説明

簡易温室および簡易温室用骨組み

【課題】 少ない部材で簡易に組立が可能な簡易温室およびそれに用いる簡易温室用骨組を提供すること。
【解決手段】 光を地面100側に通す被覆部材と、被覆部材を保持する被覆部材保持手段2と、被覆部材保持手段2と地面100との間にできる空間の熱が外部に逃げるのを防止する例えば、発泡スチロール等の保温手段5と、被覆部材保持手段2を回動可能に保持する回動部と、地面に固定可能な固定部とを有する複数の固定手段と、を具備することを特徴とする簡易温室。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、安価で簡易に製造できる簡易温室およびそれに用いる簡易温室用骨組に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、観葉植物や家庭菜園等において、家庭の庭やベランダ等に載置する植木鉢等を覆い、内部の温度が下がるのを防止する温室がある(例えば、特許文献1)。
【0003】
【特許文献1】特開2001−333648(図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の温室は、複数の部材を必要とするためコストが掛かる他、組み立てが複雑になるという問題があった。
【0005】
そこで本発明は、少ない部材で簡易に組立が可能な簡易温室およびそれに用いる簡易温室用骨組を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の簡易温室は、光を地面側に通す被覆部材と、前記被覆部材を保持する被覆部材保持手段と、前記被覆部材保持手段を回動可能に保持する回動部と、地面に固定可能な固定部とを有する複数の固定手段と、を具備することを特徴とする。この場合、前記被覆部材保持手段と地面との間にできる空間の熱が外部に逃げるのを防止する保温手段を具備する方が好ましい。
【0007】
また、本発明の別の簡易温室は、光を地面側に通す被覆部材と、前記被覆部材を保持する被覆部材保持手段と、土等を収容する有底箱状であって、前記被覆部材保持手段との間にできる空間の熱が外部に逃げるのを防止する保温手段と、前記被覆部材保持手段を回動可能に保持する回動部と、地面に固定可能な固定部とを有する複数の固定手段と、を具備することを特徴とする。
【0008】
なお、前記保温手段は、発泡スチロールによって形成することができる。また、前記被覆部材は、内部に気体が封入された気層を有する方が好ましい。また、前記被覆部材は、ネット状のものを用いることもできる。また、前記被覆部材保持手段は、両端部に穴を有すると共に、突起状に形成された前記回動部に弾性力を付勢して係合可能な弓状に形成されるか、あるいは、両端部に突起を有すると共に、穴が形成された前記回動部に弾性力を付勢して係合可能な弓状に形成される方が好ましい。また、前記被覆部材保持手段は、前記固定手段の回動部に係合する補強部を有する方が好ましい。
【0009】
また、本発明の簡易温室用骨組みは、光を地面側に通す被覆部材を保持し、地面との間に簡易温室を形成するための簡易温室用骨組であって、前記被覆部材を保持する被覆部材保持手段と、前記被覆部材保持手段を回動可能に保持する回動部と、地面に固定可能な固定部とを有する複数の固定手段と、を具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1,10記載の発明によれば、被覆部材と被覆部材保持手段と固定手段という少ない部材で簡易に組立が可能であり、またコストも低減することができる。
【0011】
請求項2,4記載の発明によれば、保温手段を更に設けるので、保温効果を向上することができる。
【0012】
請求項3記載の発明によれば、保温手段を有底箱状とするので、屋内においても使用可能とすることができる。
【0013】
請求項5記載の発明によれば、被覆部材が内部に気体を封入された気層を有するので、更に保温効果を向上することができる。
【0014】
請求項6記載の発明によれば、被覆部材は、ネット状に形成されるので、夏等に野菜等を鳥から守ることができる。
【0015】
請求項7,8記載の発明によれば、被覆部材保持手段と固定手段との組立を簡易に行うことができる。
【0016】
請求項9記載の発明によれば、被覆部材保持手段は、固定手段の回動部に係合する補強部を有するので、比較的大きな簡易温室も組み立てることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
上記目的を達成するために、本発明の簡易温室用骨組10は、図1に示すように、被覆部材保持手段2と、固定手段3と、で主に構成される。また、本発明の簡易温室1は、図2に示すように、この簡易温室用骨組10によって被覆部材4を保持したものである。
【0018】
被覆部材4は、太陽等の光を地面100側に通すものであればどのようなものでも良く、例えば、透明や半透明のビニールやポリエチレン等、合成樹脂製のものを用いることができる。この場合、厚みは簡易温室1内の熱が逃げるのを防止する厚みに形成する方が好ましい。また、梱包等に使用される気泡緩衝シートのような内部に気体が封入された気層を有する被覆部材を用いても良い。被覆部材4の形状は、被覆部材保持手段2の上部を覆うことができるものであればどのように形成しても良く、例えば、図3(a)に示すように、長方形のものや、図3(b)に示すように、簡易温室1の形に合わせた立体状のものを用いることができる。これにより、被覆部材4の断熱性を更に向上することができる。また、夏のような気温の高い時期には、被覆部材4としてネット状のものを用いることも可能である。これにより、野菜等を鳥などから守ることができる。また、被覆部材4には、被覆部材保持手段2に固定するための被覆部材固定手段41、例えば、図3(a)に示すように、被覆部材保持手段2を通すことのできる穴が形成される。この場合、穴(被覆部材固定手段41)のまわりに穴を補強する金属や樹脂製の補強具42を設けても良い。なお、被覆部材固定手段41は、被覆部材保持手段2を結んで固定する紐状のものや、被覆部材保持手段2を挟持するクリップ等を用いることも可能である。また、被覆部材固定手段41は、被覆部材保持手段2側に設けても良く、例えば、被覆部材保持手段2側に被覆部材4を挟持するクリップ等を設ければ良い。
【0019】
被覆部材保持手段2は、被覆部材4を保持するためのもので、例えば図4に示すように、両端部に穴21を有すると共に、後述する固定手段3に形成された回動部31に弾性力を付勢して係合可能な弓状(コの字状も含む)に形成される。この場合、被覆部材保持手段2は、被覆部材4を保持できる強度を有し、回動部31に係合可能な弾性力を付勢できるものであればどのような材質のものでも良く、例えば、ステンレスや鋼、アルミ、銅等の金属や、ポリエチレン等の合成樹脂によって形成すれば良い。また、被覆部材保持手段2の長手方向の長さが大きい場合には、被覆部材保持手段2の中間に、被覆部材保持手段2の両端部と同一方向に延出する1以上の補強部22を形成しても良い(図5参照)。この補強部22の先端にも、固定手段3に形成された回動部31に係合可能な穴21が形成される。
【0020】
固定手段3は、図6に示すように、複数の被覆部材保持手段2を回動可能に保持する回動部31と、地面100に固定可能な固定部32から構成される。
【0021】
回動部31は、例えば図6に示すように、固定手段3の一端から垂直方向に突出する突起状に形成され、複数の被覆部材保持手段2の穴21に係合可能に形成される。この場合、回動部31は、被覆部材保持手段2の穴よりわずかに小さく形成すれば良い。また、回動部31の先端側に被覆部材保持手段2が回動部31から外れるのを防止する係止具を設けることも可能である。係止具としては、例えば、図6(a)に示すように、釣り針の返しのような構造311や、図6(b)に示すように、先端をナット313と螺合可能なボルト状の構造312を形成し、ナット313によって固定するものを用いることができる。
【0022】
固定部32は、固定手段3の回動部31側とは異なる他端側に形成されるもので、固定手段3を地面100に固定するものであればどのようなものでも良く、例えば先端が杭状に形成される。勿論、杭の先端は二股状、三股状に形成しても良い。
【0023】
固定手段3と被覆部材保持手段2との組立は、例えば、まず、2つの固定手段3を被覆部材保持手段2の両端部の穴の距離よりも大きい間隔で配置し、回動部31が外側に向くように地面100に固定する。次に、被覆部材保持手段2の両端部を弾性力に反して開き、被覆部材保持手段2の穴を固定手段3の回動部31の突起に嵌挿して係合すればよい。もちろん、これとは逆に、2つの固定手段3を被覆部材保持手段2の両端部の穴の距離よりも小さい間隔で配置し、回動部31が内側に向くように地面100に固定する。次に、被覆部材保持手段2の両端部を弾性力に反して縮め、被覆部材保持手段2の穴を固定手段3の回動部31の突起に嵌挿して係合してもよい。
【0024】
このように構成することにより、複数の被覆部材保持手段2を、回動部31を中心に回動させることができるので、水や肥料をやる際に簡易温室1の上部の被覆部材4を簡単に開閉することができる。
【0025】
なお、上記説明では、被覆部材保持手段2の両端部に穴を形成し、固定手段3の一端に突起状の回動部31を形成する場合について説明したが、これに限られるものではなく、例えば、図7に示すように、被覆部材保持手段2の両端部に突起26を形成し、これを図8に示すように、固定手段3の一端に形成した複数の穴316に嵌挿するようにしても良い。
【0026】
なお、簡易温室1は、図9に示すように、被覆部材保持手段2と地面100との間にできる空間の熱が外部に逃げるのを防止する保温手段5を更に備える構成としても良い。この場合、保温手段5は、断熱効果を有するものであればどのようなものでも良いが、例えば、底のない箱状の発泡スチロールを用いることができる。このように形成すれば、簡易温室1内の熱が外部に逃げるのを更に確実に防止することができる。また、簡易温室1を屋内で鉢植え等に用いる場合には、図10に示すように、保温手段5を有底箱状に形成することも勿論可能である。また、保温手段5を地面に固定する保温手段固定具を形成しても良い。
【0027】
なお、被覆部材保持手段2と保温手段5との間が開くのを防止するため、被覆部材保持手段2又は保温手段5の少なくともいずれか一方に止め金を形成するようにしても良い。止め金は、被覆部材保持手段2と保温手段5との間が開くのを防止することができるものであればどのようなものでも用いることができる。また、被覆部材保持手段2と保温手段5との間に、害虫やナメクジ等を忌避するための忌避剤を収納する忌避用ポケットを形成しても良い。この場合、被覆部材保持手段2又は保温手段5の少なくともいずれか一方に忌避用ポケットを形成すれば良い。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の簡易温室用骨組みを示す正面図である。
【図2】本発明の簡易温室を示す側面図である。
【図3】本発明に係る被覆部材を示す平面図である。
【図4】本発明に係る被覆部材保持手段を示す概略斜視図である。
【図5】本発明に係る別の被覆部材保持手段を示す概略斜視図である。
【図6】本発明に係る固定手段を示す側面図である。
【図7】本発明に係る更に別の被覆部材保持手段を示す概略斜視図である。
【図8】本発明に係る別の固定手段の回動部を示す概略側面図である。
【図9】本発明の別の簡易温室の骨組みを示す側面図である。
【図10】本発明の更に別の簡易温室の骨組みを示す正面図である。
【符号の説明】
【0029】
1 簡易温室
2 被覆部材保持手段
3 固定手段
4 被覆部材
5 保温手段
10 簡易温室用骨組み
31 回動部
32 固定部
100 地面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を地面側に通す被覆部材と、
前記被覆部材を保持する被覆部材保持手段と、
前記被覆部材保持手段を回動可能に保持する回動部と、地面に固定可能な固定部とを有する複数の固定手段と、
を具備することを特徴とする簡易温室。
【請求項2】
前記被覆部材保持手段と地面との間にできる空間の熱が外部に逃げるのを防止する保温手段を具備することを特徴とする請求項1記載の簡易温室。
【請求項3】
光を地面側に通す被覆部材と、
前記被覆部材を保持する被覆部材保持手段と、
土等を収容する有底箱状であって、前記被覆部材保持手段との間にできる空間の熱が外部に逃げるのを防止する保温手段と、
前記被覆部材保持手段を回動可能に保持する回動部と、地面に固定可能な固定部とを有する複数の固定手段と、
を具備することを特徴とする簡易温室。
【請求項4】
前記保温手段は、発泡スチロールから成ることを特徴とする請求項2又は3記載の簡易温室。
【請求項5】
前記被覆部材は、内部に気体が封入された気層を有することを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の簡易温室。
【請求項6】
前記被覆部材は、ネット状に形成されることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の簡易温室。
【請求項7】
前記被覆部材保持手段は、両端部に穴を有すると共に、突起状に形成された前記回動部に弾性力を付勢して係合可能な弓状に形成されていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の簡易温室。
【請求項8】
前記被覆部材保持手段は、両端部に突起を有すると共に、穴が形成された前記回動部に弾性力を付勢して係合可能な弓状に形成されていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の簡易温室。
【請求項9】
前記被覆部材保持手段は、前記固定手段の回動部に係合する補強部を有することを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載の簡易温室。
【請求項10】
光を地面側に通す被覆部材を保持し、地面との間に簡易温室を形成するための簡易温室用骨組であって、
前記被覆部材を保持する被覆部材保持手段と、
前記被覆部材保持手段を回動可能に保持する回動部と、地面に固定可能な固定部とを有する複数の固定手段と、
を具備することを特徴とする簡易温室用骨組み。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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