説明

箱状物ストッカ

【課題】前工程で積み重ねられたマイクロプレートを、多数積み重ねられたままカセットで供給し、カセットの上部開口部から順に取り出すことができる箱状物ストッカを提供する。
【解決手段】箱状物19を箱状物載置板に載せて昇降させる昇降機20と、前記昇降機の周りを回転する回転カセット台26aと、前記回転カセット台に載せる2以上のカセット21と、を備えて、前記カセットが前記箱状物載置板の上方位置となるように前記回転カセット台を回転して、前記箱状物載置板により前記カセットの下部にある開口部を通して前記カセット内に重ねて収納する前記箱状物を持ち上げて、前記カセット上部にある箱状物取り出し口から取り出し、または前記カセット内に収納する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、箱状物の自動搬送に関し、詳しくは、臨床検査、生化学検査、創薬試験分野における分析など自動化アッセイ設備において、検体を入れるマイクロプレートなど箱状物を収納ないし取り出しする箱状物ストッカに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、臨床検査やイムノアッセイなどでは大量の検体を一定条件下で試薬と混合してその反応状況を各種検査器で分析するための自動化アッセイ装置が利用されている。当初、1検体ごとに手作業で行われていたが、多数の検体を処理するために自動化が試みられ、例えば、特開H3−51672号公報では無限長ベルトに検体を検体試験管などの容器を多数取り付け、必要な試薬を自動的且つ連続的に注入して反応させ、その変化を検出している。
【0003】
図13に従来の、自動化アッセイ装置の一例(特開平11−227941号公報)の搬送システム部分を示す。複数の回転棚に人間の手で多数のマイクロプレートを挿入し、これらを分配注入機やワークステーション間を、複数の回転直動型で把持型ロボテック装置を用いて、仮置き台を介して順次受け渡して搬送している。
【0004】
また、合成医薬、生物化学的医薬の開発の創薬研究分野では、何十万種、何百万種の検体を高速大量処理スクリーニング(High Throughput Screening)するために96穴(=well)の小さな穴状の容器を設けたプラスチックス製の85.5×127.8mm箱状物(マイクロプレート)に検体を自動的に分注入し、このマイクロプレートを、ロボットを利用して、試薬注入場所や可視光吸収スペクトル分析器、蛍光分析器、化学発光分析器、ラジオアイソトープシンチレーションカウンターなど各種の分析機器、保温器、棚などの所定場所に、昼夜を問わず配送し、バーコード制御システムによる自動的にアッセイする装置が利用されている。さらに、大量の検体を処理するために、同じサイズのマイクロプレートに384well、1534wellを設けたものも開発され、細かすぎて人手では分注不可能となるため、自動化の要請がますます高まっている。(ロボット、No.137、2000年11月号)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平3−51672号公報
【特許文献2】特開平11−227941号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】長谷川「コンビナトリアルケミストリー」p194−203、(株)化学同人(1997年)
【非特許文献2】石井、武本、江澤、小菅、八尋、他「ロボット」、No.137号(2000年11月)P.27−45、(社)日本ロボット工業会編
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
積み重ねた箱状物から1つのマイクロプレートを供給するための従来の装置は、下から2番目のマイクロプレートの側面を把持して、1番下を落とす方法を取っている。これでは、積み重ねの高さにより重さが変わってくるため、特に、高く積んだ場合、把持に失敗し2番目のマイクロプレートも落としてしまう不具合が発生していた。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願発明の箱状物ストッカは、箱状物を箱状物載置板に載せて昇降させる昇降機と、前記昇降機の周りを回転する回転カセット台と、前記回転カセット台に載せる2以上のカセットと、を備えて、前記カセットが前記箱状物載置板の上方位置となるように前記回転カセット台を回転して、前記箱状物載置板により前記カセットの下部にある開口部を通して前記カセット内に重ねて収納する前記箱状物を持ち上げて、前記カセット上部にある箱状物取り出し口から取り出し、または前記カセット内に収納することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の箱状物ストッカでは、前工程で積み重ねられ、検体を入れられた多数のマイクロプレートを、直接積み重ねたまま、人手でカセットに入れてこの装置にセットするのみのため、昼夜無人運転をすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、箱状物自動搬送システム1を組み込んだ自動化アッセイ設備10を示す参考図である。図1に示すように、箱状物自動搬送システム1とは、本発明の箱状物ストッカ2a、2b、3a、3b、と箱状物取り出し装置11、シャトル型搬送ライン4、水平回動型ロボット5、把持型ロボット33、円弧状棚6からなる一連の箱状物搬送用装置群である。自動化アッセイ設備10は、この箱状物自動搬送システム1に、分注機7、分析装置8及び保温器9が加えられ、反応時間、保温温度、搬送先場所などをスケジューリングする制御装置をもって構成される。
【0011】
アッセイの工程を以下に説明する。検体が入れられた後のマイクロプレート19は、マイクロプレート用カセット21に挿入されて第1箱状物ストッカ2aにセットされ、箱状物取り出し装置11で取り出され、シャトル型搬送ライン4の一端に受け渡され、蓋が取られて分注台43に置かれる。一方、ピペットチップの入った箱は、ピペットチップ用カセット31に重ねて投入され第2箱状物ストッカ3a、3bにセットされ、把持型ロボット33で搬送され蓋を取られてチップ置き台73に置かれる。分注機7は市販品Biomek
FX(ベックマンコールター社製)で、XY搬送機a、b(71a、71b=矢印で表す)に取り付けられた分注ヘッド72を移動させて、チップ置き台73に置かれたチップを分注ヘッド72に差込み、試薬槽74で試薬を吸入し前記分注台43に移動してマイクロプレート19に注入する。このマイクロプレート19は、シャトル型搬送ライン4の他端に移送され、次に水平回動型ロボット5で保温機9に挿入され、所定時間反応後、分析装置8で分析し、再びシャトル型搬送ライン4に戻され逆方向に搬送して、箱状物取り出し装置11で第1箱状物ストッカ2b内のマイクロプレート用カセット21に回収収納する。この間、保温時間、分析時間が一致しないことが多いので、一時的に仮置きのために棚6に仮置きすることがある。図1の第1箱状物ストッカ2bは、試験が終わり箱状物取り出し装置11で返送されたマイクロプレート19を収納するストッカである。従って、前述と全く逆の動作によりマイクロプレート用カセット21内に試験済みマイクロプレート19を積み重ね、1つのマイクロプレート用カセット21が一杯になれば第1回転カセット台26が90度回転して次の空のマイクロプレート用カセット21がセットされる。第1箱状物ストッカ2bも第1箱状物ストッカ2aと同様な構造をしている。
【0012】
図2は、図1で示した取り出し装置11の両側に設置された第1箱状物ストッカ2a、2bの片側のみを示す。第1箱状物ストッカ2aは、厚さ15mm穴96個を有するマイクロプレート19(図8参照)を54個積み重ねて入れた後述するマイクロプレート用カセット21を、第1箱状物ストッカドア27aから第1回転カセット台26aの所定位置に投入載置する。この第1回転カセット台26aは4台のカセットが搭載でき、順次90度ずつ回転して箱状物取り出し装置11の下にカセットを移送する。第1箱状物ストッカ2aの中央部にはマイクロプレート昇降機20が積み重なったマイクロプレート19を下から押し上げ、箱状物取り出し装置11の箱状物把持機12によってマイクロプレート19が1個ずつ取りだされ、取り出される毎に1つ分押し上げる様に制御される。マイクロプレート昇降機20は、箱状物取り出し装置11基部に固定されたモータ25によって回転するボールねじ23を軸に昇降駆動体24がリニアガイド22に沿って昇降し、この昇降駆動体24に固定された昇降フィンガ29が積み重ねられたマイクロプレート19の最下のものの底に接して下から押し上げる。このマイクロプレート昇降機20は、必要に応じ一部または全体の高さを自由に上昇、降下することができる。
【0013】
前記の箱状物ストッカは、少なくとも、箱状物を収納ないし取り出し可能なカセットと、1又は2以上積み重ねられている前記箱状物を前記カセットに入ったまま箱状物載置板に載せて昇降させる昇降機と、前記昇降機が前記箱状物を定められた位置に昇降させる手段等から構成されるものである。
【0014】
ここで、この箱状物ストッカに前記カセットは、複数個セットできるようにしてもよい。ここに置かれる箱状物には、検体又は試薬が入っている場合と入っていない場合であってもよい。また、この箱状物ストッカは、カセットの出入り口にドアを設ける他は、天井及び周辺を壁で覆ってもよい。
【0015】
図3では、ピペットチップ箱が、第2箱状物ストッカ3aからチップ置き台73に置かれる過程を図示してある。プラスチックス製のラッパ状のピペットチップ96本が、マイクロプレートの各穴194に対応するように、直立して8列12行に並べられて1箱(不図示)に入っており、箱のサイズは幅86mm、長さ128mm、高さ58mmである。このピペットチップ箱14個が積み重ねられて入ったピペットチップ用カセット31が、第2箱状物ストッカドア37から投入されて最大6台の第2回転台36にセットされ、180度回転した位置に停止して、ピペットチップ箱用昇降装置32が積み重ねられた箱の下から押し上げて所定の高さで停止する。尚、ピペットチップ箱用昇降装置32は第1箱状物ストッカ2aのマイクロプレート昇降機20と同じ構造で、モータ35の回転するボールねじ323に嵌め合った昇降駆動体34が、1本の縦型リニアガイド322に導かれてピペットチップ箱用フィンガ321を昇降させ、積み重ねられた箱は一番下から支持されて昇降する。
【0016】
3軸からなる把持型ロボット33が伸張して、先端の2つの把持用逆T字型フィンガ330で、ピペットチップ用カセット31上に押し上げられているピペットチップ箱の本体側面を挟み、この把持型ロボット33の先端部に取り付けてある吸着口(不図示)で蓋を吸着し、この先端部に取り付けられたエアシリンダで垂直に少し上昇させ、一端X軸用ロッドレスシリンダ38上に収縮した後X軸用ロッドレスシリンダ38上を図11下方向に移動して停止し、再び伸張してチップ置き台73に搬送し載置する。吸着している蓋は、この把持型ロボット33収縮した位置の下に用意されているゴミ箱39に落とす。分注ヘッド72がピペットチップを持ち去った後の空き箱は、この把持型ロボット33が把持してゴミ箱39上に搬送して、すてる。尚、把持型ロボット33は、X軸用ロッドレスシリンダ38で駆動されるX軸を有し、水平に(図3の上下方向)に移動できる。
【0017】
本発明の箱状物ストッカでは、前工程で積み重ねられ、検体を入れられた多数のマイクロプレートを、直接積み重ねたまま、人手でカセットに入れてこの装置にセットするのみのため、昼夜無人運転をすることができる。
【0018】
本発明の箱状物ストッカは、前述の生化学分野のみならず、例えば、食品工業における各種容器の搬送、製品或いは原材料としての箱状物用自動倉庫など、多数の箱状物スタッカとして応用できる。また、必要ならば、箱状物ストッカを含む全システムをクリーンブースやクリーンルームに納めて無菌状態、無塵状態とすることも出来る。
【0019】
図4は、第1箱状物ストッカ2a、2b用のマイクロプレート用カセット21,及び第2箱状物ストッカ3a、3b用のピペットチップ用カセット31を示す。略四角形のカセット上枠217とカセット下枠215との間をそれら枠3辺に配した6本の金属パイプ214でこれらを固定し、カセット上枠217には取手218を取り付ける。カセット下枠215の他の1辺の両脇に小さいドアを設け、ドア上部222とドア下部223とを上下の枠217,215に連結し、観音開きとした。ドア下部223の先端にドア爪224をつけ、また、カセット下枠215のドア下部223が閉まった状態の外側に、穴をあけここに上端と下端にストッパ212をつけたピン211を、自重で自由に下がるように嵌め合わせた。
【0020】
ここで前記カセットは、箱状物を積み重ねたまま収納するものであって、カセット上部にある前記箱状物取り出し口と、箱状物ストッカの昇降機の箱状物載置板がカセット下に挿入されてカセット内を昇降するための開口部と、1または2枚の水平回動型ドアと、前記ドアの下側にあって前記カセット底部を貫通して上下に可動に設けたピンと、前記ピンは前記カセット底部から抜け落ちを防ぐストッパを有し、前記カセットは、前記箱状物ストッカ内の凹凸のある置台に置かれた時は前記ピンが自重で下がって前記水平回動型ドアを施錠し、前記箱状物ストッカ外の平板状台に置かれた時は前記ピンが押し上げられて開錠することを特徴としている。また、ドアには止めピンとバネとからなるドアストップを設けてもよいし、ドア上部に箱状物取り出し用の空間を設けることができる。
【0021】
図5(a)に示すように、平板状の台にカセットを置けば、ピン211が押し上げられて、ピン211の軸より外径の大きいストッパ212はドア爪224の上に出て、ドア下部223は自由に開閉する。他方、図5(b)のように、カセットを持ち上げるとピン211は落ちてストッパ212がドア爪224を隠してドア下部223の開放を防止する。また、ドア下部223にはカセット下枠215との間にスプリング225を渡しドアストップを設けた。これにより、カセットは、ドア施錠用のピンが設けられており、机など平面に置けば開錠されてドアは自由に開閉でき、人手による持ち運び中及び箱状物ストッカ内では施錠されてマイクロプレートなど箱状物が飛び出すことは無い。
【0022】
図6は、マイクロプレート19を把持する箱状物取り出し装置11の斜視図(参考図)である。フレーム13に水平ロッドレスエアシリンダ支持部131を介して水平ロッドレスエアシリンダ可動部132が取り付けられ、これに昇降ロッドレスエアシリンダ134が取り付けられ、この昇降ロッドレスエアシリンダ134に箱状物把持機12が取り付けられる。箱状物保持機12には、水平に細長い底チャック部122を先端横の箱側に取りつけた底把持部121と、垂直に設けた2本の丸棒である蓋チャック部124を固定した蓋把持部123と、これらチャック部122、124を開閉する左右チャック用アクチュエータ125が取り付けられている。箱状物把持機12に取り付けられた2つの爪把持部127は、爪把持用アクチュエータ128により駆動され、底チャック部122、蓋チャック部124とは90度異なるマイクロプレート19の辺を把持する。2つの爪把持部127の下部先端には、それぞれ内向きに屈曲したL字状爪129が取り付けられ、マイクロプレート19の下に、本図に向かって左と右とから近づくように移動してこれを把持する。
【0023】
箱状物取り出し装置は、1又は2以上積み重ねられた同形状の箱状物から、対向する一対の把持部によって前記箱状物の側面を把持することによって、1又は2以上の前記箱状物を取り出す装置であって、前記箱状物は、底部と四辺の側部とからなる容器部と、前記容器部の外側に嵌合する天板部と四辺の側部とからなる蓋部とからなり、前記一対の把持部は、上部に把持駆動部と下部に2つの支持部とを有し、一方の支持部は下方に向けて設け下端に当該支持部から箱側に張り出した凸部によって箱状物の底部側面を圧し、且つ、他方の支持部によって前記蓋部の底部側面と反対側側面を圧して把持した後、目的場所に移送し、把持を解除して載置することを特徴としている。ここで把持部は、棒状であっても平板状であってもよく、また、一方の把持部に1本或いは複数本設けてもよい。これら把持部の表面の箱状物と接触する面は、フッ素ゴム、軟質ポリウレタンなど軟質の高分子材料とすることもできる。
【0024】
図7は、箱状物保持機12の一部分である左右チャック用アクチュエータ125側から見た断面図(参考図)で、マイクロプレート19を把持して取り出す状態を示す。底把持部121と蓋把持部123とを開いた状態で箱状物保持機12を降下させると、蓋用センサ126はマイクロプレート蓋192の上面を検知し降下停止する。尚、マイクロプレート19は、第1箱状物ストッカ2aのマイクロプレート昇降機20がすでに所定位置に押し上げている。マイクロプレート蓋部192を蓋チャック部124が、又、マイクロプレート容器部191の外部側面底部193を底チャック部122が把持し、マイクロプレート昇降機20が他の積み重なったマイクロプレート19を少しさげる。底チャック部122及び蓋チャック部124のマイクロプレート19に接触する部分は、軟質ゴム状プラスチックスが嵌めこまれ把持を確実にしている。
【0025】
ここで、前記の箱状物取り出し装置は、前記凸部を有する前記支持部の近傍に前記蓋部の高さを検出するセンサが配設されている。このセンサは、公知の接触式センサが好ましいが、光学式センサであってもよい。また、把持された1又は2以上の前記箱状物が他の積み重ねられた箱状物から離間される手段が、他の積み重ねられた箱状物を降下させる手段であることが好ましい。さらに、前記一対の把持部で1又は2以上の前記箱状物が、把持されて他の積み重ねられた箱状物から離間された直後に、前記把持されていない前記箱状物の他の二辺の下に、前記箱状物側に爪が屈曲した一対のL字型支持部が、挿入され、移送後目的場所で引き出されるようにしてもよい。
【0026】
本発明の箱状物取り出し装置は、一対の把持部のうち箱状物の底部側面を押圧する把持部側にそのセンサが取り付けられているため、箱の厚みを制御装置に入力しておけば、後者の把持部は正確に前記底部側面に接触する。即ち、積み重ねた箱状物の上方が傾いている場合でも、このセンサの働きで確実に把持に導き、L字状爪の作用と相まって、マイクロプレートなど箱状物を落下させることは無い。
【0027】
図7に示す2つの爪把持部127がマイクロプレート19の下にL字状爪129が把持するように挿入され、搬送中のマイクロプレート19の落下を防止する。昇降ロッドレスエアシリンダ134が箱状物把持機12を上昇させ、所定の高さまで来たら水平ロッドレスエアシリンダ132により、シャトル型搬送ライン4の端のステージ48(図9)上に移送し、マイクロプレートを降下させてステージ48上に載置する。尚、薬液処理済マイクロプレート19が返送されて来た時は、第1箱状物ストッカ2b側のステージ48上に置かれ、箱状物把持機12に掴まれて反対向きに移送され、第1箱状物ストッカ2bのマイクロプレート用カセット21に収納される。
【0028】
マイクロプレートは、各辺の長さは規格化されているが、1穴当りの容積を変えるために穴の深さ、即ち、箱状容器の高さが種々異なり、蓋と容器下部とに間の容器側面の露出部tに幅があり、標準はt=6mm程度(蓋付き箱の高さは15mm)であるが、中には箱の側部が蓋で全く隠れてしまう(t=0mmから15mm)ものまである。本発明の箱状物取り出し装置は、蓋の高さを検出するセンサを有しているため予め箱の高さを制御装置に入力しておけば、箱状物の底部側面を圧する把持部を常に指定位置に降下させることができ、どんなマイクロプレートにも対応できる。
【0029】
図8にマイクロプレート19を示す。(a)はその側面図で、(b)は容器部191平面図である。種類によっては厚みが異なるため収納される数が異なるが、ここではサイズが85.5×127.7×15.0mm、96穴の標準マイクロプレート19を用い、検体が入れられた後のマイクロプレート19をマイクロプレート用カセット21に54段に積み重ねて収納し、この4台を第1箱状物ストッカ2a中にセットする。
【0030】
図9に、シャトル型搬送ライン4の一部省略側面図(参考図)を示す。基台47にリニアガイドレール42を敷設し、これに嵌合しているリニアガイド416に、ギヤ414を取り付けたシャトル用モータ415とローラ413と上向きエアシリンダ411とを搬送シャトル41を取り付ける。ギヤ414とローラ413との間に直線状のタイミングベルト45を嵌め合わせ、その両端は基台両端のベルト固定具46に固定し、エアシリンダ411のロッド上部に搬送台412を固定する。タイミングベルト45は表が平滑面で裏側に歯形が成形されているので、モータが回転するとタイミングベルト45の歯形とギヤ414が噛み合って搬送シャトル41が自走する。シャトル用モータ415はステッピングモータを用いているのでパルス信号で回転が制御され、搬送シャトル41は自在に移動停止できる。シャトル型搬送ライン4の左右端にステージ48と、その中央に各搬送ラインに3台で3ライン合計9台の分注台43と、分注台43とステージ48の間に仮置き台49とが、取り付けられている。
【0031】
ステージ48と仮置き台49とは同じ形状をしており、各台の上の面は、マイクロプレート容器部191の底四隅を支持するように四辺の中央が切られて4分割されており、各台の上の面にはプラスチックス製釣鐘状の箱止めが取り付けられている。また、搬送台412は十字状になっており、各台の位置で自由に昇降することができる。また、十字状の搬送台412の4つの先端は上に向けて屈曲されており、マイクロプレート19が飛び出さない様に配慮されている。
【0032】
シャトル型搬送ライン4の右端に取り付けられたステージ48に、箱状物取り出し装置11が、マイクロプレート19を置くと、搬送シャトル41が右のステージ48の下に移動し、搬送台412を上昇させてマイクロプレート19を持ち上げて載置した後、そのまま図9左方向に進み、蓋吸着機44の下で停止する。
【0033】
蓋吸着機44は、吸着機フレーム443に取り付けた昇降用ロッドレスシリンダ444と取り付け部442を介して4基の吸着パッド441と蓋閉じ確認センサ445を有している。吸着パッド441が降下してマイクロプレート蓋192を吸着すると減圧度が変わり、吸着していることが解るので、昇降用ロッドレスシリンダ444を上昇させて蓋を開ける。尚、蓋閉じ確認センサ445はマイクロプレート蓋192を閉める際、マイクロプレート容器部191に嵌め合わせに失敗すると蓋位置が高くなるのでこれを検出するが、蓋嵌め失敗が無い場合は取り付けなくてもよい。
【0034】
マイクロプレート蓋192を取り外したマイクロプレート容器部191は、搬送台412が高い位置のまま搬送シャトル41によって運ばれ仮置き台49で停止し、搬送台412が下がって仮置き台49に載置される、分注機7のXY搬送機71aにより分注台43に搬送される。分注台43でマイクロプレートの各穴194に試薬が注入され仮置き台49に返送されると、搬送台412は再び上昇してマイクロプレート容器部191を載置して図面右側に移動し、蓋吸着機44の位置に停止し、マイクロプレート蓋192をかぶせる。尚、分注台43は1列のシャトル型搬送ライン4に3基備え3ラインで合計9台が備えられている。
【0035】
マイクロプレート蓋192を被されたマイクロプレート19を載せた搬送シャトル41は、エアシリンダ411を低い位置に下げた後、分注台43の下を通って図面左端に移動して停止し、搬送台412を昇降させて左側のステージ48にこれを載置する。次に、本実施例の水平回動型ロボット5がそのフィンガ52をステージ48の下に挿入し、水平回動型ロボット5のZ軸を上昇させて運ばれてきたマイクロプレート19をフィンガ52に載置し次工程に搬送する。シャトル型搬送ライン4は3列あり、図面左側にも蓋吸着機44を各列にもう1台有しているので全部で6台設置している。また、分注ヘッド72は2基有るので、前述と同様な方法により図面左側からも、分注作業、マイクロプレート蓋192の開け閉め作業を行うことができる。尚、箱状物取り出し装置11は、マイクロプレート19を中央の搬送シャトル41には置かないが、水平回動型ロボット5が図7左端で3台の搬送シャトル41のいずれにも載置できるので、搬送作業、マイクロプレート蓋192の開け閉め、分注作業は効率よくできる。
【0036】
図10は、図9の仮置き台49位置のA−A´断面での立面図である。シャトル型搬送ライン4は3台あり、分注台43は1ライン当り2基であるから全部で6基ある。図9には、リニアガイドレール42上に乗ったリニアガイド416と、これに固定されたシャトルフレーム418にシャトル用モータ415、その軸に固定されたギヤ414、タイミングベルト45(不図示)を挟むように取り付けられたローラ413、搬送台412とこれを持ち上げるエアシリンダ411、エア配管、動力線、信号線を案内するケーブルガイド417の配置が示されている。
【0037】
図11は、水平回動型ロボット5によるマイクロプレート19の搬送状況を示す参考図である。本実施例では水平回動型ロボット5としてローツェ株式会社製搬送ロボットRR701を用いた。水平回動型ロボット5は、第1アーム50と第2アーム51とフィンガ52とからなるアーム体2本を有し、それぞれ水平面内で回動し、2つのフィンガ52は高低差をもって重なって同一垂直平面内を水平に直線運動し、胴体54は旋回運動とZ軸昇降運動をし、さらに前記シャトル型搬送ライン4に直角に水平回動型ロボット5全体を移動させるX軸軌道を有している。但し、フィンガ52はその周囲に高さ8mm直径6mmの6個のプラスチック製釣鐘状突起を取り付けた進行方向に長い長方形で、ここに載置したマイクロプレート19が落ちず、且つ、ステージ48と干渉しない構造となっている。この水平回動型ロボット5は、マイクロプレート19の置かれたステージ48の下にフィンガ52を挿入し、胴体54をZ軸方向に持ち上げてマイクロプレート19をすくい上げるようにフィンガ52の上に載置する。搬送して目的載置台の上方に到着すると、Z軸方向に胴体54を降下させ、フィンガ52からマイクロプレート19を目的場所に載置する。ここで目的場所とは、棚6、分析装置サンプル出入り口81、保温器サンプル出入り口91及び各ステージ48である。
【0038】
水平回動型ロボット5は、搬送シャトル型41で送られてきた薬液入りのマイクロプレート19を下からすくい上げるようにして一方のフィンガ52上に載置し、旋回して保温器9方向に向かう。保温器サンプル出入口91に所定時間処理が終わって出てきたサンプルのマイクロプレート19を、他方のフィンガ52に載置して取り出し、代わりに運んできた新しいサンプルのマイクロプレート19を挿入する。保温器(Cytomat6000)は、自動的にサンプルを1箱ずつ投入しても自動的に所定時間、一定温度で処理して1箱ずつ出庫する。次に、旋回して分析装置(1430ViewLuxI/F)のサンプル出入口81の方向に向かい、空いたフィンガ52を伸張して分析済みサンプルマイクロプレート19を取り出し、保温器から取り出した処理済サンプルマイクロプレート19を挿入する。尚、分析するためにはマイクロプレートの蓋192を取り外さなければならないので、分析装置サンプル出入口81にも蓋吸着機44が備えられている。取り出した分析済みサンプルマイクロプレート19は、シャトル型搬送ライン4の返送用のステージ48に載置する。尚、処理前サンプルマイクロプレート19は、保温器9の順番待ち、あるいは保温器9からの出庫と分析装置8へのタイミングが合わない時は、棚6に一時的に保管し、順番を待って分析される。
【0039】
図12(a)は、棚6の構造を示す平面図である。図12(b)は、(a)のB−B´での断面図である。棚底64と天井63との間に、複数の細い内側柱61と複数の太い外側柱62とを同本数それぞれ同心の円弧状に配置してある。それぞれの柱の形状は内外とも棚1段分は、上から円柱部65と円台形部66と鍔部67とが繋がっており、鍔部67の上面に、マイクロプレート19の底の外縁隅部が載る。従って、2個の内側柱61の円台形部66下部との間と、2個の外側柱62の円台形部66下部との間との寸法は同じでマイクロプレート19の幅よりわずかに長く、内側柱61と外側柱62との中心間寸法はマイクロプレート19の長さよりわずかに短く設計してあり、そこに1個のマイクロプレート19が載置される。外側柱62のさらに外側には、マイクロプレート19が突き抜けて落ちるのを防止するための箱止め68が備えられている。
【0040】
マイクロプレート19は、水平回動型ロボット5のフィンガ52上に載置されたまま、図12の棚6の2つ内側柱61の円柱部65間を外側柱62付近まで挿入され、フィンガ52が降下すると、マイクロプレート19の4つの底の外縁隅部が鍔部67上に置かれる。逆にマイクロプレート19を取り出す際は、空のフィンガ52を、2つの円柱部65間に挿入して6個のプラスチック製釣鐘状突起がマイクロプレート19の外縁部外の下に来るように停止し、次に上昇させてこれを載置し、ロボット5側にフィンガを引く。ついで目的場所にロボット5がそのマイクロプレート19を搬送する。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の箱状物ストッカを組み込んだ自動化アッセイ設備を示す平面図である。
【図2】本発明の箱状物ストッカを示す平面図である。
【図3】本発明のピペットチップ用箱の箱状物ストッカを示す平面図である。
【図4】本発明のカセットを示す斜視図である。
【図5】本発明のカセット底部を示す側面図である。
【図6】本発明の箱状物ストッカに備える箱状物取り出し装置を示す切り欠き斜視図である。
【図7】本発明の箱状物ストッカに備える箱状物取り出し装置を示す断面図である。
【図8】各種マイクロプレートを示す説明図である。
【図9】シャトル型搬送ラインを示す参考図である。
【図10】シャトル型搬送ラインを示す参考図である。
【図11】水平回動型ロボットの搬送状況を示す参考図である。
【図12】棚を示す参考図である。
【図13】従来の箱状物搬送システムを有する自動化アッセイ装置を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0042】
13 フレーム
19 マイクロプレート
2a、2b 第1箱状物ストッカ
20 マイクロプレート昇降機
21 マイクロプレート用カセット
220 下部開口部
221 上部開口部
23 ボールねじ
24 昇降駆動体
25 モータ
26 第1回転カセット台
27 第1箱状物ストッカドア
28 第1供給装置カバー
29 昇降フィンガ
3a、3b 第2箱状物ストッカ
30 ピペットチップ箱搬送装置
31 ピペットチップ用カセット
32 ピペットチップ箱用昇降装置
321 ピペットチップ用フィンガ
322 リニアガイド
323 ボールねじ
34 昇降駆動体
35 モータ
36 第2回転カセット台
37 第2箱状物ストッカドア


【特許請求の範囲】
【請求項1】
箱状物を箱状物載置板に載せて昇降させる昇降機と、
前記昇降機の周りを回転する回転カセット台と、
前記回転カセット台に載せる2以上のカセットと、を備えて、
前記箱状物載置板の上方に前記カセットがくるように前記回転カセット台を回転して、
前記箱状物載置板により前記カセットの下部にある開口部を通して前記カセット内に重ねて収納する前記箱状物を持ち上げて、
前記カセット上部にある箱状物取り出し口から取り出し、または前記カセット内に収納することを特徴とする箱状物ストッカ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−75573(P2011−75573A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−270761(P2010−270761)
【出願日】平成22年12月3日(2010.12.3)
【分割の表示】特願2004−372252(P2004−372252)の分割
【原出願日】平成16年12月22日(2004.12.22)
【出願人】(591213232)ローツェ株式会社 (33)
【出願人】(302033126)アイエス・テクノロジー・ジャパン株式会社 (10)
【Fターム(参考)】