにより、空間69内の泥水が排泥タンク76dに排出される。排泥タンク76dに排出された泥水中の泥が排泥タンク76dの底に沈殿するとともに、仕切体75wを越えて水貯留タンク75aに入り込んだ泥水が再び送水用のポンプ75dによって空間69内に圧送される。即ち、泥水を循環させて空間69内に供給できるようになるので、水の使用量を減らすことができる。また、水よりも比重が大きい泥水を空間69内に供給できるので、地盤及び地下水の圧力に抵抗できて、地盤及び地下水の圧力と空間69内の圧力とを均等にしやすくなるので、地盤沈下等、地中10に与える影響を少なくすることができる。また、空間69内が泥水化するので、排泥をスムーズに行えるようになり、掘削しやすくなる。
【0025】
また、水供給孔75bと水供給管75cの一端との結合構造、排泥孔76aと排泥管76bの一端との結合構造は、次のような結合構造であってもよい。基板の後面39に孔(水供給孔75b、排泥孔76a)に連通する図外の管部を形成しておいて、当該管部の開口端面と管(水供給管75c、排泥管76b)の一端開口端面とを互いに突き合わせた状態で環状ジョイント部材を当該突合せ部分に被せることにより管部と管とを結合したり、管の一端開口を介して管内に管部を嵌め込んだ状態で管の一端開口部の外周面を環状クリップ部材で締め付けることにより管部と管とを結合する。
尚、最初から泥水を集合タンク75X内に満たしておき、送水用のポンプ75dを駆動して空間69内と集合タンク75X内との間で泥水を循環させるようにしてもよい。
【0026】
推進装置4は、例えば、油圧ジャッキ62により構成される。油圧ジャッキ62のピストンロッド63の先端には押圧板64が設けられる。
【0027】
推進力伝達装置70は、推進力伝達棒状体71と、推進力伝達用の当て材72と、上述の基板25と、上述の水密性能維持部材35と、上述の管側推進力受け部21とを備える。
推進力伝達棒状体71は、一端71aから他端71bまでの長さが基板25の後面39と先頭管6の後端面102eとの間の最短距離よりも長い寸法の棒状体71xと、棒状体71xの他端71b側より突出させた傾き防止部71cとを備える。棒状体71xは例えばH形鋼を用い、傾き防止部71cは例えば棒状体71xを形成するH形鋼に溶接又はボルトなどの接続手段で結合された鋼材を用いる。尚、傾き防止部71cは、先頭管6の左内側面6aや右内側面6bに面接触する面を有した面体71dを備える。
推進力伝達棒状体71は、棒状体71xの中心軸が先頭管6の中心軸と同一方向を向くように設置され、かつ、面体71dの面と先頭管6の左内側面6aや右内側面6bとが面接触するように、一端71aと基板25の後面39とが溶接又はボルトなどの接続手段で結合される。
即ち、左の推進力伝達棒状体71Aの棒状体71xの中心軸が先頭管6の中心軸と同一方向を向くように設置され、かつ、左の推進力伝達棒状体71Aの面体71dの面と先頭管6の左内側面6aとが面接触するように、左の推進力伝達棒状体71Aの棒状体71xの一端71aと基板25の後面39とが溶接又はボルトなどの接続手段で結合される。また、右の推進力伝達棒状体71Bの棒状体71xの中心軸が先頭管6の中心軸と同一方向を向くように設置され、かつ、右の推進力伝達棒状体71Bの面体71dの面と先頭管6の右内側面6bとが面接触するように、右の推進力伝達棒状体71Bの棒状体71xの一端71aと基板25の後面39とが溶接又はボルトなどの接続手段で結合される。
左右の推進力伝達棒状体71A;71Bの一端71a;71aは、基板25の上下縁間の中央部に結合される。
【0028】
そして、当て材72を、先頭管6の後端面102eより後方に突出する左右の推進力伝達棒状体71A;71Bの他端71b;71b間に跨るように設置して他端71b;71bに図外のボルトや万力装置などで連結し、当て材72における先頭管6の中心軸が位置する部分を油圧ジャッキ62の押圧板64で押圧することにより、油圧ジャッキ62による押圧力が、当て材72、左右の推進力伝達棒状体71A;71B、基板25、管側推進力受け部21を介して先頭管6及び回転掘削体46;46に伝達されるので、案内刃管9及び先頭管6が前方に推進するとともに回転掘削体46;46が前方に推進する。
即ち、一方の推進力伝達棒状体である左の推進力伝達棒状体71Aを基板25の後面39の左側縁側における上下縁間の中央部に結合するとともに、他方の推進力伝達棒状体である右の推進力伝達棒状体71Bを基板25の後面39の右側縁側における上下縁間の中央部に結合し、これら左右の推進力伝達棒状体71A;71Bを油圧ジャッキ62で押圧して管2を推進させる構成としたので、管2の左右に均等に押圧力を加えることができるようになる。
【0029】
そして、実施形態1においては、例えば図8に示すように、セグメントにより筒状に構築されたセグメントトンネル110のトンネルの壁111で囲まれた内側空間であるトンネルの空洞部100から地中10に管2を推進させる際に、トンネルの空洞部100から地中10への管2の出発口112をセグメントトンネル110の中心軸113に沿った方向において所定の間隔(例えば400mm〜500mm程度)を隔ててトンネルの壁111に間欠的に設けるようにした。このように、出発口112をトンネルの壁111に間欠的に設けたことにより、出発口112を形成する互いに隣り合う孔115と孔115との間に所定の間隔h分のセグメントが残るためセグメントトンネル110の構造強度の低下を少なくできる。
【0030】
出発口112は、例えば図8に示すように、セグメントトンネル110の中心軸113に沿った方向の長さが管2を複数個並べた左右横幅分の長さに対応するように決められ、複数の出発口112を形成する孔115が、セグメントトンネル110の中心軸113に沿った方向に所定の間隔h(例えば400mm〜500mm程度)を隔てて隣り合うように形成される(図8では、出発口112のセグメントトンネル110の中心軸113に沿った方向の長さが管2を3個並べた左右横幅分の長さに対応するように決められている場合を図示している)。
あるいは、図示しないが、出発口112は、セグメントトンネル110の中心軸113に沿った方向の長さが1個の管2の左右横幅分の長さに対応するように決められ、複数の出発口112を形成する孔115が、セグメントトンネル110の中心軸113に沿った方向に所定の間隔h(例えば400mm〜500mm程度)を隔てて隣り合うように形成される。
【0031】
さらに、図12;図13に示すように、出発口112には、出発口112を補強するために、例えば金属製の補強体116が設けられる。補強体116は、一端開口の有底箱状に形成され、かつ、底壁117には管2を出入させるエントランス口118を備え、一端開口側には取付フランジ119を備える。取付フランジ119は、一端開口を囲むように設けられ、一端開口縁面116aと連続してトンネルの壁111の空洞部100側の面111a(セグメントトンネル110の内面)と対向する対向面116bを有する。一端開口縁面116aと対向面116bとにより止水面116cが構成される。出発口112の孔115を囲むように補強体116の止水面116cと面111aとを対向させ、かつ、止水面116cと面111aとの間に水密性能維持部材116dを挟んだ状態で、取付フランジ119がボルト119a等の取付手段により当該面111aに取付けられることにより、補強体116は面111aとの間の水密性能が維持された状態で面111aに固定される。止水面116cが面111aの湾曲凹面に対応して面接触可能な湾曲凸面に形成された場合、止水面116cと面111aとが等間隔に維持され、止水性能が向上する。
エントランス口118は、補強体116の底壁117に出発口112に対応して管2を通過させることの可能な寸法に形成された貫通孔117aと、この貫通孔117aの内周面に貫通孔117aを通過する管2の外面との水密性能を維持するための水密性能維持部材117bとを備える。水密性能維持部材117bは、出発口112の中心を中心とした環状の矩形枠体により形成される。
エントランス口118は、エントランス口118の中心線と出発口112の中心線とを結ぶ円弧と管2を推進させた場合の管2の進行軌跡とが一致するように位置決めされる。
このように、補強体116が出発口112の孔115を囲むように壁111の空洞部100側の面111aに取付手段によって固定されることによって、補強体116により出発口112が保形され、かつ、セグメントトンネル110の強度低下が防止される。
また、エントランス口118の中心線と出発口112の中心線とを結ぶ円弧と管2を推進させた場合の管2の進行軌跡とが一致するように構成されたので、管2がエントランス口118及び出発口112を通過する際に管2が管の推進方向に対して振れにくくなり、エントランス口118及び出発口112を通過するよう管2を正確に推進させることができる。
また、エントランス口118が水密性能維持部材117bを備えたので、管2がエントランス口118を通過する際の止水を行え、管2の推進作業を容易に行える。
尚、補強体116内に溜まる地下水は、補強体116に設けられた図外の排水口を介して補強体116の外側に排出すればよい。
【0032】
また、各出発口112から出発して地中10に設置された管2のうち、図9に示すように、隣り合う出発口112;112の左右の孔縁120;121側に位置する管2の側面122には注入口123が設けられる。そして、隣り合う出発口112;112の左右の孔縁120;121側に位置する管2の側面122;122間に位置する地中10に管2の注入口123より薬液やセメント系注入剤を注入する注入処理や凍結処理等による止水処理Wを施す。後述するパッカーを用いて注入処理を行う場合は、注入口123に、薬液やセメント系注入剤が地中10から管2内に逆流するのを防止するための図外の逆止弁が設けられた管2を用いる。
【0033】
エントランス口118及び出発口112のセグメントトンネル110の中心軸113に沿った方向の長さが1個の管2の左右横幅分の長さに対応するように決められている場合には、1個の先頭管6を出発口112経由で地中10に推進させて後続管7を後続させるので、上述した管設置装置1を用いればよい。
【0034】
次に、図4を参照して管設置装置1による地中10への管2の設置方法を説明する。尚、図4では、セグメントトンネル110、出発口112、補強体116の図示を省略している。
掘削機械26と推進力伝達棒状体71と水供給管75cと排泥管76bとが取付けられた基板25を先頭管6の内側に設置する。つまり、基板25を形成する矩形板30の前面39fにおける矩形周縁面33が、先頭管6の内側に管側推進力受け部21を形成する矩形枠体22の枠後面32に水密性能維持部材35を介して突き付けられた状態となるように設置する。これにより、管2を、地中10に形成された空洞部100から地中10に設置する場合に、先に地中10に入れる先頭管6の先頭開口6tの前方位置に掘削機械26の回転掘削体46;46が設置され、この回転掘削体46;46が回転駆動されることによって第2の掘削ビット81;第1の掘削ビット80が先頭管6の先頭開口6tの前方位置の地盤を掘削することになる。
そして、先頭管6の先端側を空洞部100からエントランス口118経由で補強体116に挿入し(図13参照)、当て材72を、先頭管6の後端面102eより後方に突出する左右の推進力伝達棒状体71A;71Bの他端71b;71b間に跨るように設置する。また、掘削機械26の耐圧ホース56の他端を油圧源55に接続する。そして、先頭管6の先端の案内刃管9の刃先9aを地中面101に押し付けた状態で油圧ジャッキ62を設置し、縮退したピストンロッド63の先端に設けられた押圧板64を当て材72における先頭管6の中心軸が位置する部分に位置させる。
そして、送水用のポンプ75dを駆動して空間69内に泥水を供給し、空間69内と集合タンク75X内との間で泥水を循環させるとともに、制御装置65による制御によって、油圧源55から油圧モータ47に圧油を供給して回転掘削体46を回転させながら、油圧ジャッキ62のピストンロッド63を伸ばして当て材72における後続管7の中心軸が位置する部分を押圧すると、推進力伝達装置70を介して先頭管6に伝達される推進力と回転掘削体46の回転に伴う地盤掘削とによって先頭管6が前方に推進し、先頭管6が地中10に設置される。
【0035】
先頭管6の後端面102eを残して先頭管6が地中10に設置された後、図4(b)に示すように、先頭管6の後端面102eに後続管7を溶接、又は、ボルト等の固定具により接続し、さらに、図4(c)に示すように、先頭の推進力伝達棒状体71の他端71bと後続の推進力伝達棒状体71の一端71aとをボルト、又は、溶接により結合することにより、先頭の推進力伝達棒状体71の後ろに後続の推進力伝達棒状体71を継ぎ足すとともに、また、耐圧ホース56の他端に図外の延長耐圧ホースを継ぎ足し、水供給管75cの他端に図外の延長水供給管を継ぎ足し、排泥管76bの他端に図外の延長排泥管を継ぎ足していく。
そして、図4(d)に示すように、当て材72を、後続管7の後端縁より後方に突出する左右の推進力伝達棒状体71A;71Bの他端71b;71b間に跨るように設置して、当て材72における後続管7の中心軸が位置する部分を油圧ジャッキ62のピストンロッド63で押圧しながら、掘回転掘削体46;46を回転駆動することにより、回転掘削体46が掘削を行いながら先頭管6が推進し、後続管7が地中に設置される。
尚、回転掘削体46;46が地中10を掘削した土砂は空間69内で水と混ざって泥水となって排泥タンク76dに排出される。
以後、同様に、前の後続管7の後端縁に後の後続管7を順次連結して地中10に設置していくことで、支保工11を構築できる。
【0036】
支保工11を構築した後は、掘削始点となった出発側の空洞部100内に掘削機械26を引き戻して回収する。回収の際には、回転掘削体46が管2内を通過可能なように、第2の掘削ビット群810の第2の掘削ビット81の先端が先頭管6の案内刃管9の上板の内面9uと同一平面を示す位置より上方に位置しない状態(回収可能状態)にしてから(図3(b)参照)、回転掘削体46を管2内に引き戻して掘削機械26を出発側の空洞部100に回収する。尚、回転掘削体46に回転掘削体46が回収可能状態になったことを検出する図外のエンコーダのような回転位置検出装置を設けておくことにより、作業者に回転掘削体が回収可能状態となったことを知らせるようにすればよい。
実施形態1によれば、推進力伝達棒状体71を継ぎ足していくことから、掘削機械26を回収する際には、最後尾の推進力伝達棒状体71側から推進力伝達棒状体71の1個長さ分ずつ空洞部100内に引き戻して、最後尾側から先頭まで順番に推進力伝達棒状体71を取り外していくことにより、掘削機械26を容易に回収できるようになる。この場合、推進装置4の一例である油圧ジャッキ62を掘削始点となる空洞部100内にのみ設置すれば良いので、装置コストを低減できる。
尚、到達側の空洞部100内に掘削機械26を押し出して回収するようしてもよい。た例えば、先頭管6を到達側の空洞部100に押し出して管側推進力受け部21を除去してから、到達側の空洞部100内に掘削機械26、基板25、推進力伝達棒状体71を押し出して回収する。この場合、掘削機械26を掘削始点となった空洞部100内に引き戻す作業よりも掘削機械26を到達側の空洞部100内に押し出す作業の方が容易となるので、掘削機械26の回収作業が容易となる。例えば、図10;図7(a);図11;図6のように、左右の空洞部100間に支保工11を構築する場合、掘削機械26を到達側の空洞部100内に回収して、左右の空洞部10から交互に掘削するようにしてもよい。この場合、推進装置4の一例である油圧ジャッキ62を左右の空洞部100にそれぞれ設置する必要があるが、掘削機械26の回収作業は容易となる。尚、図10;図11に示すように、到達側の空洞部100を形成するセグメントトンネル110の壁111に形成された到達口125にも補強体116を設けることが好ましい。
図7(b)のように、地中10に形成された1つの空洞部100から出発して当該空洞部100に戻るように支保工11を構築する場合には、掘削機械26が1つの空洞部100の到達口に到達したならば掘削機械26を到達口から当該空洞部100内に押し出すようにして回収すれば、掘削機械26の回収作業が容易となるとともに、油圧ジャッキ62を当該1つの空洞部100内にのみ設置すれば良いので装置コストも低減できる。
【0037】
例えば、図8に示すように、管2が複数の出発口112;112…からそれぞれ出発して空洞部100;100間を跨ぐように地中10に設置され、隣り合う出発口112;112の左右の孔縁120;121側に位置して間隔hを隔てて互いに隣り合う管2;2の側面122;122間に位置する地中10には、管2の注入口123より薬液やセメント系注入剤を注入する注入処理や凍結処理等による止水処理を施して成る止水処理部130(図14(a)参照)を形成する。注入処理は、例えば図外パッカーと呼ばれる注入装置を用いて逆止弁付きの注入口123と連通する注入口123付近の管2内空間を密閉し、当該密閉空間内に薬液やセメント系注入剤を供給したり、作業員が管2内に入り込んで注入口123の位置まで移動し、作業員が注入口123を介して薬液やセメント系注入剤の注入作業を行うことにより、薬液やセメント系注入剤が注入口123を介して地中10に注入され、注入口123付近の地中10が地盤改良されて止水処理が行われることになる。また、凍結処理は、例えば注入口123を介して図外の冷媒管を地中10に設置し、冷媒管内に冷媒を循環させて地中10の地盤を凍結させることにより行われる。
以上により、図14(a)に示すように、地中10に形成された止水処理部130と、止水処理部130を挟んで互いに隣り合うように設置された複数の管2とにより止水構造体131が形成される。
そして、必要に応じて、管2内に、コンクリートを充填したり、鉄筋を配置してコンクリートを充填することによって、管2の強度を上げた支保工11を構築する。
【0038】
さらに、図14(b)に示すように、空洞部100;100の端部100e(空洞部100の中心軸113に沿った方向の端部)側に位置して対向する上下の止水構造体131;131の上下の端部131e;131e間(図14(a)参照)を覆うように端部止水構造体132が形成される。この端部止水構造体132は、例えば、以下のように形成される。空洞部100;100の端部100e側の壁111に注入管133を通す貫通孔134を形成し、この貫通孔134を介して地中10に注入管133を設置する。注入管133は、例えば、管の周面に注入口135を複数備えたものである。そして、例えば、貫通孔134を介して空洞部100から複数の注入管133を空洞部100の断面中心を中心とした放射状に設置し、地中10に設置された複数の注入管133と、互いに隣り合う注入管133と注入管133との間の地中10に止水処理を施した止水処理部136とにより、空洞部100;100の端部100e側から止水構造体131で囲まれた地中部分への地下水の侵入を防止する端部止水構造体132が形成される。
尚、注入管133に代えて冷媒管を地中10に設置し、冷媒管内に冷媒を循環させて地中10の地盤を凍結させた止水処理部136を形成してもよい。
注入管133や冷媒管は、地中10に形成された一方の空洞部100と他方の空洞部100との間に跨る上下の止水構造体131;131の上下の端部131e;131e間及びその周辺を十分に覆う止水処理部136(図15(a))を形成できるように配置されたり、地中10に形成された空洞部100から出発して当該空洞部100に戻る左右の止水構造体131;131の端部開口13f;13f及びその周辺を十分に覆う止水処理部136(図15(b))を形成できるように配置される。
【0039】
そして、止水構造体131と端部止水構造体132とで囲まれて地下水が入り込まないように区画された地中部分137を掘削して地中10に地下空間を形成する。この場合、セグメントトンネル110の壁111に図外の掘削機械のための出入口を形成し、この出入口を介して止水構造体131と端部止水構造体132とで区画された地中部分137に掘削機械を搬入して掘削機械で当該地中部分137を掘削して地中10に地下空間を形成する。
この地下空間は、地下鉄のトンネルを形成するセグメントトンネル110とセグメントトンネル110との間に地下鉄ホームを形成するための地下空間、あるいは、道路の分岐部や合流部を形成するための地下空間として利用される。
【0040】
地下空間を形成するための地中部分137は、管2及び壁111で囲まれた筒状地中領域に限らず、壁111;111の上部間を跨ぐように設置された管2と壁111とで区画され壁111;111の下部間が開放された地中領域137a(図16(a)参照)、壁111;111の下部間を跨ぐように設置された管2と壁111とで区画され壁111;111の上部間が開放された地中領域137b(図16(b)参照)、又は、先頭管6の先頭が到着側の壁111に到達する前まで推進され、先頭管6の先頭と壁111との間に止水処理を施した止水処理部138と管2と壁111とで区画された地中領域137c(図16(c)参照)であってもよい。
尚、上記開放された壁111;111の下部間や上部間には、例えば、空洞部100内から地中10に薬液を注入することによる止水処理や、空洞部100の中心軸113に沿った方向に図外のパイプなどを地中10に設置することによる止水処理等の止水処理が施される。
【0041】
尚、図8;図10;図11に示すように、出発口112のセグメントトンネル110の中心軸113に沿った方向の長さが管2を複数個並べた左右横幅分の長さに対応するように決められている場合には、例えば、図17に示すような、先頭管6を複数個並べて一緒に推進させる管設置装置1Aを用いる。
即ち、先頭開口6t(開口端縁13)側の内側に複数の回転掘削体46を設置した先頭管6を先頭管6の推進方向と交差する方向に複数個並べ、これら各先頭管6の一面(外面)同士を突き合わせて連結手段で連結することにより各先頭管6;6間の隙間を塞いだ状態で、当該複数個の先頭管6;6を一緒(同時)に推進させる。図17では、先頭開口6t側の内側に2個の回転掘削体46;46を設置した先頭管6を左右に2個並べて一緒に推進させる例を図示している。
つまり、矩形筒状の各先頭管6の面板のうちの1つの面板(例えば、回転掘削体46;46の回転中心線Lと直交する面板(図18に示す先頭管の左右いずれかの面板)、又は、回転掘削体46;46の回転中心線Lと平行な面板(図18に示す先頭管の上下いずれかの面板))に、先頭管6の内外に貫通する連通孔90;90を形成し、そして、互いに隣り合う先頭管6:6の連通孔90;90同士が連通するように互いに隣り合う先頭管6:6の一面同士を突き合わせて互いに隣り合う先頭管6;6を溶接等による連結手段で連結し、この互いに隣り合うように連結された複数個の先頭管6;6を同時に推進させる。
例えば、図1に示す先頭管6を2つ用意して、図18に示すように、右の先頭管6の左側面と左の先頭管6の右側面とにそれぞれ連通孔90を形成し、図19に示すように、左右の先頭管6:6の連通孔90;90同士が連通するように右の先頭管6の左側面と左の先頭管6の右側面とを突き合わせ、突き合わされた左側面の上端縁と右側面の上端縁とを溶接により連結するとともに、突き合わされた左側面の下端縁と右側面の下端縁とを溶接により連結することによって、左右に並ぶように連結された左右の先頭管6;6を形成し、この連結された左右の先頭管6;6を同時に推進させる。
尚、1つの外面同士が突き合わされた先頭管6;6同士を連結して各先頭管6;6間の隙間を塞ぐ連結手段としては、接着剤、接合板、接合テープ等を用いてもよい。
上記のように、互いに隣り合って接触する先頭管6と先頭管6の面板同士を貫通して互いに隣り合う先頭管2;2内を繋ぐ通路となる連通孔90;90を設けたので、連通孔90;90を介して掘削土や水が互いに隣り合う先頭管2;2間を流通可能となる。
この場合、管2の推進方向と交差する方向に並ぶように地中10に設置されて互いに隣り合う複数列の管2の列同士間の隙間が連結手段により塞がれているので、互いに隣り合うように地中10に設置された管2と管2との間に連結手段による止水部91が形成されることになり、互いに隣り合うように地中10に設置された管2と管2との間の止水処理作業を省くことができる。
【0042】
管設置装置1Aの先頭管6は、案内刃管9の後端開口縁面側の矩形の内外径寸法と管6xの先端開口縁面側の矩形の内外径寸法とが同じ寸法に形成され、案内刃管9の後端開口端面17aと管6xの先端開口端面18とが互いに突き合わされた状態で案内刃管9の後端開口端面17aと管6xの先端開口端面18との境界部分が全周溶接又は点溶接により接続されたことにより、管6xの先端に案内刃管9が設けられた構成のものを用いる。
尚、管設置装置1Aの先頭管6は、管の先端側が案内刃管9として機能する案内刃部に形成された管を先頭管6として用いてもよい。
【0043】
管設置装置1Aでは、左右の先頭管6:6の連通孔90;90同士が連通するように左右の先頭管6:6の面同士を突き合わせて左右の先頭管6;6を溶接等による連結手段で連結し、この連結された左右の先頭管6;6を同時に推進させる構成であるため、例えば、図17に示すように、右の先頭管6の水供給管75cを用いて右の先頭管6の空間69内に泥水を供給し、左の先頭管6の排泥管76bを用いて排泥することにより、泥水が右の先頭管6の空間69から連通孔90;90を経由して左の先頭管6の空間69内にも流れ込み、排泥用のポンプ76cの駆動によって左右の先頭管6;6の空間69内の排泥が排泥タンク76dに排出される構成とする。
そして、右の先頭管6の排泥管76b、及び、左の先頭管6の水供給管75cは、右の先頭管6の水供給管75cや左の先頭管6の排泥管76bが詰まった場合の予備用として用いるようにした。
このように、互いに隣り合う先頭管2;2内を繋ぐ通路となる連通孔90;90を備え、連通孔90;90を介して掘削土や水が先頭管2;2間を流通可能となるように構成したことで、一方の先頭管2内に泥水を送って他方の先頭管2内経由で排泥を行うことができるようになったので、互いに隣り合う2つの先頭管2;2に対する泥水供給排泥経路を1系統にでき、送水用のポンプ75d;排泥用のポンプ76cの数を最小限にできて経済的である。
尚、図示しないが、右の先頭管6の水供給管75cを用いて右の先頭管6の空間69内に泥水を供給し、右の先頭管6の排泥管76bを用いて排泥する右の泥水供給排泥経路と、左の先頭管6の水供給管75cを用いて左の先頭管6の空間69内に泥水を供給し、左の先頭管6の排泥管76bを用いて排泥する左の泥水供給排泥経路とを形成してもよい。即ち、先頭管6毎に泥水供給排泥経路を個別に構成してもよい。
【0044】
そして、一緒に推進させる左右の先頭管6;6の後端面102e;102eより後方に突出するすべての推進力伝達棒状体71の他端71b間に跨る長さの当て材72を用い、当該当て材72を左右の先頭管の後端面102eより後方に突出するすべての推進力伝達棒状体71の他端71b間に跨るように設置して、当該当て材72を推進力伝達棒状体71の他端71bに図外のボルトや万力装置などで連結する。そして、当て材72における先頭管6の中心軸が位置する部分を油圧ジャッキ62の押圧板64で押圧することにより、油圧ジャッキ62による押圧力が、当て材72、すべての推進力伝達棒状体71、基板25、管側推進力受け部21を介して先頭管6及び回転掘削体46;46に伝達されるので、左右の先頭管6及び回転掘削体46;46が前方に一緒に推進する。
この場合、例えば、左の先頭管の後端面102eより後方に突出する左右の推進力伝達棒状体71A;71B間の中央に位置する当て材72の部分と、右の先頭管の後端面102eより後方に突出する左右の推進力伝達棒状体71A;71B間の中央に位置する当て材72の部分とを、2つの油圧ジャッキ62によりそれぞれ個別に押圧する。即ち、当て材72における各先頭管6;6の中心軸が位置する部分を個々に油圧ジャッキ62で押圧する。
以後、図4で説明したように、先頭管6の後端面102eに後続管7を接続し、左右に互いに隣り合う後続管7;7の一面(外面)同士を突き合わせて互いに隣り合う後続管7;7を溶接等による連結手段で連結し、推進力伝達棒状体71を継ぎ足して、先頭管6;後続管7を推進させる。その後、同様に前方の後続管7の後端に後続管7を順次接続していって、先頭管6;後続管7を推進させる。
【0045】
管設置装置1Aの場合、各先頭管6において、一方の推進力伝達棒状体である左の推進力伝達棒状体71Aを基板25の後面39の左側縁側における上下縁間の中央部に結合するとともに、他方の推進力伝達棒状体である右の推進力伝達棒状体71Bを基板25の後面39の右側縁側における上下縁間の中央部に結合し、並列に並べられた個々の先頭管6の各推進力伝達棒状体71の全てに跨るように当て材72を設置し、そして、当て材72における各先頭管6;6の中心軸が位置する部分を油圧ジャッキ62で個々に押圧する構成としたので、各油圧ジャッキ62;62からの押圧力が当て材72を介して各推進力伝達棒状体71に均等に伝達されて、各先頭管6;6の左右に均等に押圧力を加えることができるようになり、複数の先頭管6;6を同時(一緒)にスムーズに推進させることができる。
【0046】
また、管設置装置1Aを用いる場合、管2の推進方向と交差する方向に複数個並べられて互いに隣り合う管2と管2との間の隙間を連結手段を用いて塞いだ状態で、当該複数個の管2を一緒に推進させたので、互いに隣り合うように地中10に設置された管2と管2との間に連結手段による止水効果の高い止水部91が設けられることになることから、互いに隣り合うように地中10に設置された管2と管2との間の止水処理作業を省くことができ、地中部分に地下空間を形成する施工において、施工期間の短縮、施工費の削減等を実現できるとともに、止水効果の高い支保工を構築できる。
また、管2の推進方向と交差する方向に複数列並べられて互いに隣り合う複数列の管2の設置作業を容易に行えるとともに互いに隣り合う管2の複数列間の止水部91を溶接等の連結手段により確実かつ容易に形成できる。
また、互いに隣り合う先頭管2;2内を繋ぐ通路となる連通孔90;90を備えたので、互いに隣り合う2つの先頭管2;2内に対する泥水供給排泥経路を1系統にでき、送水用のポンプ75d;排泥用のポンプ76cの数を最小限にできて経済的である。即ち、互いに隣り合う2つの先頭管2;2内に送水し、互いに隣り合う2つの先頭管2;2内より排泥する設備コストを抑えることができて、経済的となる。
【0047】
実施形態1のように、先に地中10に入れる管としての先頭管6を押圧するとともに掘削機械26で地中10を掘削することにより先頭管6を推進させ、かつ、先頭管6の後端に後続管7を順次連結して先頭管6を推進させることによって、複数の管2を地中10に設置したので、中心軸に沿った方向の長さの短い管2を用いて中心軸に沿った方向の長さの長い支保工11を容易に構築できる。例えば、空洞部100の内部空間が狭い場合でも、複数の管2を順次繋いでいくことにより、長さの長い支保工11を容易に構築できるようになる。また、管2を短くできるので、管2の取り扱いも容易になり、作業も容易に行えるようになる。
【0048】
実施形態1によれば、先頭管6の先頭開口6t側の内側に、先頭管6の推進方向と交差する回転中心線Lを回転中心として回転する回転掘削体46を有した掘削機械26を設置し、管2を押圧するとともに掘削機械26で地中を掘削することにより、管2を推進させて地中10に設置したので、地中10が、硬質・レキ混じりである場合でも、断面矩形状の管2の内側の角部付近の地中部分を2つの回転掘削体46;46で掘削できるようになるので、管2を地中10においてスムーズに推進させることができるようになり、支保工11を容易に構築できるようになる。
また、実施形態1によれば、回転掘削体として、管2の推進方向と交差する回転中心線Lを回転中心として回転する回転掘削体46を備え、回転掘削体46の掘削ビット52;52a;52bが回転掘削体46の回転中心線Lと交差する方向に延長するように設けられていることから、回転掘削体46の回転によって掘削ビット52;52a;52bが地中10に食い込む動作が繰り返されて地中10が断面半円形状に掘削される。これと比較して、管2の中心軸を回転中心とする回転掘削体を備えた掘削機械を用いる場合(以下、比較例という)、掘削ビットの先端が管2の中心軸と直交する面上で円弧軌跡を描くように動いて地中10が断面矩形状に掘削される。
即ち、実施形態1の場合、回転掘削体46の回転方向と管2の推進方向と同じ方向を向くので、掘削ビット52;52a;52bで地盤を掻くようにして地中10を効率的に掘削できるのに対して、比較例の場合、回転掘削体の回転方向が管2の推進方向と直交する方向なので、地盤に押し付けられた状態の掘削ビットの先端で地盤を擦るようにして地中を掘削する。
例えば、実施形態1によれば、地中10が硬質・レキ混じりである場合であっても、掘削ビット52;52a;52bで地盤を掻いで掘削していくので、地中10を効率的に掘削できて、掘削機械26及び管2が地中10においてスムーズに進行する。一方、地中10が硬質・レキ混じりである場合、比較例によれば、掘削ビットを地盤に押し当てるので実施形態1と比べて掘削機械及び管2が地中10においてスムーズに進行しない場合が考えられる。
したがって、実施形態1と比較例とを比べた場合、実施形態1の方が、地中10をより効率的に掘削でき、管2を地中10においてスムーズに進行させやすい。
【0049】
さらに実施形態1によれば、回転体50の回転中心線Lから回転中心線Lと直交する線上を経由した第1の掘削ビット80の先端までの第1距離80x(即ち、第1の掘削ビット80による掘削半径)と回転体50の回転中心線Lから回転中心線Lと直交する線上を経由した第2の掘削ビット81の先端までの第2距離81x(即ち、第2の掘削ビットによる掘削半径)とが異なるように設定され、第1距離80xを掘削半径とした第1の掘削ビット80による掘削径が、先頭管6の案内刃管9の上下内面9u;9u間の寸法9xよりも小さく、第2距離81xを掘削半径とした第2の掘削ビット81による掘削径が、先頭管6の案内刃管9の上下内面9u;9u間の寸法9xよりも大きく設定された回転掘削体46を備えた。このため、先頭管6の先端開口6tより前方に位置する回転掘削体46を回転させて掘削ビット80;81が地盤を掘削することにより、先頭管6の先端開口6tの前方において、先頭管6の管の中心を中心とした矩形断面であって先頭管6の先端開口6tの矩形断面の幅寸法(回転掘削体46の径方向に対応する幅寸法、例えば、先頭管6の案内刃管9の上下内面9u:9u間の寸法9x)より幅寸法の大きい矩形断面の孔を掘削できる。よって、先頭管6の先端開口縁が地盤に衝突する前に、先頭管6の先端開口6tよりも前方に位置する地盤を掘削ビット80;81により確実に掘削できるので、先頭管6の先端開口縁(案内刃管9の刃先9a)が硬質の地盤に衝突して先頭管6を推進できなくなるような事態を防止でき、地中10が硬質・レキ混じりの地中10である場合でも、管2をよりスムーズに推進させることができる。
また、第1の掘削ビット80による掘削径が先頭管6の案内刃管9の上下内面9u:9u間の寸法9xよりも小さいので、掘削機械16の回収時には、図3(b)に示すように、第2の掘削ビット群810の第2の掘削ビット81の先端が先頭管6の案内刃管9の上板の内面9uと同一平面を示す位置より上方に位置しない状態にすることで、回転掘削体46が管2内を通過できるようになるので、回転掘削体46を管2内に通して引き戻すことにより掘削機械26を出発側の空洞部100に回収できる。
【0050】
また、回転体50の外周面51上で周方向に互いに180°離れた位置に設けられた各第2の掘削ビット群810;810の各掘削ビット81の先端位置が、回転体50の回転中心線Lと直交する同一の面85上に位置しないように設定されている。つまり、回転体50の外周面51上で周方向に互いに180°離れた位置に設けられた一対の第2の掘削ビット群810;810は、回転掘削体46の回転により一方の第2の掘削ビット群810で掘削できない地盤部分を他方の第2の掘削ビット群810で掘削できるように構成されているので、先頭管6の先端開口6tの矩形断面の幅寸法より幅寸法の大きい矩形断面の孔を効率的に掘削でき、管2をよりスムーズに推進させることができる。
【0051】
また、各第2の掘削ビット群810;810は、回転中心線Lを中心として回転体50の外周面51上で周方向に180°離れた位置にそれぞれ設けられたので、回転掘削体46の回転重心を一定に保てるようになり、回転掘削体46の回転がスムーズになって効率的に掘削できて、管2をよりスムーズに推進させることができる。
また、第2の掘削ビット81及び第1の掘削ビット80を備えたので、第2距離81xを掘削半径とした掘削径の孔を第2の掘削ビット81及び第1の掘削ビット80によってより効率的に掘削できるようになる。
【0052】
実施形態1によれば、地中10に形成された空洞部100を囲む壁111に設けられて管2を空洞部100から地中10に送る出発口112となる孔115を壁111に間欠的に設け、出発口112を介して空洞部100から複数列状に管2(曲管又は直管)を地中10に設置し、かつ、隣り合う出発口112;112を経由して地中に設置されることにより外面同士が互いに間隔hを隔てて隣り合うように地中10に設置された管2と管2との間の地中10に各管2;2の内外を貫通するように管壁に設けられた注入口123より止水処理を施した止水処理部130を形成し、地中10に間隔hを隔てて隣り合うように設置された複数の管2と止水処理部130とにより構成された止水構造体131及び止水構造体131;131の端部131e;131e間を覆うように形成された端部止水構造体132によって地下水が入り込まないように区画された地中部分137を掘削して地中10に地下空間を形成したので、従来のような継手付きの特殊な管を用いる必要がなく、地中10に地下空間を形成する際の止水処理のコスト、作業性の面を改善でき、また、管2を出発させる空洞部100を形成する壁111の構造強度の低下を少なくできる。
【0053】
また、出発口112の幅の長さが、管2を複数列(複数個)並べた分の長さに対応する長さに形成された場合において、上述した管設置装置1Aを用いる場合は、複数列の管2の設置作業を容易に行えるとともに互いに隣り合う複数の管2;2間の止水を溶接により確実かつ容易に行えるし、上述した管設置装置1を用いて管2を1列ずつ地中10に設置する場合は、隣り合う複数の管2;2の外面同士を容易に接触させることができるので、互いに隣り合う管2と管2との間の止水処理を容易に行える。
【0054】
また、出発口112を壁111に間欠的に設けたことにより、出発口112を形成する互いに隣り合う孔115と孔115との間に所定の間隔h分のセグメントが残るためセグメントトンネル110の構造強度の低下を少なくできるとともに、隣り合う出発口112;112の左右の孔縁120;121側に位置する管2の側面122;122間に位置する地中10には、管2の注入口123より薬液やセメント系注入剤を注入する注入処理や凍結処理等による止水処理を施したので、管2;2間を適切に止水できる。
また、補強体116を用いたので、出発口112を保形できるとともにセグメントトンネル110の強度低下を防止できる。また、補強体116は、エントランス口118の中心線と出発口112の中心線とを結ぶ円弧と管2を推進させた場合の管2の進行軌跡とが一致するように設けられたので、管2がエントランス口118及び出発口112を通過する際に管2が管の推進方向に対して振れにくくなり、管2がエントランス口118及び出発口112を通過するよう正確に推進させることができる。また、補強体116のエントランス口118が水密性能維持部材117bを備えたので、管2がエントランス口118を通過する際の止水を行え、管2の推進作業を容易に行える。
【0055】
実施形態1によれば、一方の推進力伝達棒状体である左の推進力伝達棒状体71Aを基板25の後面39の左側縁側における上下縁間の中央部に結合するとともに、他方の推進力伝達棒状体である右の推進力伝達棒状体71Bを基板25の後面39の右側縁側における上下縁間の中央部に結合し、これら先頭に位置する左右の推進力伝達棒状体71A;71Bを油圧ジャッキ62で押圧して先頭管6を推進させる構成とし、さらに、先頭の左右の推進力伝達棒状体71A;71Bに後続の左右の推進力伝達棒状体71A;71Bを順次継ぎ足していって、これら後続の左右の推進力伝達棒状体71A;71Bを油圧ジャッキ62で順次押圧して後続管7を順次推進させる構成としたので、先頭管6及び後続管7の左右に均等に押圧力を加えることができるようになり、先頭管6及び後続管7を予定の推進方向に真っ直ぐに正確に推進させることができる。
また、推進力伝達棒状体71は、先頭管6や後続管7の左内側面や右内側面に面接触する面体71dを持つ傾き防止部71cを備えているので、推進力伝達棒状体71に油圧ジャッキ62からの押圧力が加わった場合に、推進力伝達棒状体71が先頭管6や後続管7の左内側面側や右内側面側に傾くことを防止でき、油圧ジャッキ62からの押圧力を基板25に確実に伝達できるようになる。
【0056】
また、実施形態1によれば、空間69内に水を供給するための水供給機構75と空間69内の泥水を排出するための排泥機構76とを備え、水貯留タンク75aと排泥タンク76dとが一体となった集合タンク75Xを使用したので、管2を推進させる場合、図外の制御装置によって送水用のポンプ75dと排泥用のポンプ76cとを駆動させることにより、泥水を循環させて空間69内に供給できるようになるので、水の使用量を減らすことができ、地盤及び地下水の圧力と空間69内の圧力とを均等にしやすくなるので、地盤沈下等、地中に与える影響を少なくすることができ、しかも、空間69内が泥水化するので、排泥をスムーズに行えるようになり、掘削しやすくなるという効果が得られる。
【0057】
実施形態1においては、管2の後端面102eに後続管7を接続した後に、推進力伝達棒状体71の後ろに後続の推進力伝達棒状体を継ぎ足すようにしたが(図4(b);(c)参照)、逆に、推進力伝達棒状体71の後ろに後続の推進力伝達棒状体を継ぎ足した後に、管2の後端面102eに後続管7を接続するようにしてもよい。
推進力伝達棒状体71の後ろに後続の推進力伝達棒状体を継ぎ足した後に、管2の後端面102eに後続管7を接続する場合、継ぎ足した後続の推進力伝達棒状体の後方から後続管7を置いてから管2の後端面102eに移動させなくてはならないので、継ぎ足した後続の推進力伝達棒状体の後方に後続管7を置くための後方スペースが必要となるとともに管の移動作業が必要となるが、推進力伝達棒状体同士の接続作業を容易にできる。一方、管2の後端面102eに後続管7を接続した後に、推進力伝達棒状体71の後ろに後続の推進力伝達棒状体を継ぎ足すようにすれば、上述した後方スペースを少なくでき、かつ、管の移動作業も容易にできる。
【0058】
補強体としては、出発口112の孔115を囲むように壁111の空洞部100側の面111aに固定される補強部を備えたものを用いれば、出発口112を保形するとともにセグメントトンネル110の強度低下の防止できるので、エントランス口118や孔内筒部127を備えない補強体を用いてもよい。
【0059】
出発口112のセグメントトンネル110の中心軸113に沿った方向の長さが管2を左右に複数列並べた幅分の長さに対応するように決められている場合においては、上述したように、管設置装置1Aを用いて管2を複数列同時に地中10に送り出して地中10に設置しても良いし、管設置装置1を用いて管2を1列ずつ地中10に送り出して地中10に設置してもよい。管2を1列ずつ地中10に送り出して地中10に設置する場合には、複数の管2の外面同士が互いに接触するように複数の管2を地中に設置することにより、複数の管2で止水構造体を形成することが可能となり、複数の管2;2間の止水処理を容易にできる。
【0060】
実施形態2(管2の推進方法の他例1)
実施形態1においては、推進力を受ける基板25に掘削機械26を固定して設け、かつ、先頭管6の内面に基板25を介して推進力を受ける管側推進力受け部21を設けることによって、掘削機械26と管2とを一緒に推進させる構成、即ち、基板25を押して掘削機械26と管2とを一緒(同時)に推進させる構成を示したが、管2の後端面102eを押して管2と掘削機械26とを一緒に推進させる構成としてもよい。
即ち、図20に示すように、先頭管6の管の内周面20aに、基板25の後面39における外周縁側面と対向して管2に伝達された推進力を基板25に伝達する矩形枠状の推進力伝達体710を溶接やボルト・ナットのような固定手段で固定して設け、推進装置4としての油圧ジャッキ620が管2の後端面102eを押圧することにより管2が推進するとともに、推進力伝達体710が基板25に推進力を伝達して掘削機械26が推進する構成とした。
基板25は、先頭管6の中心軸と基板25の中心軸とが一致するように配置されて先頭管6内を前後方向に移動可能に設けられる。基板25は、先頭管6の断面の内面を一周した矩形形状に対応した矩形板30により形成される。当該矩形板30の大きさは、先頭管6の断面の内面を一周した矩形の寸法よりも小さく、かつ、上記推進力伝達体710の矩形枠内周寸法よりも大きい。即ち、基板25を形成する矩形板30の後面39における矩形周縁面と、上記推進力伝達体710の矩形枠の枠前面とが対向するように形成される。基板25の後面39における外周縁側面と矩形環状の推進力伝達体710との間には、上述した水密性能維持部材35と同様の水密性能維持部材(パッキン)350が設けられる。即ち、水密性能維持部材350は、例えば、基板25を形成する矩形板30の後面39における矩形周縁面、又は、推進力伝達体710を形成する矩形枠の枠前面に取付けられる矩形枠体により形成される。したがって、管2に伝達された推進力が推進力伝達体710、水密性能維持部材350を介して基板25に伝達されることにより、管2と掘削機械26とが一緒に推進する。
尚、押圧板64からの押圧力によって管2の後端面102eが変形してしまうことを防止するために、油圧ジャッキ620のピストンロッド63の先端の押圧板64と管2の後端面102eとの間に図外の面板を介在させたり、あるいは、管2の外面に、油圧ジャッキ620のピストンロッド63の先端の押圧板64を受けて油圧ジャッキ620からの推進力を管2に伝達する図外の推進力伝達体を設けてもよい。管2の外面に図外の推進力伝達体を設ける場合には、当該推進力伝達体の部分が補強体116の入口の直前に来た場合に当該推進力伝達体を取り外せばよい。
【0061】
実施形態2では、実施形態1と同様に、回転掘削体46を回転させながら、油圧ジャッキ620を駆動して先頭管6の後端面102eを押圧することにより、推進力伝達装置70を介して先頭管6に伝達される推進力と回転掘削体46の回転に伴う地盤掘削とによって先頭管6が前方に推進し、先頭管6が地中10に設置される。
先頭管6の後端面102eを残して先頭管6が地中10に設置された後、先頭管6の後端面102eに後続管7を溶接、又は、ボルト等の固定具により接続し、実施形態1と同様に、延長耐圧ホース、延長排泥管を継ぎ足していく。そして、回転掘削体46を回転させながら、油圧ジャッキ620を駆動して後続管7の後端面102eを押圧することにより、回転掘削体46が掘削を行いながら先頭管6が推進し、後続管7が地中に設置される。
実施形態2の場合、掘削機械26の回収は、到達側の空洞部100に押し出して回収するか、あるいは、先頭管6を空洞部100に押し出して推進力伝達体710を除去してから、出発側の空洞部100に引き戻して回収する。
【0062】
実施形態2によれば、前の管2に後続の管2を繋げて管2の後端面102eを推進装置4としての油圧ジャッキ620で押圧するだけで良く、推進力伝達棒状体71の継ぎ足しを不要とできるので、推進力伝達装置70の構成を簡単にできる。
尚、実施形態2においては、基板25の外周と先頭管6の内周面20aとを溶接等の連結手段で連結しておいてもよい。基板25の外周と先頭管6の内周面20aとを全周溶接で水密状態に連結すれば、水密性能維持部材350を不要とできる。
【0063】
実施形態3(管2の推進方法の他例2)
図21に示すように、管2と、掘削機械26が固定された基板25とが、個別に推進可能に構成され、基板25と管2とを別々の油圧ジャッキ62;621により個々に推進させることができるように構成した。
即ち、掘削機械26を推進させるための油圧ジャッキ62と管2を推進させるための油圧ジャッキ621とをそれぞれ個別に設け、これら油圧ジャッキ62と油圧ジャッキ621とを別々に制御することにより、掘削機械26と管2とがそれぞれ単独で推進可能に構成された。
実施形態3では、基板25が先頭管6内を前後方向に移動可能に設けられ、かつ、基板25を形成する矩形板30の矩形外周面331には先頭管6の内周面20aとの間の水密性を維持するための例えば弾性体により形成された水密性能維持部材(パッキン)351が設けられる。即ち、基板25の中心を中心とした環状の矩形枠体36により形成された水密性能維持部材351の環内面と基板25の矩形外周面331とを接触させて両者を例えば接着剤等で接着することにより水密性能維持部材351が基板25の矩形外周面331に取付けられ、かつ、環状の水密性能維持部材351の環外面と先頭管6の管の内周面20aとが接触した水密性能維持状態で基板25が先頭管6の中心軸に沿って移動可能に構成されたことにより、基板25で区切られる先頭管6の前方内側の空間69から基板25の矩形外周面331と先頭管6の管の内周面20aとの間を介して水が空洞部100に流れ込んでしまうことを防止できる。
尚、環状の水密性能維持部材351は、先頭管6の内周面20aに取付けてもよい。
実施形態3では、推進装置4としての油圧ジャッキ62と、推進力伝達用の当て材72と、推進力伝達棒状体71とで、推進力受け部としての基板25に推進力を付与する掘削機械推進力供給手段が構成される。
また、推進装置4としての油圧ジャッキ621は、管2の後端面102eを押圧板64で押圧することにより管2に推進力を供給する管推進力供給手段として機能する。
【0064】
実施形態3では、推進力伝達棒状体71の一端71aを基板25の後面39に連結し、推進力伝達棒状体71;71の他端71b間を跨ぐように当て材72を設置する。回転掘削体46を回転させながら、推進装置4としての油圧ジャッキ62を駆動して当て材72を押圧することで基板25及び掘削機械26を推進させるとともに、推進装置4としての油圧ジャッキ621を駆動して先頭管6の後端面102eを押圧することで先頭管6を推進させることにより、掘削機械26及び先頭管6に伝達される推進力と回転掘削体46の回転に伴う地盤掘削とによって掘削機械26及び先頭管6が前方に推進し、先頭管6が地中10に設置される。
先頭管6の後端面102eを残して先頭管6が地中10に設置された後、先頭管6の後端面102eに後続管7を溶接、又は、ボルト等の固定具により接続し、さらに、先頭の推進力伝達棒状体71の他端71bと後続の推進力伝達棒状体71の一端71aとをボルト、又は、溶接により結合することにより、先頭の推進力伝達棒状体71の後ろに後続の推進力伝達棒状体71を継ぎ足すとともに、後続管7の後端面102eにさらに後続管7を溶接、又は、ボルト等の固定具により接続し、実施形態1と同様に、延長耐圧ホース、延長排泥管を継ぎ足していく。そして、回転掘削体46を回転させながら、油圧ジャッキ62を駆動して基板25及び掘削機械26を推進させるとともに、油圧ジャッキ621を駆動して後続管7の後端面102eを押圧することにより先頭管6を推進させることにより、回転掘削体46が掘削を行いながら先頭管6が推進し、後続管7が地中に設置される。
実施形態3の場合、掘削機械26を、出発側の空洞部100に引き戻して回収したり、到達側の空洞部100に押し出して回収する。
【0065】
実施形態3によれば、掘削機械推進力供給手段と管推進力供給手段とを個別に備えたので、案内刃管9の刃先9aに対して回転掘削体46;46の前後位置を自由に設定できるようになる。つまり、掘削機械26を先頭管6の先頭開口6t側の内側の位置から先頭管6の先端開口6tより前方の位置に移動させることができるとともに、掘削機械26を先頭管6の先端開口6tより前方の位置から先頭管6の内側に移動させることができる。
例えば、先頭管6の先端の刃先9aが硬質の地盤に衝突して先頭管6が推進しなくなった場合に、油圧ジャッキ62を作動させながら回転掘削体46;46で掘削動作を行わせることにより、掘削機械26の回転掘削体46;46が先頭管6の先端開口6tより前方の位置で地盤を掘削しながら推進するので、地中10において管2をスムーズに推進させることができるようになる。
また、掘削機械26を先頭管6内に位置させた状態で先頭管6及び掘削機械26の推進動作及び回転掘削体46;46による掘削動作を行うことにより、先頭管6の内側に入り込んだ地中部分のみが回転掘削体46;46により掘削されるので、地中10の余掘り部分が少なくなり、地盤沈下等、地中に与える影響を少なくすることができる。
このように、実施形態1においては、地盤の状況や先頭管6の推進動作の状況によって、先頭管6に対して先頭管6の中心軸に沿った前後方向に回転掘削体46;46の位置を変更できるようになるため、上述したように、地中10において管2をスムーズに推進させることができるとともに、地盤沈下等、地中10に与える影響を少なくすることもできるようになる。
また、先頭管6の内面に先頭管6の中心軸の方向に突出する突出物がなくなるので、掘削機械26を固定した基板25を出発口112側に引き戻して回収する作業や、到達口125側に押し出して回収する作業が容易となる。
【0066】
実施形態4(管2の推進方法の他例3)
掘削機械26と管2とが個別に推進可能に構成され、掘削機械26と管2とを一緒に推進させる構成としてもよい。
即ち、図22に示すように、基板25が先頭管6内を前後方向に移動可能に設けられ、かつ、基板25の外周面と管2の内周面20aとの間に、上述した水密性能維持部材350と同様の環状の水密性能維持部材(パッキン)352を設ける。そして、実施形態1の推進力伝達棒状体71の他端71bと管2の後端面102eとが管2の中心軸と直交する1つの平面上に位置するように揃えられ、推進力伝達棒状体71の他端71bと管2の後端面102eとに跨るように当て材720を設置して、推進装置4としての油圧ジャッキ622を駆動して当て材720を押圧することにより、管2と基板25とを一緒に推進させる構成とした。
【0067】
実施形態4によれば、推進力伝達棒状体71の一端71aを基板25の後面39に連結し、推進力伝達棒状体71;71の他端71b間を跨ぐように当て材720を設置する。回転掘削体46を回転させながら、油圧ジャッキ622を駆動して、当て材720を介して先頭管6の後端面102e及び推進力伝達棒状体71を同時に押圧することにより、掘削機械26及び先頭管6に伝達される推進力と回転掘削体46の回転に伴う地盤掘削とによって掘削機械26及び先頭管6が前方に推進し、先頭管6が地中10に設置される。
先頭管6の後端面102eを残して先頭管6が地中10に設置された後、先頭管6の後端面102eに後続管7を溶接、又は、ボルト等の固定具により接続し、さらに、先頭の推進力伝達棒状体71の他端71bと後続の推進力伝達棒状体71の一端71aとをボルト、又は、溶接により結合することにより、先頭の推進力伝達棒状体71の後ろに後続の推進力伝達棒状体71を継ぎ足す。この際、推進力伝達棒状体71の他端71bと管2の後端面102eとが管2の中心軸と直交する1つの平面上に位置するように揃える。また、実施形態1と同様に、延長耐圧ホース、延長排泥管を継ぎ足していく。そして、回転掘削体46を回転させながら、油圧ジャッキ622を駆動して、当て材720を介して後続管7の後端面102e及び推進力伝達棒状体71を同時に押圧することにより、掘削機械26及び先頭管6に伝達される推進力と回転掘削体46の回転に伴う地盤掘削とによって掘削機械26及び先頭管6が前方に推進し、後続管7が地中に設置される。
【0068】
実施形態4によれば、当て材720を介して1つの油圧ジャッキ622による押圧力を基板25と管2との両方に伝達できるので、基板25を押圧する油圧ジャッキと管2を押圧する油圧ジャッキとを個別に用意する必要がなくなり、駆動源のコストを低減できる。また、先頭管6の内面に先頭管6の中心軸の方向に突出する突出物がなくなるので、掘削機械26を固定した基板25を出発口112側に引き戻して回収する作業や、到達口125側に押し出して回収する作業が容易となる。
【0069】
実施形態5
図23に示すように、基板25が、先頭管6の中心軸に沿った方向の長さ寸法が長く、かつ、管2の矩形断面の内径寸法に対応した外形寸法を有した矩形状の筒部25Aを備えた構成としてもよい。そして、筒部25Aの筒外周面25aと先頭管6の内周面20aとの間の水密性能を維持するために基板25の中心を中心とした環状の矩形枠体により形成された水密性能維持部材25bを備えた構成とした。水密性能維持部材25bは、筒部25Aの筒外周面25a又は先頭管6の内周面20aのいずれかに1つ以上取付けた構成とすればよい。尚、図23では、図1の実施形態1の構成に実施形態5の構成を適用した例を図示したが、実施形態5の構成は、実施形態2;3;4の構成にも適用できる。
実施形態5によれば、基板25の中心軸に沿った方向の長さ寸法が長い筒外周面25aを有した筒部25Aを備えた基板25を用いたことで、基板25が推進する際に基板25の推進方向と先頭管6の中心軸とを平行に維持でき、基板25を先頭管6の中心軸に沿って平行に推進させることができるので、基板25を容易に推進させることができる。つまり、基板25が推進する際に、先頭管6の中心軸に対して基板25の中心軸が傾いてしまって基板25を推進方向に推進させにくくなってしまうような事態を防止できる。
また、基板25の推進方向と先頭管6の中心軸とを平行に維持できるので、基板25の筒外周面25aと先頭管6の内周面20aとの間の水密性能維持部材25bによる水密性能を良好にできるので、管2内を経由して空洞部100に地下水が流入しないように、掘削機械26と管2とを個別に推進させることが可能となり、空洞部100での排水処理作業の負担を軽減できる。
環状の水密性能維持部材25bを、筒外周面25aや管2の中心軸に沿った方向に所定間隔隔てて複数個設ければ、水密性をより向上できて好ましい。
【0070】
実施形態6
本発明は、図24(a)に示すように、一方の空洞部100が地上から地中10に向けて形成された立坑140により形成され、他方の空洞部100がシールドトンネルのセグメント141で囲まれたシールドトンネル142により形成されている場合において、立坑140内とシールドトンネル142内とを連通させる地下空間としての連通路143を形成する場合にも利用可能である。この場合、管2として直管を用いて、立坑140とシールドトンネル142との間を管2を直進させて設置することで、図24(b)に示すような、円筒状の壁144を構築し、この壁144内を掘削して地下空間としての連通路143を形成する。
【0071】
実施形態7
管2を1列ずつ地中10に設置する場合に、壁111に管1列毎に対応する出発口112を形成していって、互いに隣り合う管列を間隔を隔てて設置し、互いに隣り合う1列毎の管2;2の間の地中に止水処理部を形成していってもよい。この場合、管2を地中10に推進させる際の管2;2同士の干渉がなくなって管2を地中10にスムーズに推進させることができ、作業性がより向上する。
【0072】
実施形態8
また、管2を1列ずつ地中10に設置する場合に、壁111に設けられた出発口112を介して空洞部100から複数の管2を複数列状に地中10に設置することによって互いに隣り合う複数列の管2の外面同士が互いに接触した複数の管2による止水構造体を形成し、この止水構造体によって地下水が入り込まないように区画された地中部分を掘削して地中に地下空間を形成してもよい。
この場合、壁111に管2の1列毎に対応する出発口112を形成していって、管設置装置1を用いて管2を1列ずつ地中10に送り出して複数列の管2の外面同士が互いに接触するように設置してもよいし、壁111に管2の複数列分の幅に対応する出発口112を順次形成していって、管設置装置1Aを用いて管2を複数列同時に地中10に送り出して地中10に設置しても良い。
【0073】
実施形態9
第2の掘削ビット群810は、回転体50の外周面51に設けられた個々の取付部83に個々に取付けられた第2の掘削ビット81の集合体により構成されても良い。
【0074】
実施形態10
回転体50の外周面51上において回転体50の回転中心線Lに沿った方向の両方の端面に跨って回転中心線Lに沿った方向に直線状又は非直線状に個々の第2の掘削ビット81が個々に並ぶように配置されていたり、回転体50の外周面51上において回転体50の回転中心線Lに沿った方向の両方の端面に跨って回転中心線Lに沿った方向に直線状又は非直線状に延長する1つの掘削刃を有した第2の掘削ビットを備えた構成の回転掘削体46であって、回転掘削体46が管2の内側で回転中心線Lを中心として回転不可能で、かつ、先頭管6の先頭開口6tの前方位置で回転可能なように構成されていればよい。
【0075】
実施形態11
第2の掘削ビット群810;810が回転体50の外周面51上で周方向に互いに180°離れた位置に設けられていなくてもよい。
【0076】
要するに、掘削機械26は、回転中心線Lから回転中心線Lと直交する線上を経由した第1の掘削ビット80の先端までの第1距離80xが、回転掘削体46が管6の内側で回転中心線Lを中心として回転可能な回転半径に設定され、回転中心線Lから回転中心線Lと直交する線上を経由した第2の掘削ビット81の先端までの第2距離81xが、回転掘削体46が管2の内側で回転中心線Lを中心として回転不可能で、かつ、回転掘削体46が先頭管6の先頭開口6tの前方に位置された場合に回転中心線Lを中心として回転可能な回転半径に設定されればよい。
【0077】
実施形態12
回転掘削体46は、第1の掘削ビット80を備えない構成としてもよい。即ち、掘削ビットとして第2の掘削ビット81のみを有した回転掘削体46を用いてもよい。
【0078】
要するに、回転掘削体46が第1の掘削ビット80を備えない構成の場合において、回転中心線Lから回転中心線Lと直交する線上を経由した回転掘削体46の回転体50の外周面51までの最短距離である第1距離が、回転掘削体46が管6の内側で回転中心線Lを中心として回転可能な回転半径に設定され、回転中心線Lから回転中心線Lと直交する線上を経由した第2の掘削ビット81(掘削ビット)の先端までの第2距離81xが、回転掘削体46が管2の内側で回転中心線Lを中心として回転不可能で、かつ、回転掘削体46が先頭管6の先頭開口6tの前方に位置された場合に回転中心線Lを中心として回転可能な回転半径に設定されればよい。
【0079】
実施形態13
支柱42の中心線と先頭管6の中心線とが一致するよう支柱42が配置され、回転掘削体46の回転中心線Lが先頭管6の先端開口6tの上下高さの1/2の位置に位置決めされた構成において、図3に示すように、回転掘削体46は、第2距離81xが、先頭管6の断面中心から回転中心線Lに沿った先頭管6の先端開口6t側において互いに向かい合う上板9m及び下板9n(一対の板)のうちの一方の板の外面9fまでの最短距離に設定される。
実施形態13によれば、先頭管6の先端が硬質の地盤に衝突して先頭管6を推進できなくなるような事態を防止できるとともに、先端開口6tより前方の地盤の掘削量を少なくできるので、地盤沈下等、地中10に与える影響を少なくすることができる。
【0080】
回転掘削体46を1つ又は3つ以上備えた掘削機械26を用いてもよい。
また、掘削機械26は、先頭管6の推進方向と交差する回転中心線を回転中心として回転する回転掘削体46を備えたものであってもよい。
【0081】
また、先に地中に入れる管の後端に後続管を連結しないようにし、地中に形成された空洞部から先に地中に入れる管のみを地中に設置して当該先に地中に入れる管のみ(即ち、1本の管)による支保工を形成するようにしてもよい。即ち、一方の空洞部100と他方の空洞部100とに跨る管を1本の管で形成するようにしてもよい。
【0082】
また、管2は、断面形状が四角形状のものであればよい。尚、本発明でいう断面形状が四角形状とは、断面長方形、断面正方形、断面台形、断面平行四辺形などの四角形状を指し、四角の角部が面取りされた形状のものも含む。
【0083】
本発明の空洞部100は、シールドトンネルのセグメントで囲まれた空洞部、又は、山岳トンネルの壁で囲まれたトンネル空洞部、又は、立坑内の空間等により形成される。そして、本発明により形成される地下空間としては、上述した地下鉄ホームを形成する空間、トンネルの道路や線路における往路空間及び復路空間、トンネルの道路や線路における合流部又は分岐部、トンネルの道路や線路における拡幅部、上述した連通路143等がある。
【0084】
尚、上述した管側推進力受け部21は、先頭管6の管の内面20より突出するように設けられた掘削機械ぶれ防止部としても機能する。当該掘削機械ぶれ防止部は、掘削機械26の回転掘削体46;46を先頭管6の先端開口6tより前方に位置させた状態において基板25の前方への移動を規制し、かつ、基板25の中心を通過して先頭管6の中心軸に沿って延長する基板25の中心軸が先頭管6の中心軸に対して傾かないように基板25を受け止めることにより、掘削機械26のぶれを防止するものである。
掘削機械ぶれ防止部は、基板25の前方への移動を規制するために先頭管6の管の内周面20aに沿って矩形状に設けられて先頭管6の中心軸と直交する矩形枠平面を備える。
図1に示すように、掘削機械ぶれ防止部と基板25との間に水密性能維持部材35を介在させた場合には、基板25が水密性能維持部材35を介して掘削機械ぶれ防止部の矩形枠平面に押し付けられることにより、基板25の中心軸が先頭管6の中心軸に対して傾くことが防止されて掘削機械26のぶれが防止される。
図22;24に示すように、水密性能維持部材351;352が基板25の矩形外周面331又は先頭管6の内周面20aに取付けられた場合には、基板25が図外の掘削機械ぶれ防止部の矩形枠平面に押し付けられることにより、基板25の中心軸が先頭管6の中心軸に対して傾くことが防止されて掘削機械26のぶれが防止される。
即ち、掘削機械ぶれ防止部は、基板25を受け止めて、基板25の前面39fを先頭管6の中心軸と直交する面に維持して、基板25の前面39fの中心より前面39fと直交するように設けられた支柱42の中心軸と先頭管6の中心軸とを一致するよう維持する機能を備えることにより、掘削機械26のぶれを防止する。よって、基板25の中心軸が先頭管6の中心軸に対して傾かないように掘削機械26の掘削姿勢が維持された状態で掘削機械26の回転掘削体46:46が地中10を掘削するので、地中10の予定位置を正しく掘削できて管2を予定の設置位置に正確に設置できるようになる。
掘削機械ぶれ防止部は、油圧ジャッキ62で押された基板25を受け止めて、前面39fを先頭管6の中心軸と直交する面に維持できるように、先頭管6の管の内周面20aに少なくとも2箇所以上に設けられた構成とすればよい。例えば、掘削機械ぶれ防止部は、先頭管6の管の矩形の内周面20aにおける左右の側面、あるいは、上下の面より個別に突出するように設けられて、基板25の前面39fを受け止める面又は線又は点を有した構成とすればよい。
【符号の説明】
【0085】
1 管設置装置、2 管、6 先頭管(管)、6t 先頭開口、7 後続管(管)、
10 地中、26 掘削機械、46 回転掘削体、50 回転体、
51 回転体の外周面、80 第1の掘削ビット、80x 第1距離、
81 第2の掘削ビット、81x 第2距離、100 空洞部、
810 第2の掘削ビット群、L 回転中心線。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
断面四角形状の管を地中に形成された空洞部から地中に設置する場合に、先に地中に入れる管の先頭開口側に掘削機械を設置し、管を押圧するとともに掘削機械で地中を掘削することにより、管を推進させて地中に設置する管設置装置において、
掘削機械として、管の推進方向と交差する回転中心線を回転中心として回転する回転掘削体を有した掘削機械を用い、
回転掘削体は、回転中心線を回転中心として回転する回転体と、回転体の外周面より突出するように設けられた掘削ビットとを備え、
回転中心線から回転中心線と直交する線上を経由した回転体の外周面までの第1距離と回転中心線から回転中心線と直交する線上を経由した掘削ビットの先端までの第2距離とが異なり、
第1距離は、回転掘削体が管の内側で回転中心線を中心として回転可能な回転半径に設定され、
第2距離は、回転掘削体が管の内側で回転中心線を中心として回転不可能で、かつ、回転掘削体が管の先頭開口の前方に位置された場合に回転中心線を中心として回転可能な回転半径に設定され、
回転掘削体が管の先頭開口の前方に位置された状態で回転駆動されることによって掘削ビットが管の先頭開口の前方位置の地盤を掘削し、かつ、回転掘削体が管内を通過して管を出発させた空洞部に回収可能に構成されたことを特徴とする管設置装置。
【請求項2】
断面四角形状の管を地中に形成された空洞部から地中に設置する場合に、先に地中に入れる管の先頭開口側に掘削機械を設置し、管を押圧するとともに掘削機械で地中を掘削することにより、管を推進させて地中に設置する管設置装置において、
掘削機械として、管の推進方向と交差する回転中心線を回転中心として回転する回転掘削体を有した掘削機械を用い、
回転掘削体は、回転中心線を回転中心として回転する回転体と、回転体の外周面より突出するように設けられた第1の掘削ビットと第2の掘削ビットとを備え、
回転中心線から回転中心線と直交する線上を経由した第1の掘削ビットの先端までの第1距離と回転中心線から回転中心線と直交する線上を経由した第2の掘削ビットの先端までの第2距離とが異なり、
第1距離は、回転掘削体が管の内側で回転中心線を中心として回転可能な回転半径に設定され、
第2距離は、回転掘削体が管の内側で回転中心線を中心として回転不可能で、かつ、回転掘削体が管の先頭開口の前方に位置された場合に回転中心線を中心として回転可能な回転半径に設定され、
回転掘削体が管の先頭開口の前方に位置された状態で回転駆動されることによって第1の掘削ビット及び第2の掘削ビットが管の先頭開口の前方位置の地盤を掘削し、かつ、回転掘削体が管内を通過して管を出発させた空洞部に回収可能に構成されたことを特徴とする管設置装置。
【請求項3】
掘削ビット又は第2の掘削ビットを回転体の回転中心線に沿った方向に複数個並べて形成した掘削ビット群が、回転体の外周面上で周方向に所定距離離れた位置にそれぞれ設けられ、各掘削ビット群の各掘削ビットの先端同士が、回転掘削体の回転中心線と直交する同一の面上に位置しないように設定されたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の管設置装置。
【請求項4】
掘削ビット又は第2の掘削ビットは、回転中心線を中心として回転体の外周面上で周方向に180°離れた位置にそれぞれ設けられたことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の管設置装置。
【請求項5】
第2距離が、管の断面中心から回転中心線に沿った管の互いに向かい合う一対の板のうちの一方の板の外面までの最短距離に設定されたことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の管設置装置。
【請求項1】
断面四角形状の管を地中に形成された空洞部から地中に設置する場合に、先に地中に入れる管の先頭開口側に掘削機械を設置し、管を押圧するとともに掘削機械で地中を掘削することにより、管を推進させて地中に設置する管設置装置において、
掘削機械として、管の推進方向と交差する回転中心線を回転中心として回転する回転掘削体を有した掘削機械を用い、
回転掘削体は、回転中心線を回転中心として回転する回転体と、回転体の外周面より突出するように設けられた掘削ビットとを備え、
回転中心線から回転中心線と直交する線上を経由した回転体の外周面までの第1距離と回転中心線から回転中心線と直交する線上を経由した掘削ビットの先端までの第2距離とが異なり、
第1距離は、回転掘削体が管の内側で回転中心線を中心として回転可能な回転半径に設定され、
第2距離は、回転掘削体が管の内側で回転中心線を中心として回転不可能で、かつ、回転掘削体が管の先頭開口の前方に位置された場合に回転中心線を中心として回転可能な回転半径に設定され、
回転掘削体が管の先頭開口の前方に位置された状態で回転駆動されることによって掘削ビットが管の先頭開口の前方位置の地盤を掘削し、かつ、回転掘削体が管内を通過して管を出発させた空洞部に回収可能に構成されたことを特徴とする管設置装置。
【請求項2】
断面四角形状の管を地中に形成された空洞部から地中に設置する場合に、先に地中に入れる管の先頭開口側に掘削機械を設置し、管を押圧するとともに掘削機械で地中を掘削することにより、管を推進させて地中に設置する管設置装置において、
掘削機械として、管の推進方向と交差する回転中心線を回転中心として回転する回転掘削体を有した掘削機械を用い、
回転掘削体は、回転中心線を回転中心として回転する回転体と、回転体の外周面より突出するように設けられた第1の掘削ビットと第2の掘削ビットとを備え、
回転中心線から回転中心線と直交する線上を経由した第1の掘削ビットの先端までの第1距離と回転中心線から回転中心線と直交する線上を経由した第2の掘削ビットの先端までの第2距離とが異なり、
第1距離は、回転掘削体が管の内側で回転中心線を中心として回転可能な回転半径に設定され、
第2距離は、回転掘削体が管の内側で回転中心線を中心として回転不可能で、かつ、回転掘削体が管の先頭開口の前方に位置された場合に回転中心線を中心として回転可能な回転半径に設定され、
回転掘削体が管の先頭開口の前方に位置された状態で回転駆動されることによって第1の掘削ビット及び第2の掘削ビットが管の先頭開口の前方位置の地盤を掘削し、かつ、回転掘削体が管内を通過して管を出発させた空洞部に回収可能に構成されたことを特徴とする管設置装置。
【請求項3】
掘削ビット又は第2の掘削ビットを回転体の回転中心線に沿った方向に複数個並べて形成した掘削ビット群が、回転体の外周面上で周方向に所定距離離れた位置にそれぞれ設けられ、各掘削ビット群の各掘削ビットの先端同士が、回転掘削体の回転中心線と直交する同一の面上に位置しないように設定されたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の管設置装置。
【請求項4】
掘削ビット又は第2の掘削ビットは、回転中心線を中心として回転体の外周面上で周方向に180°離れた位置にそれぞれ設けられたことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の管設置装置。
【請求項5】
第2距離が、管の断面中心から回転中心線に沿った管の互いに向かい合う一対の板のうちの一方の板の外面までの最短距離に設定されたことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の管設置装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【公開番号】特開2012−117276(P2012−117276A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−267668(P2010−267668)
【出願日】平成22年11月30日(2010.11.30)
【出願人】(000001317)株式会社熊谷組 (551)
【出願人】(000158769)機動建設工業株式会社 (41)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月30日(2010.11.30)
【出願人】(000001317)株式会社熊谷組 (551)
【出願人】(000158769)機動建設工業株式会社 (41)
【Fターム(参考)】
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