説明

節電材の製造方法及び節電方法

【課題】有用微生物が発酵によって生成する物質を利用することにより、配電設備での電力消費を抑制することができる節電材の製造方法、及び該節電材を用いることにより、手軽に消費電力を削減することができる節電方法を提供する。
【解決手段】有用微生物で米ぬかを発酵させた発酵物と有用微生物の発酵によって生成される抗酸化物質を含ませた粘土を焼成した焼成物を粉砕した粉末とを混合した混合物を結合剤及び有用微生物の発酵液で固めて布状材で巻いて帯状に形成することにより、節電材1を製造する。節電材1を家屋内の分電盤2内に設置することにより、配電器21での漏電等による無駄な電力消費を抑制し、余分な電力を消費することなく、家庭での消費電力を削減することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、節電機能を有する節電材の製造方法、及び該節電材を用いた節電方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電力線によって各家庭に配電された電力は、家屋外のトランスで降圧され、降圧された電力は家屋内に設置された配電設備によって分岐され、分岐された電力が家屋内の配線を通じて各電気機器へ供給される。家庭での電気料金は、家庭内で使用された電気機器での消費電力に応じて定められる。各家庭での消費電力を削減することは、電気料金を削減することになって家計に経済上のメリットがあり、また社会的には省エネルギーというメリットがある。そこで、家庭での消費電力を削減する技術が様々に開発されている。特許文献1には、配電設備と電気機器である負荷との間に節電を行うための装置を設けて消費電力を削減する技術の例が開示されている。
【特許文献1】特開2003−333750号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、家屋内の分電盤等の一般的な配電設備では、漏電等によって電力が消費され、電気機器を利用しなくとも配電設備での電力消費によって消費電力が増加している。また節電を行うための装置を設ける従来の技術では、設けた装置が電力を消費する可能性がある。また節電を行うための装置を設けるためには電気の知識が必要であり、装置を設けるために煩わしい手間が掛かるという問題がある。
【0004】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、放線菌及び光合成菌等の人体に有用な微生物である有用微生物が発酵によって生成する物質を利用することにより、配電設備での電力消費を抑制することができる節電材の製造方法、及び該節電材を用いることにより、余分な電力を消費することなく、手軽に消費電力を削減することができる節電方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1発明に係る節電材の製造方法は、乳酸菌、酵母菌、放線菌及び光合成菌を含む微生物の培養液と米ぬかと水と糖蜜とを混合して室温で発酵させた発酵物を生成し、前記微生物の発酵によって生成した抗酸化物質を含ませた粘土を焼成した焼成物を粉砕した粉末と、前記発酵物とを混合した混合物を生成し、生成した前記混合物を固めた節電材を製造することを特徴とする。
【0006】
第1発明においては、乳酸菌、酵母菌、放線菌及び光合成菌を含む微生物の培養液で米ぬか及び糖蜜を発酵させた発酵物と、前記微生物の発酵によって生成した抗酸化物質を含ませた粘土を焼成した焼成物を粉砕した粉末とを混合した混合物を固めることによって、節電効果を奏する節電材を製造する。
【0007】
第2発明に係る節電材の製造方法は、乳酸菌、酵母菌、放線菌及び光合成菌を含む微生物の培養液、水並びに糖蜜を実質的に1:100:1の体積比率で混合した混合液と米ぬかとを水分の体積比率が実質的に65%になるように混合して室温で発酵させた発酵物を生成し、前記微生物の発酵によって生成した抗酸化物質を含ませた粘土を焼成した焼成物を粉砕した粉末を、前記発酵物に実質的な重量比10%で混合した混合物を生成し、生成した前記混合物を固めた節電材を製造することを特徴とする。
【0008】
第2発明においては、乳酸菌、酵母菌、放線菌及び光合成菌を含む微生物の培養液、水並びに糖蜜を所定の比率で混合して発酵させた発酵物に対して、前記微生物の発酵によって生成した抗酸化物質を含ませた粘土を焼成した焼成物を粉砕した粉末を所定の比率で混合し、混合した混合物を固めることによって、節電効果を奏する節電材を製造する。
【0009】
第3発明に係る節電材の製造方法は、生成した前記混合物を固める際に、糊を用いた結合剤と前記微生物の発酵液とを前記混合物に掛けて乾燥させることによって前記混合物を固め、固めた前記混合物を布状材で巻いて帯状に形成することを特徴とする。
【0010】
第3発明においては、有用微生物で米ぬかを発酵させた発酵物と有用微生物の発酵によって生成される抗酸化物質を含ませた粘土を焼成した焼成物を粉砕した粉末とを混合した混合物を結合剤及び有用微生物の発酵液で固めて布状材で巻いて帯状に形成することにより、節電材を製造する。
【0011】
第4発明に係る節電方法は、第1乃至第3発明のいずれか一つに係る節電材の製造方法で製造される節電材を配電設備付近に設置することを特徴とする。
【0012】
第5発明に係る節電方法は、第1乃至第3発明のいずれか一つに係る節電材の製造方法で製造される節電材を分電盤内に設置することを特徴とする。
【0013】
第4及び第5発明においては、家屋内に設置された分電盤内等、電力を配電する配電設備の付近に節電材を設置することにより、漏電等による無駄な電力消費を抑制して、消費電力を削減する。
【発明の効果】
【0014】
第1、第2、及び第3発明にあっては、有用微生物で米ぬかを発酵させた発酵物と有用微生物の発酵によって生成される抗酸化物質を含む焼成物の粉末とを混合した混合物を固めて節電効果を奏する節電材を製造することによって、節電を行うための装置を用いるために必要な無駄な電力消費及び電気の知識を必要とすることなく、手軽に消費電力の削減を可能にすることができる。
【0015】
第4及び第5発明にあっては、家屋内に設置された分電盤内等、電力を配電する配電設備の付近に節電材を設置することにより、消費電力を削減することができるので、電気料金を削減することができると共に、省エネルギーを実現することができる等、本発明は優れた効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下本発明をその実施の形態を示す図面に基づき具体的に説明する。
まず、本発明の節電材の製造方法を説明する。乳酸菌、酵母菌、放線菌及び光合成菌を含む微生物の培養液と水と糖蜜とを約1:100:1の体積比率で混合した混合液を生成する。次に、生成した混合液と米ぬかとを水分が約65%になるように混合し、混合した混合物を室温で発酵させて、発酵物を生成する。乳酸菌、酵母菌、放線菌及び光合成菌は、有用微生物として知られる微生物群である。糖蜜及び米ぬかは、微生物の発酵に必要な多糖及びミネラルを含んでおり、また安価な材料である。微生物の培養液と水と糖蜜との混合比は、体積比率で1:100:1であることが望ましく、混合液と米ぬかとは水分が65%になるように混合することが望ましいが、その他の混合比であっても、節電材を製造することはできる。
【0017】
次に、乳酸菌、酵母菌、放線菌及び光合成菌を含む微生物の発酵によって生成した抗酸化物質を含ませた粘土を焼成した焼成物を粉砕した粉末を、前記発酵物に実質的な重量比10%で混合した混合物を生成する。次に、生成した混合物を紙又は布等の布状材の上に置き、糊を用いた結合剤と、乳酸菌、酵母菌、放線菌及び光合成菌を含む微生物の発酵液とを混合物に掛け、乾燥させて混合物を固める。次に、固めた混合物を布状材で巻いて帯状に形成することによって、節電材を製造する。
【0018】
図1は、本発明の節電材の製造方法で製造された節電材1の外観を示す模式図である。節電材1は、有用微生物で米ぬかを発酵させた発酵物と抗酸化物質を含ませた粘土を焼成した焼成物を粉砕した粉末とを混合した混合物を結合剤及び有用微生物の発酵液で固めたものを布状材で巻いた構成となっており、全体的に寸胴の帯状の形状となっている。節電材1の両端は閉じられており、節電材1の中身があふれないようになっている。節電材1の中身は、米ぬかの発酵物と焼成物の粉末との混合物を結合剤及び発酵液で固めたものであって、粉体が凝集してある程度固まったものであるので、節電材1は、堅さ及び弾性に乏しく、ある程度の変形が可能である。
【0019】
図2は、節電材1を用いた本発明の節電方法の例を示す模式図である。本発明の節電方法では、図2に示すように、家屋内に設置されている分電盤2内に節電材1を設置する。分電盤2には、家屋外から供給された電力を分岐して家屋内の各電気機器へ配電する配電器21が設けられており、分電盤2内に節電材1を設置することによって、家屋内での配電設備である配電器21付近に節電材1を設置することができる。配電器21付近に節電材1を設置することによって、配電器21から供給されて消費される電力の内、配電器21での漏電等による無駄な電力消費を抑制することができる。なお、本発明の節電方法では、節電材1は、分電盤2内の上面に粘着テープ等で貼り付けるか、又は分電盤2内の側面に貼り付ける等、分電盤2内であれば図2に例示した位置以外の位置に設置してもよい。更に本発明の節電方法では、複数の節電材1を分電盤2内に設置しても良い。
【0020】
次に、本発明を用いて節電を行った実施例を示す。図3は、本発明の節電方法による電気使用量の変化を示す図表である。図3には、ある家庭において2002年、2003年及び2004年の各月で使用された電気使用量を数値で示しており、各数値の単位はキロワット時(kWh)である。この家庭では、2003年の3月から、節電材1を分電盤2内に設置する本発明の節電方法を実施している。本発明の節電方法を実施している間の電気使用量は、図3中に太枠で囲むことで示してある。更に、図3には、1月及び2月については2004年の電気使用量から2003年の電気使用量を差し引いた値を、3月から12月については、2003年の電気使用量から2002年の電気使用量を差し引いた値を、電気使用量の差として示してある。
【0021】
図3に示す電気使用量の差は、本発明の節電方法を実施している場合の電気使用量から、本発明の節電方法を実施していない場合の電気使用量を差し引いた値であり、値が負であることは、電気使用量が減少したことを示している。同じ家庭内で同じ月での電気使用量を比較しているので、電気使用量はほぼ同等になるはずである。図3に示す電気使用量の差によれば、12ヶ月間のうち、3月、4月、5月及び10月の4ヶ月間では電気使用量が増大しており、他の8ヶ月間では電気使用量が減少している。本発明の節電方法を実施することによって、家庭内での電気使用量が削減されている可能性があることがわかる。
【0022】
図4は、本発明の節電方法による電気料金の変化を示す図表である。図4(a)及び(b)には、ある二つの家庭において2004年及び2005年の各月で使用された電気に対する電気料金、及び2005年の電気料金から2004年の電気料金を差し引いた値を数値で示しており、数値の単位は円である。図4(a)に電気料金のデータを示した家庭、及び図4(b)に電気料金のデータを示した家庭では、2005年の5月から本発明の節電方法を実施している。本発明の節電方法を実施している間の電気料金は、図4中に太枠で囲むことで示してある。
【0023】
図4に示す電気料金の差は、本発明の節電方法を実施している場合の電気料金から、本発明の節電方法を実施していない場合の電気料金を差し引いた値であり、値が負であることは、電気料金が減少したことを示している。図4に示す如く、本発明の節電方法を実施し始めた以降には、どちらの家庭及びいずれの月においても前年に比べて電気料金が減少している。即ち、本発明の節電方法によって、家庭における電気料金を削減できることが明らかとなった。
【0024】
以上詳述した如く、本発明においては、有用微生物で米ぬかを発酵させた発酵物と有用微生物の発酵によって生成される抗酸化物質を含ませた粘土を焼成した焼成物を粉砕した粉末とを混合した混合物を結合剤及び有用微生物の発酵液で固めて布状材で巻いて帯状に形成することにより、節電材1を製造する。家屋内に設置された分電盤2内に節電材1を設置することにより、配電器21での漏電等による無駄な電力消費を抑制し、余分な電力を消費することもなく、家庭での消費電力を削減することができる。また本発明の節電方法を実施するにあたっては電気的な知識も不必要であるので、手軽に消費電力を削減することができる。従って、消費電力を削減することに伴って、家庭での電気料金を削減することができると共に、省エネルギーを実現することができる。
【0025】
なお、本実施の形態においては、節電材1を布状材で帯状に形成した形態を示したが、節電材1の形態はこれに限るものではなく、米ぬかの発酵物と焼成物の粉末との混合物を固めてシート状にしたものなど、その他の形状に形成した形態であってもよい。また本実施の形態においては、本発明の節電方法の実施形態として、家屋内に設置された分電盤2内に節電材1を設置する例を示したが、本発明の節電方法の実施形態はこれに限るものではなく、オフィスの分電盤、ビルの配電設備、又は発電所若しくは変電所での配電設備等、各種の配電設備の付近に節電材1を設置することによって本発明の節電方法を実施することも可能である。これらの本発明の実施形態を実施することにより、更なる省エネルギーを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の節電材の製造方法で製造された節電材の外観を示す模式図である。
【図2】節電材を用いた本発明の節電方法の例を示す模式図である。
【図3】本発明の節電方法による電気使用量の変化を示す図表である。
【図4】本発明の節電方法による電気料金の変化を示す図表である。
【符号の説明】
【0027】
1 節電材
2 分電盤
21 配電器(配電設備)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乳酸菌、酵母菌、放線菌及び光合成菌を含む微生物の培養液と米ぬかと水と糖蜜とを混合して室温で発酵させた発酵物を生成し、
前記微生物の発酵によって生成した抗酸化物質を含ませた粘土を焼成した焼成物を粉砕した粉末と、前記発酵物とを混合した混合物を生成し、
生成した前記混合物を固めた節電材を製造すること
を特徴とする節電材の製造方法。
【請求項2】
乳酸菌、酵母菌、放線菌及び光合成菌を含む微生物の培養液、水並びに糖蜜を実質的に1:100:1の体積比率で混合した混合液と米ぬかとを水分の体積比率が実質的に65%になるように混合して室温で発酵させた発酵物を生成し、
前記微生物の発酵によって生成した抗酸化物質を含ませた粘土を焼成した焼成物を粉砕した粉末を、前記発酵物に実質的な重量比10%で混合した混合物を生成し、
生成した前記混合物を固めた節電材を製造すること
を特徴とする節電材の製造方法。
【請求項3】
生成した前記混合物を固める際に、
糊を用いた結合剤と前記微生物の発酵液とを前記混合物に掛けて乾燥させることによって前記混合物を固め、
固めた前記混合物を布状材で巻いて帯状に形成すること
を特徴とする請求項1又は2に記載の節電材の製造方法。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一つに記載の節電材の製造方法で製造される節電材を配電設備付近に設置することを特徴とする節電方法。
【請求項5】
請求項1乃至3のいずれか一つに記載の節電材の製造方法で製造される節電材を分電盤内に設置することを特徴とする節電方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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