説明

箱体及び箱材

【課題】組立作業を容易かつ迅速に行うことができる箱体及び箱材を提供する。
【解決手段】本発明の一形態にかかる箱材1aは、第1方向に連続する第1乃至第8側片11〜18と、複数の前記側片11〜18のうちいずれか一対の側片13,17の第2方向一方側に連続した一対の第1蓋片21及び第2蓋片22と、複数の前記側片11〜18のうちいずれか一対の側片11,15の第2方向他方側に連続した一対の第1底片31及び第2底片32と、前記第1、第2底片31,32が連続する一対の側片11,15とは異なる他の一対の側片13,17の第2方向他方側に連続した一対の第3底片33及び第4底片34と、を備え、前記一対の蓋片21,22は互いに係合する蓋係合部21a,21b,22a,22bを備え、前記一対の第1底片31及び第2底片32と、前記一対の第3底片33及び第4底片34とは、互いに係合する底係合部31f,32f,33c,34cを備える、ことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、箱体及び箱材に関する。
【背景技術】
【0002】
包装容器等として用いられる箱体において、底部と蓋部と胴部を一体に形成して平面状に折り畳んだ箱材をユーザが組み立てて立体状の箱体に構成するものが知られている(例えば、特許文献1記載)。このような一体型の箱体を構成する箱材として、例えば図15に示すように、展開状態で横方向に連続した8つの側片からなる側壁部110と、いずれかの側片の上方に連続して設けられ側壁部の上部開口に対応する蓋片111と、いずれかの側片の下方に連続して設けられ側壁部の下部開口に対応する底片112と、を備えた所定形状を成す箱材100が知られている。この箱材は、蓋片111と底片112のいずれも開口に対応する八角形状を成し、その左右及び先端側の3方向に、側壁部110に係合させるための差込突起111a,111b、111c,112a,112b,112cをそれぞれ有している。このような展開状態の箱材100を、側壁部110を2重になるように折畳み、両端の側片同士を連続するように胴張りすることにより、図16に示すような折畳み状態の箱材100が構成される。例えばユーザが折畳み状態の箱材の各側片境界部分を折り曲げて八角形の筒形状に組み立てた後、底片112を下方の八角形状の開口に折り込み、底片112の3方向にそれぞれ設けられた差込部112a,112b,112cを側片の裏側(内側)に挿入してロックし、蓋片111を上方の八角形状の開口に折り込み、3方向にそれぞれ設けられた差込部111a,111b,111cを側片の裏側に挿入してロックすることで、箱体が立体状に組み立てられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−315012号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら上述の技術では以下の問題がある。すなわち、上記構成の箱体及び箱材は、底片及び蓋片はいずれも開口と対応する形状を成し、その周りに側片と係合するための差込部を3方向に有し、これらの差込部を係合させる構成であるため、組み立て時に複数の差込部のロックに手間及び時間がかかるという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、組立作業を容易かつ迅速に行うことができる箱体及び箱材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一形態に係る箱材は、第1方向に連続する第1乃至第8側片と、複数の前記側片のうちいずれか一対の側片の第2方向一方側に連続した一対の第1蓋片及び第2蓋片と、複数の前記側片のうちいずれか一対の側片の第2方向他方側に連続した一対の第1底片及び第2底片と、前記第1、第2底片が連続する一対の側片とは異なる他の一対の側片の第2方向他方側に連続した一対の第3底片及び第4底片と、を備え、前記一対の蓋片は互いに係合する蓋係合部を備え、前記一対の第1底片及び第2底片と、前記一対の第3底片及び第4底片とは、互いに係合する底係合部を備える、ことを特徴とする。
【0007】
本発明の他の一形態に係る箱材は、一対の第1底片及び前記第2底片は、それぞれ、先端に向かって突出する突出部を有し、一対の第3底片及び前記第4底片は、それぞれ、先端側に向かって開口する溝部を有し、組み立て状態において、前記第1乃至第8側片により8角形の側壁部が構成され、側壁部の第2方向他方側に開口が形成され、一対の前記第3、第4底片が前記開口に折り込まれた後、一対の前記第1、第2底片が前記開口に折り込まれ、前記突出部が前記溝部に挿入されることにより、第1乃至第4底片が係合することを特徴とする。
【0008】
本発明の他の一形態に係る箱材は、前記第3、第4底片のうち一方は、先端部分の中央に先端側に突出する突部を有し、前記第3、第4底片のうち他方は、先端部分の中央に、基端側に退避する受部を有し、一対の前記第1、第2底片が前記開口に折り込まれる際に、前記突部が前記受部の裏側に差し込まれることにより、第3及び第4底片が互いに係合することを特徴とする。
【0009】
本発明の一形態に係る箱材は、一対の蓋片の前記蓋係合部は、それぞれ、先端方向に突出する係合突部と、前記係合突部よりも基端側に退避した係合受部と、前記係合突部及び前記係合受部の間に形成された段差部と、を有して構成され、組み立て状態において、前記第1乃至第8側片により8角形の側壁部が構成され、側壁部の第2方向一方側に開口が形成され、一対の前記蓋片が、側壁部の第2方向一方側に形成される開口に折り込まれ、一方の前記蓋片の係合受部の表側に他方の前記蓋片の係合突部が重なり、他方の前記蓋片の前記係合受部の表側に一方の前記蓋片の前記係合突部が重なり、一対の段差部が互いに交差して突き当てられることにより、前記一対の蓋片が互いに係合する、ことを特徴とする。
【0010】
本発明の他の一形態に係る箱材は、第1蓋片及び第2蓋片が連続する一対の側片の間に位置する側片の第2方向一方側に連続し、組み立て状態において前記一対の第1蓋片及び第2蓋片の外側を覆う第3蓋片をさらに備え、前記第3蓋片は、その先端に、組み立て状態において前記一対の第1蓋片及び第2蓋片と前記一対の側片との間に形成される隙間に差込可能な差込片を有することを特徴とする。
【0011】
本発明の他の一形態に係る箱材は、第1蓋片及び第2蓋片が連続する一対の側片の間に位置する側片の第2方向一方側に連続する一対の起立蓋片をさらに備え、前記第1及び第2蓋片は、組み立て状態において互いに突き当てられる突き当て部と、該突き当て部から起立可能に構成された第1起立部と、を有し、前記起立蓋片は前記一対の前記第1起立部の両端を挿入可能に構成されたスリットを有することを特徴とする。
【0012】
本発明の一形態に係る折畳み状態の箱材は、前記箱材の、前記第1乃至第8側片がいずれか2箇所で折り返されて2重に折畳まれ、展開状態における両端の側片同士が連結され、前記折畳み状態における側片両端よりも内側に、複数の前記蓋片及び底片が配置されることを特徴とする。
【0013】
本発明の一形態に係る箱体は、前記箱材が組み立てられ、第1乃至第8側片を有して構成され、その第2方向一方側及び他方側に第1開口及び第2開口を有する八角形の筒型の側壁部と、前記第1蓋片及び第2蓋片を有し、前記第1開口を塞ぐ蓋部と、前記第1乃至第4底片を有し、前記第2開口を塞ぐ底部と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る箱体及び箱材によれば、組立作業を容易かつ迅速に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1実施形態に係る箱体の組み立て状態を示す斜視図。
【図2】同実施形態にかかる箱体の組み立て状態における底面図。
【図3】同実施形態にかかる箱材の展開状態を示す説明図。
【図4】同実施形態にかかる箱材の折畳み状態を示す説明図。
【図5】本発明の第2実施形態に係る箱材の展開状態を示す説明図。
【図6】同実施形態にかかる箱材の折畳み状態を示す説明図。
【図7】同実施形態にかかる箱体の組み立て状態における底面図。
【図8】本発明の第3実施形態に係る箱体の組み立て状態を示す斜視図。
【図9】同実施形態にかかる箱材の展開状態を示す説明図。
【図10】同実施形態にかかる箱材の折畳み状態を示す説明図。
【図11】本発明の第4実施形態に係る箱体の組み立て状態を示す斜視図。
【図12】同実施形態にかかる箱体の組み立て状態における底面図。
【図13】同実施形態にかかる箱材の展開状態を示す説明図。
【図14】同実施形態にかかる箱材の折畳み状態を示す説明図。
【図15】箱材の一例について展開状態を示す説明図。
【図16】箱材の一例について折畳み状態を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態にかかる箱体1及び箱材1aについて、図1乃至図4を参照して説明する。なお、各図において説明のため、適宜、構成を拡大、縮小または省略して概略的に示している。図中矢印X,Y及びZ(第2方向)はそれぞれ互いに直交する3方向を示す。
【0017】
図1は、本実施形態に係る箱体1の組立状態を示す斜視図である。図2は組立状態の箱体1の底面図である。図1及び図2に示すように、X軸は箱体1の幅(左右)方向、Y軸は箱体1の前後方向、Z軸は高さ方向に、それぞれ沿っている。箱体1は周方向に連続して八角形筒状を成す側壁部10と、側壁部10の上部開口を塞ぐ蓋部20と、側壁部10の下部開口を塞ぐ底部30と、を備えて構成されている。
【0018】
蓋部20は、複数の蓋片として、組み立て状態で右側に位置する第1蓋片21、組み立て状態で左側に位置する第2蓋片22、組み立て状態でこれら片21,22の外側の中央部分に位置する第3蓋片23、を備えて構成される。
【0019】
底部30は、複数の底片として、組み立て状態で前方に位置する第1底片31、組み立て状態で後方に位置する第2底片32、組み立て状態で右側に位置する第3底片33、組み立て状態で左側に位置する第4底片34、を備えて構成される。
【0020】
図3は、箱体1に組み立てられる前の展開状態の箱材1aを示す平面図である。箱材1aは例えばボール紙や厚紙等からなり、各片や各部の境界部分には、ユーザが折り曲げる動作を容易にするための折曲罫線が形成されている。図3は組み立て状態で外側となる表面を上向きとした平面図である。展開図において、破線は山折りの折曲罫線を示し、細線は谷折りの折曲罫線を示す。また組み立て状態を示す図においては最も外側の部材を実線で示し、その内側(裏側)に隠れる部分を破線で示し、さらに内側に隠れる部分を一点鎖線で示している。
【0021】
展開状態において側壁部の図中上方に蓋部20が配置され、側壁部10の図中下方に底部30が配置される。
【0022】
展開状態の箱材1aにおいて、側壁部は8つの側片としての、第1側片11〜第8側片18、を図中W軸に沿う幅方向(第1方向)に連続して有している。図中左端の第8側片18の隣には、重合側片19がさらに連続して形成されている。図1及び図2に示す組み立て状態において、第1側片11が前面、第5側片15が後面、第3側片が右面、第7側片17が左面、をそれぞれ構成し、これらの間の側片12,14,16,18は斜めに傾斜して配置される。
【0023】
8つの側片11〜18はいずれも所定の高さを有する長方形を成し、組み立て状態で対向する片同士が互いに同形状に形成されている。組み立て状態で斜めになる側片12,14,16,18の上辺12a,14a,16a,18aは、折曲罫線となる側片11、13,15,17の上辺11a、13a,15a,17aよりも僅かに下方に位置している。また、組み立て状態で斜めになる側片12,14,16,18の下辺12b、14b、16b、18bは、折曲罫線となる片11、13,15,17の下辺11b,13b,15b,17bよりも僅かに下方に突出している。
【0024】
第1側片11の上方には、図3中上方に突出し、組み立て状態で23cに挿入される差込部11dが形成されている。差込部11dの基端部分11cは両側部に切り込みを有し、下方に谷折りの折曲罫線が形成されている。
【0025】
蓋部20は、展開状態において、側壁部10の第3側片13上に連結された第1蓋片21と、第7側片17上に連結された第2蓋片22と、第5側片15上に連結された第3蓋片23と、を備えて構成されている。
【0026】
図1及び図2に示す組み立て状態では、側壁部10の上部開口のうち、右側の部分は第1蓋片21に、左側部分は第2蓋片22に覆われ、さらに互いに係合する片21,22の表面中央部分が第3蓋片23に覆われる。
【0027】
第1蓋片21は、組み立て状態において、側片13の上辺13aに連なり、側片12の上辺12a及び側片14の上辺14aとそれぞれ合わさる斜辺21eを有する所定形状を成している。第1蓋片21の先端部分は、先端側に突出する係合突部21a、基端側に退避する係合受部21bを有し、これら係合突部21a及び係合受部21bの間に段差部21cが形成されている。また、組立状態で前側に位置する部位には、後述する差込片23bや差込部11dの挿入を可能とするために切りかかれた切欠き部21dが形成されている。
【0028】
第2蓋片22は、組み立て状態において、側片17の上辺17aに連なり、側片16の上辺16a及び側片18の上辺18aとそれぞれ合わさる斜辺22eを有する所定形状を成している。第2蓋片22の先端部分は、先端側に突出する係合突部22a、基端側に退避する係合受部22bを有し、これら係合突部22a及び係合受部22bの間に段差部22cが形成されている。組み立て状態で前側に位置する部位には、差込片23bや差込部11dの挿入を可能とするために切りかかれた切欠き部22dが形成されている。
【0029】
組立状態において、互いに対向する第1蓋片21及び第2蓋片22が、段差部21c、22cのコーナー部分において、互い違いにクロスして重ねあわされて係合される。このとき、係合突部21aの内側に係合受部22bが重なり、係合突部22aの内側に係合受部21bが重なる。蓋係合部は、係合突部21a、係合受部22b、及び段差部21cを備える。
【0030】
第3蓋片23は、上方開口に折り曲げられた蓋片21,22の中央部分を覆う所定形状に構成されている。第3蓋片23の先端部分には、切欠き部21d、22dと側片11との間に形成される隙間に差し込まれる差込片23bが形成されている。この差込片23bには、側片11の上部に形成された差込部11dが挿入される差込隙間23cが形成されている。さらにこの差込隙間23cにはユーザが引き抜き作業の際に指を挿入するための引っ掛け孔23dが形成されている。
【0031】
底部30は、展開状態において、側片11の下方に連続する第1底片31(第2の底部片)、側片15の下方に連続する第2底片32(第2の底部片)、側片13の下方に連続する第3底片33(第1の底部片)、側片17の下方に連続する第4底片34(第1の底部片)、を備えて構成されている。組み立て状態において、底片31,32が前後方向において互いに対向し、底片33、34が幅方向において互いに対向する。これら4つの底片31,32,33,34により、側壁部10の下部開口が塞がれる。
【0032】
底片31は、展開図中下方に位置する先端部分の中央において基端側に凹む係合受部31cを有し、その幅方向両側において、先端及び外側にそれぞれ突出する突出辺31a,突出辺31bを有する突出部31fが形成されている。突出辺31bの基端側は幅方向内側に凹む受け辺31dを有している。
【0033】
底片32は、展開図中下方に位置する先端部分の中央において基端側に突出する係合突部32cを有し、その両側において、先端側の辺32a及び外側に突出する突出辺32bを有する突出部32fが形成されている。突出辺32bの基端側には内側に凹む受け辺32dを有している。
【0034】
底片33は、側片13の下辺13bに連なり、組み立て状態において側片12の下辺12b及び側片14の下辺14bとそれぞれ合わさる辺33a、組み立て状態において折曲罫線31e、32eの内側(裏側)に合わさる辺33d、先端部分において展開図中下方に突出する一対の辺33b、33b、これら一対の辺33b、33bの間において内側かつ先端側に向かって開口する傾斜した一対の溝部33c,33c、一対の溝部33c,33cの間で先端側に突出する辺33e、を有する所定形状に構成されている。
【0035】
底片34は底片33と同形状を成している。底片34は、側片17の下辺17bに連なり、組み立て状態において側片16の下辺16b及び側片18の下辺18bとそれぞれ合わさる辺34a、組み立て状態において折曲罫線31e、32eの内側に合わさる辺34d、先端部分において展開図中下方に突出する一対の辺34b、34b、これら一対の辺34b、34bの間において内側かつ先端側に向かって開口する傾斜した一対の溝部34c、34c、これら一対の溝部34c、34cの間で先端側に突出する辺34e、を有する所定形状に構成されている。
【0036】
底係合部は、係合受部31c、係合突部32c、突出部31f,32f、溝部33c,34c、を備える。
【0037】
以上のように構成された展開状態の箱材1aに、折畳み処理及び胴貼処理が施され、図4に示す折畳み状態の箱材1aが形成される。折畳み処理及び胴貼り処理は、折畳装置(不図示)によって行われる。折畳装置は、例えば、コンベア式の搬送部と、搬送経路の途中に線分A,Bに沿って設けられた折畳ガイドと、折畳ガイドよりも下流側に設けられた接着部と、を備えて構成されている。
【0038】
折畳装置は、展開状態の箱材1aを、裏面を上側にした状態で、搬送部によって図中Z方向に沿って搬送し、搬送の途中で折畳ガイドにより線分A及び線分Bよりも外側に位置する側片を起立させ、幅方向内側に折り返し、折畳む。すなわち、搬送に伴って、折曲罫線12c,16cを境に、側片19,11を一端側から折り返すとともに、側片16,17,18を他端側から折り返す。すると、上側において側片18と重合側片19とが重なって折畳まれた状態となり、折畳み処理が完了する。なお、重合側片19の表面には予め接着剤が供給されている。
【0039】
さらに下流側へ搬送を続け、下流側の接着部において上方から重合部分が押し付けられ、加圧されることにより、側片18と重合側片19とが接着され、胴貼り処理が完了する。以上により、展開状態から側壁部10が2重に折畳まれるとともに両端に位置する側片11,18が互いに連結され、ループ状の側壁部を有する箱材1aが構成される。
【0040】
なお、2重に折畳まれた状態になった場合に、蓋部20や底部30を構成する全ての片が線分A,線分Bよりも幅方向内側に収まっている。このため線分A及び線分Bに沿って設けられる折畳みガイドの邪魔になることが無く、搬送処理、折畳み処理、接着処理などを機械貼りでスムーズに行うことが可能である。
【0041】
以下、折畳み状態の箱材1aから立体状の箱体1を組み立てる手順について説明する。この組み立て作業は、例えばユーザの手作業で行われる。
【0042】
側壁部10の組み立て作業として、2重に折畳まれて両端が連結された側壁部10の、各片の間の折曲罫線を折り曲げ、八角形の筒状の立体形状とする。このとき、側壁部10の上方及び下方に八角形の開口が形成される。
【0043】
次に、底部30の組み立てを行う。底部30の組立作業としては、まず互いに対向する一対の底片33,底片34を内側に折り込み、側壁部10の下部開口のうち幅方向両側を底片33,34で覆う。続いて底片33,底片34の表側に被せるように、一対の底片31,底片32を前後から内側に折り込む。
【0044】
底片31,底片32を外側から折込む際、突出部31f及び突出部32fを、それぞれ、溝部33c、溝部34cの裏側に向かって差し込み、底片33,底片34の裏側(内側)に位置するように重ねる。すると、溝部33c,34cの基端部分と突出部31f,32fとが互いに突き当てられ、位置決めが成される。
【0045】
また、底片31,底片32を外側から折込む際に、係合突部32cを係合受部31cの裏側に入れ込む。すると、係合突部32cが係合受部31cの裏側に重なるとともに、先端側に突出する突出辺31aを有する突出部31fが、突出部32fの裏側に重なる。以上により、底部の組み立てが完了する。このとき、複数の底部片が互いに重ね合わされて係合するため、底部30の強度が増す。
【0046】
次に、蓋部20を組み立てる。蓋部20の組立作業として、まず第1蓋片21,第2蓋片22を内側に折込み上部開口を両側部から塞ぐ。その際、第1蓋片21,第2蓋片22の段差部21c、22cを互いに交差させるように重ねる。すると、係合突部21aの裏側に係合受部22bが、係合突部22aの裏側に係合受部21bが、それぞれ重なるとともに、段差部21c、段差部22cが互いに付き当てられ、位置決めが成される。以上により所望の八角形状が形成される。さらに、辺21e,辺22eがそれぞれ辺12a,辺14a,辺16a,辺18aの上に位置決めされる。
【0047】
続いて、第3蓋片23を、外側から被せる。このとき、前方に位置する差込片23bを側片11の内側と切欠き部21d,22dとの間の隙間へ入れ込み、差込部11dを差込隙間23cに入れ込む。以上により蓋部20の組み立てが完了し、立体形状の箱体1が完成する。
【0048】
本発明に係る箱体1及び箱材1aによれば、以下のような効果を奏する。すなわち、底部30及び蓋部20を、互いに対向する複数の片を内側に折り込み係合させながら組み立てる構成としたため、差込部を少なくし、工程を少なくできる。このため組み立て作業が容易となる。
【0049】
底部30は、互いに対向する一対の底片33,底片34を折り込んだ後、この底片33、底片34に対して係合させ、かつ、互いに係合するように底片31,底片32を内側に折り込むだけで、容易に組み立てることができる。複数の片が交差して互いに突き当てられることにより形状を維持することが出来、かつ、重ね合わせにより強度を増すことが出来る。
【0050】
蓋部20は、幅方向に対向する一対の蓋片21,22を段差部21c、22cで互いに交差させながら重ね合わせるだけの単純な作業で、段差部21c,22cが突き当てられるとともに係合突部21a,22aと係合受部21b,22bが重ねあわされて係合することにより、所望の八角形状を維持でき、かつ重ね合わせにより高強度で組み立てられる。
【0051】
また本実施形態にかかる箱材1aの底片や蓋片が折畳み状態で、側壁部10両端に沿う線分A,線分Bの内側に収まるため、機械での胴貼りが可能となる。すなわち、例えば図15及び図16に示す箱材100では、折畳み状態においては、二重に折畳まれた側壁部110の両端に沿う線分A,Bよりも、差込用の突起111b,112bが横方向に突出することとなるので、折畳装置で線分A,Bに揃えて配される折り畳み用のガイドの邪魔になり、機械貼りでの処理が困難となるが、本実施形態によれば、側壁部の両端に沿う線分A,Bの内側に収まるため、搬送や折畳みの妨げとならず、機械貼りでの処理が可能となる。
【0052】
[第2実施形態]
以下、本発明の第2実施形態にかかる箱体2及び箱材2aについて図5乃至図7を参照して説明する。なお、箱体2及び箱材2aは、フラップ部41及び折曲罫線42を形成した点以外は上記第1実施形態の箱体1及び箱材1aと同様であるため、同符合を付して共通する説明を省略する。また、上方から見た組み立て状態の斜視図は図1と同様であるため省略する。
【0053】
本実施形態の箱材2aは、図5及び図6に展開状態を示すように、組み立て状態で斜めに配される複数の側片12,14,16,18の上下に、三角形状のフラップ部41を延出して形成している。フラップ部41は、展開状態において、側片12,14,16,18の上辺及び下辺からそれぞれ上方及び下方に三角形状に突出した板状の部材である。
【0054】
なお、フラップ部41が底片33,34の裏側に存在することにより溝部33c,34cへの底片31,32の差込みが困難となるので、第3底片33,第4底片34には、上面から見て山折りの折曲罫線42が形成されている。折曲罫線42は、底片33,34の基端部のW方向両側から内側かつ先端側に向かって斜めに、溝部33c,34cに向かって延びている。
【0055】
以上のように構成された箱材2aは、フラップ部41が蓋部20及び底部30の組み立て作業時に予め内側に折り込まれることにより、図7に底面図を示すように、箱体2の角部の隙間を塞ぐことができる。またフラップ部41により蓋部20及び底部30の強度を上げることが可能となる。
【0056】
本実施形態においても、上記第1実施形態と同様の効果が得られる。すなわち、底部30及び蓋部20を、互いに対向する複数の片を内側に折り込み係合させながら組み立てる構成としたため、差込部を少なくし、工程を少なくできる。このため組み立て作業が容易となる。また、折畳み状態において線分A,線分Bよりも内側に複数の蓋片や底片が納まるため、機械貼りが可能である。
【0057】
さらに本実施形態の箱体2及び箱材2aでは、角部に位置するフラップ部41により、箱体2の角部の隙間を塞ぐことができる。またフラップ部41により蓋部20及び底部30の強度を上げることが可能となる。さらに折曲罫線42を形成したことにより、溝部33c,34cに差し込みながら底片31,32を折り込む作業が容易となる。
【0058】
[第3実施形態]
以下、本発明の第3実施形態にかかる箱体3及び箱材3aについて図8乃至図10を参照して説明する。なお、箱体3及び箱材3aは、蓋部50の構成以外は上記第1実施形態の箱体1及び箱材1aと同様であるため、同符合を付して共通する説明を省略する。また、底面図は図2と同様であるため省略する。
【0059】
本実施形態の箱体3は、図8に組み立て状態を示すように、蓋部50は、一対の起立蓋片51,52と、一対の蓋片53(第1蓋片),54(第2蓋片)を備えて構成される。
【0060】
蓋片51,52は展開状態において第1側片11と第5側片15の上辺に連なって形成され、組み立て状態で起立した状態で前後方向に対向する。蓋片51、52は半円形状を成し、中央にスリット51a,52aをそれぞれ有している。このスリット51a,52aに、蓋片53,54の起立部53a,54aの両端の係合片53d,54dが挿入され、スリット51a,52aの上端が凹部53c,54cに位置決めされる。
【0061】
蓋片53,54は、は展開状態において第3側片13と第7側片17の上辺に連なって形成され、組み立て状態で箱体3の幅方向に対向する。蓋片53,54は、組み立て状態において互いに突き当てられる突き当て部53b、54bと、突き当て部53b、54bから起立可能に構成された第1起立部53a、54aと、をそれぞれ有している。突き当て部53bは箱体3の幅方向両側に設けられ、これらの間に突き当て部53bよりも先端側に突出した補強片53eが設けられる。突き当て部54bは箱体3の幅方向両側に設けられ、これらの間に手提げ用孔部54eが設けられている。第1起立部53a,54aの幅方向両側には先端方向に向かって開口し、基端側に退避する凹部53c、54cがそれぞれ設けられている。凹部53c,54cのさらに外側は、先端方向に突出した係合部53d,54dが形成される。
【0062】
以上のように構成された箱材3aにおいて、蓋部50を組み立てる際には、まず蓋片53,54の突き当て部53b、54bを谷折りに折り曲げる。次に、蓋片53を側壁部10の上部開口内側に向かって折り込み、蓋片54を側壁部10の上部開口内側に向かって折り込む。このとき、補強片53eが蓋片54の下に重なるように折り込む。すると、対向する突き当て部53bと突き当て部54bが幅方向両側において互いに突き当てられ、さらに先端側の起立部53a,54aが重なった状態で上方に向かって起立した状態となる。
【0063】
続いて、前後の一対の蓋片51,52を内側に折り曲げる。このとき、スリット51a,52a内に係合部53d,54dをそれぞれ通し、凹部53c,54cに蓋片51,52を係合させる。以上により箱体3の蓋部50の組み立てが完成する。
【0064】
本実施形態においても、上記第1実施形態と同様の効果が得られる。すなわち、底部30及び蓋部50を、互いに対向する複数の片を内側に折り込み係合させながら組み立てる構成としたため、差込部を少なくし、工程を少なくできる。このため組み立て作業が容易となる。また、図10に折畳み状態を示すように、折畳み状態において線分A,線分Bよりも内側に複数の蓋片や底片が納まるため、機械貼りが可能である。さらに、突き当て部53b,54bで互いに突き当てて押し合う構成としたことにより所望の八角形の形状を維持することが可能となる。また、蓋片53,54を順番に折り込むだけの単純な作業で、手提げ用の孔を形成すると共に蓋片53,54同士を位置決めすることが可能となる。
【0065】
[第4実施形態]
以下、本発明の第4実施形態にかかる箱体4及び箱材4aについて図11乃至図14を参照して説明する。なお、箱体4及び箱材4aは、底片32の係合突部32cを省略した点と幅方向の寸法以外は上記第1実施形態の箱体1及び箱材1aと同様であるため、同符合を付して共通する説明を省略する。本実施形態では、図11乃至図14に示すように、箱体4の幅方向と前後方向を同寸法に設定し、底片32の係合突部32cを省略した。
【0066】
このように構成された箱体4及び箱材4aにおいても、上記第1実施形態と同様の効果が得られる。すなわち、底部30及び蓋部20を、互いに対向する複数の片を内側に折り込み係合させながら組み立てる構成としたため、差込部を少なくし、工程を少なくできる。このため組み立て作業が容易となる。また、図14に折畳み状態を示すように、折畳み状態において線分A,線分Bよりも内側に複数の蓋片や底片が納まるため、機械貼りが可能である。
【0067】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。例えば、蓋係合部及び底係合部の具体的な形状や構成は上記実施形態に限られるものではなく適宜変更可能である。
【0068】
また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0069】
1,2,3,4…箱体、1a,2a,3a,4a…箱材、10…側壁部、
11〜18…側片、19…重合側片、20…蓋部、21…第1蓋片、22…第2蓋片、
21a,22a…係合突部、21b,22b…係合受部、21c,22c…段差部、
23…第3蓋片、30…底部、31…第1底片、32…第2底片、31c…係合受部(受部)、32c…係合突部(突部)、31f.32f…突出部、33…第3底片、
34…第4底片、33c,34c…溝部、50…蓋部、51、52…起立蓋片、
51a.52a…スリット、53…第1蓋片、54…第2蓋片、53a.54a…起立部、
53d.54d…係合片、53c.54c…凹部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に連続する第1乃至第8側片と、
複数の前記側片のうちいずれか一対の側片の第2方向一方側に連続した一対の第1蓋片及び第2蓋片と、
複数の前記側片のうちいずれか一対の側片の第2方向他方側に連続した一対の第1底片及び第2底片と、
前記第1、第2底片が連続する一対の側片とは異なる他の一対の側片の第2方向他方側に連続した一対の第3底片及び第4底片と、を備え、
前記一対の蓋片は互いに係合する蓋係合部を備え、
前記一対の第1底片及び第2底片と、前記一対の第3底片及び第4底片とは、互いに係合する底係合部を備える、ことを特徴とする箱材。
【請求項2】
一対の第1底片及び前記第2底片は、それぞれ、先端に向かって突出する突出部を有し、
一対の第3底片及び前記第4底片は、それぞれ、先端側に向かって開口する溝部を有し、
組み立て状態において、前記第1乃至第8側片により8角形の側壁部が構成され、側壁部の第2方向他方側に開口が形成され、一対の前記第3、第4底片が前記開口に折り込まれた後、一対の前記第1、第2底片が前記開口に折り込まれ、前記突出部が前記溝部に挿入されることにより、第1乃至第4底片が係合することを特徴とする請求項1記載の箱材。
【請求項3】
前記第3、第4底片のうち一方は、先端部分の中央に先端側に突出する突部を有し、前記第3、第4底片のうち他方は、先端部分の中央に、基端側に退避する受部を有し、
一対の前記第1、第2底片が前記開口に折り込まれる際に、前記突部が前記受部の裏側に差し込まれることにより、第3及び第4底片が互いに係合することを特徴とする請求項1または2記載の箱材。
【請求項4】
一対の蓋片の前記蓋係合部は、それぞれ、先端方向に突出する係合突部と、前記係合突部よりも基端側に退避した係合受部と、前記係合突部及び前記係合受部の間に形成された段差部と、を有して構成され、
組み立て状態において、前記第1乃至第8側片により8角形の側壁部が構成され、側壁部の第2方向一方側に開口が形成され、
一対の前記蓋片が、側壁部の第2方向一方側に形成される開口に折り込まれ、一方の前記蓋片の係合受部の表側に他方の前記蓋片の係合突部が重なり、他方の前記蓋片の前記係合受部の表側に一方の前記蓋片の前記係合突部が重なり、一対の段差部が互いに交差して突き当てられることにより、前記一対の蓋片が互いに係合する、ことを特徴とする請求項1記載の箱材。
【請求項5】
第1蓋片及び第2蓋片が連続する一対の側片の間に位置する側片の第2方向一方側に連続し、組み立て状態において前記一対の第1蓋片及び第2蓋片の外側を覆う第3蓋片をさらに備え、
前記第3蓋片は、その先端に、組み立て状態において前記一対の第1蓋片及び第2蓋片と前記一対の側片との間に形成される隙間に差込可能な差込片を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか記載の箱材。
【請求項6】
第1蓋片及び第2蓋片が連続する一対の側片の間に位置する側片の第2方向一方側に連続する一対の起立蓋片をさらに備え、
前記第1及び第2蓋片は、組み立て状態において互いに突き当てられる突き当て部と、該突き当て部から起立可能に構成された第1起立部と、を有し、
前記起立蓋片は前記一対の前記第1起立部の両端を挿入可能に構成されたスリットを有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか記載の箱材。
【請求項7】
請求項1乃至6に記載の箱材の、前記第1乃至第8側片がいずれか2箇所で折り返されて2重に折畳まれ、
展開状態における両端の側片同士が連結され、
前記折畳み状態における側片両端よりも内側に、複数の前記蓋片及び底片が配置されることを特徴とする折畳み状態の箱材。
【請求項8】
請求項1乃至7記載の箱材が組み立てられ、
第1乃至第8側片を有して構成され、その第2方向一方側及び他方側に第1開口及び第2開口を有する八角形の筒型の側壁部と、
前記第1蓋片及び第2蓋片を有し、前記第1開口を塞ぐ蓋部と、
前記第1乃至第4底片を有し、前記第2開口を塞ぐ底部と、を備えたことを特徴とする箱体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−240961(P2011−240961A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−114678(P2010−114678)
【出願日】平成22年5月18日(2010.5.18)
【出願人】(502339004)日之出紙器工業株式会社 (10)
【Fターム(参考)】