説明

簡易型ナビゲーション装置

【課題】安価なナビゲーション装置を提供する。
【解決手段】現在地から目的地までの誘導経路上の複数の音声案内地点における音声案内情報を外部装置から入力する入力手段111と、入力手段111により入力した複数の音声案内地点における音声案内情報を、現在地に近い順に記憶する記憶手段113と、使用者が音声案内地点を前記順に切り換えて選択するための操作部材115と、音声案内情報を音声で出力する出力手段112と、使用者により操作部材115が操作されたときに音声案内地点を前記順に切り換えて選択し、選択した音声案内地点に対応する音声案内情報を記憶手段113から読み出し、出力手段112から音声で出力する制御手段110とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機能を限定した廉価版の簡易型ナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在地から目的地までの誘導経路を探索し、自動車や歩行者の移動に伴ってGPS受信機などにより位置を検出しながら音声にて経路案内を行うナビゲーション装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この種のナビゲーション装置では、高機能CPU、道路地図データベース、カラーディスプレイなどを備えており、目的地までの最適な誘導経路を探索して道路地図上に現在地、誘導経路、目的地などを重畳して表示し、自動車や歩行者の移動にともなって地図表示画面を更新している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−257555号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来のナビゲーション装置では、目的地までの誘導経路を探索するための道路地図データベース、地図を表示するためのカラーディスプレイ、誘導経路計算や地図表示制御などを行う高機能なCPUなどを登載しており、高価なものになっている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1) 請求項1の発明は、現在地から目的地までの誘導経路上の複数の音声案内地点における音声案内情報を外部装置から入力する入力手段と、入力手段により入力した複数の音声案内地点における音声案内情報を、現在地に近い順に記憶する記憶手段と、使用者が音声案内地点を前記順に切り換えて選択するための操作部材と、音声案内情報を音声で出力する出力手段と、使用者により操作部材が操作されたときに音声案内地点を前記順に切り換えて選択し、選択した音声案内地点に対応する音声案内情報を記憶手段から読み出し、出力手段から音声で出力する制御手段とを備えた簡易型ナビゲーション装置である。
(2) 請求項2の発明は、請求項1に記載の簡易型ナビゲーション装置において、制御手段は計時手段を有し、音声案内地点から前記順の次の音声案内地点までの距離を演算して両地点間の所要通行時間を推定し、計時手段により計時した両地点間の通行時間が推定した所要通行時間を超える場合に、出力手段により警告を行うようにしたものである。
(3) 請求項3の発明は、請求項1または請求項2に記載の簡易型ナビゲーション装置において、音声案内地点には、誘導経路上の道路交差点、道路分岐点、通過点が含まれる。
(4) 請求項4の発明は、外部装置が、道路地図データベースを用いて現在地から目的地までの誘導経路を探索し、誘導経路上の複数の音声案内地点を抽出するとともに、音声案内地点ごとの音声案内情報を生成し、請求項1〜3のいずれか一項に記載の簡易型ナビゲーション装置の入力部が、外部装置から誘導経路上の複数の音声案内地点における音声案内情報を入力するようにしたものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、安価で小型、軽量なナビゲーション装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】第1の実施の形態の簡易型ナビゲーション装置の構成を示す図
【図2】目的地までの誘導経路上の複数の音声案内地点における音声案内データを簡易型ナビゲーション装置へ配給するセンター装置の構成を示す図
【図3】第1の実施の形態の音声案内データの構造例を示す図
【図4】第1の実施の形態の簡易型ナビゲーション装置のCPUで実行される音声案内プログラムを示すフローチャート
【図5】第2の実施の形態の簡易型ナビゲーション装置の構成を示す図
【図6】第2の実施の形態の音声案内データの構造例を示す図
【図7】第2の実施の形態の音声警告プログラムを示すフローチャート
【図8】第3の実施の形態の簡易型ナビゲーション装置の構成を示す図
【図9】第3の実施の形態の簡易型ナビゲーション装置のCPUで実行される音声案内プログラムを示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0008】
《発明の第1の実施の形態》
図1は、第1の実施の形態の簡易型ナビゲーション装置101の構成を示す。第1の実施の形態の簡易型ナビゲーション装置101は、CPU110、通信回路111、音声回路112、データメモリ113、プログラムメモリ114およびスイッチ115を備えている。CPU110は、プログラムメモリ114に記憶された音声案内プログラム(詳細後述)を実行し、目的地までの誘導経路上の複数の音声案内地点における音声進路案内を制御する。一実施の形態の簡易型ナビゲーション装置101では、従来のナビゲーション装置が備えている誘導経路の探索機能や地図表示機能などを備えておらず、目的地までの誘導経路上の複数の音声案内地点における音声進路案内を放送する機能のみを備えているため、従来のナビゲーション装置で用いられていた高機能なCPUに代えて低機能で安価なCPUを用いることができる。
【0009】
音声回路112は、CPU110で実行される音声案内制御にしたがって、データメモリ113に記憶された音声案内情報を発声する。データメモリ113には、CPU110により通信回路111を介して外部からダウンロードした音声案内データが記憶される。プログラムメモリ114は、CPU110で実行する音声案内プログラムと各種データが記憶されている。スイッチ115は使用者が音声案内地点を切り換えるための操作部材であり、使用者がスイッチ115を押圧操作したことをCPU110が検知し、CPU110は音声案内地点を誘導経路上の次の地点に切り換える。
【0010】
ここで、通信回路111は、簡易型ナビゲーション装置101が外部から音声案内データを取り込むための機能を有すればよいから、有線(LANなど)、無線(携帯電話、無線LAN、赤外線通信、Bluetoothなど)、可搬メディア(HDD、CD/DVD、USBメモリなど)などを用いることができるが、必要な機能を有すれば必ずしも一つに限定されるものではない。
【0011】
図2は、目的地までの誘導経路上の複数の音声案内地点における音声案内データを簡易型ナビゲーション装置101へ配給するセンター装置201の構成を示す。センター装置201は、地図データベース211、経路探索部212、入出力部213および音声データ生成部214を備えている。入出力部213は、通信網を介して上述した簡易型ナビゲーション装置101から現在地、目的地および現在の時間情報を入力する。
【0012】
経路探索部212は、地図データベース211に記憶されている道路地図データを用いて現在地から目的地までの最適な誘導経路を計算し探索する。そして、探索結果の誘導経路上における複数の音声案内地点を抽出するとともに、音声案内地点ごとに音声案内情報を生成し、音声案内地点と音声案内情報とを対応付けて記録する。
【0013】
ここで、現在地から目的地までの音声案内地点には、十字交差点やY字交差点などの交差点の他に、高速道路の分岐点、あるいは誘導経路上の目標となる施設や建物などのランドマーク地点などが含まれる。ランドマーク地点には、交差点や分岐点の周辺の目標となる施設や建物の他に、誘導経路の道路沿いにある目標となる施設や建物であって、誘導経路を走行していることを確認できるような目標物の存在地点が含まれる。また、音声案内情報には、交差点や分岐点あるいはランドマーク地点の名称、さらにはそれらの周辺に存在する建物や施設などの目標物の名称と、交差点や分岐点あるいはランドマーク地点における右折、左折、直進、道なりに沿って進行などの進路に関する情報などが含まれる。
【0014】
音声データ生成部214は、交差点や分岐点あるいはランドマーク地点の名称、それらの周辺に存在する目標物の名称、進路に関する情報などの音声案内情報を音声データ化する。音声データの形式は、WAV形式やPCM形式など、簡易型ナビゲーション装置101で音声発話できる形式であれば一つに限定されるものではない。入出力部213は、音声データ生成部214により音声データ化された音声案内データを、現在地から目的地までの誘導経路に沿った順に通信網を介して簡易型ナビゲーション装置101へ出力する。
【0015】
センター201と簡易型ナビゲーション装置101との間の通信網がインターネットである場合には、インターネットに接続されたパーソナルコンピューターを介して簡易型ナビゲーション装置101の通信回路111からデータメモリ113へ音声案内データをダウンロードし、記録する。パソコンと通信回路111との間の通信方式は特に限定されず、LANなどの有線通信、携帯電話、無線LAN、赤外線通信、Bluetoothなどの無線通信、HDD、CD/DVD、USBメモリなどの可搬メディアを用いることができる。なお、通信網が携帯電話網を用いる場合には、パソコンを介さずにセンター装置201から直接、簡易型ナビゲーション装置101の通信回路111を介してデータメモリ113へ音声案内データを取り込むことも可能である。
【0016】
図3に第1の実施の形態の音声案内データ300の構造例を示す。音声案内データ300は、現在地から目的地までの誘導経路上の複数の音声案内地点ごとの音声案内データ311から構成されており、各音声案内データ311は地点名称(交差点や分岐点あるいはランドマーク地点の名称)312、地点周辺の目標物の名称313、進路に関する情報314を有している。なお、No.1地点は現在地の音声案内データ311であり、No.n地点は目的地の音声案内データ311である。No.2〜No.n−1は、現在地と目的地との間の音声案内地点における音声案内データであり、現在地に近いものから順に並べられている。
【0017】
図4は、簡易型ナビゲーション装置101のCPU110で実行される音声案内プログラムを示すフローチャートである。ステップ411において簡易型ナビゲーション装置101に電源が投入されると、まずステップ412でデータメモリ113に記憶されている音声案内データ300のNo.1音声案内地点、すなわち現在地における音声案内データ311を選択する。次に、ステップ413で使用者がスイッチ115を押圧操作したか否かを確認し、スイッチ115が操作されるとステップ415へ進み、操作されていない場合はステップ414へ進む。
【0018】
スイッチ115が操作されていない場合には、ステップ414でデータメモリ113から選択中の音声案内地点の音声案内データを読み出し、音声回路112により音声案内情報を再生して発声させる。上述したように、音声案内情報には地点名称(交差点や分岐点あるいはランドマーク地点の名称)、地点周辺の目標物の名称、進路に関する情報などが含まれている。
【0019】
なお、スイッチ115が操作されない限りステップ413とステップ414の処理を繰り返し、所定の時間間隔で選択中の音声案内情報を発声する。スイッチ115の操作タイミングは、音声案内のあった地点を通過した後に、速やかに操作されるのが望ましい。
【0020】
一方、スイッチ115が操作された場合は、ステップ415において現在選択されている音声案内地点が目的地か否かを確認する。目的地の場合はステップ413からステップ414へ進み、データメモリ113からNo.n音声案内地点、すなわち目的地の音声案内データを読み出し、音声回路112により目的地の音声案内情報を再生して発声させる。一方、目的地でない場合はステップ416へ進み、データメモリ113に記憶されている音声案内データ300の次の音声案内地点の音声案内データ311を選択し、ステップ413へ戻る。
【0021】
図4に示す音声案内プログラムを実行することによって、図3に示すデータメモリ113に記憶されている音声案内地点ごとの音声案内情報を、現在地から目的地まで順に放送させることができる。
【0022】
なお、現在地と目的地の音声案内を省略してもよい。つまり、ステップ412では現在地の次のNo.2音声案内地点の音声案内情報を選択し、ステップ415で音声案内地点が目的地に達したら直ちに音声案内プログラムの実行を終了する。
【0023】
音声案内情報の具体的な発声例としては、音声案内地点が交差点の場合には、例えば「次は東品川交差点です。近くにコンビニエンスストアがあります。その交差点を右に曲がってください。」と発声し、音声案内地点が高速道路から一般道路へ降りる分岐点の場合には、例えば「次の出口で高速道路から京葉道路の船橋方面へ進んでください。」と発声する。また、音声案内地点が誘導経路上の単なる通過点である場合には、例えば「まもなく八王子市役所の前を通過します。」などと発声する。
【0024】
《発明の第2の実施の形態》
ある音声案内地点から次の音声案内地点までの走行時間が予め想定した時間を超えた場合に警告するようにした第2の実施の形態を説明する。図5は、第2の実施の形態の簡易型ナビゲーション装置102の構成を示す。第2の実施の形態の簡易型ナビゲーション装置102は、図1に示す第1の実施の形態の簡易型ナビゲーション装置101にタイマー116が付加される。タイマー116以外の機器については、図1に示す簡易型ナビゲーション装置101の機器と同様であり、同符号を付して説明を省略する。
【0025】
図6は、第2の実施の形態の音声案内データ301の構造例を示す。この第2の実施の形態の簡易型ナビゲーション装置102は、上述した地点名称312、地点周辺の目標物名称313および進路情報314に加え、各音声案内地点(No.1〜No.n)の緯度315と経度316をセンター201から入手し、これらを各音声案内地点ごとの音声案内データ311としてデータメモリ113に記憶する。
【0026】
図7は第2の実施の形態の音声警告プログラムを示すフローチャートである。この第2の実施の形態の簡易型ナビゲーション装置102では、CPU110は上述した図4に示す音声案内プログラムと図7に示す音声警告プログラムを並行して実行する。なお、図4に示す音声案内プログラムの動作については説明を省略する。
【0027】
ステップ411において簡易型ナビゲーション装置101に電源が投入されるとステップ421へ進み、データメモリ113の音声案内データ301を参照して、現在選択されている音声案内地点と次の音声案内地点の緯度315および経度316を読み出し、それらの基づいて両地点間の距離を算出する。続くステップ422では、両地点間の距離を平均的な車速、例えば40km/hで除して両地点間の走行時間を算出し、走行時間の例えば2倍の時間を警告時間値に設定する。なお、平均車速については市街地と郊外、あるいは高速道路などの走行道路の種類に応じた車速を用いるようにしてもよい。また、警告時間についても算出した走行時間の何倍にするか、走行道路の種類や他の走行環境に応じた倍率を用いてもよい。
【0028】
ステップ423においてタイマー116をリセットし、算出した警告時間値を設定してスタートする。ステップ424でタイマー116の値が警告時間値を越えたか否かを確認し、警告時間値を越えていなければステップ425へ進む。ステップ425では音声案内地点を切り換えるためにスイッチ115が押圧操作されたかを確認し、スイッチ115が操作されたらステップ421へ進み、操作されていなければステップ424へ戻る。スイッチ115が操作されると、図4に示す音声案内プログラムにより現在の音声案内地点から次の音声案内地点へ切り換えられるから、ステップ421では切り替え後の新しい音声案内地点とその次の音声案内地点間の距離が算出され、以下上述した処理が繰り返される。
【0029】
一方、タイマー116の値が警告時間値を越えた場合はステップ426へ進み、音声回路112により例えば「道を間違えている可能性があります」という警告を発声する。なお、単にブザーを吹鳴させて警告するようにしてもよい。
【0030】
図7に示す音声警告プログラムを実行することによって、各音声案内地点間の走行時間が必要以上に長くなっている場合に警告を行うことができ、使用者に誘導経路に沿って走行しているか否かを確認させることができる。
【0031】
《発明の第3の実施の形態》
第1および第2の実施の形態ではスイッチ115を使用者が操作して音声案内地点を手動で切り換える例を示したが、GPS受信機により音声案内地点を自動的に切り換えるようにした第3の実施の形態を説明する。
【0032】
図8は、第3の実施の形態の簡易型ナビゲーション装置103の構成を示す。この第3の実施の形態の簡易型ナビゲーション装置103は、図1に示す第1の実施の形態の簡易型ナビゲーション装置101にGPS受信機117が付加される。GPS受信機117以外の機器については、図1に示す簡易型ナビゲーション装置101の機器と同様であり、同符号を付して説明を省略する。なお、この第3の実施の形態の簡易型ナビゲーション装置103のデータメモリ113には、図6に示す音声案内データ301が記憶されている。
【0033】
図9は、簡易型ナビゲーション装置103のCPU110で実行される音声案内プログラムを示すフローチャートである。ステップ411において簡易型ナビゲーション装置103に電源が投入されると、まずステップ432でデータメモリ113に記憶されている音声案内データ301のNo.1音声案内地点、すなわち現在地における音声案内データ311を選択する。
【0034】
ステップ433で選択されている音声案内地点を通過したか否かを判別する。GPS受信機117は繰り返し自車位置を検出しており、GPS受信機117による検出位置の緯度と経度を、現在選択されている音声案内地点の緯度315と経度316と比較し、選択されている音声案内地点を通過したか否かを判定する。選択中の音声案内地点を通過したと判定されるとステップ435へ進み、まだ通過していないと判定されるとステップ434へ進む。
【0035】
選択中の音声案内地点を通過していない場合には、ステップ434でデータメモリ113から選択中の音声案内地点の音声案内データ311を読み出し、音声回路112により音声案内情報を再生して発声させる。音声案内情報には、上述した地点名称(交差点や分岐点あるいはランドマーク地点の名称)、地点周辺の目標物の名称、進路に関する情報の他に、GPS受信機117により検出した現在地から現在選択中の音声案内地点までの距離を算出し、例えば「あと300mで東品川交差点です。近くにコンビニエンスストアがあります。そこを右に曲がってください」などと発声する。
【0036】
一方、選択中の音声案内地点を通過したと判定された場合は、ステップ435において現在選択されている音声案内地点が目的地か否かを確認する。目的地の場合はステップ433からステップ434へ進み、データメモリ113からNo.n音声案内地点、すなわち目的地の音声案内データ311を読み出し、音声回路112により目的地の音声案内情報を再生して発声させる。一方、目的地でない場合はステップ436へ進み、データメモリ113に記憶されている音声案内データ301の次の音声案内地点の音声案内データ311を選択し、ステップ433へ戻る。
【0037】
なお、この第3の実施の形態の簡易型ナビゲーション装置103においても、図9に示す音声案内プログラムと並行して図7に示す音声警告プログラムを実行することができる。
【0038】
図9に示す音声案内プログラムを実行することによって、音声案内地点ごとの音声案内情報を、現在地から目的地まで順に放送させることができる上に、音声案内地点の切り換えを自動的に行うことができ、使用者の煩わしい切り換え操作が不要になる。
【0039】
上述した実施の形態では、本願発明の簡易型ナビゲーション装置を車両に装備した例を示したが、本願発明の簡易型ナビゲーション装置は、予め設定された音声案内地点において音声案内を行うために必要最小限の機能だけを登載したものであり、小型で軽量に形成することができるため、歩行者が携帯して利用したり、自転車に設置して利用することができる。
【0040】
本願発明の簡易型ナビゲーション装置を車両に装備する場合には、音声案内地点を切り換えるための操作部材(上記スイッチ115)を例えばステアリングホイールに設け、操作性の向上を図ることが望ましい。
【0041】
なお、上述した実施の形態とそれらの変形例において、実施の形態どうし、または実施の形態と変形例とのあらゆる組み合わせが可能である。
【0042】
上述した実施の形態とその変形例によれば以下のような作用効果を奏することができる。まず、簡易型ナビゲーション装置101〜103は、現在地から目的地までの誘導経路上の複数の音声案内地点における音声案内情報をセンター201から入力する通信回路111と、通信回路111により入力した複数の音声案内地点における音声案内情報を、現在地に近い順に記憶するデータメモリ113と、音声案内地点を順に切り換えて選択するスイッチ115またはGPS受信機117と、音声案内情報を音声で出力する音声回路112と、スイッチ115またはGPS受信機117により切り換え選択された音声案内地点に対応する音声案内情報をデータメモリ113から読み出し、音声回路112から音声で出力するCPU110とを備えており、従来のナビゲーション装置のような、目的地までの誘導経路を探索するための道路地図データベース、地図を表示するためのカラーディスプレイ、誘導経路計算や地図表示制御などを行う高機能なCPUなどを装備しておらず、機能を限定したことによって安価で小型、軽量なナビゲーション装置を提供することができる。
【0043】
また、上述した一実施の形態とその変形例によれば、使用者により手動操作されるスイッチ115を設け、使用者によりスイッチ115が操作されたときに選択中の音声案内地点から誘導経路上の次の音声案内地点へ切り換える構成としたことによって、最も安価で小型、軽量なナビゲーション装置を提供することができる。
【0044】
さらに、現在位置を検出するGPS受信機117を備え、GPS受信機117により検出された現在位置と選択中の音声案内地点とを比較して選択中の音声案内地点を通過したか否かをCPU110で判定し、CPU110により選択中の音声案内地点を通過したと判定されたときに、選択中の音声案内地点から誘導経路上の次の音声案内地点へ切り換える構成としてもよく、小型で安価なGPS受信機117を採用すれば音声案内地点を自動的に切り換えることができ、使用者の切り換え操作が不要になって操作性が向上する。
【0045】
なお、簡易型ナビゲーション装置にGPS受信機117を備えた場合には、 GPS受信機117により検出された現在位置から選択中の音声案内地点までの距離を演算し、音声回路112により音声で出力することができ、より的確な音声案内を実施できる。
【0046】
また、簡易型ナビゲーション装置にタイマー116を備えた場合には、音声案内地点から誘導経路上の次の音声案内地点までの距離を演算して両地点間の所要通行時間を推定し、タイマー117により計時した両地点間の通行時間が推定した所要通行時間を超える場合に、音声回路112により警告を行うことができ、使用者が道を間違えた可能性をより的確に認識させることができ、経路誘導機能をより充実させることができる。
【0047】
さらにまた、音声案内地点として、誘導経路上の道路交差点、道路分岐点、通過点を含めることによって、きめ細かな経路誘導を実現でき、誘導経路に沿って使用者を目的地まで正確に誘導することができる。
【0048】
一実施の形態とその変形例の簡易型ナビゲーション装置101〜103は、センター201において、道路地図データベース211を用いて現在地から目的地までの誘導経路を探索し、誘導経路上の複数の音声案内地点を抽出するとともに、音声案内地点ごとの音声案内情報を生成し、簡易型ナビゲーション装置101〜103の通信回路111は、センター201から誘導経路上の複数の音声案内地点における音声案内情報を入力する構成としているので、常に最新の道路地図を用いて高機能なCPUにより演算した正確な誘導経路を入手することができ、簡易型ナビゲーション装置における道路地図の更新も不要となる。また、従来のナビゲーション装置では、高機能なCPUやカラーディスプレイ、DVDやハードディスクなどの道路地図データベースを用いているが、これらは半年や1年といった短期間で新型が登場するため、ナビゲーション装置全体としてわずか数年で陳腐化してしまい、ナビゲーション装置自体を買い換える必要がある。しかし、本願発明の簡易型ナビゲーション装置では、低機能なCPUで十分であり、センター201から誘導経路上の音声案内地点ごとの音声案内情報を入力して記憶し、スイッチ115またはGPS受信機117によるトリガーで音声案内地点を切り換えて音声案内情報を発声するという、限定的な機能とシンプルなデバイスのみで構成しているため、技術やデバイスの急激な進歩に影響を受けずに長く使用することができる。
【符号の説明】
【0049】
101,102,103;簡易型ナビゲーション装置、110;CPU、111;通信回路、112;音声回路、113;データメモリ、115;スイッチ、116;タイマー、201;センター、300,301;音声案内データ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
現在地から目的地までの誘導経路上の複数の音声案内地点における音声案内情報を外部装置から入力する入力手段と、
前記入力手段により入力した前記複数の音声案内地点における音声案内情報を、現在地に近い順に記憶する記憶手段と、
使用者が前記音声案内地点を前記順に切り換えて選択するための操作部材と、
前記音声案内情報を音声で出力する出力手段と、
使用者により前記操作部材が操作されたときに前記音声案内地点を前記順に切り換えて選択し、選択した前記音声案内地点に対応する前記音声案内情報を前記記憶手段から読み出し、前記出力手段から音声で出力する制御手段とを備えることを特徴とする簡易型ナビゲーション装置。
【請求項2】
請求項1に記載の簡易型ナビゲーション装置において、
前記制御手段は計時手段を有し、前記音声案内地点から前記順の次の前記音声案内地点までの距離を演算して両地点間の所要通行時間を推定し、前記計時手段により計時した前記両地点間の通行時間が前記推定した所要通行時間を超える場合に、前記出力手段により警告を行うことを特徴とする簡易型ナビゲーション装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の簡易型ナビゲーション装置において、
前記音声案内地点には、前記誘導経路上の道路交差点、道路分岐点、通過点が含まれることを特徴とする簡易型ナビゲーション装置。
【請求項4】
前記外部装置は、道路地図データベースを用いて現在地から目的地までの誘導経路を探索し、前記誘導経路上の複数の前記音声案内地点を抽出するとともに、前記音声案内地点ごとの音声案内情報を生成し、
請求項1〜3のいずれか一項に記載の簡易型ナビゲーション装置の前記入力部は、前記外部装置から前記誘導経路上の複数の前記音声案内地点における前記音声案内情報を入力することを特徴とする簡易型ナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−27688(P2011−27688A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−176501(P2009−176501)
【出願日】平成21年7月29日(2009.7.29)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(509186579)日立オートモティブシステムズ株式会社 (2,205)
【Fターム(参考)】