説明

簡易散水設備

【課題】容易且つ安価に設置でき、必要時に必要な場所で、比較的体力を有しないものが一人で簡単に扱うことができ、日常の生活における散水から火災時の消火のための放水に至るまで幅広い用途に効果的に対応でき得る簡易散水設備を提供することを目的としている。
【解決手段】散水するための水を蓄える貯水槽3と、貯水槽3内に配置され、貯水槽3内の水を加圧する水中ポンプ5と、水中ポンプ5で加圧された水を送るホース7と、人の手で保持され、ホース7により送られた水を放出するノズル1と、ノズル1を保持している人が操作できるスイッチ9と、スイッチ9からの信号に基づき水中ポンプ5を遠隔で起動及び停止する制御盤11と、を具えてなる簡易散水設備である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一人でノズルを持ちながら容易に放水の開始および停止を操作し得る簡易散水設備に関するものである。
【0002】
近年の社会の高齢化により、高齢者が一人で暮らす住宅及び、高齢者が少人数単位で共同生活を送る施設であるグループホームが増加し、それに伴い火災事故が増加している。一方でこのような住宅や施設の多くは、一般住宅であるため又は事業規模が小さいために消防法で消火設備の設置が義務づけられていないことや、消火設備の設置およびメンテナンスに多額の費用を要することを理由に、消火栓設備やスプリンクラー設備等の消火能力が高い消火設備を設置していないことが多い。
【0003】
すなわち、上記のような住宅や小規模な施設では、安価に設置できる消火器具又は設備として、消火器や水バケツ・水槽等の簡易消火用具が用いられている。(非特許文献1参照)。
【非特許文献1】消防法施行令第七条2項1号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の簡易消火用具は消火能力が低く、しかも比較的体力を有しない高齢者がそれら簡易消火用具を扱うには肉体的な負担が大きいため、火災に効果的に対応できるものではなかった。
【0005】
そこで、日常の生活における散水(例えば植木や芝への散水)から火災時の消火のための放水に至るまで幅広い用途に効果的に対応できる散水設備へのニーズが高まっている。
【0006】
それゆえ本発明は、容易且つ安価に設置でき、必要時に必要な場所で、比較的体力を有しないものが一人で簡単に扱うことができ、日常の生活における散水から火災時の消火のための放水に至るまで幅広い用途に効果的に対応できる簡易散水設備を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、本発明の簡易散水設備は、散水するための水を蓄える貯水槽と、前記貯水槽内に配置され、前記貯水槽内の水を加圧する水中ポンプと、前記水中ポンプで加圧された水を送るホースと、人の手で保持され、前記ホースにより送られた水を放出するノズルと、前記ノズルを保持している人が操作できるスイッチと、前記スイッチからの信号に基づき前記水中ポンプを遠隔で起動及び停止する制御盤と、を具えることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
かかる簡易散水設備にあっては、散水を行う人がノズル及びホースを散水を行う場所まで引き出し、ノズルの先端を散水する目標物に向けるようにしてノズルを構え、その状態で、散水を行う人自身が水中ポンプを作動させるスイッチを操作することにより、貯水槽内に配置された水中ポンプが起動して、貯水槽内に蓄えられた水を加圧し、これによりホースを介してノズルへ水が送水される。また、反対に散水を止める場合は、散水を行う人自身が水中ポンプを停止させるスイッチを操作することにより、水中ポンプが停止して、ノズルへの送水が止まる。
【0009】
従って、本発明の簡易散水設備によれば、散水を行う人が所望の場所までノズル及びホースを引き出し、ノズルの先端を目標物に向けるようにしてノズルを構え、スイッチを操作するだけで放水を開始及び停止をすることができるので、必要時に必要な場所で散水でき、比較的体力を有しない人でも一人で簡単に散水することができる。
【0010】
さらに、散水場所を移動する場合にはスイッチを操作し、その場で放水を一時中断することができることから、本発明の簡易散水設備を例えば火災時の消火に使用する場合であって火災現場が複数ある場合に、その場で放水を一時中断して次の火災現場に移動できるので、一人でも十分な消火活動を行うことができる。
【0011】
さらに、上述のように一人で簡単に散水を行い得るので、例えば植木や芝への散水等の日常生活上の用途で頻繁に使用することができ、日頃からそのように使用することで、特別な操作訓練をしなくても火災時に迅速且つ効果的に散水設備を操作することが可能となり、しかも日常の生活で使用することで、特別に作動テストを実施する必要性をなくすことができる。
【0012】
また、散水する水の加圧に貯水槽の内部に設置した水中ポンプを用いるので、ポンプ専用のスペースを貯水槽とは別に確保する必要がなく、簡易散水設備の設置に必要なスペースを減少させることができ、またポンプを設置するための基礎および専用のポンプ室を必要としないので安価に設置することができ、しかも貯水槽と水中ポンプとを一体に移動可能であるので容易に移動及び設置することができる。
【0013】
なお、本発明の簡易散水設備においては、前記スイッチを前記ノズルに隣接して設けても良く、このようにすれば、散水を行う人自身が、散水を行いながらでも容易に前記スイッチを操作することができる。
【0014】
また、本発明の簡易散水設備においては、前記スイッチと前記制御盤とは、互いに電気ケーブルで電気的に接続されても良く、このようにすれば、散水を行う人がスイッチを操作することによりスイッチが発信した、水中ポンプを制御するための信号を、安定して確実に制御盤に伝達することができる。
【0015】
さらに、本発明の簡易散水設備においては、前記スイッチと前記制御盤とは、信号中継器を介して互いに電気ケーブルで電気的に接続され、前記スイッチと前記信号中継機とを電気的に接続する電気ケーブルは、前記ホース内の水の流路と同一の空間に導かれて、前記ホース内の一端から他端に亘って延在するようにしても良く、このようにすれば、ホースに沿った電気ケーブルの周囲に水を確保でき、火災現場においてホースが直に加熱されるような場合でもホース周囲の熱が電気ケーブルに伝わることがないため断線等の恐れが無く、スイッチが発信した信号を安定して信号中継機に伝達することができる。
【0016】
一方、本発明の簡易散水設備においては、前記スイッチと前記制御盤とは、信号中継器を介して互いに電気ケーブルで電気的に接続され、前記スイッチと前記信号中継機とを電気的に接続する電気ケーブルは、前記ホースの外側の一端から他端に亘って延在するようにしても良く、このようにすれば、ホースに沿った電気ケーブルの老朽具合又は損傷具合を一目で判断することができるので、保守管理が容易となって、メンテナンス費用を低減することができる。
【0017】
さらに、本発明の簡易散水設備においては、前記スイッチと前記信号中継機とは、前記ホースの両端に接続される連結部材にそれぞれ設置されても良く、このようにすれば、スイッチおよび信号中継機を、それぞれ連結部材とともに着脱することができるので、スイッチおよび信号中継機のメンテナンスまたは交換を容易に行うことができる。
【0018】
あるいは、本発明の簡易散水設備においては、前記スイッチは、前記制御盤に無線で前記信号を送信し、前記制御盤は、その信号を受信するようにしても良く、このようにすれば、スイッチからの、水中ポンプを制御する信号を無線で制御盤に送信できるので、電気ケーブルの断線等によって水中ポンプを遠隔制御できなくなる可能性を低下させて、過酷な周囲環境下でも安定した使用を可能にすることができる。また、ホースが老朽又は損傷した場合にはホースのみを交換すれば良いので、ホースを安価に且つ誰にでも容易に交換することができる。
【0019】
さらに、本発明の簡易散水設備においては、前記貯水槽は、1キロリットルから3キロリットルまでの何れかの量の水を収容するようにしても良く、このようにすれば、火災時の消火活動に使用する場合においても、初期消火に十分対応できる水量を確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を実施例によって、図面に基づき詳細に説明する。ここに、図1は、本発明の一実施例の簡易散水設備の全体構成を模式的に示す構成図である。
【0021】
図1に示すように、この実施例の簡易散水設備は、散水を行う人の手によって保持されて水を放出するノズル1と、そのノズル1から散水するための水を蓄える貯水槽3と、貯水槽3に蓄えられた水を加圧する水中ポンプ5と、その水中ポンプ5により加圧された水をノズル1に送水するホース7と、ノズル1を保持している人が操作できるスイッチ9と、そのスイッチ9からの信号を受信してその信号に基づき水中ポンプ5を起動及び停止する制御盤11と、上記スイッチ9からの信号を中継してその制御盤11に伝達する信号中継機13とを具えている。
【0022】
ここで、水中ポンプ5は、貯水槽3の内部に設置され、その水中ポンプ5の吐出口には、吐出配管15が接続されている。この水中ポンプ5は、比較的体力を有しない者でもノズル1の散水反力に耐えてノズル1を保持し得るように、比較的小型のもの(例えば130〜150リットル毎分の吐出能力を有するもの)が好ましく、この実施例では150リットル毎分の吐出能力を有する水中ポンプが用いられている。
【0023】
また、ノズル1と吐出配管15とは、それぞれ連結部材としてのノズル側ユニオンコネクタ17と吐出配管側ユニオンコネクタ19とを介して着脱可能に装着されたホース7で連結されている。このホース7には、軽量且つ水中ポンプ5からの吐出圧力に十分耐え得る強度および耐熱性を有したホースが用いられ、ホース7は、円形ホースでも平形ホースでも構わない。
【0024】
スイッチ9はノズル側ユニオンコネクタ17に設けられ、その一方、信号中継機13は吐出配管側ユニオンコネクタ19に設けられ、制御盤11は信号中継機13と水中ポンプ5との間に接続されている。さらに、スイッチ9と制御盤11とは信号中継機13を介して電気ケーブル21で電気的に接続され、制御盤11には外部の商用電源からの電源ケーブル23が接続され、制御盤11と水中ポンプ5とは動力ケーブル25で接続されている。これら電気ケーブル21、電源ケーブル23および動力ケーブル25は、絶縁性、耐熱性および耐火性に優れた材質で被覆されたケーブルが好ましい。また貯水槽3の上部には、外部から水を供給できるように給水配管27が接続され、その給水配管27に設けられたフロート弁29で貯水槽3は水位管理されている。
【0025】
図2は、上記実施例の簡易散水設備におけるノズル1とノズル側ユニオンコネクタ17とスイッチ9と信号中継機13と吐出配管15と吐出配管側ユニオンコネクタ19とをそれぞれ示す斜視図、また図3は、上記実施例の簡易散水設備における水中ポンプ5と制御盤11と中継信号機13と吐出配管15とをそれぞれ示す斜視図である。
【0026】
図2に示すように、ノズル1は、水を放出する散水口31と、散水する人が持つことができる保持部分33と、散水の種類を直進(集束)、噴霧(拡散)又は停止に切り替えることができるコック35とを有し、ノズル1の手前側(図2では右側)には、ノズル側ユニオンコネクタ17を介してホース7が接続されている。
【0027】
さらに、散水側ユニオンコネクタの外面上部(図2では上側)には直方体状のスイッチ9が固設され、このスイッチ9は、人が押すことにより水中ポンプ5を遠隔で起動および停止させるための起動ボタン37と停止ボタン39とを有している。このスイッチ9の下面(ノズル側ユニオンコネクタ17と接している面)から出た電気ケーブル21(図2中点線で示す)は、散水側ユニオンコネクタ17をその外面から内面に向かって水密に貫通し、ホース7内の水の流路と同一の空間に導かれて、ホース7内の一端から他端に亘って延在している。
【0028】
また、図2に示すように、吐出配管15には、吐出配管側ユニオンコネクタ19を介して上記ホース7が接続されており、その吐出配管側ユニオンコネクタ19には外周に亘って信号中継機13を保持するための略円筒状の留め具41が固設され、その留め具41を介して直方体状の信号中継機13が固設されている。そして、一端部をスイッチ9に接続されてホース7内の全長に亘って延在してきた電気ケーブル21は、吐出配管側ユニオンコネクタ19および留め具41を水密に貫通して、信号中継機13に接続されており、信号中継機13の内部には、電気ケーブル21を信号中継機13に一旦固定してから制御盤11に向かわせる、図示しないターミナルが設けられている。
【0029】
さらに、図3に示すように、信号中継機13の一側面からは電気ケーブル21が突出し、その電気ケーブル21はスタンド43に固設された制御盤11に接続されている。なお、制御盤11には、制御盤11を人が直接操作することで水中ポンプ5を制御することができる操作ボタン44が設けられている。
【0030】
図4は、上記実施例の簡易散水設備における貯水槽3を示す斜視図である。
【0031】
貯水槽3の内部には、ここでは図示しない水中ポンプ5が設置され、貯水槽3の上面にはその水中ポンプ5を搬入出するための開口部45が設けられ、その開口部45には安全および雨水の浸入防止のため蓋47が設けられ、その蓋47の中心部分には水中ポンプ5の吐出口に接続されたここでは図示しない吐出配管15が貫通している。また、貯水槽3の上面には貯水するための水を供給する給水配管27を挿入するための穴49が設けられている。
【0032】
また、上記実施例では、貯水槽3は3キロリットルの量の水を収容できる大きさのものであり、この貯水槽3は、例えばFRP(繊維強化プラスチック)で形成された丸みを帯びたタンクや、増設可能型パネルタンク、もしくはそれらと同等の強度を有する材質で形成されたタンクとすることが好ましい。
【0033】
かかる実施例の簡易散水設備にあっては、散水を行う人が、ノズル1及びホース7を所望の場所まで引き出し、ノズル1の保持部33を保持し、散水口31を散水する目標物に向けるようにしてノズル1を構えた状態で、散水を行う人自身でノズル1に隣接したスイッチ9に設けられた起動ボタン37を押すことにより、貯水槽3に蓄えられた水を加圧する水中ポンプ5が起動し、ノズル1へ水が送水される。反対に、ノズルへの送水を停止する場合は、散水を行う人自身でスイッチ9に設けられた停止ボタン39を押すことにより、水中ポンプ5が停止し、ノズル1への送水が止まる。
【0034】
従って、本実施例の簡易散水設備によれば、散水を行う人が所望の場所までノズル1及びホース7を引き出し、先端の散水口31を散水する目標物に向けるようにしてノズル1を構え、散水を行う人自身がスイッチ9に設けられたボタン37,39を操作するだけで放水を開始及び停止することができるので、必要時に必要な場所で散水でき、比較的体力を有しない人でも一人で簡単に散水することができる。
【0035】
さらに、散水場所を変更する場合には起動及び停止ボタン37,39を操作し、その場で放水を一時中断することができることから、本実施例の簡易散水設備を例えば火災時の消火に使用する場合であって火災現場が複数ある場合に、その場で放水を一時中断して次の火災現場に移動できるので、一人でも十分な消火活動を行うことができる。
【0036】
さらに、上述したように一人で簡単に散水を行い得るので、例えば植木や芝への散水等の日常生活上の用途で頻繁に使用することができ、日頃からそのように使用することで、特別な操作訓練をしなくても火災時に迅速且つ効果的に簡易散水設備を操作することが可能となるとともに、日常の生活で使用することで特別に作動テストを実施する必要性をなくすことができる。
【0037】
また、散水する水の加圧に貯水槽3の内部に設置した水中ポンプ5を用いるので、ポンプ専用のスペースを貯水槽3とは別に確保する必要がないため簡易散水設備の設置に必要なスペースを減少させることができるとともに、ポンプを設置するための基礎および専用のポンプ室を必要としないため簡易散水設備を安価に設置することができ、さらに貯水槽3と水中ポンプ5とが一体に移動可能であるので、簡易散水設備を容易に移設することができる。
【0038】
なお、本実施例の簡易散水設備によれば、スイッチ9はノズル1に隣接して設けられていているので、散水を行う人自身が、散水を行いながらでも容易にスイッチ9を操作して水中ポンプ5を遠隔制御することができる。
【0039】
さらに、本実施例の簡易散水設備によれば、スイッチ9および信号中継機13は、ホース7の両端に接続される連結部材としてのノズル側ユニオンコネクタ17および吐出配管側ユニオンコネクタ19に設置されていることから、スイッチ9および信号中継機13はそれぞれノズル側ユニオンコネクタ17および吐出配管側ユニオンコネクタ19とともに取付けまたは取外しができるので、スイッチ9および信号中継機13のメンテナンスおよび交換を容易に行うことができる。
【0040】
また、本実施例の簡易散水設備によれば、スイッチ9と制御盤11と信号中継機13とが、互いに電気ケーブル21で電気的に接続されているので、散水する人がスイッチ9を操作することにより発信された、水中ポンプ5を制御するための信号を、安定して確実に制御盤11に伝達することができる。
【0041】
また、本実施例の簡易散水設備によれば、スイッチ9と制御盤11とは、信号中継器13を介して互いに電気ケーブル21で電気的に接続され、スイッチ9と信号中継機13とを電気的に接続する電気ケーブル21は、ホース7内の水の流路と同一の空間に導かれて、ホース7内の一端から他端に亘って延在しているので、ホース7に沿った電気ケーブル21の周囲に水を確保でき、火災現場においてホース7が直に加熱されるような場合でもホース7の周囲の熱が電気ケーブル21に伝わることがないため断線等の恐れが無く、スイッチ9が発信した信号を安定して信号中継機13に伝達することができる。
【0042】
また、本実施例の簡易散水設備によれば、貯水槽3は3キロリットルの量の水を収容し、且つ水中ポンプの吐出能力が150リットル毎分であるから、消防法で規定されている屋内消火栓設備と同等の放水能力を有することとなり、初期消火に十分対応することができる。
【0043】
次に、本発明の他の一実施例の簡易散水設備を図示せずに説明するが、先の実施例の簡易散水設備におけると同一の機能を有する要素については、同一の符号を用いて説明する。
【0044】
先の実施例の簡易散水設備においては、スイッチ9と信号中継機13とを電気的に接続する電気ケーブル21が、ノズル側ユニオンコネクタ17と吐出配管側ユニオンコネクタ19とを連結しているホース7の水の流路と同一の空間に導かれホース7の内側の一端から他端に亘って延在していたのに対し、この実施例では、スイッチ9と信号中継機13とを接続する電気ケーブル21は、ノズル側ユニオンコネクタ17と吐出配管側ユニオンコネクタ19とを連結しているホース7の外側の一端から他端に亘って延在し、接着剤もしくは固定具等でホース7の外面に固設されている。その他の構成及び作用は、先の実施例の簡易散水設備(図1参照)と同様である。
【0045】
本実施例の簡易散水設備によれば、スイッチ9と信号中継機13とを電気的に接続する電気ケーブル21が、ノズル側ユニオンコネクタ17と吐出配管側ユニオンコネクタ19とを連結しているホース7の外側に配置されていることから、電気ケーブル21の老朽具合又は損傷具合を一目で判断することができるので、保守管理が容易となって、メンテナンス費用を低減することができる。
【0046】
次に、本発明のさらに他の一実施例の簡易散水設備を図示せずに説明するが、先の実施例の簡易散水設備におけると同一の機能を有する要素については、同一の符号を用いて説明する。
【0047】
先の実施例の簡易散水設備においては、スイッチ9と制御盤11とが電気ケーブル21で電気的に接続されていたのに対し、この実施例では、スイッチ9は人が操作することにより水中ポンプ5を制御する無線の信号を制御盤11に送信し、制御盤11はその信号を受信する機能を有する。その他の構成及び作用は、先の実施例の簡易散水設備(図1参照)と同様である。
【0048】
本実施例の簡易散水設備によれば、スイッチ9は、制御盤11に無線で水中ポンプ5を制御する信号を送信し、制御盤11はその信号を受信するので、電気ケーブル21の断線等により水中ポンプ5が遠隔制御できなくなる可能性を低下させ得て、簡易散水設備を過酷な周囲環境下でも安定して使用することができる。またホース7が老朽または損傷した場合にはそのホース7のみを交換すれば良いので、ホース7を安価に且つ誰でも容易に交換することができる。
【0049】
なお、本発明は上述した実施例に限定されるものでなく、特許請求の範囲の記載範囲内で適宜変更することができるものであり、上述した実施例ではノズル1を一本としたが、水中ポンプの吐出側に分配配管を設けて複数のノズルを接続するようにし、それに伴い遠隔で水中ポンプを操作するためのスイッチをそれぞれのノズルに設けて、水中ポンプの起動・停止とノズルに対応する分配配管の電磁弁の開閉とを行っても良い。さらに、上述した実施例ではホース7を一本しか用いていないが、必要とされる距離に応じて、適宜本数を増やして繋げて延長しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0050】
かくして本発明の簡易散水設備によれば、散水を行う人が所望の場所までノズル及びホースを引き出し、ノズルの先端を目標物に向けるようにしてノズルを構え、スイッチを操作するだけで放水を開始及び停止をすることができるので、必要時に必要な場所で散水でき、比較的体力を有しない人でも一人で簡単に散水することができる。
【0051】
さらに、散水場所を移動する場合にはスイッチを操作し、その場で放水を一時中断することができることから、本発明の簡易散水設備を例えば火災時の消火に使用する場合であって火災現場が複数ある場合に、その場で放水を一時中断して次の火災現場に移動できるので、一人でも十分な消火活動を行うことができる。
【0052】
さらに、上述のように一人で簡単に散水を行い得るので、例えば植木や芝への散水等の日常生活上の用途で頻繁に使用することができ、日頃からそのように使用することで、特別な操作訓練をしなくても火災時に迅速且つ効果的に簡易散水設備を操作することが可能となり、しかも日常の生活で使用することで、特別に作動テストを実施する必要性をなくすことができる。
【0053】
また、散水する水の加圧に貯水槽の内部に設置した水中ポンプを用いるので、ポンプ専用のスペースを貯水槽とは別に確保する必要がなく、簡易散水設備の設置に必要なスペースを減少させることができ、またポンプを設置するための基礎および専用のポンプ室を必要としないので安価に設置できる。しかも貯水槽と水中ポンプとを一体に移動できることから、容易に移動及び設置することができ、そのような簡易散水設備として好適に利用できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の一実施例の簡易散水設備の全体構成を模式的に示す構成図である。
【図2】上記実施例の簡易散水設備におけるノズルとノズル側ユニオンコネクタとスイッチと信号中継機と吐出配管と吐出配管側ユニオンコネクタとをそれぞれ示す斜視図である。
【図3】上記実施例の簡易散水設備における水中ポンプと制御盤と中継信号機と吐出配管とをそれぞれ示す斜視図である。
【図4】上記実施例の簡易散水設備における貯水槽を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0055】
1 ノズル
3 貯水槽
5 水中ポンプ
7 ホース
9 スイッチ
11 制御盤
13 信号中継機
15 吐出配管
17 ノズル側ユニオンコネクタ
19 吐出配管側ユニオンコネクタ
21 電気ケーブル
23 電源ケーブル
25 動力ケーブル
27 給水配管
29 フロート弁
31 散水口
33 保持部分
35 コック
37 起動ボタン
39 停止ボタン
41 留め具
43 スタンド
44 操作ボタン
45 開口部
47 蓋
49 穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
散水するための水を蓄える貯水槽と、
前記貯水槽内に配置され、前記貯水槽内の水を加圧する水中ポンプと、
前記水中ポンプで加圧された水を送るホースと、
人の手で保持され、前記ホースにより送られた水を放出するノズルと、
前記ノズルを保持している人が操作できるスイッチと、
前記スイッチからの信号に基づき前記水中ポンプを遠隔で起動及び停止する制御盤と、
を具えてなる、簡易散水設備。
【請求項2】
前記スイッチは、前記ノズルに隣接して設けられたことを特徴とする、請求項1記載の簡易散水設備。
【請求項3】
前記スイッチと前記制御盤とは、互いに電気ケーブルで電気的に接続されたことを特徴とする、請求項1又は2記載の簡易散水設備。
【請求項4】
前記スイッチと前記制御盤とは、信号中継器を介して互いに電気ケーブルで電気的に接続され、
前記スイッチと前記信号中継器とを電気的に接続する電気ケーブルは、前記ホース内の水の流路と同一の空間に導かれて、前記ホース内の一端から他端に亘って延在することを特徴とする、請求項3記載の簡易散水設備。
【請求項5】
前記スイッチと前記制御盤とは、信号中継器を介して互いに電気ケーブルで電気的に接続され、
前記スイッチと前記信号中継機とを電気的に接続する電気ケーブルは、前記ホースの外側の一端から他端に亘って延在することを特徴とする、請求項3記載の簡易散水設備。
【請求項6】
前記スイッチと前記信号中継機とは、前記ホースの両端に接続される連結部材にそれぞれ設置されたことを特徴とする、請求項4又は5記載の簡易散水設備。
【請求項7】
前記スイッチは、前記制御盤に無線で前記信号を送信し、
前記制御盤は、その信号を受信することを特徴とする、請求項1又は2記載の簡易散水設備。
【請求項8】
前記貯水槽は、1キロリットルから3キロリットルまでの何れかの量の水を収容することを特徴とする、請求項1から7までの何れか記載の簡易散水設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−104977(P2008−104977A)
【公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−291526(P2006−291526)
【出願日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【出願人】(393011913)東京防災設備株式会社 (1)
【Fターム(参考)】