説明

管部材、流体移送管及び流体移送ユニット

【課題】熱応力による不具合の発生を防止することができる管部材、流体移送管、及び流体移送ユニットを提供する。
【解決手段】中空糸膜モジュール2を支持するフレーム3に当接して取り付けられ、中空糸膜モジュール2に連結するヘッダー管4の一部を構成する熱可塑性樹脂からなるヘッダー管ユニット41a〜41eであって、互いに並設され、液体の流路を形成するパイプ42,43と、フレーム3と当接する当接部46とを備え、当接部46には、当該当接部46とフレーム3とを固定するためのボルトが挿通される貫通孔48が設けられており、貫通孔48は、パイプ42,43の軸方向に沿って延びる長孔である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管部材、流体移送管及びこれらを用いた流体移送ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、膜ユニットとして、処理槽の液中に浸漬される中空糸膜の上側から吸引して処理槽の処理液を固液分離する膜モジュールを有するものが知られている。例えば、特許文献1に記載の膜ユニットでは、複数の膜モジュールと、この複数の膜モジュールが接続され、膜モジュールから吸い出されたろ過液を集液するヘッダー管と、複数の膜モジュールを支持すると共にヘッダー管が固定されるフレーム(支持体)とを備えている。この膜ユニットでは、フレームの上側枠状部材の長辺に沿ってヘッダー管を構成する管部材が互いに離間して固定されており、膜モジュールの口金とヘッダー管との間に可撓性ホースが接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−28716号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述のような膜ユニットにおいては、更なるコンパクト化が求められている。その一つの方法として、従来のように管部材を離間して配置するヘッダー管に変えて、管を並設して一体化した管部材からなるヘッダー管を用いることが考えられている。このようなヘッダー管の固定方法に関して、従来のものでは、ヘッダー管を構成する管部材をU字状の固定部材にてフレームに固定しているが、管を並設して一体化した管部材からなるヘッダー管では、従来の固定方法ではフレームへの固定が不安定となる。そのため、フレームとヘッダー管とをボルト締結して強固に固定する必要がある。
【0005】
ここで、膜モジュールを支持するフレームは、変形を防止すると共に強度を確保するために、金属部材にて形成することが好ましく、また、ヘッダー管を構成する管部材は、成形加工の容易性から熱可塑性樹脂にて形成することが好ましい。このように、フレームとヘッダー管とが異種材料にて形成される場合、以下のような問題が生じる。すなわち、フレームとヘッダー管とでは、それぞれの材質が異なるため、温度の上昇に対応して長さが変化する線膨張率(熱膨張率・係数)が異なる。そのため、フレームとヘッダー管とがボルト締結にて固定された状態で処理水に浸漬された際、温度変化による線膨張率の違いにより熱応力が生じる。この熱応力は、管部材にクラックなどの不具合を発生させるといった問題があった。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、熱応力による不具合の発生を防止することができる管部材、流体移送管、及び流体移送ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係る管部材は、流体移送手段を支持する支持体に当接して取り付けられ、流体移送手段に連結する流体移送管の少なくとも一部を構成する熱可塑性樹脂からなる管部材であって、互いに並設され、流体の流路を形成する複数の管と、支持体と当接する当接部とを備え、当接部には、当該当接部と支持体とを固定するための固定手段が挿通される貫通孔が設けられており、貫通孔は、管の軸方向に沿って延びる長孔であることを特徴とする。
【0008】
この管部材では、当接部と支持体とを固定する固定手段が挿通される貫通孔が管の軸方向に延びる長孔となっている。これにより、熱可塑性樹脂からなる管部材が例えば金属部材などの異種材料からなる支持体に固定されて処理液中に浸漬されたときに線膨張(熱膨張)した場合であっても、管の軸方向に延びる長孔によって線膨張した分だけ管部材を軸方向にスライドさせることができる。そのため、熱応力を緩和させることができ、その結果、クラックなどの不具合を防止することができる。
【0009】
複数の管のそれぞれには、流路に連通すると共に流体移送手段に接続される管状の接続部が複数設けられており、接続部は、管の軸方向において等間隔に設けられていると共に、隣り合う管との間において等間隔に設けられていることが好ましい。このような構成によれば、接続部に接続される流体移送手段のピッチ間隔を等間隔に位置決めすることができる。また、流体移送手段が等間隔にて接続されるため、各流体移送手段のろ過圧力を均一にすることができ、ろ過膜のろ過性能を均一にすることができる。
【0010】
複数の管の外周面にリブ部が設けられていることが好ましい。このように、管の外周面に補強用のリブ部を設けることにより、管の内部圧力の変動による変形を防止することができる。
【0011】
複数の管の全ての流路に連通する連通部を更に備えることが好ましい。この連通部に吸水装置を接続し、吸水装置にて吸水を行うことによって、流体移送手段を介して処理槽内の処理水を吸い上げる構成とすることができる。
【0012】
連通部の先端側の開口部の周囲には、フランジ部が設けられており、フランジ部には、当該フランジ部を固定する固定手段が挿通される貫通孔が形成されており、貫通孔は、連通部の径方向に沿って延びる長孔であることが好ましい。フランジ部に対向配置されて固定される吸水装置の相フランジ部は、ISO規格以外の各国の工業規格によってサイズ(外径、ボルト中心径)がまちまちである。そのため、フランジ部同士を突き合わせた際、ボルトが挿通される貫通孔の位置が合わないといった問題が生じ、これを解決するために、中間部材などを間に配置するといった対策を取る必要があった。そこで、フランジ部の貫通孔を長孔にすることにより、様々な規格の相フランジの貫通孔に対応することが可能となる。
【0013】
複数の管には、連通部と連通する部分において、管同士を連通させる開口部がそれぞれ形成されており、各開口部は、管における連通部の内面に対応する位置から管の中心軸の高さ位置まで形成されており、複数の管は、開口部における管の中心軸の高さ位置において連結部材にて連結されていることが好ましい。このような構成によれば、管部材に接続される流体移送手段のろ過液を効率的に集液することができる。また、開口部を管部材の中心軸の高さ位置まで形成し、この高さ位置において管同士を連結部材にて連結しているため、連通部と連通する部分においてリブ構造となる。そのため、強度を確保することができる。
【0014】
また、本発明に係る流体移送管は、流体移送手段を支持する支持体に当接して取り付けられ、流体移送手段に連結する流体移送管であって、熱可塑性樹脂からなる第1管部材及び第2管部材が連結されて構成されており、第1管部材は、互いに並設され、流体の流路を形成する複数の管と、支持体と当接する当接部とを備え、第2管部材は、互いに並設され、流体の流路を形成する複数の管と、支持体と当接する当接部と、複数の管の全ての流路に連通する連通部とを備え、第1管部材及び第2管部材の当接部には、当該当接部と支持体とを固定するための固定手段が挿通される貫通孔が設けられており、貫通孔は、管の軸方向に沿って延びる長孔であることを特徴とする。
【0015】
この流体移送管では、第1及び第2の管部材において、当接部と支持体とを固定する固定手段が挿通される貫通孔が管の軸方向に延びる長孔となっている。これにより、熱可塑性樹脂からなる管部材が例えば金属部材などの異種材料からなる支持体に固定されて処理液中に浸漬されたときに線膨張(熱膨張)した場合であっても、管の軸方向に延びる長孔によって線膨張した分だけ管部材を軸方向にスライドさせることができる。そのため、熱応力を緩和させることができ、その結果、クラックなどの不具合を防止することができる。
【0016】
また、本発明に係る流体移送ユニットは、上述の流体移送管と、流体移送手段と、流体移送手段を支持する支持体とを備えることを特徴とする。この流体移送ユニットでは、上述の流体移送管の第1及び第2の管部材において、当接部と支持体とを固定する固定手段が挿通される貫通孔が管の軸方向に延びる長孔となっている。これにより、熱可塑性樹脂からなる管部材が例えば金属部材などの異種材料からなる支持体に固定されて処理液中に浸漬されたときに線膨張(熱膨張)した場合であっても、管の軸方向に延びる長孔によって線膨張した分だけ管部材を軸方向にスライドさせることができる。そのため、熱応力を緩和させることができ、その結果、クラックなどの不具合を防止することができる。
【0017】
なお、流体移送管は、流体を移送する配管であればよい。ここで流体とは、液体、気体又は気液混合されたものの総括名称である。また、流体移送手段は、上記流体を移送できるものであれば制限はなく、流体を移送する配管であってもよいが、膜モジュールが好ましく、中空糸膜モジュールであることが更に好ましい。また、流体移送ユニットは、上記流体移送管及び流体移送手段から構成されるものであれよく、移送される流体に制限はないが、流体移送手段が膜モジュール又は中空糸膜モジュールからなる膜ユニットであることが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、熱応力による不具合を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態に係るヘッダー管ユニットにより構成されたヘッダー管を備える膜ユニットの概要を示す図である。
【図2】第1ヘッダー管ユニットの上方斜視図である。
【図3】図2に示す第1ヘッダー管ユニットの下方斜視図である。
【図4】図2に示す第1ヘッダー管ユニットを下から見た図である。
【図5】図2に示す第1ヘッダー管ユニットを前から見た図である。
【図6】第2ヘッダー管ユニットの上方斜視図である。
【図7】図6に示す第2ヘッダー管ユニットの下方斜視図である。
【図8】図6に示す第2ヘッダー管ユニットを上から見た図である。
【図9】図6に示す第2ヘッダー管ユニットの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0021】
図1は、本発明の一実施形態に係るヘッダー管ユニットにより構成されたヘッダー管を備える膜ユニットの概要を示す図である。図1に示す膜ユニット(流体移送ユニット)1は、処理槽内の処理水中に浸漬して処理水の汚泥等の懸濁物質を除去する機能を有しており、処理水の浄化を行う複数の中空糸膜モジュール2と、中空糸中空糸膜モジュール2を支持するフレーム(支持体)3と、フレーム3に当接して固定され、中空糸膜モジュール(流体移送手段)2の上方に設けられて中空糸膜モジュール2の濾過水を吸い出すヘッダー管(流体移送管)4とを備えている。膜ユニット1には、図示しないが、中空糸膜モジュール2の下方に設けられて中空糸膜モジュール2を支持するアンダーサポートや、中空糸膜モジュール2に散気する散気管などがフレーム3に組み付けられている。
【0022】
フレーム3は、金属部材によって形成されており、長方形状をなす中空の上側枠状部材31と、上側枠状部材31の下側に配置されて当該上側枠状部材31と同形状の中空の下側枠状部材32と、上側枠状部材31及び下側枠状部材32同士を連結する四本の中空の柱部材33から構成されている。長方形枠状の上側枠状部材31及び下側枠状部材32は、各辺が断面矩形状に構成されていると共に、各辺の内部空間が互いに連通されている。上側枠状部材31と下側枠状部材32とは、上方から見て四辺が互いに重なり合うように対向配置されており、柱部材33は、上側枠状部材31の四隅と下側枠状部材32の四隅とをそれぞれ連結している。
【0023】
上側枠状部材31の内部空間と下側枠状部材32の内部空間とは、柱部材33の内部空間を介して互いに連通されている。また、上側枠状部材31の一方の短辺における外周面には、当該上側枠状部材31の内部空間に連通されたパイプ状の継手部34が形成されている。この継手部34には図示されない気体供給装置が接続されており、供給された気体は、上側枠状部材31の内部空間、柱部材33の内部空間、及び下側枠状部材32の内部空間全体へ広がる。なお、フレーム3を構成する各部材には、処理水が海水である場合にも対応するべく、接液する金属部材の表面または内外表面には、耐海水、耐アルカリ性、耐酸性のあるFRP(繊維強化プラスチック)等の樹脂コーティングや、塗料による塗装、若しくはスーパーステンレスを用いることが好ましい。
【0024】
フレーム3の上側枠状部材31の上面には、ヘッダー管4が当接して取り付けられている。このヘッダー管4は、上側枠状部材31の長辺の長さと略同一の長さを有しており、また、合計の幅が上側枠状部材31の短辺の長さと略同一とされている。ヘッダー管4は、5個の第1ヘッダー管ユニット(第1管部材)41a,41b,41c,41d,41eと、1個の第2ヘッダー管ユニット(第2管部材)41fとにより構成されている。第1及び第2のヘッダー管ユニット41a〜41fは、樹脂成形によって成形されている。樹脂材料としては、例えば、ABSや硬質塩化ビニールや変形ポリフェニレンエーテル樹脂やポリカーボネート樹脂などの熱可塑性樹脂が用いられる。
【0025】
ヘッダー管4を構成する第1及び第2ヘッダー管ユニット41fについて、図2〜図9を参照しながら説明する。最初に、第1ヘッダー管ユニット41a〜41eについて説明する。図2は、第1ヘッダー管ユニットの上方斜視図であり、図3は、図2に示す第1ヘッダー管ユニットの下方斜視図である。図4は、図2に示す第1ヘッダー管ユニットを下から見た図であり、図5は、図2に示す第1ヘッダー管ユニットを前から見た図である。なお、第1ヘッダー管ユニット41a〜41eは、全て同様の構成を有しており、以下の説明では、第1ヘッダー管ユニット41aについて具体的に説明する。
【0026】
図2〜図5に示すように、第1ヘッダー管ユニット41aは、2本のパイプ42,43と、この2本のパイプ42,43を連結する連結部45と、フレーム3に当接する当接部46とを有している。パイプ(管)42とパイプ43とは、略平行に並べて設けられている。パイプ42及びパイプ43は、中空糸膜モジュール2から吸い出されたろ過水の流路F1,F2をそれぞれ独立して形成している。パイプ42,43の一方の端部(図2の右側)の開口部の直径は、パイプ42,43の他方の端部(図2の左側)の開口部の直径よりも大きくなっている。このような構成により、ヘッダー管4では、例えば第1ヘッダー管ユニット41bのパイプ42,43の一方の端部に第1ヘッダー管ユニット41aのパイプ42,43の他方の端部が挿入され、第1ヘッダー管ユニット41a,41b同士が連結されている。
【0027】
連結部45は、パイプ42とパイプ43とを互いに平行に並設させている。連結部45は、板状の部材であり、上側連結部45aと、下側連結部45bとを有している。上側連結部45a及び下側連結部45bは、パイプ42,43の軸方向(長手方向)の両端部側において、パイプ42とパイプ43とを連結している。パイプ42,43の一端側(開口部の直径が大きい側)において、上側連結部45aと下側連結部45bとは、パイプ42,43の外周面の一部に沿って形成されている。また、パイプ42,43の他端側(開口部の直径が小さい側)において、上側連結部45a及び下側連結部45bは、連続して形成されており、パイプ42,43の外周面の全周に沿って形成されている。一対の上側連結部45aの間には、補強のためのリブ部47がパイプ42の外周面とパイプ43に外周面とにわたって複数(ここでは4つ)設けられている。
【0028】
当接部46は、パイプ42,43の並設方向の外側に向かってそれぞれ張り出している。当接部46の端面は、下側連結部45bの端面と面一となっている。当接部46における上側枠状部材31との当接面(下面)は、平坦面となっている。当接部46は、上側枠状部材31の対向する一対の長辺の上面に載置されて固定される。各当接部46には、複数(ここでは2つ)の貫通孔48が形成されている。貫通孔48は、第1ヘッダー管ユニット41aとフレーム3とを固定するためのボルト(固定手段)が挿通される孔である。図4に示すように、貫通孔48は、当接部46の厚み方向に貫通しており、パイプ42,43の軸方向に沿って所定の間隔をあけて設けられている。この貫通孔48は、パイプ42,43の軸方向に延びる長孔となっている。貫通孔48の長さは、例えば10〜20mm程度、貫通孔48の幅は、例えば8〜12mm程度となっている。当接部46と下側連結部45bとは、パイプ42,43の台座を構成している。
【0029】
パイプ42,43の外周面と当接部46の上面との間には、補強のためのリブ部49が設けられている。リブ部49は、パイプ42,43の外周面と当接部46の上面との間に所定の間隔をあけて複数(ここでは3つ)形成されている。リブ部49の端面は、当接部46の端面と面一となっている。
【0030】
パイプ42,43には、接続部50が設けられている。接続部50は、中空状の管であり、当接部46よりも下方に突出している。接続部50は、パイプ42,43の流路F1,F2と連通している。図4に示すように、接続部50は、各パイプ42,43に複数(ここでは2つ)設けられており、パイプ42,43の軸方向に沿って所定の間隔d1をあけて配置されている。また、接続部50は、並設されたパイプ42とパイプ43とにおいて、パイプ42,43の並設方向に沿って所定の間隔d2をあけて配置されている。これらの間隔d1、d2は、等間隔(d1=d2)となっており、中空糸膜モジュール2の設置間隔に合わせて設定されている。接続部50には、図1に示す伸縮継手51が接続され、中空糸膜モジュール2が接続される。
【0031】
ここで、フレーム3に組み込まれる中空糸膜モジュール2同士の設置間隔は、複数中空糸膜の処理水内での揺れを考慮して当該中空糸膜モジュール2の外径の1.2倍以上且つ2倍以下程度に設定することが好ましい。例えば、中空糸膜モジュール2同士のピッチは150mm以上且つ300mm以下程度が好ましい。中空糸膜モジュール2同士が近すぎる場合、隣接する中空糸膜2a同士がぶつかり合い、中空糸膜2aの擦化が進行する可能性がある。また、中空糸膜2aの揺れの幅が抑制され、汚泥の付着抑制効果が損なわれる可能性もあるため、中空糸膜モジュール2同士の設置間隔は該中空糸膜モジュール2の外径の1.2倍以上、好ましくは1.5倍以上程度に設定することが好ましい。中空糸膜モジュール2が接続される接続部50は、このような中空糸膜モジュール2の設置間隔に合わせて設定されている。
【0032】
次に、第2ヘッダー管ユニット41fについて説明する。図6は、第2ヘッダー管ユニットの上方斜視図であり、図7は、図6に示す第2ヘッダー管ユニットの下方斜視図である。図8は、図6に示す第2ヘッダー管ユニットを上から見た図であり、図9は、図6に示す第2ヘッダー管ユニットの線断面図である。
【0033】
図6〜図9に示すように、第2ヘッダー管ユニット41fは、2本のパイプ52,53と、この2本のパイプ52,53を連結する連結部55と、フレーム3に当接する当接部56とを有している。パイプ52とパイプ53とは、略平行に並べて設けられている。パイプ52及びパイプ53は、中空糸膜モジュール2から吸い出されたろ過水の流路F1,F2を形成している。パイプ52,53の一方の端部(図6の右側)の開口部の直径は、パイプ52,53の他方の端部(図6の左側)の開口部の直径よりも大きくなっている。
【0034】
連結部55は、パイプ52とパイプ53とを互いに平行に並設させている。連結部55は、板状の部材であり、上側連結部55aと、下側連結部55bとを有している。上側連結部55a及び下側連結部55bは、パイプ52,53の軸方向(長手方向)の両端部側において、パイプ52とパイプ53とを連結している。パイプ52,53の一端側(開口部の直径が大きい側)において、上側連結部55aと下側連結部55bとは、パイプ52,53の外周面の一部に沿って形成されている。また、パイプ52,53の他端側(開口部の直径が小さい側)において、上側連結部55a及び下側連結部55bは、連続して形成されており、パイプ52,53の外周面の全周に沿って形成されている。
【0035】
当接部56は、パイプ52,53の並設方向の外側に向かってそれぞれ張り出している。当接部56の端面は、下側連結部55bの端面と面一となっている。当接部56における上側枠状部材31との当接面(下面)は、平坦面となっている。当接部56は、上側枠状部材31の対向する一対の長辺の上面に載置されて固定される。各当接部56には、複数(ここでは2つ)の貫通孔58が形成されている。貫通孔58は、第2ヘッダー管ユニット41fとフレーム3とを固定するためのボルトが挿通される孔である。図6及び図7に示すように、貫通孔58は、当接部56の厚み方向に貫通しており、パイプ52,53の軸方向に沿って所定の間隔をあけて設けられている。この貫通孔58は、パイプ52,53の軸方向に延びる長孔となっている。貫通孔58の長さは、例えば10〜20mm程度、貫通孔58の幅は、例えば8〜12mm程度となっている。当接部56と下側連結部55bとは、パイプ52,53の台座を構成している。
【0036】
パイプ52,53の外周面と当接部56の上面との間には、補強のためのリブ部59が設けられている。リブ部59は、パイプ52,53の外周面と当接部56の上面との間に所定の間隔をあけて複数(ここでは3つ)形成されている。リブ部59の端面は、当接部56の端面と面一となっている。
【0037】
パイプ52,53には、接続部60が設けられている。接続部60は、中空状の管であり、当接部56よりも下方に突出している。接続部60は、パイプ52,53の流路F1,F2と連通している。接続部60は、各パイプ52,53に複数(ここでは2つ)設けられており、パイプ52,53の軸方向に沿って所定の間隔をあけて配置されている。また、接続部60は、並設されたパイプ52とパイプ53とにおいて、パイプ52,53の並設方向に沿って所定の間隔をあけて配置されている。これらの間隔は、等間隔となっており、上述した中空糸膜モジュール2の設置間隔に合わせて設定されている。接続部60には、図1に示す伸縮継手51が接続され、中空糸膜モジュール2が接続される。
【0038】
パイプ52及びパイプ53には、吸水継手(連通部)62が接続されている。吸水継手62は、パイプ52及びパイプ53の両方に連通しており、パイプ52,53から上方に向かって延びるように設けられている。吸水継手62は、本体部63と、本体部63の上端部(先端側)の周囲に設けられたフランジ部64とを有している。本体部63は、円筒形状をなしており、フランジ部64は、本体部63の上端部から本体部63の径方向(放射方向)に突出し、円環状をなしている。
【0039】
図9に示すように、吸水継手62は、パイプ52,53から上方に突出するように形成された円筒形状の突出部65に本体部63が挿入されて接着固定されている。吸水継手62は、突出部65と共に構成されている。パイプ52,53のそれぞれには、吸水継手62が接続される部分(突出部65の内面65a側)に開口部K1,K2が形成されている。開口部K1,K2は、並設されたそれぞれのパイプ52,53において、流路F1(パイプ52)と流路F2(パイプ53)とが連通するように形成されている。開口部K1,K2は、パイプ52,53の横断面視において、パイプ52,53の円周の1/4が開口するように形成されている。
【0040】
具体的には、開口部K1は、パイプ52の上部(突出部65の内面65aに対応する位置)から中心軸の高さ位置まで形成されている。また、開口部K2は、パイプ53の上部から中心軸の高さ位置まで形成されている。パイプ52とパイプ53との間には、パイプ52とパイプ53との開口部K1,K2に連設された連結部材Jが設けられており、この連結部材Jは、パイプ52,53の中心軸の高さと同じ高さ位置に形成されている。このような構成により、リブ構造となっている。
【0041】
本体部63の外周面とフランジ部64の下面との間には、本体部63の周方向に所定の間隔をあけて複数のリブ部66が設けられている。フランジ部64には、図示しない吸水装置の相フランジとボルト締結するための貫通孔67が設けられている。貫通孔67は、フランジ部64の厚み方向に貫通しており、フランジ部64の周方向に沿って所定の間隔をあけて複数(ここでは8つ)形成されている。貫通孔67は、本体部63の径方向に沿って延びる長孔となっている。貫通孔67の長孔の長さは、例えば15〜30mm程度、貫通孔67の長孔の幅は、例えば18〜20mm程度となっている。なお、貫通孔67の数は、フランジ部64の径や加わる圧力により設定されている。
【0042】
本体部63の貫通孔67に対応する位置には、本体部63の軸方向(長さ方向)に沿って凹部68が設けられている。凹部68は、断面半円形状をなしている。この凹部68は、吸水継手62が吸水装置に接続される際、ボルトとナットとの間に挿通されるワッシャーの一部が位置する部分である。これにより、ワッシャーが本体部63の外周面に干渉するといった不具合を防止することができる。吸水継手62には、図示しない吸水装置が接続され、当該吸水装置で吸水を行うことによって、ヘッダー管4は伸縮継手51及び中空糸膜モジュール2を介して処理槽内の処理水を吸い上げることができる。
【0043】
ヘッダー管4は、5個の第1ヘッダー管ユニット41a〜41eを連結すると共に、1個の第2ヘッダー管ユニット41fを第1のヘッダー管4の一端部に連結して構成される。ヘッダー管4の一端部に該当する第2ヘッダー管ユニット41fのパイプ52,53の一端部には、封止用キャップ69が取り付けられている。ヘッダー管4の他端部に該当する第1ヘッダー管ユニット41eのパイプ42,43の他端部には、封止用キャップ70が取り付けられている。
【0044】
ヘッダー管4をフレーム3に取り付ける際には、ヘッダー管4をフレームの上側枠状部材31の上面に載置し、第1ヘッダー管ユニット41a〜41e及び第2ヘッダー管ユニット41fの当接部46,56と上側枠状部材31の上面を当接させた状態で、第1ヘッダー管ユニット41a〜41e及び第2ヘッダー管ユニット41fの当接部46,56の貫通孔48,58と上側枠状部材31の貫通孔(図示しない)とにボルトを挿通して締結する。
【0045】
ここで、フレーム3は、変形の抑制や強度の確保といった観点などから金属部材にて形成されていることが一般的であり、ヘッダー管4を構成する第1及び第2ヘッダー管ユニット41a〜41fは、加工の容易性などから熱可塑性樹脂にて形成されている。このように、フレーム3と第1及び第2ヘッダー管ユニット41a〜41fは、異種材料にて構成されているため熱膨張率(線膨張率・係数)が異なり、熱可塑性樹脂からなる第1及び第2ヘッダー管ユニット41a〜41fは、フレーム3よりも熱膨張率が高い。そのため、フレーム3にヘッダー管4がボルト締結された膜ユニット1が処理水中に浸漬されたときに、フレーム3よりも第1及び第2ヘッダー管ユニット41fが線膨張し、第1及び第2ヘッダー管ユニット41a〜41fに熱応力が加わる。このとき、フレーム3に第1及び第2ヘッダー管ユニット41fが固定されているため、熱応力によってクラックなどの不具合が生じるといった問題がある。
【0046】
そこで、本実施形態に係る第1及び第2ヘッダー管ユニット41a〜41fでは、ボルトが挿通される貫通孔48,58をパイプ42,43,52,53の軸方向に沿って延びる長孔としている。これにより、熱膨張(線膨張)によって第1及び第2ヘッダー管ユニット41fに熱応力が生じた場合であっても、パイプ42,43,52,53の軸方向に延びる長孔によって第1及び第2ヘッダー管ユニット41a〜41fを軸方向にスライドさせることができるため、熱応力を緩和することができる。その結果、クラックなどの不具合を防止することができる。
【0047】
また、接続部50,60は、等間隔に設けられている。これにより、接続部50,60に伸縮継手51を介して接続される中空糸膜モジュール2のピッチ間隔を等間隔に位置決めすることができる。また、中空糸膜モジュール2が等間隔にて接続されるため、各中空糸膜モジュール2のろ過圧力を均一にすることができ、中空糸膜2aのろ過性能を均一にすることができる。
【0048】
また、第2ヘッダー管ユニット41fにおいて、吸水継手62のフランジ部64に形成された貫通孔67は、吸水継手62の本体部63の径方向に延在する長孔となっている。フランジ部64に対向配置されて固定される吸水装置の相フランジ部は、ISO規格以外の各国の工業規格によってサイズ(外径)がまちまちである。そのため、フランジ部同士を突き合わせた際、ボルトが挿通される貫通孔の位置が合わないといった問題が生じ、これを解決するために、中間部材などを間に配置するといった対策を取る必要があった。そこで、フランジ部64の貫通孔67を長孔にすることにより、様々な規格の相フランジの貫通孔に対応することが可能となる。
【0049】
また、第1及び第2ヘッダー管ユニット41a〜41fのパイプ42,43,52,53の外周面にリブ部47,49,59が設けられているので、パイプ42,43,52,53の内部圧力の変動による変形を防止することができる。
【0050】
また、パイプ52,53において、吸水継手62が接続される部分には開口部K1,K2が設けられており、この開口部K1,K2は、パイプ52の上部から中心軸の高さ位置まで形成されている。そして、パイプ52,53は、開口部K1,K2が形成された中心軸の高さ位置において連結部材Jにて連結されている。このような構成により、吸水継手62と連通する部分においてリブ構造となる。そのため、例えば逆洗の際に加圧され場合であってもその加圧に耐え得る強度を確保することができる。
【0051】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態では、本発明の管部材をヘッダー管4を構成する第1及び第2ヘッダー管ユニット41a〜41bに適用しているが、管部材は他の構成に適用されてもよい。
【0052】
また、第2ヘッダー管ユニット41fの配置数は、1個に限定されない。例えば、第2ヘッダー管ユニット41fは、ヘッダー管4の両端部側に配置されてもよい。また、第2ヘッダー管ユニット41fの配置位置も上記実施形態に限定されず、例えばヘッダー管4の中央位置に配置されてもよい。
【0053】
また、上記実施形態では、第2ヘッダー管ユニット41fにおいて、吸水継手62がパイプ52,53から上方(パイプ52,53の軸方向に直交する方向)に突出する構成としているが、吸水継手62は、他の位置に設けられてもよい。例えば、吸水継手62は、パイプ52,53の軸方向に沿って突出するように設けられてもよい。要は、パイプ52,53の両方と連通する構成であればよい。
【0054】
また、上記実施形態では、流体移送手段として中空糸膜モジュール2、流体移送管としてヘッダー管4を用い、流体移送ユニットを膜ユニット1として構成しているが、流体移送ユニットは膜ユニット1だけに限定されない。
【符号の説明】
【0055】
1…膜ユニット(流体移送ユニット)、2…中空糸膜モジュール(流体移送手段)、3…フレーム(支持体)、4…ヘッダー管(流体移送管)、41a〜41e…第1ヘッダー管ユニット(第1管部材)、41f…第2ヘッダー管ユニット(第2管部材)、42,43,52,53…パイプ(管)46,56…当接部、48,58…貫通孔、47,49,59…リブ部、62…吸水継手(連通部)、64…フランジ部、K1,K2…開口部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体移送手段を支持する支持体に当接して取り付けられ、前記流体移送手段に連結する流体移送管の少なくとも一部を構成する熱可塑性樹脂からなる管部材であって、
互いに並設され、流体の流路を形成する複数の管と、
前記支持体と当接する当接部とを備え、
前記当接部には、当該当接部と前記支持体とを固定するための固定手段が挿通される貫通孔が設けられており、
前記貫通孔は、前記管の軸方向に沿って延びる長孔であることを特徴とする管部材。
【請求項2】
前記複数の管のそれぞれには、前記流路に連通すると共に前記流体移送手段に接続される管状の接続部が複数設けられており、
前記接続部は、前記管の軸方向において等間隔に設けられていると共に、隣り合う管との間において等間隔に設けられていることを特徴とする請求項1記載の管部材。
【請求項3】
前記複数の管の外周面にリブ部が設けられていることを特徴とする請求項1又は2記載の管部材。
【請求項4】
前記複数の管の全ての流路に連通する連通部を更に備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項記載の管部材。
【請求項5】
前記連通部の先端側の開口部の周囲には、フランジ部が設けられており、
前記フランジ部には、当該フランジ部を固定する固定手段が挿通される貫通孔が形成されており、
前記貫通孔は、前記連通部の径方向に沿って延びる長孔であることを特徴とする請求項4記載の管部材。
【請求項6】
前記複数の管には、前記連通部と連通する部分において、前記管同士を連通させる開口部がそれぞれ形成されており、
前記各開口部は、前記管における前記連通部の内面に対応する位置から前記管の中心軸の高さ位置まで形成されており、
前記複数の管は、前記開口部における前記管の中心軸の高さ位置において連結部材にて連結されていることを特徴とする請求項4又は5記載の管部材。
【請求項7】
前記流体移送手段が膜モジュールであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項記載の管部材。
【請求項8】
流体移送手段を支持する支持体に当接して取り付けられ、前記流体移送手段に連結する流体移送管であって、
熱可塑性樹脂からなる第1管部材及び第2管部材が連結されて構成されており、
前記第1管部材は、互いに並設され、流体の流路を形成する複数の管と、前記支持体と当接する当接部とを備え、
前記第2管部材は、互いに並設され、流体の流路を形成する複数の管と、前記支持体と当接する当接部と、前記複数の管の全ての流路に連通する連通部とを備え、
前記第1管部材及び前記第2管部材の前記当接部には、当該当接部と前記支持体とを固定するための固定手段が挿通される貫通孔が設けられており、
前記貫通孔は、前記管の軸方向に沿って延びる長孔であることを特徴とする流体移送管。
【請求項9】
前記流体移送手段が膜モジュールであることを特徴とする請求項8記載の流体移送管。
【請求項10】
請求項8又は9に記載の流体移送管と、
流体移送手段と、
前記流体移送手段を支持する支持体とを備えることを特徴とする流体移送ユニット。
【請求項11】
前記流体移送手段が膜モジュールであることを特徴とする請求項10記載の流体移送ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−145182(P2012−145182A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−4933(P2011−4933)
【出願日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【出願人】(303046314)旭化成ケミカルズ株式会社 (2,513)
【Fターム(参考)】