説明

節水コマ

【課題】本発明は、上水道蛇口や水洗式トイレ等の流水経路に使用される節水型フラッシュバルブにおいて、簡単な施工により確実に一定以上の節水効果が得られるようにした節水型フラッシュバルブを提供する。
【解決手段】本発明の節水コマは、吐水管5に内嵌されるコマ本体12と、該コマ本体12の前記吐水管端部の全周にわたって突設された外鍔部13とを有し、コマ本体12の中央には上下に貫通する直線形のオリフィス14が形成され、該オリフィス14によって弁ケース1と前記吐水管5とが連通されている節水コマ11において、前記外鍔部13の外周は、前記吐水管5の外周と同一径に形成され、コマ本体12の外周面に前記吐水管5の内周面が密接内嵌することにより前記吐水管5に前記節水コマ11が固定されたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上水道蛇口や水洗式トイレ等の流水経路に使用される節水コマに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水栓器具や水放出器具類の流水経路や業務用の流体設備を備える装置類の流水経路に、簡単な施工により確実に一定以上の節水効果が得られるようにした節水型フラッシュバルブが知られている(特許文献1を参照)。
この従来技術では、図8に示すように、節水コマ(12)は、吐水側ユニオン継手(23)のユニオンつば(24)が形成される吐水管の端部からなるナット側管体(25)に内嵌された本体(15)と、この本体(15)の給水側の端部から全周にわたって突設された外つば部(16)とを有し、本体(15)内には流路断面積が一様な2本の直線形のオリフィス(17)が形成され、このオリフィス(17)によって給水側と吐水側とが連通されているものであり、前記外つば部(16)は、吐水管側のナット側管体(25)と弁ケース(2)側のネジ側管体(25)との間に挟まれ、ナット側管体(25)に回転自在に外嵌されたユニオンナット(26)をネジ側管体(25)に形成したユニオンネジに螺締することによりユニオン継手(23)内に固定されるものである。
吐水管(洗浄管)の袋ナットの部分に取付けする従来製品は、組込の際、吐水管(洗浄管)が節水コマのつばに当たり、漏水防止用のパッキンの厚み以上、吐水管(洗浄管)を挿入することができないため、吐水管(洗浄管)が若干でも鉛直よりずれて挿入されると、パッキンが正規の取付け方でないため漏水の危険性が高い。
【0003】
また、吐水管(洗浄管)の袋ナットの部分に取付けする従来製品は、吐水管(洗浄管)が節水コマのつばに当たるため、既存の状態で吐水管(洗浄管)が、フラッシュバルブ内部に深く挿入されていた場合、組込の際、節水コマのつばに当たらないように吐水管(洗浄管)を短く切断する必要があるため、施工性が悪い。
さらに、施主の希望で後日節水コマの取り外し等の現況回復を求められた場合、吐水管(洗浄管)を切断してしまっているため、吐水管(洗浄管)を新たに購入し交換する必要も生じるため、無駄な経費も生じてしまう。
水栓器具や水放出器具類において、流体に所定大の異物が混入しても流体放出に影響されずに流量抑制の効果の維持を図る流量抑制コマが知られている(特許文献2を参照)。
この公知技術は、図9に示すように、円柱形状の本体(12)の所定位置上方側周には遮蔽部であるフランジ(13)が一体的に形成されており、外部形状上当該フランジ(13)の上方側を流入側(12A)とし、下流側を流出側(12B)として仕切っており、流入側(12A)では平面上中央部分に流入口(14)が形成され、当該流入口(14)を含んで十字状に流入溝(15)が形成されるものである。
その目的として、従来の節水コマにおける、下記の問題点を改善するために開発した。
1.構造上の問題から、漏水の危険性が高い。
2.取付け位置の関係から、施工性が悪い。
3.従来型の一般水栓・シャワー用の節水コマは、オリフィス部分の通水路が短く、かつ金属製だったために吐水時に流水騒音を発生させるものが多かった。
【特許文献1】特開平9−60749号公報
【特許文献2】登録実用新案第3060033号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、水洗式トイレ等の流水経路に使用される節水型フラッシュバルブにおいて、従来の節水コマより、漏水の危険性がなく、かつ施工性の向上により確実に一定以上の節水効果が得られるようにした節水コマを提供することを目的とする。
さらに、一般水栓・シャワー用の節水コマ取付け時の流水騒音を抑えることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の節水コマは、吐水管に内嵌されるコマ本体と、該コマ本体の前記吐水管先端部の全周にわたって突設された外鍔部とを有し、コマ本体の中央には上下に貫通する直線形のオリフィスが形成され、該オリフィスによって弁ケースと前記吐水管とが連通されている大便器フラッシュバルブ用節水コマにおいて、前記外鍔部の外周は、前記吐水管の外周と同一径に形成され、コマ本体の外周面に前記吐水管の内周面が密接内嵌することにより前記吐水管に前記節水コマが固定されたものである。
前記節水コマの材質は、合成樹脂である。
本発明の節水コマは、コマ本体と、該コマ本体の中央には上下に貫通する直線形のオリフィスが形成され、該オリフィスによって弁ケースと前記吐水管とが連通されている一般水栓・シャワー用節水コマにおいて、前記コマ本体から延びる通水管を設けてオリフィス部分の通水路を長くすることにより、吐水した時の流水音を軽減するものである。
前記節水コマの材質は、合成樹脂である。
【発明の効果】
【0006】
本発明の節水コマは、吐水管に内嵌されるコマ本体と、該コマ本体の前記吐水管先端部の全周にわたって突設された外鍔部とを有し、コマ本体の中央には上下に貫通する直線形のオリフィスが形成され、該オリフィスによって弁ケースと前記吐水管とが連通されているものにおいて、前記外鍔部の外周は、前記吐水管の外周と同一径に形成され、コマ本体の外周面に前記吐水管の内周面が密接内嵌することにより前記吐水管に前記節水コマが固定されているため、節水コマの取付け位置が、吐水管(洗浄管)の先端部分になるため、漏水防止のパッキンがその性能を十分発揮できるので(パッキンがフラッシュバルブの正規の取り付け方になる)ため、吐水管(洗浄管)の挿入角度が鉛直より多少ずれていても漏水はしない。
本発明の節水コマは、節水コマが固定された吐水管と弁ケースとの接続において、弁ケースの吐水側には外周に山ネジを切った吐水側接続管が一体形成され、一方ユニオン継手の吐水管側には、吐水管の外周に内接する前記吐水側接続管の厚み寸法のフランジを形成し、前記ユニオン継手の内周面には、前記吐水側接続管の山ネジに螺合する谷ネジが形成され、そして前記吐水側接続管の端部と前記ユニオン継手のフランジとの間には、ゴム製Оリングと金属製円環プレートを配置し、前記吐水側接続管にユニオン継手が螺合され、前記ユニオン継手の締め付けによりゴム製Оリングと金属製円環プレートによって液密に固定されるため、節水コマの取付け位置が、吐水管(洗浄管)の先端部分になるため、既存の状態で吐水管(洗浄管)が、フラッシュバルブ内部に深く挿入されていた場合でも、吐水管(洗浄管)を切断等の加工をする必要がなく簡単に取り付けできる。
また、施主の希望で後日節水コマの取り外し等の現況回復を求められた場合でも原状回復は節水コマを外すだけなので、施工性も良く、吐水管(洗浄管)を新たに購入し交換する必要もないため、無駄な経費も生じない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の節水コマの一実施例を添付図面に基づいて、以下に説明する。
従来の節水型フラッシュバルブは、弁ケース内に主弁と、パイロット弁と、このパイロット弁に連結されたステムとが収納され、弁ケースの前面に進退可能に支持させた押ボタン又はハンドルレバーにより押し込むことによりパイロット弁を開弁させ、主弁の給水側と吐水側との差圧により前記主弁を開弁させて給水側から吐水側に水を流すようになっている。
図1に示すように、弁ケース1の吐水管5側には、拡大断面図に示すように外周に山ネジ2を切った吐水側接続管3が一体に形成され、該吐水側接続管3にはユニオン継手4が螺合される。
前記ユニオン継手4の吐水管5側には、吐水管5の外周に内接する前記吐水側接続管3の厚み寸法のフランジ6を形成し、前記ユニオン継手4の内周面には、前記吐水側接続管3の山ネジ2に螺合する谷ネジ7を設ける。
そして、前記吐水側接続管3の端部8と前記ユニオン継手4のフランジ6との間には、ゴム製Оリング9と金属製円環プレート10が挟持される。すなわち、下からユニオン継手4のフランジ6、ゴム製Оリング9、金属製円環プレート10、吐水側接続管3の端部8の順となり、前記弁ケース1と前記吐水管5との液密はユニオン継手4の締め付けにより保証される。
【0008】
本発明の節水コマ11は、図2に示すように、前記吐水管5に内嵌されるコマ本体12と、該コマ本体12の前記吐水管5先端部の全周にわたって突設された外鍔部13とを有し、コマ本体12の中央には上下に貫通する直線形のオリフィス14が形成され、該オリフィス14によって前記弁ケース1と前記吐水管5とが連通されているものである。
前記外鍔部13の外周は、前記吐水管5の外周と同一径に形成され、コマ本体12の外周面に前記吐水管5の内周面が密接内嵌することにより前記吐水管5内に前記節水コマ11が固定されるものである。
【0009】
本発明で使用する節水コマ11の材質については、金属製や樹脂製品の試作品を製作し施工性及び取付け状態等を多面的に検討したが、金属製の場合、1)吐水管の内面に吐水管を変形させずに取付けられるための節水コマの加工はとても難しく、出来たとしても高度な加工精度が求められるため、製造コストが上がる。2)吐水管が金属のため節水コマの使用材質により異種間金属の密着で生じる電蝕が起きる可能性がある。3)加工精度が落ちて、吐水管内面との径が合わない場合、取り付けができなかったり、小さすぎる場合は吐水時に吐水管と節水コマが振動し、異音が発生する。
樹脂製の場合、1)節水コマがある程度変形できる性質があるので、吐水管内面の寸法に吐水管を傷つけることなく取付けることが出来る。2)異種金属の間でおきる電蝕の心配は樹脂製の場合皆無である。3)金属製より加工精度が落ちる心配が少ない。
以上の理由及び対給湯温度に対する耐性そして水流水圧に耐えうる強度の点から、ポりアセタール樹脂(ガラス繊維入り)が最適な素材である。
【0010】
次に、本発明の節水コマを使用した組立施工について、図面に基づいて以下に説明する。
図3の分解斜視図に示すように、吐水管5の先端開口部内に節水コマ11のコマ本体12を嵌合して節水コマ11の外鍔部13が前記吐水管5の先端部に突き当たるまで挿入し、前記節水コマ11を前記吐水管5の先端部に固定する(図1の拡大断面図に示す状態となる)。
次に、ユニオン継手4のフランジ6を下側にして前記吐水管5に嵌合し、図3に示す順にゴム製Оリング9、金属製円環プレート10を前記吐水管5に嵌入する(ゴム製Оリング9、金属製円環プレート10はフランジ6に突き当たる)。
そして、図1に示すように、弁ケース1内のストッパー15に当接するまで吐水管5の先端を挿入すると、前記吐水管5の外周に嵌合しているゴム製Оリング9、金属製円環プレート10が弁ケース1の吐水管側接続管3の端部8に当接した状態となる。
この状態で、ユニオン継手4の谷ネジ7を前記吐水側接続管3の山ネジ2に螺合して前記ゴム製Оリング9、金属製円環プレート10をユニオン継手4のフランジ6により締め付け液密に固定する。
前記吐水管5先端部は前記吐水側接続管3内に挿入されており、前記吐水管5のガタツキは生じない。
これで、本発明の節水型フラッシュバルブを使用した組立施工が完了する。
【0011】
さらに、節水コマ11のその他の実施例について、図面を示す。
図4は、図2の節水コマ11の(a)平面図、(b)正面図、(c)底面図、(d)断面図を示したものである。
図5は、図2の節水コマ11に改良を加え、挿入側先端をクサビ状にして挿入しやすくし、さらに外周壁に縦方向の突条を複数個設けて抜け難くしたもので、(a)平面図、(b)正面図、(c)底面図、(d)断面図である。
図6は、水道の蛇口に使用される節水コマで、(a)平面図、(b)正面図、(c)底面図、(d)断面図である。
図7は、水道の蛇口に使用される他の節水コマで、(a)平面図、(b)正面図、(c)底面図、(d)断面図である。
【0012】
一般水栓・シャワー用の節水コマの場合、従来品の節水コマは図6のように通水路が短いため、流水騒音を発生させるものが多かったが、図7のようにコマ本体から延びる通水管を設けてオリフィス部分の流水路を長く加工し直したことにより、実験の結果流水騒音を抑えることができた。また、騒音対策で使用素材についても、金属製より樹脂製の方が吐水時の流水水圧による吐水口と節水コマのぶつかりによる異音も少ないので大便器フラッシュバルブ用節水コマ製作と同じ素材のポリアセタール樹脂(ガラス繊維入り)が最適であるという結論に達した。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】節水型フラッシュバルブの拡大断面図である。
【図2】本発明の節水コマの断面図である。
【図3】吐水管と節水コマ、ゴム製Оリング、金属製円環リングの連結を示す分解斜視図である。
【図4】実施例で説明した節水コマの説明図である。
【図5】他の節水コマの説明図である。
【図6】水道の蛇口に使用される節水コマの説明図である。
【図7】水道の蛇口に使用される他の節水コマの説明図である。
【図8】従来の節水型フラッシュバルブの断面図である。
【図9】従来の流量抑制コマの斜視図である。
【符号の説明】
【0014】
1 弁ケース
2 山ネジ
3 吐水側接続管
4 ユニオン継手
5 吐水管
6 フランジ
7 谷ネジ
8 端部
9 ゴム製Оリング
10 金属製円環プレート
11 節水コマ
12 コマ本体
13 外鍔部
14 オリフィス
15 ストッパー片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吐水管に内嵌されるコマ本体と、該コマ本体の前記吐水管先端部の全周にわたって突設された外鍔部とを有し、コマ本体の中央には上下に貫通する直線形のオリフィスが形成され、該オリフィスによって弁ケースと前記吐水管とが連通されている大便器フラッシュバルブ用節水コマにおいて、
前記外鍔部の外周は、前記吐水管の外周と同一径に形成され、コマ本体の外周面に前記吐水管の内周面が密接内嵌することにより前記吐水管に前記節水コマが固定されたことを特徴とする節水コマ。
【請求項2】
前記節水コマの材質は、合成樹脂であることを特徴とする請求項1記載の節水コマ。
【請求項3】
コマ本体と、該コマ本体の中央には上下に貫通する直線形のオリフィスが形成され、該オリフィスによって弁ケースと吐水管とが連通されている一般水栓・シャワー用節水コマにおいて、
前記コマ本体から延びる通水管を設けてオリフィス部分の通水路を長くすることにより、吐水した時の流水音を軽減することを特徴とする節水コマ。
【請求項4】
前記節水コマの材質は、合成樹脂であることを特徴とする請求項3記載の節水コマ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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