説明

箱詰め装置及び箱詰め方法

【課題】 フラップ拡開手段が簡単な構造にでき、箱詰め装置の構造をシンプルにしてコンパクト化を図ること
【解決手段】 4つの上部フラップ6a〜6dが開いた状態の外箱5に対し、複数の小箱1からなる小箱群2を収納する箱詰め装置である。第1,第2上部フラップ6a,6bを抑え板を用いて拡開状態に保持し、ロボットアーム装置の吸着ヘッド41で保持した小箱群を傾けながら下降移動させて第3上部フラップ6cに対して当接させて押し広げ、次いで傾き方向を変えて小箱群にて第4上部フラップ6d押し広げることで、外箱の上方を広く開放する。その後、小箱群の姿勢を垂直に戻し、外箱の開口部位に合わせて下降移動させて収納するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製品が収納された小箱を段ボール等の外箱に集積箱諸めする箱詰め装置及び箱詰め方法に関する。
【背景技術】
【0002】
配送・保管等の要請から、複数の製品を収納した複数の小箱を、段ボール等の外箱内に収納した包装形態がある。係る包装形態を製造するための箱詰め装置としては、例えば特許文献1に開示されたものがある。この種の箱詰め装置は、段ボール等で構成される外箱の上辺側の4つの上部フラップを外側に開いた状態で、上方よりその外箱内に所定数の小箱を供給し、その後、適宜の順でフラップを閉じることで外箱を閉じ、接着剤・接着テープその他の適宜の封印手段で閉じる。
【0003】
所定数の小箱は、例えば、マトリクス状に配置したものを各種の保持手段で一括して保持し、その状態のまま外箱内に挿入することが行われる。この場合、小箱を外箱に対して上方から箱諸めする際に入れ易くするため、上部フラップを拡開状態に保持するフラップ拡開手段を設ける場合がある(特許文献2等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−62967号公報
【特許文献2】特開昭64−23903号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の様なフラップ拡開手段を設けていると、フラップ拡開手段を駆動するための大掛かりな装置が必要となるため、箱詰め装置の構造を複雑化する一つの要因になっている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明に係る箱詰め装置は、(1)4つの上部フラップが開いた状態の外箱に対し、複数の小箱からなる小箱群を収納する箱詰め装置であって、前記小箱群を保持すると共に、その小箱を前記外箱に向けて移動するロボットアーム装置(実施形態の「第2ロボットアーム装置16」に対応)と、を備え、前記ロボットアーム装置は、保持した前記小箱群を、隣接する2つの上部フラップに対して傾けつつ当接させることでそれら2つの上部フラップを押し広げる処理と、小箱群を開口した前記外箱に向けて前進移動して前記小箱群を供給する処理を行うようにした。
【0007】
上部フラップを拡開状態にする処理を、小箱群をその上部フラップに突き当てることで行うようにしたので、フラップ拡開装置を設けなかったり、仮に設けたとしても、たとえは実施形態に示すように、隣接する2つの上部フラップの端部に接するような簡単な機構(抑え板24等)ですむ。なお、小箱群の保持は、吸引手段で行うと簡単でよい。
【0008】
(2)前記4つの上部フラップの内、前記隣接する2つの上部フラップと異なる別の隣接する2つの上部フラップを拡開状態に保持するフラップ拡開装置を備えるとよい。また、4つの上部フラップが開いた状態の外箱に対し、複数の小箱からなる小箱群を収納する箱詰め装置であって、前記4つの上部フラップの内、隣接する2つの上部フラップを拡開状態に保持するフラップ拡開装置と、前記小箱群を保持すると共に、その小箱を前記外箱に向けて移動するロボットアーム装置と、を備え、前記ロボットアーム装置は、保持した前記小箱群を、前記隣接する2つの上部フラップと異なる別の2つの上部フラップに対して傾けつつ当接させることで、それら異なる別の2つの上部フラップを押し広げる処理と、小箱群を開口した前記外箱に向けて前進移動して前記小箱群を供給する処理を行う機能を備えるようにしてもよい。
【0009】
(3)前記押し広げる処理は、前記異なる別の2つの上部フラップの内の一方を先に押し広げ、次に残りの上部フラップを押し広げるものとするとよい。1辺ずつ押し広げる方が、簡単な制御でより確実に拡開できる。
【0010】
(4)前記ロボットアームの先端に、前記小箱群の周囲を規制するガイド(実施形態の「ガイドフレーム42」に対応)を設けるとよい。周囲が若干外方に膨らんでいるような小箱を用いる場合、ロボットアーム装置で小箱の上面を吸着してキャッチアップした際、外周に位置する小箱は外方に押されて斜めに傾いた状態になり、箱詰めがしづらくなるが、ガイドを設けることで、広がりを抑制し、スムーズに外箱内に供給することができる。
【0011】
(5)前記ガイドは着脱自在に取り付けられるようにするとよい。このようにすると、ガイドが不要な小箱群に対しては、取り外した状態で処理することができる。また、仮にガイドが必要な小箱群であっても、係る小箱群を保持するに先立ち、ガイドを外した状態にすることで、ロボットアーム装置を別の処理のために利用することができる。よって、装置の小型化が図れる。
【0012】
(6)前記ロボットアーム装置は、前記2つの上部フラップを押し広げる処理を行ったあと、これらの上部フラップ側に位置する外箱内側の角部に前記小箱群の角部を当接させ、その角部を中心に横方向に回転させることで前記小箱群の全体を前記外箱の上方に位置させ、前記小箱群を縦方向に回転させることで外箱に対して水平状態にしてから前進移動させるようにするとよい。
【0013】
(7)上記の(6)の発明を前提とし、前記小箱群の縦方向の回転を、その小箱群の中心部を中心に行うようにするとなお良い。これによって、小箱群に対してタイトなサイズの外箱であっても入れやすくなる。
【0014】
(8)本発明に係る箱詰め方法は、4つの上部フラップが開いた状態の外箱に対し、複数の小箱からなる小箱群を収納する箱詰め方法であって、ロボットアーム装置は、前記小箱群を保持した状態で、前記隣接する2つの上部フラップに対してその小箱群を当接させて、それら2つの上部フラップを押し広げ、次いで、そのロボットアーム装置は、保持した小箱群を開口した前記外箱に向けて前進移動して供給するようにした。
【0015】
(9)前記4つの上部フラップの内、前記隣接する2つの上部フラップと異なる別の隣接する上部フラップを抑え手段を用いて拡開状態に保持し、その状態で前記ロボットアーム装置による前記小箱群を前記2つの上部フラップに当接する処理を行うようにするとよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、フラップ拡開手段を設けないで済むか、仮に設けたとしてもフラップ拡開手段が簡単な構造のものを用いることができるので、箱詰め装置の構造をシンプルにしてコンパクト化を図ることができる。よって、設備全体の省スペース化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る箱詰め装置の好適な一実施形態を示す平面図である。
【図2】外箱抑え装置14並びにフラップ拡開装置23を示す拡大正面図である。
【図3】フラップ拡開装置23を示す図である。
【図4】小箱セット部15を示す図である。
【図5】小箱群を吸着する吸着ヘッド41を示す図である。
【図6】小箱群を吸着する吸着ヘッド41を示す図である。
【図7】ガイドフレーム42を示す図である。
【図8】ガイドフレーム42を小箱セット部15上に置いた状態を示す図である。
【図9】保持部17を示す図である。
【図10】保持部17を示す図である。
【図11】保持部17を示す図である。
【図12】小箱群を外箱に収納する動作を示す図である。
【図13】小箱群を外箱に収納する動作を示す図である。
【図14】小箱群を外箱に収納する動作を示す図である。
【図15】小箱群を外箱に収納する動作を示す図である。
【図16】小箱群を外箱に収納する動作を示す図である。
【図17】小箱群を外箱に収納する動作を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、本発明に係る箱詰め装置10は、複数の小箱を縦横にマトリクス状に配列した状態で、段ボールからなる外箱に収納するものである。ストッカー11内に積層状態で収納された、適宜畳み込まれたシート12を多軸の第1ロボットアーム装置13の吸着部13aで先頭から1枚ずつ吸着保持し、所定の軌跡でそのシート12を搬送しつつ、図示省略の組み立て機構で上部開口した有底の段ボールの外箱5を形成し、外箱抑え装置14上にセットする。第1ロボットアーム装置13は、本装置の機枠の天井から吊り下げられるように設置している。
【0019】
また、組み立て機構は、本実施形態では、シート12が折り畳まれた状態のものであるので、それを押し広げて矩形状の本体を形成するとともに、底になる下部フラップを内側に折り曲げる機構を含む。また、下部フラップの所定位置に接着剤を塗布し、外箱の底が抜けないようにシールする。このように接着剤を用いるのではなく、接着テープをはったり、ステープラー等で止めるようにしても良い。さらには、ワンタッチ箱のように、展開することで自動的に底板が組み上がるものを用いることで、上記の底をシールする等の処理を行わないようにすることもできる。また、本実施形態のように、折り畳まれたシートではなく、展開状態のシートを用い、それを適宜折り曲げて外箱を形成することもできる。これらに機構は公知のものを用いることができるので、図示を用いた詳細な説明を省略する。
【0020】
外箱抑え装置14は、図2に示すように、外箱5の本体部分の3つの側面の外側に接触し、をそれぞれ支える支持板21を有する。この支持板21は、スライドレール機構20により前後或いは左右方向に移動可能となり、外箱5の寸法形状に応じてその設置位置を変更可能としている。
【0021】
そして、支持板21が設けられていない側面側が、複数の小箱からなる小箱群を外箱5の本体内に収納後、当該外箱5の搬出方向となる。係る搬送方向に、図1に示すように搬出装置18が配置される。個の搬出装置18の入口側上方には、図示省略するが、外箱5の起立した4片の第1〜第4上部フラップ6a〜6dを適宜の順で折り曲げて、上部開口を閉塞する機構が配置される。搬出装置18の所定位置には、係る閉塞された第1〜第4上部フラップ6a〜6dが開かないようにするためのシール手段(接着剤・接着テープその他)が配置されている。これらの機構も、従来公知のものを用いることができるため、図を用いた詳細な説明を省略する。
【0022】
外箱抑え装置14の説明に戻る。4つの上部フラップは、説明の便宜上、搬出装置18側に位置するのが第4上部フラップ6dとなり、そこから時計方向に第1〜第3上部フラップ6a〜6cとしている。これにより、搬出装置18と反対側に位置する上部フラップは、第2上部フラップ6bとなり、搬出装置18へ外箱5を搬出する際の搬送方向右側(図2中右側)が第1上部ラップ6aで、同左側が第3上部フラップ6cとなる。
【0023】
そして、上述したように、第1ロボットアーム装置13は、外箱5の本体部分を支持板21の内面に接する所定位置に供給するが、このとき、4つの第1〜第4上部フラップ6a〜6dは、自然に起立した状態のままとし、本体部分の上方が開口した状態となっている。
【0024】
外箱抑え装置14は、この起立した第1〜第4上部フラップ6a〜6dのうち、隅部の一箇所において隣接する二枚の上部フラップを拡開状態に保持するフラップ拡開装置23を設けている。ここでは、隣接する二枚の上部フラップは、第1,第2上部フラップ6a,6bとしている。これに伴い、このフラップ拡開装置23は、係る第1,第2上部フラップ6a,6bの頂点付近の外側所定位置に起立配置された支柱22に連結される。ここで、本実施形態における拡開状態とは、第1,第2上部フラップ6a,6bが、外箱5の本体側面の延長面よりも内側に入らず、より好ましくは、少し外側に開いた状態とすることである。開く角度は、任意に設定することができる。
【0025】
フラップ拡開装置23は、図2,図3に示すように、上下方向に延びる平断面L字型の抑え板24と、その抑え板24の外面に取り付けられた拡開部材25と、抑え板24を昇降するシリンダ26と、抑え板24を上端側を基点として所定角度範囲内で回転させる回転機構と、を備えている。
【0026】
シリンダ26が支柱22に固定されており、そのシリンダ26のシリンダロッド26aの伸縮往復移動に追従して、抑え板24等が昇降する。抑え板24は、断面がL字型であり、2片が90度で直交しているため、係る直交する2片の外面にて、第1上部ラップ6aと第2上部フラップ6bの内面に接触し、係る第1,第2上部フラップ6a,6bがそれ以上内側に倒れ込まないようにしている。つまり、抑え板24のL字型に折れ曲がった部位は、外箱5の第1,第2上部フラップ6a,6bに隣接する頂点に位置するようにしている。そして、拡開部材25は、下端から上方に行くに従って、徐々に厚みが増す傾斜面25aを備えているため、図2に示す状態からさらに抑え板24が下降移動すると、第1,第2上部フラップ6a,6bは、傾斜面25aに案内されてやや外側に開く。よって、拡開状態が保持される。
【0027】
また、図3に拡大して示すように、抑え板24の上端は、連結板24aを介して回転板27に連結される。この回転板27は、モータ・シリンダ等の駆動源28に連係され、図3(a)中実線で示す下方に垂下した位置(第1位置)と、二点鎖線で示す上方に持ち上がった位置(第2位置)との間で往復移動する。これにより、例えば第1ロボットアーム装置13にて外箱5を外箱抑え装置14にセットする際には、第2位置に位置させておくことで、起立した第1,第2上部フラップ6a,6bが抑え板24に干渉することがない。その後、抑え板24を第1位置にセットし、抑え板24を下降移動することで、第1,第2上部フラップ6a,6bを拡開状態にすることができる。さらに、外箱5内に小箱群を収納したならば、フラップ拡開装置23は抑え板24が上昇すると共に回転して第2位置に至ることで、抑え板24が第1,第2上部フラップ6a,6bから離反し、外箱5が搬出可能となる。もちろん、外箱5の寸法と、抑え板24の上昇位置との関係(例えば、外箱5が低い等)で、単純に昇降移動するだけで必ずしも第2位置にしなくてもよい場合がある。
【0028】
一方、係る外箱5に収納する小箱は、図1に示す小箱セット部15に供給される。小箱は、複数の製品が収納されたものであり、本実施形態では、本装置の上流側に、係る複数の製品を小箱に収納する箱詰め装置が配置され、その箱詰め装置から順次搬出されてくる小箱を、図示省略の搬送装置にて小箱セット部15の付近まで搬送し、移し替え装置(図示省略)にて、小箱を1つずつ小箱セット部15内の所定位置にセットする。
【0029】
この小箱セット部15では、複数個の小箱をマトリクス状に整列配置した小箱群を形成する。本実施形態では、2行×5列の合計10個の小箱からなる小箱群としている。小箱セット部15内に収納されている小箱群は、本装置の機枠の天井に吊り下げるように取り付けられた多軸の第2ロボットアーム装置16にて一括して保持され、取り出される。この第2ロボットアーム装置16は、所定の軌跡で移動し、外箱抑え装置14にて開口状態で保持されている外箱5内に小箱群を供給する。第2ロボットアーム装置16は、その先端16aに小箱群を保持する保持部17を備えている。この保持部17は、小箱群を吸引して保持する吸着ヘッド41と、その吸着ヘッド41に対して着脱自在に取り付けられられるガイドフレーム42を備えている。このガイドフレーム42は、小箱群の所定の角(頂点)部分を抑え、各小箱が外に広がらないようにしている。この保持部17の具体的な構造・機能は、後述する。
【0030】
小箱セット部15は、図4に示すように、脚部31の上端に底板付きの矩形枠体32が設置され、その矩形枠体32の上面の四隅に、柱部33が起立形成されている。また、矩形枠体32の1つの長辺の外側には、帯板状のストッパー板35を起立形成している。矩形枠体32の4辺の上方・側面は開放しているので、ストッパー板35の対辺側から小箱が1つずつ順に供給される。また、この矩形枠体32は、図示省略の駆動機構により、長辺に沿って前後進移動可能となっている。上記の移し替え装置による小箱の小箱セット部15内の所望位置へのセットは、この矩形枠体32の前後進移動を行いつつ行う。
【0031】
つまり、移し替え装置は、小箱セット部15の所定の側面、すなわち、矩形枠体32の上記の対辺側から1個の小箱を挿入する。次いで、移し替え装置は、同一位置から小箱を1個分挿入する。すると、前回の処理で挿入した小箱を奥に押しながら今回の処理対象の小箱を1個分挿入する。これにより、短辺に沿って2個の小箱が整列してセットされ、1列分(2行)の小箱のセットが完了する。次いで、矩形枠体32を小箱の幅1個分長辺方向に前進移動した後、移し替え装置は、上記の2個分の小箱の挿入を行う。これにより、次の列の小箱のセットが完了する。これを5回繰り返すことで、2行・5列の合計10個の小箱が、マトリクス状にきれいに配列された状態で小箱セット部15内にセットされる。なお、図示省略するが、矩形枠体32に連結されてはいないが、所望の辺の外側にガイドプレートを配置し、セットした小箱が矩形枠体32の外側に離脱するのを抑制するようにするとよい。
【0032】
さらに、本実施形態では、図4に示すように、ストッパー板35を取り付けていない矩形枠体32の3つの辺には、外側に突出して係止ガイド部材34を設けている。第2ロボットアーム装置16の保持部17の吸着ヘッド41から離脱したガイドフレーム42は、この小箱セット部15の4つの柱部33の上端で支持されると共に、それら係止ガイド部材34にて保持される。
【0033】
一方、第2ロボットアーム装置16の保持部17を構成する吸着ヘッド41は、図5,図6に示すようになっている。すなわち、吸着ヘッド41は、ベース板43の下面に、複数の吸引ノズル44を設けている。吸引ノズル44は、小箱の上面に接触し、それぞれを吸着する。ベース板43の上面側には、2本のシリンダ45をシリンダロッドの向きを反対にするとともに平行に配置し、そのシリンダ45のシリンダロッドの先端には、連結板46を取り付ける。さらに、この取付板46の先端の両側縁近傍には、2つのピン47をそれぞれ設けている。2つのシリンダ45は同期して伸縮駆動し、それぞれのシリンダロッドの先端に取り付けた連結板46も同期して接近/離反移動する。つまり、図6(a)に示すように、連結板46が互いに離反した状態では、連結板46の外面ひいてはピン47が、ベース板43の外周縁よりも外側に突出した状態となる。この状態からシリンダ45が動作し、シリンダロッドを収縮移動させると、図6(b)に示すように連結板46は互いに接近し、ピン47もベース板43の外周縁よりも内側に位置した状態となる。さらに、連結板46は、その下面中央部位にて、ベース板43の上面に設けたガイドレール49に連係される。これにより、連結板46は、そのガイドレール49に沿って安定した姿勢を保持したまま往復移動する。
【0034】
さらにベース板43の上面の頂点付近には、吸引ポンプ(図示せず)に繋がるホース48の一端を取り付けている。このホース48は、ベース板43内の空気通路を介して各吸引ノズル44に連係される。よって、吸引ポンプを動作させることで、吸引ノズル44の先端に負圧を生じさせ、小箱を吸引保持することができる。
【0035】
また、保持部17を構成するガイドフレーム42は、図7に示すように、矩形状の枠体50の3つの頂点の外側に、下方に延びるようにガイドアーム52を垂下形成している。ガイドアーム52は、横断面がL字状となる。また、枠体50の長辺側の内周面には、円板状のピン受け部51を備え、そのピン受け部51の中心には、ピン挿入用穴部51aを設けている。このピン挿入用穴部51aは、吸着ヘッド41に設けたピン47に対向する位置に設けられる。
【0036】
よって、図9(a)に示すように、連結板46が互いに接近し、ピン47がピン挿入用穴51aから離反した状態の時は、ガイドフレーム42と吸着ヘッド41は分離している。一方、連結板46が離反し、ピン47がピン挿入用穴部51aに符合すると、吸着ヘッド41と一体化する。
【0037】
また、上述したように、このガイドフレーム42は、吸着ヘッド41から離脱することができ、その離脱した際には、図8に示すように小箱セット部15の矩形枠体32の四隅に起立形成された柱部33に支持させる。また、このとき、係止ガイド部材34の上端に設けたフリーローラ34aが、ガイドフレーム42の枠体50の外面に接触して支えることになる。
【0038】
そして、小箱セット部15に10個の小箱1がセットされたならば、ガイドフレーム42を装着した吸着ヘッド41が係る10個の小箱1からなる小箱群2の上方に位置させ、複数の吸引ノズル44が、対向する小箱1の上面に接触すると共に吸引することで吸着保持する。また、このとき図10に示すように、ガイドフレーム42の3つの頂点に設けたガイドアーム52にて、小箱群2の3つの頂点が支持される。このようにガイドフレーム42が、小箱群2の3つ頂点に接触し、小箱群2が外に広がらないように抑える。
【0039】
つまり、吸着ヘッド41は、小箱1の上面にのみ接触するので、小箱群2の下端側がフリー状態となる。そのため、ガイドレール42がないと、図11に示すように小箱群2の側面が、外にふくらむようになり、そのままでは、外箱内へのスムーズな供給ができなくなる。しかし、本実施形態では、ガイドフレーム42にて小箱群2の3つの角を抑えるため、図10に示すように、きれいに整列した状態とすることができる。
【0040】
次に、図12から図17に基づき、小箱群2の外箱5内への供給作業を説明する。小箱セット部15内に10個の小箱1がセットされたならば、第2ロボットアーム装置16は、その先端に吸着ヘッド41とガイドフレーム42からなる保持部17を備えた状態で小箱セット部15の真上から小箱群2に向けて保持部17を下降する。このとき、小箱群2の3つの頂部にガイドアーム52を合わせ、吸引ノズル44を小箱群2の上面に接触すると共に吸引することで、図10に示すように小箱群2がふくらむのを防止しつつ保持部17に小箱群2を吸引保持する。
【0041】
次いで、第2ロボットアーム装置16を適宜の軌跡で保持部17を外箱抑え装置14の真上に位置させる(図12参照)。外箱抑え装置14には、事前に外箱5を第1〜第4上部フラップ6a〜6dが開いた状態でセットする。つまり、第1,第2上部フラップ6a,6bは、フラップ拡開装置23にて拡開状態に保持される。また、第2ロボットアーム装置16は、ガイドアーム52を設けていない保持部17の頂点がフラップ拡開装置23と対角線上、つまり、第4上部フラップ6dと第3上部フラップ6cとの隣接する頂点に位置するようにセットする。
【0042】
次に、図13に示すように、第2ロボットアーム装置16は、第3上部フラップ6c側の小箱群2の側面を斜め下に傾けながら下降移動させ、当該小箱群2の側面を第3上部フラップ6cに接触させることで当該第3上部フラップ6cを拡開する(押し広げる)。
【0043】
次いで、図14に示すように、第2ロボットアーム装置16は、小箱群2の第4上部フラップ6d側の側面を斜め下に傾斜させながら下降移動することで、当該側面を第4上部フラップ6dに突き当ててそれを外に向けて拡開する(押し広げる)。
【0044】
その後、第2ロボットアーム装置16は、保持部17を適宜回転させて小箱群2を水平状態に戻すとともに、小箱群2を外箱5の本体部分の開口部位に位置合わせをする(図15参照)。この状態では、第1,第2上部フラップ6a,6bはフラップ拡開装置23にて拡開状態に保持され、第3,第4上部フラップ6c,6dは、上述した小箱群2の側面を押し当てる処理で拡開状態にされる。
【0045】
そして、図16に示すように第2ロボットアーム装置16は、小箱群2を下降移動する。4つの上部フラップ6a〜6dは拡開状態になっていると共に、ガイドアーム52により小箱群2の下方のふくらみが抑制されているので、スムーズに外箱5内に挿入される。なお、第3,第4上部フラップ6c,6dは、一旦小箱群2で押し広げられた後、小箱群2が離反するため開き角度が少し戻る場合もあるが、小箱群2が離反した後、小箱群2はすぐに図16に示す位置・姿勢で下降移動するため、拡開状態が保持された状態のまま当該下降移動処理を実行することができる。また、そのように一旦離反させるのではなく、第3,第4上部フラップ6c,6dを押し広げたならば、その接触して押し広げた状態を保持品から姿勢を垂直になるとともに下降移動することで外箱5の本体内に小箱群2を供給するようにしても良い。
【0046】
また、小箱群2の下方がある程度外箱5内に挿入されたならば、吸引を解除する。すると小箱群2は保持部17(吸引ノズル44)から離脱し、自重による自然落下し、最終的に図17に示すように、小箱群2を完全に外箱5内に収納される。これにより、小箱群2の外箱5内への収納処理が完了する。なお、小箱群2を保持部17から離脱させるときに、吸引ノズル44からエアを噴出させるようにすれば吸引ノズル44内が負圧になることを防止でき、小箱群2をスムーズに離脱させることができる。
【0047】
すなわち、本実施形態では、4つの上部フラップ6a〜6dが開いた状態の外箱5に対し、複数の小箱1からなる小箱群2を収納するに際し、第1,第2上部フラップ6a,6bを抑え板を用いて拡開状態に保持し、ロボットアーム装置の吸着ヘッド41で保持した小箱群を傾けながら下降移動させて第3上部フラップ6cに対して当接させて押し広げ、次いで傾き方向を変えて小箱群にて第4上部フラップ6d押し広げることで、外箱の上方を広く開放する。その後、小箱群の姿勢を垂直に戻し、外箱の開口部位に合わせて下降移動させて収納するようにした。
【0048】
その後、フラップ拡開装置23の抑え板24は、第2位置に至り第1,第2上部フラップ6a,6bの拡開状態の保持が解消され、外箱5は次段の搬出装置18に移し替えられ、その搬出装置18上を移動する際に、各上部フラップ6a〜6dが閉じられる。また、第2ロボットアーム装置16は、次の小箱群2の移し替えに備え、保持部17を小箱セット部15側に復帰する。また、次の小箱2の小箱セット部15へのセットに先立ち、第2ロボットアーム装置16は、ガイドフレーム42を小箱セット部15上にセットすると共に、吸着ヘッド41からガイドフレーム42を離脱させる。これにより、ガイドフレーム42は、図8に示すような状態になる。
【0049】
また、このようにガイドフレーム42を離脱させることで、例えば、第2ロボットアーム装置16を、第1ロボットアーム装置13の機能を兼用させ、第1ロボットアーム装置を設けないようにすることもできる。これにより、よりコンパクトな装置となる。
【0050】
第2ロボットアーム装置16の小箱群2を用いた外箱に対する処理であるが、例えば、2つの上部フラップ(第3,第4上部フラップ6c,6d)を押し広げる処理を行ったあと、これらの上部フラップ側に位置する外箱5の内側の角部に対向する小箱群2の角部を当接させ、その角部を中心に横方向に回転させることで小箱群2の全体を外箱の上方に位置させ、次いで、小箱群を縦方向に回転させることで外箱に対して水平状態にしてから前進移動させるような動作を行いようにしてもよい。この場合に、小箱群2の縦方向の回転を、その小箱群2の中心部を中心に行うようにするとよい。このようにすれば、小箱群2の回転半径が小さくて済むため外箱5の内面に干渉しにくくなり、スムーズに箱詰めを行うことができる。
【符号の説明】
【0051】
1 小箱
2 小箱群
5 外箱
6a〜6d 第1〜第4上部フラップ
10 箱詰め装置
11 ストッカー
12 シート
13 第1ロボットアーム装置
14 外箱抑え装置
15 小箱セット部
16 第2ロボットアーム装置
17 保持部
18 搬出装置
23 フラップ拡開装置
41 吸着ヘッド
42 ガイドフレーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
4つの上部フラップが開いた状態の外箱に対し、複数の小箱からなる小箱群を収納する箱詰め装置であって、
前記小箱群を保持すると共に、その小箱を前記外箱に向けて移動するロボットアーム装置と、を備え、
前記ロボットアーム装置は、保持した前記小箱群を、隣接する2つの上部フラップに対して傾けつつ当接させることでそれら2つの上部フラップを押し広げる処理と、小箱群を開口した前記外箱に向けて前進移動して前記小箱群を供給する処理を行うことを特徴とする箱詰め装置。
【請求項2】
前記4つの上部フラップの内、前記隣接する2つの上部フラップと異なる別の隣接する2つの上部フラップを拡開状態に保持するフラップ拡開装置を備えたことを特徴とする請求項1に記載の箱詰め装置。
【請求項3】
前記押し広げる処理は、前記異なる別の2つの上部フラップの内の一方を先に押し広げ、次に残りの上部フラップを押し広げるものであることを特徴とする請求項1または2に記載の箱詰め装置。
【請求項4】
前記ロボットアームの先端に、前記小箱群の周囲を規制するガイドを設けることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の箱詰め装置。
【請求項5】
前記ガイドは着脱自在に取り付けられることを特徴とする請求項4に記載の箱詰め装置。
【請求項6】
前記ロボットアーム装置は、前記2つの上部フラップを押し広げる処理を行ったあと、これらの上部フラップ側に位置する外箱内側の角部に前記小箱群の角部を当接させ、その角部を中心に横方向に回転させることで前記小箱群の全体を前記外箱の上方に位置させ、前記小箱群を縦方向に回転させることで外箱に対して水平状態にしてから前進移動させるようにしたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の箱詰め装置。
【請求項7】
前記小箱群の縦方向の回転を、その小箱群の中心部を中心に行うことを特徴とする請求項6に記載の箱詰め装置。
【請求項8】
4つの上部フラップが開いた状態の外箱に対し、複数の小箱からなる小箱群を収納する箱詰め方法であって、
ロボットアーム装置は、前記小箱群を保持した状態で、前記隣接する2つの上部フラップに対してその小箱群を当接させて、それら2つの上部フラップを押し広げ、
次いで、そのロボットアーム装置は、保持した小箱群を開口した前記外箱に向けて前進移動して供給することを特徴とする箱詰め方法。
【請求項9】
前記4つの上部フラップの内、前記隣接する2つの上部フラップと異なる別の隣接する上部フラップを抑え手段を用いて拡開状態に保持し、
その状態で前記ロボットアーム装置による前記小箱群を前記2つの上部フラップに当接する処理を行うことを特徴とする請求項8に記載の箱詰め方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2011−84332(P2011−84332A)
【公開日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−240889(P2009−240889)
【出願日】平成21年10月19日(2009.10.19)
【出願人】(000003665)株式会社ツムラ (43)
【出願人】(000206093)大森機械工業株式会社 (138)
【Fターム(参考)】