説明

簡易着脱式ころ軸受

【課題】様々な条件の軸受に代替する可能性が高く、メンテナンスが容易になり、非常に精密で繊細な一般的な軸受(ベアリング)と比べ部品交換や再利用が容易となる軸受を提供する。
【解決手段】ローラー1をシャフト2により取付けたピンローラー本体3にパッキン6を取付け、取付台4に挿入し蓋ナット5により固定することにより密封する。ローラー1の出幅は、パッキン6により微調整する。保持対象物0がシャフトであれば通常の軸受の役割を担い、保持対象物0がスクリューなどの場合でも、一般的には困難である軸受が可能である。また一般的な転がり軸受では困難な往復運動の場合でも対応できる。軸受の状況確認は一般的には容易ではないが、本発明によれば全体的な分解をせずに容易に軸受の状態が確認でき、また交換ができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着脱が容易で回転運動や往復運動に対応するころ軸受に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の技術としては類似技術として、特開2003−184892などがある。これは、内外輪の中間にあるころをピンで保持器具に固定するという方法である。
【特許文献1】特開2003−184892公報
【0003】
また、保持対象物がスクリューなどの回転体である場合、特開2002−321812がある。これは垂直など急傾斜に配置された筒状ケーシングの中に回転自在なリボンスクリューを配置し、その撓みや伸縮,揺動を解消するためにリボンスクリュー外周にリングを溶着等で固定し、リングと一体化したリボンスクリューを軸とみなし、リング部をローラーやベアリングなどで軸受するという方法である。
【特許文献2】特開2002−321812号公報
【0004】
一般的に軸受の種類は、すべり軸受、転がり軸受に大別され、すべり軸受は主に往復運動や揺動運動の強い部位、低速回転などに使用され、構造は単純であり、主に磨耗により寿命が決定される。回転軸受は主に高い応力を求められる高速回転などに使用され、寿命は比較的長いが、構造が複雑で比較的肉厚であり、また概して往復運動には適さない。尚、本発明は転がり軸受に分類される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特開2003−184892における技術は、内外輪の中間にあるころをピンで保持器具に固定するという方法であり、保持器具が連続しておりこのままでは単体として使用することができない。仮に単体としてこの技術を見た場合、ピンを保持器具に強固に固定することを目的としているが、強固に固定することにより部品交換が困難になるという問題がある。
【0006】
特開2002−321812における技術は、段落0003記載の通りリングと一体化したリボンスクリューを軸とみなし、リング部をローラーやベアリングなどで軸受するという方法であるが、リボンスクリューに対する加工、外殻である筒状ケーシングの加工、ローラーやベアリング組込のための加工と部品点数が多く、また組立又は分解が複雑になるという問題がある。
【0007】
一般的なベアリングの方式では、段落0004記載の通りであり、転がり軸受は概して往復運動には適さないという問題がある。また軸受は全般的に機械の中で中核に位置することが多く交換や点検は容易ではない場合が多いという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
段落0005記載の問題を解決するための手段を記載する。ピンローラー本体3にピン2を用いてころ1を固定する。該ピンローラー本体3を取付台4に挿入し蓋ナット5により挟み込み固定する。このときピンローラー本体3とピン2を溶着などにより強固に固定しなければ、点検又は交換などの目的で取付台4からピンローラー3を外した場合にころ1やピン2の其々単体の交換が容易となる。ピンローラー本体3からピン2が脱落することを防止するのは基本的には取付台4の挿入口とピンローラー本体3との隙間を小さくすることによって実現する。用途や強度など設計条件により必要な場合には、ピンローラー本体3とピン2を溶着などにより強固な固定をすることが好ましい。
【0009】
段落0006記載の問題を解決するための手段を記載する。回転するリボンスクリューに対し外殻である筒状ケーシングに取付台4を溶着し固定する。設置位置及び設置個数はリボンスクリューのピッチ、回転数、支点間距離、想定挙動その他の条件により決定する。その時、噛み込み防止のため筒状ケーシング内縁側にはころ1以外の物質(ピンローラー3支点部など)を突出させないように調整すること並びにころ1にはテーパーをかけることが好ましい。また、揺動が激しいためころ1は樹脂又は特殊プラスチックなどとすることが好ましい。
【0010】
段落0007記載の問題を解決するための手段を記載する。例えば図6のようにころの形状を変化させ、軸心方向にころ1が回転するようにピンローラー本体3を固定することによって往復運動にも対応することを実現する。また、シャフトを容易に分解できる構造は例外であるが、中核である軸(シャフト)を分解した上でなければ軸受を点検又は交換することが難解である場合、取付台4とピンローラー本体3とを分離可能な構造とすることにより外部から容易に点検又は交換できることを実現する。
【発明の効果】
【0011】
以上に述べたごとく、本発明の簡易着脱式ころ軸受によれば、回転運動体や往復運動体を含め様々な条件に対し柔軟な対応力を持ち、尚且つ容易に着脱が可能である軸受を提供できる。また、軸の状況の確認が容易であり、即ち状況把握が容易になる。更に交換に際してころ1又はピン2又はピンローラー本体3それぞれ単体での交換が可能となる。
【0012】
またスクリューコンベアのリボンスクリューを保持する場合、特開2002−321812ではリボンスクリュー本体へのリング取付加工、外殻の筒状ケーシングへのフランジ接合部位の追加並びに該接合部位へのローラーなどベアリングの追加加工などによる複雑な構造を要するが、本発明によればスクリューコンベアの組立又は分解には影響を与えず部品点数を減らし単純化し、尚且つころ軸受の点検又は交換を容易にしながら振動、騒音並びにリボンスクリューの撓みを防ぐことを実現する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図1〜図6に基づいて説明する。
ローラー1をシャフト2により取付けたピンローラー本体3にパッキン6を取付け、取付台4に挿入し蓋ナット5により固定することにより密封する。ローラー1の出幅は、パッキン6により微調整する。尚、ピンローラー本体3と取付台4の嵌合部はころ1の回転方向を変動させないために四角形などの形状とする。また、設置位置及び設置個数は諸設計条件により決定する。
【0014】
保持対象物0がリボンスクリューの場合には噛み込み防止のため筒状ケーシング内縁側にはころ1以外の物質(ピンローラー3支点部など)を突出させないように調整すること並びにころ1にはテーパーをかけることが好ましい。また、揺動が激しく搬送目的物の抵抗に対応するため、ころ1は樹脂又は特殊プラスチックなどとすることが好ましい。
【0015】
保持対象物0が往復運動体である場合には図6のようにころ1の形状を変化させ、軸心方向にころ1が回転するようにピンローラー本体3を固定する
【産業上の利用可能性】
【0016】
様々な条件の軸受に代替する可能性が高く、メンテナンスが容易になり、非常に精密で繊細な一般的な軸受(ベアリング)と比べ部品交換や再利用が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】ピンローラー本体の側面図1である
【図2】ピンローラー本体の側面図2である。
【図3】本発明使用時の断面図1である。
【図4】本発明使用時の断面図2である。
【図5】取付台(雄ネジ)4及び蓋ナット5の断面図である。
【図6】保持対象物が往復運動体である場合の本発明実施例の断面図である。
【符号の説明】
【0018】
1 ころ
2 ピン
3 ピンローラー本体
4 取付台
5 蓋ナット
6 パッキン
0 保持対象物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸などの回転運動や往復運動を保持するころ軸受において、取付台とピンローラー本体とを分割式とし、ナット式もしくはボルト式の蓋により密封することにより容易に着脱が可能であることを特徴とするころ軸受。
【請求項2】
急傾斜用スクリューコンベヤのリボンスクリューの振れ止めとして使用する請求項1記載の軸受。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−349158(P2006−349158A)
【公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−207734(P2005−207734)
【出願日】平成17年6月20日(2005.6.20)
【出願人】(597000076)
【Fターム(参考)】