説明

簡単着脱サムレスト

【課題】サクソホンの部品の一部に用いるサムレストを簡単にネジ1本で着脱できるようにすることで、自分の好みの音色を出す別のサムレストに交換する楽しみが、演奏者に生まれるようにする。
【解決手段】本発明サムレスト本体(2)の中心に本発明脱着調整用テーパー雄ネジ(3)を設ける、本発明サムレスト本体(2)の側面に本発明固定用ピン(5)を設ける、本発明脱着調整用テパー雄ネジ(3)を締め込むことで本発明固定用ピン(5)が均一に押し出されサクソホン本体のサムレスト台座(1)の内壁側(7)に本発明サムレスト本体(2)が安定固定される、また本発明脱着調整用テパー雄ネジ(3)を緩めることで本発明固定用ピン(5)も緩み、本発明サムレスト本体(2)を取り外すことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、サクソホンの演奏時に演奏者の指で楽器を支持する支持部材であるサムレストに関するものであり、サムレストに工夫を加えることにより、簡単に1本のネジで着脱できるようにするものである。
【背景技術】
【0002】
サクソホンに部品の一部として装着されている従来のサムレスト(9)は、図5、図6に示すように、サクソホン本体サムレストの台座(1)の外壁側(8)に接着剤(10)、もしくは数カ所の固定用ネジ(11)で固定されている。(下記特許文献1参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−268861号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、以上の技術によれば、以下のような問題がある。
(a)サクソホンの部品の一部に用いるサムレストは、通常、樹脂製か真鍮製で作られるが、金製や銀製等の違う材質や真鍮や銅に金メッキ、銀メッキ等の加工を施したサムレストを装着することにより、楽器の音色が変化し、音質、音程が向上するのだが、サムレストをサクソホン本体のサムレスト台座に接着剤で固定している従来技術の場合、サムレストを上記台座から取り外すことは困難であり、取り付ける場合も接着剤が乾燥し接着強度が増すまで待たなければならない、そのため他の材質・上記加工を施した別のサムレストに交換することが難しく、また、サムレストの固定部材の接着剤が金属ではない異種素材のため楽器の共鳴を妨げてしまう。
(b)サムレストをサクソホン本体のサムレスト台座に数箇所の金属製ネジで固定されている従来技術の場合、接着剤ではなく金属で固定しているため、楽器の共鳴効果を妨げることはないが、数箇所のネジで固定するため、接着剤固定の技術に比べ、着脱は簡単ではあるが、着脱するのに数工程が必要になり、安易にはできない、また数箇所のネジを1箇所ごとに締めこんで固定するため、締め付け圧力にバラツキが生じやすく、サムレストが上記台座に均一に固定されなく、固定したサムレストにガタツキがでる可能性がある。
【0005】
本発明は上記の問題に鑑み、従来技術に比べ、簡単安易にサムレストを上記台座から着脱できるようにし、取り付け固定時にはガタツキがでないよう安定的に固定し、尚かつ本発明サムレストを楽器に取り付けることで、上記接着固定の従来技術に比べれば確実に、前記金属ネジ固定の従来技術には同等、もしくはそれ以上に楽器の共鳴効果を阻害することなく、演奏者に他の材質、メッキ加工を施した別のサムレストに交換する楽しみを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の課題を解決するために、本発明のサムレスト(2)は以下の構成を備える。
サクソホンに着脱可能なサムレストであって、サクソホン本体に設けられたサムレスト台座(1)に嵌合する上記サムレスト本体(2)が、上記サムレスト台座の円筒内に嵌合する円筒形凸部と、その円筒形凸部の軸芯部分に設けたネジ孔(4)に嵌り合う着脱調整用ネジ(3)と、上記円形凸部に、その軸芯と直交する方向に形成された複数の差し込み孔(6)と、各差し込み孔に移動可能に挿入される固定用ピン(5)を備え、上記着脱調整用雄ネジ(3)の先端部に形成されたテーパー部の進退により、上記固定用ピン(5)が上記軸芯と直交する方向に進退して、その固定用ピン(5)が上記サムレスト台座(1)の円筒部分に内側から圧着することを特徴とする。
【0007】
また、上記の目的を達成するため従来技術のサムレスト(9)は上記台座の外壁側(8)で固定されるのであるが、上記本発明サムレスト(2)は上記台座(1)の内壁側(7)で固定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
上記発明により、着脱調整用ネジ1本をドライバーで締め込む、緩めることで簡単にサムレストをサクソホン本体サムレスト台座(1)から着脱することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態を示す分解斜視図である。
【図2】本発明の断面図である。
【図3】本発明の部分断面図である。
【図4】サクソホン本体の外観を示す図と、本発明及び従来品のサムレストが装着される部分の拡大図である。
【図5】従来品の断面図である。
【図6】従来品の断面図である。
【図7】従来品の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
この発明の一実施形態を、図1に示す。
本発明の実施形態に係わるサムレストの本体(2)の材質は真鍮製に金メッキ加工を施したもであり、サムレスト本体(2)の上部中心から底部にかけて同じ材質の脱着調整用のテーパー雄ネジ(3)を螺入する雌ネジ孔を設け、側面には、同じ材質の固定用ピン(5)を挿入する円筒形孔(6)を3箇所、テーパー雌ネジ孔(4)まで貫通させて設け、その孔(6)より少し小さめで、かつ、サムレスト本体凸分の肉厚より少し長めの棒状の固定用ピン(5)を差し込む、本発明の実施形態では、サムレスト本体(2)の材質は真鍮製に金メッキを施したものと説明したが、金製、銀製、銀メッキ、プラチナメッキ等、その他の材質、メッキ加工品でも同様に製造できる。
【0011】
「実施形態の効果」
(a)この実施形態によれば、脱着調整用テーパー雄ネジ(3)をドライバーで締め込むことで、脱着調整用のテーパー雄ネジ(3)の位置が下がり、固定用ピン(5)の位置まで下がることで、固定用ピン(5)が外側に均一に押し出されサクソホン本体サムレスト台座の内壁側(7)に、サムレスト本体(2)が安定固定される。
(b)また脱着調整用テーパー雄ネジ(3)をドライバーで緩めることにより、脱着調整用テーパー雄ネジ(3)の位置が固定用ピン(5)の位置より上に上がり固定用ピン(5)が緩みサムレスト本体(2)を取り外す事ができる、したがって、サムレストをネジ1本、ドライバーで締め込む、緩める事で簡単に他の材質、メッキ加工等を施した別のサムレストに容易に交換することができる。
「他の実施形態」
図1の実施形態では、本発明固定用ピン(5)は3本であったが、他の実施形態では、本発明固定用ピン(5)は横方向に2本もしくは4本設けたものでも良い。
【符号の説明】
【0012】
1 サクソホン本体サムレスト台座 2 本発明サムレスト本体
3 本発明着脱調整用テーパー雄ネジ 4 本発明雌ネジ螺入孔
5 本発明固定用ピン 6 本発明固定用ピン差し込孔
7 サクソホン本体サムレスト台座内壁側 8 サクソホン本体サムレスト台座外壁側
9 従来のサムレスト本体 10 従来のサムレスト固定用接着剤
11 従来のサムレスト固定用ネジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サクソホンに着脱可能なサムレストであって、サクソホン本体に設けられたサムレスト台座に嵌合する前記サムレスト本体が、前記サムレスト台座の円筒内に嵌合する円筒形凸部と、その円筒形凸部の軸芯部分に設けたネジ孔に嵌り合う着脱調整用ネジと、前記円形凸部に、その軸芯と直交する方向に形成された複数の差し込み孔と、各差し込み孔に移動可能に挿入される固定用ピンを備え、前記着脱調整用雄ネジの先端部に形成されたテーパー部の進退により、前記固定用ピンが前記軸芯と直交する方向に進退して、その固定用ピンが前記サムレスト台座の円筒部分に内側から圧着することを特徴とする簡単着脱サムレスト。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−76961(P2013−76961A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−229248(P2011−229248)
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【出願人】(511252567)