説明

簡易ベンダー

【課題】油圧や電気を不要にすると共に、簡単な機構の簡易ベンダーを提供する。
【解決手段】簡易ベンダー1は断面円弧状(含む略U字状)の溝(カリバーに同じ)11が形成された略扇形のベンディングシュー10と、これに回転自在に把持される押し出しネジ棒20と、これに螺合するネジ受け30と、これが固定された垂直部42および両端にベンディングサポート50a、50bが形成された水平部41を具備するT字体40と、を有している。そして、ベンディングシュー10は、先端に略球状部が形成され、且つ、抜け防止Cクリップが設置され、押し出しネジ棒20に対して、首振り自在であって、抜け出し不能に接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は簡易ベンダー、特に、比較的細い管を人力によって曲げ加工するための簡易ベンダーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、比較的細い管を曲げ加工するためのベンダーとして、二点において管を支持して、その中央において当該管を押し込む、所謂「三点曲げ」が常用されている。このとき、中央において管を押し込むためのベンディングシュー(駒)を、油圧や電気モータを用いて進退させていた。一方、油圧や電気モータを用いない簡易なベンダーも開発されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】実開昭57−181423号公報(1頁、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された発明は、第1ハンドルに対して第2ハンドルを揺回操作して、該揺回操作によって係合する爪歯(ロッドに形成されている)を戻りを阻止しながら送り出し、該送り出しによってベンディングシュー(駒)を進出させるものであるため、油圧や電気を不要にするものの、機構が複雑であるため、故障や摩耗による耐久性に問題があった。
【0005】
本発明は上記問題を解決するものであって、油圧や電気を不要にすると共に、簡単な機構の簡易ベンダーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明に係る簡易ベンダーは、管体を曲げ加工する簡易ベンダーであって、
外周に前記管体が侵入自在な断面円弧状の溝が形成された略扇形のベンディングシューと、
該ベンディングシューの略扇形の要の位置において、一方の端部が前記ベンディングシューに把持される押し出しネジ棒と、
該押し出しネジ棒が螺合するネジ受けと、
該ネジ受けが固定された垂直部と、両端にベンディングサポートが形成された水平部と、を具備するT字体と、を有し、
前記ベンディングシューが、前記押し出しネジ棒の軸心に対して回動自在であって、前記押し出しネジ棒の回転によって進出する前記ベンディングシューが、前記ベンディングサポートに支持された前記管体を押すことにより、前記管体を曲げ加工することを特徴とする。
【0007】
(2)前記(1)において、前記ベンディングシューの略扇形の要の位置に前記押し出しネジ棒の前記一方の端部が侵入自在な筒状部が形成され、
前記押し出しネジ棒の前記一方の端部が略球面状に形成され、
前記ベンディングシューの前記筒状部の底面に、前記押し出しネジ棒の略球面状の端部が当接することを特徴とする。
【0008】
(3)前記(1)または(2)において、前記ベンディングシューの略扇形の要の位置に前記押し出しネジ棒の前記一方の端部が侵入自在で、内周に環状の内周凹溝を具備する筒状部が形成され、
前記押し出しネジ棒の前記一方の端部において、外周に環状の外周凹溝が形成され、
前記筒状部に前記押し出しネジ棒の前記一方の端部が侵入した状態で、前記内周凹溝と前記外周凹溝との両方に侵入する抜け防止Cクリップが配置されることを特徴とする。
【0009】
(4)前記(1)乃至(3)の何れにおいて、前記押し出しネジ棒の前記ベンディングシューを把持する一方の端部とは反対の他方の端部において、少なくとも一対の対向する平面が外周に形成され、回転のための工具の係合を容易にしていることを特徴とする。
【0010】
(5)前記(1)乃至(4)の何れにおいて、前記押し出しネジ棒に、角ネジが形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係るフック装置は以上の構成であるから、以下の効果を奏する。
(i)本発明に係るシーチェストは、押し出しネジ棒の回転によって、ベンディングシューが進退するから、機構が簡易であって、故障や摩耗のおそれが最少に押さえられ、耐久性に優れている。また、押し出しネジ棒を回転するだけで、管体を曲げ加工することができるから、操作が容易であって、作業が迅速になる。
【0012】
(ii)ベンディングシューの筒状部の底面に、押し出しネジ棒の略球面状の端部が当接するため、ベンディングシューは首振り自在となるから、ベンディングシューに非対称の力が作用しても、ネジ受けに過剰な力が作用することがない。
【0013】
(iii)ベンディングシューと押し出しネジ棒とが抜け防止Cクリップによって連結されているから、ベンディングシューは押し出しネジ棒に対して、簡易な構造によって回動自在に接続されている。
【0014】
(iv)押し出しネジ棒の他方の端部において、少なくとも一対の対向する平面が外周に形成されているから、回転のための工具(眼鏡レンチ、六角スパナ等)の係合が容易であり、作業が容易かつ迅速になる。
【0015】
(v)押し出しネジ棒に、角ネジが形成されているから、耐久性に優れると共に、曲げ加工の際、押し出しネジ棒を容易に回転することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
[実施の形態]
図1および図2は、本発明の実施の形態に係る簡易ベンダーを示すものであって、図1は斜視図、図2は一部を断面にした平面図である。なお、各図において、それぞれの部材は模式的に示されているため、その寸法等は図示されたものに限定されるものではない。また、同じ部分にはそれぞれ同じ符号を付している。
【0017】
図1および図2において、簡易ベンダー1は管体(図示しない)を「三点曲げ加工」するものであって、外周に前記管体が侵入自在な断面円弧状(含む略U字状)の溝(カリバーに同じ)11が形成された略扇形のベンディングシュー10と、
ベンディングシュー10の略扇形の要12の位置において、一方の端部21がベンディングシュー10に把持される押し出しネジ棒20と、
押し出しネジ棒20が螺合するネジ受け30と、
ネジ受け30が固定された垂直部42と、両端にベンディングサポート50a、50bが形成された水平部41と、を具備するT字体40と、を有している。
【0018】
ベンディングシュー10の略扇形の要12の位置に、押し出しネジ棒20の一方の端部21が侵入自在な筒状部13が接合されている。筒状部13はコップ部(底付き筒状部)13aと、筒状部(底なし)13bとが互いに接合されたものであって、接合部において、内周に環状の内周凹溝13cが形成されている。
【0019】
押し出しネジ棒20の一方の端部21には、端面に略球面21aと、端面から所定距離の位置に、外周に環状の外周凹溝21bが形成されている。一方、他方の端部23には、四角柱23aが形成されている。そして、一方の端部21と他方の端部23に挟まれた範囲(略全長)に、角ネジ22が形成されている。
【0020】
そして、ベンディングシュー10の筒状部13の底面13dに、押し出しネジ棒20の端面の略球面21aが当接している。また、筒状部13の内周凹溝13cと押し出しネジ棒20の外周凹溝21bとの両方に侵入する抜け防止Cクリップ60が配置されている。
したがって、ベンディングシュー10は押し出しネジ棒20に、首振り自在に、且つ、抜け出し不能に接続されている。すなわち、ベンディングシュー10に非対称の力が作用しても、ネジ受け30に過剰な力が作用することがない。
また、抜け防止Cクリップ60は、内周凹溝13cまたは外周凹溝21bの一方または両方に対して、軸心を中心に回動自在であるから、ベンディングシュー10は、押し出しネジ棒20に対して簡易な構造によって、回動自在になっている。
【0021】
また、押し出しネジ棒20の他方の端部23に四角柱23aが形成されているから、回転のための工具(眼鏡レンチ、六角スパナ等)の係合が容易であり、作業が容易かつ迅速になる。さらに、押し出しネジ棒20に、角ネジ22が形成されているから、耐久性に優れると共に、曲げ加工の際、押し出しネジ棒を容易に回転することができる。
そして、曲げようとする管体の強度に応じた最少の大きさにすることができるから、軽量化を促進することが可能になり、持ち運び容易な簡易ベンダーが得られる。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本発明は以上の構成であるから、耐久性や作業性に優れ、且つ、持ち運び容易にすることができるから、各種作業現場(例えば、造船所等)における各種サイズの管体を曲げ加工するための簡易ベンダーとして広く利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施の形態に係る簡易ベンダーを示す斜視図。
【図2】本発明の実施の形態に係る簡易ベンダーを示す一部を断面にした平面図。
【符号の説明】
【0024】
1 簡易ベンダー
10 ベンディングシュー
11 溝(カリバー)
12 略扇形の要
13 筒状部
13a コップ部(底付き筒状部)
13b 筒状部(底なし)
13c 内周凹溝
13d 底面
20 ネジ棒
21 一方の端部
21a 略球面
21b 外周凹溝
22 角ネジ
23 他方の端部
23a 四角柱
30 ネジ受け
40 T字体
41 水平部
42 垂直部
50a ベンディングサポート
50b ベンディングサポート
60 クリップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
管体を曲げ加工する簡易ベンダーであって、
外周に前記管体が侵入自在な断面円弧状の溝が形成された略扇形のベンディングシューと、
該ベンディングシューの略扇形の要の位置において、一方の端部が前記ベンディングシューに把持される押し出しネジ棒と、
該押し出しネジ棒が螺合するネジ受けと、
該ネジ受けが固定された垂直部と、両端にベンディングサポートが形成された水平部と、を具備するT字体と、を有し、
前記ベンディングシューが、前記押し出しネジ棒の軸心に対して回動自在であって、前記押し出しネジ棒の回転によって進出する前記ベンディングシューが、前記ベンディングサポートに支持された前記管体を押すことにより、前記管体を曲げ加工することを特徴とする簡易ベンダー。
【請求項2】
前記ベンディングシューの略扇形の要の位置に前記押し出しネジ棒の前記一方の端部が侵入自在な筒状部が形成され、
前記押し出しネジ棒の前記一方の端部が略球面状に形成され、
前記ベンディングシューの前記筒状部の底面に、前記押し出しネジ棒の略球面状の端部が当接することを特徴とする請求項1記載の簡易ベンダー。
【請求項3】
前記ベンディングシューの略扇形の要の位置に前記押し出しネジ棒の前記一方の端部が侵入自在で、内周に環状の内周凹溝を具備する筒状部が形成され、
前記押し出しネジ棒の前記一方の端部において、外周に環状の外周凹溝が形成され、
前記筒状部に前記押し出しネジ棒の前記一方の端部が侵入した状態で、前記内周凹溝と前記外周凹溝との両方に侵入する抜け防止Cクリップが配置されることを特徴とする請求項1または2記載の簡易ベンダー。
【請求項4】
前記押し出しネジ棒の前記ベンディングシューを把持する一方の端部とは反対の他方の端部において、少なくとも一対の対向する平面が外周に形成され、回転のための工具の係合を容易にしていることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の簡易ベンダー。
【請求項5】
前記押し出しネジ棒に、角ネジが形成されていることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の簡易ベンダー。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−183993(P2009−183993A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−28270(P2008−28270)
【出願日】平成20年2月8日(2008.2.8)
【出願人】(502116922)ユニバーサル造船株式会社 (172)
【Fターム(参考)】