管設置装置
【課題】管の進行に先立って管の前方において管の断面積よりも幅の広い断面積を掘削できるようにして、地山が硬質地盤である場合でも管を地中においてスムーズに推進させることができる管設置装置を提供する。
【解決手段】断面四角形状の管を地中10に形成された空洞部100から地中に設置する場合に、先に地中に入れる管(先頭管6)の先頭開口6tの前方に管の推進方向と直交する面と平行な回転中心線Lを回転中心として回転する回転掘削体46を設置し、管を進行させるとともに回転掘削体46で地中を掘削することにより、管を推進させて地中に設置する管設置装置1において、回転掘削体46の支柱42が固定された球体30と、管の先頭開口側の内側に設置されて球体を球体の中心を回転中心として回転可能に保持する球体回転ガイド部材31と、球体を球体の中心を回転中心として回す球体駆動手段32とを備えた。
【解決手段】断面四角形状の管を地中10に形成された空洞部100から地中に設置する場合に、先に地中に入れる管(先頭管6)の先頭開口6tの前方に管の推進方向と直交する面と平行な回転中心線Lを回転中心として回転する回転掘削体46を設置し、管を進行させるとともに回転掘削体46で地中を掘削することにより、管を推進させて地中に設置する管設置装置1において、回転掘削体46の支柱42が固定された球体30と、管の先頭開口側の内側に設置されて球体を球体の中心を回転中心として回転可能に保持する球体回転ガイド部材31と、球体を球体の中心を回転中心として回す球体駆動手段32とを備えた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、断面四角形状の管を地中に設置するための管設置装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、断面四角状の管を地中に設置するための管設置装置であって、管の先頭側の内側に管の推進方向と直交する回転中心線を回転中心として回転する回転掘削体を備えた管設置装置が知られている(例えば特許文献1等参照)。
また、断面円形状の曲管(管の中心線が曲線である管)を地中に設置するための管設置装置として、曲管の先頭側に曲管の推進方向に沿った回転中心線を回転中心として回転するカッタヘッドを備え、カッタヘッドの回転中心線を曲管の推進方向と交差する状態にしてカッタヘッドを揺動させることが可能な管設置装置が知られている(例えば特許文献2等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−52528号公報
【特許文献2】特開2005−155056号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の管設置装置では、地山が硬質地盤である場合、先頭管の先端が硬質地盤に衝突して進行しなくなることがあった。
また、特許文献2の管設置装置では、カッタヘッドが回転可能なようにカッタヘッドの外周面が支持部材によって支持されているので、カッタヘッドの外周面と支持部材との接触支持構造として高精度な摺動装置が必要となり、また、摺動装置における支持部材とカッタヘッドとの接触部が磨耗しやすくなるので、耐久性、コスト等の面で問題がある。
さらに、特許文献1の管設置装置に特許文献2の管設置装置の接触支持構造を採用しようとした場合、上述した耐久性、コスト等の問題ばかりではなく、特許文献1の管設置装置の回転掘削体の回転中心線の向きと特許文献2の管設置装置のカッタヘッドの回転中心線の向きとが異なるため、特許文献1の管設置装置に特許文献2の管設置装置の接触支持構造を採用したとしても、管の進行に先立って管の前方において管の断面積よりも幅の広い断面積を掘削できる構成とはならず、先頭管の先端が硬質地盤に衝突して進行しなくなるという課題を解消できない。
本発明は、管の先頭側に管の推進方向と直交する回転中心線を回転中心として回転する回転掘削体を備え、管の進行に先立って管の前方において管の断面積よりも幅の広い断面積を掘削できるようにして、地山が硬質地盤である場合でも管を地中においてスムーズに推進させることができる管設置装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、断面四角形状の管を地中に形成された空洞部から地中に設置する場合に、先に地中に入れる管の先頭開口の前方に管の推進方向と直交する面と平行な回転中心線を回転中心として回転する回転掘削体を設置し、管を進行させるとともに回転掘削体で地中を掘削することにより、管を推進させて地中に設置する管設置装置において、回転掘削体の支柱が固定された球体と、管の先頭開口側の内側に設置されて球体を球体の中心を回転中心として回転可能に保持する球体回転ガイド部材と、球体を球体の中心を回転中心として回す球体駆動手段とを備えたので、管の進行に先立って管の前方において管の断面積よりも幅の広い断面積で地山を掘削できるようになり、管の前方での余堀が可能となるので、地山が硬質地盤である場合でも管を地中においてスムーズに推進させることが可能な管設置装置を提供できる。
球体駆動手段として、管の互いに平行に対向する一方の一対の壁面と平行でかつ管の互いに平行に対向する他方の一対の壁面と交差するように延長する第1の回転中心線を回転中心として球体を回す球体駆動手段を備えたので、管の前方において他方の一対の壁面と直交する方向である管の左右幅間隔よりも広い左右幅間隔で地山を掘削できるようになるので、地山が硬質地盤である場合でも管を地中においてスムーズに推進させることが可能な管設置装置を提供できる。
球体駆動手段として、回転掘削体の回転中心線と平行な第2の回転中心線を回転中心として球体を回す球体駆動手段を備えたので、管の前方において前記一方の一対の壁面と直交する方向である管の上下幅間隔よりも広い上下幅間隔で地山を掘削できるようになるので、地山が硬質地盤である場合でも管を地中においてスムーズに推進させることが可能な管設置装置を提供できる。
球体駆動手段として、管の中心線と平行な第3の回転中心線を回転中心として球体を回す球体駆動手段を備えたので、管の前方において管の断面積よりも幅の広い断面積で地山を掘削できるようになるので、地山が硬質地盤である場合でも管を地中においてスムーズに推進させることが可能な管設置装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】管設置装置の横断面図(実施形態1)。
【図2】掘削機械揺動駆動装置の分解斜視図(実施形態1)
【図3】掘削機械揺動駆動装置の斜視図(実施形態1)
【図4】先頭管の内部構造を示す斜視図(実施形態1)。
【図5】管設置装置の縦断面図(実施形態1)
【図6】球体回転ガイド部材の後面側を後方側から見た図(図2のA−A断面相当図)(実施形態1)。
【図7】回転掘削体の左右揺動状態を示す図(実施形態1)。
【図8】回転掘削体の上下揺動状態を示す図(実施形態1)。
【図9】地中への管の設置方法を示す図(実施形態1)。
【図10】直管を設置する管設置方法により構築される支保工の例を示す断面図(実施形態1)。
【図11】曲管を設置する管設置方法により構築される支保工の例を示す断面図(実施形態1)。
【図12】管設置装置の断面図(実施形態6)。
【図13】(a)は先頭管の先頭部分を示した斜視図、(b)一対の第2の掘削ビット群の関係を示す断面図(実施形態6)。
【図14】(a)は回転掘削体の掘削時の状態を示す図、(b)は回転掘削体の回収時の姿勢状態を示す図(実施形態6)。
【発明を実施するための形態】
【0007】
実施形態1
図1乃至図11に基づいて、実施形態1による地中への管設置方法を実現するための管設置装置1の基本構成及び動作について説明する。
図1に示すように、管設置装置1は、管2と、掘削装置3と、制御装置65とを備える。尚、以下、図1における上側を管2や管設置装置1の先頭あるいは前側と定義し、図1における下側を管2や管設置装置1の後側と定義し、図1における左右側を管2や管設置装置1の左右側と定義し、図1の紙面と直交する方向の上下側を管2や管設置装置1の上下側と定義して説明する。
【0008】
管2は、図9;図11に示すような、円弧を描くように曲がって延長するように形成された曲管(管の中心線が曲線である管)、あるいは、図10に示すような、真っ直ぐに延長する管(管の中心線が直線である管(以下、直管という))であって、管の中心線と直交する面で管を切断した場合の断面形状が四角状の管により形成される。管2としては例えば鋼製の管が用いられる。管2の大きさは、例えば、管の長さ(前後長さ)が1.5m、左右幅が1.2m、上下幅が0.7mである。
そして、図9;図11に示すように、複数の曲管が順次連結されて地中10に設置されることによって円弧を描くように曲がって延長する支保工11が地中10に構築されたり、図10に示すように、複数の直管が順次連結されて地中10に設置されることによって真っ直ぐに延長する支保工11が地中10に構築される。
図9に示すように、実施形態1の管設置装置1及び管設置方法によって地中に構築される支保工11は、先頭に位置される管2(以下、先頭管という)と後続の複数の管2(以下、後続管という)とにより形成される。即ち、支保工11は、先頭に位置される曲管である先頭管6と先頭管6の後に続くように設けられる後続の複数の曲管である後続管7とにより形成される連続する曲管67によって構築される。
支保工11としては、図11(a)に示すように、地中10に形成された一方の空洞部100と他方の空洞部100との間に跨るように複数の管2としての複数の曲管を連続させて構築される支保工11や、図11(b)に示すように、地中10に形成された空洞部100から出発して当該空洞部100に戻るように複数の管2としての複数の曲管を連続させて構築される支保工11や、図10に示すように、一方の空洞部100と他方の空洞部100との間に跨るように複数の管2としての複数の直管を連続させて設置して構築される支保工11などがある。
【0009】
図1に示すように、掘削装置3は、掘削機械26と、掘削機械揺動駆動装置25と、制御装置65と、推進装置70と、水供給装置75と、排泥装置76と、を備える。
掘削機械揺動駆動装置25は、球体30と、球体回転ガイド部材31と、球体駆動手段32とを備える。
【0010】
実施形態1による掘削装置3は、回転掘削体46が固定された球体30と、先頭管6の先頭開口6t側の内側に設置されて球体30を球体30の中心を回転中心として回転可能に保持する球体回転ガイド部材31と、先頭管6の互いに平行に対向する一方の一対の内壁面(例えば先頭管6の左右の内壁面6a;6b)と平行でかつ先頭管6の互いに平行に対向する他方の一対の内壁面(例えば先頭管6の上下の内壁面6c;6d)と交差するように延長する球体回転中心軸30a(第1の回転中心線)、及び、先頭管6の互いに平行に対向する前記一方の一対の内壁面及び前記球体回転中心軸30a(第1の回転中心線)と直交するように延長する球体回転中心線30b(第2の回転中心線)を回転中心として球体30を回す球体駆動手段32と、を有した掘削機械揺動駆動装置25を備える。
掘削機械揺動駆動装置25は、球体回転ガイド部材31が先頭管6の先頭開口6t側の内側に前方への移動が規制された状態で設置され、回転掘削体46の支柱42が球体30に固定され、球体30が球体30の中心を回転中心として回転可能なように球体回転ガイド部材31に保持され、球体駆動手段32が球体30を球体30の中心を回転中心として先頭管6の左右方向及び前後方向に回すことで、支柱42を介して球体30に固定された回転掘削体46が先頭管6の前方において先頭管6の左右方向又は上下方向に揺動するよう構成されている。
換言すれば、掘削機械揺動駆動装置25は、回転掘削体46の回転中心線Lが先頭管6の推進方向と直交する面及び先頭管6の互いに平行に対向する一対の内壁面(例えば先頭管6の上下の内壁面6c;6d)と平行な第1の状態、又は、回転掘削体46の回転中心線Lが先頭管6の互いに平行に対向する前記一対の内壁面と平行でかつ先頭管6の推進方向と直交する面と直交以外の状態で交差する第2の状態(回転掘削体46の左右揺動状態)、又は、回転掘削体46の回転中心線Lが先頭管6の互いに平行に対向する一対の内壁面(例えば先頭管6の上下の内壁面6c;6d)と平行な状態を維持しつつ先頭管6の前記一対の内壁面と直交する方向に移動する第3の状態(回転掘削体46の上下揺動状態)となるように、自由に設定することが可能な構成を備える。
【0011】
球体30は、球体30の中心を通って上下の両端が球体30の球面より突出する球体回転中心軸30a(図4参照)を有する。この球体回転中心軸30aは球体回転ガイド部材31の後述する軸収容部34内に収容されて先頭管6の左右の内壁面6a;6bと平行な面上で軸が先頭管6の上下方向に延長するように設置され、かつ、先頭管6の左右の内壁面6a;6bと平行な面上において軸の上下端側が軸の中心点を回転中心として先頭管6の前後方向に揺動可能に設置される。そして、球体30は、球体回転ガイド部材31の後述する球体収容部内に収容されることによって、前記球体回転中心軸30aを回転中心として先頭管6の左右方向に回転可能で、かつ、球体30の中心を通って先頭管6の左右の内壁面6a;6b及び球体回転中心軸30aと直交する球体回転中心線30bを回転中心として先頭管6の前後方向に回転可能に構成される。
球体30は、球体30の中心を通り球体回転中心軸30a及び球体回転中心線30bと直交して球体30を貫通するように形成された支柱支持貫通孔13を備える。
回転掘削体46が取付けられる2つの分岐支柱43;43が先頭管6の左右の内壁面6a;6bに対して直交する状態となるように回転掘削体46の支柱42が支柱支持貫通孔13を貫通した状態で球体30に固定される。例えば、図1;2に示すように、球体30の支柱支持貫通孔13の前側開口の周囲は支柱支持貫通孔13の中心線と直交する取付平面30cに形成され、支柱42には当該取付平面30cに接触する取付平面42cを有した固定鍔42xが形成され、支柱42の後端が支柱支持貫通孔13を通過して球体30の後方に突出した状態において固定鍔42xの取付平面42cと球体30の取付平面30cとが付き合わされてこれら固定鍔42xの取付平面42cと球体30の取付平面30cとが溶接や固定ボルト等の固定手段により固定される。
【0012】
球体回転ガイド部材31は、外周寸法が先頭管6の断面(先頭管6の中心線と直交する断面)の四角形の内周寸法とほぼ同じ寸法の四角形状の平板31xに、球体収容部33と、軸収容部34と、排泥管保持貫通孔14(図4参照)と、水供給管保持貫通孔15(図4参照)とが形成された構成である。
球体回転ガイド部材31の平板31xの外周面31aには外周面31aを一周するようにゴムパッキン等の水密性能維持部材31bが設けられており、平板31xの外周面31aと先頭管6の内周面6xとが数mm程度(例えば5mm)の僅かな隙間を介して対向した状態で、かつ、水密性能維持部材31bと先頭管6の内周面6xとが接触して、平板の外周面31aと先頭管6の内周面6xとの間の水密性が維持されるように、球体回転ガイド部材31が先頭管6の先頭開口6t側の内側に設置される。水密性能維持部材31bは、平板31xの外周面31aを一周するように外周面31aに形成された溝31h内に収容されて外周面31aより突出するように設けられることにより、水密性能を十分に発揮できるよう平板31xの外周面31aに安定に設置できる。また、水密性能維持部材31bは、平板31xの外周面31aの前後側の両方に設けることが好ましい。
球体収容部33は、球体回転ガイド部材31の平板31xの板面の中央部を貫通する貫通孔により形成され、この貫通孔の内面は、球体30の球面と同じ曲率の凹状湾曲面により形成される。
球体収容部33の湾曲面には、当該湾曲面を形成する貫通孔の中心線の周囲を一周するようにゴムパッキン等の水密性能維持部材33bが設けられており、球体30の球面と球体収容部33の湾曲面とが数mm程度(例えば5mm)の僅かな隙間を介して対向した状態で、かつ、水密性能維持部材33bと球体30の球面とが接触して、球体30の球面と球体収容部33の湾曲面との間の水密性が維持されるように構成される。水密性能維持部材33bは、球体収容部33の湾曲面に形成された溝33h内に収容されて湾曲面より突出するように設けられることにより、水密性能を十分に発揮できるよう球体収容部33の湾曲面に安定に設置できる。
図3に示すように、軸収容部34は、球体収容部33の湾曲面より延長するよう平板31xに設けられた孔部により形成され、球体30が球体回転中心線30bを回転中心として回転運動した場合に球面より突出する球体回転中心軸30aの上下端部を前後方向に揺動可能なように収容する構成である。軸収容部34は、球体回転中心軸30aの上端部を前後方向に揺動可能なように収容する上側軸収容部34xと、球体回転中心軸30aの下端部を前後方向に移動可能なように収容する上側軸収容部34yとを備える。
【0013】
図2;図3に示すように、球体回転ガイド部材31を形成する平板31xは、前板31Aと後板31Bとが組み合わされて構成される。
図2に示すように、前板31Aは、前側球収容部33Aと前側軸収容部34Aとを備える。前側球収容部33Aは、前板31Aの板面の中央部を貫通するように形成されて球体30の前側球面を受ける凹状の湾曲面により形成される。
前側軸収容部34Aは、前側球収容部33Aの上部より延長するように前板31Aに設けられた前上側軸収容部34A1と前側球収容部33Aの下部より延長するように前板31Aに設けられた前下側軸収容部34A2とを備える。
前上側軸収容部34A1は、前板31Aの後側の板面及び前側球収容部33Aの湾曲面に開口し、かつ、前板31Aの前側の板面及び上端面に開口しない孔底部を有した孔部により構成される。前下側軸収容部34A2は、前板31Aの後側の板面及び前側球収容部33Aの湾曲面に開口し、かつ、前板31Aの前側の板面及び下端面に開口しない孔底部を有した孔部により構成される。
後板31Bは、後側球収容部33Bと後側軸収容部34Bとを備える。後側球収容部33Bは、後板31Bの板面の中央部を貫通するように形成されて球体30の後側球面を受ける凹状の湾曲面により形成される。
後側軸収容部34Bは、後側球収容部33Bの上部より延長するように後板に設けられた後上側軸収容部34B1と後側球収容部33Bの下部より延長するように後板に設けられた後下側軸収容部34B2とを備える。
後上側軸収容部34B1は、後板31Bの前後の板面及び後側球収容部33Bの湾曲面に開口し、かつ、後板31Bの上端面に開口しない孔底部を有した孔部により構成される。後下側軸収容部34B2は、後板31Bの前後の板面及び後側球収容部33Bの湾曲面に開口し、かつ、後板31Bの下端面に開口しない孔底部を有した孔部により構成される。
例えば、前板31Aと後板31Bとが同じ大きさに形成され、前板31A及び後板31Bを構成する平板の同じ位置に、一対の前上側軸収容部34A1及び後上側軸収容部34B1、一対の前下側軸収容部34A2及び後下側軸収容部34B2が設けられる。
【0014】
球体30の前側球面が前板31Aの後側の板面側から前側球収容部33A内に収容され、かつ、球体30の後側球面が後板31Bの前側の板面側から後側球収容部33B内に収容されることにより、球体30が前側球収容部33Aと後側球収容部33Bとで囲まれた状態となって前側球収容部33Aと後側球収容部33Bとで形成された球収容部33に収容されるとともに、球体回転中心軸30aの上下の突出部である上端部30m;下端部30nが前側軸収容部34A又は後側軸収容部34Bに収容された状態で、前板31Aの後側の板面と後板31Bの前側の板面とが付き合わされて、後板31Bの前側の板面の開口と前板31Aの後側の板面の開口とが連通された状態とする。当該状態で前板31Aと後板31Bとが溶接等の連結手段で連結されることにより、球体回転中心軸31aの上端部30mが前上側軸収容部34A1と後上側軸収容部34B1とで形成された上側軸収容部34xに収容されるとともに、球体回転中心軸31aの下端部30nが前下側軸収容部34A2と後下側軸収容部34B2とで形成された下側軸収容部34yに収容され、球収容部33に収容された球体30が球体30の中心を回転中心として回転可能となった球体組立体300が得られる。尚、上側軸収容部34x及び後下側軸収容部34yは、先頭管6の上下の内壁面6c;6dと直交する垂直線上に設けられることが好ましいが、先頭管6の上下の内壁面6c;6dと交差する直線上に設けられていればよい。
そして、球体組立体300において、後板31Bの後側の板面よりも後方に突出する球体30の支柱支持貫通孔13の後側開口の左右両側の球面に球体側連結フランジ30d;30dを溶接等の固定手段で固定する。
【0015】
球体駆動手段32は、球体回転中心軸30aを回転中心として球体30を先頭管6の左右方向に揺動させるための左右の揺動用ジャッキ35;35と、球体回転中心線30bを回転中心として球体30を先頭管6の上下方向に揺動させるための上下の揺動用ジャッキ36;36とを備える。
【0016】
後述するように先頭管6の先頭開口6t側の内面に固定された推進力受け部63に球体組立体300の前板31Aの前側の板面を接触させて、球体組立体300の前方への移動が推進力受け部63で規制される状態に球体組立体300を設置する。
そして、揺動用ジャッキ35のピストン35aの先端側に設けたピストン側連結フランジ35bと球体30に取付けられた球体側連結フランジ30dとが図外のボルト・ナット等の固定手段により固定されるとともに、揺動用ジャッキ35のシリンダ35cの基端側に設けたシリンダ側連結フランジ35dと後述の推進力伝達構成部64に設けた固定側連結フランジ64rとが図外のボルト・ナット等の固定手段により固定される。
尚、揺動用ジャッキ35のピストン35aの先端及びシリンダ35cの基端には球面軸受35xが設けられており、球体30が回転するよう運動した場合に球面軸受35xにより揺動用ジャッキ35が姿勢を変更できるように構成されている。
また、上の揺動用ジャッキ36はピストン36aの先端に球体回転中心軸30aの球面より突出する上端部を押圧する押圧板36bを備え、下の揺動用ジャッキ36はピストン36aの先端に球体回転中心軸30aの球面より突出する下端部を押圧する押圧板36bを備える。押圧板36bは、先端形状が球体回転中心軸30aを取り込む凹部形状に形成される。上の揺動用ジャッキ36は、ピストン36aの先端に設けられた押圧板36bが上側軸収容部34x内を前後方向に移動可能なようにシリンダ36bの基端側が上側ジャッキ反力受部材18aに固定され、下の揺動用ジャッキ36は、ピストン36aの先端に設けられた押圧板36bが下側軸収容部34y内を前後方向に移動可能なようにシリンダ36bの基端側が下側ジャッキ反力受部材18bに固定される(図4参照)。
【0017】
以上により、球体駆動手段32が球体30を球体30の中心を回転中心として先頭管6の左右方向及び前後方向に回すことで、支柱42を介して球体30に固定された回転掘削体46を先頭管6の前方において先頭管6の左右方向又は上下方向に揺動させることがでる掘削機械揺動駆動装置25が構成される。
【0018】
先頭管6の先頭開口縁6zは、地山99に食い込みやすいように、先細の傾斜面に形成される(図5参照)。
排泥管保持貫通孔14は、球体回転ガイド部材31の平板31xの板面の下部側の左右をそれぞれ貫通するように2つ設けられる。水供給管保持貫通孔15は、球体回転ガイド部材31の平板31xの板面の上部側の左右をそれぞれ貫通するように2つ設けられる。排泥管保持貫通孔14;14には、排泥管76cの先端部が貫通した状態で保持される。水供給管保持貫通孔15;15は、水供給管75cの先端部が貫通した状態で保持される(図6参照)。
【0019】
掘削機械26は、支持部40と、回転部41とを備える。
支持部40は、1つの支柱42と2つの分岐支柱43とが組合されたT字状の中空支柱により形成される。2つの分岐支柱43は、支柱42の先端部より支柱42の延長方向と直交する一直線上において互いに離れる方向に延長する。
回転部41は、回転機構部45と、回転掘削体46とを備える。回転機構部45は、例えばモータ47により構成される。分岐支柱43の両方の先端には、それぞれモータマウント44が設けられ、各モータマウント44;44には、モータ47のケーシング48が固定される。2つのモータ47;47の回転軸49;49は、支柱42の先端部より支柱の延長方向と直交する一直線上(即ち、分岐支柱43の中心線線上)において互いに離れる方向に延長する。
回転掘削体46は、例えば円筒部50aと円筒部50aの他端を閉塞する底板50bとを有した一端開口他端閉塞の円形箱状の回転体50と、回転体50の円筒部50aの外周面51に設けられた複数の掘削ビット52とを備えた構成である。
尚、回転体50の回転中心線Lから回転中心線Lと直交する線上を経由した掘削ビット52の先端までの距離を掘削ビット52の掘削半径とした掘削ビット52による掘削径は、先頭管6の上下の内壁面6c;6d間の寸法よりも小さい。
【0020】
モータ47は、例えば、流体圧により作動するモータ、あるいは、電気で作動するモータを用いる。例えば油圧モータ(以下、油圧モータ47と言う)を用いる場合、駆動源27としての油圧源55と油圧モータ47のケーシング48内とが圧油供給路56a及び油帰還路56bを形成する耐圧ホース56で繋がれる。即ち、耐圧ホース56は支持部40のT字状の中空路を介して油圧モータ47のケーシング48に接続される。油圧モータ47は、耐圧ホース56を介してケーシング48内に供給される圧油によって回転軸49が回転するように構成される。
例えば、回転掘削体46の回転体50の底板50bの内面53の円中心と回転軸49の回転中心とが一致するように、回転体50の底板50bの内面53と油圧モータ47により回転する回転軸49の先端に設けられた連結板54とがねじ等の連結具57により連結される。即ち、2つの回転掘削体46;46が先頭管6の先頭開口6tよりも前方に位置され、2つの回転掘削体46;46が2つの回転軸49;49に共通の1つの回転中心線Lを回転中心として回転するように構成される。このような2つの回転掘削体46;46を備えた構成は、ツインヘッダと呼ばれる。
実施形態1では、上述したように、2つの回転掘削体46;46の回転中心線Lが先頭管6の推進方向と直交する面と平行な状態及び先頭管6の上下の内壁面6c;6dと平行な第1の状態で地山99を掘削した場合、推進方向と直交する面内における回転掘削体46の掘削幅を大きくでき、さらに、断面四角形状に掘削できるので、掘削幅に応じた四角幅の管2を容易に地中10に設置できるようになる。
また、実施形態1では、掘削機械揺動駆動装置25の左右の揺動用ジャッキ35;35を作動させ、球体回転中心軸30aを回転中心として球体30を回すことにより、図7に示すように、2つの回転掘削体46;46の回転中心線Lが先頭管6の推進方向と直交する面と直交以外の状態で交差しかつ先頭管6の下の内壁面6dと平行な第2の状態で地山99を掘削した場合、先頭管6の前方において先頭管6の左右幅間隔よりも幅の広い左右幅間隔で地山99を掘削できるので、先頭管6が推進する際に先頭管6の先頭開口6tが地山99の硬質層に衝突する可能性が少なくなり、先頭管6をスムーズに推進させることができるようになる。
さらに、実施形態1では、掘削機械揺動駆動装置25の上下の揺動用ジャッキ36;36を作動させ、球体回転中心線30b(第2の回転中心線)を回転中心として球体30を回すことにより、図8に示すように、2つの回転掘削体46;46の回転中心線Lが先頭管6の下の内壁面6dと平行な状態を維持しつつ、先頭管6の上下方向に移動した第3の状態で地山99を掘削した場合、先頭管6の前方において先頭管6の上下幅間隔よりも幅の広い上下幅間隔で地山99を掘削できるので、先頭管6が推進する際に先頭管6の先頭開口6tが地山99の硬質層に衝突する可能性が少なくなり、先頭管6をスムーズに推進させることができるようになる。
【0021】
推進装置70は、推進駆動源61と、上述した球体回転ガイド部材31と、推進駆動源61による推進力を球体回転ガイド部材31に伝達する推進力伝達手段62と、球体回転ガイド部材31に伝達された推進力を先頭管6に伝達する推進力受け部63とを備える。
推進力受け部63は、先頭管6の先頭開口6t側の内側に設置された球体回転ガイド部材31の前板31Aの前側の板面に接触して球体回転ガイド部材31の前方への移動を規制するとともに球体回転ガイド部材31に伝達された推進力を先頭管6に伝達することができるように、先頭管6の先頭開口6t側の内面に溶接、ボルト・ナット等の固定手段で固定されている。
推進力伝達手段62は、推進力伝達構成部64と、推進力伝達棒状体71と、推進力伝達用の当て材72とを備える。
推進力伝達構成部64は、例えば、H形鋼を組み合わせて形成される。例えば、案内部材31の筒の左端後端面と連結されて上下に延長するよう設けられた前左側上下延長柱部64aと、案内部材31の筒の右端後端面と連結されて上下に延長するよう設けられた前右側上下延長柱部64bと、ジャッキ反力受部材18a;18bの左端部と連結されて上下に延長するよう設けられた後左側上下延長柱部64cと、ジャッキ反力受部材18a;18bの右端部と連結されて上下に延長するよう設けられた後右側上下延長柱部64dと、前後方向に延長して先端と前左側上下延長柱部64aとが連結され後端と後左側上下延長柱部64cとが連結された左連結部64eと、前後方向に延長して先端と前右側上下延長柱部64bとが連結され後端と後右側上下延長柱部64dとが連結された右連結部64fとを備える。
【0022】
推進力伝達棒状体71は、一端から他端までの長さが推進力伝達構成部64の後端面64xと先頭管6の後端面102eとの間の最短距離よりも長い寸法に形成された棒状体である。推進力伝達棒状体71としては例えばH形鋼を用いる。
推進力伝達棒状体71は、中心線が先頭管6の中心線と同一方向を向くように設置される。左側の推進力伝達棒状体71Aの先端面と後左側上下延長柱部64cの後面における上下の中央位置とが連結され、右側の推進力伝達棒状体71Bの先端面と後右側上下延長柱部64dの後面における上下の中央位置とが連結される。
【0023】
推進駆動源61は、例えば、油圧ジャッキ61Aにより構成される。油圧ジャッキ61Aのピストンロッド61aの先端には押圧板61bが設けられる。油圧ジャッキ61のシリンダ61cは図外のジャッキ反力受部材に固定されている。
【0024】
そして、当て材72を、先頭管6の後端面102eより後方に突出する左右の推進力伝達棒状体71A;71Bの他端間に跨るように設置して左右の推進力伝達棒状体71A;71Bの他端に図外のボルトや万力装置などで連結し、当て材72における左右の推進力伝達棒状体71A;71Bの他端間の中央部分を油圧ジャッキ61Aの押圧板61bで押圧することにより、油圧ジャッキ61Aによる押圧力が、推進力伝達棒状体71、推進力伝達構成部64、球体回転ガイド部材31、推進力受け部63を介して先頭管6及び回転掘削体46;46に伝達されるので、先頭管6が前方に推進するとともに回転掘削体46;46が前方に推進する。
この場合、後右側上下延長柱部64dの後面における上下の中央位置に連結された右側の推進力伝達棒状体71Bと後左側上下延長柱部64cの後面における上下の中央位置に連結された左側の推進力伝達棒状体71Aとを介して推進力伝達構成部64に伝達された推進力が球体回転ガイド部材31の後端面31rの四隅部に伝達される構成としたので(図2;図3;図6参照)、球体回転ガイド部材31に推進力を均等に伝達でき、掘削機械揺動駆動装置25の揺動動作の安定化が図れる。
【0025】
水供給装置75は、水貯留タンク75aと、送水用のポンプ75bと、水供給管75cと、水供給管75cの前端開口部を保持する水供給管保持貫通孔15とを備える。
水供給管75cは例えば鋼管により形成される。前端開口を介して球体回転ガイド部材31の前面31fの前方の地山99に水を放出することが可能なように水供給管75cの前端開口側が球体回転ガイド部材31の水供給管保持貫通孔15に固定される。水供給管75cの後端開口と送水用のポンプ75bの吐出口とが連通可能に連結される。そして、送水用のポンプ75bの吸込口と水貯留タンク75aとが図外の連結管により連通可能に連結される。水供給装置75は、先頭管6の上部内側の左右側に2系統設けられる。
【0026】
排泥装置76は、排泥タンク76aと、排泥用のポンプ76bと、排泥管76cと、排泥管76cの前端開口部を保持する排泥管保持貫通孔14とを備える。
排泥管76cは例えば鋼管により形成される。球体回転ガイド部材31の前面30fの前方に集まった掘削土を前端開口を介して取り込むことが可能なように排泥管76cの前端開口側が球体回転ガイド部材31の排泥管保持貫通孔14に固定される。排泥管76cの後端開口と排泥用のポンプ76bの吸込口とが連通可能に連結される。そして、排泥用のポンプ76bの吐出口と排泥タンク76aとが図外の連結管により連通可能に連結される。排泥装置76は、先頭管6の下部内側の左右側に2系統設けられる。
【0027】
尚、水貯留タンク75a及び排泥タンク76aは、例えば水貯留タンク75aと排泥タンク76aとが一体となった集合タンク75Xにより構成される。即ち、集合タンク75Xの内部に仕切体75wを設けて集合タンク75Xの内部を2つの領域に区切り、一方の領域を水貯留タンク75aとして使用し、他方の領域を排泥タンク76aとして使用する。
つまり、最初に一定量の水を集合タンク75X内に満たしておき、送水用のポンプ75bを駆動して球体回転ガイド部材31の前方に水を圧送すると、球体回転ガイド部材31の前方に圧送された水と回転掘削体46;46により掘削された土砂とが混ざって泥水となる。そして、排泥用のポンプ76bを駆動することにより、球体回転ガイド部材31の前方の泥水が排泥タンク76aに排出される。排泥タンク76aに排出された泥水中の泥が排泥タンク76aの底に沈殿するとともに、仕切体75wを越えて水貯留タンク75aに入り込んだ泥水が再び送水用のポンプ75bによって球体回転ガイド部材31の前方に圧送される。即ち、泥水を循環させて球体回転ガイド部材31の前方に供給できるようになるので、水の使用量を減らすことができる。また、水よりも比重が大きい泥水を球体回転ガイド部材31の前方に供給できるので、地盤及び地下水の圧力に抵抗できて、地盤及び地下水の圧力と球体回転ガイド部材31の前方に供給した圧力とを均等にしやすくなるので、地盤沈下等、地中10に与える影響を少なくすることができる。また、球体回転ガイド部材31の前方が泥水化するので、排泥をスムーズに行えるようになり、掘削しやすくなる。
尚、最初から泥水を集合タンク75X内に満たしておき、送水用のポンプ75bを駆動して球体回転ガイド部材31の前方と集合タンク75X内との間で泥水を循環させてもよい。
【0028】
次に管設置装置1による地中10への管2の設置方法を説明する。
掘削機械26と、掘削機械揺動駆動装置25と、当て材72を除いた推進装置70と、水供給管75cと、排泥管76cとが組立てられた組立体を、掘削回転体46側から先頭管6の後端開口を介して先頭管6内に入れていき、球体回転ガイド部材31の前端面31fと先頭管6の内側に固定された推進力受け部63とを接触させる。そして、先頭管6の後端面102eより後方に突出する左右の推進力伝達棒状体71A;71Bの他端間に跨るように当て材72を設置して当て材72を左右の推進力伝達棒状体71A;71Bの他端に図外のボルトや万力装置などで連結する。そして、送水用のポンプ75bを駆動して球体回転ガイド部材31の前方に泥水を供給し、球体回転ガイド部材31の前方と集合タンク75X内との間で泥水を循環させるとともに、制御装置65による制御によって、油圧源55から油圧モータ47に圧油を供給して回転掘削体46を回転させながら、推進駆動源61を作動させて当て材72に推進力を加えることで、推進力が、推進力伝達棒状体71、推進力伝達構成部64、球体回転ガイド部材31、推進力受け部63を介して先頭管6及び回転掘削体46;46に伝達され、先頭管6が前方に推進するとともに回転掘削体46;46が前方に推進する。この際、制御装置65による制御によって、左右の揺動用ジャッキ35;35を作動させ、球体30を球体回転中心軸30aを回転中心として回すことにより、掘削回転体46が先頭管6の前方において先頭管6の左右方向に首振りのように揺動して地山99を掘削する。これにより、先頭管6の前方において先頭管6の左右幅間隔よりも広い左右間隔幅で地山99が掘削されるので、先頭管6が推進する際に先頭管6の先端が硬質地盤の地山99に衝突する可能性が少なくなり、先頭管6をスムーズに推進させることができる。また、制御装置65による制御によって、上下の揺動用ジャッキ36;36を作動させ、球体30を球体回転中心線30bを回転中心として回すことにより、掘削回転体46が先頭管6の前方において先頭管6の上下方向に首振りのように揺動して地山99を掘削する。これにより、先頭管6の前方において先頭管6の上下幅間隔よりも広い上下間隔幅で地山99が掘削されるので、先頭管6が推進する際に先頭管6の先端が硬質地盤の地山99に衝突する可能性が少なくなり、先頭管6をスムーズに推進させることができる。
先頭管6の後端面102eを残して先頭管6が地中10に設置された後、先頭管6の後端面102eに後続管7を溶接、又は、ボルト等の固定具により接続し、さらに、先頭の推進力伝達棒状体71の他端と後続の推進力伝達棒状体71の一端とをボルト、又は、溶接により結合することにより、先頭の推進力伝達棒状体71の後ろに後続の推進力伝達棒状体71を継ぎ足すとともに、また、耐圧ホース56の他端に図外の延長耐圧ホースを継ぎ足し、水供給管75cの他端に図外の延長水供給管を継ぎ足し、排泥管76cの他端に図外の延長排泥管を継ぎ足していく。そして、当て材72を、後続管7の後端縁より後方に突出する左右の推進力伝達棒状体71A;71Bの他端間に跨るように設置して、当て材72を油圧ジャッキ61Aのピストンロッド61aで押圧しながら、回転掘削体46;46を回転駆動させることにより、回転掘削体46が掘削を行いながら先頭管6が推進し、後続管7が地中に設置される。
以後、同様に、前の後続管7の後端縁に後の後続管7を順次連結して地中10に設置していくことで、支保工11を構築できる。
【0029】
支保工11を構築した後は、掘削始点となった出発側の空洞部100内に掘削機械26等を引き戻して回収する。実施形態1によれば、推進力伝達棒状体71を継ぎ足していくことから、掘削機械26等を回収する際には、最後尾の推進力伝達棒状体71側から推進力伝達棒状体71の1個長さ分ずつ空洞部100内に引き戻して、最後尾側から先頭まで順番に推進力伝達棒状体71を取り外していくことにより、掘削機械26等を容易に回収できるようになる。この場合、推進装置の一例である油圧ジャッキ61Aを掘削始点となる空洞部100内にのみ設置すればよいので、装置コストを低減できる。
尚、到達側の空洞部100内に掘削機械26等を押し出して回収するようしてもよい。
例えば、先頭管6を到達側の空洞部100に押し出して推進力受け部63を除去してから、到達側の空洞部100内に掘削機械26等を押し出して回収する。この場合、掘削機械26等を掘削始点となった空洞部100内に引き戻す作業よりも掘削機械26等を到達側の空洞部100内に押し出す作業の方が容易となるので、掘削機械26等の回収作業が容易となる。
図11(b)のように、地中10に形成された1つの空洞部100から出発して当該空洞部100に戻るように支保工11を構築する場合には、掘削機械26等が1つの空洞部100の到達口に到達したならば掘削機械26等を到達口から当該空洞部100内に押し出すようにして回収すれば、掘削機械26等の回収作業が容易となるとともに、油圧ジャッキ61Aを当該1つの空洞部100内にのみ設置すればよいので装置コストも低減できる。
【0030】
実施形態1によれば、管設置装置1が掘削機械揺動駆動装置25を備えたので、先頭管6の前方の地山99を回転掘削体46で掘削する際に球体回転ガイド部材駆動手段32を作動させて球体30を回すことにより、回転掘削体46を先頭管56の前方において先頭管6の左右方向又は上下方向に揺動させることができ、回転掘削体46が左右方向又は上下方向に揺動しない場合と比べて、掘削可能な左右幅又は上下幅を大きくできる。即ち、先頭管6の進行に先立って先頭管6の前方において先頭管6の断面積よりも左右幅又は上下幅の広い断面積を掘削でき、先頭管6の前方の左右上下において余堀を行えるようになるので、地山99が硬質地盤である場合でも、先頭管6を地中10においてスムーズに推進させることができる。
即ち、球体駆動手段32として、先頭管6の互いに平行に対向する上下の内壁面6c;6d(一方の一対の壁面)と平行でかつ先頭管6の互いに平行に対向する左右の内壁面6a;6b(他方の一対の壁面)と交差するように延長する回転中心軸30a(第1の回転中心線)を回転中心として球体を回すための左右一対の揺動用ジャッキ35;35と、回転掘削体46の回転中心線Lと平行な回転中心線30b(第2の回転中心線)を回転中心として球体を回す上下一対の揺動用ジャッキ36;36とを備えたので、先頭管6の前方において、先頭管6の左右の内壁面6a;6bと直交する方向である先頭管6の左右幅間隔よりも広い左右幅間隔で地山を掘削できるようになるとともに、先頭管6の上下の内壁面6c;6dと直交する方向である先頭管6の上下幅間隔よりも広い上下幅間隔で地山を掘削できるようになるので、地山が硬質地盤である場合でも管を地中においてスムーズに推進させることが可能な管設置装置を提供できる。
【0031】
実施形態2
グリッパ装置を用いて先頭管6を推進させるようにしてもよい。この場合、グリッパ装置は、例えば、球体回転ガイド部材31の後板31Bに固定されて球体回転ガイド部材31の後方に延長するように設けられた図外の複数のジャッキ支持体と、ジャッキのシリンダがジャッキ支持体に固定されてジャッキのピストンが伸長することで先頭管6の内面に突っ張るように接触する複数のジャッキとを備えて構成される。
複数のジャッキのピストンを伸長させて先頭管6の内面に突っ張るように作動させた後、先頭管6の後端面102eを推進ジャッキ61Aで押圧して先頭管6を推進させた場合、先頭管6と、掘削機械揺動駆動装置25と、掘削機械26とを一緒に推進させることができ、推進力伝達手段62と推進力受け部63とを不要とできる。このため、掘削機械26等を到達側で回収できるようになる。
また、地山99側から球体回転ガイド部材31に加わる水圧に十分に対抗できるようになる。
【0032】
実施形態3
実施形態1では、球体回転中心軸30a及び球体回転中心線30bを回転中心として球体30を回すことで、回転掘削体46を先頭管6の前方において先頭管6の左右方向又は上下方向に揺動させるための第1の揺動用ジャッキとしての揺動用ジャッキ35;35、及び、第2の揺動用ジャッキとしての揺動用ジャッキ36;36を備えた構成を示したが、さらに、先頭管6の中心線(球体30の支柱支持貫通孔13及び支柱42の中心線)を第3の回転中心線とし、この第3の回転中心線を回転中心として球体30を回して回転掘削体46の回転中心線Lが先頭管6の左右の内壁面6c;6dと直交以外の状態で交差するように回転掘削体46を揺動させるための図外の第3の揺動用ジャッキを設けてもよい。第3の揺動用ジャッキは、例えばピストンが先頭管6の上下方向に伸縮するように設けられた一対の油圧ジャッキにより構成される。尚、球体30の支柱支持貫通孔13及び支柱42の中心線と先頭管6の中心線とが一致しないように回転掘削体46;46が設けられる場合には、第3の回転中心線は、先頭管6の中心線と平行な球体30の支柱支持貫通孔13及び支柱42の中心線となる。尚、この場合、球体30が第3の回転中心線を回転中心として回転する方向に球体30の軸部30m、30nも回転するので、軸部30m、30nを収容する上側軸収容部34x、下側軸収容部34yは、第3の回転中心線を回転中心として回転する球体30の回転方向に軸部30m、30nが移動可能な空間を備えた構成とする。
【0033】
実施形態4
実施形態3では、第1の揺動用ジャッキ、第2の揺動用ジャッキ、第3の揺動用ジャッキのすべてを備えた構成を示したが、第1の揺動用ジャッキ、第2の揺動用ジャッキ、第3の揺動用ジャッキのうちの1つ以上を備えた構成としてもよい。
【0034】
実施形態5
上記各実施形態では、一対のジャッキにより構成された第1の揺動用ジャッキ、第2の揺動用ジャッキ、第3の揺動用ジャッキを用いた例を示したが、第1の揺動用ジャッキ、第2の揺動用ジャッキ、第3の揺動用ジャッキを、それぞれ1つのジャッキで構成してもよい。
【0035】
実施形態6
第1の揺動用ジャッキのみを備えた構成の場合には、回転掘削体として、図12乃至図14に示すような、回転体50の外周面51より突出するように設けられた掘削刃としての第1の掘削ビット80及び第2の掘削ビット81とを備えた構成の回転掘削体46Aを用いることにより、先頭管6の前方の上下において余堀を行えるようになる。
複数個の第2の掘削ビット81が回転体50の回転中心線Lに沿った方向に並べられて第2の掘削ビット群810が構成される。
回転体50の外周面51には複数のビット取付部83が点在するように設けられる。第1の掘削ビット80は、回転体50の外周面51に設けられた個々のビット取付部83に1つ1つ個別に着脱可能に取り付けられる。第2の掘削ビット81は、回転体50の外周面に設けられた複数のビット取付部83に着脱可能に取り付けられるビット設置板84に設けられる。即ち、第2の掘削ビット群810は、ビット取付部83に取り付けられて回転体50の回転中心線L(回転掘削体46の回転中心線L)に沿って回転体50の外周面51の周面幅(回転中心線Lに沿った方向の幅、即ち、回転体50の回転中心線Lに沿った方向の両方の端面)に渡って延長するビット設置板84のビット設置面84aに、複数の第2の掘削ビット81が回転中心線Lに沿った方向に並ぶように着脱可能又は固定的に設けられた構成である。
1つの1つの回転掘削体46Aは、複数の第2の掘削ビット群810;810を備え、2つの第2の掘削ビット群810;810は、回転体50の外周面51の周方向に互いに180°離れた位置にそれぞれ設けられた一対の2つの第2の掘削ビット群810;810が例えば三対設けられる。第1の掘削ビット80は、回転体50の外周面51上において第2の掘削ビット群810が設けられていない部分に設けられる。
図13(b)に示すように、回転体50の外周面51上で周方向に互いに180°離れた位置に設けられた各第2の掘削ビット群810;810の各掘削ビット81の先端は、回転体50の回転中心線Lと直交する同一の面85上に位置しないように設定されている。つまり、一方の第2の掘削ビット群810において互いに隣り合う各掘削ビット81間で掘削されない地盤部分を他方の第2の掘削ビット群810の各掘削ビット81で掘削できるように構成されている。要するに、1つの1つの回転掘削体46Aは、一方の第2の掘削ビット群810で掘削できない地盤部分を他方の第2の掘削ビット群810で掘削できるようにした相補的な一対の第2の掘削ビット群810;810を備えた構成である。
そして、図14(a)に示すように、回転体50の回転中心線Lから回転中心線Lと直交する線上を経由した第1の掘削ビット80の先端までの第1距離80x(即ち、第1の掘削ビット80による掘削半径)と回転体50の回転中心線Lから回転中心線Lと直交する線上を経由した第2の掘削ビット81の先端までの第2距離81x(即ち、第2の掘削ビットによる掘削半径)とが異なる。
つまり、第1距離80xを掘削半径とした第1の掘削ビット80による掘削径が、先頭管6の上下の内壁面6c;6d間(先頭管6の一方の一対の壁面の内壁面間)の寸法9xよりも小さく設定され、かつ、第2距離81xを掘削半径とした第2の掘削ビット81による掘削径が、先頭管6の先頭管6の上下の内壁面6c;6d間の寸法9xよりも大きく設定されていることにより、回転掘削体46Aが先頭管6の先頭開口6tを介して先頭管6の前方及び先頭管6の内側に移動可能に構成されている。
即ち、第1距離80xは、回転掘削体46Aが先頭管6の内側で回転中心線Lを回転中心として回転可能な回転半径寸法に設定されたことによって、回転掘削体46Aが管2内を通過可能となり、掘削機械26を出発側の空洞部100に引き戻して回収できる。
また、第2距離81xは、回転掘削体46Aが先頭管6の内側で回転中心線Lを回転中心として回転不可能で、かつ、回転掘削体46Aが先頭管6の先頭開口6tの前方に位置された場合に回転可能な回転半径に設定される。
即ち、回転掘削体46Aが先頭管6の先頭開口6tの前方に位置された状態で回転駆動されることによって第1の掘削ビット80及び第2の掘削ビット81が先頭管6の先頭開口6tの前方位置の地盤を掘削可能であり、かつ、回転掘削体46Aが管2(先頭管6及び後続管7)内を通過して管2を出発させた空洞部100に回収可能に構成される。
以上のような回転掘削体46Aを備えたことにより、先頭管6の先頭開口6tの前方において先頭開口6tの断面よりも上下幅の大きい断面積の孔を掘削できるので、先頭管6の先頭開口縁6zが地盤に衝突する前に地盤を掘削できて、管2をよりスムーズに推進させることができる。
また、掘削機械26の回収時には、図14(b)に示すように、第2の掘削ビット群810の第2の掘削ビット81の先端が、先頭管6の上の内壁面6cと同一平面を示す位置より上方に位置せず、かつ、先頭管6の下の内壁面6dと同一平面を示す位置より下方に位置しない状態にしてから、回転掘削体46Aを管2内に引き戻して掘削機械26を出発側の空洞部100に回収する。
【0036】
即ち、実施形態6によれば、回転体50の回転中心線Lから回転中心線Lと直交する線上を経由した第1の掘削ビット80の先端までの第1距離80x(即ち、第1の掘削ビット80による掘削半径)と回転体50の回転中心線Lから回転中心線Lと直交する線上を経由した第2の掘削ビット81の先端までの第2距離81x(即ち、第2の掘削ビットによる掘削半径)とが異なるように設定され、第1距離80xを掘削半径とした第1の掘削ビット80による掘削径が、先頭管6の案内刃管の上下の内壁面6c;6d間の寸法9xよりも小さく、第2距離81xを掘削半径とした第2の掘削ビット81による掘削径が、先頭管6の上下の内壁面6c;6d間の寸法9xよりも大きく設定された回転掘削体46Aを備えた。このため、先頭管6の先頭開口6tより前方に位置する回転掘削体46Aを回転させて掘削ビット80;81が地盤を掘削することにより、先頭管6の先頭開口6tの前方において、先頭管6の管の中心を中心とした四角断面であって先頭管6の先頭開口6tの四角断面の幅寸法(回転掘削体46Aの径方向に対応する幅寸法、例えば、先頭管6の上下の内壁面6c;6d間の寸法9x)より幅寸法の大きい四角断面の孔を掘削できる。よって、先頭管6の先頭開口縁6zが地盤に衝突する前に、先頭管6の先頭開口6tよりも前方に位置する地盤を掘削ビット80;81により確実に掘削できるので、先頭管6の先頭開口縁6zが硬質の地盤に衝突して先頭管6を推進できなくなるような事態を防止でき、地山99が硬質地盤である場合でも、管2をよりスムーズに推進させることができる。
即ち、第1の揺動用ジャッキを作動させることで、回転掘削体46Aによる左右方向の掘削幅が大きくなり、左右の余堀量を多くできるとともに、第2の掘削ビット群810を備えたので、第2の掘削ビット81による掘削によって、先頭管6の前方において先頭管6の上下の内壁面6c;6d(先頭管6の一方の一対の壁面)と直交する方向である先頭管6の上下幅間隔よりも広い上下幅間隔で地山99を掘削できるようになり、先頭管6の前方において先頭管6の上下幅方向での余堀が可能となるので、地山99が硬質地盤である場合でも管をよりスムーズに推進させることが可能となる。
また、第1の掘削ビット80による掘削径が先頭管6の上下の内壁面6c;6d間の寸法9xよりも小さいので、掘削機械26等の回収時には、図14(b)に示すように、回転掘削体46Aが管2内を通過できるようになるので、回転掘削体46Aを管2内に通して引き戻すことにより掘削機械26等を出発側の空洞部100に回収できる。
【0037】
また、回転体50の外周面51上で周方向に互いに180°離れた位置に設けられた各第2の掘削ビット群810;810の各掘削ビット81の先端位置が、回転体50の回転中心線Lと直交する同一の面85上に位置しないように設定されている。つまり、回転体50の外周面51上で周方向に互いに180°離れた位置に設けられた一対の第2の掘削ビット群810;810は、回転掘削体46Aの回転により一方の第2の掘削ビット群810で掘削できない地盤部分を他方の第2の掘削ビット群810で掘削できるように構成されているので、先頭管6の先頭開口6tの四角断面の幅寸法より幅寸法の大きい四角断面の孔を効率的に掘削でき、管2をよりスムーズに推進させることができる。
【0038】
また、各第2の掘削ビット群810;810は、回転中心線Lを中心として回転体50の外周面51上で周方向に180°離れた位置にそれぞれ設けられたので、回転掘削体46Aの回転重心を一定に保てるようになり、回転掘削体46Aの回転がスムーズになって効率的に掘削できて、管2をよりスムーズに推進させることができる。
また、第2の掘削ビット81及び第1の掘削ビット80を備えたので、第2距離81xを掘削半径とした掘削径の孔を第2の掘削ビット81及び第1の掘削ビット80によってより効率的に掘削できるようになる。
【0039】
尚、第2の掘削ビット群810は、回転体50の外周面51に設けられた個々の取付部83に個々に取付けられた第2の掘削ビット81の集合体により構成されてもよい。
【0040】
また、回転体50の外周面51上において回転体50の回転中心線Lに沿った方向の両方の端面に跨って回転中心線Lに沿った方向に直線状又は非直線状に個々の第2の掘削ビット81が個々に並ぶように配置されていたり、回転体50の外周面51上において回転体50の回転中心線Lに沿った方向の両方の端面に跨って回転中心線Lに沿った方向に直線状又は非直線状に延長する1つの掘削刃を有した第2の掘削ビットを備えた構成の回転掘削体46Aであって、回転掘削体46Aが管2の内側で回転中心線Lを中心として回転不可能で、かつ、先頭管6の先頭開口6tの前方位置で回転可能なように構成されていればよい。
【0041】
第2の掘削ビット群810;810が回転体50の外周面51上で周方向に互いに180°離れた位置に設けられていなくてもよい。
要するに、回転掘削体46Aは、回転中心線Lから回転中心線Lと直交する線上を経由した第1の掘削ビット80の先端までの第1距離80xが、回転掘削体46Aが管6の内側で回転中心線Lを中心として回転可能な回転半径に設定され、回転中心線Lから回転中心線Lと直交する線上を経由した第2の掘削ビット81の先端までの第2距離81xが、回転掘削体46Aが管2の内側で回転中心線Lを中心として回転不可能で、かつ、回転掘削体46Aが先頭管6の先頭開口6tの前方に位置された場合に回転中心線Lを中心として回転可能な回転半径に設定されればよい。
【0042】
実施形態7
実施形態6では、第1の掘削ビット80と第2の掘削ビット81とを有した回転掘削体を用いたが、掘削ビットとして第2の掘削ビット81のみを有した回転掘削体を用いてもよい。
要するに、回転掘削体が第1の掘削ビット80を備えない構成の場合において、回転中心線Lから回転中心線Lと直交する線上を経由した回転掘削体の回転体50の外周面51までの最短距離である第1距離が、回転掘削体が管6の内側で回転中心線Lを中心として回転可能な回転半径に設定され、回転中心線Lから回転中心線Lと直交する線上を経由した第2の掘削ビット81(掘削ビット)の先端までの第2距離81xが、回転掘削体が管2の内側で回転中心線Lを中心として回転不可能で、かつ、回転掘削体46が先頭管6の先頭開口6tの前方に位置された場合に回転中心線Lを中心として回転可能な回転半径に設定されればよい。
つまり、第1距離を半径とした回転体50の直径が、先頭管6の上下の内壁面6c;6d間の寸法よりも小さく設定され、かつ、第2距離81xを掘削半径とした第2の掘削ビット81による掘削径が、先頭管6の先頭管6の上下の内壁面6c;6d間の寸法9xよりも大きく設定されていることにより、回転掘削体46Aが先頭管6の先頭開口6tを介して先頭管6の前方及び先頭管6の内側に移動可能に構成される。
実施形態7によれば、第2の掘削ビット81による掘削によって、先頭管6の前方において先頭管6の上下の内壁面6c;6d(先頭管6の一方の一対の壁面)と直交する方向である先頭管6の上下幅間隔よりも広い上下幅間隔で地山99を掘削できるようになり、先頭管6の前方において先頭管6の上下幅方向での余堀が可能となるので、地山99が硬質地盤である場合でも管をよりスムーズに推進させることが可能となる。
【0043】
実施形態8
支柱42の先端部に地山99に向けて高圧水を噴射させる図外の噴射ノズルを設け、回転掘削体46;46Aによる掘削とともに当該噴射ノズルより高圧水を噴射するようにした。これにより、回転掘削体46;46Aの前方にも水が行き届いて回転掘削体46;46Aの周囲を水が循環するので回転掘削体46;46Aの周囲の泥水の濃度を均一にでき、回転掘削体46;46Aの前方の泥水を確実に排泥できる。
【0044】
実施形態9
先頭管6の先頭開口縁6zは、先鋭部を備えた構成とした。例えば、先頭管6の左右の壁の先端形状が湾曲凹部状に形成されて先頭管6の先頭開口縁6zの4隅部が鋭利な先鋭部に形成された構成とすることで、先頭開口縁6zが地山に食い込みやすくなる。
【0045】
回転掘削体を1つ又は3つ以上備えた掘削機械26を用いてもよい。
また、掘削機械26は、先頭管6の推進方向と交差する回転中心線を回転中心として回転する回転掘削体を備えたものであってもよい。
【0046】
また、管を推進させる方法としては、実施形態1のように管2と掘削装置3とを一緒に押圧して管設置装置1を推進させる方法、実施形態2のように管2の後端面102eを押圧して管2を推進させるとともにグリッパ装置を介して掘削装置3を牽引させるように推進させる方法等のように、管2と掘削装置3とを一緒に推進させる方法、あるいは、管2と掘削装置3とを別々に押圧して管設置装置1を推進させる方法等がある。
【0047】
また、先に地中に入れる管の後端に後続管を連結しないようにし、地中に形成された空洞部から先に地中に入れる管のみを地中に設置して当該先に地中に入れる管のみ(即ち、1本の管)による支保工を形成するようにしてもよい。即ち、一方の空洞部100と他方の空洞部100とに跨る管を1本の管で形成するようにしてもよい。
【0048】
また、管2は、断面形状が四角形状のものであればよい。尚、本発明でいう断面形状が四角形状とは、断面長方形、断面正方形、断面台形、断面平行四辺形などの四角形状を指し、四角の角部が面取りされた形状のものも含む。
また、本発明に使用する回転掘削体としては、図5;8に示すような片刃の掘削ビットを備えたものを用いてもよいし、図14に示すような両刃の掘削ビットを備えたものを用いてもよい。
【0049】
本発明では、回転掘削体46の回転中心線Lが先頭管6の推進方向と直交する面及び先頭管6の互いに平行に対向する一対の内壁面としての先頭管6の上下の内壁面6c;6dと平行な第1の状態に設定されるように回転掘削体46が設置された構成を示したが、回転中心線Lが先頭管6の推進方向と直交する面及び先頭管6の互いに平行に対向する一対の内壁面としての先頭管6の左右の内壁面6a;6bと平行な第1の状態に設定されるように回転掘削体46が設置された構成であってもよい。
【0050】
本発明の空洞部100は、シールドトンネルのセグメントで囲まれた空洞部、又は、山岳トンネルの壁で囲まれたトンネル空洞部、又は、立坑内の空間等により形成される。そして、本発明により形成される地下空間としては、上述した地下鉄ホームを形成する空間、トンネルの道路や線路における往路空間及び復路空間、トンネルの道路や線路における合流部又は分岐部、トンネルの道路や線路における拡幅部等がある。
【符号の説明】
【0051】
1 管設置装置、2 管、6 先頭管(管)、6t 先頭開口、7 後続管(管)、
10 地中、25 掘削機械揺動駆動装置、26 掘削機械、30 球体、
30a 回転中心軸(第1の回転中心線)、30b 回転中心線(第2の回転中心線)、31 球体回転ガイド部材、32 球体駆動手段、42 支柱、46 回転掘削体、
100 空洞部、L 回転中心線。
【技術分野】
【0001】
本発明は、断面四角形状の管を地中に設置するための管設置装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、断面四角状の管を地中に設置するための管設置装置であって、管の先頭側の内側に管の推進方向と直交する回転中心線を回転中心として回転する回転掘削体を備えた管設置装置が知られている(例えば特許文献1等参照)。
また、断面円形状の曲管(管の中心線が曲線である管)を地中に設置するための管設置装置として、曲管の先頭側に曲管の推進方向に沿った回転中心線を回転中心として回転するカッタヘッドを備え、カッタヘッドの回転中心線を曲管の推進方向と交差する状態にしてカッタヘッドを揺動させることが可能な管設置装置が知られている(例えば特許文献2等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−52528号公報
【特許文献2】特開2005−155056号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の管設置装置では、地山が硬質地盤である場合、先頭管の先端が硬質地盤に衝突して進行しなくなることがあった。
また、特許文献2の管設置装置では、カッタヘッドが回転可能なようにカッタヘッドの外周面が支持部材によって支持されているので、カッタヘッドの外周面と支持部材との接触支持構造として高精度な摺動装置が必要となり、また、摺動装置における支持部材とカッタヘッドとの接触部が磨耗しやすくなるので、耐久性、コスト等の面で問題がある。
さらに、特許文献1の管設置装置に特許文献2の管設置装置の接触支持構造を採用しようとした場合、上述した耐久性、コスト等の問題ばかりではなく、特許文献1の管設置装置の回転掘削体の回転中心線の向きと特許文献2の管設置装置のカッタヘッドの回転中心線の向きとが異なるため、特許文献1の管設置装置に特許文献2の管設置装置の接触支持構造を採用したとしても、管の進行に先立って管の前方において管の断面積よりも幅の広い断面積を掘削できる構成とはならず、先頭管の先端が硬質地盤に衝突して進行しなくなるという課題を解消できない。
本発明は、管の先頭側に管の推進方向と直交する回転中心線を回転中心として回転する回転掘削体を備え、管の進行に先立って管の前方において管の断面積よりも幅の広い断面積を掘削できるようにして、地山が硬質地盤である場合でも管を地中においてスムーズに推進させることができる管設置装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、断面四角形状の管を地中に形成された空洞部から地中に設置する場合に、先に地中に入れる管の先頭開口の前方に管の推進方向と直交する面と平行な回転中心線を回転中心として回転する回転掘削体を設置し、管を進行させるとともに回転掘削体で地中を掘削することにより、管を推進させて地中に設置する管設置装置において、回転掘削体の支柱が固定された球体と、管の先頭開口側の内側に設置されて球体を球体の中心を回転中心として回転可能に保持する球体回転ガイド部材と、球体を球体の中心を回転中心として回す球体駆動手段とを備えたので、管の進行に先立って管の前方において管の断面積よりも幅の広い断面積で地山を掘削できるようになり、管の前方での余堀が可能となるので、地山が硬質地盤である場合でも管を地中においてスムーズに推進させることが可能な管設置装置を提供できる。
球体駆動手段として、管の互いに平行に対向する一方の一対の壁面と平行でかつ管の互いに平行に対向する他方の一対の壁面と交差するように延長する第1の回転中心線を回転中心として球体を回す球体駆動手段を備えたので、管の前方において他方の一対の壁面と直交する方向である管の左右幅間隔よりも広い左右幅間隔で地山を掘削できるようになるので、地山が硬質地盤である場合でも管を地中においてスムーズに推進させることが可能な管設置装置を提供できる。
球体駆動手段として、回転掘削体の回転中心線と平行な第2の回転中心線を回転中心として球体を回す球体駆動手段を備えたので、管の前方において前記一方の一対の壁面と直交する方向である管の上下幅間隔よりも広い上下幅間隔で地山を掘削できるようになるので、地山が硬質地盤である場合でも管を地中においてスムーズに推進させることが可能な管設置装置を提供できる。
球体駆動手段として、管の中心線と平行な第3の回転中心線を回転中心として球体を回す球体駆動手段を備えたので、管の前方において管の断面積よりも幅の広い断面積で地山を掘削できるようになるので、地山が硬質地盤である場合でも管を地中においてスムーズに推進させることが可能な管設置装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】管設置装置の横断面図(実施形態1)。
【図2】掘削機械揺動駆動装置の分解斜視図(実施形態1)
【図3】掘削機械揺動駆動装置の斜視図(実施形態1)
【図4】先頭管の内部構造を示す斜視図(実施形態1)。
【図5】管設置装置の縦断面図(実施形態1)
【図6】球体回転ガイド部材の後面側を後方側から見た図(図2のA−A断面相当図)(実施形態1)。
【図7】回転掘削体の左右揺動状態を示す図(実施形態1)。
【図8】回転掘削体の上下揺動状態を示す図(実施形態1)。
【図9】地中への管の設置方法を示す図(実施形態1)。
【図10】直管を設置する管設置方法により構築される支保工の例を示す断面図(実施形態1)。
【図11】曲管を設置する管設置方法により構築される支保工の例を示す断面図(実施形態1)。
【図12】管設置装置の断面図(実施形態6)。
【図13】(a)は先頭管の先頭部分を示した斜視図、(b)一対の第2の掘削ビット群の関係を示す断面図(実施形態6)。
【図14】(a)は回転掘削体の掘削時の状態を示す図、(b)は回転掘削体の回収時の姿勢状態を示す図(実施形態6)。
【発明を実施するための形態】
【0007】
実施形態1
図1乃至図11に基づいて、実施形態1による地中への管設置方法を実現するための管設置装置1の基本構成及び動作について説明する。
図1に示すように、管設置装置1は、管2と、掘削装置3と、制御装置65とを備える。尚、以下、図1における上側を管2や管設置装置1の先頭あるいは前側と定義し、図1における下側を管2や管設置装置1の後側と定義し、図1における左右側を管2や管設置装置1の左右側と定義し、図1の紙面と直交する方向の上下側を管2や管設置装置1の上下側と定義して説明する。
【0008】
管2は、図9;図11に示すような、円弧を描くように曲がって延長するように形成された曲管(管の中心線が曲線である管)、あるいは、図10に示すような、真っ直ぐに延長する管(管の中心線が直線である管(以下、直管という))であって、管の中心線と直交する面で管を切断した場合の断面形状が四角状の管により形成される。管2としては例えば鋼製の管が用いられる。管2の大きさは、例えば、管の長さ(前後長さ)が1.5m、左右幅が1.2m、上下幅が0.7mである。
そして、図9;図11に示すように、複数の曲管が順次連結されて地中10に設置されることによって円弧を描くように曲がって延長する支保工11が地中10に構築されたり、図10に示すように、複数の直管が順次連結されて地中10に設置されることによって真っ直ぐに延長する支保工11が地中10に構築される。
図9に示すように、実施形態1の管設置装置1及び管設置方法によって地中に構築される支保工11は、先頭に位置される管2(以下、先頭管という)と後続の複数の管2(以下、後続管という)とにより形成される。即ち、支保工11は、先頭に位置される曲管である先頭管6と先頭管6の後に続くように設けられる後続の複数の曲管である後続管7とにより形成される連続する曲管67によって構築される。
支保工11としては、図11(a)に示すように、地中10に形成された一方の空洞部100と他方の空洞部100との間に跨るように複数の管2としての複数の曲管を連続させて構築される支保工11や、図11(b)に示すように、地中10に形成された空洞部100から出発して当該空洞部100に戻るように複数の管2としての複数の曲管を連続させて構築される支保工11や、図10に示すように、一方の空洞部100と他方の空洞部100との間に跨るように複数の管2としての複数の直管を連続させて設置して構築される支保工11などがある。
【0009】
図1に示すように、掘削装置3は、掘削機械26と、掘削機械揺動駆動装置25と、制御装置65と、推進装置70と、水供給装置75と、排泥装置76と、を備える。
掘削機械揺動駆動装置25は、球体30と、球体回転ガイド部材31と、球体駆動手段32とを備える。
【0010】
実施形態1による掘削装置3は、回転掘削体46が固定された球体30と、先頭管6の先頭開口6t側の内側に設置されて球体30を球体30の中心を回転中心として回転可能に保持する球体回転ガイド部材31と、先頭管6の互いに平行に対向する一方の一対の内壁面(例えば先頭管6の左右の内壁面6a;6b)と平行でかつ先頭管6の互いに平行に対向する他方の一対の内壁面(例えば先頭管6の上下の内壁面6c;6d)と交差するように延長する球体回転中心軸30a(第1の回転中心線)、及び、先頭管6の互いに平行に対向する前記一方の一対の内壁面及び前記球体回転中心軸30a(第1の回転中心線)と直交するように延長する球体回転中心線30b(第2の回転中心線)を回転中心として球体30を回す球体駆動手段32と、を有した掘削機械揺動駆動装置25を備える。
掘削機械揺動駆動装置25は、球体回転ガイド部材31が先頭管6の先頭開口6t側の内側に前方への移動が規制された状態で設置され、回転掘削体46の支柱42が球体30に固定され、球体30が球体30の中心を回転中心として回転可能なように球体回転ガイド部材31に保持され、球体駆動手段32が球体30を球体30の中心を回転中心として先頭管6の左右方向及び前後方向に回すことで、支柱42を介して球体30に固定された回転掘削体46が先頭管6の前方において先頭管6の左右方向又は上下方向に揺動するよう構成されている。
換言すれば、掘削機械揺動駆動装置25は、回転掘削体46の回転中心線Lが先頭管6の推進方向と直交する面及び先頭管6の互いに平行に対向する一対の内壁面(例えば先頭管6の上下の内壁面6c;6d)と平行な第1の状態、又は、回転掘削体46の回転中心線Lが先頭管6の互いに平行に対向する前記一対の内壁面と平行でかつ先頭管6の推進方向と直交する面と直交以外の状態で交差する第2の状態(回転掘削体46の左右揺動状態)、又は、回転掘削体46の回転中心線Lが先頭管6の互いに平行に対向する一対の内壁面(例えば先頭管6の上下の内壁面6c;6d)と平行な状態を維持しつつ先頭管6の前記一対の内壁面と直交する方向に移動する第3の状態(回転掘削体46の上下揺動状態)となるように、自由に設定することが可能な構成を備える。
【0011】
球体30は、球体30の中心を通って上下の両端が球体30の球面より突出する球体回転中心軸30a(図4参照)を有する。この球体回転中心軸30aは球体回転ガイド部材31の後述する軸収容部34内に収容されて先頭管6の左右の内壁面6a;6bと平行な面上で軸が先頭管6の上下方向に延長するように設置され、かつ、先頭管6の左右の内壁面6a;6bと平行な面上において軸の上下端側が軸の中心点を回転中心として先頭管6の前後方向に揺動可能に設置される。そして、球体30は、球体回転ガイド部材31の後述する球体収容部内に収容されることによって、前記球体回転中心軸30aを回転中心として先頭管6の左右方向に回転可能で、かつ、球体30の中心を通って先頭管6の左右の内壁面6a;6b及び球体回転中心軸30aと直交する球体回転中心線30bを回転中心として先頭管6の前後方向に回転可能に構成される。
球体30は、球体30の中心を通り球体回転中心軸30a及び球体回転中心線30bと直交して球体30を貫通するように形成された支柱支持貫通孔13を備える。
回転掘削体46が取付けられる2つの分岐支柱43;43が先頭管6の左右の内壁面6a;6bに対して直交する状態となるように回転掘削体46の支柱42が支柱支持貫通孔13を貫通した状態で球体30に固定される。例えば、図1;2に示すように、球体30の支柱支持貫通孔13の前側開口の周囲は支柱支持貫通孔13の中心線と直交する取付平面30cに形成され、支柱42には当該取付平面30cに接触する取付平面42cを有した固定鍔42xが形成され、支柱42の後端が支柱支持貫通孔13を通過して球体30の後方に突出した状態において固定鍔42xの取付平面42cと球体30の取付平面30cとが付き合わされてこれら固定鍔42xの取付平面42cと球体30の取付平面30cとが溶接や固定ボルト等の固定手段により固定される。
【0012】
球体回転ガイド部材31は、外周寸法が先頭管6の断面(先頭管6の中心線と直交する断面)の四角形の内周寸法とほぼ同じ寸法の四角形状の平板31xに、球体収容部33と、軸収容部34と、排泥管保持貫通孔14(図4参照)と、水供給管保持貫通孔15(図4参照)とが形成された構成である。
球体回転ガイド部材31の平板31xの外周面31aには外周面31aを一周するようにゴムパッキン等の水密性能維持部材31bが設けられており、平板31xの外周面31aと先頭管6の内周面6xとが数mm程度(例えば5mm)の僅かな隙間を介して対向した状態で、かつ、水密性能維持部材31bと先頭管6の内周面6xとが接触して、平板の外周面31aと先頭管6の内周面6xとの間の水密性が維持されるように、球体回転ガイド部材31が先頭管6の先頭開口6t側の内側に設置される。水密性能維持部材31bは、平板31xの外周面31aを一周するように外周面31aに形成された溝31h内に収容されて外周面31aより突出するように設けられることにより、水密性能を十分に発揮できるよう平板31xの外周面31aに安定に設置できる。また、水密性能維持部材31bは、平板31xの外周面31aの前後側の両方に設けることが好ましい。
球体収容部33は、球体回転ガイド部材31の平板31xの板面の中央部を貫通する貫通孔により形成され、この貫通孔の内面は、球体30の球面と同じ曲率の凹状湾曲面により形成される。
球体収容部33の湾曲面には、当該湾曲面を形成する貫通孔の中心線の周囲を一周するようにゴムパッキン等の水密性能維持部材33bが設けられており、球体30の球面と球体収容部33の湾曲面とが数mm程度(例えば5mm)の僅かな隙間を介して対向した状態で、かつ、水密性能維持部材33bと球体30の球面とが接触して、球体30の球面と球体収容部33の湾曲面との間の水密性が維持されるように構成される。水密性能維持部材33bは、球体収容部33の湾曲面に形成された溝33h内に収容されて湾曲面より突出するように設けられることにより、水密性能を十分に発揮できるよう球体収容部33の湾曲面に安定に設置できる。
図3に示すように、軸収容部34は、球体収容部33の湾曲面より延長するよう平板31xに設けられた孔部により形成され、球体30が球体回転中心線30bを回転中心として回転運動した場合に球面より突出する球体回転中心軸30aの上下端部を前後方向に揺動可能なように収容する構成である。軸収容部34は、球体回転中心軸30aの上端部を前後方向に揺動可能なように収容する上側軸収容部34xと、球体回転中心軸30aの下端部を前後方向に移動可能なように収容する上側軸収容部34yとを備える。
【0013】
図2;図3に示すように、球体回転ガイド部材31を形成する平板31xは、前板31Aと後板31Bとが組み合わされて構成される。
図2に示すように、前板31Aは、前側球収容部33Aと前側軸収容部34Aとを備える。前側球収容部33Aは、前板31Aの板面の中央部を貫通するように形成されて球体30の前側球面を受ける凹状の湾曲面により形成される。
前側軸収容部34Aは、前側球収容部33Aの上部より延長するように前板31Aに設けられた前上側軸収容部34A1と前側球収容部33Aの下部より延長するように前板31Aに設けられた前下側軸収容部34A2とを備える。
前上側軸収容部34A1は、前板31Aの後側の板面及び前側球収容部33Aの湾曲面に開口し、かつ、前板31Aの前側の板面及び上端面に開口しない孔底部を有した孔部により構成される。前下側軸収容部34A2は、前板31Aの後側の板面及び前側球収容部33Aの湾曲面に開口し、かつ、前板31Aの前側の板面及び下端面に開口しない孔底部を有した孔部により構成される。
後板31Bは、後側球収容部33Bと後側軸収容部34Bとを備える。後側球収容部33Bは、後板31Bの板面の中央部を貫通するように形成されて球体30の後側球面を受ける凹状の湾曲面により形成される。
後側軸収容部34Bは、後側球収容部33Bの上部より延長するように後板に設けられた後上側軸収容部34B1と後側球収容部33Bの下部より延長するように後板に設けられた後下側軸収容部34B2とを備える。
後上側軸収容部34B1は、後板31Bの前後の板面及び後側球収容部33Bの湾曲面に開口し、かつ、後板31Bの上端面に開口しない孔底部を有した孔部により構成される。後下側軸収容部34B2は、後板31Bの前後の板面及び後側球収容部33Bの湾曲面に開口し、かつ、後板31Bの下端面に開口しない孔底部を有した孔部により構成される。
例えば、前板31Aと後板31Bとが同じ大きさに形成され、前板31A及び後板31Bを構成する平板の同じ位置に、一対の前上側軸収容部34A1及び後上側軸収容部34B1、一対の前下側軸収容部34A2及び後下側軸収容部34B2が設けられる。
【0014】
球体30の前側球面が前板31Aの後側の板面側から前側球収容部33A内に収容され、かつ、球体30の後側球面が後板31Bの前側の板面側から後側球収容部33B内に収容されることにより、球体30が前側球収容部33Aと後側球収容部33Bとで囲まれた状態となって前側球収容部33Aと後側球収容部33Bとで形成された球収容部33に収容されるとともに、球体回転中心軸30aの上下の突出部である上端部30m;下端部30nが前側軸収容部34A又は後側軸収容部34Bに収容された状態で、前板31Aの後側の板面と後板31Bの前側の板面とが付き合わされて、後板31Bの前側の板面の開口と前板31Aの後側の板面の開口とが連通された状態とする。当該状態で前板31Aと後板31Bとが溶接等の連結手段で連結されることにより、球体回転中心軸31aの上端部30mが前上側軸収容部34A1と後上側軸収容部34B1とで形成された上側軸収容部34xに収容されるとともに、球体回転中心軸31aの下端部30nが前下側軸収容部34A2と後下側軸収容部34B2とで形成された下側軸収容部34yに収容され、球収容部33に収容された球体30が球体30の中心を回転中心として回転可能となった球体組立体300が得られる。尚、上側軸収容部34x及び後下側軸収容部34yは、先頭管6の上下の内壁面6c;6dと直交する垂直線上に設けられることが好ましいが、先頭管6の上下の内壁面6c;6dと交差する直線上に設けられていればよい。
そして、球体組立体300において、後板31Bの後側の板面よりも後方に突出する球体30の支柱支持貫通孔13の後側開口の左右両側の球面に球体側連結フランジ30d;30dを溶接等の固定手段で固定する。
【0015】
球体駆動手段32は、球体回転中心軸30aを回転中心として球体30を先頭管6の左右方向に揺動させるための左右の揺動用ジャッキ35;35と、球体回転中心線30bを回転中心として球体30を先頭管6の上下方向に揺動させるための上下の揺動用ジャッキ36;36とを備える。
【0016】
後述するように先頭管6の先頭開口6t側の内面に固定された推進力受け部63に球体組立体300の前板31Aの前側の板面を接触させて、球体組立体300の前方への移動が推進力受け部63で規制される状態に球体組立体300を設置する。
そして、揺動用ジャッキ35のピストン35aの先端側に設けたピストン側連結フランジ35bと球体30に取付けられた球体側連結フランジ30dとが図外のボルト・ナット等の固定手段により固定されるとともに、揺動用ジャッキ35のシリンダ35cの基端側に設けたシリンダ側連結フランジ35dと後述の推進力伝達構成部64に設けた固定側連結フランジ64rとが図外のボルト・ナット等の固定手段により固定される。
尚、揺動用ジャッキ35のピストン35aの先端及びシリンダ35cの基端には球面軸受35xが設けられており、球体30が回転するよう運動した場合に球面軸受35xにより揺動用ジャッキ35が姿勢を変更できるように構成されている。
また、上の揺動用ジャッキ36はピストン36aの先端に球体回転中心軸30aの球面より突出する上端部を押圧する押圧板36bを備え、下の揺動用ジャッキ36はピストン36aの先端に球体回転中心軸30aの球面より突出する下端部を押圧する押圧板36bを備える。押圧板36bは、先端形状が球体回転中心軸30aを取り込む凹部形状に形成される。上の揺動用ジャッキ36は、ピストン36aの先端に設けられた押圧板36bが上側軸収容部34x内を前後方向に移動可能なようにシリンダ36bの基端側が上側ジャッキ反力受部材18aに固定され、下の揺動用ジャッキ36は、ピストン36aの先端に設けられた押圧板36bが下側軸収容部34y内を前後方向に移動可能なようにシリンダ36bの基端側が下側ジャッキ反力受部材18bに固定される(図4参照)。
【0017】
以上により、球体駆動手段32が球体30を球体30の中心を回転中心として先頭管6の左右方向及び前後方向に回すことで、支柱42を介して球体30に固定された回転掘削体46を先頭管6の前方において先頭管6の左右方向又は上下方向に揺動させることがでる掘削機械揺動駆動装置25が構成される。
【0018】
先頭管6の先頭開口縁6zは、地山99に食い込みやすいように、先細の傾斜面に形成される(図5参照)。
排泥管保持貫通孔14は、球体回転ガイド部材31の平板31xの板面の下部側の左右をそれぞれ貫通するように2つ設けられる。水供給管保持貫通孔15は、球体回転ガイド部材31の平板31xの板面の上部側の左右をそれぞれ貫通するように2つ設けられる。排泥管保持貫通孔14;14には、排泥管76cの先端部が貫通した状態で保持される。水供給管保持貫通孔15;15は、水供給管75cの先端部が貫通した状態で保持される(図6参照)。
【0019】
掘削機械26は、支持部40と、回転部41とを備える。
支持部40は、1つの支柱42と2つの分岐支柱43とが組合されたT字状の中空支柱により形成される。2つの分岐支柱43は、支柱42の先端部より支柱42の延長方向と直交する一直線上において互いに離れる方向に延長する。
回転部41は、回転機構部45と、回転掘削体46とを備える。回転機構部45は、例えばモータ47により構成される。分岐支柱43の両方の先端には、それぞれモータマウント44が設けられ、各モータマウント44;44には、モータ47のケーシング48が固定される。2つのモータ47;47の回転軸49;49は、支柱42の先端部より支柱の延長方向と直交する一直線上(即ち、分岐支柱43の中心線線上)において互いに離れる方向に延長する。
回転掘削体46は、例えば円筒部50aと円筒部50aの他端を閉塞する底板50bとを有した一端開口他端閉塞の円形箱状の回転体50と、回転体50の円筒部50aの外周面51に設けられた複数の掘削ビット52とを備えた構成である。
尚、回転体50の回転中心線Lから回転中心線Lと直交する線上を経由した掘削ビット52の先端までの距離を掘削ビット52の掘削半径とした掘削ビット52による掘削径は、先頭管6の上下の内壁面6c;6d間の寸法よりも小さい。
【0020】
モータ47は、例えば、流体圧により作動するモータ、あるいは、電気で作動するモータを用いる。例えば油圧モータ(以下、油圧モータ47と言う)を用いる場合、駆動源27としての油圧源55と油圧モータ47のケーシング48内とが圧油供給路56a及び油帰還路56bを形成する耐圧ホース56で繋がれる。即ち、耐圧ホース56は支持部40のT字状の中空路を介して油圧モータ47のケーシング48に接続される。油圧モータ47は、耐圧ホース56を介してケーシング48内に供給される圧油によって回転軸49が回転するように構成される。
例えば、回転掘削体46の回転体50の底板50bの内面53の円中心と回転軸49の回転中心とが一致するように、回転体50の底板50bの内面53と油圧モータ47により回転する回転軸49の先端に設けられた連結板54とがねじ等の連結具57により連結される。即ち、2つの回転掘削体46;46が先頭管6の先頭開口6tよりも前方に位置され、2つの回転掘削体46;46が2つの回転軸49;49に共通の1つの回転中心線Lを回転中心として回転するように構成される。このような2つの回転掘削体46;46を備えた構成は、ツインヘッダと呼ばれる。
実施形態1では、上述したように、2つの回転掘削体46;46の回転中心線Lが先頭管6の推進方向と直交する面と平行な状態及び先頭管6の上下の内壁面6c;6dと平行な第1の状態で地山99を掘削した場合、推進方向と直交する面内における回転掘削体46の掘削幅を大きくでき、さらに、断面四角形状に掘削できるので、掘削幅に応じた四角幅の管2を容易に地中10に設置できるようになる。
また、実施形態1では、掘削機械揺動駆動装置25の左右の揺動用ジャッキ35;35を作動させ、球体回転中心軸30aを回転中心として球体30を回すことにより、図7に示すように、2つの回転掘削体46;46の回転中心線Lが先頭管6の推進方向と直交する面と直交以外の状態で交差しかつ先頭管6の下の内壁面6dと平行な第2の状態で地山99を掘削した場合、先頭管6の前方において先頭管6の左右幅間隔よりも幅の広い左右幅間隔で地山99を掘削できるので、先頭管6が推進する際に先頭管6の先頭開口6tが地山99の硬質層に衝突する可能性が少なくなり、先頭管6をスムーズに推進させることができるようになる。
さらに、実施形態1では、掘削機械揺動駆動装置25の上下の揺動用ジャッキ36;36を作動させ、球体回転中心線30b(第2の回転中心線)を回転中心として球体30を回すことにより、図8に示すように、2つの回転掘削体46;46の回転中心線Lが先頭管6の下の内壁面6dと平行な状態を維持しつつ、先頭管6の上下方向に移動した第3の状態で地山99を掘削した場合、先頭管6の前方において先頭管6の上下幅間隔よりも幅の広い上下幅間隔で地山99を掘削できるので、先頭管6が推進する際に先頭管6の先頭開口6tが地山99の硬質層に衝突する可能性が少なくなり、先頭管6をスムーズに推進させることができるようになる。
【0021】
推進装置70は、推進駆動源61と、上述した球体回転ガイド部材31と、推進駆動源61による推進力を球体回転ガイド部材31に伝達する推進力伝達手段62と、球体回転ガイド部材31に伝達された推進力を先頭管6に伝達する推進力受け部63とを備える。
推進力受け部63は、先頭管6の先頭開口6t側の内側に設置された球体回転ガイド部材31の前板31Aの前側の板面に接触して球体回転ガイド部材31の前方への移動を規制するとともに球体回転ガイド部材31に伝達された推進力を先頭管6に伝達することができるように、先頭管6の先頭開口6t側の内面に溶接、ボルト・ナット等の固定手段で固定されている。
推進力伝達手段62は、推進力伝達構成部64と、推進力伝達棒状体71と、推進力伝達用の当て材72とを備える。
推進力伝達構成部64は、例えば、H形鋼を組み合わせて形成される。例えば、案内部材31の筒の左端後端面と連結されて上下に延長するよう設けられた前左側上下延長柱部64aと、案内部材31の筒の右端後端面と連結されて上下に延長するよう設けられた前右側上下延長柱部64bと、ジャッキ反力受部材18a;18bの左端部と連結されて上下に延長するよう設けられた後左側上下延長柱部64cと、ジャッキ反力受部材18a;18bの右端部と連結されて上下に延長するよう設けられた後右側上下延長柱部64dと、前後方向に延長して先端と前左側上下延長柱部64aとが連結され後端と後左側上下延長柱部64cとが連結された左連結部64eと、前後方向に延長して先端と前右側上下延長柱部64bとが連結され後端と後右側上下延長柱部64dとが連結された右連結部64fとを備える。
【0022】
推進力伝達棒状体71は、一端から他端までの長さが推進力伝達構成部64の後端面64xと先頭管6の後端面102eとの間の最短距離よりも長い寸法に形成された棒状体である。推進力伝達棒状体71としては例えばH形鋼を用いる。
推進力伝達棒状体71は、中心線が先頭管6の中心線と同一方向を向くように設置される。左側の推進力伝達棒状体71Aの先端面と後左側上下延長柱部64cの後面における上下の中央位置とが連結され、右側の推進力伝達棒状体71Bの先端面と後右側上下延長柱部64dの後面における上下の中央位置とが連結される。
【0023】
推進駆動源61は、例えば、油圧ジャッキ61Aにより構成される。油圧ジャッキ61Aのピストンロッド61aの先端には押圧板61bが設けられる。油圧ジャッキ61のシリンダ61cは図外のジャッキ反力受部材に固定されている。
【0024】
そして、当て材72を、先頭管6の後端面102eより後方に突出する左右の推進力伝達棒状体71A;71Bの他端間に跨るように設置して左右の推進力伝達棒状体71A;71Bの他端に図外のボルトや万力装置などで連結し、当て材72における左右の推進力伝達棒状体71A;71Bの他端間の中央部分を油圧ジャッキ61Aの押圧板61bで押圧することにより、油圧ジャッキ61Aによる押圧力が、推進力伝達棒状体71、推進力伝達構成部64、球体回転ガイド部材31、推進力受け部63を介して先頭管6及び回転掘削体46;46に伝達されるので、先頭管6が前方に推進するとともに回転掘削体46;46が前方に推進する。
この場合、後右側上下延長柱部64dの後面における上下の中央位置に連結された右側の推進力伝達棒状体71Bと後左側上下延長柱部64cの後面における上下の中央位置に連結された左側の推進力伝達棒状体71Aとを介して推進力伝達構成部64に伝達された推進力が球体回転ガイド部材31の後端面31rの四隅部に伝達される構成としたので(図2;図3;図6参照)、球体回転ガイド部材31に推進力を均等に伝達でき、掘削機械揺動駆動装置25の揺動動作の安定化が図れる。
【0025】
水供給装置75は、水貯留タンク75aと、送水用のポンプ75bと、水供給管75cと、水供給管75cの前端開口部を保持する水供給管保持貫通孔15とを備える。
水供給管75cは例えば鋼管により形成される。前端開口を介して球体回転ガイド部材31の前面31fの前方の地山99に水を放出することが可能なように水供給管75cの前端開口側が球体回転ガイド部材31の水供給管保持貫通孔15に固定される。水供給管75cの後端開口と送水用のポンプ75bの吐出口とが連通可能に連結される。そして、送水用のポンプ75bの吸込口と水貯留タンク75aとが図外の連結管により連通可能に連結される。水供給装置75は、先頭管6の上部内側の左右側に2系統設けられる。
【0026】
排泥装置76は、排泥タンク76aと、排泥用のポンプ76bと、排泥管76cと、排泥管76cの前端開口部を保持する排泥管保持貫通孔14とを備える。
排泥管76cは例えば鋼管により形成される。球体回転ガイド部材31の前面30fの前方に集まった掘削土を前端開口を介して取り込むことが可能なように排泥管76cの前端開口側が球体回転ガイド部材31の排泥管保持貫通孔14に固定される。排泥管76cの後端開口と排泥用のポンプ76bの吸込口とが連通可能に連結される。そして、排泥用のポンプ76bの吐出口と排泥タンク76aとが図外の連結管により連通可能に連結される。排泥装置76は、先頭管6の下部内側の左右側に2系統設けられる。
【0027】
尚、水貯留タンク75a及び排泥タンク76aは、例えば水貯留タンク75aと排泥タンク76aとが一体となった集合タンク75Xにより構成される。即ち、集合タンク75Xの内部に仕切体75wを設けて集合タンク75Xの内部を2つの領域に区切り、一方の領域を水貯留タンク75aとして使用し、他方の領域を排泥タンク76aとして使用する。
つまり、最初に一定量の水を集合タンク75X内に満たしておき、送水用のポンプ75bを駆動して球体回転ガイド部材31の前方に水を圧送すると、球体回転ガイド部材31の前方に圧送された水と回転掘削体46;46により掘削された土砂とが混ざって泥水となる。そして、排泥用のポンプ76bを駆動することにより、球体回転ガイド部材31の前方の泥水が排泥タンク76aに排出される。排泥タンク76aに排出された泥水中の泥が排泥タンク76aの底に沈殿するとともに、仕切体75wを越えて水貯留タンク75aに入り込んだ泥水が再び送水用のポンプ75bによって球体回転ガイド部材31の前方に圧送される。即ち、泥水を循環させて球体回転ガイド部材31の前方に供給できるようになるので、水の使用量を減らすことができる。また、水よりも比重が大きい泥水を球体回転ガイド部材31の前方に供給できるので、地盤及び地下水の圧力に抵抗できて、地盤及び地下水の圧力と球体回転ガイド部材31の前方に供給した圧力とを均等にしやすくなるので、地盤沈下等、地中10に与える影響を少なくすることができる。また、球体回転ガイド部材31の前方が泥水化するので、排泥をスムーズに行えるようになり、掘削しやすくなる。
尚、最初から泥水を集合タンク75X内に満たしておき、送水用のポンプ75bを駆動して球体回転ガイド部材31の前方と集合タンク75X内との間で泥水を循環させてもよい。
【0028】
次に管設置装置1による地中10への管2の設置方法を説明する。
掘削機械26と、掘削機械揺動駆動装置25と、当て材72を除いた推進装置70と、水供給管75cと、排泥管76cとが組立てられた組立体を、掘削回転体46側から先頭管6の後端開口を介して先頭管6内に入れていき、球体回転ガイド部材31の前端面31fと先頭管6の内側に固定された推進力受け部63とを接触させる。そして、先頭管6の後端面102eより後方に突出する左右の推進力伝達棒状体71A;71Bの他端間に跨るように当て材72を設置して当て材72を左右の推進力伝達棒状体71A;71Bの他端に図外のボルトや万力装置などで連結する。そして、送水用のポンプ75bを駆動して球体回転ガイド部材31の前方に泥水を供給し、球体回転ガイド部材31の前方と集合タンク75X内との間で泥水を循環させるとともに、制御装置65による制御によって、油圧源55から油圧モータ47に圧油を供給して回転掘削体46を回転させながら、推進駆動源61を作動させて当て材72に推進力を加えることで、推進力が、推進力伝達棒状体71、推進力伝達構成部64、球体回転ガイド部材31、推進力受け部63を介して先頭管6及び回転掘削体46;46に伝達され、先頭管6が前方に推進するとともに回転掘削体46;46が前方に推進する。この際、制御装置65による制御によって、左右の揺動用ジャッキ35;35を作動させ、球体30を球体回転中心軸30aを回転中心として回すことにより、掘削回転体46が先頭管6の前方において先頭管6の左右方向に首振りのように揺動して地山99を掘削する。これにより、先頭管6の前方において先頭管6の左右幅間隔よりも広い左右間隔幅で地山99が掘削されるので、先頭管6が推進する際に先頭管6の先端が硬質地盤の地山99に衝突する可能性が少なくなり、先頭管6をスムーズに推進させることができる。また、制御装置65による制御によって、上下の揺動用ジャッキ36;36を作動させ、球体30を球体回転中心線30bを回転中心として回すことにより、掘削回転体46が先頭管6の前方において先頭管6の上下方向に首振りのように揺動して地山99を掘削する。これにより、先頭管6の前方において先頭管6の上下幅間隔よりも広い上下間隔幅で地山99が掘削されるので、先頭管6が推進する際に先頭管6の先端が硬質地盤の地山99に衝突する可能性が少なくなり、先頭管6をスムーズに推進させることができる。
先頭管6の後端面102eを残して先頭管6が地中10に設置された後、先頭管6の後端面102eに後続管7を溶接、又は、ボルト等の固定具により接続し、さらに、先頭の推進力伝達棒状体71の他端と後続の推進力伝達棒状体71の一端とをボルト、又は、溶接により結合することにより、先頭の推進力伝達棒状体71の後ろに後続の推進力伝達棒状体71を継ぎ足すとともに、また、耐圧ホース56の他端に図外の延長耐圧ホースを継ぎ足し、水供給管75cの他端に図外の延長水供給管を継ぎ足し、排泥管76cの他端に図外の延長排泥管を継ぎ足していく。そして、当て材72を、後続管7の後端縁より後方に突出する左右の推進力伝達棒状体71A;71Bの他端間に跨るように設置して、当て材72を油圧ジャッキ61Aのピストンロッド61aで押圧しながら、回転掘削体46;46を回転駆動させることにより、回転掘削体46が掘削を行いながら先頭管6が推進し、後続管7が地中に設置される。
以後、同様に、前の後続管7の後端縁に後の後続管7を順次連結して地中10に設置していくことで、支保工11を構築できる。
【0029】
支保工11を構築した後は、掘削始点となった出発側の空洞部100内に掘削機械26等を引き戻して回収する。実施形態1によれば、推進力伝達棒状体71を継ぎ足していくことから、掘削機械26等を回収する際には、最後尾の推進力伝達棒状体71側から推進力伝達棒状体71の1個長さ分ずつ空洞部100内に引き戻して、最後尾側から先頭まで順番に推進力伝達棒状体71を取り外していくことにより、掘削機械26等を容易に回収できるようになる。この場合、推進装置の一例である油圧ジャッキ61Aを掘削始点となる空洞部100内にのみ設置すればよいので、装置コストを低減できる。
尚、到達側の空洞部100内に掘削機械26等を押し出して回収するようしてもよい。
例えば、先頭管6を到達側の空洞部100に押し出して推進力受け部63を除去してから、到達側の空洞部100内に掘削機械26等を押し出して回収する。この場合、掘削機械26等を掘削始点となった空洞部100内に引き戻す作業よりも掘削機械26等を到達側の空洞部100内に押し出す作業の方が容易となるので、掘削機械26等の回収作業が容易となる。
図11(b)のように、地中10に形成された1つの空洞部100から出発して当該空洞部100に戻るように支保工11を構築する場合には、掘削機械26等が1つの空洞部100の到達口に到達したならば掘削機械26等を到達口から当該空洞部100内に押し出すようにして回収すれば、掘削機械26等の回収作業が容易となるとともに、油圧ジャッキ61Aを当該1つの空洞部100内にのみ設置すればよいので装置コストも低減できる。
【0030】
実施形態1によれば、管設置装置1が掘削機械揺動駆動装置25を備えたので、先頭管6の前方の地山99を回転掘削体46で掘削する際に球体回転ガイド部材駆動手段32を作動させて球体30を回すことにより、回転掘削体46を先頭管56の前方において先頭管6の左右方向又は上下方向に揺動させることができ、回転掘削体46が左右方向又は上下方向に揺動しない場合と比べて、掘削可能な左右幅又は上下幅を大きくできる。即ち、先頭管6の進行に先立って先頭管6の前方において先頭管6の断面積よりも左右幅又は上下幅の広い断面積を掘削でき、先頭管6の前方の左右上下において余堀を行えるようになるので、地山99が硬質地盤である場合でも、先頭管6を地中10においてスムーズに推進させることができる。
即ち、球体駆動手段32として、先頭管6の互いに平行に対向する上下の内壁面6c;6d(一方の一対の壁面)と平行でかつ先頭管6の互いに平行に対向する左右の内壁面6a;6b(他方の一対の壁面)と交差するように延長する回転中心軸30a(第1の回転中心線)を回転中心として球体を回すための左右一対の揺動用ジャッキ35;35と、回転掘削体46の回転中心線Lと平行な回転中心線30b(第2の回転中心線)を回転中心として球体を回す上下一対の揺動用ジャッキ36;36とを備えたので、先頭管6の前方において、先頭管6の左右の内壁面6a;6bと直交する方向である先頭管6の左右幅間隔よりも広い左右幅間隔で地山を掘削できるようになるとともに、先頭管6の上下の内壁面6c;6dと直交する方向である先頭管6の上下幅間隔よりも広い上下幅間隔で地山を掘削できるようになるので、地山が硬質地盤である場合でも管を地中においてスムーズに推進させることが可能な管設置装置を提供できる。
【0031】
実施形態2
グリッパ装置を用いて先頭管6を推進させるようにしてもよい。この場合、グリッパ装置は、例えば、球体回転ガイド部材31の後板31Bに固定されて球体回転ガイド部材31の後方に延長するように設けられた図外の複数のジャッキ支持体と、ジャッキのシリンダがジャッキ支持体に固定されてジャッキのピストンが伸長することで先頭管6の内面に突っ張るように接触する複数のジャッキとを備えて構成される。
複数のジャッキのピストンを伸長させて先頭管6の内面に突っ張るように作動させた後、先頭管6の後端面102eを推進ジャッキ61Aで押圧して先頭管6を推進させた場合、先頭管6と、掘削機械揺動駆動装置25と、掘削機械26とを一緒に推進させることができ、推進力伝達手段62と推進力受け部63とを不要とできる。このため、掘削機械26等を到達側で回収できるようになる。
また、地山99側から球体回転ガイド部材31に加わる水圧に十分に対抗できるようになる。
【0032】
実施形態3
実施形態1では、球体回転中心軸30a及び球体回転中心線30bを回転中心として球体30を回すことで、回転掘削体46を先頭管6の前方において先頭管6の左右方向又は上下方向に揺動させるための第1の揺動用ジャッキとしての揺動用ジャッキ35;35、及び、第2の揺動用ジャッキとしての揺動用ジャッキ36;36を備えた構成を示したが、さらに、先頭管6の中心線(球体30の支柱支持貫通孔13及び支柱42の中心線)を第3の回転中心線とし、この第3の回転中心線を回転中心として球体30を回して回転掘削体46の回転中心線Lが先頭管6の左右の内壁面6c;6dと直交以外の状態で交差するように回転掘削体46を揺動させるための図外の第3の揺動用ジャッキを設けてもよい。第3の揺動用ジャッキは、例えばピストンが先頭管6の上下方向に伸縮するように設けられた一対の油圧ジャッキにより構成される。尚、球体30の支柱支持貫通孔13及び支柱42の中心線と先頭管6の中心線とが一致しないように回転掘削体46;46が設けられる場合には、第3の回転中心線は、先頭管6の中心線と平行な球体30の支柱支持貫通孔13及び支柱42の中心線となる。尚、この場合、球体30が第3の回転中心線を回転中心として回転する方向に球体30の軸部30m、30nも回転するので、軸部30m、30nを収容する上側軸収容部34x、下側軸収容部34yは、第3の回転中心線を回転中心として回転する球体30の回転方向に軸部30m、30nが移動可能な空間を備えた構成とする。
【0033】
実施形態4
実施形態3では、第1の揺動用ジャッキ、第2の揺動用ジャッキ、第3の揺動用ジャッキのすべてを備えた構成を示したが、第1の揺動用ジャッキ、第2の揺動用ジャッキ、第3の揺動用ジャッキのうちの1つ以上を備えた構成としてもよい。
【0034】
実施形態5
上記各実施形態では、一対のジャッキにより構成された第1の揺動用ジャッキ、第2の揺動用ジャッキ、第3の揺動用ジャッキを用いた例を示したが、第1の揺動用ジャッキ、第2の揺動用ジャッキ、第3の揺動用ジャッキを、それぞれ1つのジャッキで構成してもよい。
【0035】
実施形態6
第1の揺動用ジャッキのみを備えた構成の場合には、回転掘削体として、図12乃至図14に示すような、回転体50の外周面51より突出するように設けられた掘削刃としての第1の掘削ビット80及び第2の掘削ビット81とを備えた構成の回転掘削体46Aを用いることにより、先頭管6の前方の上下において余堀を行えるようになる。
複数個の第2の掘削ビット81が回転体50の回転中心線Lに沿った方向に並べられて第2の掘削ビット群810が構成される。
回転体50の外周面51には複数のビット取付部83が点在するように設けられる。第1の掘削ビット80は、回転体50の外周面51に設けられた個々のビット取付部83に1つ1つ個別に着脱可能に取り付けられる。第2の掘削ビット81は、回転体50の外周面に設けられた複数のビット取付部83に着脱可能に取り付けられるビット設置板84に設けられる。即ち、第2の掘削ビット群810は、ビット取付部83に取り付けられて回転体50の回転中心線L(回転掘削体46の回転中心線L)に沿って回転体50の外周面51の周面幅(回転中心線Lに沿った方向の幅、即ち、回転体50の回転中心線Lに沿った方向の両方の端面)に渡って延長するビット設置板84のビット設置面84aに、複数の第2の掘削ビット81が回転中心線Lに沿った方向に並ぶように着脱可能又は固定的に設けられた構成である。
1つの1つの回転掘削体46Aは、複数の第2の掘削ビット群810;810を備え、2つの第2の掘削ビット群810;810は、回転体50の外周面51の周方向に互いに180°離れた位置にそれぞれ設けられた一対の2つの第2の掘削ビット群810;810が例えば三対設けられる。第1の掘削ビット80は、回転体50の外周面51上において第2の掘削ビット群810が設けられていない部分に設けられる。
図13(b)に示すように、回転体50の外周面51上で周方向に互いに180°離れた位置に設けられた各第2の掘削ビット群810;810の各掘削ビット81の先端は、回転体50の回転中心線Lと直交する同一の面85上に位置しないように設定されている。つまり、一方の第2の掘削ビット群810において互いに隣り合う各掘削ビット81間で掘削されない地盤部分を他方の第2の掘削ビット群810の各掘削ビット81で掘削できるように構成されている。要するに、1つの1つの回転掘削体46Aは、一方の第2の掘削ビット群810で掘削できない地盤部分を他方の第2の掘削ビット群810で掘削できるようにした相補的な一対の第2の掘削ビット群810;810を備えた構成である。
そして、図14(a)に示すように、回転体50の回転中心線Lから回転中心線Lと直交する線上を経由した第1の掘削ビット80の先端までの第1距離80x(即ち、第1の掘削ビット80による掘削半径)と回転体50の回転中心線Lから回転中心線Lと直交する線上を経由した第2の掘削ビット81の先端までの第2距離81x(即ち、第2の掘削ビットによる掘削半径)とが異なる。
つまり、第1距離80xを掘削半径とした第1の掘削ビット80による掘削径が、先頭管6の上下の内壁面6c;6d間(先頭管6の一方の一対の壁面の内壁面間)の寸法9xよりも小さく設定され、かつ、第2距離81xを掘削半径とした第2の掘削ビット81による掘削径が、先頭管6の先頭管6の上下の内壁面6c;6d間の寸法9xよりも大きく設定されていることにより、回転掘削体46Aが先頭管6の先頭開口6tを介して先頭管6の前方及び先頭管6の内側に移動可能に構成されている。
即ち、第1距離80xは、回転掘削体46Aが先頭管6の内側で回転中心線Lを回転中心として回転可能な回転半径寸法に設定されたことによって、回転掘削体46Aが管2内を通過可能となり、掘削機械26を出発側の空洞部100に引き戻して回収できる。
また、第2距離81xは、回転掘削体46Aが先頭管6の内側で回転中心線Lを回転中心として回転不可能で、かつ、回転掘削体46Aが先頭管6の先頭開口6tの前方に位置された場合に回転可能な回転半径に設定される。
即ち、回転掘削体46Aが先頭管6の先頭開口6tの前方に位置された状態で回転駆動されることによって第1の掘削ビット80及び第2の掘削ビット81が先頭管6の先頭開口6tの前方位置の地盤を掘削可能であり、かつ、回転掘削体46Aが管2(先頭管6及び後続管7)内を通過して管2を出発させた空洞部100に回収可能に構成される。
以上のような回転掘削体46Aを備えたことにより、先頭管6の先頭開口6tの前方において先頭開口6tの断面よりも上下幅の大きい断面積の孔を掘削できるので、先頭管6の先頭開口縁6zが地盤に衝突する前に地盤を掘削できて、管2をよりスムーズに推進させることができる。
また、掘削機械26の回収時には、図14(b)に示すように、第2の掘削ビット群810の第2の掘削ビット81の先端が、先頭管6の上の内壁面6cと同一平面を示す位置より上方に位置せず、かつ、先頭管6の下の内壁面6dと同一平面を示す位置より下方に位置しない状態にしてから、回転掘削体46Aを管2内に引き戻して掘削機械26を出発側の空洞部100に回収する。
【0036】
即ち、実施形態6によれば、回転体50の回転中心線Lから回転中心線Lと直交する線上を経由した第1の掘削ビット80の先端までの第1距離80x(即ち、第1の掘削ビット80による掘削半径)と回転体50の回転中心線Lから回転中心線Lと直交する線上を経由した第2の掘削ビット81の先端までの第2距離81x(即ち、第2の掘削ビットによる掘削半径)とが異なるように設定され、第1距離80xを掘削半径とした第1の掘削ビット80による掘削径が、先頭管6の案内刃管の上下の内壁面6c;6d間の寸法9xよりも小さく、第2距離81xを掘削半径とした第2の掘削ビット81による掘削径が、先頭管6の上下の内壁面6c;6d間の寸法9xよりも大きく設定された回転掘削体46Aを備えた。このため、先頭管6の先頭開口6tより前方に位置する回転掘削体46Aを回転させて掘削ビット80;81が地盤を掘削することにより、先頭管6の先頭開口6tの前方において、先頭管6の管の中心を中心とした四角断面であって先頭管6の先頭開口6tの四角断面の幅寸法(回転掘削体46Aの径方向に対応する幅寸法、例えば、先頭管6の上下の内壁面6c;6d間の寸法9x)より幅寸法の大きい四角断面の孔を掘削できる。よって、先頭管6の先頭開口縁6zが地盤に衝突する前に、先頭管6の先頭開口6tよりも前方に位置する地盤を掘削ビット80;81により確実に掘削できるので、先頭管6の先頭開口縁6zが硬質の地盤に衝突して先頭管6を推進できなくなるような事態を防止でき、地山99が硬質地盤である場合でも、管2をよりスムーズに推進させることができる。
即ち、第1の揺動用ジャッキを作動させることで、回転掘削体46Aによる左右方向の掘削幅が大きくなり、左右の余堀量を多くできるとともに、第2の掘削ビット群810を備えたので、第2の掘削ビット81による掘削によって、先頭管6の前方において先頭管6の上下の内壁面6c;6d(先頭管6の一方の一対の壁面)と直交する方向である先頭管6の上下幅間隔よりも広い上下幅間隔で地山99を掘削できるようになり、先頭管6の前方において先頭管6の上下幅方向での余堀が可能となるので、地山99が硬質地盤である場合でも管をよりスムーズに推進させることが可能となる。
また、第1の掘削ビット80による掘削径が先頭管6の上下の内壁面6c;6d間の寸法9xよりも小さいので、掘削機械26等の回収時には、図14(b)に示すように、回転掘削体46Aが管2内を通過できるようになるので、回転掘削体46Aを管2内に通して引き戻すことにより掘削機械26等を出発側の空洞部100に回収できる。
【0037】
また、回転体50の外周面51上で周方向に互いに180°離れた位置に設けられた各第2の掘削ビット群810;810の各掘削ビット81の先端位置が、回転体50の回転中心線Lと直交する同一の面85上に位置しないように設定されている。つまり、回転体50の外周面51上で周方向に互いに180°離れた位置に設けられた一対の第2の掘削ビット群810;810は、回転掘削体46Aの回転により一方の第2の掘削ビット群810で掘削できない地盤部分を他方の第2の掘削ビット群810で掘削できるように構成されているので、先頭管6の先頭開口6tの四角断面の幅寸法より幅寸法の大きい四角断面の孔を効率的に掘削でき、管2をよりスムーズに推進させることができる。
【0038】
また、各第2の掘削ビット群810;810は、回転中心線Lを中心として回転体50の外周面51上で周方向に180°離れた位置にそれぞれ設けられたので、回転掘削体46Aの回転重心を一定に保てるようになり、回転掘削体46Aの回転がスムーズになって効率的に掘削できて、管2をよりスムーズに推進させることができる。
また、第2の掘削ビット81及び第1の掘削ビット80を備えたので、第2距離81xを掘削半径とした掘削径の孔を第2の掘削ビット81及び第1の掘削ビット80によってより効率的に掘削できるようになる。
【0039】
尚、第2の掘削ビット群810は、回転体50の外周面51に設けられた個々の取付部83に個々に取付けられた第2の掘削ビット81の集合体により構成されてもよい。
【0040】
また、回転体50の外周面51上において回転体50の回転中心線Lに沿った方向の両方の端面に跨って回転中心線Lに沿った方向に直線状又は非直線状に個々の第2の掘削ビット81が個々に並ぶように配置されていたり、回転体50の外周面51上において回転体50の回転中心線Lに沿った方向の両方の端面に跨って回転中心線Lに沿った方向に直線状又は非直線状に延長する1つの掘削刃を有した第2の掘削ビットを備えた構成の回転掘削体46Aであって、回転掘削体46Aが管2の内側で回転中心線Lを中心として回転不可能で、かつ、先頭管6の先頭開口6tの前方位置で回転可能なように構成されていればよい。
【0041】
第2の掘削ビット群810;810が回転体50の外周面51上で周方向に互いに180°離れた位置に設けられていなくてもよい。
要するに、回転掘削体46Aは、回転中心線Lから回転中心線Lと直交する線上を経由した第1の掘削ビット80の先端までの第1距離80xが、回転掘削体46Aが管6の内側で回転中心線Lを中心として回転可能な回転半径に設定され、回転中心線Lから回転中心線Lと直交する線上を経由した第2の掘削ビット81の先端までの第2距離81xが、回転掘削体46Aが管2の内側で回転中心線Lを中心として回転不可能で、かつ、回転掘削体46Aが先頭管6の先頭開口6tの前方に位置された場合に回転中心線Lを中心として回転可能な回転半径に設定されればよい。
【0042】
実施形態7
実施形態6では、第1の掘削ビット80と第2の掘削ビット81とを有した回転掘削体を用いたが、掘削ビットとして第2の掘削ビット81のみを有した回転掘削体を用いてもよい。
要するに、回転掘削体が第1の掘削ビット80を備えない構成の場合において、回転中心線Lから回転中心線Lと直交する線上を経由した回転掘削体の回転体50の外周面51までの最短距離である第1距離が、回転掘削体が管6の内側で回転中心線Lを中心として回転可能な回転半径に設定され、回転中心線Lから回転中心線Lと直交する線上を経由した第2の掘削ビット81(掘削ビット)の先端までの第2距離81xが、回転掘削体が管2の内側で回転中心線Lを中心として回転不可能で、かつ、回転掘削体46が先頭管6の先頭開口6tの前方に位置された場合に回転中心線Lを中心として回転可能な回転半径に設定されればよい。
つまり、第1距離を半径とした回転体50の直径が、先頭管6の上下の内壁面6c;6d間の寸法よりも小さく設定され、かつ、第2距離81xを掘削半径とした第2の掘削ビット81による掘削径が、先頭管6の先頭管6の上下の内壁面6c;6d間の寸法9xよりも大きく設定されていることにより、回転掘削体46Aが先頭管6の先頭開口6tを介して先頭管6の前方及び先頭管6の内側に移動可能に構成される。
実施形態7によれば、第2の掘削ビット81による掘削によって、先頭管6の前方において先頭管6の上下の内壁面6c;6d(先頭管6の一方の一対の壁面)と直交する方向である先頭管6の上下幅間隔よりも広い上下幅間隔で地山99を掘削できるようになり、先頭管6の前方において先頭管6の上下幅方向での余堀が可能となるので、地山99が硬質地盤である場合でも管をよりスムーズに推進させることが可能となる。
【0043】
実施形態8
支柱42の先端部に地山99に向けて高圧水を噴射させる図外の噴射ノズルを設け、回転掘削体46;46Aによる掘削とともに当該噴射ノズルより高圧水を噴射するようにした。これにより、回転掘削体46;46Aの前方にも水が行き届いて回転掘削体46;46Aの周囲を水が循環するので回転掘削体46;46Aの周囲の泥水の濃度を均一にでき、回転掘削体46;46Aの前方の泥水を確実に排泥できる。
【0044】
実施形態9
先頭管6の先頭開口縁6zは、先鋭部を備えた構成とした。例えば、先頭管6の左右の壁の先端形状が湾曲凹部状に形成されて先頭管6の先頭開口縁6zの4隅部が鋭利な先鋭部に形成された構成とすることで、先頭開口縁6zが地山に食い込みやすくなる。
【0045】
回転掘削体を1つ又は3つ以上備えた掘削機械26を用いてもよい。
また、掘削機械26は、先頭管6の推進方向と交差する回転中心線を回転中心として回転する回転掘削体を備えたものであってもよい。
【0046】
また、管を推進させる方法としては、実施形態1のように管2と掘削装置3とを一緒に押圧して管設置装置1を推進させる方法、実施形態2のように管2の後端面102eを押圧して管2を推進させるとともにグリッパ装置を介して掘削装置3を牽引させるように推進させる方法等のように、管2と掘削装置3とを一緒に推進させる方法、あるいは、管2と掘削装置3とを別々に押圧して管設置装置1を推進させる方法等がある。
【0047】
また、先に地中に入れる管の後端に後続管を連結しないようにし、地中に形成された空洞部から先に地中に入れる管のみを地中に設置して当該先に地中に入れる管のみ(即ち、1本の管)による支保工を形成するようにしてもよい。即ち、一方の空洞部100と他方の空洞部100とに跨る管を1本の管で形成するようにしてもよい。
【0048】
また、管2は、断面形状が四角形状のものであればよい。尚、本発明でいう断面形状が四角形状とは、断面長方形、断面正方形、断面台形、断面平行四辺形などの四角形状を指し、四角の角部が面取りされた形状のものも含む。
また、本発明に使用する回転掘削体としては、図5;8に示すような片刃の掘削ビットを備えたものを用いてもよいし、図14に示すような両刃の掘削ビットを備えたものを用いてもよい。
【0049】
本発明では、回転掘削体46の回転中心線Lが先頭管6の推進方向と直交する面及び先頭管6の互いに平行に対向する一対の内壁面としての先頭管6の上下の内壁面6c;6dと平行な第1の状態に設定されるように回転掘削体46が設置された構成を示したが、回転中心線Lが先頭管6の推進方向と直交する面及び先頭管6の互いに平行に対向する一対の内壁面としての先頭管6の左右の内壁面6a;6bと平行な第1の状態に設定されるように回転掘削体46が設置された構成であってもよい。
【0050】
本発明の空洞部100は、シールドトンネルのセグメントで囲まれた空洞部、又は、山岳トンネルの壁で囲まれたトンネル空洞部、又は、立坑内の空間等により形成される。そして、本発明により形成される地下空間としては、上述した地下鉄ホームを形成する空間、トンネルの道路や線路における往路空間及び復路空間、トンネルの道路や線路における合流部又は分岐部、トンネルの道路や線路における拡幅部等がある。
【符号の説明】
【0051】
1 管設置装置、2 管、6 先頭管(管)、6t 先頭開口、7 後続管(管)、
10 地中、25 掘削機械揺動駆動装置、26 掘削機械、30 球体、
30a 回転中心軸(第1の回転中心線)、30b 回転中心線(第2の回転中心線)、31 球体回転ガイド部材、32 球体駆動手段、42 支柱、46 回転掘削体、
100 空洞部、L 回転中心線。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
断面四角形状の管を地中に形成された空洞部から地中に設置する場合に、先に地中に入れる管の先頭開口の前方に管の推進方向と直交する面と平行な回転中心線を回転中心として回転する回転掘削体を設置し、管を進行させるとともに回転掘削体で地中を掘削することにより、管を推進させて地中に設置する管設置装置において、
回転掘削体の支柱が固定された球体と、管の先頭開口側の内側に設置されて球体を球体の中心を回転中心として回転可能に保持する球体回転ガイド部材と、球体を球体の中心を回転中心として回す球体駆動手段とを備えたことを特徴とする管設置装置。
【請求項2】
球体駆動手段として、管の互いに平行に対向する一方の一対の壁面と平行でかつ管の互いに平行に対向する他方の一対の壁面と交差するように延長する第1の回転中心線を回転中心として球体を回す球体駆動手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の管設置装置。
【請求項3】
球体駆動手段として、回転掘削体の回転中心線と平行な第2の回転中心線を回転中心として球体を回す球体駆動手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の管設置装置。
【請求項4】
球体駆動手段として、管の中心線と平行な第3の回転中心線を回転中心として球体を回す球体駆動手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の管設置装置。
【請求項1】
断面四角形状の管を地中に形成された空洞部から地中に設置する場合に、先に地中に入れる管の先頭開口の前方に管の推進方向と直交する面と平行な回転中心線を回転中心として回転する回転掘削体を設置し、管を進行させるとともに回転掘削体で地中を掘削することにより、管を推進させて地中に設置する管設置装置において、
回転掘削体の支柱が固定された球体と、管の先頭開口側の内側に設置されて球体を球体の中心を回転中心として回転可能に保持する球体回転ガイド部材と、球体を球体の中心を回転中心として回す球体駆動手段とを備えたことを特徴とする管設置装置。
【請求項2】
球体駆動手段として、管の互いに平行に対向する一方の一対の壁面と平行でかつ管の互いに平行に対向する他方の一対の壁面と交差するように延長する第1の回転中心線を回転中心として球体を回す球体駆動手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の管設置装置。
【請求項3】
球体駆動手段として、回転掘削体の回転中心線と平行な第2の回転中心線を回転中心として球体を回す球体駆動手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の管設置装置。
【請求項4】
球体駆動手段として、管の中心線と平行な第3の回転中心線を回転中心として球体を回す球体駆動手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の管設置装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2013−100675(P2013−100675A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−244670(P2011−244670)
【出願日】平成23年11月8日(2011.11.8)
【出願人】(000001317)株式会社熊谷組 (551)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月8日(2011.11.8)
【出願人】(000001317)株式会社熊谷組 (551)
【Fターム(参考)】
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