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簡易建物の補強構造及び支柱取付装置
説明

簡易建物の補強構造及び支柱取付装置

【課題】簡易建物を水平方向から支える簡易な補強構造を提供すること。
【解決手段】複数のアーチパイプから構成される骨組み構造体と、該骨組み構造体の外面に固定され、外面にシート状材を定着するための溝が形成されたシート定着具と、前記シート定着具に形成された溝に沿って押し込まれて定着された前記シート状材と、から構成される簡易建物の補強構造であって、支柱の上部に設けられた支柱取付装置が、簡易建物の外方から前記シート状材を介して前記シート定着具に取り付けられ、支柱の下部が地盤に固定される構造とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温室、サクランボハウス、畜舎、露地野菜用防虫ハウス等のアーチパイプを組み立てた簡易建物が、台風や突風等の強風によって水平方向に倒壊しないように、簡易建物を水平方向から支える補強構造及び支柱の端部を簡易建物の表面に取り付けるための支柱取付装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
本出願人は、前記簡易建物の骨組み構造について別途、簡易建物の骨組み構造を極めて特異の構造とすることで、従来簡易建物の骨組みとして使用していた炭素鋼製パイプ材料の使用総量を重量ベースで削減すること、及び、基礎工事自体を不要とするとともに組立作業を簡略化すること、によって建設コストを大幅に低減しつつ、高強度の簡易建物の骨組み構造を提供することを目的として、複数本の湾曲部材が棟木部接手によって平面視X字状正面視アーチ状に接合された骨組みユニットを1単位とする複数単位からなるアーチ材と、前記棟木部接手によって前記アーチ材の頂部において該アーチ材に接合された棟木材と、肩部接手によって前記アーチ材の肩部において該アーチ材に接合された桁材と、からなる簡易建物の骨組み構造において、前記アーチ材は、隣り合う前記骨組みユニットの前記湾曲部材同士が、前記棟木材と前記桁材との間においてX字状に交差するように配設された簡易建物の骨組み構造を提案している。
【特許文献1】特願2006−147473号
【0003】
上記簡易建物においては、アーチ材を平面視X字状正面視アーチ状に接合された骨組みユニットを1単位とする複数単位から構成するとともに、隣り合う骨組みユニットの湾曲部材同士が、棟木材と桁材との間においてX字状に交差させ、その交差部をX字接手で接合固定することにより、水平方向の強度を増強している。
しかしながら、台風が頻繁に襲来する地域や季節風が激しい地域では、なお水平方向の強度が不足して、簡易建物の骨組みが大きく変形したり、建物自体が倒壊する場合もある。
特に、簡易建物の外方から筋交いの形で簡易建物を支えて水平方向の強度を高めるためには、アーチパイプを組み立てた骨組み構造の外表面に透明合成樹脂製のシート状材を張設した簡易建物にあっては、筋交いを透明合成樹脂シートを介して骨組み構造に取り付ける必要があることから、その取付装置自体が透明合成樹脂シートを破損してしまう等、困難を伴うものであった。
【0004】
従来、図12、図13に示されるように、パイプハウスの肩ストレートパイプCに上下左右に支柱101が動く構造の支軸具102を設け、支軸具102に支柱101を備え、支柱101の先端に支柱101に対しておおむね地面方向下向きの杭103を設け、支柱101が肩ストレートパイプCに対して真上から見た状態で90度になる位置において杭103を地面に挿入した状態で栽培し、収穫時において、杭103を地面から抜き取って、吊り下げフック108を肩ストレートパイプCに係止するパイプハウス倒壊防止具が提案されている。
また、図14、図15に示されるように、門型フレーム201を間隔を置いて複数配列して骨組み構造体203とし、この骨組み構造体203にシート状材を張設して取付け、前記骨組み構造体203の左右側部に補強フレーム210をそれぞれ設け、この補強フレーム210を各門型フレーム201に連結して補強し、前記左右に相対向した補強フレーム210における前記門型フレーム201の外向き力が作用する第1中間地点B,B′と同一高さ位置間に亘って第1の補強部材205を連結して外向き力を支持し、前記左右に相対向した補強フレーム210における前記門型フレーム201の内向き力が作用する第2中間地点A,A′と同一高さ位置間に亘って第2の補強部材206を連結して内向き力を支持するようにしたシートハウスが提案されている。
【特許文献2】特開2002−238365号公報
【特許文献3】特開2006−296409号公報
【0005】
特許文献2の支柱101や、特許文献3の左右に相対向した補強フレーム210、第1の補強部材205及び第2の補強部材206は、パイプハウス内に設置されていることから、これら補強構造は、作物の栽培面積を減少するだけでなく、栽培作業に支障をきたす。
また、特許文献3に記載されたシートハウスは、補強のための部材が水平方向に延びているので、作業者が立ち姿勢で栽培作業を行えるようにするために、シートハウスの高さを相当高くして大型化する必要があり、また、補強のための部材の使用量が極めて多い。このため、シートハウス建設の初期費用が嵩むだけでなく、シートハウス空間が巨大化して温室効果を低減する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
以上の実状に鑑み、本発明は前記従来技術の欠点を克服することを課題とし、簡易建物を水平方向から支える簡易な補強構造及び支柱の端部を簡易建物の表面に取り付けるための簡易な支柱取付装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る発明は、間隔をおいて設置された複数のアーチパイプから構成される骨組み構造体と、該骨組み構造体の外面に固定され、外面にシート状材を定着するための溝が形成されたシート定着具と、前記シート定着具に形成された溝に沿って押し込まれて定着された前記シート状材と、から構成された簡易建物の補強構造であって、支柱の上部に設けられた支柱取付装置が、簡易建物の外方から前記シート状材を介して前記シート定着具に取り付けられるとともに、支柱の下部が地盤に固定され、簡易建物の水平荷重が地盤に伝達される簡易建物の補強構造とした。
請求項2に係る発明は、間隔をおいて設置された複数のアーチパイプから構成される骨組み構造体と、該骨組み構造体の外面に固定され、外面にシート状材を定着するための溝が形成されたシート定着具と、前記シート定着具に形成された溝に沿って押し込まれて定着された前記シート状材と、から構成された複数棟の簡易建物の補強構造であって、支柱の両端部に設けられた支柱取付装置が、隣り合う簡易建物の外方から前記シート状材を介して前記シート定着具に取り付けられ、簡易建物の水平荷重が隣り合う簡易建物の骨組み構造体に相互に伝達される簡易建物の補強構造とした。
請求項3に係る発明は、前記支柱取付装置が、前記支柱とは別体に構成されていることを特徴としている。
請求項4に係る発明は、前記支柱取付装置が、支柱の端部を固定する支柱固定部と、該支柱固定部に回動自在に枢着され、シート状材の上からシート定着具に係止される係止部とから構成されていることを特徴としている。
請求項5に係る発明は、前記簡易建物が、既設のものであることを特徴としている。
請求項6に係る発明は、支柱の端部を固定する支柱固定部と、該支柱固定部に回動自在に枢着され、シート状材の上からシート定着具に係止される係止部とから構成された支柱取付装置である。
請求項7に係る発明は、前記支柱取付装置の係止部は、先端が自由端とされて相互に離間移動する2枚の係止板からなり、互いに離間することにより前記シート定着具の溝の奥部に進入して係止されることを特徴としている。
請求項8に係る発明は、前記係止板の先端部を前記シート状材を損傷しないための緩衝材にて被覆したことを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
本発明の請求項1に係る簡易建物の補強構造は、支柱の上部に設けられた支柱取付装置を、簡易建物の外方からシート状材を介してシート定着具に取り付け、支柱の下部を地盤に固定したから、アーチパイプを組み立てた骨組み構造の外表面に透明合成樹脂シートを張設した簡易建物であっても、簡易建物の外方から筋交いの形で簡易建物を支えて水平方向の強度を高めることができる。
このため、支柱が簡易建物の外に位置して建物内に位置しないから、作物の栽培面積を減少することなく、栽培作業に支障をきたすこともない。また、シートハウスを大型化する必要がないばかりでなく補強のための部材の使用量を節約して、シートハウス建設の初期費用を低減することができる。
また、簡易建物の水平荷重は支柱を通じて地盤に伝達され、地盤からの支持力によって簡易建物の骨組み構造の剛性を高めて、簡易建物を側方向と棟方向から支える簡易な補強構造を提供することができる。
本発明の請求項2に係る簡易建物の補強構造は、前記請求項1に係る発明の効果に加え、支柱の両端部に設けられた支柱取付装置を、隣り合う簡易建物の外方から前記シート状材を介して前記シート定着具に取り付けるので、簡易建物の水平荷重が隣り合う簡易建物の骨組み構造体に相互に伝達され、風下に位置する簡易建物の骨組み構造全体を風上に位置する簡易建物の補強構造とすることができる。
本発明の請求項3に係る簡易建物の補強構造は、支柱取付装置を支柱とは別体に構成したから、支柱を簡単に取り付けることができ、補強構造の製造コストを低減することができる。
本発明の請求項4に係る簡易建物の補強構造は、支柱取付装置を、支柱の端部を固定する支柱固定部と、該支柱固定部に回動自在に枢着され、シート状材の上からシート定着具に係止される係止部とから構成したから、簡単で取扱い容易な構造とすることができる。
本発明の請求項5に係る簡易建物の補強構造は、簡易建物が既設のものであるから、新設の簡易建物に限らず既設の簡易建物にも適用することができ、漸次強度が低下した簡易建物の強度を回復・増強することができる。
本発明の請求項6に係る支柱取付装置は、支柱の端部を固定する支柱固定部と、該支柱固定部に回動自在に枢着され、シート状材の上からシート定着具に係止される係止部とから構成したから、アーチパイプを組み立てた骨組み構造の外表面に透明合成樹脂シートを張設した簡易建物であっても、簡易建物の外方から筋交いの形で簡易建物を支える支柱を簡単に取り付けることができ、簡易建物の水平方向の強度を容易に高めることができる。
本発明の請求項7に係る支柱取付装置の係止部は、先端が自由端とされて相互に離接移動する2枚の係止板からなり、互いに離間することにより前記シート定着具の溝の奥部に進入して係止されるようにしたから、支柱取付装置を簡単な操作でシート定着具に固定することができる。
本発明の請求項8に係る支柱取付装置は、前記係止板の先端部を緩衝材にて被覆したから、支柱取付装置をシート定着具にシート状材を損傷することなく堅固に固定することができる。
本発明の補強構造及び支柱取付装置は、アーチパイプを単純に複数平行して設置した従来周知の簡易建物に適用することができ、この場合の補強効果は著しく大きいものとなる。
【実施例】
【0009】
図1は、簡易建物の一例としての骨組み構造の斜視図、図2は、同側面図、図3は、簡易建物の骨組みの骨組みユニットを示す図である。図4は、棟木材とアーチ材を接合する3層交差管接手を示す図面、図5は、本発明に係るアーチ材同士をX字状に接合するX字接手を示す図、図6は、水平の桁材と垂直からやや傾いたアーチ材を接合する十字接手を示す図である。図7は、本発明の簡易建物の補強構造の実施例を示す正面図であり、(a)は単一棟、(b)は複数棟の例を示す。図8は、簡易建物の骨組み構造体にシート状材を取り付けるためのシート定着具を示す拡大斜視図である。図9は、図7(a)の円内に示す拡大図をさらに拡大して示す図である。図10は、本発明の支柱取付装置の斜視図である。図11は、シート定着具の別の実施例を示す斜視図である。
【0010】
先ず、図1乃至図6を参照して、簡易建物の骨組み構造体について説明する。
1は、一般構造用炭素鋼管から組成された簡易建物の骨組み構造を表わすものであり、通常この骨組みには、ビニル系、ポリオレフィン系、フッ素系等のフィルム、シート、防虫ネット等のシート状材が被覆されて、温室、サクランボハウス、畜舎、露地野菜用防虫ハウス、倉庫等の簡易な建物として利用される。
【0011】
2は、正面視左右対称形状の湾曲部材である2本の湾曲した鋼管パイプ2a、2bを公知の接手によって接合した逆U字状の端部アーチ部材であり、簡易建物の棟方向両端部において、梁間方向に配されている。この実施例では、所定の間隔をあけて2本の端部アーチ部材2が、建物両端部にそれぞれ設置されて端部アーチ材を構成しているが、その数は1本でも、3本でもよい。
【0012】
3は、図3に示されるように、平面視X字状に、正面視アーチ状となるように、図4に示される棟木部における3層交差管接手11によって接合された骨組みユニットである。
この棟木部における3層交差管接手11は、上段に棟木材5に固定される棟木固定部12と、該棟木固定部の下方にボルト等の固定具15にて連結され、後述する4本の鋼管パイプの一端を開口部から挿入固定して立体的に交差接合するX字接続管16とから構成されている。
棟木固定部12は、棟木5に固定される半円形湾曲板13と、X字接続管16と固定具15にて回動自在に一体化された取付板14とから構成されており、鋼板を折曲げ加工して形成されたものである。
半円形湾曲板13は、正面視逆U字状を呈し、側板の下端部には内方及び上方へ折曲げられて溝131が形成されている。この溝の底面は、図5において手前側ほど低くされていて、いわばテーパー状溝によるクサビが構成されている。そしてこの溝131には後述する取付板14の脚部142の突起143が係合する係合凹部132が形成されている。
取付板14は、平板の両端に下方に延びる脚142を有する断面コ字状の板材で、該脚の中央部に上記係合凹部132に係合する突起143が設けられている。取付板14の長手方向に沿って棟木5を収容する収容部141が凹設されており、その中央に固定具15の頂部が収容部141底面と面一とされて臨んでいる。
X字接続管16は、2本の接続管17、18がX字状に重なって立体的に交差しており、上記取付板14とともにボルト、ナット等の固定具15にて一体化されている。
【0013】
骨組みユニット3は、上述の端部アーチ材用の鋼管パイプ2a、2bと同じ高さで、正面視したときの幅がやや広く、平面視して斜めに配置したときに端部アーチ材用の鋼管パイプの形状と同じになる、正面視左右対称形状の4本の湾曲した鋼管パイプ3a、3b、3c、3dの先端を、上述のX字接続管16に挿入固定して交差状に組み立てられている。
このとき、X字接続管16には取付板14が固定されているので、棟木5を挟持した状態で上記半円形湾曲板13の溝134に取付板14の脚141を当接し、半円形湾曲板13を棟木5に沿って滑らせて、棟木5と骨組みユニット3とを接合する。
このようにして組み立てられた骨組みユニット3は、平面視してX字状を、正面視してアーチ状を呈する。
この実施例では、4本の湾曲した鋼管パイプ3a、3b、3c、3dにて骨組みユニット3を構成したが、この実施例に限らず、それ自体アーチ形状をした2本の湾曲部材を上記のものとは異なるX字接手により立体的に交差した状態に接合してもよい。
【0014】
4は、図1に示されるように、連続的に設置されたものの一つ置きのX字状骨組みユニット3に取り付けられるタイバーである。このタイバーは、骨組みユニット3の平面視右側に位置する湾曲部材3a、3dを連結している。
なお、タイバー4の取り付け方については、全ての骨組みユニット3に取り付けてもよい。また、骨組みユニット3の左側、あるいは両側に取り付けることも可能である。要するに、風の強さや降雪量等の地域特性を考慮して決定すればよい。
5は、上記端部アーチ材と上記アーチ材の頂部に接合された棟木、6、7は、該両アーチ材の肩部、柱部下端部に接合された桁材、裾材である。
【0015】
以下、上述の端部アーチ材、アーチ材、棟材、桁材、裾材の具体的な設置例について説明する。
間口6m、地表面より桁材までの柱高2mの端部アーチ部材2aは、簡易建物の棟方向両端に1本ずつ、その内側に0.45〜0.55m間隔を設けてもう1本ずつ建て込まれ、柱部下端部が土中に挿入されて立設され、端部アーチ材2を構成している。
その中間には、複数単位の骨組みユニット3が連続的に0.8〜0.9mスパンで建て込まれているが、図1に示されるように、隣り合う骨組みユニット3、例えば図2に示される3の1と3の2の湾曲部材同士3aと3c、3dと3bは、棟木材5と桁材6との間において、X字接手21によって重なって交差するように配設され、また、一つ置きの骨組みユニット3、例えば3の1と3の3の湾曲部材の柱部下端同士が、略近接して位置するように配設され、その下端部が土中に挿入されている。
【0016】
図5を参照して、X字接手21について説明する。
図5(b)は、パイプ3a、3cを実装した平面図である。
X字接手21は、短冊状の鋼板を折曲加工して形成されていて、短手方向に対して所定角度である20°傾斜した溝状受入部23を有している同一形状の2枚の鋼板22、22を、該溝状受入部23、23同士を対向させて重合して、図示しないボルト、蝶ナット等の固定具にて固定されている。
前記2枚の鋼板のうちの一方22の1端部には円孔24が、他端部には前記円孔24を中心とする円弧に沿った長孔26が穿設されている。
そして、前記2枚の鋼板のうちの他の鋼板22の両端部には、前記円孔24と前記長孔26に対応する位置にそれぞれ円孔25,27が穿設されている。
円孔27は、鋼管パイプ3a、3cが40度の角度で交差するとき、長孔26の中心に位置するよう設定されている。
一方の鋼板22は、他の鋼板22に対して円孔24、25を貫通するボルト等の固定具を中心として±5度程度回動し得るから、鋼管パイプ3a、3c同士の交角が多少変化しても、鋼板22を相互に回動することにより微調整可能である。
【0017】
肩部における十字接手31について、図6を参照して説明する。
図6(a)は正面図、図6(b)は平面図、図6(c)は側面図である。
この肩部における十字接手31は、前記アーチ材2、3の肩部及び裾部において、桁材6または裾材7と該アーチ材とを、アーチ材がやや傾斜した十字状に接合する接手である。肩部における十字接手と裾部における接手とは構造が同一であるので、以下、肩部における十字接手について説明する。
十字接手31は、短冊状の鋼板を折曲加工して形成されるもので、水平方向に伸びる桁材6または裾材7を収容する半円形湾曲板32と、その側板35に形成された開口部33に挿通され、アーチ材2または端部アーチ材を収容するU字状係合片34と、半円形湾曲板32の側板下端に形成された内方折曲片37と鋼管パイプの間隙に打ち込まれる楔片38とから構成されている。
半円形湾曲板32に形成された開口部33の幅は、上記U字状係合片34の幅より大きくされて、開口部33の上縁には、U字状係合片34の端縁を直交方向と±10度の範囲で回動して、任意の角度で受け入れる係合凹部39が刻設されている。
また、U字状係合片34の上縁部には、桁材等6(7)を受け入れる円弧状凹部40が設けられている。
桁材6と裾材7は、この肩部接手31と同様の構造の裾部接手により、上記アーチ材2、3に固定される。
【0018】
以上の説明から明らかなように、この簡易建物の骨組み構造によれば、棟部において、4本の鋼管パイプをX字接続管16にて一体化して骨組みユニット3を構成し、この骨組みユニット3を半円形湾曲板13と取付板14にて棟木5に固定し、棟木5と桁材6の中間部位において、X字接手21にて隣り合う骨組みユニットのアーチ材同士を接合して、肩部において1つ置きに隣り合う骨組みユニット3のアーチ材同士を近接させて桁材6と接合して、屋根面を構成している。
屋根面の棟木5と桁材6の間では、棟木5を上弦材とし桁材6を下弦材とするトラスが二重に配置された構造となっており、強度的に優れた架構を構築することができる。
【0019】
この簡易建物の骨組み構造によれば、基本的にはその強度面において不足することはないが、台風が頻繁に襲来する地域や季節風が激しい地域では、なお水平方向の強度が不足して、簡易建物の骨組みが大きく変形したり、建物自体が倒壊する場合もあり得る。
なお、以上の説明においては、簡易建物1の実施例として、複数本の湾曲部材が棟木部接手によって平面視X字状正面視アーチ状に接合された骨組みユニットを1単位とする複数単位からなるアーチ材と、前記棟木部接手によって前記アーチ材の頂部において該アーチ材に接合された棟木材と、肩部接手によって前記アーチ材の肩部において該アーチ材に接合された桁材と、からなる簡易建物の骨組み構造において、前記アーチ材は、隣り合う前記骨組みユニットの前記湾曲部材同士が、前記棟木材と前記桁材との間においてX字状に交差するように配設された骨組み構造を示したが、骨組み構造としては、アーチパイプを単純に複数平行に設置した従来周知のものでもよい。
この場合には、骨組み構造が元々強度面で不足することが多いから、その補強効果は著しく大きい。
また、本願発明の補強構造は、新設の簡易建物に限らず既設の簡易建物にも適用することができ、漸次強度が低下した簡易建物の強度を回復・増強することができる。
【0020】
次いで、本発明の簡易建物の補強構造及び支柱取付装置について、図7乃至図11を参照して詳細に説明する。
図7(a)に本発明の単一棟の簡易建物の補強構造を、図7(b)に複数棟の簡易建物の補強構造を正面視して示す。
単一棟の簡易建物1を補強する場合は、支柱52の上端を支柱取付装置50にて、簡易建物1のシート定着具51に固定するとともに、その下端を地盤に挿入固定する。
複数棟の簡易建物1を補強する場合は、並列する棟のうち最も外方に位置する簡易建物1の外側については、上記した単一棟の補強構造と同じであるが、隣り合う簡易建物の間については、対向するシート定着具51、51の間に、支柱取付装置50が両端部に設けられた支柱52を、水平状に掛け渡して取り付け固定する。
図示を省略しているが、この支柱52は、簡易建物の妻面に取付けて棟方向の補強を行うこともできる。
【0021】
この簡易建物1のアーチパイプ2、3の肩部には、図8に示されるように棟方向にシート定着具51が取付金具62等にて固定されている。シート定着具51は、図8、図9に示されるように、その断面形状が外向きの蟻溝形とされている。
この断面形状は、支柱取付装置50の拡開翼57、58が開かれたとき、その先端が溝内に進入可能であればよく、蟻溝形に限られない。
【0022】
シート状材は、ビニール系、ポリオレフィン系、フッ素系等のフィルム、シート状のものに限られず、防虫ネット等の網状物でもよい。
シート状材を簡易建物1の外面に取り付けられたシート定着具51に定着するには、図11に示すように、シート定着具51の上にシート状材63を配置した後、軟質塩化ビニール製の中央連結部によって連結された塩化ビニール製のW形に折曲されたシート状材止め材64によってシート定着具51の溝内にシート状材63を押し込み、次に該シート状材止め材64の長手方向に多数配設された展張片65をそれぞれ立ち上げてシート状材止め材64を溝内で展張させることによってシート状材63を溝内に挾持した後、該展張片65を押し倒しながら定着用波形線材66を装着し、該定着用波形線材66の弾性力にてシート状材止め材64を介して溝内の両側にシート状材63を挾圧定着する。
このような構成にすると、シート状材63の表面にシート状材止め材64が位置するから、支柱取付装置50によるシート状材63の破損をさらに確実に防止することができる。
なお、上記シート状材止め材64を省略して、シート状材63のみを直接シート定着具51に定着用波形線材66を用いて定着するものとしてもよい。
【0023】
図9、図10を参照して、支柱取付装置50について説明する。
支柱52の下端は、地盤に挿入固定されるが、その上端には、支柱取付装置50が取り付けられる。
支柱取付装置50は、支柱の端部を固定する支柱固定部と、該支柱固定部に回動自在に枢着され、シート状材の上からシート定着具に係止される係止部とから構成される。
この実施例では、支柱固定部は、支柱52の一端または両端に取り付けられる抱持部材53と台座取付片54とからなり、また、係止部は、コ字状台座55と拡開翼57、58とから構成されている。
抱持部材53は支柱52の外周を取り巻くように、支柱52と同一の形状をした管状体で、その一部は切り欠かれて端縁から平行して台座取付片54が突出形成されている。
【0024】
コ字状台座55は平面視コ字状をしていて、2本の脚部の間が中央連結片56にて連結されている。
コ字状台座55の中央連結片56の脚部のない辺縁には、2枚の拡開翼57、58が脚部と反対方向に、水平に延びている。
この拡開翼57、58の先端は自由端とされ、この実施例においては、シート状材63の損傷を防止するためのゴム、プラスチック等からなる緩衝材61にて被覆されている。
【0025】
コ字状台座55は、ボルト60により支柱固定部の台座取付片54に回動自在に枢着されている。
コ字状台座55は、図9においては台座取付片54の内側に、図10においては54の外側に枢着されているが、どちらの形態を採用しても構わない。
更に、拡開翼57、58は図10に示された態様に限られず、上下逆にしてボルト60の頭を上方位置とすることも可能である。
【0026】
59は、2枚の拡開翼57、58を相互に離接移動、すなわち開閉するための開閉用ボルトである。67は、拡開翼57、58の強度を増強するための膨出部である。
図示を省略しているが、上側の拡開翼57の開閉用ボルト59の先端が当接する部位には、該先端が回動自在で当接位置がずれないための有底のバカ孔が穿設されている。
一方、下側の拡開翼58の中央部には、開閉用ボルト59が螺入するための雌ネジが切られている。
以上の説明において、支柱取付装置50は、製作上の容易性や取付作業の簡易性から、支柱52と別体のものとしているが、支柱52と一体のものとしてもよい。
また、拡開翼57、58の外面形状をシート定着具の溝の内面の形状と近似する形状とすれば、支柱取付装置をシート定着具にシート状材をさらに損傷することなく堅固に固定することができる。
【0027】
支柱取付装置50は軟鉄から製作されている。
抱持部材53と台座取付片54は、矩形板片をプレス加工して折曲形成される。
また、コ字状台座55と拡開翼57、58は、平面視十字形の板片のうち、鍛造により表面に膨出部67が形成された左右方向に延びる板片57、58が、該膨出部67が対向する方向に中央連結片56を挟んでプレス加工にて折曲形成され、上下方向に延びる平板状の板片55、55が、前記板片57、58の折り曲げ方向とは逆側に、中央連結片56を挟んでプレス加工にて折曲形成される。
【0028】
この支柱取付装置50を、簡易建物1の外方からシート状材63を介してシート定着具51に取り付ける方法について説明する。
先ず、段落0022にて前述した要領で、図11に示すように、簡易建物1の外面にシート状材63をシート定着具51に定着する。
別途、支柱52の他端を地盤に打ち込むか、対向する隣の簡易建物1のシート定着具51に取り付けておき、支柱52の一端に支柱取付装置50を、位置を調整しながら取付固定する。
次いで、開閉用ボルト59を後退させて、2枚の拡開翼57、58を近づけた状態で、簡易建物1のシート定着具51の蟻溝内に望ませ、そこで、開閉用ボルト59を工具を使用して前進させる。
すると、2枚の拡開翼57、58は、互いに離間することによりシート定着具51の蟻溝の奥部に進入して行って、支柱取付装置50はシート定着具51に係止される。
【0029】
支柱52の一端が地中に埋設された形態にあっては、支柱52の下部が地盤に固定され、簡易建物の水平荷重が地盤に伝達され、地盤からの支持力によって簡易建物の骨組み構造の剛性を高めて、簡易建物を水平方向から支える簡易な補強構造となる。
また、支柱52の両端部に設けられた支柱取付装置50、50を、隣り合う簡易建物の対向するシート定着具51、51に取り付ける形態にあっては、簡易建物の水平荷重が隣り合う簡易建物の骨組み構造体に相互に伝達され、風下に位置する簡易建物の骨組み構造全体を風上に位置する簡易建物の補強構造とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】簡易建物の骨組み構造の斜視図である。
【図2】簡易建物の骨組み構造の側面図である。
【図3】骨組み構造の1単位の骨組みユニットの斜視図である。
【図4】3層交差管接手を示す図面である。
【図5】アーチ材同士をX字状に接合するX字接手を示す図である。
【図6】水平の桁材と垂直からやや傾いたアーチ材を接合する十字接手を示す図である。
【図7】本発明の実施例を示す正面図であり、(a)は単一棟、(b)は複数棟の例を示す。
【図8】簡易建物の骨組み構造体にシート状材を取り付けるためのシート定着具を示す斜視図である。
【図9】図7(a)の円内に示す拡大図をさらに拡大して示す図である。
【図10】本発明の支柱取付装置の斜視図である。
【図11】シート定着具の別の実施例を示す斜視図である。
【図12】従来例1を示す斜視図である。
【図13】従来例1の支柱を示す拡大斜視図である。
【図14】従来例2を示す斜視図である。
【図15】従来例2を示す正面図である。
【符号の説明】
【0031】
1 簡易建物の骨組み構造
2 端部アーチ材
3 アーチ材
4 タイバー
5 棟木材
6 桁材
7 裾材
9 谷樋
11 3層交差管接手
12 棟木固定部
15 固定具
16 X字接続管
21 X字接手
22 鋼板
23 鋼板
31 十字接手
32 半円形湾曲板
34 U字状係合片
38 楔片
50 支柱取付装置
51 シート定着具
52 支柱
53 抱持部材
54 台座取付片
55 コ字状台座
56 中央連結片
57 拡開翼(上側)
58 拡開翼(下側)
61 緩衝材
64 シート状材止め材
66 定着用波形線材
67 膨出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
間隔をおいて設置された複数のアーチパイプから構成される骨組み構造体と、
該骨組み構造体の外面に固定され、外面にシート状材を定着するための溝が形成されたシート定着具と、
前記シート定着具に形成された溝に沿って押し込まれて定着された前記シート状材と、
から構成された簡易建物の補強構造であって、
支柱の上部に設けられた支柱取付装置が、簡易建物の外方から前記シート状材を介して前記シート定着具に取り付けられるとともに、支柱の下部が地盤に固定され、簡易建物の水平荷重が地盤に伝達される簡易建物の補強構造。
【請求項2】
間隔をおいて設置された複数のアーチパイプから構成される骨組み構造体と、
該骨組み構造体の外面に固定され、外面にシート状材を定着するための溝が形成されたシート定着具と、
前記シート定着具に形成された溝に沿って押し込まれて定着された前記シート状材と、
から構成された複数棟の簡易建物の補強構造であって、
支柱の両端部に設けられた支柱取付装置が、隣り合う簡易建物の外方から前記シート状材を介して前記シート定着具に取り付けられ、簡易建物の水平荷重が隣り合う簡易建物の骨組み構造体に相互に伝達される簡易建物の補強構造。
【請求項3】
前記支柱取付装置は、前記支柱とは別体に構成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項2のいずれかに記載された簡易建物の補強構造。
【請求項4】
前記支柱取付装置は、支柱の端部を固定する支柱固定部と、該支柱固定部に回動自在に枢着され、シート状材の上からシート定着具に係止される係止部とから構成されていることを特徴とする請求項3に記載された簡易建物の補強構造。
【請求項5】
前記簡易建物が、既設のものであることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載された簡易建物の補強構造。
【請求項6】
支柱の端部を固定する支柱固定部と、該支柱固定部に回動自在に枢着され、シート状材の上からシート定着具に係止される係止部とから構成された支柱取付装置。
【請求項7】
前記係止部は、先端が自由端とされて相互に離間移動する2枚の係止板からなり、互いに離間することにより前記シート定着具の溝の奥部に進入して係止されることを特徴とする請求項6に記載された支柱取付装置。
【請求項8】
前記係止板の先端部は、前記シート状材を損傷しないための緩衝材が被覆されていることを特徴とする請求項7に記載された支柱取付装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2008−220257(P2008−220257A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−62661(P2007−62661)
【出願日】平成19年3月12日(2007.3.12)
【出願人】(000218362)渡辺パイプ株式会社 (20)
【Fターム(参考)】