説明

簡易シェルター

【課題】災害時での避難用保護具、一人用テントなどとして好適な簡易シェルターを提供する。
【解決手段】簡易シェルター1は、軽量高強度素材によって半筒体状に展開縮小可能に形成された覆体でなり、該覆体は展開状態で人一人が仰臥するのに十分な内部空間を形成するとともに、収縮状態で持運び可能な可搬性を有する。前記覆体が展開状態で長手方向に沿って適宜間隔に離間配置される半円弧状の複数のフレームと、該フレーム間に掛け渡されて各フレーム同士を繋ぐ連結ロッドと、該フレームの内側に接合されて該連結ロッドによる各フレーム間の拡縮に応じて折畳み展張される断熱シートとからなる。前記連結ロッドが中央部で折れ曲げ可能であって、その両端が各フレームに対して回動自在に接合されて折畳み展開可能に連結されている。前記断熱シートが不織布層を内側として、その表面にポリエチレン層、アルミ蒸着層ポリエチレン層をライニングした4層構造である

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、災害時の避難用保護具、若しくは一人用テントなどとして使用して好適な簡易シェルターに関する。
【背景技術】
【0002】
地震、台風などの自然災害などに遭遇した場合には、当該地域の住民の避難場所として、公民館、体育館などの比較的広い公共施設が利用されている。この際、避難民には個室があてがわれることは殆どなく、大部屋一箇所に多数の近隣住民が集められ、いわゆる雑魚寝などの雑居生活による共同生活を余儀なくされ、その共同生活は災害の復旧がある程度進むまで継続される。
【0003】
またこの間は、行政側からは毛布や、食料、水などは支給されるものの、大多数の避難者は身の回りのものだけしか持たずに避難するだけであり、排泄、着替、洗面、入浴、就寝の場を他の人々と共用するため、個々の生活生理に係るプライバシーもままにならない場合が多い。
【0004】
特に震災の場合には、余震が完全に収るまでこの種の生活を送らなくてはならなくなり、住宅家屋が損壊した場合などにあっては、共同生活期間が長期に亘り、プライバシーがないまま身近に大勢の人々が寝起きを繰返すことになる。このため、ストレスの蓄積に伴う疾病を生じたり、特に寒冷期などでは風邪などの罹病率が格段に増加し、加えて高齢者の場合には持病の悪化原因ともなる。よって、このような人の密集による人為的二次災害を防止するため、簡易なパーティションにより大部屋を複数に区画することや、室内に山岳スポーツ用のテント等を導入することも考えられる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、パーティションによる区画を実施した場合には、全体の見通しが利かなくなり、しかも余震などが生じた場合に、パーティションが倒れると避難路を妨げ、却って混乱を生む原因ともなる。
【0006】
これに対し、スポーツ用テントの場合には、自立性があり、組立が簡単で、4〜5人用などの家族単位で使用でき、着替などのプライバシーも確保できる利点はあるものの、その大きさに応じて床面積を占有するため、個人持ちの場合、室内に避難民が多いと周囲に迷惑を与える。また、閉鎖性がある利点はあるものの、内部から外部、あるいはその逆の見通しが効かず、余震などによる咄嗟の場合の対応が遅れる。
【0007】
本発明は、以上の課題を解決するものであって、軽量で携帯性があり、外部からの衝撃から内部の人を保護できるようにした、災害時での避難用保護具、一人用テントなどとして好適な簡易シェルターを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するため、本発明の簡易シェルターは、軽量高強度素材によって長手方向に沿って展開縮小可能に形成された覆体でなり、該覆体は展開状態で人一人が仰臥するのに十分な内部空間を形成するとともに、収縮状態で持運び可能な可搬性を有することを特徴としている。
【0009】
請求項2記載の発明は、前記覆体が展開状態で長手方向に沿って適宜間隔に離間配置される半円弧状の複数のフレームと、該フレーム間に掛け渡されて各フレーム同士を繋ぐ連結ロッドと、該フレームの内側に接合されて該連結ロッドによる各フレーム間の拡縮に応じて折畳み展張される可撓性の断熱シートとからなることを特徴としている。
【0010】
請求項3の発明は、前記連結ロッドが中央部で折れ曲げ可能であって、その両端が各フレームに対して回動自在に接合されて折畳み展開可能に連結されていることを特徴としている。
【0011】
請求項4の発明は、前記連結ロッドが各フレームに対して着脱可能に連結されるものであることを特徴としている。
【0012】
請求項5の発明は、前記可撓性断熱シートが不織布層を内側として、その表面にポリエチレン層、アルミ蒸着層ポリエチレン層をライニングした4層構造であることを特徴としている。 請求項6の発明は、前記軽量高強度素材が、互いに重なりあった状態に配置される複数の硬質かつ半円筒形外殻体であることを特徴としている。
【0013】
請求項7の発明は、シェルターの前部または後部開口にカーテンを脱着可能に取付けたことを特徴としている。
【0014】
請求項8の発明は、前記カーテンの中央には縦方向のスリットが形成されていることを特徴としている。
【0015】
請求項9の発明は、前記フレームが半アーチ状をなし、可撓性断熱シートの幅方向中央で連結手段を介して着脱可能に連結されるものであることを特徴としている。
【0016】
請求項10の発明は前記覆体が、適宜間隔をおいて直線状荷配列された複数の硬質かつ半円筒形の外殻体と、各外殻体間に両端連結された可撓性断熱シートからなるものであることを特徴としている。
【0017】
請求項11の発明は、可撓性断熱シートの両側部にはその長手方向に沿って袋状に形成された棒通し部を一体化してなり、該棒通し部に支持棒を差込むことにより、各外殻体を直列配列したことを特徴としている。
【発明の効果】
【0018】
したがって、請求項1に係る発明にあっては、シェルターを展開し、その内部に入り込むことで、落下物や転倒物から身体を保護でき、不要時には収縮することで携帯可能となる。したがって、例えば避難所生活におけるプライバシー確保や、登山などにおける緊急避難用テントなどとして好適である。
【0019】
請求項2に係る発明では、軽量であり、携帯性に富む。
請求項3に係る発明では、身長方向に伸縮することで、シェルターの展開収縮が可能である。
【0020】
請求項4に係る発明では、各部を個々に分解して携帯するのに好適である。
請求項5に係る発明では、シート素材そのものが軽量で断熱性があるため、寒気などから身体を保護できる。
【0021】
請求項6に係る発明では、外部衝撃から身体を保護する上で特に好適である。
請求項7に係る発明では、シェルター内部への寒気吹込みなどを防止する上で好適である。
【0022】
請求項8に係る発明は、カーテンがのれん状となっているため、咄嗟の場合に外部の覗く時、これを払えば簡単に覗くことができる。
請求項9に係る発明は、シェルターを構成する部材がより細分化されるため携帯時の荷姿を小形にできる。また連結手段を取外すことにより、左右に折畳み展開でき、展開状態で立てることにより、衝立などとしても使用できる。
【0023】
請求項10に係る発明は、不使用時において、可撓性断熱シートを内側に折込んだ状態で外殻体を段積み状態に格納できる。
請求項11に係る発明は、シェルター使用時の直線性を得ることができるほか、天地逆にすることで、支持棒の両端を支持部とする簡易担架として使用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下本発明の好適な実施の形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。図1〜図5は本発明の第1実施形態を示す。
【0025】
このうち図1は本発明の簡易シェルターの使用状態を示している。この簡易シェルター1は、断面が半円筒体状をなす展開縮小可能な覆体よりなるもので、展開されて床または地面に設置されている状態では、その内部にちょうど大人一人が窮屈さを感ずることなく仰臥できるような実寸法の空間を形成可能に構成されている。
【0026】
即ち、この簡易シェルター1は、身長方向となる筒状体の軸方向に沿って適宜間隔を空けて複数横列された半円弧状のフレーム2と、各フレーム2の両設置端において、各フレーム2同士を身長方向に連結する連結ロッド3と、床などに設置されて両側部が前記各フレーム2の両端部に連結されるグランドシート4と、このグランドシート4の両側上部に縫製などにより袋状に一体化されて前記フレーム2の内側に係止されるテントシート5と、グランドシート4及びテントシート5の後部に縫製などにより一体化され、後部開口を閉鎖するバックシート6とを備えており、これらシート4,5,6により前部開口を残して身体全体の周囲を包囲するようになっている。
【0027】
また、前記バックシート6の中央縦方向及びその下部の左右方向に沿ってファスナー7が配置され、それぞれのスライダー7aの操作によってバックシート6を左右に明けることができるようにしている(図1の背面図参照)。
【0028】
なお、以上の簡易シェルター1の前部側は開口しているが、これは簡易シェルター1の内部に人息れが籠らないことや、外部状況の判断や、内部の人の状況を外部から見ることができることを目的としているが、外気温が低い場合、後述するタープまたは専用のカーテンなどをかけて保温するようにもできる。
【0029】
前記各フレーム2は、炭素、ケブラーなどの繊維強化樹脂ポール、ジュラルミン、チタン等の金属ポールなど軽量かつ高強度な素材からなるものであり、前記グランドシート4にその両端が係止されることで、当該両端部の径方向外方への変形が拘束されて半円形の湾曲形状が保たれるようになっている。また、前記テントシート5は図2に示すように、各フレーム2に複数の吊子8を介してその内側に張設係止される。
【0030】
各フレーム2の両側設置端には、同図2に示すように、これを軸受して前記連結ロッド3に結合するための結合ブロック9が連結されている。結合ブロック9の側方には、図2の一部に拡大して示すように、ブラケット10を介して前記連結ロッド3の端部が回動自在にピン接合されている。また、連結ロッド3はその中央部がピン11を介して折曲自在な中折れ式に形成されており、これにより簡易シェルターは長手方向に折畳み展開可能となっており、当該簡易シェルター1の伸張状態では連結ロッド3は直線状に保持され、この状態から各連結ロッド3を折畳むことにより、身長方向の短縮を可能としている。なお、連結ロッド3には図示しないが直線状態に保持するためのロック機構などを設けておくことにより、各フレーム2の間隔を一定に保持し、テントシート5を緊張状態に張設しておくことができる。なお、図示例では、連結ロッド3はフレーム2の両端に設けてあるが、さらにフレーム2の中央部となる簡易シェルター1の頂部にも設けるようにするのがより望ましい。また、図示例では連結ロッド3は上方に折れ曲がるように構成してあるが、円弧状のフレーム2の中心に向けて内方に折れ曲がるようにしても良い。
【0031】
前記グランドシート4,テントシート5及びバックシート6は、いずれも同材質からなるもので、図3に示す断面となっている。すなわち、身体対向部から順に不織布層a,ポリエチレンフィルム層b,アルミ蒸着層c,ポリエチレンフィルム層dをライニングした4層構造からなり、NASAなどで開発された技術を応用した断熱性に富み、柔軟かつ軽量高強度の薄型シート素材であって、身体から放射される遠赤外線などを反射し、外気温が極めて低温度あっても、体感温度を高く保ち得る素材である。なお、グランドシート4の場合は図示とは天地逆の配置であり、これらにより、簡易シェルター1を床面または地面などに直接設置し、その内部に人が仰臥しても、体温の低下を防止し、内部空間を十分に保温できるものとなる。
【0032】
また、以上の素材は、高強度素材でもあるため、例えば図1に示すように簡易シェルター1の展開状態では、各シート4,5,6が緊張状態に展張しており、内部に人が仰臥している状態で、地震などにより器物が落下してきたり、倒れかかったりしてもフレーム2及びテントシート5の弾性及び張力範囲内であれば、折れたり破れたりすることが無く、内部の人を保護できる。
【0033】
簡易シェルター1の展開状態から、前記各連結ロッド3を折畳めば、図4(a)に示すように、簡易シェルター1は身長方向に短縮され、グランドシート5及びテントシート6は内側に折畳まれる。
【0034】
また、以上の簡易シェルター1を避難所などにおいて物入れとして活用する場合には、図4(b)に示すように、各連結ロッド3の内の半分だけを折畳んでおけば、空間は半分となるので、例えば避難者が避難所から一時離れる場合には身の回りの物品などを内部に収容しておけばよく、簡易シェルター1にタープ12をかけておけば、前部開口が閉じ、内部を隠蔽できる。
【0035】
このタープ12は図3に示す軽量高強度の断熱性シートが用いられるほか、室内であれば、通常の毛布、シーツ類などをかけておいても良い。なお、簡易シェルター1から首を出しておきたい場合には、開口部側の連結ロッド3を折畳めばよく、その操作は簡単である。
【0036】
更に、図4(a)に示す全折畳み状態での搬送性を容易にするために、例えば図5に示すように半円弧状をしたキャリングバッグ20の内部に収容して搬送することができる。
【0037】
このバッグ20の両側には把手21が設けられ、その円弧面に中央に沿ってスライダー22aによって開閉可能なファスナー22を一体化し、これの内部に前記折畳み状態の簡易シェルター1を出し入れ可能としている。
【0038】
また、折畳み格納状態ではフレーム2がバッグ20の円弧面内側に沿って格納され、その内側は折畳まれた柔軟なシート素材だけであり、バッグ20の内容積は十分あるため、バッグ20の側面にも同じくスライダー23aによって開閉可能なU字形をしたファスナー23を設け、これを明けることで側面を開口し、バッグ20の内部に、懐中電灯、トランジスタラジオ、マッチ、非常食料品、水の入ったペットボトルなどの防災用品24のほか、着替え類、携帯用枕、前述のタープ12を折畳んだものなどを出納できるようになっており、災害時の非常持ちだし用のバッグとして機能している。
【0039】
なお、把手21に替えて背負い式としても良く、いずれにおいても、このバッグ20を自宅、自動車などに備えておくことにより、災害時においてこれを持出して利用できる。
【0040】
本実施形態では、前記各フレーム2を一本としているが、複数の継足し式に細分割し、各シート4,5,6及び結合ブロック9に対しても取外し可能とし、それぞれを分割した状態で部品毎に小分けして格納し、使用現場で組立てるようにしてもよく、この場合には、特に前述の専用のバッグ20は不要となる。
【0041】
図6は本発明の第2実施形態を示すものである。なお、図において前記第1実施形態と異なる部材のみ異なる符号を付し、同一部材には同一符号を付して説明を省略する。
【0042】
図における簡易シェルター30は、連結ロッド31が結合ブロック32に対し脱着可能に連結されており、前部及び後部のフレーム2の両端に接合される結合ブロック32はロッド受け32aがL字管状をなしたエルボ状に設けられ、中間のフレーム2の両端に接合される結合ブロック32にはその前後にロッド受け32aがT字管状をなしたチーズ状に設けられ、更にグランドシート4の両側が吊子8を介して連結ロッド32の中間に結合している以外は第1実施形態と同様である。
【0043】
本実施形態では特に前述のごとくフレーム2を複数の継足し式に細分割し、各シート4,5,6及び結合ブロック32に対しても取外し可能とした場合において、結合ブロックより引抜いて連結ロッド31も分解可能となり、それぞれを分割した状態で部品毎に小分けしてバッグなどに格納し、使用現場で組立てる場合に好適である。
【0044】
なお、第1、第2実施形態において、前記簡易シェルター1,30の前部は開口しているが、バックシート6と同様に閉鎖し、ファスナー7により開閉できるようにしても良い。しかしながら、このように閉鎖したのでは、咄嗟の場合に簡易シェルター1,30から脱出するときの操作性が悪く、換気性にも乏しい。
【0045】
かといって、簡易シェルター1,30を室内で使用する場合、照明が明るすぎてなかなか寝付かれない場合もある。そこで、図7に示すように、シェルター30におけるテントシート5の開口縁近傍の外周部に面ファスナ34aを設けておく一方、カーテン35の裏面に前記面ファスナ34aに噛合する面ファスナ34bを設けておき、両面ファスナ34a,34bを介してカーテン35の上縁をテントシート5の開口縁に固定した状態で垂らしておくことにより、通気性を確保した状態で内部を暗視野状態に閉鎖でき、しかもある程度内部の保温も行うことができる一方で、咄嗟の場合には、カーテン35を手で払いながらシェルター30から迅速に脱出することができる。
【0046】
なお、図では第2実施形態のシェルター30に適用した場合を説明したが、第1実施形態でも同様な手法でカーテン35を取付けることができる。
【0047】
更に以上の第1、第2実施形態において、フレーム2の半径を前部から後部まで同じとしているが、身体形状に応じて後部側を順次小さくすることも可能である。
【0048】
図8は本発明の第3実施形態を示すものである。図においてこの簡易シェルター40は、半円筒形をした第1の外殻体41と、この外殻体41の後部内側に相対的に摺動可能に密接配置された第2の外殻体42とからなっており、両者を長手方向に連続させた状態で人一人が仰臥するのに十分な空間が構成されている。
【0049】
両外殻体41,42はいずれもGFRP(ガラス繊維強化樹脂),CFRP(炭素繊維強化樹脂)などの軽量高強度素材の成形体からなるもので、家具が倒れたり、岩石などが衝突してもその衝撃から内部の人を完全保護できるようになっている。
【0050】
そして、この状態から外殻体41,42同士を収縮した状態では重なり合い、寸法が半分となり、多少かさばるものの、軽量素材からなっているため、持運びを行うことができる。
【0051】
また第1の外殻体41の開口部付近の内面には、左右一対の把手43が設けられており、必要に応じて内部の人が手を伸してこの把手43を掴み、外殻体41を相対的に引下げることにより、外部視界などを確認できるようになっている。
【0052】
本実施形態では、特に落下物などの衝撃から人体を保護する上で好適である。また本実施形態において、外殻体41,42同士を適宜の連結手段を介して連結し、天地逆にした場合には、負傷者の搬送用担架などとしても活用できる。このような場合に備えて、担ぎ棒に対する連結部などを外部に設けておくことも可能である。
【0053】
図9は、前記第3実施形態をさらに発展させた第4実施形態を示すもので、前記把手43を内側に設けた上半身を覆う第1の外殻体41と、腹部から太もも部分を覆う中央の外殻体42及び足先部分を覆う下部外殻体44に3分割されている。
【0054】
さらに第1の外殻体41の前面開口部及び第3の外殻体44の後部開口部には、面ファスナー45を介してカーテン46,47が取付けられ、風よけと保温の機能をもたらしている。なお、特に前面側カーテン46には図示のごとく中央に縦方向のスリット46aが形成され、周囲を見ようとする場合は恰ものれんを左右に明けるようにすることにより、直に外部を覗けるようにしている。
【0055】
本実施形態では前記第三実施形態と同様な効果を得るとともに、シェルター40を前記第3実施形態よりさらに複数分割することにより携帯性を向上でき、さらには4分割以上も可能でありこの場合には、例えば第一の実施形態に示すようなキャリングバッグ(図5参照)に収納して持運びも可能となる。
【0056】
また前部側カーテン46は前記第2実施形態に比べてのれん状となっているため、外部を見ようとする場合における操作性が増す。
【0057】
図10〜図13は本発明の第5実施形態を示すものである。図において、この簡易シェルター50は、図3に示す断面形状の可撓性断熱シートからなるテントシート51の内側に左右のフレーム52を挿通するための袋状の挿通部53を幅方向端部より幅方向中心側に向けて縫製などにより交互に形成し、左右のフレーム52はこの挿通部53に差込まれることにより、テントシート51は蒲鉾状に立体造形されるようになっている。
【0058】
左右のフレーム52は半アーチ型をなし、その外端部を前記第2実施形態と同様に、連結ロッド31の結合ブロック32にはめ込まれるとともに、図11の一部に拡大して示すように、テント状に組立てられた状態でその中心部側は連結手段としての面ファスナー54を巻付けることにより互いに連結されてアーチ形状を保持される。
【0059】
このシェルター50の組立にあたっては、図12に示すように、まず連結ロッド31に片側のフレーム52を差込み、次いでこれらフレーム52をテントシート51の片側の挿通部53に差込み、その後は、もう片側のフレーム52も同一要領でテントシート51に組付け、次いで前記面ファスナー54で左右のフレーム52同士を連結すれば、図11に示すようにテント形状に形成される。
【0060】
分解操作は前記とは逆の手順で行えばよい。いずれにおいても、フレーム52が左右に2分割されていることから、組立、分解の労力か最小となる。また携帯時においても細分化されるため、その荷姿を小形化することができる。
【0061】
なお、本実施形態で特筆すべきことは、以上のシェルター50は面ファスナー54をとった状態では左右に展開でき、その面積がほぼ二倍となるところから、図13に示すように、立て掛けることにより、衝立としての使用も可能である。
【0062】
この場合にはテントシート51の張力によりアーチ状に丸まろうとする力が加わるので、例えば両端に面ファスナー55aを設けた複数の支持用テープ55をテントシート51の外面幅方向両側に結合しておくことで、立てた状態での自立性を保持できる。このような使用は、避難所における風よけや、授乳、着替、おむつ交換など、特にプライバシーを必要とする作業時の目隠しとして好適である。
【0063】
なお、本実施形態においては、前後のカーテンを省略したが、図7、あるいは図9に示すカーテンを面ファスナを介して着脱可能に配置することも可能であることは言うまでもない。また、本実施形態ではフレーム52同士の連結手段として面ファスナー54の巻付けによったが、例えばクランプ具などの剛結合手段を用いることもできる。
【0064】
図14、15は本発明の第6実施形態を示す。図において、この簡易シェルター60は、適宜間隔をおいて配列された軽量高強度素材の成形体からなる半円筒形の3つの外殻体61と、各外殻体3の内面に縫製などにより両側固定されて各外殻体61を連結した可撓性断熱シートからなるテントシート62とを備えている。図14(a),図15に示すように、テントシート62の両側には縫製などにより袋状に形成された棒通し部63が一体化され、この棒通し部63に支持棒64を通すことで、テントシート62部分の形状を保つととも、各外殻体61を直線的に配列している。
【0065】
本実施形態において特筆すべきことは、図15に示すように、シェルター60を逆さにし、この状態で棒通し部63に支持棒64を通すことで、支持棒64のシェルター60からの前後突出端を支持部として簡易担架としても使用可能となることである。すなわち非常災害時には、けが人などもでることから、このような使用にも最適となる。
【0066】
また、図14(b)に示すようにシェルター60の非使用時においては、テントシート62を巻込んだ形で外殻体61を段積み状態に格納でき、不要時のコンパクト化が可能となる。
【0067】
なお、本実施形態においては、前後のカーテンを省略したが、図7、あるいは図9に示すカーテンを面ファスナを介して着脱可能に配置することも可能であることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】第1実施形態による簡易シェルターを示す側面図正面図及び背面図である。
【図2】図1のA部を拡大して示す部分斜視図である。
【図3】図1のB−B断面におけるシートの素材構成を示す部分拡大断面図である。
【図4】(a)は同シェルターの折畳み状態を示す側面図、(b)は半折畳み状態を示す側面図である。
【図5】同シェルターのキャリングバッグ及びこれの内部に格納される他の防災用品を示す斜視図である。
【図6】第2実施形態による簡易シェルターを示す一部斜視図である。
【図7】第1、第2実施形態においてシェルターの前面開口を閉鎖する場合を示す一部斜視図である。
【図8】第3実施形態による側面図及び正面図である。
【図9】第4実施形態を示す一部斜視図部分を含む側面図である。
【図10】第5実施形態におけるテントシートを示す平面図である。
【図11】同テントシートを用いたシェルターの組立状態を示す斜視図である。
【図12】同シェルターの組立分解手順を示す斜視図である。
【図13】同シェルターを衝立として用いた場合を示す斜視図である。
【図14】(a),(b)は第5実施形態を示す使用及び格納時の斜視図である。
【図15】簡易担架として使用する場合を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0069】
1,30,40,50,60 簡易シェルター
2 フレーム
3,32 連結ロッド
4,5,6 可撓性断熱シート
(4 グランドシート、5 テントシート、6 バックシート)
a 不織布層
b,d ポリエチレンフィルム層
c アルミ蒸着層
35 カーテン
41,42 外殻体
51 可撓性断熱シート
52 フレーム
54 連結手段(面ファスナー)
61 外殻体
62 可撓性断熱シート
63 棒通し部
64 支持棒

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軽量高強度素材によって半筒体状に展開縮小可能に形成された覆体でなり、該覆体は展開状態で人一人が仰臥するのに十分な内部空間を形成するとともに、収縮状態で持運び可能な可搬性を有することを特徴とする簡易シェルター。
【請求項2】
請求項1において、前記覆体が展開状態で長手方向に沿って適宜間隔に離間配置される半円弧状の複数のフレームと、該フレーム間に掛け渡されて各フレーム同士を繋ぐ連結ロッドと、該フレームの内側に接合されて該連結ロッドによる各フレーム間の拡縮に応じて折畳み展張される可撓性の断熱シートとからなることを特徴とする簡易シェルター。
【請求項3】
請求項2において、前記連結ロッドが中央部で折れ曲げ可能であって、その両端が各フレームに対して回動自在に接合されて折畳み展開可能に連結されていることを特徴とする簡易シェルター。
【請求項4】
請求項2において、前記連結ロッドが各フレームに対して着脱可能に連結されるものであることを特徴とする簡易シェルター。
【請求項5】
請求項2〜4において、前記可撓性断熱シートが不織布層を内側として、その表面にポリエチレン層、アルミ蒸着層ポリエチレン層をライニングした4層構造であることを特徴とする簡易シェルター。
【請求項6】
請求項1において、前記軽量高強度素材が、互いに重なりあった状態に配置される複数の硬質かつ半円筒形の外殻体であることを特徴とする簡易シェルター。
【請求項7】
請求項1〜6において、シェルターの前部または後部開口にカーテンを脱着可能に取付けたことを特徴とする簡易シェルター。
【請求項8】
請求項7において、前記カーテンの中央には縦方向のスリットが形成されていることを特徴とする簡易シェルター。
【請求項9】
請求項2〜5において、前記フレームが半アーチ状をなし、可撓性断熱シートの幅方向中央で連結手段を介して着脱可能に連結されるものであることを特徴とする簡易シェルター。
【請求項10】
請求項1、4,5において、前記覆体が、適宜間隔をおいて直線状に配列された複数の硬質かつ半円筒形の外殻体と、各外殻体間に両端連結された可撓性断熱シートからなるものであることを特徴とする簡易シェルター。
【請求項11】
請求項10において、可撓性断熱シートの両側部にはその長手方向に沿って袋状に形成された棒通し部を一体化してなり、該棒通し部に支持棒を差込むことにより、各外殻体を直列配列したことを特徴とする簡易シェルター。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2006−265849(P2006−265849A)
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−81752(P2005−81752)
【出願日】平成17年3月22日(2005.3.22)
【出願人】(598059907)株式会社清水興産 (2)
【Fターム(参考)】