説明

簡易フェンス

【課題】全体の大きさや形状を簡単に換えることができ、さらに、複数のものを連結してさらに大きなものを容易に構築することができる簡易フェンスを提供する。
【解決手段】略長方形状のシート状に形成され、床面Fに載せられる下端部11と、下端部11に対向する上端部12と、上端部12及び下端部11のそれぞれの一方の端縁を上下方向に連結する始端部13と、それぞれの他方の端縁を上下方向に連結する終端部14とを有するフェンス本体10と、下端部11に沿って配置されてフェンス本体10の形状を保持する屈曲可能な下保持部材21と、上端部12に沿って配置されてフェンス本体10の形状を保持する屈曲可能な上保持部材22と、始端部13と終端部14とに配置され、始端部13と終端部14とを連結してフェンス本体10により閉空間を構成する係脱可能な連結機構30と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、被災時に避難所となる学校の体育館等で簡単に使用することができる簡易フェンスに関する。
【背景技術】
【0002】
地震、津波、火災等の災害で家を失った多くの人々は、学校の教室や体育館等での避難所生活を余儀なくされる。
【0003】
避難所では、毛布や布団、身の回りのものといった必要最小限のものを持って家族単位で食事や睡眠を取ることになる。
【0004】
こういった避難所生活では、1つの平らなフロアーで多くの家族が共同生活を営むため、お互いに視線をさえぎるものがなく、個人のプライバシーを守ることは殆ど困難である。
【0005】
このような場合に、最小限のプライバシーを守ることができる簡易ついたてが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
このものは、幅(高さ)40cm程の段ボールに似た巻き紙を解いて所定に長さに切断し、略四角形に屈曲させて、体育館等の床面に立てた後、両端部をクリップで留めることで、閉じた四角形の空間を形成するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平6−62942号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述の特許文献1のものは、例えば、睡眠時の寝姿が見えない等の最低限のプライバシーは確保できるものの、全体の大きさや形状を変えたり、複数のものを連結してさらに大きいものを構築したりするのが難しいという問題があった。
【0009】
そこで、本発明は、全体の大きさや形状を簡単に換えることができ、さらに、複数のものを連結してさらに大きなものを容易に構築することができる簡易フェンスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に係る発明は、載置面に立てられて所定の領域を囲う簡易フェンスにおいて、伸長状態において略長方形状のシート状に形成され、前記載置面に載せられる下端部と、前記下端部の上方に配置されて前記下端部に対向する上端部と、前記上端部及び前記下端部のそれぞれの一方の端縁を上下方向に連結する始端部と、前記上端部及び前記下端部のそれぞれの他方の端縁を上下方向に連結する終端部とを有するフェンス本体と、前記下端部に沿って配置されて前記フェンス本体の形状を保持する屈曲可能な下保持部材と、前記上端部に沿って配置されて前記フェンス本体の形状を保持する屈曲可能な上保持部材と、前記始端部と前記終端部とに配置され、前記始端部と前記終端部とを連結して前記フェンス本体により閉空間を構成する係脱可能な連結機構と、を備えた、ことを特徴とする。
【0011】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る簡易フェンスにおいて、前記フェンス本体の前記下端部及び前記上端部に沿った方向を長さ方向としたときに、前記フェンス本体は、前記下端部と前記上端部とに、前記下端部及び前記上端部を折り返して形成されるとともに前記長さ方向に貫通されて前記下保持部材及び前記上保持部材の挿脱が可能な下折り返し部及び上折り返し部を有する、ことを特徴とする。
【0012】
請求項3に係る発明は、請求項2に係る簡易フェンスにおいて、前記フェンス本体の前記始端部及び前記終端部に沿った方向を高さ方向としたときに、前記フェンス本体は、前記長さ方向の異なる位置のそれぞれに前記フェンス本体の一部を折り返して形成されて上下方向に延びるプリーツ部を有する、ことを特徴とする。
【0013】
請求項4に係る発明は、請求項3に記載の簡易フェンスにおいて、前記プリーツ部は、上下方向に貫通されて支柱の挿脱が可能な筒状に形成されている、ことを特徴とする。
【0014】
請求項5に係る発明は、請求項4に係る簡易フェンスにおいて、前記フェンス本体は、展開状態ではシート状となる1枚のシート状部材の一部を折り返して接合することにより、前記下折り返し部、前記上折り返し部、前記プリーツ部が形成されている、ことを特徴とする。
【0015】
請求項6に係る発明は、請求項5に係る簡易フェンスにおいて、前記接合は、縫合、熱溶着、接着のいずれかで行われている、ことを特徴とする。
【0016】
請求項7に係る発明は、請求項1ないし6のいずれか1項に係る簡易フェンスにおいて、前記連結機構が、前記フェンス本体の前記始端部と前記終端部とのうちの一方に設けられた面ファスナの凸側と、他方に設けられた面ファスナの凹側とによって構成されている、ことを特徴とする。
【0017】
請求項8に係る発明は、請求項1ないし7のいずれか1項に係る簡易フェンスにおいて、前記フェンス本体は、前記下端部を上方に折り返して形成されたポケット部を有する、ことを特徴とする。
【0018】
請求項9に係る発明は、請求項1ないし8のいずれか1項に係る簡易フェンスにおいて、前記フェンス本体は、高さが30〜50cmである、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
請求項1の発明によれば、フェンス本体がシート状に形成され、また、フェンス本体の下端部及び上端部の下保持部材及び上保持部材が屈曲可能であり、また、連結機構によって連結することができるので、全体の形状を、例えば、円形、四角形等の任意の閉じた形状に構成することができる。また、一旦、構成した形状や大きさを簡単に変更することができる。さらに、連結機構を利用して複数の簡易フェンスを連結することで、大きな形状を容易に構成することができる。
【0020】
請求項2の発明によれば、下保持部材及び上保持部材は、下折り返し部及び上折り返し部に対して挿脱可能であるので、簡易フェンスを収納する際には、下保持部材及び上保持部材を引き抜いて、シート状のフェンス本体を小さく折り畳んだり丸めたりすることができる。一方、簡易フェンスを構成する際には、下保持部材及び上保持部材を下折り返し部及び上折り返し部に挿入することで、容易に簡易フェンスを構成することができる。
【0021】
請求項3の発明によれば、プリーツ部が、シート状のフェンス本体の補強部分として作用してフェンス本体の形状の保持の助けとなる。
【0022】
請求項4の発明によれば、筒状のプリーツ部に、例えば、支柱を挿入することにより、簡易フェンス全体の形状を一層確実に保持することが可能となる。
【0023】
請求項5の発明によれば、フェンス本体は、1枚のシート状部材の一部を折り返したり接合したりすることで、下折り返し部、上折り返し部、プリーツ部を形成することができるので、複数のシート状部材を組み合わせて製造する場合と比較して、製造が容易である。
【0024】
請求項6の発明によれば、接合は、フェンス本体の材質に応じて、縫合、熱溶着、接着のうちから適宜に選択することができる。
【0025】
請求項7の発明によれば、連結機構が凸側と凹側とからなる面ファスナによって構成されているので、その係脱(着脱)が容易であり、また、不使用時にフェンス本体を折り畳んだり丸めたりした際に邪魔になりにくい。
【0026】
請求項8の発明によれば、ポケット部を設けることで、このポケットに身の回りのものを収納することにより、全体の整理がつく。
【0027】
請求項9の発明によれば、フェンス本体の高さを30〜50cmにすることにより、例えば、簡易フェンスの内側で横になったときの視線をさえぎることができ、また、簡易フェンスの内側から外側、またその逆に外側から内側に移動する際には、フェンス本体の上を比較的容易に跨ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】(A)は、下折り返し部15及び上折り返し部16が展開された状態で、さらに、全体が伸長された状態の簡易フェンス1を内面(表面)A側から見た正面図であり、(B)は、完成(仕上がり)状態の簡易フェンス1を伸長した状態を内面A側から見た正面図であり、(C)は、簡易フェンス1を2枚連結して大きなフェンスを構成した使用例を説明する斜視図である。
【0029】
【図2】(A)は、下折り返し部15及び上折り返し部16が展開された状態で、さらに、全体が伸長された状態の簡易フェンス2を内面(表面)A側から見た正面図であり、(B)は、完成(仕上がり)状態の簡易フェンス2の伸長した状態を内面A側から見た正面図であり、(C)は、簡易フェンス2の上面図であり、(D)は、簡易フェンス2を2枚連結して大きなフェンスを構成した使用例を説明する斜視図である。
【0030】
【図3】(A)は、2枚の簡易フェンス2で形成したフェンスの上方の開口部を、シート状のカバー42で閉鎖する状態を説明する図であり、(B)は、開口部全体をカバー42で閉鎖した状態を説明する図であり、(C)は、カバー42の一部をまくりあげて、開口部の一部を開放した状態を説明する図である。
【0031】
【図4】プリーツ部18の使用例を説明する図である。
【0032】
【図5】(A)は、下折り返し部15及び上折り返し部16が展開された状態で、さらに、全体が伸長された状態の簡易フェンス3を内面(表面)A側から見た正面図であり、(B)は、完成(仕上がり)状態の簡易フェンス3の伸長した状態を内面A側から見た正面図であり、(C)は、簡易フェンス3の上面図であり、(D)は、簡易フェンス3を2枚連結して大きなフェンスを構成した使用例を説明する斜視図であり、(E)は、ハトメ17に紐等を用いて書類G1等を吊るした例を示す図であり、(F)は、ポケット部19に書類G2等を収納した例を示す図である。
【0033】
【図6】簡易フェンス2Aの使用例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明を適用した実施形態を、図面に基づいて詳述する。なお、各図面において、同じ符号を付した部材等は、同一又は類似の構成のものであり、これらについての重複説明は適宜省略するものとする。また、各図面においては、説明に不要な部材等は適宜、図示を省略している。
<実施形態1>
【0035】
図1を参照して、本発明を適用した実施形態1に係る簡易フェンス1について説明する。ここで、図1(A)は、下折り返し部15及び上折り返し部16が展開された状態で、さらに、全体が伸長された状態の簡易フェンス1を内面(表面)A側から見た正面図である。つまり、図1(A)の簡易フェンス1は、下折り返し部15及び上折り返し部16が未完成な半製品である。図1(B)は、完成(仕上がり)状態の簡易フェンス1を伸長した状態を内面A側から見た正面図である。ただし、同図では、下折り返し部15に収納された下保持部材21、及び上折り返し部16に収納された上保持部材22を太い実線で図示している。図1(C)は、簡易フェンス1を2枚連結して大きなフェンスを構成した使用例を説明する斜視図である。
【0036】
簡易フェンス1は、シート状のフェンス本体10と、下保持部材21,上保持部材22と、連結機構30とを備えて構成されている。
【0037】
フェンス本体10は、略長方形状に形成されていて、載置面となる例えば体育館の床面F(図1(B),(C)参照。)に載せられる下端部11と、この下端部11の上方に配置されて下端部11に対向する上端部12と、下端部11及び上端部12のそれぞれの一方の端縁を上下方向に連結する始端部13と、下端部11及び上端部12のそれぞれの他方の端縁を上下方向に連結する終端部14とを有している。これら下端部11、上端部12、始端部13、終端部14は、全体形状が略長方形状のフェンス本体10の各辺に対応している。ここで、図1(B)に示すように、フェンス本体10における、下端部11及び上端部12に沿った方向を長さ方向、また、始端部13及び終端部14に沿った方向を高さ方向とする。なお、図1(B)では、フェンス本体10の長さをL、高さをHで示している。
【0038】
フェンス本体10は、下端部11に沿って下折り返し部15を有し、また、上端部12に沿って上折り返し部16を有している。下折り返し部15は、図1(A)に示す下端縁15aを、谷折り線15bを基準として上側に谷状に折り返して接合線15cに接合することによって形成されている。これにより、下折り返し部15は、下端部11に沿って長さ方向に延びる細長い空間が形成されることになる。上折り返し部16についても同様である。すなわち、上折り返し部16は、図1(A)に示す上端縁16aを、谷折り線16bを基準として下側に谷状に折り返して接合線16cに接合することによって形成されている。これにより、上折り返し部16は、上端部12に沿って長さ方向に延びる細長い空間が形成されることになる。
【0039】
上述の下折り返し部15の細長い空間には、後述する下保持部材21が挿入され、また、上折り返し部16の細長い空間には、後述する上保持部材22が挿入されている。なお、上述の接合としては、例えば、縫合、熱溶着、接着剤を使用した接着等から選択した方法を採用することができる。この接合方法の選択は、フェンス本体10の材質によって選択すればよく、例えば、フェンス本体10が布製の場合には、縫合を採用し、合成樹脂性のシートの場合には、熱溶着や接着を採用すればよい。
【0040】
フェンス本体10には、下端部15側の複数箇所に、それぞれ一対のハトメ17が形成されている。これらハトメ17に紐や鎖を通すことで、例えば、貴重品や身の回りの小物をしばりつけておくことができる。これにより、貴重品や身の回り品を紛失を防止することができる。なお、ハトメ17の形成箇所や形成個数は任意であり、下端部15側だけでなく、上端部16側にも設けたり、あるいや上端部16側だけに設けたりするようにしてもよい。つまり、ハトメ17は、必要に応じて任意の箇所に任意の個数だけ設けることができる。
【0041】
下保持部材21、上保持部材22は、例えば、フォルテ(登録商標)によって形成することができる。このフォルテは、ポリエチレンシートであって、金属代替性質を有する形状保持材である。つまり、フォルテは、針金のように自在に折り曲げることができ、また、折り曲げた際には曲げ戻りがほとんどなく、さらに、変形後にはその形状を保持することができる。下保持部材21及び上保持部材22は、適宜な幅のテープ状のフォルテを、下折り返し部15及び上折り返し部16の細長い空間に挿通させて構成する。このような下保持部材21、上保持部材22は、下折り返し部15及び上折り返し部16に対する挿脱(着脱)が容易であり、例えば、簡易フェンス1の不使用時の、フェンス本体10を折り畳んだり丸めたりする際には、これらの妨げにならないように、下折り返し部15及び上折り返し部16から引き抜くようにするとよい。一方、下保持部材21及び上保持部材22は、下折り返し部15及び上折り返し部16に挿入された際には、上述した性質に基づいて、フェンス本体10の形状を保持するとともに、フェンス本体10の変形を容易にしている。
【0042】
連結機構30としては、相互に係脱可能な凸側31と凹側32とを有する面ファスナを使用することができる。フェンス本体10の内面(表面)Aには、始端部13近傍に、面ファスナの凸側31が、上下(高さ方向)3段で、左右(長さ方向)2列に設けられている。一方、フェンス本体10の外面(裏面)B(内面Aの反対の面)には、終端部14近傍の、上述の凸側31に対応する位置に、面ファスナの凹側32が、同じく上下3段で、左右2列に設けられている。ここで、連結機構30を構成する面ファスナの凸側31及び凹側32を、長さ方向に沿って長く設けることで、相互の係合位置を長さ方向の調整することができるので、両者を係合させて閉じた空間を構成する際に、その大きさを簡単に調整することができる。
【0043】
なお、面ファスナとして、1つの面に凸側と凹側とを有するものを使用した場合には、上述のように、凸側31と凹側32とを区別することなく、同じものを上述した所定の位置に設ければよい。
【0044】
なお、連結機構30としては、上述の面ファスナに限らず、例えば、スナップ、ボタン、ホック、フック等の任意のものが使用可能であり、また、これらのうちから複数種のものを組み合わせて使用するようにしてもよい。
【0045】
上述のフェンス本体10は、例えば、高さHについては、40cmを中心として、30〜50cm、さらに好ましくは35〜45cm程度に設定され、また、長さLについては、280cm程度に設定されている。高さLが30cm未満の場合には、標準的な大人Mが寝そべった状態で使用する場合に、視線をさえぎることができなくなるおそれがあり、一方、50cmを超えた場合には、簡易フェンス1の内側から外側に出たり、また、この逆に外側から内側に入ったりする際に、簡易フェンス1の情報を簡単に跨ぐことができなくなるおそれがある。以上より、高さLについては、30〜50cmが好適であり、さらに好ましくは35〜45cmとするとよい。
【0046】
また、フェンス本体10の長さLについては、フェンス本体10を折り畳んだり丸めたりすることを考慮すると、280cm程度に抑えることが好ましい。長さLを280cmに設定すると、例えば、図1(C)に示すように、平均的な体格の大人Mが寝そべった状態でその周囲を囲む場合には、2枚の簡易フェンス1を使用することになる。この場合、一方の簡易フェンス1の外側Bの終端部14に設けた面ファスナの凹側32を、他方の簡易フェンス1の内側の始端部13の凸側31に係合させることで2枚の簡易フェンス1を連結し、2枚の簡易フェンス1で楕円形を形成した後、一方の簡易フェンス1の内側Aの始端部13の凸側31に他方のフェンス1の外側Bの終端部14の凹側32を係合させることにより、全体として楕円形のフェンスを構成し、フェンスで囲まれた閉空間Rを構成することができる。なお、ここで閉空間とは、床面F上の所定の領域を略平面的に囲むという意味であり、上方に向かっては、開口部を有することになる。
【0047】
フェンス本体10は、上述のように、シート状部材で形成されているので、フェンス本体10自体では、自己形状保持力は有していない。このような場合であっても、2枚の簡易フェンス1を楕円形に構成することと、また、上述のように、下折り返し部15に挿入した下保持部材21及び上折り返し部16に挿入した上保持部材22が形状保持力を有していることとで、全体として、形状保持力を有することが可能となる。さらに、下保持部材21及び上保持部材22が屈曲自在であるので、屈曲させたり湾曲させたりすることで、比較的自由に全体の形状を変えたり、大きさを変えたりすることができる。
【0048】
なお、上述では、2枚の簡易フェンス1を連結して大きなフェンスを構成する例を説明したが、例えば、さらに大きなフェンスが必要な場合には、3枚以上の簡易フェンス1を連結してフェンスを構成するようにしてもよい。また、逆に、囲う空間が狭くてよい場合には、1枚の簡易フェンス1を円形等に形作って小さいフェンスを作るようにしてもよい。
<実施形態2>
【0049】
図2を参照して、本発明を適用した実施形態2に係る簡易フェンス2について説明する。ここで、図2(A)は、下折り返し部15及び上折り返し部16が展開された状態で、さらに、全体が伸長された状態の簡易フェンス2を内面(表面)A側から見た正面図である。図2(B)は、完成(仕上がり)状態の簡易フェンス2の伸長した状態を内面A側から見た正面図である。ただし、同図では、下折り返し部15に収納された下保持部材21、及び上折り返し部16に収納された上保持部材22を太い実線で図示している。図2(C)は、簡易フェンス2の上面図である。図2(D)は、簡易フェンス2を2枚使用して大きなフェンスを構成した使用例を説明する斜視図である。
【0050】
なお、図2に示す簡易フェンス2は、図1に示す実施形態1の簡易フェンス1に、さらに、プリーツ部18を付加したものであり、それ以外の構成については、簡易フェンス1と同様であるので、同じ符号を付して重複説明は省略する。
簡易フェンス2は、フェンス本体10Aに複数のプリーツ部18が形成されている。各プリーツ部18は、フェンス本体10Aの一部を折り返して接合することにより、形成されている。すなわち、図2(A)に示すように、プリーツ部18は、高さ方向に延びる谷折り線18aでフェンス本体10Aの一部を折り返し、さらに、接合線18bと接合線18cとを接合させることで構成されている。こうして形成されたプリーツ部18は、フェンス本体10Aの高さ方向の全体にわたって形成され、これに伴い、プリーツ部18の内側には、高さ方向(上下方向)に貫通された空間が形成される。
【0051】
図2に示す例では、プリーツ部18は、フェンス本体10Aの始端部13と終端部14と、さらに、始端部13と終端部14との間を7等分する位置のそれぞれとに形成されていて、全体で、8つが形成されている。ここで、フェンス本体10Aの長さLが例えば280cmであるとすると、隣接する2つのプリーツ部18は、40cm間隔で形成されることになる。つまり、2つのプリーツ部18間を1区画とすると、1区画の幅Wは、40cmとなる。
【0052】
本実施形態の簡易フェンス2は、例えば、2つのプリーツ部18間では、フェンス本体10Aを平面状に構成し、プリーツ部18に対応する位置で屈曲させて使用することができる。つまり、1区画を1つの単位として屈曲させて使用することが容易となる。これにより、簡易フェンス2によって構成する閉空間の形状や大きさの変更が容易となる。
【0053】
図2(D)に、上述構成の2枚の簡易フェンス2を、連結機構30を使用して連結して使用する例を示す。なお、連結機構30を使用した連結方法は、図1(C)に示すものと同様である。
【0054】
本実施形態の簡易フェンス2によれば、上述の実施形態1の簡易フェンス1の効果に加え、さらに、フェンス本体10Aの全高にわたって形成されたプリーツ部18を複数設けてあるので、これらプリーツ部18が補強部材として作用するため、フェンス本体10Aの形状保持力が向上する。
【0055】
さらに、これらプリーツ部18は、図3,図4に示すような実施態様にも利用することができる。
【0056】
図3(A)は、2枚の簡易フェンス2で形成したフェンスの上方の開口部を、シート状のカバー42で閉鎖する状態を説明する図である。また、図3(B)は、開口部全体をカバー42で閉鎖した状態を説明する図である。また、図3(C)は、カバー42の一部をまくりあげて、開口部の一部を開放した状態を説明する図である。
【0057】
プリーツ部18に筒状の支柱41を挿入し、支柱41の下端を床面(載置面)Fに接触させるとともに、上端をプリーツ部18から上方に突出させて突出部分を設ける。一方、カバー42は、開口部よりも少し大きく形成されていて、周端縁には、上述の支柱41の突出部分が挿脱可能なハトメ42aを設けておく。カバー42で開口部を覆うには、開口部にカバー42をかけて、ハトメ42aに支柱41の突出部分を挿入する。これにより、開口部を簡単に覆って、他人の視線を完全に遮断することができる。また、図3(C)に示すように、大人Mの顔に対応する部分のハトメ42aをいくつか外すことにより、開口部の一部を開放することができる。
【0058】
図4を参照して、プリーツ部18の他の使用例を説明する。同図に示す例では、載置面が土,砂等の地面Gである場合に、この地面Gに、2枚の簡易フェンス2でフェンスを構築する場合を示している。プリーツ部18には、先端43aが尖った支柱43を矢印P方向に挿入し、その先端43aを地面Gに突き刺すようにする。他のプリーツ部18についても同様である。
【0059】
これにより、土や砂等の地面Gにフェンスをしっかりと固定することができる。図4に示す例は、簡易フェンス2を例えば芝生の広場や海岸の砂浜でレジャー用に使用する場合に好適である。
<実施形態3>
【0060】
図5を参照して、本発明を適用した実施形態3に係る簡易フェンス3について説明する。ここで、図5(A)は、下折り返し部15及び上折り返し部16が展開された状態で、さらに、全体が伸長された状態の簡易フェンス3を内面(表面)A側から見た正面図である。図5(B)は、完成(仕上がり)状態の簡易フェンス3の伸長した状態を内面A側から見た正面図である。ただし、同図では、下折り返し部15に収納された下保持部材21、及び上折り返し部16に収納された上保持部材22を太い実線で図示している。図5(C)は、簡易フェンス3の上面図である。図5(D)は、簡易フェンス3を2枚使用して大きなフェンスを構成した使用例を説明する斜視図である。図5(E)は、ハトメ17に紐等を用いて書類G1等を吊るした例を示す図である。図5(F)は、ポケット部19に書類G2等を収納した例を示す図である。
【0061】
なお、図5に示す簡易フェンス3は、図2に示す実施形態2の簡易フェンス2に、さらに、ポケット部19を付加したものであり、それ以外の構成については、簡易フェンス2と同様であるので、同じ符号を付して重複説明は省略する。
【0062】
ポケット部19は、フェンス本体10Bの下端側を、長さ方向に延びる谷折り線19aを基準に上側に谷状に折り返し、接合線19bを接合線19cに接合させることにより、長さ方向の全長にわたって形成することができる。なお、本実施形態では、上述のようにしてポケット部19を形成すると、同時に、下折り返し部15も形成することができる。
【0063】
なお、本実施形態では、フェンス本体10Bの始端部13の取り付ける6つの面ファスナの凸側31のうち、図5(A)に示す状態では、上端部16側の2つは内面A側に設け、残りの4つの凸側31は外面B側に設ける。これら4つの凸側31は、ポケット19に相当する部分に取り付けられていて、ポケット19の形成後の、図5(B)に示す状態では、内面A側に位置することになる。
【0064】
こうして形成されたポケット部19は、図5(D),(F)に示すように、書類G2を収納したり、身の回りの小物(不図示)を収納したりして自由に使用することができる。
【0065】
なお、ポケット部19を形成することにより、フェンス本体10B全体を補強して、形状保持力を向上させることにもなる。
<実施形態4>
【0066】
図6を参照して、本発明を適用した実施形態4に係る簡易フェンス2Aについて説明する。ここで、図6は、簡易フェンス2Aの使用例を説明する図である。
【0067】
同図に示す簡易フェンス2Aは、基本的な構成は、図2に示す簡易フェンス2と同じである。簡易フェンス2Aは、簡易フェンス2よりも長さLを長く構成して、1枚で大人Mを囲うことができるようにしたものである。
【0068】
この簡易フェンス2Aによれば、2枚の簡易フェンス2を連結してフェンスを構成する場合と異なり、1枚でフェンスを構成することができるので、2枚を連結する作業を省略することができる。
【0069】
以上の実施形態では、簡易フェンス1,2,3をそれぞれ2枚使用して、フェンスを構成する場合を例に説明したが、上述のように必ずしも2枚に限定されるものではなく、1枚あるいは3枚以上使用してフェンスを構成するようにしてもよい。すなわち、それぞれのフェンス本体の長さLと、フェンスによって構成すべき閉空間Rの大きさとによって、使用枚数が決定される。上述では、閉空間Rに大人Mが横たわる場合を例に説明したが、これに限らず、例えば、1家族で使用する布団や毛布、身の回り品等を1箇所にまとめ、これらをフェンスによって囲むようにしてもよい。
【0070】
また、以上の実施形態で説明した下保持部材21及び上保持部材22は、必ずしもそれぞれ1本で、フェンス本体の長さL(全長)に達する必要はなく、全長を複数本に分割して確保するようにしてもよい。
【0071】
また、以上の実施形態では、下折返し部15及び上折り返し部16は、フェンス本体の長さLの全長にわたって連続して形成されるように説明したが、これに限らず、長さLの全長に対して、複数のものを間欠的に設けるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0072】
1 (実施形態1の)簡易フェンス
2 (実施形態2の)簡易フェンス
2A (実施形態4の)簡易フェンス
3 (実施形態3の)簡易フェンス
10,10A,10B フェンス本体
11 下端部
12 上端部
13 始端部
14 終端部
15 下折り返し部
16 上折り返し部
17 ハトメ
18 プリーツ部
19 ポケット部
21 下部支持部材
22 上部支持部材
30 連結機構
31 面ファスナの凸側
32 面ファスナの凹側
F 床面(載置面)
G 地面(載置面)
H 高さ
L 長さ
R 閉空間


【特許請求の範囲】
【請求項1】
載置面に立てられて所定の領域を囲う簡易フェンスにおいて、
伸長状態において略長方形状のシート状に形成され、前記載置面に載せられる下端部と、前記下端部の上方に配置されて前記下端部に対向する上端部と,前記上端部及び前記下端部のそれぞれの一方の端縁を上下方向に連結する始端部と、前記上端部及び前記下端部のそれぞれの他方の端縁を上下方向に連結する終端部とを有するフェンス本体と、
前記下端部に沿って配置されて前記フェンス本体の形状を保持する屈曲可能な下保持部材と、
前記上端部に沿って配置されて前記フェンス本体の形状を保持する屈曲可能な上保持部材と、
前記始端部と前記終端部とに配置され、前記始端部と前記終端部とを連結して前記フェンス本体により閉空間を構成する係脱可能な連結機構と、を備えた、
ことを特徴とする簡易フェンス。
【請求項2】
前記フェンス本体の前記下端部及び前記上端部に沿った方向を長さ方向としたときに、前記フェンス本体は、前記下端部と前記上端部とに、前記下端部及び前記上端部を折り返して形成されるとともに前記長さ方向に貫通されて前記下保持部材及び前記上保持部材の挿脱が可能な下折り返し部及び上折り返し部を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の簡易フェンス。
【請求項3】
前記フェンス本体の前記始端部及び前記終端部に沿った方向を高さ方向としたときに、前記フェンス本体は、前記長さ方向の異なる位置のそれぞれに前記フェンス本体の一部を折り返して形成されて上下方向に延びるプリーツ部を有する、
ことを特徴とする請求項2に記載の簡易フェンス。
【請求項4】
前記プリーツ部は、上下方向に貫通されて支柱の挿脱が可能な筒状に形成されている、
ことを特徴とする請求項3に記載の簡易フェンス。
【請求項5】
前記フェンス本体は、展開状態ではシート状となる1枚のシート状部材の一部を折り返して接合することにより、前記下折り返し部、前記上折り返し部、前記プリーツ部が形成されている、
ことを特徴とする請求項4に記載の簡易フェンス。
【請求項6】
前記接合は、縫合、熱溶着、接着のいずれかで行われている、
ことを特徴とする請求項5に記載の簡易フェンス。
【請求項7】
前記連結機構が、前記フェンス本体の前記始端部と前記終端部とのうちの一方に設けられた面ファスナの凸側と、他方に設けられた面ファスナの凹側とによって構成されている、
ことを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の簡易フェンス。
【請求項8】
前記フェンス本体は、前記下端部を上方に折り返して形成されたポケット部を有する、
ことを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載の簡易フェンス。
【請求項9】
前記フェンス本体は、高さが30〜50cmである、
ことを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1項に記載の簡易フェンス。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−213461(P2012−213461A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−79687(P2011−79687)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(591049527)株式会社サカモト (29)