説明

簡易型救急箱及び救急システム

【課題】高価かつ精緻な構成要素を用いることなく、車両衝突時や災害時等の緊急時に確実に応急的な救急処置の用に供し得る簡易型救急箱及びそれを用いた救急システムを提供する。
【解決手段】L字状の第1の板状部材A及びL字状の第3の板状部材Aの一部を、矩形状の第2の板状部材Bに協働的に重ね合わせると共に、第2の板状部材Bの一対の融着部W、Wを、第1の板状部材Aの一部及び第3の板状部材Aの一部から構成される第1の一対の側壁部に各々融着し、かつ、第1の板状部材A及び第3の板状部材Aの一部と第2の板状部材Bの一部とが協働的に重ね合わされて構成される第2の一対の側壁部の一方と、第2の板状部材Bの一部である延長壁部12eと、を、係止部材11a、12aにより解放自在に互いに係止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、簡易型救急箱及び救急システムに関し、特に車内や車外の所望の場所に設置可能である簡易型救急箱及びそれを用いた救急システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、交通事故の発生件数は減少傾向にあり、加えて車両にも乗員補助拘束装置等の乗員保護装置や、アンチロックブレーキやそれを含んだ車両挙動安定化装置等が搭載されてきており、交通事故発生時の乗員への影響は低減傾向にある。とはいえ、交通事故の統計からいえば、交通事故による乗員への影響は、完全に払拭されているわけではない。また、救急医療体制の発展により、救急隊員の交通事故現場における救急処置も確実に進歩しており、交通事故現場でより適切な救急処置がなされるようになっている。とはいえ、交通渋滞や迷惑駐車等により、救急隊員の交通事故現場への到着が遅れることによる救急処置が遅れてしまうという弊害も出てきている。かかる状況を鑑み、車両に救急箱を設置する提案がなされている(特許文献1、2参照)。
【0003】
また、事故車両において救急処置を行うべく、救急センタに事故が発生した旨を通報すると共に周辺車両にも通報し、かつ事故車両内でも乗員の状態を検出してヒータ等を作動させることも提案されている(特許文献3参照)。
【0004】
また、近年多く見られるように、乗員が種々の化学物質等にアレルギ反応を示すアレルギ症を呈することもあり、使用できない薬剤等を有する人も多く存在する。かかる症状には限られないが、特定の情報を管理するための携帯用の記録媒体が装飾品やカード状の形態で提案されている(特許文献4、5参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−108264号公報
【特許文献2】特開2003−62012号公報
【特許文献3】特開2000−99867号公報
【特許文献4】特開2001−78815号公報
【特許文献5】特開2004−276238号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1、2で提案されるものは、単に救急箱そのものや、それを車両内に設置することを開示するのみであって、緊急時の救急処置に対処するには十分なものではない。
【0007】
また、特許文献3で提案されるものは、車両が行う緊急処置が限定的であり、かつシステム自体も高価であり、広く一般に普及させるには十分なものではない。
【0008】
また、特許文献4、5で提案されるものは、乗員が装飾品やカード状の記録媒体を身に付け忘れた場合には、全く救急の用をなさない。
【0009】
また、近年、犯罪や自殺の増加といった社会問題や、火災、地震といった災害の増加も目立つが、車両運転中にかかる現場にさしかかった場合の緊急時に、乗員が必要的な救急処置ができれば好ましい。とはいえ、たとえ救急箱に医療具や薬剤等を常備していても、
それを用いた救急処置方法の提示がなされていなければ、一般的には、乗員は正しい対処はできない。
【0010】
また、救急箱を車両に設けていても、その場所が乗員や救急隊員等にすぐさま認識できなければ、救急の用をなさない。
【0011】
また、緊急時の救急処置においては、乗員が骨折等をした部位に添え木を当てることが必要となるが、車両に添え木を単独で搭載しておくことは現実的ではないので、車載用の救急箱に簡便な構成で添え木を含有しておくことも必要である。
【0012】
また、車載用の救急箱は、車両に搭載されて緊急時には持ち運ばれるものであるから、適度に軽量であって、かつ必要十分な強度を有することも必要である。
【0013】
また、車載用の救急箱は、低コストで量産に対応し得るものでなければならないため、かかる条件も考慮した構成を採用することも必要である。
【0014】
また、低コストで量産に対応し得て、適度に軽量であって、かつ必要十分な強度を有しながら、緊急時に迅速に救急箱の所在を示して、救急処置の方法を提示したり添え木になるといった要請は、救急箱が車載用として使用される場合に限るものではなく、車外に持ち出されて、救急箱が鞄等に収容されて持ち運ばれる場合や、他の場所に載置される場合等においても同様である。ここで、他の場所とは、例えば、自動体外式除細動器(AED)が配置されている場所、テーマパーク等の人が大勢集まる場所、及び人通りの多い道に面した建物の入り口等が挙げられる。
【0015】
本発明は、以上の検討を経てなされたもので、高価かつ精緻な構成要素を用いることなく、車両衝突時や災害時等の緊急時に確実に応急的な救急処置の用に供し得る簡易型救急箱及びそれを用いた救急システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
以上の目的を達成すべく、本発明の一局面における簡易型救急箱は、第1の平面部と、前記第1の平面部を挟んで前記第1の平面部に各々連なる第2の平面部及び第3の平面部と、前記第3の平面部が前記第1の平面部に連なる方向とは直交する方向で前記第3の平面部に連なる第4の平面部と、を有する第1の板状部材と、第1の平面部と、前記第1の平面部に連なる第2の平面部と、前記第2の平面部が前記第1の平面部に連なる方向における前記第1の平面部とは反対側で前記第2の平面部に連なる第3の平面部と、前記第3の平面部が前記第2の平面部に連なる方向における前記第2の平面部とは反対側で前記第3の平面部に連なる第4の平面部と、前記第2の平面部が前記第1の平面部に連なる方向における前記第2の平面部とは反対側で前記第1の平面部に連なる第5の平面部と、前記第2の平面部及び前記第5の平面部が前記第1の平面部に連なる方向とは直交する方向で前記第1の平面部を挟んで前記第1の平面部に各々連なる一対の融着部と、を有する第2の板状部材と、第1の平面部と、前記第1の平面部を挟んで前記第1の平面部に各々連なる第2の平面部及び第3の平面部と、前記第3の平面部が前記第1の平面部に連なる方向とは直交する方向で前記第3の平面部に連なる第4の平面部と、を有する第3の板状部材と、を備えて、前記第1の板状部材と、前記第2の板状部材と、前記第3の板状部材と、が折り曲げられて形成された簡易型救急箱であって、前記第1の板状部材の前記第1の平面部と、前記第3の板状部材の前記第1の平面部と、が、対向する第1の一対の側壁部を構成し、前記第2の板状部材の前記第2の平面部と、前記第2の板状部材の前記第5の平面部と、が、前記第1の一対の側壁部が対向する方向と直交する方向で対向する第2の一対の側壁部を構成し、前記第2の板状部材の前記第1の平面部が、底壁部を構成し、前記第2の板状部材の前記第3の平面部が、頂壁部を構成し、前記第2の板状部材の前記第4
の平面部が、前記頂壁部に連なって、前記第2の板状部材の前記第5の平面部から構成される前記第2の一対の側壁部の一方の全面を覆いながら係止部材により解放自在に互いに係止された状態で、外側から重なる延長壁部を構成し、前記第1の板状部材の前記第3の平面部と、前記第3の板状部材の前記第2の平面部と、が、前記第2の一対の側壁部の前記一方に内側から各々重なり、前記第1の板状部材の前記第2の平面部と、前記第3の板状部材の前記第3の平面部と、が、前記第2の一対の側壁部の他方に内側から各々重なり、前記第1の板状部材の前記第4の平面部と、前記第3の板状部材の前記第4の平面部と、が、前記底壁部に内側から各々重なり、前記第2の板状部材の前記一対の融着部が、前記第1の一対の側壁部に各々融着された構成を有する。
【0017】
また、本発明の別の局面における救急システムは、簡易型救急箱と、かかる簡易型救急箱の所在情報を担持して、簡易型救急箱が設置される車両の車体、簡易型救急箱を運搬する運搬者の衣服又は鞄、簡易型救急箱が配置されるAEDの設置場所の側の壁、簡易型救急箱が配置されるテーマパーク内の遊具、人通りの多い道に面した建物の壁やドア等に視認可能に装着され得る表示器と、を備える。
【発明の効果】
【0018】
本発明の簡易型救急箱によれば、第1の板状部材、第2の板状部材及び第3の板状部材を組み合わせて、第2の板状部材を第1の板状部材及び第3の板状部材に融着すると共に、互いに重ね合わせて折り曲げながら係止するという簡便な構成により、十分な強度を有すると共に軽量かつ低コストで、固定や持ち運びの自由度が高い簡易型救急箱を提供することができる。
【0019】
また、本発明の簡易型救急箱によれば、第1の板状部材及び第3の板状部材は、それらの基材や外装を予め成形しておく際に、互いを組み合わせて配置しておくことにより、共取りが可能な同様の板状部材であり、かつ、第2の板状部材は、一方向に延在する板状部材であるため、その基材や外装を予め成形しておく際に、互いに並置して一回の成形で複数の同一物が得られものであるため、低コストで量産に対応することができる。
【0020】
また、本発明の簡易型救急箱によれば、第1の板状部材及び第3の板状部材は、それらの一部が、第2の板状部材と協働的に重ね合わされて、簡易型救急箱の壁部を補強するものであるため、適度に軽量であって、かつ、必要十分な強度を有することができる。
【0021】
また、本発明の簡易型救急箱によれば、第2の板状部材の一対の融着部が、第1の一対の側壁部に各々融着され、かつ、第2の一対の側壁部の一方と延長壁部とが、係止部材により解放自在に互いに係止されているため、かかる係止部を解放して簡易型救急箱の各壁部を開いていくだけで、一対の融着部の各々を回動軸として迅速かつ確実に展開することができ、かかる展開状態で、罹災者等の救急処置を求める者が骨折等をした部位に適用可能な添え木を形成することができる。
【0022】
また、本発明の緊急システムによれば、かかる簡易型救急箱を、車両に適用する場合には、通常の操作時には邪魔にならいような位置であって、かつ車両衝突時等の緊急時に残存空間が大きい所定位置に、自由度高く設置可能であり、かかる緊急時においても表示器を手掛かりとし、容易かつ確実に発見し、車外等に持ち出して利用することができる。また、運搬する場合や車外に配置する場合においても、表示器を組み合わせれば、簡易型救急箱の所在及び提供の意志を明示することができ、簡易型救急箱を容易かつ確実に発見して利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施形態における簡易型救急箱を、閉じた状態で上方から下方を見た斜視図である。
【図2】本実施形態における簡易型救急箱を、閉じた状態で下方から上方を見た斜視図である。
【図3】本実施形態における簡易型救急箱の構成部材の平面図であって、図3(a)は、第1の板状部材及び第3の板状部材の平面図であり、図3(b)は、第2の板状部材の平面図である。
【図4】本実施形態における簡易型救急箱10の構成部材である第1の板状部材A、第2の板状部材B及び第3の板状部材Aを組み合わせた状態の平面図である。
【図5】本実施形態における簡易型救急箱を、開いた状態で上方から下方を見た斜視図である。
【図6】図1におけるX1方向から見た簡易型救急箱の側面図である。
【図7】図1におけるY1方向から見た簡易型救急箱の側面図である。
【図8】本実施形態における簡易型救急箱の融着部周辺の構造を示す縦断面図である。
【図9】本実施形態における簡易型救急箱に薬品等を収容し、開いた状態で上方から下方を見た斜視図である。
【図10】本実施形態における簡易型救急箱の救急情報挿入部を示す図であり、図1におけるZ方向から見た図である。
【図11】図10のA−A線断面図である。
【図12】図10のB−B線断面図である。
【図13】図10のC−C線断面図である。
【図14】本実施形態における救急情報を担持する記録媒体を示す図である。
【図15】図14におけるY方向から見た記録媒体の側面図である。
【図16】本実施形態における簡易型救急箱の所在情報を担持する表示器を示す図である。
【図17】本実施形態における簡易型救急箱が適用される車両の乗員室を示す図である。
【図18】本実施形態における簡易型救急箱が適用される別のタイプの車両の乗員室を示す図である。
【図19】本実施形態における簡易型救急箱が適用される別のタイプの車両の乗員室を示す図である。
【図20】本実施形態における簡易型救急箱が適用される車両の側面図である。
【図21】本実施形態における簡易型救急箱が適用される車両の背面図である。
【図22】本実施形態における簡易型救急箱の所在情報を担持する表示器が、ピンバッジの態様で運搬者等の上着の襟に着けられた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を適宜参照して、本発明の実施形態における簡易型救急箱及び救急システムにつき詳細に説明する。かかる簡易型救急箱は、2輪又は4輪の自動車や電車等の車両に搭載されたり、車外に持ち出されて鞄等に収容されて持ち運ばれる場合や、人通りの多い道に面した建物の入り口、自動体外式除細動器(AED)が配置されている場所、及びテーマパーク等の人が大勢集まる場所やテーマパークの遊具等に設置自在である。なお、図中、x、y、z軸は、3軸直交座標系を成し、z軸方向につき、説明の便宜上、上方、下方と記すことがある。
【0025】
図1は、本実施形態における簡易型救急箱10を、閉じた状態で上方から下方を見た斜視図であり、図2は、簡易型救急箱10を、閉じた状態で下方から上方を見た斜視図である。図3は、簡易型救急箱10の構成部材の平面図であって、図3(a)は、第1の板状部材A及び第3の板状部材Aの平面図であり、図3(b)は、第2の板状部材Bの平面図である。図4は、簡易型救急箱10の構成部材である第1の板状部材A、第2の板状部材
B及び第3の板状部材Aを組み合わせた状態の平面図である。また、図5は、本実施形態における簡易型救急箱10を、開いた状態で上方から下方を見た斜視図である。
【0026】
図1及び2に示すように、簡易型救急箱10は、厚紙製や樹脂製の基板に塩化ビニール等の樹脂材をコーティングしたソフトパッケージ状のものであり、側壁部11、蓋部である頂壁部12及び底壁部13から成る壁部を有し、各々が平面部で協働して簡易型救急箱10の四方を囲うものである。
【0027】
ここに、頂壁部12は、y軸の負方向側に設けられた側壁部11に対して接するように下方に折り曲げられて延長された延長壁部12eを有し、対応する側壁部11に設けられた面ファスナ11aと、延長壁部12eに設けられた面ファスナ12aと、が係止することによって、かかる延長壁部12eが、側壁部11部に対して全体的に面当たりして固定される。このように延長壁部12eが固定されることにより、簡易型救急箱10の内部には、実質的に外部から閉じた閉空間が画成される。
【0028】
このように、面ファスナ11aと面ファスナ12aとが係止することにより、側壁部11と延長壁部12eとが全体的に面当たりして固定されるため、かかる係止がより確実になされ、かつ簡易型救急箱10の箱強度も増強される。なお、側壁部11及び頂壁部12の係止部材としては、もちろん面ファスナに限定されるものではなく、鍵構造等の機械的構造の他、適宜他の係止構造をも採用可能である。また、実質的に外部から閉じた閉空間とは、密封的に封止された空間であることは必要なく、内部に収容された物が外部に飛び出さない程度に閉ざされた空間をいい、ある程度の通気性はあってもかまわない。また、簡易型救急箱10は、救急処置者等が片手に保持できるサイズを有するため、取手が設けられていないが、必要に応じて取手を設けてもよい。
【0029】
また、頂壁部12には、詳細は後述する救急情報を担持する記録媒体を、IN及びOUTで示すように着脱自在に挿入可能な救急情報挿入部15が設け得る。かかる救急情報挿入部15は、その全体が可視光を透過する透明な一枚の塩化ビニール等の樹脂製であり、その矩形輪郭形状の周囲が融着されて頂壁部12に固定されることにより、ポケット部材を構成して、記録媒体が挿入された状態で、窓部15aを介して、記録媒体が挿入された状態であること及び記録媒体に記録された情報が視認可能である。なお、かかる救急情報挿入部15は、必要に応じて、頂壁部12以外の壁部に設けてもよく、場合によっては、複数設けてもかまわない。
【0030】
但し、救急情報挿入部15は、切り欠き部15aが形成された一端部においては融着されておらず、記録媒体は、かかる端部を介して着脱自在である。ここに、切り欠き部15aにおいては、救急情報挿入部15に挿入された記録媒体の一部が露出しているため、かかる露出部分に救急処置者の指等を当てることにより、簡便に記録媒体を取り出すことが可能となる。また、救急情報挿入部15が、開閉自在な頂壁部12に設けられているため、頂壁部12及び延長壁部12eを開けて、かつソフトパッケージ状の頂壁部12を適宜湾曲させることにより、頂壁部12と救急情報挿入部15に挿入された記録媒体との間に隙間を生じさせることができ、切り欠き部15aにおける記録媒体の露出部分に救急処置者の指等を当てることにより、より簡便にかかる記録媒体を取り出すことが可能となる。
【0031】
このように、救急情報挿入部15が設けられる場合には、かかる記録媒体と簡易型救急箱10とが必ず組となって存在し、車両衝突時や災害時等の緊急時に、簡易型救急箱10を発見すれば、記録媒体も必ず発見できることになる。
【0032】
また、底壁部13には、面ファスナ13aが設けられる。面ファスナ13aは、詳細は後述するが、簡易型救急箱10が、車内や車外の所定位置において極めて簡便かつ確実に
装脱自在に係止されるための係止部材である。面ファスナ13aは、複数個設けられていても良く、複数個設ける場合には、底壁部13に追加的に配置しても良いし、更に加えて側壁部11にも追加的に配置すれば、簡易型救急箱10を車内や車外の所定位置に固定する固定面及び面積が増加し、より確実に固定することができる。また、かかる係止部材としては、操作の確実性と簡便性とを併せ持つ面ファスナが好適であるが、もちろん面ファスナに厳密な意味で限定されるものではなく、機能性や堅牢性等の兼ね合いで、嵌合部材や締結部材等の機械的構造の他、固定場所側の諸条件をも考慮して、適宜他の係止構造をも採用可能である。
【0033】
このように車内や車外の固定部位との係止部材として、係止、解放自在な典型的には面ファスナ13aを用いることにより、詳細は後述するが、車両衝突時や災害時等の緊急時において簡易型救急箱10の固定を解いて、簡易型救急箱10を持ち出し活用することが可能となる。
【0034】
かかる構成の簡易型救急箱10を箱状に組み立てるには、まず、図3(a)に示す第1の板状部材A及び第3の板状部材Aを用意すると共に、図3(b)に示す第2の板状部材を用意する。
【0035】
具体的には、図3(a)に示すように、第1の板状部材A及び第3の板状部材Aは、同一部材であって、各々が、矩形状の貫通口wが形成された第1の平面部A1と、第1の平面部A1を挟んで第1の平面部A1に各々連なる第2の平面部A2及び第3の平面部A3と、第3の平面部A3が第1の平面部A1に連なる方向とは直交する方向で第3の平面部A3に連なる第4の平面部A4と、を有したL字状の平板状部材である。
【0036】
また、図3(b)に示すように、第2の板状部Bは、第1の平面部B1と、第1の平面部B1に連なる第2の平面部B2と、第2の平面部B2が第1の平面部B1に連なる方向における第1の平面部B1とは反対側で第2の平面部B2に連なる第3の平面部B3と、第3の平面部B3が第2の平面部B2に連なる方向における第2の平面部B2とは反対側で第3の平面部B3に連なる第4の平面部B4と、第2の平面部B2が第1の平面部B1に連なる方向における第2の平面部B2とは反対側で第1の平面部B1に連なる第5の平面部B5と、第2の平面部B2及び第5の平面部B5が第1の平面部B1に連なる方向とは直交する方向で第1の平面部B1を挟んで第1の平面部B1に各々連なる一対の融着部W、Wと、を有した矩形状の平板状部材である。
【0037】
かかる構成によれば、第1の板状部材A及び第3の板状部材Aは、それらの基材や外装を予め成形しておく際に、互いを組み合わせて配置しておくことにより、共取りが可能な同様の板状部材であり、かつ、第2の板状部材は、一方向に延在する板状部材であるため、その基材や外装を予め成形しておく際に、互いに並置して一回の成形で複数の同一物が得られものであるため、低コストで量産に対応することができる。
【0038】
次に、かかる構成の第1の板状部材A、第2の板状部材B及び第3の板状部材Aを用意したならば、図4に示すように、第1の板状部材A、第2の板状部材B及び第3の板状部材Aを、互いに一部が重ね合わされるように組み合わせる。
【0039】
具体的には、図4に示すように、第2の板状部Bの一対の融着部W、Wを、各々第1の板状部材Aの第1の平面部A1の一部及び第3の板状部材Aの第1の平面部A1の一部に、一対の融着部W、Wが上側になるように重ね合わせながら、第1の板状部材Aの第4の平面部A4を、第2の板状部Bの第5の平面部B5に、第4の平面部A4が上側になるように重ね合わせると共に、第3の板状部材Aの第4の平面部A4を、第2の板状部Bの第2の平面部B2に、第4の平面部A4が上側になるように重ね合わせる。次に、第2の板
状部Bの一対の融着部W、Wと、各々第1の板状部材Aの第1の平面部A1の一部及び第3の板状部材Aの第1の平面部A1の一部と、を、融着することにより、第1の板状部材A、第2の板状部材B及び第3の板状部材Aを融着する。
【0040】
そして、このように重ね合わせて組み合わせ、かつ融着した第1の板状部材A、第2の板状部材B及び第3の板状部材Aを、図3(a)及び図3(b)に示す2点鎖線に従って、各々紙面から立ち上がるように折り曲げていくと、図5に示すように、開いた状態の簡易型救急箱10が得られる。
【0041】
具体的には、図5に示すように、第1の板状部材Aの第1の平面部A1と、第3の板状部材Aの第1の平面部A1と、が、x軸の方向で対向する第1の一対の側壁部11(A1)、11(A1)を構成する。かかる第1の一対の側壁部11(A1)、11(A1)の上部には、簡易型救急箱10の内部と外部とを連通する通風口16(w)が各々設けられる。かかる一対の通風口16(w)、16(w)は、第1の板状部材A及び第3の板状部材Aに設けられた一対の貫通口w、wに対応するもので、y軸方向に長軸を有する長孔状であり、一対の通風口16(w)、16(w)は、x軸方向において全体的に重複して配置され、簡易型救急箱10の内部を、その収容物を保持しながら換気する。
【0042】
また、第2の板状部材Bの第2の平面部B2と、第2の板状部材Bの第5の平面部B5と、が、第1の一対の側壁部11(A1)が対向する方向と直交する方向で対向しながら、第1の板状部材Aの第2の平面部A2と、第3の板状部材Aの第3の平面部A3と、が、第2の板状部材Bの第2の平面部B2に内側から各々重なると共に、第1の板状部材Aの第3の平面部A3と、第3の板状部材Aの第2の平面部A2と、が、第2の板状部材Bの第5の平面部B5に内側から各々重なって、第2の一対の側壁部11(A2、A3、B2)、11(A2、A3、B5)を構成する。
【0043】
また、第2の板状部材Bの第1の平面部B1に、第1の板状部材Aの第4の平面部A4と、第3の板状部材Aの第4の平面部A4と、が、内側から各々重なって、底壁部13(A4、B1)を構成する。第2の板状部材Bの第3の平面部B3が、頂壁部12(B3)を構成する。また、第2の板状部材Bの第4の平面部B4が、頂壁部12(B3)に連なって、第2の一対の側壁部11(A2、A3、B2)、11(A2、A3、B5)の一方11(A2、A3、B5)の全面を覆いながら、外側から重なる延長壁部12e(B4)を構成する。ここで、延長壁部12e(B4)の内面側には、面ファスナ12aが設けられ、かかる延長壁部12eに対応する第2の一対の側壁部11(A2、A3、B2、B5)の一方11(A2、A3、B5)の外面側には、面ファスナ11aが設けられている。
【0044】
ここに、図5に示すような開いた状態の簡易型救急箱10において、矢印R2で示すように、頂壁部12を側壁部11に向けて回動して、解放した状態の面ファスナ11a及び12aを再び係止することによって、頂壁部12は、側壁部11に固定され得て、図1に示すような閉じた状態の簡易型救急箱10が得られる。
【0045】
かかる構成によれば、第1の板状部材A及び第3の板状部材Aは、それらの一部が、第2の板状部材と協働的に重ね合わされて、簡易型救急箱10の壁部を補強するものであるため、適度に軽量であって、かつ、必要十分な強度を有することができる。また、第1の板状部材Aの第2の平面部A2と、第3の板状部材Aの第3の平面部A3と、は、各々第2の板状部材Bの第2の平面部B2の半分の面積を有し、その内側から全面に各々重なると共に、第1の板状部材Aの第3の平面部A3と、第3の板状部材Aの第2の平面部A2と、は、各々第2の板状部材Bの第5の平面部B5の半分の面積を有し、その内側から全面に各々重なっているため、簡易型救急箱10の強度をより向上できる。また、第1の板状部材Aの第4の平面部A4と、第3の板状部材Aの第4の平面部A4と、は、各々第2
の板状部材Bの第1の平面部B1の半分の面積を有し、その内側から全面に各々重なっているため、簡易型救急箱10の強度をより向上できる。
【0046】
更に、図1に示すような開いた状態の簡易型救急箱10において、係止した状態の面ファスナ11a及び12aを解放することによって、矢印R1で示すように、頂壁部12及び延長壁部12eは回動自在であり、簡易型救急箱10は、図5に示すような開放状態となり、その内部が露出すると共に、簡易型救急箱10を一対の融着部の各々を回動軸として迅速かつ確実に展開することができる。かかる展開状態の簡易型救急箱10では、図4で示すような第1の板状部材A、第2の板状部材B及び第3の板状部材Aが、融着状態を維持しながら重ね合わせて組み合わせられた状態であるから、第2の板状部材Bに、例えば車両の乗員や車外での運搬者、通行人等の救助を受ける人の腕Mを沿わした状態で、y軸の正方向側の側壁部11、頂壁部12及び延長壁部12eを腕Mの周囲に巻回し、延長壁部12eに設けられた面ファスナ12aを、y軸の負方向側の側壁部11に設けられた面ファスナ11aに係止することにより、腕Mはかかる壁部で巻回されて固定され、添え木を当てられた状態に維持される。つまり、このように四隅の薄肉部Tを切断して、各壁部を腕Mの周囲で巻回して固定することにより、簡便に腕Mに添え木を当てることが可能である。
【0047】
また、x軸方向で対向する一対の側壁部11には、FIRST AID等の文字が印字され、延長壁部12e及びそれとy軸方向で対向する側壁部11には、FA等の文字が印字される。かかる文字は、簡易型救急箱10が救急箱であることを示すものである。
【0048】
より具体的には、図6をも参照すると、x軸方向で対向する一対の側壁部11におけるFIRST AID等の文字は、x軸の正方向側の側壁部11における文字とx軸の負方向側の側壁部11における文字とは、z軸方向について天地が逆となっており、かつ図7をも参照すると、延長壁部12e及びそれとy軸方向で対向する側壁部11におけるFA等の文字は、延長壁部12eにおける文字とそれとy軸方向で対向する側壁部11における文字とは、z軸方向について天地が逆となっている。かかるFIRST AID等の文字は、第1の板状部材A及び第3の板状部材Aを用意する段階で、これらに天地を逆にして印字しておくことが好ましい。また、FA等の文字は、第2の板状部Bを用意する段階で、印字しておくことが好ましい。
【0049】
このように文字の天地を逆にすることにより、救急処置者等が転倒した車両等の乗員室内において簡易型救急箱10を観察した場合や、簡易型救急箱10が車外で持ち運ばれたり載置されている場合等に、正立状態にあるFIRST AIDやFA等の文字を視認する可能性が高まり、簡易型救急箱10の存在やその素性をより簡便かつ確実に確認することができる。
【0050】
また、第2の板状部Bの一対の融着部W、Wと、各々第1の板状部材Aの第1の平面部A1の一部及び第3の板状部材Aの第1の平面部A1の一部と、が、融着されて、第1の板状部材A、第2の板状部材B及び第3の板状部材Aが融着された構成は、図8の縦断面図に代表的に示すように、確実にかかる融着が確実に行えるように、融着部Wの厚さが薄肉化されている。必要に応じて、第1の板状部材A及び第3の板状部材Aの融着部Wに対応する部分も薄肉化してもよい。
【0051】
さて、簡易型救急箱10の開放状態において観察されるように、簡易型救急箱10には、薬品等が収容される。
【0052】
図9は、本実施形態における簡易型救急箱に薬品等を収容し、開いた状態で上方から下方を見た斜視図である。
【0053】
図9に示すように、簡易型救急箱10の頂壁部12の裏面には、詳細は後述するが、簡易型救急箱10の所在情報を担持する表示器20が着脱自在に設置される。
【0054】
更に、側壁部11と底壁部13とで囲われた収容部には、応急的な救急対処法を提示する救急対処情報を記載した解説冊子30aが収容される。かかる応急的な救急対処法を提示する救急対処情報は、頂壁部12の裏面に直接記載するか、記載した印刷物を貼付けることにより構成された提示部30bに提示されることも可能であり、解説冊子30a及び提示部30bは、一方のみ設けても良いし、情報提示の確実性を考慮して双方を設けても良い。その他、側壁部11と底壁部13とで囲われた収容部には、応急処置具31や医薬品32も収容される。応急処置具31としては、包帯、ガーゼ、絆創膏、止血具、はさみ及び手袋等が収容可能であり、医薬品32としては、消毒薬及び鎮痛剤等の救急医薬の他、酔い止め等の一般医薬も収容可能であり、種々のニーズを考慮して設定可能である。
【0055】
次に、以上説明した簡易型救急箱10に設けられ得る救急情報挿入部15につき説明する。
【0056】
図10は、救急情報挿入部15を示す図であり、代表的に図1におけるX方向から見た図である。また、図11は、図10のA−A線断面図であり、図12は、図10のB−B線断面図であり、図13は、図10のC−C線断面図である。
【0057】
図10に示すように、救急情報挿入部15は、周縁部から内方に配された窓部15aを備えた矩形輪郭形状を有するポケット部材であり、図11に示すように、一般厚さt1から減じられた厚さt2を付与されて形成された挿入端部である挿入口15bを備える。救急情報挿入部15は、かかる挿入端部から、図12で示すように、窓部15aを備えた中央部を介し、図13で示す一般厚さt1を呈する一方の端部へと至る断面形状を有する。救急情報挿入部15の材料は、耐衝撃性、耐熱性、重量及び外観等の諸要件を満足するものであれば良く、生産上の便宜を考慮して簡易型救急箱10壁部と同じ材料を用いても良いし、事情によっては異種の材料を用いても良い。
【0058】
かかる構成により、図1等において矢印IN及びOUTで示すように、救急情報を担持する記録媒体は、挿入口15bから救急情報挿入部15に装脱される。記録媒体が挿入された状態で、窓部15aを介して、記録媒体が挿入された状態であること及び記録媒体に記録された情報が視認可能である。
【0059】
ここにおいて、窓部15aは、可視光を透過する透過窓であって、単なる切欠き窓としても良いし、記録媒体を保護する観点から、可視光透過性を呈しながら耐衝撃性、耐熱性をも満足する材料で形成された部材であっても良い。窓部15aを、かかる透光性材料から成る別部材として構成した場合には、救急情報挿入部15に、機械的な挿入や接着剤を用いた接着等により固定することとなる。なお、記録媒体に記録された情報が視認可能であるという観点からは、救急情報挿入部15に窓部を設けるのではなく、その全体が可視光透過性を呈する部材で構成しても良い。また、救急情報挿入部15には、車両に搭乗する可能性のある乗員や車外での運搬者等の服用する常備薬といった小物もその利用の便のため、併せて挿入しておいても良い。
【0060】
次に、かかる救急情報挿入部15に装脱自在で、車両に搭乗する可能性のある乗員や車外での運搬者等に関する救急情報を担持する記録媒体60につき説明する。
【0061】
図14は、記録媒体60を示す図であり、図15は、図14におけるY方向から見た記録媒体の側面図である。
【0062】
図14に示すように、記録媒体60は、矩形平板状の部材であり、典型的には2輪や4輪の自動車である車両に搭乗する可能性のある乗員や車外での運搬者等に関する救急情報が、その表面に記録される。ここで、救急情報が特定され得る者としては、車両に搭乗する可能性のある乗員、つまり車両の主たるユーザであるドライバやその家族等、車外で簡易型救急箱10を運搬する運搬者の他、簡易型救急箱10が装着されたテーマパークの遊具の操作者等が挙げられる。
【0063】
また、救急情報とは、かかる乗員や運搬者等についての、応急的な救急処置に反映し得る生体情報である。典型的には、図14に示すように、かかる車両に搭乗する可能性のある乗員、車外で簡易型救急箱10を運搬する運搬者及び簡易型救急箱10が装着されたテーマパークの遊具の操作者等の氏名A、血液型B及び緊急連絡先Cの他、応急的な救急処置に反映し得る特記情報Dが含まれ、特記情報とは、血液型が特殊なものである場合はその詳細、鎮痛剤等の薬剤へのアレルギ体質の有無、使用中の薬剤の有無や妊娠中であればその旨の情報等が挙げられる。なお、記録媒体60には、かかる者の顔写真を示す画像情報をも提示し得て、情報領域としては、氏名等を表示する文字情報領域60aと写真等を表示する画像情報領域60bとから構成され得る。
【0064】
記録媒体60には、図14中で4つの角部に各々配置された突起60cが設けられる。図15に示すように、かかる突起60cは、記録媒体60の板厚を含み高さt3を有するように設定される。高さt3は、図11及び12で示す救急情報挿入部15の挿入口15bの高さ(t1−t2)よりも所定量ほど大きく設定されており、図1等の矢印INで示すように、記録媒体60が挿入口15bを有する挿入端部及びこれに連絡する中央部経て救急情報挿入部15に装着された際には、記録媒体60が救急情報挿入部15に圧着され、記録媒体60及び救急情報挿入部15の構造が協働して、記録媒体60が離脱しないような抜け止め構造として機能する。また、かかる突起60cは、記録媒体60を扱うユーザにとって、滑り止めとしても機能し得る。なお、記録媒体60は、このように救急情報挿入部15が設けられる側壁部11に平行に移動されて、救急情報挿入部15に挿入される構成には限られず、側壁部11に垂直に移動されて、救急情報挿入部15の窓部15aに嵌合的に装着されても良い。
【0065】
記録媒体60の材料としては、耐衝撃性、耐熱性、重量及び外観等の諸要件を満足する樹脂又は金属が使用可能で、表面を耐衝撃性及び耐熱性を有する透明な樹脂でコーティングする場合には、基板として紙材を使用することも可能である。記録媒体60の表面に情報を固定するには、手書き、貼り付け、印刷等を材質に応じて使い分けることになる。なお、安価であることを追求するのであれば、記録媒体60は、単に厚紙製としても良い。
【0066】
記録媒体60には、媒体自体の存在の識別のため、視認を容易にするような有彩色や蛍光色を彩色しても良い。このように彩色するには、塗色しても良いし材料自体に色素等を含有させても良い。また、このように彩色する場合は、記録媒体60と簡易型救急箱10とを関連付けて想起させ、記録媒体60が簡易型救急箱10に組となって装着されるべきものであることの識別をより容易にすべく、簡易型救急箱10にも同色、つまり同色相の彩色を施し、互いの関連性の識別のための色情報として用いても良い。
【0067】
また、記録媒体60は、個人情報を担持するものであるため、機密性を確保すべき場合もある。かかる場合には、記録情報をバーコード化したり、媒体自体をICチップを内蔵したICカード製として記録情報をデジタル化したり、場合によっては記録情報を暗号化することも可能である。このような構成を採用すると、バーコードやICチップに対応した読取装置を備えた救急隊員や病院職員のみが読取が可能となり、機密性が向上する。
【0068】
次に、簡易型救急箱10の所在情報を担持する表示器20につき説明する。
【0069】
図16は、表示器20を示す図であり、まず、前述したように、表示器20は、簡易型救急箱10の頂壁部12の裏面に、着脱自在に設置され得る。
【0070】
図16に示すように、表示器20は、矩形平板状の部材であり、その表面には、クロス図形等の図形20aとともにFA等の文字20bが、車両に簡易型救急箱10が装着される場合には、現実に装着されていることを示す識別情報として、表記される。具体的には、かかる表示器20が簡易型救急箱10から取り出されて車両の所定位置、つまり乗員室の略中央領域や車体の側面等に装着されたならば、緊急時等において車両に装着された表示器20を認めた通行人や救急処置者等が、かかる車両には、応急的な救急処置に反映し得る生体情報が記録された記録媒体60、応急的な救急対処法を提示する救急対処情報を記載した解説冊子30a及び提示部30b、応急処置具31並びに医薬品32が収容された簡易型救急箱10が装着されていることを認識し得て、表示器20の存在を手掛かりとし、車両内の簡易型救急箱10を見つけ出し、応急処置等のために、応急的な救急処置に反映し得る生体情報が記録された記録媒体60の情報を考慮しつつ、応急的な救急対処法を提示する救急対処情報を記載した解説冊子30aや提示部30bの情報をも参照自在に、応急処置具31や医薬品32が利用可能となる。また、簡易型救急箱10が、運搬される際には運搬者の衣服や鞄に表示器20を装着し、AEDの設置場所、テーマパーク内の遊具、人通りの多い道に面した建物の入り口等の車外に載置される際には載置場所の近くの壁面、ドア又は遊具自体に表示器20を装着すればよい。
【0071】
表示器20の材料としては、耐衝撃性、耐熱性、重量及び外観等の諸要件を満足する樹脂又は金属が使用可能であり、車両やドア等の金属部分に装着することを考慮すれば、磁性を帯びた材料を含んで装着部位に装脱自在であることが好適である。もちろん、常に簡易型救急箱10を車内や車外の固定場所に載置しておくのであれば、記録媒体60を接着剤で恒常的に貼り付けるシール部材としてもかまわない。
【0072】
表示器20にも、その存在の識別のため、視認を容易にするような有彩色や蛍光色を彩色しても良い。このように彩色するには、表示器20に塗色しても良いし、表示器20の材料自体に色素等を含有させても良い。また、彩色すべき色は、記録媒体60と簡易型救急箱10と同色、つまり同色相のものが良く、このように彩色する場合は、表示器20と、記録媒体60と、簡易型救急箱10と、を関連付けて想起させ、記録媒体60が挿入された簡易型救急箱10が載置されていることの識別のための色情報として用い得る。つまり、かかる色情報は、記録媒体60が設けられた簡易型救急箱10の存在の識別を関連付けて容易にするとともに、それが設けられた簡易型救急箱10の発見を容易にする。
【0073】
また、表示器20は、車体や車外の装着部位との接触状態を検出する電気的又は電気光学的センサ及びこのセンサからの検出信号を受けて送受信を行い得る送信回路を含む制御回路が組み込まれたICチップを備えたICカード化することも可能である。このように表示器20をICカード化した場合は、簡易型救急箱10側の記録媒体60もICカード化されている必要があるが、車両衝突時や災害時等の緊急時において、通行人や救急処置者等が表示器20を車体や車外の装着部位から引き離すことにより、それを検出したセンサからの検出信号を受けた制御回路が送信回路を経て、記録媒体60のICカード内のICチップの受信回路に作動信号を送信し、かかる作動信号を受けた記録媒体60は、その所在を示す音や光を、記録媒体60に備えられたスピーカや発光ダイオードから発し得る。なお、かかる場合の電源は、ICカードに内装されても良いし、外部から供給されても良い。このように、音や光をも利用すれば、緊急時等において車体や車外の装着部位に装着された表示器20を認めた通行人や救急処置者等が、より確実に、表示器20の存在を手掛かりとして、記録媒体60と組になった簡易型救急箱10を見つけ出し得る。
【0074】
次に、簡易型救急箱10を固定する救急箱固定部につき、簡易型救急箱10を4輪の自動車である車両に搭載する場合を例に挙げて説明する。
【0075】
図17は、簡易型救急箱10が適用される車両の乗員室VC1を示す図であり、図18は、簡易型救急箱10が適用される別のタイプの車両の乗員室VC2を示す図であり、図19は、簡易型救急箱10が適用される別のタイプの車両の乗員室VC3を示す図である。なお、図中、矢印FRは車両前方、矢印Rは車両右方及び矢印UPRは車両上方を示す。
【0076】
ここに、簡易型救急箱10を車両に搭載する部位、つまり救急箱固定部に関しては、前面衝突、側突、追突及び転倒時等を含む車両衝突時等の緊急時において車体は変形するため、簡易型救急箱10を容易かつ確実に発見して利用するためには、車体内の残存空間が、確実かつ相対的に大きな空間として残置し得る部位を選ぶ必要がある。
【0077】
図17において、かかる車両は、典型的には4シータ等のセダン等に分類されるものであり、車両衝突時等の緊急時において、車体内の確実的な残存空間は、乗員室VC1の略中央領域CP1にあるものと考えられる。そこで、車両の乗員室VC1の略中央領域CP1において、簡易型救急箱10を固定可能な部位に搭載すれば好適であることになるが、一方でかかるタイプの車両では、乗員室VC1の中央領域CP1には、センタコンソール70が設置されていることが一般的である。
【0078】
更に検討するに、センタコンソール70は、一般的には樹脂製であって簡易型救急箱10を直ちには固定し難いし、一方で、それに連なるアームレスト等は布製であるものの簡易型救急箱10をそこに固定すると、ドライバの操作性等に影響を与えることが懸念される。そこで、かかるタイプの車両には、センタコンソール70の上面でドライバの操作性等に影響を与えにくい部位を、乗員室VC1の略中央領域CP1として設定する。但し、かかる部位は樹脂製であるため、乗員室側の固定部材として、簡易型救急箱の底壁部13に設置された面ファスナ13aと係止可能な面ファスナ71を設置する。
【0079】
よって、かかるタイプの車両には、センタコンソール70の上面に設置された面ファスナ71と、簡易型救急箱の底壁部13に設置された面ファスナ13aと、を係止、解放することにより、簡易型救急箱10を車両に確実に装脱自在に搭載することができる。なお、図17中、説明の便宜のため、左前席の背もたれは透過的に示し、アームレスト等は図示を省略した。
【0080】
次に、図18において、かかる車両は、典型的には前左右席間をウオークスルーできるワンボックスやミニバン等に分類されるものであり、車両衝突時等の緊急時においては、車体内の確実的な残存空間は、乗員室VC2の前左右席間である略中央領域CP2にあるものと考えられる。
【0081】
ここに、かかるタイプの車両では、前左右席間のフロア上は、合成繊維から成るフロアカーペット80で覆われているため、前左右席間のフロア上のフロアカーペット80の部位を、乗員室VC2の略中央領域CP2として設定すれば、そのまま乗員室側の固定部材として用いることが可能である。もちろん、フロアカーペット80がビニール材等の樹脂材である場合には、別途面ファスナを設置することになる。
【0082】
よって、かかるタイプの車両には、典型的には、前左右席間のフロア上のフロアカーペット80と、簡易型救急箱の底壁部13に設置された面ファスナ13aと、を係止、解放することにより、簡易型救急箱10を車両に確実に装脱自在に搭載することができる。な
お、図18中、説明の便宜のため、左前席の背もたれ等は図示を省略した。
【0083】
次に、図19において、かかる車両は、典型的には2シータ等のクーペやトラック等に分類されるものであり、乗員室内の空間がタイトであり、簡易型救急箱10を車両に搭載する部位については、空間的な制約が大きい。
【0084】
更に検討するに、かかるタイプの車両では、乗員室VC3のルーフの乗員室側に比較的自由な空間が存在する。一方で、車両衝突時等の緊急時において、車体内の確実的な残存空間について検討した場合、乗員室VC3のルーフの乗員室側は、前左右席間等に比較すれば、車両の転倒時においては残存空間が狭められる傾向にはあるものの、前面衝突、側突又は追突時においては、実質遜色ない残存空間が存在するものと期待できる。
【0085】
そこで、かかるタイプの車両では、ルーフの乗員室VC3側の部位を、乗員室VC3の略中央領域CP3として設定した。更に、乗員室VC3のルーフの乗員室側の部位には、合成繊維から成るルーフ内張り90が張られていることが一般的であり、それをそのまま乗員室側の固定部材として用いることが可能である。もちろん、ルーフ内張り90がビニール材等の樹脂材である場合には、別途面ファスナを設置することになる。
【0086】
よって、かかるタイプの車両には、典型的には、ルーフの乗員室VC3側のルーフ内張り90と、簡易型救急箱の底壁部13に設置された面ファスナ13aと、を係止、解放することにより、簡易型救急箱10を車両に確実に装脱自在に搭載することができる。なお、図19は、説明の便宜のため、乗員室を上下に展開的に図示した。
【0087】
次に、簡易型救急箱10の所在情報を担持する表示器20が、装着部位に装着される構成につき説明する。ここでは、表示器20が車両100に装着される場合を例に挙げる。
【0088】
図20は、簡易型救急箱が適用される車両100の側面図であり、図21は、その背面図である。なお、図中、矢印FRは車両前方、矢印Rは車両右方及び矢印UPRは車両上方を示す。
【0089】
図20に示すように、簡易型救急箱10は、車両100に搭載される。なお、図中、車両100は、代表的に4シータのセダン等に分類されるものであり、前述したように乗員室の中央領域に位置するセンタコンソール上に載置されている。
【0090】
ここに、表示器20は、図20に示すように、車両100の車体の側面における装着領域FP1、及び図21に示すように、車両100の車体の後面における装着領域FP2の2箇所に装着される。このように、装着領域を側部及び後部といった面が異なる離隔した複数箇所に設定するのは、車両衝突時等の緊急時において、装着領域の全てが破損して、表示器20が担持する簡易型救急箱の所在情報が読み取り不可能な状態に陥るのを防止するためである。もちろん、車両が小型車等である諸事情により、装着領域の設定部位が限られる場合には、いずれか1箇所の設定にならざるを得ないし、大型車で装着領域の設定自由度が高い場合には、より多くの場所に設定しても良い。
【0091】
また、表示器20は、図22に示すように、車両100の車体のみならず、簡易型救急箱10を運搬する運搬者の上着の襟等に、ピンバッジの態様で着けることも好ましい。このように、表示器20をピンバッジの態様で着けることにより、そのピンバッジの態様の表示器20を認めた通行人や救急処置者等が、より確実に、表示器20の存在を手掛かりとして、鞄等の中の簡易型救急箱10を見つけ出し得る。また、簡易型救急箱10が、AEDの設置場所、テーマパーク内の遊具、人通りの多い道に面した建物の入り口等の車外に載置される際には、載置場所の近くの壁面、ドア又は遊具自体に表示器20を装着すれ
ば、同様に簡易型救急箱10を見つけ出し得る。
【0092】
次に、本実施形態における救急システムつき説明する。
【0093】
かかる救急システムは、以上説明してきた簡易型救急箱10と、簡易型救急箱に装着され得る記録媒体60と、車体、簡易型救急箱の運搬者の衣服又は鞄、簡易型救急箱が配置されるAEDの設置場所の側の壁、簡易型救急箱が配置されるテーマパーク内の遊具、又は簡易型救急箱が配置される人通りの多い道に面した建物の壁やドア等において視認可能に装着され得る表示器20と、を備えたものである。
【0094】
かかる表示器20は、車両100の装着領域FP1及びFP2に視認可能に装着される場合には、緊急時等において車両に装着された表示器20の存在を認めた通行人や救急処置者等が、かかる車両には、応急的な救急処置に反映し得る生体情報が記録された記録媒体60、応急的な救急対処法を提示する救急対処情報を記載した解説冊子30aや提示部30b、応急処置具31や医薬品32が収容された簡易型救急箱10が装着されていることを確実に認識し得る。そして、かかる表示器20の存在を手掛かりとして、車両内の簡易型救急箱10を見つけ出し、応急処置等のために、記録媒体60における乗員への救急処置時の配慮すべき情報を考慮しつつ、解説冊子30aや提示部30bの救急処置情報をも参照して、応急処置具31や医薬品32が利用可能となる。また、運搬する際や車外に配置する際においても、表示器を組み合わせれば、簡易型救急箱を容易かつ確実に発見して、応急処置をすることができる。
【0095】
更に、救急システムが、簡易型救急箱10に加えて、簡易型救急箱10に装着され得る記録媒体60を備える場合には、車両衝突時や災害等の緊急時において、簡易型救急箱10に装着されている記録媒体60の情報を参照して、応急的な救急処置に反映し得る生体情報を考慮しつつ、更に簡易型救急箱10に収容された応急的な救急対処法を提示する救急対処情報を記載した解説冊子30aや提示部30bの情報をも必要的に参照し、簡易型救急箱10に収容された応急処置具31や医薬品32が必要的に利用可能となり、救急処置の用に供し得る。
【0096】
なお、本発明は、前述の実施形態に限定されるものではなく、構成要素の種類、個数、材料等は、同等の作用効果を奏するものに適宜置換可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能であることはもちろんである。
【産業上の利用可能性】
【0097】
以上のように、本実施形態の簡易型救急箱及びそれを用いた救急システムの構成によれば、高価かつ精緻な構成要素を用いることなく、車両衝突時や災害時等の緊急時に確実に応急的な救急処置の用に供し得るものであり、その汎用普遍的な性格から広範に救急的な応急処置の用に使用され得るものと期待される。
【符号の説明】
【0098】
10 簡易型救急箱
11 側壁部
11a 面ファスナ
12 頂壁部
12a 面ファスナ
13 底壁部
13a 面ファスナ
15 救急情報挿入部
15a 窓部
15b 挿入口
20 表示器
20a 図形
20b 文字
30a 解説冊子
30b 提示部
31 応急処置具
32 医薬品
60 記録媒体
60a 文字情報領域
60b 画像情報領域
60c 突起
VC1 乗員室
VC2 乗員室
VC3 乗員室
CP1 略中央領域
70 センタコンソール
71 面ファスナ
CP2 略中央領域
80 フロアカーペット
CP3 略中央領域
90 ルーフ内張り
100 車両
FP1 装着領域
FP2 装着領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の平面部と、前記第1の平面部を挟んで前記第1の平面部に各々連なる第2の平面部及び第3の平面部と、前記第3の平面部が前記第1の平面部に連なる方向とは直交する方向で前記第3の平面部に連なる第4の平面部と、を有する第1の板状部材と、
第1の平面部と、前記第1の平面部に連なる第2の平面部と、前記第2の平面部が前記第1の平面部に連なる方向における前記第1の平面部とは反対側で前記第2の平面部に連なる第3の平面部と、前記第3の平面部が前記第2の平面部に連なる方向における前記第2の平面部とは反対側で前記第3の平面部に連なる第4の平面部と、前記第2の平面部が前記第1の平面部に連なる方向における前記第2の平面部とは反対側で前記第1の平面部に連なる第5の平面部と、前記第2の平面部及び前記第5の平面部が前記第1の平面部に連なる方向とは直交する方向で前記第1の平面部を挟んで前記第1の平面部に各々連なる一対の融着部と、を有する第2の板状部材と、
第1の平面部と、前記第1の平面部を挟んで前記第1の平面部に各々連なる第2の平面部及び第3の平面部と、前記第3の平面部が前記第1の平面部に連なる方向とは直交する方向で前記第3の平面部に連なる第4の平面部と、を有する第3の板状部材と、
を備えて、前記第1の板状部材と、前記第2の板状部材と、前記第3の板状部材と、が折り曲げられて形成された簡易型救急箱であって、
前記第1の板状部材の前記第1の平面部と、前記第3の板状部材の前記第1の平面部と、が、対向する第1の一対の側壁部を構成し、
前記第2の板状部材の前記第2の平面部と、前記第2の板状部材の前記第5の平面部と、が、前記第1の一対の側壁部が対向する方向と直交する方向で対向する第2の一対の側壁部を構成し、
前記第2の板状部材の前記第1の平面部が、底壁部を構成し、
前記第2の板状部材の前記第3の平面部が、頂壁部を構成し、
前記第2の板状部材の前記第4の平面部が、前記頂壁部に連なって、前記第2の板状部材の前記第5の平面部から構成される前記第2の一対の側壁部の一方の全面を覆いながら係止部材により解放自在に互いに係止された状態で、外側から重なる延長壁部を構成し、
前記第1の板状部材の前記第3の平面部と、前記第3の板状部材の前記第2の平面部と、が、前記第2の一対の側壁部の前記一方に内側から各々重なり、
前記第1の板状部材の前記第2の平面部と、前記第3の板状部材の前記第3の平面部と、が、前記第2の一対の側壁部の他方に内側から各々重なり、
前記第1の板状部材の前記第4の平面部と、前記第3の板状部材の前記第4の平面部と、が、前記底壁部に内側から各々重なり、
前記第2の板状部材の前記一対の融着部が、前記第1の一対の側壁部に各々融着された簡易型救急箱。
【請求項2】
前記第1の板状部材の前記第3の平面部と、前記第3の板状部材の前記第3の平面部と、が協働して、前記第1の一対の側壁部の前記一方の全面を覆って内側から重なり、
前記第1の板状部材の前記第2の平面部と、前記第3の板状部材の前記第2の平面部と、が協働して、前記第1の一対の側壁部の他方の全面を覆って内側から重なり、
前記第1の板状部材の前記第4の平面部と、前記第3の板状部材の前記第4の平面部と、が協働して、前記底壁部の全面を覆って内側から重なった請求項1に記載の簡易型救急箱。
【請求項3】
前記係止部材の係止を解放することにより、前記第1の板状部材と、前記第2の板状部材と、前記第3の板状部材と、が、前記一対の融着部が前記第1の一対の側壁部に各々融着された状態で、展開自在である請求項1又は2に記載の簡易型救急箱。
【請求項4】
前記第1の板状部材及び前記第1の板状部材は、展開時にL字状となる同一形状を有す
る平板状部材であり、前記第3の板状部材は、展開時に矩形状となる平板状部材である請求項1から3のいずれかに記載の簡易型救急箱。
【請求項5】
更に、前記簡易型救急箱の所在情報を担持する表示器を備える請求項1から4のいずれかに記載の簡易型救急箱。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載の簡易型救急箱と、
前記簡易型救急箱の所在情報を担持する表示器と、
を備えた救急システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2011−24939(P2011−24939A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−176309(P2009−176309)
【出願日】平成21年7月29日(2009.7.29)
【出願人】(507062255)株式会社エルプエンテインターナショナル (1)