説明

簡易便器

【課題】ペーパーホルダーを確実に支持でき、かつ使用者が手を安定して置ける簡易便器を提供する。
【解決手段】簡易便器1の脚部15に、床面に載置される長尺状の連結プレート21の基端部22を接続固定し、かつ該連結プレートの先端部にある固定部23にペーパーホルダー用支持柱部24を立設し、該ペーパーホルダー用支持柱部24の上端部にペーパーホルダー26を取り付け、該簡易便器1の肘掛部13と、該ペーパーホルダー用支持柱部24と、の間であって、簡易便器本体11の着座部12の着座面と同じ高さ位置、又は着座面と肘掛部13の上面との間の高さ位置に、長尺平板状の手置き補助部材30を水平に架け渡して接続固定した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高齢者など足腰の弱い人や身体の不自由な人が使用する簡易便器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、簡易便器は、種々提案されており、通常、簡易便器本体の下部に設けられた脚部と、該簡易便器本体の上面中央に設けられた着座部と、該簡易便器本体の上面であって該着座部の左右両側に立設された左右一対の肘掛部と、を少なくとも備えている。
【0003】
さらに、上記構成に加えて、使用者が用を足した際に直ぐにトイレットペーパーを使用できるように該簡易便器本体の脇にペーパーホルダーが配置されている構成も既に開示されている。具体的には、簡易便器本体の脇にポールが立設され、該ポールや該ポール上に形成された手すりにペーパーホルダーが取り付けられている(特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−328071号公報
【特許文献2】特開2001−212034号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の従来構成は次のような問題があった。すなわち、特許文献1の構成は、上記ペーパーホルダーを使用する際に、該ペーパーホルダーを支持するポール等の支持柱が動いたりぐらついたりして安定性を欠き、トイレットペーパーを引き出したり切断したりする際に使いにくい等の問題があった。また、使用者が立ち上がる際に該支持柱に体を預けた場合、該支持柱が転倒して事故を招来するおそれもあった。ここで、特許文献2の構成は、基部を介して簡易便器本体とペーパーホルダーを支持する部材とが接続されているが、使用者が立ち上がる際に体を安心して預けることができる程充分なものではない。
【0006】
そこで、本発明は、ペーパーホルダーが確実に固定され、かつ使用者が立ち上がる際に体を支え易い簡易便器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、簡易便器本体の下部に設けられた脚部と、該簡易便器本体の上面中央に設けられた着座部と、該着座部の左右両側に配置された左右一対の肘掛部と、を備え、かつ該簡易便器本体の周囲にはペーパーホルダーが配置されている簡易便器であって、該脚部には、床面に載置される長尺状の連結基材の基端部が接続固定されており、かつ該連結基材の先端部にはペーパーホルダー用支持柱部が立設され、該ペーパーホルダー用支持柱部の上端部にペーパーホルダーが取り付けられていると共に、該肘掛部と、該ペーパーホルダー用支持柱部と、の間には、長尺状の手置き補助部材が架け渡されており、該手置き補助部材が、該手置き補助部材の上面の高さが該簡易便器本体の着座部の着座面と同じ高さ位置、又は該着座面と該肘掛部の上面との間となるような高さ位置に設定されていることを特徴とする簡易便器である。
【0008】
上記構成においては、ペーパーホルダー支持柱部は、連結基材及び手置き補助部材で簡易便器本体に接続されているため、トイレットペーパー使用時に該ペーパーホルダー用支持柱部の位置が該簡易便器本体に対してずれてしまうことがない。さらに、該ペーパーホルダー用支持柱部は、高さの異なる二部材で該簡易便器本体に接続されているため、該ペーパーホルダー用支持柱部のぐらつきも抑止される。また、該手置き補助部材の上面高さが、着座部の着座面と同じ高さ位置に設定された場合、使用者が立ち上がる際に手を置くことができるスペースが広がるため、使用者にとって安全かつ安心な構造となる。また、該手置き補助部材の上面高さが、該着座面と該肘掛部の上面との間となるような高さ位置に設定された場合、使用者が立ち上がる際片手を置くのに大変都合が良く、丁度力も入りやすい高さであるため、使用者は容易に立ち上がることができる。例えば使用者が立ち上がる際に手を突く場所が肘掛部の上面の高さと同じ、または該上面より高い位置であると高すぎて力が入りにくく立ち上がりにくくなる。
【0009】
また、上記ペーパーホルダーが上記簡易便器本体の斜め前方に配置されている構成にあって、上記手置き補助部材は、平面視略L字形状とされており、肘掛部と接続する部位から前方に延出された前方延出部と、該前方延出部の前端部から外側方に向けて延出された外側方延出部と、で構成され、該外側方延出部の先端が上記ペーパーホルダー用支持柱部に接続固定されていることが望ましい。
【0010】
ここで、ペーパーホルダーが上記簡易便器本体の斜め前方に配置されている構成において、例えば手置き補助部材を直線的な杆材で構成し、肘掛部とペーパーホルダー用支持柱部とを直線的に繋ぐ構成も提案されうるが、このような構成とすると介助者が立つべき簡易便器本体の真横位置を該手置き補助部材が遮ってしまい、介助者が簡易便器本体に近づきにくくなって介助がやりにくくなってしまう。
そこで上記構成にあっては、簡易便器本体の真横位置を手置き補助部材が遮ぎることがないよう、簡易便器本体の真横位置に立った介護者を回り込むようにして該手置き補助部材が架け渡される。このため、上記構成は、介助者が介助し易い簡易便器となる。
【0011】
さらに、上記手置き補助部材の上面は水平面であることが望ましい。
【0012】
上記構成とすることにより、使用者が立ち上がる際に該手置き補助部材に手を置き易いという利点がある。
【発明の効果】
【0013】
本発明の簡易便器は、ペーパーホルダーが確実に固定され、しかも使用者が立ち上がり易いという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】簡易便器を示す外観斜視図
【図2】連結基材を示す部分斜視図
【図3】手置き補助部材と肘掛部との接続構造を示す縦断面図
【図4】手置き補助部材とペーパーホルダー用支持柱部との接続構造を示す縦断面図
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の簡易便器の一実施例を以下説明する。
図1に示すように、本実施例の簡易便器10は、便バケツ(図示省略)が収容される簡易便器本体11と、該簡易便器本体11の下部に設けられた上下取付位置調節可能な脚部15と、該簡易便器本体11の後端部に配置された背もたれ部14と、該簡易便器本体11の上面中央であって上記便バケツを囲繞するように形成された着座部12と、該着座部12の左右両側に立設され、上下取付位置調節可能な肘掛部13,13とを備えている。
【0016】
また、図1、3に示すように、該肘掛部13は、該簡易便器本体11から起立した起立部13Aと、該起立部13Aの上端に配置される肘掛け本体部13Bとで構成されている。
【0017】
さらに、図2に示すように、上記脚部15のベース台15Aには、金属製材料からなる長尺状の連結プレート(連結基材)21の基端部が、該連結プレート21が床面に載置された状態で接続固定されている。さらに該連結プレート21の先端部には各筒状の固定部23が立設され、さらに該固定部23内にペーパーホルダー用支持柱部24が挿入固定されて該ペーパーホルダー用支持柱部24が起立している。なお、該固定部23においては、ペーパーホルダー用支持柱部24下端部の固定位置を上下に変更できる構成となっている。
【0018】
上記ペーパーホルダー用支持柱部24の上端部には、ヒンジ部材(図示省略)を介して開閉する取付板25が取り付けられており、該取付板25の表面に公知のペーパーホルダー26が取り付けられている。そして、該ペーパーホルダー26が、上記簡易便器本体11の左斜め前方に配置されている。
【0019】
また、図1に示すように、該肘掛部13の起立部13Aと、該ペーパーホルダー用支持柱部24の中間部と、の間には、長尺の平板部材からなる手置き補助部材30が水平に架け渡されている。具体的には、該手置き補助部材30の基端部が肘掛部13の起立部13AにボルトAを介して固定され(図3参照)、該手置き補助部材30の先端部がペーパーホルダー用支持柱部24にボルトAを介して固定されている(図4参照)。
【0020】
また、該手置き補助部材30の上面は、水平面とされ、かつ該上面の高さ位置は、該簡易便器本体11の着座部12の着座面と該肘掛部13の上面との間の高さ位置に設定されている。このため、例えば右手が不自由な使用者が左手を置いて該左手に体重をかけながら容易に立ち上がることが可能となる。
【0021】
さらに、該手置き補助部材30は、平面視略L字形状であり、肘掛部13との接続位置から前方に延出された前方延出部31と、該前方延出部31の先端から左側の外側方向へ折曲されて延出されている外側方延出部32とで構成されている。このような構成とすると、簡易便器本体11の真横位置に介助者が立てるスペースが生じるため、介助を行い易い簡易便器1となる。
【0022】
脚部15あるいは肘掛部13を上下位置高さ調節する場合は、これに伴って、前記連結プレート21の基端部の固定部23と、ペーパーホルダー用支持柱部24との固定位置を適宜段階的に変更し、該手置き補助部材30を適宜高さ調節することとなる。
なお、手置き補助部材30の上面高さは、着座部12の着座面と同じ高さ位置に設定されてもよい。この場合、使用者が立ち上がる際に手を置くことができるスペースが広がるため、使用者は安心して立ち上がることができる。
【0023】
以上、本発明の実施の形態を実施例により説明したが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではなく、請求項に記載された範囲内において目的に応じて変更・変形することが可能である。
例えば、上記手置き補助部材30は、簡易便器本体11に対して左右いずれの側に配置してもよい。
また、上記ペーパーホルダー26の位置は、上述のように簡易便器本体11の斜め前方位置に限定されることはなく、使用状況に合わせて適宜位置変更可能である。例えば、該ペーパーホルダー26は、該簡易便器本体11の真横位置であってもよい。この場合、前記連結プレート21や手置き補助部材30の寸法・形状も適宜変更される。
【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明は、ペーパーホルダーを確実に支持でき、かつ使用者が手を安定して置けるようにした簡易便器として、産業上利用することが出来る。
【符号の説明】
【0025】
10 簡易便器
11 簡易便器本体
12 着座部
13 肘掛部
15 脚部
21 連結プレート(連結基材)
24 ペーパーホルダー用支持柱
26 ペーパーホルダー
30 手置き補助部材
31 前方延出部
32 外側方延出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
簡易便器本体の下部に設けられた脚部と、該簡易便器本体の上面中央に設けられた着座部と、該着座部の左右両側に配置された左右一対の肘掛部と、を備え、かつ該簡易便器本体の周囲にはペーパーホルダーが配置されている簡易便器であって、
該脚部には、床面に載置される長尺状の連結基材の基端部が接続固定されており、かつ該連結基材の先端部にはペーパーホルダー用支持柱部が立設され、該ペーパーホルダー用支持柱部の上端部にペーパーホルダーが取り付けられていると共に、
該肘掛部と、該ペーパーホルダー用支持柱部と、の間には、長尺状の手置き補助部材が架け渡されており、
該手置き補助部材が、該手置き補助部材の上面の高さが該簡易便器本体の着座部の着座面と同じ高さ位置、又は該着座面と該肘掛部の上面との間となるような高さ位置に設定されている
ことを特徴とする簡易便器。
【請求項2】
上記ペーパーホルダーが上記簡易便器本体の斜め前方に配置されている構成にあって、
上記手置き補助部材は、平面視略L字形状とされており、
肘掛部と接続する部位から前方に延出された前方延出部と、
該前方延出部の前端部から外側方に向けて延出された外側方延出部と、
で構成され、該外側方延出部の先端が上記ペーパーホルダー用支持柱部に接続固定されている
請求項1に記載の簡易便器。
【請求項3】
上記手置き補助部材の上面は水平面である
請求項1又は請求項2に記載の簡易便器。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−135448(P2012−135448A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−290049(P2010−290049)
【出願日】平成22年12月27日(2010.12.27)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第3項適用申請有り 出展証明書 博覧会名 第37回国際福祉機器展H.C.R.2010 主催者名 社会福祉法人全国社会福祉協議会 財団法人保健福祉広報協会 開催日 平成22年9月29日
【出願人】(000000505)アロン化成株式会社 (317)
【Fターム(参考)】