説明

簡易コンロキット

【課題】使用後の空き缶や身の回りにある可燃物を用いて、燃焼させることができ、かつ、炊飯を行うことができる簡単な構成の簡易コンロキットを提供する。
【解決手段】簡易コンロキット1では4枚の柱状プレート40a、40b、40c、40dは間隔をあけて配置される第1の支持プレート10、第2の支持プレート20および第3の支持プレート30の外周部11、21、31に係合するように周方向に間隔をあけて配置され、立てて用いられる。プレート状台部材50は格子状の台部51と台部51から直立するように折り曲げ可能な4本の脚部54a,54b,54c,54dを有する。棒状間隔部材60は第1の空き缶100と第2の空き缶200の間に介在するように配置されて用いられる。プレート状台部材50の台部51は、第1の空き缶100の相対的に大きな内径の内周部分とほぼ同じ大きさの外径の外枠部52を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、一般的には簡易コンロキットに関し、特定的には災害発生時等の非常時に炊飯を行うために用いられる簡易コンロキットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、災害発生時や野外のレジャー等において用いられる携帯用のコンロは、種々提案されている。
【0003】
たとえば、実開昭63−95001号公報(特許文献1)では、固形燃料を備えたアルミニウム箔製のかまどと、このかまど上に一体で内部に少なくとも飲食用水を収容した水袋が収納されたアルミニウム箔製の煮炊器とからなるかまど付き即席煮炊器が提案されている。
【0004】
また、特開平10−220761号公報(特許文献2)では、コンロ本体、大容器、ドーナツリング、小容器、および、ふたからなる非常用携帯コンロが提案されている。
【0005】
さらに、特開平10−57233号公報(特許文献3)では、所定量の水を封入して密封された略円柱状をなす炊飯容器と、その炊飯容器を内側に嵌挿したドラム缶状コンロと、そのドラム缶状コンロの底部に設けられたドーナツ盤状の固形燃料とからなる炊飯用具が提案されている。
【0006】
さらにまた、特開2007−306908号公報(特許文献4)では、少しだけ水を入れた大型缶に1〜2個以上を詰めて炊飯する備蓄食糧品であって、蓋部を開き切ったときに食器として使用しうる小型の炊飯用缶の中に備蓄米を詰めて密封してなる備蓄食糧品と、その備蓄食糧品を用いた炊飯方法が提案されている。
【0007】
登録実用新案第3014666号公報(特許文献5)では、容器本体と蓋体を有するアルミニウム箔製の炊飯容器と、所定の収納袋内に略密封収納された早炊き米と、所定の具材とともに所定の収容袋内に密封収容され、炊飯時に早炊き米の味付けおよび炊飯用水分の補給を行う炊き込みごはん用スープとを備える炊き込みごはんセットが提案されている。
【0008】
特開2006−325572号公報(特許文献6)では、使い捨ての炊飯釜として使用できる密閉用蓋付きの金属容器の中に、無洗米を密封した袋と、握り飯用の食塩を密封した袋を入れ、備蓄用非常食セットとしたものが提案されている。
【0009】
登録実用新案第3017911号公報(特許文献7)では、金属箔製の炊飯鍋本体とフタからなる炊飯鍋と、コンロと、燃料用火皿とを備えた携帯用炊飯キットが提案されている。
【特許文献1】実開昭63−95001号公報
【特許文献2】特開平10−220761号公報
【特許文献3】特開平10−57233号公報
【特許文献4】特開2007−306908号公報
【特許文献5】登録実用新案第3014666号公報
【特許文献6】特開2006−325572号公報
【特許文献7】登録実用新案第3017911号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、従来から提案されている携帯用コンロは、専用のかまどまたはコンロ、専用の炊飯容器、炊飯釜または炊飯鍋を必要とする。また、従来から提案されている食糧付きのセットは、特別に加工された食糧として無洗米、早炊き米等の備蓄米が収納された炊飯用缶等の専用の容器を必要とする。このため、非常時に備えて、コンロ関連の構成部材とともに専用の炊飯容器等を収納する必要があるので、携帯用コンロを保管する際に嵩が高くなるという問題がある。
【0011】
また、従来から提案されている携帯用コンロは、燃料として固形燃料を必要とする。このため、災害発生時等において、炊飯を行うために加熱源を即座に準備することができないという問題がある。
【0012】
そこで、この発明の目的は、使用後の空き缶や身の回りにある可燃物を用いて、燃焼させることができ、かつ、炊飯を行うことができる簡単な構成の簡易コンロキットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この発明に従った簡易コンロキットは、空き缶を用いて炊飯を行うために用いられる簡易コンロキットである。簡易コンロキットは、第1の支持プレートと、第2の支持プレートと、第3の支持プレートと、複数の柱状プレートと、プレート状台部材とを備える。第1の支持プレートは、外周部と、この外周部で囲まれた空気取り入れ用の開口部を有する。第2の支持プレートは、第1の支持プレートの上に間隔をあけて配置されて用いられ、かつ、外周部と、この外周部で囲まれた領域に空き缶を挿通可能な穴を有する。第3の支持プレートは、第2の支持プレートの上に間隔をあけて配置されて用いられ、かつ、外周部と、この外周部で囲まれた領域に空き缶を挿通可能な穴を有する。複数の柱状プレートは、間隔をあけて配置される第1の支持プレート、第2の支持プレートおよび第3の支持プレートの外周部に係合するように周方向に間隔をあけて配置され、立てて用いられる。プレート状台部材は、格子状の台部と、この台部から直立するように折り曲げ可能な複数の脚部を有する。複数の柱状プレートの各々が、第1の支持プレートの外周部に係合されるとき第1の支持プレートから上方向に突出する突出部を有する。
【0014】
このようにして構成された本発明の簡易コンロキットは、上下部に開口を有する第1の空き缶を第1の支持プレートの上に置き、上部に開口を有する第2の空き缶を第1の空き缶の上に置き、第2の支持プレートと第3の支持プレートの各々の穴に第1の空き缶と第2の空き缶のそれぞれを挿入して用いられる。
【0015】
そして、この発明の簡易コンロキットは、第1の空き缶と第2の空き缶の間に介在するように配置されて用いられる棒状間隔部材をさらに備える。
【0016】
プレート状台部材の台部は、第1の空き缶の相対的に大きな内径の内周部分とほぼ同じ大きさの外径の外周部分を有する。
【0017】
この発明の簡易コンロキットを構成するすべての部材は、プレート状部材または棒状部材である。このため、簡易コンロキットの構成部材を集約しても嵩張らないので、非常時に備えて、少ないスペースで簡易コンロキットを保管することができる。
【0018】
また、この発明の簡易コンロキットは、次のようにして使用される。第1の支持プレート、第2の支持プレートおよび第3の支持プレートの外周部に係合するように周方向に間隔をあけて複数の柱状プレートを配置して立てる。空気取り入れ用の開口部を有する第1の支持プレートの上に第1の空き缶を置く。第1の空き缶の上部には燃焼ガスを排出することが可能な開口と、第1の空き缶の下部には燃焼用空気を取り入れることが可能な開口を予め形成しておく。プレート状台部材において複数の脚部を格子状の台部から直立するように折り曲げた状態にして、台部材を第1の空き缶内に置く。台部材の台部の上に可燃物を置いて第1の空き缶内に装入する。第1の空き缶の上に棒状間隔部材を介在して第2の空き缶を置き、二つの空き缶を長さ方向に縦に並べて置く。第2の空き缶内に所定量の生米と水を装入する。そして、第1の空き缶内の可燃物にマッチやライターで火をつける。このようにして炊飯を行う。
【0019】
このとき、第1の支持プレートの開口部と、第1の空き缶の下部に形成された開口を通じて、第1の空き缶内には、燃焼用空気が第1の空き缶内に導入される。第1の空き缶内に導入された燃焼用空気は、格子状の台部を通じて、台部材の台部の上に置かれた可燃物に供給される。可燃物が燃焼することによって発生した燃焼ガスは、第1の空き缶の上部に形成された開口から、棒状間隔部材によって与えられる第1と第2の空き缶の間の空間と、第2の空き缶の底壁部の外周に形成されている空間に流れることにより、煙突効果をもたらす。これらの作用により、高い効率で燃焼を行うことができる。このため、身の回りにある木片等の少量の燃料で炊飯を行うだけの加熱源を得ることができる。また、専用のかまどやコンロ、専用の炊飯容器や炊飯鍋等がなくても、飲料容器として用いられている缶を利用して、飲んだ後の二つの空き缶を燃料容器と炊飯容器に転用することにより、炊飯を行うことができる。さらに、簡単に手に入る空き缶や木片等と、米と水を準備するだけで炊飯を行うことができるので、本発明の簡易コンロキットは、野外のレジャーや災害発生時等の緊急時に有用である。
【0020】
さらに、この発明の簡易コンロキットでは、燃料用容器である第1の空き缶として二つのタイプの空き缶を用いることができる。
【0021】
一つのタイプの空き缶は、長さ方向に沿って内径がほぼ同じドラム缶状のものである。このタイプの場合、台部材は、複数の脚部を下にし、格子状の台部を上に向けて、第1の空き缶の内部に配置する。このように台部材を配置することにより、格子状の台部と、第1の空き缶の下部に設けられた開口との間に空間を確保することができる。第1の空き缶内に導入された燃焼用空気は、上記の空間、格子状の台部を通じて、台部材の台部の上に置かれた可燃物に供給されるので、高い効率で可燃物の燃焼を行うことが可能になる。
【0022】
また、このタイプの第1の空き缶が第1の支持プレートの上に置かれると、第1の空き缶の下部に形成される開口と、第1の支持プレートの空気取り入れ用開口部との位置がずれてしまう場合がある。ところで、複数の柱状プレートの各々は、第1の支持プレートの外周部に係合されるとき第1の支持プレートから上方向に突出する突出部を有している。第1の空き缶が第1の支持プレートの上に置かれると、第1の支持プレートの外周部にて第1の支持プレートから上方向に突出する複数の柱状プレートの各々の突出端部が第1の空き缶の底壁部に接触する。これらの突出部により、第1の空き缶の下部に形成された開口と、第1の支持プレートの空気取り入れ用開口部との間に空間が形成される。その結果、第1の空き缶の下部に形成された開口と、第1の支持プレートの空気取り入れ用開口部との位置がずれていても、これらの二つの開口間の通風が可能となるので、燃焼用空気の第1の空き缶内への導入が妨げられることがなく、第1の支持プレートの空気取り入れ用開口部から、第1の空き缶の下部に形成された開口を通じて、第1の空き缶内に燃焼用空気を導入することができる。
【0023】
一方、もう一つのタイプの空き缶は、細く首状に形成された相対的に内径が小さい飲み口部分と、相対的に内径が大きいドラム缶状部分とから構成されるものである。この場合、飲み口部分に形成された開口を下に向けて第1の空き缶を配置する。台部材は、複数の脚部を上にし、格子状の台部を下に向けて、第1の空き缶の内部に配置する。このとき、台部材の台部は、第1の空き缶の相対的に大きな内径の内周部分とほぼ同じ大きさの外径の外周部分を有するので、台部は、第1の空き缶内で、飲み口部分とドラム缶状部分との境界部分で、飲み口部分寄りのドラム缶状部分の内周面に係止されて固定される。このように台部材を配置することにより、格子状の台部と、飲み口部分に形成された開口との間に細く首状に形成された空間を確保することができる。第1の空き缶内に導入された燃焼用空気は、上記の空間、格子状の台部を通じて、台部材の台部の上に置かれた可燃物に供給されるので、高い効率で可燃物の燃焼を行うことが可能になる。
【0024】
また、このタイプの第1の空き缶が第1の支持プレートの上に置かれると、第1の空き缶の飲み口部分として首部に形成された開口と、第1の支持プレートの空気取り入れ用開口部との位置が整合する。ところで、複数の柱状プレートの各々は、第1の支持プレートの外周部に係合されるとき第1の支持プレートから上方向に突出する突出部を有している。飲み口部分として首部に形成された開口が第1の支持プレートの上に接触するように第1の空き缶が置かれると、第1の支持プレートの外周部にて第1の支持プレートから上方向に突出する複数の柱状プレートの各々の突出部は第1の空き缶の飲み口部分に接触しない。これにより、第1の空き缶の飲み口部分として首部に形成された開口と、第1の支持プレートの空気取り入れ用開口部との位置の整合性が保たれる。その結果、これらの二つの開口間の通風が可能となるので、燃焼用空気の第1の空き缶への導入が妨げられることがなく、第1の支持プレートの空気取り入れ用開口部から、第1の空き缶の飲み口部分に形成された開口を通じて、第1の空き缶内に燃焼用空気を導入することができる。
【0025】
以上のようにして、本発明の簡易コンロキットでは、燃料容器である第1の空き缶として、二つのタイプのうち、いずれの空き缶が用いられても、問題なく、高い効率で燃焼を行うことができる。
【0026】
なお、この発明の簡易コンロキットでは、複数の柱状プレートが、第1の支持プレート、第2の支持プレートおよび第3の支持プレートの外周部に係合するように周方向に間隔をあけて配置されて、立てて用いられる。このように構成されているので、第1の支持プレートの上に第1の空き缶を置き、第2の支持プレートと第3の支持プレートの各々の穴に第1の空き缶と第2の空き缶のそれぞれを挿入して、二つの空き缶を長さ方向に縦に並べて置いても、二つの空き缶を安定した姿勢で保持することができる。
【0027】
この発明の簡易コンロキットは、第1の空き缶に開口を形成するためのプレート状治具をさらに備えることが好ましい。
【0028】
このようにすることにより、災害発生時や野外のレジャー等において、本発明の簡易コンロキットとは別に穴あけ治具を準備しなくても、燃料容器である第1の空き缶に所定の開口を形成することができる。
【0029】
また、この発明の簡易コンロキットは、第2の空き缶の開口を覆うためのプレート状蓋部材をさらに備えることが好ましい。
【0030】
このようにすることにより、炊飯時にプレート状蓋部材で第2の空き缶の開口を覆うことによって高い効率で炊飯を行うことができる。
【発明の効果】
【0031】
以上のように、この発明の簡易コンロキットを用いることにより、災害発生時や野外のレジャー等において、使用後の空き缶や身の回りにある可燃物を用いて、簡単に燃焼させることができ、かつ、簡単に炊飯を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、この発明の一つの実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0033】
図1は本発明の一つの実施形態として組み立てられた簡易コンロキットを示す斜視図、図2は本発明の一つの実施形態として分解された簡易コンロキットの構成部材を示す平面図である。
【0034】
図1に示すように、本発明の簡易コンロキット1の主要部は、第1の支持プレート10と、第2の支持プレート20と、第3の支持プレート30と、複数の柱状プレート40a、40b、40c、40dとを備える。複数の柱状プレート40a、40b、40c、40dは、上下方向に間隔をあけて配置される第1の支持プレート10、第2の支持プレート20および第3の支持プレート30の外周部に係合するように周方向に間隔をあけて配置され、立てて用いられる。複数の柱状プレート、この例では4枚の柱状プレート40a、40b、40c、40dの各々は、頂部44a、44b、44c、44dと底部45a、45b、45c、45dを有する。4枚の柱状プレート40a、40b、40c、40dの各々が、第1の支持プレート10の外周部に係合されるとき第1の支持プレート10から上方向に突出する突出部の一例として引っ掛け部41a、41b、41c、41dを有する。
【0035】
第1の支持プレート10は、外周部11と、この外周部11で囲まれた空気取り入れ用の開口部12を有する。第2の支持プレート20は、第1の支持プレート10の上に間隔をあけて配置されて用いられ、かつ、外周部21と、この外周部21で囲まれた領域に空き缶を挿通可能な穴22を有する。第3の支持プレート30は、第2の支持プレート20の上に間隔をあけて配置されて用いられ、かつ、外周部31と、この外周部31で囲まれた領域に空き缶を挿通可能な穴32を有する。
【0036】
図2の(A)に示すように、第1の支持プレート10は、円形の板からなり、中央部には空気取り入れ用の開口部12として貫通孔が形成され、外周部11には周方向に互いに所定の間隔をあけて複数の挿入穴13、14、15、16が中央部から外周縁に向かって延びる長方形状の小穴で形成されている。この例では、4つの挿入穴13、14、15、16が、周方向に互いに90°ずつの中心角をあけた位置に配置されている。
【0037】
図2の(B)に示すように、第2の支持プレート20は、ドーナツ状またはリング状の板からなり、中央部には空き缶挿入用の穴22として貫通孔が形成され、外周部21の外周側縁には周方向に互いに所定の間隔をあけて複数の切欠き部23、24、25、26が外周縁から中央部に向かって延びるように形成されている。この例では、4つの切欠き部23、24、25、26が、周方向に互いに90°ずつの中心角をあけた位置に配置されている。たとえば、空き缶として容量350mlのアルミニウム製の飲料用空き缶を用いる場合には、穴22の直径は67mm程度である。
【0038】
図2の(C)に示すように、第3の支持プレート30は、ドーナツ状またはリング状の板からなり、中央部には空き缶挿入用の穴32として貫通孔が形成され、外周部31の内周側縁には周方向に互いに所定の間隔をあけて複数の切欠き部33、34、35、36が内周縁から外周縁に向かって延びるように形成されている。複数の切欠き部33、34、35、36の各々の両側には、外周部31の内周側縁が中央に向かって延びるように二つの突出端部37、38が形成されている。この例では、4つの切欠き部33、34、35、36が、周方向に互いに90°ずつの中心角をあけた位置に配置されている。たとえば、空き缶として容量350mlのアルミニウム製の飲料用空き缶を用いる場合には、4つの切欠き部33、34、35、36の各々における突出端部37、38を結ぶ仮想円の直径は67mm程度である。
【0039】
図2の(D)に示すように、4枚の柱状プレート40a、40b、40c、40dの各々の底部45a、45b、45c、45dより少し上の位置には、第1の支持プレート10の挿入穴13、14、15、16のそれぞれに挿入されて係合することが可能な引っ掛け部41a、41b、41c、41dが上方向に突出するように形成されている。4枚の柱状プレート40a、40b、40c、40dの各々の中間部には、第2の支持プレート20の切欠き部23、24、25、26のそのれぞれに差し込まれて係合することが可能な切欠き部42a、42b、42c、42dが水平方向に延びるように形成されている。4枚の柱状プレート40a、40b、40c、40dの各々の頂部44a、44b、44c、44dより少し下の位置には、第3の支持プレート30を受けて支持することが可能な突出端部43a、43b、43c、43dが水平方向に延びるように形成されている。4枚の柱状プレート40a、40b、40c、40dの各々にて突出端部43a、43b、43c、43dよりも頂部44a、44b、44c、44d寄りの部分が、第3の支持プレート30の切欠き部33、34、35、36のそれぞれに差し込まれて係合することができる。
【0040】
なお、第1の支持プレート10、第2の支持プレート20、第3の支持プレート30、柱状プレート40a、40b、40c、40dは、たとえば、アルミニウム製の板材から形成される。
【0041】
図2の(E)に示すように、プレート状台部材50は、格子状の台部51と、この台部51から直立するように折り曲げ可能な複数の脚部、この例では4本の脚部54a、54b、54c、54dを有する。格子状の台部51は、外周部分である外枠部52と、この外枠部52で囲まれた領域内に形成された複数の内枠部53とからなる。格子状の台部51の中央部には、リング状部55が形成され、このリング状部55で囲まれるように円形の穴56が形成されている。プレート状台部材50の台部51において、外周部分である外枠部52は、燃料容器として用いられる第1の空き缶の相対的に大きな内径の内周部分とほぼ同じ大きさの外径を有する。なお、プレート状台部材50は、たとえば、手で折り曲げることが可能な軟性のアルミニウム材から形成される。
【0042】
図2の(F)に示すように、棒状間隔部材60は、4枚の柱状プレート40a、40b、40c、40dのいずれかを挟むことができるように2本の棒状部61、62が連結された形態を有する。後述するが、棒状間隔部材60は、燃料容器として用いられる第1の空き缶と、炊飯容器として用いられる第2の空き缶の間に介在するように配置されて用いられるものである。なお、棒状間隔部材60は、たとえば、ステンレス鋼製の棒材から形成される。
【0043】
図2の(G)(H)に示すように、本発明の簡易コンロキット1には、燃料容器として用いられる第1の空き缶に開口を形成するためのプレート状治具として、たとえば、穴あけ治具80や缶きり90が備えられていてもよい。
【0044】
図2の(G)に示すように、穴あけ治具80は、2枚のプレート81と82から構成される。プレート81の両側には二つの腕部が形成され、中央上端部には三角形状の突出端部が形成され、この突出端部に切欠き部83が形成されている。一方、プレート82の両側には二つの腕部が形成され、中央上端部には三角形状の刃部85が形成され、この突出端部と反対側の中央下端部には切欠き部84が形成されている。二つのプレート81と82の下端部は、直線状に形成されている。後述するが、切欠き部83と切欠き部84とを互いに係合させることにより、2枚のプレート81と82を組み合わせることによって、穴あけ治具80として用いることができる。この穴あけ治具80は、燃料容器であるアルミニウム製の第1の空き缶の下部に空気取り入れ用の開口を形成するために用いられる。
【0045】
図2の(H)に示すように、缶きり90では、一方端部に取っ手部91が形成され、他方端部に刃部92が形成されている。この缶きり90は、燃料容器であるアルミニウム製の第1の空き缶の上部に燃焼ガス排出用の開口を形成するために用いられるだけでなく、炊飯容器として用いられるアルミニウム製の第2の空き缶の上部に開口を形成するために用いられてもよい。
【0046】
このようにすることにより、災害発生時や野外のレジャー等において、本発明の簡易コンロキット1とは別に穴あけ治具を準備しなくても、空き缶に所定の開口を形成することができる。
【0047】
また、図2の(I)に示すように、本発明の簡易コンロキット1には、プレート状の蓋部材70が備えられていてもよい。蓋部材70は、鍔部を形成する外周部71と、炊飯容器である第2の空き缶内に嵌められる嵌入部72と、外周部71から外方向に突出して延びる取っ手部73とからなる。
【0048】
この発明の簡易コンロキット1を構成するすべての部材は、プレート状部材または棒状部材である。このため、簡易コンロキット1の構成部材を集約しても嵩張らないので、非常時に備えて、少ないスペースで簡易コンロキット1を保管することができる。
【0049】
図1と図2に示されるように簡易コンロキット1を組み立てるためには、まず、第1の支持プレート10の挿入穴13に柱状プレート40aの引っ掛け部41aを挿入して、上方向に突出させる。次に、第2の支持プレート20の切欠き部23に柱状プレート40aの切欠き部42aを差し込んで係合させる。そして、柱状プレート40aの突出端部43aよりも頂部44a寄りの部分を第3の支持プレート30の切欠き部33に差し込んで係合させる。これにより、柱状プレート40aの突出端部43aが第3の支持プレート30を受けて支持することができる。その後、同様にして順に、第1の支持プレート10の挿入穴14、15,16の各々に柱状プレート40b、40c、40dの引っ掛け部41b、41c、41dのそれぞれを挿入し、上方向に突出させ、第2の支持プレート20の切欠き部24、25、26の各々に柱状プレート40b、40c、40dの切欠き部42b、42c、42dのそれぞれを差し込んで係合させて、柱状プレート40b、40c、40dの突出端部43b、43c、43dよりも頂部44b、44c、44d寄りの部分を第3の支持プレート30の切欠き部34、35、36のそれぞれに差し込んで係合させる。このようにして、図1に示される簡易コンロが完成する。
【0050】
図3は本発明の簡易コンロキットの一つの使用形態にて二つの空き缶の組み込む手順を概略的に示す斜視図、図4は本発明の簡易コンロキットの一つの使用形態にて二つの空き缶が組み込まれた状態を示す斜視図、図5は本発明の簡易コンロキットの一つの使用形態における二つの空き缶の内部を示す概略的な断面図である。
【0051】
この発明の簡易コンロキット1は、次のようにして使用される。
【0052】
まず、図1に示すように、第1の支持プレート10、第2の支持プレート20および第3の支持プレート30の外周部に係合するように周方向に間隔をあけて複数の柱状プレート40a、40b、40c、40dを配置して立てる。
【0053】
次に、図3と図4に示すように、空気取り入れ用の開口部12(図1)を有する第1の支持プレート10の上に、燃料容器としての第1の空き缶100を置く。第1の空き缶100の上部には燃焼ガスを排出することが可能な開口110と、第1の空き缶100の底壁部120には燃焼用空気を取り入れることが可能な開口130を予め形成しておく。開口110は、図2の(H)に示す缶きり90を用いて形成されてもよい。開口130は、後述するように、図2の(G)に示す穴あけ治具80を用いて形成されてもよい。プレート状台部材50において4本の脚部54a、54b、54c、54dを格子状の台部51から直立するように折り曲げた状態にして、台部材50を第1の空き缶100内に置く。
【0054】
図5に示すように、プレート状台部材50の台部51の上に可燃物300として、たとえば、木片、割り箸、紙片等を置いて第1の空き缶100内に装入する。
【0055】
図3と図4に示すように第1の空き缶100の上に棒状間隔部材60を介在して、炊飯容器としての第2の空き缶200を置き、二つの空き缶を長さ方向に縦に並べて置く。このとき、棒状間隔部材60の二つの棒状部61と62が、たとえば、柱状プレート40cを挟むようにして棒状間隔部材60を配置する。第2の空き缶200の底壁部220には開口がないが、上部には、缶きり90を用いて開口210があけられてもよく、飲み口として飲料用缶にてプルトップが引かれた状態で部分的な開口が形成されていてもよい。
【0056】
このようにして構成された本発明の簡易コンロキット1では、上下部に開口110、130を有する第1の空き缶100を第1の支持プレート10の上に置き、上部に開口210を有する第2の空き缶200を第1の空き缶100の上に置き、第2の支持プレート20と第3の支持プレート30の各々の穴22、32に第1の空き缶100と第2の空き缶200のそれぞれを挿入する。
【0057】
図5に示すように、第2の空き缶200内には所定量の生米400と水500を装入する。第1の空き缶100内の可燃物300にはマッチやライターで火をつける。このようにして炊飯を行う。この場合、蓋部材70で第2の空き缶200の開口210が閉じられてもよく、アルミニウム箔等を用いて開口210が覆われてもよい。生米400は、1合程度、たとえば0.7〜0.8合の量で研いだ米を用いる。水500は、生米400の量よりも少し多めにするのが好ましい。15〜20分間程度、炎を絶やさないように燃焼させた後、ご飯が炊けたら暫く蒸らす。炊けたご飯は、開口210から取り出す。たとえば、容量が350mlの第2の空き缶200を用いた場合、茶碗で約2杯分のご飯を作ることができる。
【0058】
このとき、図5に示すように、第1の支持プレート10の開口部12と、第1の空き缶100の下部に形成された開口130を通じて、第1の空き缶100内には、燃焼用空気が第1の空き缶100内に導入される。第1の空き缶100内に導入された燃焼用空気は、格子状の台部51を通じて、プレート状台部材50の台部51の上に置かれた可燃物300に供給される。可燃物300が燃焼することによって発生した燃焼ガス310は、第1の空き缶100の上部に形成された開口110から、棒状間隔部材60によって与えられる第1の空き缶100と第2の空き缶200の間の空間と、第2の空き缶200の底壁部220の外周部に形成されている空間Sに流れることにより、煙突効果をもたらす。これらの作用により、高い効率で燃焼を行うことができる。このため、身の回りにある木片等の少量の燃料で炊飯を行うだけの加熱源を得ることができる。また、専用のかまどやコンロ、専用の炊飯容器や炊飯鍋等がなくても、飲料容器として用いられている缶を利用して、飲んだ後の二つの空き缶を燃料容器と炊飯容器に転用することにより、炊飯を行うことができる。さらに、簡単に手に入る空き缶や木片等と、米と水を準備するだけで炊飯を行うことができるので、本発明の簡易コンロキット1は、野外のレジャーや災害発生時等の緊急時に有用である。
【0059】
さらに、この発明の簡易コンロキット1では、燃料用容器である第1の空き缶として二つのタイプの空き缶を用いることができる。
【0060】
図3〜図5に示すように、一つのタイプの第1の空き缶100は、長さ方向に沿って内径がほぼ同じドラム缶状のものである。このタイプの場合、図3と図5に示すように、プレート状台部材50は、4本の脚部54a、54b、54c、54dを下にし、格子状の台部51を上に向けて、第1の空き缶100の内部に配置する。このようにプレート状台部材50を配置することにより、格子状の台部51と、第1の空き缶100の下部に設けられた開口130との間に空間を確保することができる。第1の空き缶100内に導入された燃焼用空気は、上記の空間、格子状の台部51を通じて、プレート状台部材50の台部51の上に置かれた可燃物300に供給されるので、高い効率で可燃物300の燃焼を行うことが可能になる。
【0061】
また、このタイプの第1の空き缶100が第1の支持プレート10の上に置かれると、第1の空き缶100の下部に形成される開口130と、第1の支持プレート10の空気取り入れ用の開口部12との位置がずれてしまう場合がある。ところで、4枚の柱状プレート40a、40b、40c、40dの各々は、第1の支持プレート10の外周部11に係合されるとき第1の支持プレート10から上方向に突出する突出部として引っ掛け部41a、41b、41c、41dを有している。図5に示すように、第1の空き缶100が第1の支持プレート10の上に置かれると、第1の支持プレート10の外周部11にて第1の支持プレート10から上方向に突出する4枚の柱状プレート40a、40b、40c、40dの各々の引っ掛け部41a、41b、41c、41dが第1の空き缶100の底壁部120に接触する。これらの引っ掛け部41a、41b、41c、41dにより、第1の空き缶100の下部に形成された開口130と、第1の支持プレート10の空気取り入れ用の開口部12との間に空間が形成される。その結果、第1の空き缶100の下部に形成された開口130と、第1の支持プレート10の空気取り入れ用の開口部12との位置がずれていても、これらの二つの開口間の通風が可能となるので、燃焼用空気の第1の空き缶100内への導入が妨げられることがなく、第1の支持プレート10の空気取り入れ用の開口部12から、第1の空き缶100の下部に形成された開口130を通じて、第1の空き缶100内に燃焼用空気を導入することができる。
【0062】
図6は本発明の簡易コンロキットのもう一つの使用形態にて二つの空き缶の組み込む手順を概略的に示す斜視図、図7は本発明の簡易コンロキットのもう一つの使用形態にて二つの空き缶が組み込まれた状態を示す斜視図、図8は本発明の簡易コンロキットのもう一つの使用形態における二つの空き缶の内部を示す概略的な断面図である。
【0063】
この発明の簡易コンロキット1は、次のようにして使用される。
【0064】
まず、図1に示すように、第1の支持プレート10、第2の支持プレート20および第3の支持プレート30の外周部に係合するように周方向に間隔をあけて複数の柱状プレート40a、40b、40c、40dを配置して立てる。
【0065】
次に、図6と図7に示すように、空気取り入れ用の開口部12(図1)を有する第1の支持プレート10の上に、燃料容器としての第1の空き缶100aを置く。この場合、飲み口部として相対的に内径が小さい首部120aを下にして、第1の支持プレート10の上に第1の空き缶100aを置く。第1の空き缶100aの上部には燃焼ガスを排出することが可能な開口110aを予め形成しておく。この第1の空き缶100aでは、相対的に内径の大きいドラム缶状の大径部140から、傾斜部150を経て連続して形成されている首部120aには、キャップ(図示せず)をねじ込んで固定するためのねじ部が形成されており、その先端部には開口130aが形成されている。この開口130aを燃焼用空気を取り入れるための開口として用いる。開口110aは、図2の(H)に示す缶きり90を用いて形成されてもよい。プレート状台部材50において4本の脚部54a、54b、54c、54dを格子状の台部51から直立するように折り曲げた状態にして、プレート状台部材50を第1の空き缶100a内に置く。この場合、台部51を下にして、脚部54a、54b、54c、54dを上にして、プレート状台部材50を第1の空き缶100a内に配置する。
【0066】
図8に示すように、プレート状台部材50の台部51の上に可燃物300として、たとえば、木片、割り箸、紙片等を置いて第1の空き缶100a内に装入する。
【0067】
図6と図7に示すように第1の空き缶100aの上に棒状間隔部材60を介在して、炊飯容器としての第2の空き缶200を置き、二つの空き缶を長さ方向に縦に並べて置く。このとき、棒状間隔部材60の二つの棒状部61と62が、たとえば、柱状プレート40cを挟むようにして棒状間隔部材60を配置する。第2の空き缶200の底壁部220には開口がないが、上部には、缶きり90を用いて開口210があけられてもよく、飲み口として飲料用缶にてプルトップが引かれた状態で部分的な開口が形成されていてもよい。
【0068】
このようにして構成された本発明の簡易コンロキット1では、上下部に開口110a、130aを有する第1の空き缶100aを第1の支持プレート10の上に置き、上部に開口210を有する第2の空き缶200を第1の空き缶100aの上に置き、第2の支持プレート20と第3の支持プレート30の各々の穴22、32に第1の空き缶100aと第2の空き缶200のそれぞれを挿入する。
【0069】
図8に示すように、第2の空き缶200内には所定量の生米400と水500を装入する。第1の空き缶内100aの可燃物300にはマッチやライターで火をつける。このようにして炊飯を行う。この場合、蓋部材70で第2の空き缶200の開口210が閉じられてもよく、アルミニウム箔等を用いて開口210が覆われてもよい。生米400は、1合程度、たとえば0.7〜0.8合程度の量で研いだ米を用いる。水500は、生米400の量よりも少し多めにするのが好ましい。15〜20分間程度、炎を絶やさないように燃焼させた後、ご飯が炊けたら暫く蒸らす。炊けたご飯は、開口210から取り出す。たとえば、容量が350mlの第2の空き缶200を用いた場合、茶碗で約2杯分のご飯を作ることができる。
【0070】
このとき、図8に示すように、第1の支持プレート10の開口部12と、第1の空き缶100aの開口130aを通じて、第1の空き缶100a内には、燃焼用空気が第1の空き缶100a内に導入される。第1の空き缶100a内に導入された燃焼用空気は、格子状の台部51を通じて、プレート状台部材50の台部51の上に置かれた可燃物300に供給される。可燃物300が燃焼することによって発生した燃焼ガス310は、第1の空き缶100aの上部に形成された開口110aから、棒状間隔部材60によって与えられる第1の空き缶100aと第2の空き缶200の間の空間と、第2の空き缶200の底壁部220の外周部に形成されている空間Sに流れることにより、煙突効果をもたらす。これらの作用により、高い効率で燃焼を行うことができる。このため、身の回りにある木片等の少量の燃料で炊飯を行うだけの加熱源を得ることができる。また、専用のかまどやコンロ、専用の炊飯容器や炊飯鍋等がなくても、飲料容器として用いられている缶を利用して、飲んだ後の二つの空き缶を燃料容器と炊飯容器に転用することにより、炊飯を行うことができる。さらに、簡単に手に入る空き缶や木片等と、米と水を準備するだけで炊飯を行うことができるので、本発明の簡易コンロキット1は、野外のレジャーや災害発生時等の緊急時に有用である。
【0071】
図6〜図8に示すように、もう一つのタイプの第1の空き缶100aは、細く首状に形成された相対的に内径が小さい飲み口部分としての首部120aと、相対的に内径が大きいドラム缶状部分としての大径部140とから構成されるものである。この場合、首部120aに形成された開口130aを下に向けて第1の空き缶100aを配置する。図6と図8に示すように、プレート状台部材50は、4本の脚部54a、54b、54c、54dを上にし、格子状の台部51を下に向けて、第1の空き缶100aの内部に配置する。このとき、プレート状台部材50の台部51は、第1の空き缶100aの相対的に大きな内径の内周部分、すなわち大径部140の内径とほぼ同じ大きさの外径の外周部分として外枠部52を有するので、台部51は、第1の空き缶100a内で、首部120aと大径部140との境界部分で、傾斜部150に隣接する大径部140の内周面に係止されて固定される。このようにプレート状台部材50を配置することにより、格子状の台部51と、首部120aに形成された開口130aとの間に細く首状に形成された空間を確保することができる。第1の空き缶100a内に導入された燃焼用空気は、上記の空間、格子状の台部51を通じて、プレート状台部材50の台部51の上に置かれた可燃物300に供給されるので、高い効率で可燃物300の燃焼を行うことが可能になる。
【0072】
また、このタイプの第1の空き缶100aが第1の支持プレート10の上に置かれると、第1の空き缶100aの飲み口部分として首部120aに形成された開口130aと、第1の支持プレート10の空気取り入れ用の開口部12との位置が整合する。ところで、4枚の柱状プレート40a、40b、40c、40dの各々は、第1の支持プレート10の外周部11に係合されるとき第1の支持プレート10から上方向に突出する引っ掛け部41a、41b、41c、41dを有している。飲み口部分として首部120aに形成された開口130aが第1の支持プレート10の上に接触するように第1の空き缶100aが置かれると、第1の支持プレート10の外周部11にて第1の支持プレート10から上方向に突出する4枚の柱状プレート40a、40b、40c、40dの各々の引っ掛け部41a、41b、41c、41dは第1の空き缶100aの首部120aに接触しない。これにより、第1の空き缶100aの飲み口部分として首部120aに形成された開口130aと、第1の支持プレート10の空気取り入れ用の開口部12との位置の整合性が保たれる。その結果、これらの二つの開口間の通風が可能となるので、燃焼用空気の第1の空き缶100aへの導入が妨げられることがなく、第1の支持プレート10の空気取り入れ用の開口部12から、第1の空き缶100aの首部120aに形成された開口130aを通じて、第1の空き缶100a内に燃焼用空気を導入することができる。
【0073】
以上のようにして、本発明の簡易コンロキット1では、燃料容器である第1の空き缶100、100aの二つのタイプのうち、いずれの空き缶が用いられても、問題なく、高い効率で燃焼を行うことができる。
【0074】
なお、この発明の簡易コンロキット1では、4枚の柱状プレート40a、40b、40c、40dが、第1の支持プレート10、第2の支持プレート20および第3の支持プレート30の外周部11、21、31に係合するように周方向に間隔をあけて配置されて、立てて用いられる。このように構成されているので、第1の支持プレート10の上に第1の空き缶100、100aを置き、第2の支持プレート20と第3の支持プレート30の各々の穴12、22、32に第1の空き缶100、100aと第2の空き缶200のそれぞれを挿入して、二つの空き缶を長さ方向に縦に並べて置いても、二つの空き缶を安定した姿勢で保持することができる。上記の実施の形態では、4枚の柱状プレート40a、40b、40c、40dを用いているが、3枚以上であればよく、柱状プレートの枚数は4枚に限定されない。
【0075】
また、この発明の簡易コンロキット1は、第2の空き缶200の開口210を覆うためのプレート状の蓋部材70をさらに備えることにより、高い効率で炊飯を行うことができる。
【0076】
図9は、本発明の簡易コンロキットの使用形態にて燃料容器としての第1の空き缶の内部を示す部分断面図である。
【0077】
図9に示すように、プレート状台部材50の台部51は、第1の空き缶100、100aの相対的に大きな内径とほぼ同じ大きさの外径の外周部分として外枠部52を有する。これにより、台部51は、第1の空き缶100、100a内で、第1の空き缶100、100aの相対的に大きな内径部分の内周面に係止されて固定されることがわかる。
【0078】
図10は、燃料容器としての第1の空き缶の下部に開口を形成するために用いられるプレート状治具の組み立てられた状態を示す斜視図(A)と、第1の空き缶の下部に開口を形成する方法を示す部分断面図(B)である。
【0079】
図10の(A)に示すように、図2の(G)に示す切欠き部83と切欠き部84とを互いに係合させることにより、2枚のプレート81と82を組み合わせることによって、中央部に刃部85が突出した穴あけ治具80を構成することができる。図10の(B)に示すように、矢印Fで示す方向に燃料容器である第1の空き缶100の底壁部120を穴あけ治具80の刃部85に押し付けることにより、空気取り入れ用の開口85を形成することができる。
【0080】
なお、上記の実施の形態では、主に炊飯を行うために本発明の簡易コンロキットを使用した例について説明したが、空き缶を用いて湯を沸かすために本発明の簡易コンロキットを使用してもよく、空き缶を用いて簡単な煮炊きを行うために本発明の簡易コンロキットを使用してもよい。
【0081】
以上に開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考慮されるべきである。本発明の範囲は、以上の実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての修正と変形を含むものである。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本発明の一つの実施形態として組み立てられた簡易コンロキットを示す斜視図である。
【図2】本発明の一つの実施形態として分解された簡易コンロキットの構成部材を示す平面図である。
【図3】本発明の簡易コンロキットの一つの使用形態にて二つの空き缶の組み込む手順を概略的に示す斜視図である。
【図4】本発明の簡易コンロキットの一つの使用形態にて二つの空き缶が組み込まれた状態を示す斜視図である。
【図5】本発明の簡易コンロキットの一つの使用形態における二つの空き缶の内部を示す概略的な断面図である。
【図6】本発明の簡易コンロキットのもう一つの使用形態にて二つの空き缶の組み込む手順を概略的に示す斜視図である。
【図7】本発明の簡易コンロキットのもう一つの使用形態にて二つの空き缶が組み込まれた状態を示す斜視図である。
【図8】本発明の簡易コンロキットのもう一つの使用形態における二つの空き缶の内部を示す概略的な断面図である。
【図9】本発明の簡易コンロキットの使用形態にて燃料容器としての第1の空き缶の内部を示す部分断面図である。
【図10】燃料容器としての第1の空き缶の下部に開口を形成するために用いられるプレート状治具の組み立てられた状態を示す斜視図(A)と、第1の空き缶の下部に開口を形成する方法を示す部分断面図(B)である。
【符号の説明】
【0083】
1:簡易コンロキット、10:第1の支持プレート、11:外周部、12:開口部、20:第2の支持プレート、21:外周部、22:穴、30:第3の支持プレート、31:外周部、32:穴、40a,40b,40c,40d:柱状プレート、41a,41b,41c,41d:引っ掛け部、50:プレート状台部材、51:台部、52:外枠部、54a,54b,54c,54d:脚部、60:棒状間隔部材、70:蓋部材、80:穴あけ治具、90:缶きり、100,100a:第1の空き缶、110,110a,130,130a:開口、200:第2の空き缶、210:開口。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空き缶を用いて炊飯を行うために用いられる簡易コンロキットであって、
外周部とこの外周部で囲まれた空気取り入れ用の開口部を有する第1の支持プレートと、
前記第1の支持プレートの上に間隔をあけて配置されて用いられ、かつ、外周部とこの外周部で囲まれた領域に空き缶を挿通可能な穴を有する第2の支持プレートと、
前記第2の支持プレートの上に間隔をあけて配置されて用いられ、かつ、外周部とこの外周部で囲まれた領域に空き缶を挿通可能な穴を有する第3の支持プレートと、
間隔をあけて配置される前記第1の支持プレート、前記第2の支持プレートおよび前記第3の支持プレートの外周部に係合するように周方向に間隔をあけて配置され、立てて用いられる複数の柱状プレートと、
格子状の台部とこの台部から直立するように折り曲げ可能な複数の脚部を有するプレート状台部材とを備え、
前記複数の柱状プレートの各々が、前記第1の支持プレートの外周部に係合されるとき前記第1の支持プレートから上方向に突出する突出部を有し、
上下部に開口を有する第1の空き缶を前記第1の支持プレートの上に置き、上部に開口を有する第2の空き缶を第1の空き缶の上に置き、前記第2の支持プレートと前記第3の支持プレートの各々の穴に第1の空き缶と第2の空き缶のそれぞれを挿入して用いられ、さらに、
第1の空き缶と第2の空き缶の間に介在するように配置されて用いられる棒状間隔部材を備え、
前記プレート状台部材の台部は、第1の空き缶の相対的に大きな内径の内周部分とほぼ同じ大きさの外径の外周部分を有することを特徴とする、簡易コンロキット。
【請求項2】
第1の空き缶に開口を形成するためのプレート状治具をさらに備える、請求項1に記載の簡易コンロキット。
【請求項3】
第2の空き缶の開口を覆うためのプレート状蓋部材をさらに備える、請求項1または請求項2に記載の簡易コンロキット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−115386(P2010−115386A)
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−291789(P2008−291789)
【出願日】平成20年11月14日(2008.11.14)
【出願人】(508339747)
【Fターム(参考)】