説明

簡易操作型無線データ送受信システム及び簡易操作型無線データ送受信プログラム

【課題】ユーザが煩雑な通信手順設定を行わないで、簡単で直感的に画像フォルダを送信できる簡易型データ無線送受信システムを提供する。
【解決手段】ユーザは、第1回目送信操作として携帯電子装置2の送信アイコンをタッチし、第2回目送信操作としてICカード3を携帯電子装置2に近接タッチする。CPUは、Wi−Fi基礎接続データ25及びWi−Fi通信接続条件データ26を生成する。CPUは、簡単伝送SSIDの有無を検知してアクセスポイント指定を行う。ユーザが第3回目送信操作として、ICカード3で据置電子装置4を近接タッチすると、CPUはクライアント設定を行う。CPUは、第4回目送信操作が行われると画像フォルダを送信する。これにより、ユーザは、簡単かつ直感的な操作により、携帯電子装置2から据置電子装置4へ所望のデータを極めて容易に送信することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザ操作検出部、データ記憶部、主記憶部、制御部及び無線送受信部を有する複数の電子装置間でデータを、安全、かつ判りやすい簡単な操作で無線送受信することができる簡易操作型無線データ送受信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、使いやすいタッチパネルを主要な操作信号入力手段とする携帯電話、デジタルカメラ、携帯ゲーム機、ノートパソコン、タブレットパソコン等の携帯電子装置が急速に普及し、これらの電子装置間でデータが無線で送受信される場合が増加している。また、ユーザが、タッチパネルの他に、加速度センサ、音声認識装置、近接通信装置等のユーザ動作を検出する各種の操作入力手段を利用することにより、複雑なキー操作やメニュー選択操作をせず、直感的な簡単操作でデータを他の機器へ伝送することができる電子装置が提案されている。
【0003】
例えば、携帯端末から電子掲示板にデータを転送する際、画面上の外縁部にデータアイコンをドラッグアンドドロップすることでデータを転送する技術が知られている(特許文献1参照)。
【0004】
また、例えば、2台の携帯電子装置に、それぞれ第1通信部(近接通信部)と第2通信部(BT通信部)の2種類の通信手段を持たせ、第1通信部から第2通信部へ切り替えてデータを送受信することによる無線通信方法が提案されている(特許文献2参照)。
【0005】
さらに、例えば、2台の携帯電子装置をお互いにぶつけることによるショック(Bump)をセンサに検知させることにより、データを送信する技術が知られている(非特許文献1参照)。
【0006】
しかしながら、特許文献1に示される技術においては、画面上にあるデータアイコンをドラッグするものであり、画面の小さい携帯電子装置においては、誤って多数のデータアイコンを同時にドラッグしてしまう問題があった。
【0007】
また、特許文献2に示される技術においては、近接通信での相互データの交換の後、広帯域無線通信へ切り替え要求応答するなど複雑な通信手順を必要とする問題があった。
【0008】
また、非特許文献1に示される技術においては、2台の携帯電子装置をぶつけることから近接して使用せざるを得ないため、2台の携帯電子装置が遠く離れている場所や3台以上の携帯電子装置に対しては、データを送信できないという問題があった。
【0009】
さらに、特許文献1及び2並びに非特許文献1に示される技術においては、ユーザにとって煩雑な通信接続条件の設定入力が必要となるため、送信から受信までの総合的な簡単操作が実現できないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2008−257442号公報
【特許文献2】特開2008−160856号公報
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】“bump TECHNOLOGIES”[平成23年7月15日検索]、インターネット<URL:http:/bu.mp/faq>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたものであり、無線ネットワークで結ばれた複数の電子機器間でデータを伝送する際、ユーザが操作回数の少ない判りやすい直感操作で、安全確実にデータを送信することができるデータ送受信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の目的を達成するために本発明は、第1電子装置と第2電子装置からなる複数の電子装置の間で、Wi−Fiインフラストラクチャモードの無線通信方式により電子データを送受信する簡易操作型無線データ送受信システムにおいて、電子装置は、ユーザの操作を検出するユーザ操作検出部と、電子データを記憶するデータ記憶部と、電子データのタイトル又は電子データに関連付けられたアイコンを表示するデータ表示部と、装置全体を制御する制御部と、装置全体を制御する制御プログラムを記憶する主記憶部と、無線により電子データを送受信するWi−Fi無線送受信部と、第1電子装置及び第2電子装置で共通に使用されるWi−Fi基礎接続データ又はWi−Fi通信接続条件データを受信する近接通信データリーダ/ライタ部と、を備え、第2電子装置のWi−Fi無線送受信部は、Wi−Fi通信接続条件データに含まれる無線ネットワーク識別子(SSID)を第1電子装置に対して発信し、第1電子装置のWi−Fi無線送受信部は、無線ネットワーク識別子を受信し、第2電子装置をクライアント装置に指定するためのクライアントIPアドレスを、第2電子装置に発信し、電子装置のユーザ操作検出部は、データ表示部に表示されたタイトル又はアイコンがユーザによって選択される操作と、タイトル又はアイコンに関連付けられた電子データを送信する送信操作とが実行されたことを検出し、電子装置の制御部は、ユーザ操作検出部が選択操作及び送信操作を検出したことに応じて、Wi−Fi無線送受信部に電子データを送受信させる。
【0014】
本発明によれば、ユーザが第1電子装置と第2の電子装置間で電子データの送受信操作を行う際、制御部は、近接通信リーダ/ライタで取得したSSIDを使用してWi−Fiネットワークのクライアント設定を自動的に行う。また、ユーザ操作検出部が送信されるべき電子データの選択操作と送信操作を検知したこと応じて、電子データは送受信される。これにより、ユーザは、パスワード入力等の煩雑な通信条件を設定することなく、操作回数が極めて少なく、装置を近接させる簡単かつ直感的な操作で、安全に電子データを送受信することができる。
【0015】
また、本発明は、上述の改良された発明において、制御部は、Wi−Fi無線送受信部が無線ネットワーク識別子を受信したか否かを検知し、Wi−Fi無線送受信部が所定時間内に無線ネットワーク識別子を検知しなかったことに応じて、電子装置をアクセスポイント装置に指定する。
【0016】
本発明によれば、電子装置の制御部は、SSIDの存在の有無を検知して、電子装置に対してアクセスポイントの指定を行う。これにより、多数の電子装置の中で、最初にシステムを起動した電子装置をアクセスポイント装置に設定することができ、ネットワークシステムに混乱が生じすることを回避することができる。
【0017】
また、本発明は、上述の改良された発明において、NFC・IDデータを記憶するICカードをさらに備え、ICカードは、第1電子装置及び第2電子装置から分離された単体として形成されるか、第1電子装置又は第2電子装置と一体に形成され、近接通信データリーダ/ライタ部は、ICカードが近接させられたことに応じて、ICカードからNFC・IDデータを取得し、制御部は、近接通信データリーダ/ライタ部が取得したNFC・IDデータに基づいてWi−Fi通信接続条件データを生成する。
【0018】
本発明によれば、ユーザがICカードを電子装置に近づけることにより、電子装置は、自動的にWi−Fi無線ネットワークに接続することができる。
【0019】
また、本発明は、上述の改良された発明において、ユーザ操作検出部は、電子装置が動かされたことによる加速度を検知して加速度出力信号を出力する加速度センサをさらに備え、制御部は、加速度センサによって出力された加速度出力信号の振幅値、加速度出力信号が出力された回数、又は加速度出力信号が出力された時間間隔に基づいて、Wi−Fi無線送受信部に電子データを送信させる。
【0020】
本発明によれば、電子装置は、送信操作時に振り動かすように振動させられる。ユーザは、電子装置を振動させるか又は投げるような簡単かつ直感的な操作で、アクセスポイント装置とクライアント装置の間で電子データを送受信させることができる。
【0021】
また、本発明は、上述の改良された発明において、ユーザ操作検出部は、ユーザが発声する音を検知するマイクと、音を検知して音声出力信号若しくは音声記号として出力し、又は音についての声紋を認識する音声処理部とをさらに備え、制御部は、音声処理部によって出力された音声出力信号の波形若しくは周波数、又は音声記号若しくは声紋に基づいて、Wi−Fi無線送受信部に電子データを送信させる。
【0022】
本発明によれば、ユーザによって、電子装置のマイクに音が発声される。これにより、ユーザは、電子装置のマイクに向かって送信操作時に発声するだけでアクセスポイント装置とクライアント装置の間で電子データを送受信させることができる。
【0023】
また、本発明は、上述の改良された発明において、電子装置は、Wi−Fi通信接続条件データを記憶するNFCデータ記憶部を具備するICカードをさらに備え、第1電子装置の制御部は、第1電子装置に対して、電源を供給するための操作、電子データを送受信するための操作、又は第1電子装置をアクセスポイント装置に指定する操作のいずれかが実行されたことに応じて、第1電子装置をアクセスポイント装置に指定し、第2電子装置の近接通信データリーダ/ライタ部は、第1電子装置のNFCデータ記憶部に記憶されたWi−Fi通信接続条件データを受信する。
【0024】
本発明によれば、ユーザの意志によって、第1電子装置がアクセスポイントに設定された場合、第1電子装置に近接させられた第2電子装置は、近接通信データリーダ/ライタ部によって第1電子装置のNFCデータ記憶部にあるWi−Fi通信接続条件データを自動的に受信する。これにより、ユーザは、簡単にアクセスポイント装置及びクライアント装置の設定を行うことができる。
【0025】
また、本発明は、上述の改良された発明において、電子装置として、第3電子装置をさらに備え、第1電子装置乃至第3電子装置は、Wi−Fi通信接続条件データを記憶するNFCデータ記憶部を具備するICカードを備え、第3電子装置の近接通信データリーダ/ライタ部は、第1電子装置のNFCデータ記憶部に記憶されたWi−Fi通信接続条件データを受信し、第2電子装置の近接通信データリーダ/ライタ部は、第3電子装置のNFCデータ記憶部に記憶されたWi−Fi通信接続条件データを受信する。
【0026】
本発明によれば、第3電子装置の制御部は、近接通信によって第1電子装置に記憶されているWi−Fi通信条件データを第2電子装置に受信させる。ユーザはバトンタッチのような感覚で、第1電子装置及び第2電子装置間のデータの送受信を行うことができる。
【0027】
また、本発明は、上述の改良された発明において、第1コンピュータと第2コンピュータからなる複数のコンピュータ間で、Wi−Fiインフラストラクチャモードの無線通信方式により電子データを送受信する簡易操作型無線データ送受信プログラムにおいて、コンピュータは、ユーザの操作を検出するユーザ操作検出部と、電子データを記憶するデータ記憶部と、電子データのタイトル又はアイコンを表示するデータ表示部と、装置全体を制御する制御部と、装置全体を制御する制御プログラムを記憶する主記憶部と、無線により電子データを送受信するWi−Fi無線送受信部と、第1コンピュータ及び第2コンピュータで共通に使用されるWi−Fi基礎接続データ又はWi−Fi通信接続条件データを受信する近接通信データリーダ/ライタ部と、を備え、第2コンピュータのWi−Fi無線送受信部に、Wi−Fi通信接続条件データに含まれる無線ネットワーク識別子(SSID)を第1コンピュータに対して発信させるステップと、第1コンピュータの制御部に、第1コンピュータのWi−Fi無線送受信部に、無線ネットワーク識別子を受信させ、第2コンピュータをクライアントコンピュータに指定するためのクライアントIPアドレスを、第2コンピュータに発信させるステップと、コンピュータの制御部に、ユーザ操作検出部に、データ表示部に表示されたタイトル又はアイコンがユーザによって選択される操作と、タイトル又はアイコンに関連付けられた電子データを送信する送信操作とが実行されたことを検出させるステップと、ユーザ操作検出部が選択操作及び送信操作を検出したことに応じて、Wi−Fi無線送受信部に電子データを送受信させるステップと、をコンピュータに実行させる。
【0028】
本発明によれば、ユーザは、パスワード等の煩雑な通信条件を設定することなく、操作回数が極めて少なく、装置を近接させる簡単かつ直感的な操作で、アクセスポイントコンピュータとクライアントコンピュータの間で安全に電子データを送受信することができる。
【0029】
また、本発明は、上述の改良された発明において、制御部に、Wi−Fi無線送受信部が無線ネットワーク識別子を受信したか否かを検知させ、Wi−Fi無線送受信部が所定時間内に無線ネットワーク識別子を検知しなかったことに応じて、コンピュータをアクセスポイント装置に指定させるステップをコンピュータに実行させる。
【0030】
本発明によれば、コンピュータの制御部は、SSIDの存在の有無を検知して、コンピュータに対してアクセスポイントの指定を行う。これにより、多数のコンピュータの中で、最初にシステムを起動したコンピュータをアクセスポイントコンピュータに設定することができ、ネットワークシステムに混乱が生じすることを回避することができる。
【0031】
また、本発明は、上述の改良された発明において、第1コンピュータ及び第2コンピュータから分離されて形成されたNFC・IDデータを記憶するICカード、又は第1コンピュータ又は第2コンピュータと一体に形成されたICカードが近接通信データリーダ/ライタ部に近接させられたことに応じて、制御部に、近接通信データリーダ/ライタ部にICカードからNFC・IDデータを取得させるステップと、近接通信データリーダ/ライタ部が取得したNFC・IDデータに基づいてWi−Fi通信接続条件データを生成するステップと、をコンピュータに実行させる。
【0032】
本発明によれば、ユーザがICカードをコンピュータに近づけることにより、コンピュータは、自動的にWi−Fi無線ネットワークに接続することができる。
【0033】
また、本発明は、上述の改良された発明において、ユーザ操作検出部は、コンピュータが動かされたことによる加速度を検知して加速度出力信号を出力する加速度センサをさらに備え、制御部に、加速度センサによって出力された加速度出力信号の振幅値、加速度出力信号が出力された回数、又は加速度出力信号が出力された時間間隔に基づいて、Wi−Fi無線送受信部に電子データを送信させるステップをコンピュータに実行させる。
【0034】
本発明によれば、ユーザによって、コンピュータは送信操作時に振り動かすように振動させられる。ユーザは、コンピュータを振動させるか又は投げるような簡単かつ直感的な操作で、アクセスポイントコンピュータとクライアントコンピュータの間で電子データを送受信させることができる。
【0035】
また、本発明は、上述の改良された発明において、ユーザ操作検出部は、ユーザが発声する音を検知するマイクと、音を検知して音声出力信号若しくは音声記号として出力し、又は音についての声紋を認識する音声処理部とをさらに備え、制御部に、音声処理部によって出力された音声出力信号の波形若しくは周波数、又は音声記号若しくは声紋に基づいて、Wi−Fi無線送受信部に電子データを送信させるステップをコンピュータに実行させる。
【0036】
本発明によれば、ユーザは、コンピュータのマイクに向かって送信操作時に発声するだけで、アクセスポイントコンピュータとクライアントコンピュータの間で電子データを送受信させることができる。
【0037】
また、本発明は、上述の改良された発明において、コンピュータは、Wi−Fi通信接続条件データを記憶するNFCデータ記憶部を具備するICカードをさらに備え、第1コンピュータの制御部に、第1コンピュータに対して、電源を供給するための操作、電子データを送受信するための操作、又は第1コンピュータをアクセスポイント装置に指定する操作のいずれかが実行されたことに応じて、第1コンピュータをアクセスポイント装置に指定させるステップと、第2コンピュータの制御部に、第2コンピュータの近接通信データリーダ/ライタ部に、第1コンピュータのNFCデータ記憶部に記憶されたWi−Fi通信接続条件データを受信させるステップと、をコンピュータに実行させる。
【0038】
本発明によれば、ユーザの意志によって、第1コンピュータがアクセスポイントに設定された場合、第1コンピュータに近接させられた第2コンピュータは、近接通信データリーダ/ライタ部によって第1コンピュータのNFCデータ記憶部にあるWi−Fi通信接続条件データを自動的に受信する。これにより、ユーザは、簡単にアクセスポイント装置及びクライアント装置の設定を行うことができる。
【0039】
また、本発明は、上述の改良された発明において、コンピュータとして、第3コンピュータをさらに備え、第1コンピュータ乃至第3コンピュータは、Wi−Fi通信接続条件データを記憶するNFCデータ記憶部を具備するICカードを備え、第3コンピュータの制御部に、第3コンピュータの近接通信データリーダ/ライタ部に、第1コンピュータのNFCデータ記憶部に記憶されたWi−Fi通信接続条件データを受信させるステップと、第2コンピュータの制御部に、第2コンピュータの近接通信データリーダ/ライタ部に、第3コンピュータのNFCデータ記憶部に記憶されたWi−Fi通信接続条件データを受信させるステップと、をコンピュータに実行させる。
【0040】
本発明によれば、第3コンピュータの制御部は、近接通信によって第1コンピュータに記憶されているWi−Fi通信条件データを第2コンピュータに受信させる。ユーザはバトンタッチのような感覚で、第1コンピュータ及び第2コンピュータ間においてデータの送受信を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る簡易操作型無線データ送受信システムの構成図。
【図2】本実施形態に係る携帯電子装置の構成図。
【図3】本実施形態に係るICカードの構成図。
【図4】本実施形態に係る据置電子装置の構成図。
【図5】本実施形態に係るデータ蓄積装置の構成図。
【図6】(a)乃至(d)は、携帯電子装置のデータ表示部に表示される画像フォルダ送信画面遷移図。
【図7】本実施形態に係る加速度出力信号の変化を示す図。
【図8】本実施形態に係る音声出力信号の変化を示す図。
【図9】本実施形態に係る簡易操作型無線データ送受信システムにおける電子データの送受信処理のフローチャート。
【図10】本実施形態に係る簡易操作型無線データ送受信システムにおける電子データの送受信処理のフローチャート。
【図11】本発明の第2の本実施形態に係る簡易操作型無線データ送受信システムの構成図。
【図12】本実施形態に係る簡易操作型無線データ送受信システムにおける電子データの送受信処理のフローチャート。
【図13】本発明の第3の本実施形態に係る簡易操作型無線データ送受信システムの構成図。
【図14】本実施形態に係る簡易操作型無線データ送受信システムにおける電子データの送受信処理のフローチャート。
【符号の説明】
【0042】
1 簡易操作型無線データ送受信システム
2 携帯電子装置(第1電子装置)
2a 携帯電子装置(アクセスポイント装置)
2b 携帯電子装置(クライアント装置)
2c 携帯電子装置(クライアント装置)
2d 携帯電子装置(第3電子装置)
3 ICカード
4 据置電子装置(第2電子装置)
4a 据置電子装置(クライアント装置)
5 データ蓄積装置(第2電子装置)
5a データ蓄積装置(アクセスポイント装置)
9 近接通信データリーダ/ライタ部
11 Wi−Fi無線送受信部
12 電子データ
13 データ記憶部
15 近接通信データリーダ/ライタ部
16 Wi−Fi無線送受信部
17 データ記憶部
19 近接通信データリーダ/ライタ部
20 Wi−Fi無線送受信部
21 データ記憶部
25 Wi−Fi基礎接続データ
26 Wi−Fi通信接続条件データ
28 加速度センサ
29 マイク
30 音声処理部
32 CPU(制御部)
33 制御プログラム
34 主記憶部
38 ユーザ操作検出部
39 NFC・IDデータ
47 マイク
48 音声処理部
50 CPU(制御部)
51 制御プログラム
52 主記憶部
56 ユーザ操作検出部
57 制御プログラム
58 主記憶部
71 加速度出力信号
74 音声出力信号
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下、本発明の第1の実施形態に係る簡易操作型無線データ送受信システム1について、図面を参照して説明する。図1は、本発明の実施形態に係る簡易操作型無線データ送受信システム1の構成を示す。簡易操作型無線データ送受信システム1は、携帯電子装置2(第1電子装置)と、ICカード3と、据置電子装置4(第2電子装置)と、データ蓄積装置5(第2電子装置)と、大型画面データ表示装置6とを備える。データ蓄積装置5は、接続ケーブル7によって大型画面データ表示装置6と接続される。接続ケーブル7は、例えば、USBケーブルである。ここで、簡易操作とは、第1電子装置又は第2電子装置がユーザの操作を検知することより、ユーザが第1電子装置又は第2電子装置を容易に操作できることである。例えば、簡易操作は、ユーザが第1電子装置である携帯電子装置2に対して、指でタッチパネルにタッチする操作やユーザが手に持った携帯電子装置2を振る操作等である。
【0044】
携帯電子装置2は、ICカード3と近接通信無線信号8を送受信する近接通信データリーダ/ライタ部9と、据置電子装置4又はデータ蓄積装置5等の他の電子装置と広帯域無線信号10を送受信するWi−Fi無線送受信部11と、電子データ12を記憶するデータ記憶部13と、電子データ12を表示するデータ表示部14を備える。ここで、携帯電子装置2とは、例えば、携帯電話、デジタルカメラ、携帯ゲーム機、ノートパソコン、タブレットパソコン、又はスマートフォン等である。据置電子装置4は、携帯電子装置2と同じ構成の近接通信データリーダ/ライタ部15、Wi−Fi無線送受信部16、データ記憶部17、及びデータ表示部18を備える。ここで、据置電子装置4とは、例えば、デスクサイドパソコン、デジタルフォトフレーム、又はサーバー等である。
【0045】
データ蓄積装置5は、携帯電子装置2と同じ構成の近接通信データリーダ/ライタ部19、Wi−Fi無線送受信部20、及びデータ記憶部21を備える。データ蓄積装置5とは、例えば、ハードディスク、光ディスク、又はメモリカード等を具備したデータ記憶装置である。大型画面データ表示装置6は、データ表示部22とリモートコントローラ23を備え、リモートコントローラ23からリモコン信号24を受信したことに応じて動作する。ここで、大型画面データ表示装置6とは、例えば、大型デジタルテレビ、デスクトップパソコン、又はデジタルフォトフレームや、大型スクリーンにデータが投影されるプロジェクタ等である。
【0046】
携帯電子装置2は、据置電子装置4及びデータ蓄積装置5とデータを送受信するとき、ICカード3と近接通信無線信号8によってNFCと呼ばれる狭帯域近接データ通信(Near Field Communication)を行う。その後、携帯電子装置2は、Wi−Fi基礎接続データ25を生成し、Wi−Fi基礎接続データ25に基づいてWi−Fi通信接続条件データ26を生成する。次に、携帯電子装置2は、広帯域無線信号10によってWi−Fi通信接続条件データ26を据置電子装置4及びデータ蓄積装置5に送信する。広帯域無線信号10は、無線LANの国際規格であるWi−Fi(IEEE802.11シリーズ)の広帯域無線通信方式による無線信号である。ここで、機器間の接続モードは、アクセスポイントを有するWi−Fiのインフラストラクチャモードである。
【0047】
据置電子装置4及びデータ蓄積装置5は、携帯電子装置2から電子データ12を受信すると、受信した電子データ12をそれぞれデータ記憶部17及びデータ記憶部21に蓄積する。据置電子装置4は、データ記憶部17に蓄積された電子データ12をデータ表示部18に表示する。また、データ蓄積装置5は、接続ケーブル7を介して、データ記憶部21に蓄積された電子データ12を大型画面データ表示装置7のデータ表示部22に表示する。
【0048】
図2は、本実施形態に係る携帯電子装置2の構成を示す。携帯電子装置2は、ICカード3と近接通信無線信号8を送受信する近接通信データリーダ/ライタ部9と、データ記憶部13と、データ表示部14と一体に形成され、ユーザにタッチされることにより携帯電子装置2が操作されるタッチパネル入力操作部27と、ユーザによって携帯電子装置2が移動又は振動させられたことにより生じる加速度を検知する加速度センサ28と、マイク29に接続されユーザの声を処理する音声処理部30と、写真やバーコードを撮影するカメラ撮像部31と、携帯電子装置2全体を制御するCPU32(制御部)と、携帯電子装置2全体を制御する制御プログラム33を記憶する主記憶部34と、広帯域無線信号10を送受信するアンテナ35と、アンテナ35に接続されるWi−Fi無線送受信部11とを備え、これらは、バス36に接続されている。
【0049】
データ記憶部13は、Wi−Fi基礎接続データ25及びWi−Fi通信接続条件データ26を記憶する。Wi−Fi通信接続条件データ26は、SSIDを呼ばれる無線ネットワーク識別子(Service Set Identifier)である簡単伝送SSID37を含む。近接通信データリーダ/ライタ部9と、タッチパネル入力操作部27と、加速度センサ28と、マイク29と、音声処理部30と、カメラ撮像部31は、ユーザによる携帯電子装置2に対する操作を検知するユーザ操作検出部38を構成する。
【0050】
図3は、本実施形態に係るICカード3の構成を示す。ICカード3は、携帯電子装置2、据置電子装置4、又はデータ蓄積装置5に近接させられることにより近接通信を行う。ICカード3は、NFC・IDデータ39を記憶するNFCデータ記憶部40と、ICカード3全体を制御する制御プログラム41を記憶するNFC主記憶部42と、近接コンタクト部43を通じて近接通信無線信号8を送受信するNFC制御素子44を具備するICチップ45を備える。NFC・IDデータ39は、通常、8バイトの数値データである。ここで、ICカード3の形状は、ICチップ45が内蔵されたカード状であるが、必ずしもカード状でなくてもよい。ICカード3は、例えば、携帯電子装置2、据置電子装置4、又はデータ蓄積装置5の筐体の中に内蔵されたチップブロック状であってもよい。また、ICカード3と携帯電子装置2、据置電子装置4、又はデータ蓄積装置5との通信は、例えば、よく普及しているISO/IEC7816など国際基準で規定されている伝送プロトコルに従って送受信され、そのタイプは、タイプA、タイプB、又はタイプC等、いずれのタイプが採用されてもよい。また、近接コンタクト部43は、電磁波を利用するコイル型であっても、キャパシタンスを使用するプレート型であっても構わない。
【0051】
図4は、本実施形態に係る据置電子装置4の構成を示す。据置電子装置4は、加速度センサ28を具備しないが、その他は携帯電子装置2と同じ構成である。据置電子装置4は、近接通信データリーダ/ライタ部15と、データ記憶部17と、データ表示部18と一体に形成されるタッチパネル入力操作部46と、マイク47に接続される音声処理部48と、カメラ撮像部49と、据置電子装置4全体を制御するCPU50(制御部)と、据置電子装置4全体を制御する制御プログラム51を記憶する主記憶部52と、アンテナ53と、アンテナ53に接続されるWi−Fi無線送受信部16とを備え、これらは、バス54に接続されている。データ記憶部17は、Wi−Fi基礎接続データ25及び簡単伝送SSID37を含むWi−Fi通信接続条件データ26を記憶する。近接通信データリーダ/ライタ部15と、タッチパネル入力操作部46と、マイク47と、音声処理部48と、カメラ撮像部49は、ユーザによる据置電子装置4に対する操作を検知するユーザ操作検出部56を構成する。
【0052】
図5は、本実施形態に係るデータ蓄積装置5の構成を示す。データ蓄積装置5は、近接通信データリーダ/ライタ部19と、データ記憶部21と、データ蓄積装置5全体を制御するCPU56(制御部)と、データ蓄積装置5全体を制御する制御プログラム57を記憶する主記憶部58と、広帯域無線信号10を送受信するアンテナ59と、アンテナ59に接続するWi−Fi無線送受信部20と、接続ケーブル7が接続される外部端子60を備え、これらは、バス61に接続されている。データ記憶部21は、Wi−Fi基礎接続データ25及び簡単伝送SSID37を含むWi−Fi通信接続条件データ26を記憶する。さらに、データ蓄積装置5は、ICカード3を内蔵しているものとする。
【0053】
次に、電子データ12が携帯電子装置2から据置電子装置4に送信される簡易操作送信方法について説明する。簡易操作は、ユーザの生活習慣に基づいた直感的でわかりやすく、かつ操作回数が少ない操作方法であることが望ましい。図6(a)乃至(d)は、携帯電子装置2のデータ表示部14に表示される画像フォルダ送信画面遷移を示す。ここで、携帯電子装置2は、電子データ12として画像フォルダ62を送信するものとする。
【0054】
図6(a)は、画像フォルダ62が選択されたフォルダ選択画面63を示す。電子データ12が送信されるとき、データ表示部14は、画像フォルダ62が選択されるフォルダ選択画面63を表示する。フォルダ選択画面63は、上部に通信状態を文字列で表示するための通信状態表示欄64を表示する。ここで、通信状態表示欄64は、「ICカードをタッチしてください」なるメッセージを表示する。ユーザは、このメッセージを視認することにより、ICカード3を携帯電子装置2に近づける必要があることを認識することができる。フォルダ選択画面63は、画像フォルダ62がユーザの指65によってタッチされることにより、送信される電子データ12が特定される。このように、指65でタッチすることにより、送信される電子データ12を特定する操作を第1回目送信操作とする。
【0055】
ここでは、フォルダ名が「‘10.6.8ジュネーブ」である画像フォルダ62が指65にタッチされている。データ表示部14は、画像フォルダ62が指65によってタッチされたことに応じて、フォルダ名である文字列「‘10.6.8ジュネーブ」の色、又はこの文字列の背景の色を変化させて表示する。ここで、文字列「‘10.6.8ジュネーブ」は、例えば、赤色で表示される。これにより、ユーザは、選択した画像フォルダ62を認識することができる。次に、ICカード3は、携帯電子装置2に近接タッチされた後、同様に据置電子装置4に近接タッチされる。ここで、近接タッチとは、ICカード3が、ユーザによって携帯電子装置2、据置電子装置4、又はデータ蓄積装置5と狭帯域近接データ通信を行うことができる程度に近づけられること、又は接触させられることである。ここで、ICカード3が、携帯電子装置2に近接タッチさせられる操作を第2回目送信操作とする。また、第2回目送信操作の後、ICカード3が、据置電子装置4に近接タッチさせられる操作を第3回目送信操作とする。
【0056】
図6(b)は、通信準備中画面66を示す。データ表示部14は、第2回目送信操作及び第3回目送信操作が行われたことに応じて、通信準備中画面66を表示する。第2回目送信操作は、電子データ12を送信する携帯電子装置2を特定し、第3回目送信操作は、電子データ12を受信する据置電子装置4を特定する操作である。このように、ユーザが、ICカード3を電子データ12の送信側である携帯電子装置2に近接タッチさせた後、受信側である据置電子装置4に近接タッチさせる操作は、ICカード3を介して電子データ12を伝送することを暗示させる。このように、第2回目送信操作及び第3回目送信操作による一連の動作は、具体的かつ確実に情報を手渡すという生活習慣に根ざした直感的でわかりやすい情報伝送ユーザインターフェースとなる。
【0057】
第2回目送信操作が行われたことに応じて、ICカード3は、携帯電子装置2の近接通信データリーダ/ライタ部9によって検知される。携帯電子装置2のCPU32は、ICカード3のNFCデータ記憶部40に記憶されるNFC・IDデータ39を取得する。CPU32は、取得したNFC・IDデータ39を用いて、一定の規則に従いWi−Fi基礎接続データ25を生成する。ここで、CPU32は、NFCによる送信であることを意味する文字列「ByNFC」を8バイトのNFC・IDデータ39に付与した、「ByNFC+NFC・IDデータ(8バイト)」をWi−Fi基礎接続データ25として生成する。なお、Wi−Fi基礎接続データ25として、セキュリティレベルを下げてよい場合、CPU32は、文字列「ByNFC」を付与することなくNFC・IDデータ39を基礎接続データ25として使用しても構わない。
【0058】
さらに、CPU32は、生成したWi−Fi基礎接続データ25に基づいて、広帯域無線信号10の広帯域通信に必要なWi−Fi通信接続条件データ26を一定の規則で自動的に生成し、データ記憶部13に記憶させる。ここで、広帯域通信とは、Wi−Fi通信である。また、広帯域通信がWi−Fiの場合、CPU32は、Wi−Fi通信接続条件データ26に例えば、SSID、パスワード、セキュリティ条件、IPアドレス等を含ませる。ここでは、CPU32は、SSIDとして、NFC・IDデータ39を英数文字に変換した「NFC・IDデータ(英数文字)」に、文字列「ByNFCSSID」を付与して「ByNFCSSID+NFC・ID(英数文字)」を生成する。また、CPU32は、パスワードとして、NFC・IDデータ39を16進数に変換し、文字列「ByNFCPW」を付与して「ByNFCPW+NFC・ID(16進数)」を生成する。また、CPU32は、セキュリティ条件として、例えば、暗号化方式としてWPA2−PSKを設定する。ここで、携帯電子装置2のIPアドレスは、例えば、「192.168.221.1」とする。CPU32は、生成したSSID、パスワード、及びセキュリティ条件と、携帯電子装置2のIPアドレスからなるWi−Fi通信接続条件データ26を生成する。
【0059】
簡易操作型無線データ送受信システム1において、自動生成された無線ネットワーク識別IDであるSSIDは、簡単伝送SSID37として、送信側である携帯電子装置2及び受信側である据置電子装置4に共通して使用される。携帯電子装置2のCPU32は、Wi−Fi通信接続条件データ26を自動生成した後、Wi−Fi無線送受信部11にWi−Fi通信接続条件データ26をアンテナ35から送信させる。CPU32は、Wi−Fi無線送受信部11にWi−Fi通信接続条件データ26を送信させるのと同時に、通信準備中画面66の通信状態表示欄64に、「通信準備中」なるメッセージを表示させる。通信準備中画面66は、フォルダ選択画面63において選択されたフォルダ名である文字列「‘10.6.8ジュネーブ」の色、又はこの文字列の背景の色を変化させて表示する。ここで、文字列「‘10.6.8ジュネーブ」は、例えば、黄色で表示される。ユーザは、文字列「‘10.6.8ジュネーブ」が黄色であることを視認することにより、通信準備が行われていることを知ることができる。
【0060】
次に、CPU32は、据置電子装置4やデータ蓄積装置5等の他の電子機器から送信された広帯域無線信号10をWi−Fi無線送受信部11に受信させる。CPU32は、広帯域無線信号10に含まれるWi−Fi通信接続条件データ26に、簡単伝送SSID37が含まれるか否かを検出する。ここで、ICカード3は、最初に携帯電子装置2に近接タッチされているため、簡単伝送SSID37を含むWi−Fi通信接続条件データ26を送信している他の電子機器は存在しない。CPU24は、Wi−Fi通信接続条件データ26から簡単伝送SSID37を検出できないため、簡単伝送SSID37が含まれないことを示す「無し」を検出する。
【0061】
CPU24は、「無し」を検出したことに応じて、携帯電子装置2をアクセスポイントに指定する。なお、例えば、据置電子装置4が誤って簡単伝送SSID37を含むWi−Fi通信接続条件データ26を送信した場合、CPU24は、「有り」を検出することとなる。このとき、CPU24は、フォルダ選択画面63において、送信される電子データ12として画像フォルダ62が指65にタッチされたか否かを判定する。画像フォルダ62が指65にタッチされていたとき、CPU24は、携帯電子装置2をアクセスポイントに指定する。このように、携帯電子装置2は、Wi−Fi通信接続条件データ26における簡単伝送SSID37の検出と、画像フォルダ62の特定の有無とのダブルチェックにより、アクセスポイントを確定する。これにより、簡易操作型無線データ送受信システム1は、電子データ12の送信の確実性を保証することができる。
【0062】
次に、第3回目送信操作が行われたことに応じて、ICカード3は、据置電子装置4の近接通信データリーダ/ライタ部15によって検知される。据置電子装置4のCPU50は、ICカード3のNFCデータ記憶部40に記憶されるNFC・IDデータ39を取得する。CPU50は、取得したNFC・IDデータ39を用いて、携帯電子装置2のCPU32と同様に、一定の規則に従いWi−Fi基礎接続データ25を生成し、さらにWi−Fi通信接続条件データ26を生成する。また、CPU50は、Wi−Fi通信接続条件データ26に含まれる簡単伝送SSID37を自動的に生成する。ここで、生成される簡単伝送SSID37は、携帯電子装置2において生成される簡単伝送SSID37と同一である。
【0063】
CPU50は、Wi−Fi通信接続条件データ26を自動生成した後、Wi−Fi無線送受信部16にWi−Fi通信接続条件データ26をアンテナ53から送信させる。一方、アクセスポイントである携帯電子装置2のWi−Fi無線送受信部11は、受信側の据置電子装置4からの広帯域無線信号10を受信する。携帯電子装置2のCPU32は、広帯域無線信号10に含まれるWi−Fi通信接続条件データ26から簡単伝送SSID37を検出することにより、据置電子装置4が電子データ12を受信するクライアント装置であることを認知する。CPU32は、クライアント装置である据置電子装置4に「IPアドレス」を送信することにより、据置電子装置4にIPアドレスを付与する。ここで、据置電子装置4に付与されるIPアドレスをクライアントIPアドレスとし、その値は、例えば、「192.168.221.11」である。
【0064】
図6(c)は、送信OK画面67を示す。データ表示部14は、CPU32が据置電子装置4に「IPアドレス」を送信したことに応じて、送信OK画面67を表示する。送信OK画面67は、通信状態表示欄64に「送信OK」なるメッセージと、画像フォルダ62を送信するための送信アイコン68を表示する。ユーザは、「送信OK」なるメッセージを視認することにより、広帯域無線送受信の準備が完了したことを知ることができる。送信OK画面67は、フォルダ名である文字列「‘10.6.8ジュネーブ」の色、又はこの文字列の背景の色を変化させて表示する。ここで、文字列「‘10.6.8ジュネーブ」は、例えば、青色で表示される。ユーザは、文字列「‘10.6.8ジュネーブ」が青色であることと、表示された送信アイコン68を視認することにより、画像フォルダ62を送信できることを認識する。送信アイコン68が、ユーザの指65によって、矢印方向に横滑りタッチされたことに応じて、CPU32は、画像フォルダ62を据置電子装置4へ送信する。ここで、送信アイコン68が、指65によって横滑りタッチされる操作を第4回目送信操作とする。
【0065】
図6(d)は、送信完了画面69を示す。データ表示部14は、CPU32が据置電子装置4に画像フォルダ62を送信したことに応じて、送信完了画面69を表示する。送信完了画面69は、通信状態表示欄64に「送信完了」なるメッセージを表示する。また、送信完了画面69は、フォルダ名である文字列「‘10.6.8ジュネーブ」の色、又はこの文字列の背景の色を変化させて表示する。ここで、文字列「‘10.6.8ジュネーブ」は、例えば、緑色で表示される。ユーザは、文字列「‘10.6.8ジュネーブ」が緑色であることと、「送信完了」なるメッセージを視認することにより、画像フォルダ62が送信されたことを知ることができる。
【0066】
このように、ユーザは、携帯電子装置2に対して、第1回目送信操作乃至第4回目送信操作の合計4つのタッチ操作を行うことにより、画像フォルダ62を据置電子装置4に送信することができる。これにより、ユーザは、電子データ12を他の機器に送信するに際して、通信手順の選択や通信条件の設定など煩雑なキーボード操作を行う必要がなくなる。また、簡易操作型無線データ送受信システム1は、操作回数が少なく、あたかも人から人に大切な情報を手渡しするような極めて簡単な動作によって、安全確実に電子データ12を送信できる送信方法を提供することができる。
【0067】
次に、図6(c)の送信OK画面67において、送信アイコン68が指65によって横滑りタッチされることに替えて、加速度センサ28が使用される送信方法について説明する。図7は、本実施形態に係る加速度センサ28が出力した加速度出力信号71の変化を示す。加速度センサ28が使用される場合、送信OK画面67は、通信状態表示欄64に「送信OK:大きく振ってください。」なるメッセージを表示する。ユーザは、メッセージを視認することにより、携帯電子装置2をスイングさせる。ここで、スイングとは、携帯電子装置2がユーザの腰の位置から肩の位置まで上げられた後、肩から腰へ向けて大きく振り降ろされる動作である。ここでは、携帯電子装置2は、大きく3回スイングされる。加速度センサ28は、携帯電子装置2がスイングされたことに応じて、スイングの大きさに応じた加速度出力信号を出力する。CPU32は、出力された加速度出力信号が予め定められた閾値より大きいとき、ユーザによって命令が入力されたと判断する。
【0068】
図7を参照して、位置波形70は、携帯電子装置2に対する重力方向の位置を示す縦軸と、時間の経過を示す横軸によって表され、加速度出力信号71は、振幅の大きさを示す縦軸と、時間の経過を示す横軸によって表される。位置波形70は、携帯電子装置2の位置を示す縦軸と、時間の経過を示す横軸によって表される。一方、加速度出力信号71は、振幅の大きさを示す縦軸と、時間の経過を示す横軸によって表される。T0乃至T2は、携帯電子装置2が1回目にスイングされたときの、スイング開始時T0、スイングのピークT1、及びスイング終了時T2を示す。同様に、T3乃至T5とT6乃至T8は、携帯電子装置2が2回目と3回目にスイングされたときのスイング開始時、スイングのピーク、及びスイング終了時をそれぞれ示す。
【0069】
CPU32は、加速度センサ28の加速度出力信号71が、所定の時間内に閾値72を3回越えたか否かを判定する。CPU32は、加速度出力信号71が、所定の時間内に閾値72を3回越えたと判定すると、画像フォルダ62を据置電子装置4に送信する。ここでは、誤送信を防止するため、携帯電子装置2が3回スイングされる構成としたが、CPU32は、携帯電子装置2が1回スイングされたことに応じて、画像フォルダ62を送信しても構わない。
【0070】
また、CPU32は、加速度センサ28の加速度出力信号71に基づいて、基礎接続データ25を生成してもよい。このとき、電子データ12は、2台の携帯電子装置2の間で送受信されるものとする。また、2台の携帯電子装置2は、同時に同じようにスイングされるものとする。図7を参照して、加速度出力信号71は、ゼロレベル73及び閾値72と交わるクロス点P0乃至P14が15箇所存在する。CPU32は、クロス点P0乃至P14を用いて基礎接続データ25を生成する。CPU32は、クロス点P0乃至P14の個数を加速度クロス点個数データとして2バイトで表現する。次に、CPU32は、基礎接続データ25として、「BySwing+加速度クロス点個数データ(2バイト)」を生成する。ここで、「BySwing」は、携帯電子装置2がスイングされることに電子データ12を送信することを意味する。
【0071】
さらに、CPU32は、簡単伝送SSID37として「BySWingSSID+加速度クロス点個数データ(2バイト)」、パスワードとして「BySWingPW+加速度クロス点個数データ(2バイト)」を生成する。これにより、ユーザは、ICカード3を据置電子装置4に近接タッチする第3回目送信操作を行う必要がなくなり、操作を一つ減らすことができる。このように、2台の携帯電子装置2を上下方向にスイングをさせて電子データ12を送受信する方法は、二人のユーザが握手する状況に類似する直感的な動作である。また、2台の携帯電子装置2は、机上に置かれ、同時にノック震動が与えられることにより、電子データ12を送受信しても構わない。2台の携帯電子装置2に対してノック震動が与える動作は、人がドアをノックする動作に類似する直感的な動作である。
【0072】
次に、図6(c)の送信OK画面67において、送信アイコン68が指65によって横滑りタッチされることに替えて、携帯電子装置2のマイク29が使用される送信方法について説明する。図8は、本実施形態に係る音声処理部30が出力した音声出力信号74の変化を示す。携帯電子装置2は、据置電子装置4に画像フォルダ62を送信するものとする。マイク29が使用される場合、送信OK画面67は、通信状態表示欄64に「送信OK:‘送信します’と発してください。」なるメッセージを表示する。ユーザは、メッセージを視認することにより、マイク29に対して「soshin shimasu」を発声する。音声処理部30は、マイク29に対して「soshin shimasu」なる音が発声されたことに応じて、発声された音に応じた音声出力信号を出力する。CPU32は、出力された音声出力信号が予め定められた閾値より大きいとき、ユーザによって命令が入力されたと判断する。
【0073】
図8を参照して、音声出力信号74は、振幅の大きさを示す縦軸と、時間の経過を示す横軸によって表される。CPU32は、音声処理部30の音声出力信号74が、所定の時間内に閾値75を越えたか否かを判定する。CPU32は、音声出力信号74が、所定の時間内に閾値75を越えたと判定すると、画像フォルダ62を据置電子装置4に送信する。音声処理部30は、ユーザによって発声された「soshin shimasu」の音を解析することにより、「送信します」を発声された否かを正確に判定する。これにより、携帯電子装置2は、正確に画像フォルダ62を据置電子装置4に送信することができる。
【0074】
また、CPU32は、音声処理部30の音声出力信号74に基づいて、基礎接続データ25を生成してもよい。このとき、電子データ12は、携帯電子装置2と据置電子装置4の間で送受信されるものとする。ユーザは、送信側の携帯電子装置2と受信側の据置電子装置4の2台を並べて置き、同時にそれぞれのマイク29及びマイク47に対して、例えば、「送信します」と発声する。図8を参照して、音声出力信号74は、ゼロレベル76と交わるクロス点Q0乃至Q12が13箇所存在する。携帯電子装置2のCPU32及び据置電子装置4のCPU50は、クロス点Q0乃至Q12の個数を音声クロス点個数データとして2バイトで表現する。次に、CPU32及びCPU50は、基礎接続データ25として、「ByVoice+音声クロス点個数データ(2バイト)」を生成する。ここで、「ByVoice」は、ユーザの声に基づいて電子データ12が送信されることを意味する。
【0075】
さらに、CPU32及びCPU50は、簡単伝送SSID37として「ByVoiceSSID+音声クロス点個数データ(2バイト)」、パスワードとして「ByVoicePW+音声クロス点個数データ(2バイト)」を生成する。ユーザは、マイク29及びマイク47に所定の音を発声することにより、簡単に電子データ12を携帯電子装置2から据置電子装置4へ送信させることができる。なお、マイク29及びマイク47は、音声クロス点個数データではなく、マイク29及びマイク47に対して発声された声紋を符号化することにより、Wi−Fi通信接続条件データ26を生成しても構わない。また、マイク29及びマイク47は、音声処理部30に認識された音声をテキスト記号に変換し、このテキスト記号に基づいてWi−Fi通信接続条件データ26を生成しても構わない。これにより、簡易操作型無線データ送受信システム1は、安全かつ確実に電子データ12を送受信することができる。
【0076】
図9は、本実施形態に係る簡易操作型無線データ送受信システム1における電子データ12の送受信処理のフローを示す。ここで、電子データ12は画像フォルダ62であり、画像フォルダ62が携帯電子装置2から据置電子装置4へ送信されるものとする。データ表示部14に表示されたフォルダ選択画面63において、画像フォルダ62が指65にタッチされる第1回目送信操作が実行される(S101)。これにより、CPU32は、タッチされた画像フォルダ62が据置電子装置4に送信される電子データ12であることを認識する。次に、CPU32は、通信状態表示欄64に「ICカードをタッチしてください」なるメッセージを表示させる(S102)。これにより、ユーザは、携帯電子装置2にICカード3を近接タッチさせる必要があることを認識することができる。このとき、フォルダ選択画面63は、画像フォルダ62のフォルダ名の色を変化させて表示する。
【0077】
第2回目送信操作として、ICカード3が携帯電子装置2に近接タッチされたことに応じて(S103)、近接通信データリーダ/ライタ部9は、ICカード3を検知する(S104)。CPU32は、ICカード3のNFCデータ記憶部40に記憶されるNFC・IDデータ39を取得する(S105)。CPU32は、一定の規則に従ってNFC・IDデータ39に基づいてWi−Fi基礎接続データ25を生成する(S106)。CPU32は、生成したWi−Fi基礎接続データ25に基づいて、簡単伝送SSID37を含むWi−Fi通信接続条件データ26を生成する(S107)。
【0078】
CPU32は、Wi−Fi無線送受信部11にWi−Fi通信接続条件データ26を発射させ(S108)、通信準備中画面66の通信状態表示欄64に、「通信準備中」なるメッセージを表示させる(S109)。CPU32は、無線送受信部11が他の電子機器から受信したWi−Fi通信接続条件データ26に、簡単伝送SSID37が含まれていないことを示す「無し」を検出する(S110)。CPU24は、「無し」を検出したことに応じて、携帯電子装置2をアクセスポイントに指定する(S111)。
【0079】
次に第3回目送信操作として、ICカード3が据置電子装置4に近接タッチされたことに応じて(S112)、据置電子装置4の近接通信データリーダ/ライタ部15は、ICカード3を検知する(S113)。据置電子装置4のCPU50は、ICカード3のNFCデータ記憶部40に記憶されるNFC・IDデータ39を取得する(S114)。CPU50は、一定の規則に従ってNFC・IDデータ39に基づいてWi−Fi基礎接続データ25を生成する(S115)。CPU50は、生成したWi−Fi基礎接続データ25に基づいて、簡単伝送SSID37を含むWi−Fi通信接続条件データ26を生成する(S116)。CPU50は、Wi−Fi無線送受信部11に、Wi−Fi通信接続条件データ26に含まれる簡単伝送SSID37を携帯電子装置2へ送信させる(S117)。
【0080】
携帯電子装置2のCPU32は、Wi−Fi無線送受信部11が簡単伝送SSID37を受信したことに応じて、簡単伝送SSID37を受信したことを示す「有り」を検出する(S118)。CPU32は、「有り」を検出したことに応じて、据置電子装置4がクライアント装置であると認知し(S119)、Wi−Fi無線送受信部11にクライアントIPアドレスを据置電子装置4へ送信させる(S120)。据置電子装置4のCPU50は、Wi−Fi無線送受信部16がクライアントIPアドレスを受信したことに応じて、クライアントIPアドレスを据置電子装置4のIPアドレスとして設定する(S121)。
【0081】
ステップS121において、CPU32は、Wi−Fi無線送受信部11にクライアントIPアドレスを送信させると、データ表示部14に送信OK画面67を表示させる(S122)。第4回目送信操作として、送信OK画面67に表示される送信アイコン68が指65によって矢印方向に横滑りタッチされたことに応じて(S123)、CPU32は、Wi−Fi無線送受信部11に画像フォルダ62を据置電子装置4へ送信させる(S124)。据置電子装置4のWi−Fi無線送受信部16は、画像フォルダ62を受信する(S125)。ステップS124において、CPU32は、Wi−Fi無線送受信部11に画像フォルダ62を据置電子装置4へ送信させると、データ表示部14に送信完了画面69を表示させる(S126)。このように、ユーザは、第1回目送信操作乃至第4回目送信操作を実行するだけで、電子データ12を他の電子機器に送信することができる。
【0082】
ここでは、ステップS123において、第4回目送信操作として、送信アイコン68が指65によって横滑りタッチされる方法を示したが、第4回目送信操作として、携帯電子装置2の加速度センサ28又はマイク29が使用される送信方法であっても構わない。第4回目送信操作として、加速度センサ28が使用されるとき、ユーザは、第4回目送信操作として携帯電子装置2を腰から肩へと大きくスイングさせる操作を行う。CPU32は、図7に示されるように、加速度出力信号71が閾値72を越えたと判定すると、Wi−Fi無線送受信部11に画像フォルダ62を据置電子装置4へ送信させる。携帯電子装置2をスイングさせる操作は、情報を他の人に渡す際、投げて渡すことを暗示させるため、極めて自然で直感的な行為である。
【0083】
第4回目送信操作として、マイク29が使用されるとき、ユーザは、第4回目送信操作としてマイク29に対して、例えば、「送信します」と発声する。音声処理部30は、発声された音に応じた出力信号を出力する。CPU32は、図8に示されるように、音声処理部30の音声出力信号74が閾値75を越えたと判定すると、Wi−Fi無線送受信部11に画像フォルダ62を据置電子装置4へ送信させる。ここで、CPU32は、ユーザによって発せられた単語を認識し、認識した単語が所定の単語と一致するか否かの判断に応じて、無線送受信部11に画像フォルダ62を据置電子装置4へ送信させてもよい。ユーザがマイク29に対して発声する操作は、具体的な人間の声によって情報を伝送する会話に類似する極めて直感的な行為である。
【0084】
画像フォルダ62が、携帯電子装置2から据置電子装置4へ送信される場合について説明したが、送信される電子データ12は、画像フォルダ62ではなく、AVファイル、ドキュメントファイル、又は動画ファイル等であっても構わない。電子データ12は、携帯電子装置2から携帯電子装置2又はデータ蓄積装置5へ送信させる構成であっても構わない。また、ICカード3が携帯電子装置2や据置電子装置4に近接タッチさせられる第2回目送信操作及び第3回目送信操作は、第1回目送信操作と操作の順序が入れ替わっても構わない。例えば、ここで、携帯電子装置2の中に、ICカード3がICチップブロックとして内蔵されているとする。このとき、ユーザは、ICカード3を内蔵する2台の携帯電子装置2を互いに近接タッチさせることで、第2回目送信操作及び第3回目送信操作を同時に実行することができる。第2回目送信操作及び第3回目送信操作は、1回の操作として実行されるので、ユーザは、電子データ12を送信する操作回数は3回となるため、操作回数を1回減らすことができる。これにより、簡易操作型無線データ送受信システム1は、電子データ12の送受信に際して、より簡単な操作をユーザに提供することが可能となる。
【0085】
次に、電子データ12が、複数の携帯電子装置2からデータ蓄積装置5に送信され、データ蓄積装置5に接続された大型画面データ表示装置6に表示される処理について説明する。図10は、本実施形態に係る簡易操作型無線データ送受信システム1における電子データ12の送受信処理のフローを示す。ここで、データ蓄積装置5は、複数の携帯電子装置2から電子データ12として画像フォルダ62を受信するものとする。データ蓄積装置5は、外部端子60に接続ケーブル7が差し込まれ、データ蓄積装置5に電源を供給する第1回目送信操作が実行される(S201)。これにより、データ蓄積装置5は、大型画面データ表示装置6に接続され、外部端子60から電源が供給される。データ蓄積装置5の近接通信データリーダ/ライタ部15は、内蔵するICカード3を検知し、CPU56は、ICカード3からNFC・IDデータ39を取得する(S202)。
【0086】
CPU56は、NFC・IDデータ39に基づいてWi−Fi基礎接続データ25を生成し(S203)、生成したWi−Fi基礎接続データ25に基づいて、簡単伝送SSID37を含むWi−Fi通信接続条件データ26を生成する(S204)。CPU56は、第1回目送信操作、即ち電源起動時に、予めデータ蓄積装置5をアクセスポイント装置として指定されていた指示に従い、データ蓄積装置5をアクセスポイントに指定する(S205)。
【0087】
続いてそれぞれの携帯電子装置2のデータ表示部14に表示されたフォルダ選択画面63において、画像フォルダ62が指65にタッチされる第2回目送信操作が実行される(S206)。次に、第3回目送信操作として、複数の携帯電子装置2は、ICカード3を内蔵するデータ蓄積装置5に近接タッチされたことに応じて(S207)、近接通信データリーダ/ライタ部9は、ICカード3を検知する(S208)。
【0088】
複数の携帯電子装置2のCPU32は、ICカード3のNFCデータ記憶部40に記憶されるNFC・IDデータ39を取得し(S209)、NFC・IDデータ39に基づいてWi−Fi基礎接続データ25を生成する(S210)。それぞれのCPU32は、生成したWi−Fi基礎接続データ25に基づいて、簡単伝送SSID37を含むWi−Fi通信接続条件データ26を生成する(S211)。それぞれのCPU32は、Wi−Fi無線送受信部11に、Wi−Fi通信接続条件データ26に含まれる簡単伝送SSID37をデータ蓄積装置5へ送信させる(S212)。
【0089】
データ蓄積装置5のCPU56は、Wi−Fi無線送受信部20が簡単伝送SSID37を受信したことに応じて、簡単伝送SSID37を受信したことを示す「有り」を検出する(S213)。CPU56は、「有り」を検出したこと応じて、複数の携帯電子装置2がクライアント装置であると認知する(S214)。CPU56は、Wi−Fi無線送受信部20に複数のクライアントIPアドレスを複数の携帯電子装置2に送信させる(S215)。複数の携帯電子装置2のCPU32は、Wi−Fi無線送受信部11がクライアントIPアドレスを受信したことに応じて、クライアントIPアドレスをぞれぞれの携帯電子装置2のIPアドレスとして設定する(S216)。
【0090】
第4回目送信操作として、送信OK画面67に表示される送信アイコン68が指65によって矢印方向に横滑りタッチされたことに応じて(S217)、それぞれのCPU32は、Wi−Fi無線送受信部11に画像フォルダ62をデータ蓄積装置5へ送信させる(S218)。データ蓄積装置5のWi−Fi無線送受信部20は、複数の携帯電子装置2から画像フォルダ62を受信する(S219)。データ蓄積装置5は、受信した画像フォルダ62を携帯電子装置2の機器名(ID)を関連付けて大型画面データ表示装置6に表示させる(S220)。これにより、大型画面データ表示装置6は、複数の携帯電子装置2から送信された画像フォルダ62を拡大させて、携帯電子装置2の機器名(ID)とともに表示することができる。
【0091】
次に、本発明の第2の実施形態に係る簡易操作型無線データ送受信システム1について説明する。図11は、本発明の実施形態に係る簡易操作型無線データ送受信システム1の構成を示す。簡易操作型無線データ送受信システム1は、携帯電子装置2として複数の携帯電子装置2a乃至2cを備える。携帯電子装置2a乃至2cは、他の携帯電子装置2と近接通信無線信号8により近接通信を行うためのICカード3と、近接通信データリーダ/ライタ部9と、広帯域無線信号10によりWi−Fiインフラストラクチャモードで電子データ12を送受信するWi−Fi無線送受信部11とを備える。簡易操作型無線データ送受信システム1は、いずれの携帯電子装置2a乃至2cがアクセスポイントとなるアクセスポイント装置又はクライアントとなるクライアント装置であるかをユーザに判らせることにより、電子データ12をユーザにとって直感的かつ明示的に簡単操作で送受信する。
【0092】
ICカード3のNFCデータ記憶部40は、NFC・IDデータ39の他にフリー領域を具備し、Wi−Fi基礎接続データ25又はWi−Fi通信接続条件データ26は、NFCデータとしてフリー領域内に格納されてもよい。また、携帯電子装置2a乃至2cのCPU32は、NFC制御素子44の機能をエミュレートする構成であっても構わない。さらに、近接コンタクト部43は、電磁波を利用するコイル型、又はキャパシタンスを使用するプレート型ではなく、赤外線による近接通信のための赤外線素子であっても構わない。この場合は、近接通信データリーダ/ライタ部9は赤外線を送受信するリーダライタである。
【0093】
携帯電子装置2a乃至2cのデータ表示部14は、アクセスポイント指示アイコン77と、アクセスポイント表示アイコン78と、クライアント表示アイコン79と、横一列に並べられた4つのWi−Fi通信状態表示アイコン80を表示する。携帯電子装置2a乃至2cの内、一台の携帯電子装置2aがアクセスポイント装置に指定される場合について説明する。ユーザは、携帯電子装置2aのデータ表示部14が表示するアクセスポイント指示アイコン77をタッチする。アクセスポイント指示アイコン77がタッチされたことに応じて、携帯電子装置2aのCPU32は、携帯電子装置2aをアクセスポイント装置に指定する。携帯電子装置2aのデータ表示部14は、携帯電子装置2aがアクセスポイント装置に指定されたことに応じて、アクセスポイント表示アイコン78を明るく点灯表示する。
【0094】
なお、携帯電子装置2aのCPU32は、アクセスポイント指示アイコン77がタッチされる他に、携帯電子装置2aが振動させられ、又はマイク29に「アクセスポイント」という声が発声されたことに応じて、携帯電子装置2aをアクセスポイント装置に指定しても構わない。
【0095】
携帯電子装置2aのCPU32は、Wi−Fi送信開始と同時に、データ表示部14にWi−Fi通信状態表示アイコン80を左から順に点灯させ、Wi−Fi送信準備完了時に全てのWi−Fi通信状態表示アイコン80を点灯させる。これにより、ユーザは、携帯電子装置2aにおけるWi−Fi送信準備状態を知ることができる。アクセスポイント装置に指定されなかった他の携帯電子装置2bのユーザは、携帯電子装置2aに携帯電子措置2bを近接させる。携帯電子装置2bの近接通信データリーダ/ライタ部9は、携帯電子装置2aに内蔵されたICカード3に記憶されるNFCデータを、近接通信無線信号8を介して受信する。携帯電子装置2bのWi−Fi無線送受信部11は、Wi−Fi通信接続条件データ26に含まれる簡単伝送SSID37を送信する。ここで、簡単伝送SSID37は、携帯電子装置2a及び携帯電子装置2bに共通な同一のSSIDである。
【0096】
続いて、携帯電子装置2aは、クライアントIPアドレスを携帯電子装置2bに送信し、携帯電子装置2bがクライアントIPアドレスを受信したことに応じて、携帯電子装置2bをクライアント装置と認定する。携帯電子装置2bのデータ表示部14は、クライアント表示アイコン79を点灯させる。さらに、携帯電子装置2bのデータ表示部14は、4つのWi−Fi通信状態表示アイコン80を点灯させることによって、携帯電子装置2bにおける送受信状態を表示する。このように携帯電子装置2a及び2bは、それぞれのデータ表示部14にアクセスポイント装置とクライアント装置の関係を明示させ、互いに近接したことに応じて、自動的にWi−Fi通信を確立する。これにより、ユーザは、信頼できるアクセスポイント装置とクライアント装置の持ち主であることを認識することができる。
【0097】
簡易操作型無線データ送受信システム1は、例えば、画像フォルダ62等の送受信対象である電子データ12を、アクセスポイント指示アイコン77のタッチと、フォルダ選択画面63のタッチと、携帯電子装置2a及び2bの装置同士を近接させるタッチと、電子データ12を送信させるタッチのわずか4回のタッチで、あたかも人が握手を交わすような直感的な操作で電子データ12を送受信することができる。このとき、ユーザは、データ表示部14をタッチするのはなく、携帯電子装置2を振動させ、又はマイク29に声を発声する直感的な操作によって電子データ12を送受信しても構わない。
【0098】
携帯電子装置2aがアクセスポイント装置になると、携帯電子装置2aに最初に近接させられ、クライアントIPアドレスを受信した携帯電子装置2bが、最初のクライアント装置となる。次に、携帯電子装置2aに近接させられ、クライアントIPアドレスを受信した携帯電子装置2cが、2番目のクライアント装置となる。このように、次々に携帯電子装置2をアクセスポイント装置に近接させる簡単な方法で、アクセスポイント装置を中心として複数の携帯電子装置2を結ぶ1:N接続の無線LANによるネットワークを構成することができる。
【0099】
簡易操作型無線データ送受信システム1は、近接通信(NFC)狭帯域モードによりWf−Fi通信接続条件データ26をアクセスポイント装置からクライアント装置に送受信させる方法を使用して、広帯域Wi−Fiインフラストラクチャモードネットワークを確立させる。従来のシステムでは、近接通信のみによる広帯域通信ではLANによるネットワークを形成できず、Wi−FiのLANのみでは、パスワードやSSID設定など複雑な入力が必要であった。本実施形態に係る簡易操作型無線データ送受信システム1では、直感的で極めて簡単な操作で広帯域Wi−Fiインフラストラクチャモードネットワークにより電子データ12を送受信することができる。
【0100】
図12は、本実施形態に係る簡易操作型無線データ送受信システム1における電子データ12の送受信処理のフローを示す。簡易操作型無線データ送受信システム1は、携帯電子装置2a及び携帯電子装置2bを備える。ここで、携帯電子装置2aはアクセスポイント装置に指定され、携帯電子装置2bはクライアント装置に指定されるものとする。携帯電子装置2a及び携帯電子装置2bは、ユーザによって、電源が供給され、かつ電子データ12を送受信する簡易型送受信システムがそれぞれ起動される(S301及びS302)。携帯電子装置2aは、ユーザによって、データ表示部14に表示されているアクセスポイント指示アイコン77が第1回送信操作としてタッチされる(S303)。これにより、携帯電子装置2aのタッチパネル入力操作部27は、アクセスポイント指示アイコン77がタッチされたことを検知する。
【0101】
アクセスポイント指示アイコン77がタッチされると、携帯電子装置2aのCPU32は、直ちにWi−Fi通信接続条件データ26を作成する(S304)。本発明の第1の実施形態に係るCPU32は、ICカード3のNFCデータ記憶部40にある不揮発性メモリ領域のNFC・IDデータ39からWi−Fi基礎接続データ25を生成し、簡易伝送SSID37他セキュリティ条件、パスワード等のWi−Fi通信接続条件データ26を生成する。それに対し、本実施形態に係るCPU32は、NFC・IDデータ39とは別に、携帯電子装置2aのデータ記憶部13にWi−Fi通信接続条件データ26を独自に作成する。CPU32は、携帯電子装置2aをアクセスポイント装置に指定した後(S305)、データ表示部14にアクセスポイント表示アイコン78を点灯させる(S306)。
【0102】
ユーザは、点灯したアクセスポイント表示アイコン78を視認したことに応じて、第2回目送信操作として、携帯電子装置2aと携帯電子装置2bとを近接させる。携帯電子装置2aのCPU32は、携帯電子装置2aの近接通信データリーダ/ライタ部9に、近接通信無線信号8を介して携帯電子装置2bに内蔵されたICカード3のNFC・IDデータ39を検知させる(S307)。携帯電子装置2aのCPU32は、データ表示部14にWi−Fi通信状態表示アイコン80の内左端の一つを点滅させる(S308)。データ表示部14において、左端のWi−Fi通信状態表示アイコン80のみが点灯している状態は、Wi−Fi通信が開始したことを意味する。次に、携帯電子装置2aのCPU32は、データ記憶部13に記憶されているWi−Fi通信接続条件データ26を携帯電子装置2bのNFCデータ記憶部40に設けられたフリー領域に転送する(S309)。
【0103】
携帯電子装置2bの近接通信データリーダ/ライタ部9は、近接通信無線信号8を介して、携帯電子装置2aによって作成されたWi−Fi通信接続条件データ26を受信する(S310)。このWi−Fi通信接続条件データ26は、携帯電子装置2a及び携帯電子装置2bにおいて共通に使用される簡単伝送SSID37を含む。携帯電子装置2bのCPU32は、Wi−Fi通信接続条件データ26を近接通信受信したことに応じて、データ表示部14にWi−Fi通信状態表示アイコン80の内左端の一つを点滅させる(S311)。データ表示部14において、左端のWi−Fi通信状態表示アイコン80のみが点灯している状態は、Wi−Fi通信が開始したことを意味する。さらに、携帯電子装置2bのCPU32は、Wi−Fi無線送受信部11に、アクセスポイント装置である携帯電子装置2aに対して、簡単伝送SSID37をWi−Fiの広帯域無線信号10を介して発信させる(S312)。
【0104】
アクセスポイント装置である携帯電子装置2aのCPU32は、Wi−Fi無線送受信部11が簡単伝送SSID37を受信したことに応じて(S313)、携帯電子装置2bをクライアント装置と認知する(S314)。携帯電子装置2aのCPU32は、Wi−Fi無線送受信部11に、クライアントIPアドレスを携帯電子装置2bに対して、広帯域無線信号10を介して送信させる(S315)。携帯電子装置2aのCPU32は、データ表示部14に全てのWi−Fi通信状態表示アイコン80を点灯させる(S316)。データ表示部14において、4つのWi−Fi通信状態表示アイコン80の全てが点灯している状態は、Wi−Fi送受信通信の準備が完了したことを意味する。
【0105】
携帯電子装置2bのCPU32は、Wi−Fi無線送受信部11がクライアントIPアドレスを受信したことに応じて、携帯電子装置2bのIPアドレスをクライアントIPアドレスに設定する(S317)。携帯電子装置2aのCPU32は、データ表示部14にクライアント表示アイコン79を点灯させ(S318)、さらに、データ表示部14に全てのWi−Fi通信状態表示アイコン80を点灯させる(S319)。データ表示部14において、4つのWi−Fi通信状態表示アイコン80の全てが点灯している状態は、Wi−Fi送受信通信の準備が完了したことを意味する。
【0106】
次に、携帯電子装置2bのCPU32は、データ表示部14に、送信される電子データ12をユーザに選択させるための電子データ選択画面を表示させる(S320)。電子データ12に表示されたアイコンが、第3回目送信操作としてユーザにタッチされたことに応じて、携帯電子装置2bのCPU32は、タッチパネル入力操作部27にアイコンがタッチされたことを検知させる(S321)。次に、携帯電子装置2bのCPU32は、第4回目送信操作としてユーザによって携帯電子装置2bがスイングされるか、データ表示部14に対して電子データ12を送信する操作がなされたことに応じて、加速度センサ28又はタッチパネル入力操作部27に電子データ12を送信するための送信操作を検知させる(S322)。
【0107】
携帯電子装置2bのCPU32は、送信すべき電子データ12が選択されているか否かを判定し(S323)電子データ12が選択されていないと判定すると(S323でNo)、ステップS320を実行する。一方、携帯電子装置2bのCPU32は、電子データ12が選択されていると判定すると(S323でYes)、Wi−Fi無線送受信部11に電子データ12を広帯域無線信号10を介して送信させる(S324)。携帯電子装置2bのCPU32は、データ表示部14に送信完了を表示させる(S325)。携帯電子装置2aのCPU32は、Wi−Fi無線送受信部11が電子データ12を受信したことに応じて(S326)、データ表示部14に受信完了を表示させる(S327)。このように、ユーザは、二つの装置を近接させて、タッチ又はスイングによる簡単操作を4回実行することにより、互いの送受信状態を明示的に確認しながら人が握手をするような直感的な操作で、無線LANによる広帯域の電子データ12を機器に送受信させることができる。
【0108】
次に、本発明の第3の実施形態に係る簡易操作型無線データ送受信システム1について説明する。図13は、本発明の実施形態に係る簡易操作型無線データ送受信システム1の構成を示す。簡易操作型無線データ送受信システム1は、携帯電子装置2、据置電子装置4、及びデータ蓄積装置5として、携帯電子装置2d、据置電子装置4a、及びデータ蓄積装置5aを備える。ここで、据置電子装置4aとデータ蓄積装置5aは、携帯電子装置2dを介して同一の簡単伝送SSID37によって、Wi−FiのLANネットワークが確立される。
【0109】
携帯電子装置2dは、ICカード3と、近接通信データリーダ/ライタ部9と、広帯域無線信号10によりWi−Fiインフラストラクチャモードで送受信するWi−Fi無線送受信部11と、データ表示部14を備える。データ表示部14は、アクセスポイント指示アイコン77と、アクセスポイント表示アイコン78と、クライアント表示アイコン79を表示する。据置電子装置4aは、ICカード3と、近接通信データリーダ/ライタ部15と、Wi−Fi無線送受信部16と、データ記憶部17と、データ表示部18とを備える。データ表示部18は、アクセスポイント指示アイコン77と、アクセスポイント表示アイコン78と、クライアント表示アイコン79と、横一列に並べられた4つのWi−Fi通信状態表示アイコン80を表示する。
【0110】
データ蓄積装置5aは、ICカード3と、近接通信データリーダ/ライタ部19と、Wi−Fi無線送受信部20と、データ記憶部21とを備える。データ蓄積装置5aは、その側面にアクセスポイント指示アイコン77と同機能のアクセスポイント指示スイッチ81を備え、その前面に、アクセスポイント表示アイコン78と同機能のアクセスポイント表示ランプ82と、クライアント表示アイコン79と同機能のクライアント表示ランプ83と、Wi−Fi通信状態表示アイコン80と同機能の横一列に並べられた4つのWi−Fi通信状態表示ランプ84を備える。
【0111】
簡易操作型無線データ送受信システム1において、Wi−FiのLANネットワークが確立されるとき、携帯電子装置2d、据置電子装置4a、及びデータ蓄積装置5aは、ユーザによって電源が供給され、かつ電子データ12を送受信する簡易型送受信システムがそれぞれ起動される。データ蓄積装置5aは、アクセスポイント指示スイッチ81がユーザによって押下されることにより、アクセスポイント装置に設定される。携帯電子装置2dは、ユーザによってアクセスポイント装置であるデータ蓄積装置5aに近接させられ、データ蓄積装置5aにあるWi−Fi通信接続条件データ26を近接通信により受信する。Wi−Fi通信接続条件データ26は、簡単伝送SSID37を含む。
【0112】
次に、携帯電子装置2dは、ユーザによって据置電子装置4aに近接させられ、データ蓄積装置5aから受信したWi−Fi通信接続条件データ26を据置電子装置4aの近接通信データリーダ/ライタ部15に取得させる。このように、ユーザは、携帯電子装置2dを用いて、人がバトンを手渡すような動作で、Wi−Fi通信接続条件データ26に含まれる簡単伝送SSID37をアクセスポイント装置であるデータ蓄積装置5aからクライアント装置となる据置電子装置4aへ送信することができる。これにより、据置電子装置4a及びデータ蓄積装置5aは、共通で同一のSSIDによってWi−FiのLANネットワークが確立される。
【0113】
図14は、本実施形態に係る簡易操作型無線データ送受信システム1における電子データ12の送受信処理のフローを示す。簡易操作型無線データ送受信システム1は、データ蓄積装置5a、携帯電子装置2d、及び据置電子装置4aを備える。ここで、データ蓄積装置5aはアクセスポイント装置となり、据置電子装置4aはクライアント装置となる。データ蓄積装置5a、携帯電子装置2d、及び据置電子装置4aは、ユーザによって、電源が供給され、かつ電子データ12を送受信する簡易型送受信システムがそれぞれ起動される(S401乃至S403)。データ蓄積装置5aのCPU56は、第1回目送信操作としてデータ蓄積装置5aの側面に設けられたアクセスポイント指示スイッチ81がユーザに押下されたことを検知する(S404)。CPU56は、アクセスポイント指示スイッチ81が押下されたことに応じて、Wi−Fi通信接続条件データ26を作成し(S405)、データ蓄積装置5aをアクセスポイント装置に指定する(S406)。
【0114】
次に、CPU56は、データ蓄積装置5aの前面に設けられたアクセスポイント表示ランプ82を点灯させる(S407)。その後、CPU56は、第2回目送信操作として、ユーザによって携帯電子装置2dがデータ蓄積装置5aに近接させられると、データ蓄積装置5aの近接通信データリーダ/ライタ部19に携帯電子装置2dに内蔵されているICカード3を検知させる(S408)。CPU56は、近接通信データリーダ/ライタ部19が携帯電子装置2dのICカード3を検知したことに応じて、Wi−Fi通信の開始をユーザに知らせるWi−Fi通信状態表示ランプ84の左端の一つを点灯させる(S409)。さらに、CPU56は、データ記憶部21に作成されているWi−Fi通信接続条件データ26を、内蔵されているICカード3のNFCデータ記憶部40のフリー領域に転送する(S410)。
【0115】
ICカード3を内蔵した携帯電子装置2dは、近接通信無線信号8を介して、NFCデータ記憶部40のフリー領域に転送されたWi−Fi通信接続条件データ26を受信する(S411)。携帯電子装置2dは、第3回目送信操作として、ユーザによって据置電子装置4aに近接させられる。据置電子装置4aのCPU50は、近接通信データリーダ/ライタ部15に、データ蓄積装置5aから携帯電子装置2dに受信されたWi−Fi通信接続条件データ26を受信させる(S412)。このWi−Fi通信接続条件データ26は、簡単伝送SSID37を含む。CPU50は、Wi−Fi通信接続条件データ26をNFC受信したことに応じて、データ表示部14にWi−Fi通信状態表示アイコン80の内左端の一つを点滅させる(S413)。さらに、CPU50は、Wi−Fi無線送受信部16に、アクセスポイント装置であるデータ蓄積装置5aに対して、簡単伝送SSID37をWi−Fiの広帯域無線信号10を介して発信させる(S414)。
【0116】
アクセスポイント装置であるデータ蓄積装置5aのCPU56は、Wi−Fi無線送受信部20が簡単伝送SSID37を受信したことに応じて(S415)、据置電子装置4aをクライアント装置と認知する(S416)。CPU56は、Wi−Fi無線送受信部20に、クライアントIPアドレスを据置電子装置4aに対して、広帯域無線信号10を介して送信させる(S417)。CPU56は、全てのWi−Fi通信状態表示ランプ84を点灯させる(S418)。ここで、4つのWi−Fi通信状態表示ランプ84の全てが点灯している状態は、Wi−Fi送受信通信の準備が完了したことを意味する。
【0117】
据置電子装置4aのCPU50は、Wi−Fi無線送受信部16がクライアントIPアドレスを受信したことに応じて、据置電子装置4aのIPアドレスをクライアントIPアドレスに設定する(S419)。CPU50は、データ表示部18にクライアント表示アイコン79を点灯させ(S420)、さらに、データ表示部18に全てのWi−Fi通信状態表示アイコン80を点灯させる(S421)。データ表示部18において、4つのWi−Fi通信状態表示アイコン80の全てが点灯している状態は、Wi−Fi送受信通信の準備が完了したことを意味する。
【0118】
次に、CPU50は、データ表示部18に、送信される電子データ12をユーザに選択させるための電子データ選択画面を表示させる(S422)。電子データ12に表示されたアイコンが、第4回目送信操作としてユーザにタッチされたことに応じて、CPU50は、タッチパネル入力操作部46にアイコンがタッチされたことを検知させる(S423)。次に、CPU50は、第5回目送信操作としてユーザによって据置電子装置4aに音声が入力されるか、データ表示部18に対して電子データ12を送信する操作がなされたことに応じて、音声処理部48又はタッチパネル入力操作部46に電子データ12を送信するための送信操作を検知させる(S424)。
【0119】
CPU50は、送信すべき電子データ12が選択されているか否かを判定し(S425)電子データ12が選択されていないと判定すると(S425でNo)、ステップS422を実行する。一方、CPU50は、電子データ12が選択されていると判定すると(S425でYes)、Wi−Fi無線送受信部16に電子データ12を、広帯域無線信号10を介して送信させる(S426)。CPU50は、データ表示部18に送信完了を表示させる(S427)。データ蓄積装置5aのCPU56は、Wi−Fi無線送受信部20が電子データ12を受信したことに応じて(S428)、データ表示部22に受信完了を表示させる(S429)。
【0120】
このように、簡易操作型無線データ送受信システム1は、Wi−Fi通信接続条件データ26に含まれている簡単伝送SSID37をデータ蓄積装置5aや据置電子装置4a等の複数の電子装置に共通のSSIDとして使用させる。これにより、データ蓄積装置5aと据置電子装置4aは、Wi−Fiインフラストラクチャモードの無線LAN接続を確立して電子データ12を送受信する。ユーザは、あたかも陸上リレー競技でバトンタッチされるバトンのように、携帯電子装置2dを一方の電子装置から他方の電子装置へ2度近接させることにより、電子データ12を送受信することができる。ユーザは、このような人間の習慣に基づく直観的な操作で、かつ送信したい電子データ12に関連付けられたアイコンをタッチし、操作回数の少ない簡単操作で電子データ12を送受信することが可能となる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電子装置と第2電子装置からなる複数の電子装置の間で、Wi−Fiインフラストラクチャモードの無線通信方式により電子データを送受信する簡易操作型無線データ送受信システムにおいて、
前記電子装置は、ユーザの操作を検出するユーザ操作検出部と、電子データを記憶するデータ記憶部と、前記電子データのタイトル又は該電子データに関連付けられたアイコンを表示するデータ表示部と、装置全体を制御する制御部と、装置全体を制御する制御プログラムを記憶する主記憶部と、無線により該電子データを送受信するWi−Fi無線送受信部と、前記第1電子装置及び前記第2電子装置で共通に使用されるWi−Fi基礎接続データ又はWi−Fi通信接続条件データを受信する近接通信データリーダ/ライタ部と、を備え、
前記第2電子装置の前記Wi−Fi無線送受信部は、前記Wi−Fi通信接続条件データに含まれる無線ネットワーク識別子(SSID)を前記第1電子装置に対して発信し、
前記第1電子装置の前記Wi−Fi無線送受信部は、前記無線ネットワーク識別子を受信し、前記第2電子装置をクライアント装置に指定するためのクライアントIPアドレスを、該第2電子装置に発信し、
前記電子装置の前記ユーザ操作検出部は、前記データ表示部に表示された前記タイトル又は前記アイコンがユーザによって選択される操作と、該タイトル又は該アイコンに関連付けられた前記電子データを送信する送信操作とが実行されたことを検出し、
前記電子装置の制御部は、前記ユーザ操作検出部が前記選択操作及び前記送信操作を検出したことに応じて、前記Wi−Fi無線送受信部に前記電子データを送受信させることを特徴とする簡易操作型無線データ送受信システム。
【請求項2】
前記制御部は、前記Wi−Fi無線送受信部が前記無線ネットワーク識別子を受信したか否かを検知し、該Wi−Fi無線送受信部が所定時間内に該無線ネットワーク識別子を検知しなかったことに応じて、該電子装置をアクセスポイント装置に指定することを特徴とする請求項1に記載の簡易操作型無線データ送受信システム。
【請求項3】
NFC・IDデータを記憶するICカードをさらに備え、
前記ICカードは、前記第1電子装置及び前記第2電子装置から分離された単体として形成されるか、該第1電子装置又は該第2電子装置と一体に形成され、
前記近接通信データリーダ/ライタ部は、前記ICカードが近接させられたことに応じて、該ICカードからNFC・IDデータを取得し、
前記制御部は、前記近接通信データリーダ/ライタ部が取得した該NFC・IDデータに基づいて前記Wi−Fi通信接続条件データを生成することを特徴とする請求項1に記載の簡易操作型無線データ送受信システム。
【請求項4】
前記ユーザ操作検出部は、前記電子装置が動かされたことによる加速度を検知して加速度出力信号を出力する加速度センサをさらに備え、
前記制御部は、前記加速度センサによって出力された前記加速度出力信号の振幅値、該加速度出力信号が出力された回数、又は該加速度出力信号が出力された時間間隔に基づいて、前記Wi−Fi無線送受信部に前記電子データを送信させることを特徴とする請求項1に記載の簡易操作型無線データ送受信システム。
【請求項5】
前記ユーザ操作検出部は、ユーザが発声する音を検知するマイクと、該音を検知して音声出力信号若しくは音声記号として出力し、又は該音についての声紋を認識する音声処理部とをさらに備え、
前記制御部は、前記音声処理部によって出力された前記音声出力信号の波形若しくは周波数、又は前記音声記号若しくは前記声紋に基づいて、前記Wi−Fi無線送受信部に前記電子データを送信させることを特徴とする請求項1に記載の簡易操作型無線データ送受信システム。
【請求項6】
前記電子装置は、前記Wi−Fi通信接続条件データを記憶するNFCデータ記憶部を具備するICカードをさらに備え、
前記第1電子装置の前記制御部は、該第1電子装置に対して、電源を供給するための操作、前記電子データを送受信するための操作、又は該第1電子装置をアクセスポイント装置に指定する操作のいずれかが実行されたことに応じて、該第1電子装置をアクセスポイント装置に指定し、
前記第2電子装置の前記近接通信データリーダ/ライタ部は、前記第1電子装置のNFCデータ記憶部に記憶された前記Wi−Fi通信接続条件データを受信することを特徴とする請求項1に記載の簡易操作型無線データ送受信システム。
【請求項7】
前記電子装置として、第3電子装置をさらに備え、
前記第1電子装置乃至前記第3電子装置は、前記Wi−Fi通信接続条件データを記憶するNFCデータ記憶部を具備するICカードを備え、
前記第3電子装置の前記近接通信データリーダ/ライタ部は、前記第1電子装置のNFCデータ記憶部に記憶された前記Wi−Fi通信接続条件データを受信し、
前記第2電子装置の前記近接通信データリーダ/ライタ部は、前記第3電子装置の前記NFCデータ記憶部に記憶された前記Wi−Fi通信接続条件データを受信することを特徴とする請求項1に記載の簡易操作型無線データ送受信システム。
【請求項8】
第1コンピュータと第2コンピュータからなる複数のコンピュータ間で、Wi−Fiインフラストラクチャモードの無線通信方式により電子データを送受信する簡易操作型無線データ送受信プログラムにおいて、
前記コンピュータは、ユーザの操作を検出するユーザ操作検出部と、電子データを記憶するデータ記憶部と、前記電子データのタイトル又はアイコンを表示するデータ表示部と、装置全体を制御する制御部と、装置全体を制御する制御プログラムを記憶する主記憶部と、無線により該電子データを送受信するWi−Fi無線送受信部と、前記第1コンピュータ及び前記第2コンピュータで共通に使用されるWi−Fi基礎接続データ又はWi−Fi通信接続条件データを受信する近接通信データリーダ/ライタ部と、を備え、
前記第2コンピュータの前記制御部に、
該第2コンピュータの前記Wi−Fi無線送受信部に、前記Wi−Fi通信接続条件データに含まれる無線ネットワーク識別子(SSID)を該第1コンピュータに対して発信させるステップと、
前記第1コンピュータの前記制御部に、
該第1コンピュータの前記Wi−Fi無線送受信部に、前記無線ネットワーク識別子を受信させ、前記第2コンピュータをクライアントコンピュータに指定するためのクライアントIPアドレスを、該第2コンピュータに発信させるステップと、
前記コンピュータの前記制御部に、
ユーザ操作検出部に、前記データ表示部に表示された前記タイトル又は前記アイコンがユーザによって選択される操作と、該タイトル又は該アイコンに関連付けられた前記電子データを送信する送信操作とが実行されたことを検出させるステップと、
前記ユーザ操作検出部が前記選択操作及び前記送信操作を検出したことに応じて、前記Wi−Fi無線送受信部に前記電子データを送受信させるステップと、をコンピュータに実行させることを特徴とする簡易操作型無線データ送受信プログラム。
【請求項9】
前記制御部に、前記Wi−Fi無線送受信部が前記無線ネットワーク識別子を受信したか否かを検知させ、該Wi−Fi無線送受信部が所定時間内に該無線ネットワーク識別子を検知しなかったことに応じて、該コンピュータをアクセスポイント装置に指定させるステップをコンピュータに実行させることを特徴とする請求項8に記載の簡易操作型無線データ送受信プログラム。
【請求項10】
前記第1コンピュータ及び前記第2コンピュータから分離されて形成されたNFC・IDデータを記憶するICカード、又は前記第1コンピュータ又は前記第2コンピュータと一体に形成された該ICカードが前記近接通信データリーダ/ライタ部に近接させられたことに応じて、
前記制御部に、
前記近接通信データリーダ/ライタ部に前記ICカードからNFC・IDデータを取得させるステップと、
前記近接通信データリーダ/ライタ部が取得した該NFC・IDデータに基づいて前記Wi−Fi通信接続条件データを生成するステップと、をコンピュータに実行させることを特徴とする請求項8に記載の簡易操作型無線データ送受信プログラム。
【請求項11】
前記ユーザ操作検出部は、前記コンピュータが動かされたことによる加速度を検知して加速度出力信号を出力する加速度センサをさらに備え、
前記制御部に、前記加速度センサによって出力された前記加速度出力信号の振幅値、該加速度出力信号が出力された回数、又は該加速度出力信号が出力された時間間隔に基づいて、前記Wi−Fi無線送受信部に前記電子データを送信させるステップをコンピュータに実行させることを特徴とする請求項8に記載の簡易操作型無線データ送受信プログラム。
【請求項12】
前記ユーザ操作検出部は、ユーザが発声する音を検知するマイクと、該音を検知して音声出力信号若しくは音声記号として出力し、又は該音についての声紋を認識する音声処理部とをさらに備え、
前記制御部に、前記音声処理部によって出力された前記音声出力信号の波形若しくは周波数、又は前記音声記号若しくは前記声紋に基づいて、前記Wi−Fi無線送受信部に前記電子データを送信させるステップをコンピュータに実行させることを特徴とする請求項8に記載の簡易操作型無線データ送受信プログラム。
【請求項13】
前記コンピュータは、前記Wi−Fi通信接続条件データを記憶するNFCデータ記憶部を具備するICカードをさらに備え、
前記第1コンピュータの前記制御部に、該第1コンピュータに対して、電源を供給するための操作、前記電子データを送受信するための操作、又は該第1コンピュータをアクセスポイント装置に指定する操作のいずれかが実行されたことに応じて、該第1コンピュータをアクセスポイント装置に指定させるステップと、
前記第2コンピュータの前記制御部に、該第2コンピュータの前記近接通信データリーダ/ライタ部に、前記第1コンピュータのNFCデータ記憶部に記憶された前記Wi−Fi通信接続条件データを受信させるステップと、をコンピュータに実行させることを特徴とする請求項8に記載の簡易操作型無線データ送受信プログラム。
【請求項14】
前記コンピュータとして、第3コンピュータをさらに備え、
前記第1コンピュータ乃至前記第3コンピュータは、前記Wi−Fi通信接続条件データを記憶するNFCデータ記憶部を具備するICカードを備え、
前記第3コンピュータの前記制御部に、該第3コンピュータの前記近接通信データリーダ/ライタ部に、前記第1コンピュータのNFCデータ記憶部に記憶された前記Wi−Fi通信接続条件データを受信させるステップと、
前記第2コンピュータの前記制御部に、該第2コンピュータの前記近接通信データリーダ/ライタ部に、前記第3コンピュータの前記NFCデータ記憶部に記憶された前記Wi−Fi通信接続条件データを受信させるステップと、をコンピュータに実行させることを特徴とする請求項8に記載の簡易操作型無線データ送受信プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−31144(P2013−31144A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−231522(P2011−231522)
【出願日】平成23年10月21日(2011.10.21)
【特許番号】特許第5037718号(P5037718)
【特許公報発行日】平成24年10月3日(2012.10.3)
【出願人】(507251583)株式会社ビジョナリスト (2)
【Fターム(参考)】