説明

米を除く穀類又は豆類を原料とする、細胞増殖促進剤及び細胞修復剤

【課題】 阻害成分を除去しなくても十分に高い細胞増殖効果や組織修復効果を発揮し得る、米以外の天然素材を原料とした細胞増殖促進剤及び組織修復剤臓器の提供。
【解決手段】 米を除く穀類又は豆類を必須的に含む原料の処理物を有効成分として含有することを特徴とする細胞増殖促進剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、組織再生分野において有用である、米を除く穀類又は豆類(例えば、小麦、大麦、トウモロコシ及び大豆)を有効成分として含有する細胞増殖剤及び組織修復剤に関するものである。
【0002】
現在、分化細胞や幹細胞といった細胞を短時間かつ大量に増殖可能な技術が、再生医療の分野を中心に求められている。再生医療においては、主として患者から採取した自己細胞(特に幹細胞)を体外で培養/増殖/分化させ、再生した組織を移植するという手法が採用されている。この際、患者の疾病の悪化を最小限に抑えるためには、分化細胞や幹細胞等の各種細胞をインビトロ等で短時間に大量に増殖させる必要がある。加えて、組織が損傷している場合、損傷した組織が効率的に修復されるためには、当該組織に係る細胞が短時間かつ大量に増殖することに加え当該細胞の遊走活性を高める必要がある。
【0003】
他方、本発明者らは、動植物合和すの観点から、主食であり安全性が最も高い白米を中心に様々な研究を進めている。それらの研究の途中で、偶然、当該原料の水抽出物等に優れた細胞増殖促進作用及び組織修復作用があることを見出し、当該対象物について既に特許出願をしている(特許文献1)。
【特許文献1】PCT/JP2005/000261
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、本発明者らの最近の研究により、上記米原料の水抽出物等中には、細胞増殖阻害成分や組織修復阻害成分が含まれていることが判明した。この場合、細胞増殖効果や組織修復効果をより高めるためには、これらの阻害成分を除去する必要がある。更に、米を原料として使用すると原価的に高くなるという問題もある。そこで、本発明は、このような阻害成分を除去しなくても十分に高い細胞増殖効果や組織修復効果を発揮し得る、米以外の天然素材を原料とした細胞増殖促進剤及び組織修復剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、原料・処理条件等様々な角度からの変更を重ねた結果、所定の天然素材に所定処理を施した場合には、細胞増殖阻害成分や組織修復阻害成分が発生せず有効成分のみが産生し得ることを見出し、以下の本発明(1)〜(10)を完成させたものである。
【0006】
本発明(1)は、米を除く穀類又は豆類を必須的に含む原料の処理物を有効成分として含有することを特徴とする細胞増殖促進剤である。
【0007】
本発明(2)は、前記処理物が、前記原料の水抽出物又は有機溶媒抽出物である、前記発明(1)の細胞増殖促進剤である。
【0008】
本発明(3)は、前記処理物が、前記原料又は前記原料の水抽出物若しくは有機溶媒抽出物の糖化物である、前記発明(1)の細胞増殖促進剤である。
【0009】
本発明(4)は、前記処理物が、前記原料、前記原料の水抽出物又は有機溶媒抽出物、或いは、前記原料又は前記原料の水抽出物若しくは有機溶媒抽出物の糖化物の、アルコール発酵物又は有機酸発酵物である、前記発明(1)の細胞増殖促進剤である。
【0010】
本発明(5)は、米を除く穀類又は豆類が、小麦、大麦、トウモロコシ又は大豆である、前記発明(1)〜(4)のいずれか一つの細胞増殖促進剤である。
【0011】
本発明(6)は、米を除く穀類又は豆類を必須的に含む原料の処理物を有効成分として含有することを特徴とする細胞修復剤である。
【0012】
本発明(7)は、前記処理物が、前記原料の水抽出物又は有機溶媒抽出物である、前記発明(5)の細胞修復剤である。
【0013】
本発明(8)は、前記処理物が、前記原料又は前記原料の水抽出物若しくは有機溶媒抽出物の糖化物である、前記発明(5)の細胞修復剤である。
【0014】
本発明(9)は、前記処理物が、前記原料、前記原料の水抽出物又は有機溶媒抽出物、或いは、前記原料又は前記原料の水抽出物若しくは有機溶媒抽出物の糖化物の、アルコール発酵物又は有機酸発酵物である、前記発明(5)の細胞修復剤である。
【0015】
本発明(10)は、米を除く穀類又は豆類が、小麦、大麦、トウモロコシ又は大豆である、前記発明(6)〜(9)のいずれか一つの細胞修復剤である。
【0016】
ここで、本明細書における各用語の意味について説明する。尚、説明の都合上、一部の用語の意味については「発明を実施するための最良の形態」の箇所で述べることとする。まず、「細胞増殖促進剤」における「細胞」とは、分化細胞及び幹細胞のいずれも包含する概念である。ここで、「分化細胞」とは、機能及び形態が特殊化した細胞(例えば、筋細胞、神経細胞等)をいい、幹細胞とは異なり、多能性は無いか又は殆ど無い。分化細胞としては、例えば、表皮細胞、膵実質細胞、膵管細胞、肝細胞、血液細胞、心筋細胞、骨格筋細胞、骨芽細胞、骨格筋芽細胞、神経細胞、血管内皮細胞、色素細胞、平滑筋細胞、脂肪細胞、骨細胞、軟骨細胞等が挙げられる。「幹細胞」とは、自己複製能を有し、多分化能を有し、組織が傷害を受けたときに再生することができる細胞をいい、胚性幹細胞(ES)及び組織幹細胞(組織特異的幹細胞又は体性幹細胞)のいずれも包含する。ここで、「胚性幹細胞」とは、初期胚に由来する多能性幹細胞をいう。また、「組織幹細胞」とは、胚性幹細胞とは異なり分化の方向が限定されている細胞であり、組織中の特定の位置に存在し未分化な細胞内構造をしていると共に、由来により、外胚葉(主に脳に存在:神経幹細胞)、中胚葉(主に骨髄に存在:血管幹細胞、造血幹細胞及び間葉系幹細胞)、内胚葉(主に臓器に存在:肝幹細胞、膵幹細胞)由来の幹細胞、に分類され得る。更に、当該細胞は、どの生物由来の細胞(例えば、脊椎動物、無脊椎動物)でもよい。但し、脊椎動物由来の細胞が好適であり、哺乳動物(例えば、霊長類、齧歯類など)由来の細胞がより好適であり、霊長類由来の細胞が特に好適であり、ヒト由来の細胞が最も好適である。
【0017】
「組織修復剤」における「組織」とは、細胞の集団であって、その集団において一定の同様の作用を有するものをいい、例えば、臓器(器官)の一部を挙げることができる。ここで、「臓器(器官)」は、1つの独立した形態をもち、1種以上の組織が組み合わさって特定の機能を営む構造体を形成したものをいう。例えば、胃、肝臓、腸、膵臓、肺、気管、鼻、心臓、動脈、静脈、リンパ節(リンパ管系)、胸腺、卵層、眼、耳、舌、皮膚等を挙げることができる。更に、当該組織は、どの生物由来の組織(例えば、脊椎動物、無脊椎動物)でもよい。但し、脊椎動物由来の組織が好適であり、哺乳動物(例えば、霊長類、齧歯類など)由来の組織がより好適であり、霊長類由来の組織が特に好適であり、ヒト由来の組織が最も好適である。
【0018】
「水処理物」とは、水を用いた原料の加工品を指し、例えば、原料の水抽出物、水存在下での糖化物(例えば、原料に水を加えて糖化させたもの、原料の水抽出物を糖化させたもの)、水存在下での発酵物(例えば、原料に水を加えて発酵させたもの、原料の水抽出物を発酵させたもの、原料の水抽出物を糖化させたものを発酵させたもの)を包含する。また、ここでの「水」は、水を必須的に含んでいる水性媒体を意味し、例えば、水や水とアルコールとの混合液を含む。
【0019】
「水抽出物」とは、水を用いて、物理的処理(例えば、圧搾、加熱処理)、化学的処理(例えば、酸やアルカリ処理)、生物的(生化学的)処理(例えば、麹、微生物処理、酵素処理)を単独又は組み合わせて施すことをいう。例えば、原料に水を加えたもの、原料を酸又はアルカリで処理したもの、原料の加水物に酵素又は麹を作用させたもの(抽出前又は抽出と同時)、或いは、これらの処理を加熱又は非加熱下でおこなったものである態様を挙げることができる。尚、上記のように「水抽出物」には、糖化酵素や麹を作用させる態様を包含するので、糖化されたものを含むが、当該「糖化されたもの」は、上記の「糖化物」とは別概念である。
【0020】
「有機溶媒抽出物」とは、有機溶媒を用いて、例えば、物理的処理(例えば、圧搾、加熱処理)を施すことをいう。
【0021】
「有効成分として含有する」とは、細胞増殖効果又は組織修復効果を奏する程度に当該成分を含有することを意味し、当該成分が細胞増殖剤又は組織修復剤の一部を構成する場合のみならず、当該成分が細胞増殖剤及び組織修復剤のすべてを構成する場合を含む。
【0022】
「有機酸発酵」とは、例えば、酢酸発酵や乳酸発酵を指す。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、米を原料とした場合と異なり、細胞増殖阻害成分や組織修復阻害成分を実質的に含有していないので、別段の分離工程を経なくても極めて高い細胞増殖促進効果や組織修復効果を奏する。更に、穀類や豆類を原料としているので、極めて生体安全性が高い。したがって、細胞を培養して体内に戻すというインビトロ的な応用だけでなく、直接体内に投与(例えば経口投与や経皮投与)するというインビボ的な応用も可能である。更に、原料が米より廉価な穀類や豆類であるので、製造コストを低減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明に係る「米を除く穀物又は豆類」とは、例えば、米を除く小麦、大麦、とうもろこし、ひえ、あわ、そば、ライ麦等であり、豆類とは、大豆、えんどう豆、いんげん豆、小豆、そら豆等を挙げることができる。また、豆の状態は、未熟生豆、完熟生豆、さらに、乾燥処理した完熟豆等どんなものでもよい。
【0025】
穀物、豆類を水抽出物又は有機溶媒抽出する場合、まず、穀物、豆類を粉砕又は粉体化すると表面積が大きくなるため、極めて抽出効率が良好になる。この方法は、粉砕機等を用い、一般的な方法によればよい。粉砕しなくてもよいが、この場合には、穀物組織、豆組織の分解及び抽出に長時間を要する。
【0026】
水抽出に当たっては、穀物、豆をそのまま、好ましくは粉砕又は粉体化したものに加水する。穀物は玄穀でも精白穀でもよい。加水量については、穀物、豆に対して2〜5倍量で効率よく抽出されるが、収率、作業性、最終使用目的等に応じて適宜選定すればよい。この後加温してゆき、沸騰状態になった時点で抽出を完了する。抽出を完了した後、使用目的により圧搾、濾過を行えば、清澄な抽出エキスが得られる。なお、最初から熱水を加えて抽出を行ってもよい。
【0027】
抽出液中の有効成分は解明されていないが、この未知の有効成分が熱に安定であることは確認できたので、水抽出の際の抽出温度は、高温が効率的である。低温でも長時間置けば、充分に抽出を行うことができる。ただし、40℃以下の低温の場合は、pHを酸性あるいはアルカリ性にするか、防腐剤を加えることが好適である。抽出時間は、沸騰抽出の場合には数分でよいが、それ以下の中温の場合には、数時間から一昼夜が必要である。低温の場合は、穀物、豆の粉砕状態にもよるが、数日〜1ケ月必要である。ただし、この場合にも、なるべく最後には加熱するのがより効果的である。
【0028】
水抽出の場合に最も問題になるのは、糊化現象である。糊状になれば抽出効率が悪くなるのみでなく、実作業においては困難を極める。これを防ぐためには、アミラーゼを加えて反応させるか、塩酸などで酸性にして澱粉を分解すればよく、この方法を用いることにより、充分に解決でき、実用上も全く問題がない。
【0029】
抽出液中の有効成分は、酸、アルカリに安定であるためか、酸抽出あるいはアルカリ抽出物を行うのも有効である。更に、水抽出の場合、穀物、豆の組織に働く酵素(例えば、セルラーゼ)を作用させてもよい。ここでいう酵素とは、澱粉分解酵素(液化酵素、糖化酵素)、蛋白分解酵素、脂肪分解酵素、繊維分解酵素、リグニン分解酵素、ペクチン分解酵素の1種又は2種以上の組み合わせである。尚、抽出を行うに際し、酵素を作用させるタイミングは、抽出の前又は抽出と同時のいずれでもよい。
【0030】
更に、有機溶媒抽出でも、本効果をもったエキスが抽出されることが判明した。このことは、有効成分の解明を進める上で、また、有効成分を濃厚に抽出したり、水に溶けないものとの配合という利用用途の上で極めて有効である。この場合、なるべく微粉砕又は粉体化することが好ましい。また、ここで用いる有機溶媒はアルコールのような人体に投与しても安全なものを使用することが望ましい。
【0031】
また、とうもろこしのような生鮮穀類(加熱滅菌したものを含む)、生豆(加熱処理したものを含む)の場合、水や有機溶媒を用いず、試料を布か圧搾機で搾ったもの(搾汁)であってもよい。更に、圧搾をした後の残渣を水抽出又は有機溶媒抽出したものであってもよい。
【0032】
さらに、アルコール発酵、乳酸発酵や酢酸発酵等の有機酸発酵を組み合わせてもよい。
【0033】
また、用途によっては搾汁や水抽出物に糖やデキストリンが含まれてベタつくとか、その効果において邪魔になる場合がある。その場合には、デキストリンはアミラーゼで糖化した後、糖を酵母に食べさせるとか、有効成分を吸着剤で分画するとか、有機溶媒で抽出することにより糖を除いてやればよい。いずれにしても、抽出さえ行えば効果が出てくるわけで、用途によっては不要の成分は種々の方法により取り除けばよい。
【0034】
本発明に係る細胞増殖剤及び組織修復剤は、そのままの状態で、或いは、濃縮や希釈、更には他の成分と混合することにより、対象物(細胞、組織、臓器又は個体)に適用する。ここで、例えば、人体から細胞を取り出し当該細胞を増殖させて人体に戻す場合、当該細胞は同系由来(自家)でも同種異系由来(他家)でも異種由来でもよいが、拒絶反応が想定される場合には自己由来の細胞が好ましい。
【実施例】
【0035】
製造例1(小麦の抽出物)
小麦10kgをよく粉砕し、これに60℃の温水30Lと液化酵素50gを加え、よく攪拌した。その後、徐々に温度を上げてゆき、5分間煮沸抽出した後、30℃まで冷却した。その後、しぼり機でしぼり、本例品25Lと残渣13kgを得た。
【0036】
実施例2(大麦の抽出物)
大麦10kgをよく粉砕し、これに60℃の温水30Lと液化酵素50gを加え、よく攪拌した。その後、徐々に温度を上げてゆき、5分間煮沸抽出した後、30℃まで冷却した。その後、しぼり機でしぼり、本例品25Lと残渣13kgを得た。
【0037】
製造例3(とうもろこしの抽出物)
とうもろこし10kgをよく粉砕し、これに60℃の温水30Lと液化酵素50gを加え、よく撹拌した。その後、徐々に温度を上げてゆき、5分間煮沸抽出した後、30℃まで冷却した。その後、しぼり機でしぼり、本例品12Lと残渣26kgを得た。
【0038】
製造例4(大豆の抽出物)
大豆10kgをよく粉砕し、これに60℃の温水30Lと液化酵素50gを加え、よく撹拌した。その後、徐々に温度を上げてゆき、5分間煮沸抽出した後、30℃まで冷却した。その後、しぼり機でしぼり、本例品6Lと残渣30kgを得た。
【0039】
製造例5(小麦の糖化物)
小麦10kgをよく粉砕し、これに60℃の温水30Lと液化酵素50gを加え、よく攪拌した。その後、徐々に温度を上げてゆき、5分間煮沸抽出した後、30℃まで冷却した。その後、澱粉分解酵素50gを加え、55℃で4時間放置した。その後濾過器を用いて固液分離を行い、ろ液26Lを得た。これを85℃で30分加熱して本例品を得た。
【0040】
実施例6(大麦の糖化物)
大麦10kgをよく粉砕し、これに60℃の温水30Lと液化酵素50gを加え、よく攪拌した。その後、徐々に温度を上げてゆき、5分間煮沸抽出した後、30℃まで冷却した。その後、澱粉分解酵素50gを加え、55℃で4時間放置した。その後濾過器を用いて固液分離を行い、ろ液26Lを得た。これを85℃で30分加熱して本例品を得た。
【0041】
製造例7(とうもろこしの糖化物)
とうもろこし10kgをよく粉砕し、これに60℃の温水30Lと液化酵素50gを加え、よく撹拌した。その後、徐々に温度を上げてゆき、5分間煮沸抽出した後、30℃まで冷却した。その後、澱粉分解酵素50gを加え、55℃で4時間放置した。その後濾過器を用いて固液分離を行い、ろ液15Lを得た。これを85℃で30分加熱して本例品を得た。
【0042】
製造例8(大豆の糖化物)
大豆10kgをよく粉砕し、これに60℃の温水30Lと液化酵素50gを加え、よく撹拌した。その後、徐々に温度を上げてゆき、5分間煮沸抽出した後、30℃まで冷却した。その後、澱粉分解酵素50gを加え、55℃で4時間放置した。その後濾過器を用いて固液分離を行い、ろ液8Lを得た。これを85℃で30分加熱して本例品を得た。
【0043】
製造例9(小麦の発酵物)
小麦10kgをよく粉砕し、これに60℃の温水30Lと液化酵素50gを加え、よく攪拌した。その後、徐々に温度を上げてゆき、5分間煮沸抽出した後、30℃まで冷却した。その後、澱粉分解酵素50gを加え、55℃で4時間放置した。その後冷却し酵母を加え、15日間発酵を行った。その後濾過器を用いて固液分離を行い、ろ液26Lを得た。これを85℃で30分加熱して本例品を得た。
【0044】
実施例10(大麦の発酵物)
大麦10kgをよく粉砕し、これに60℃の温水30Lと液化酵素50gを加え、よく攪拌した。その後、徐々に温度を上げてゆき、5分間煮沸抽出した後、30℃まで冷却した。その後、澱粉分解酵素50gを加え、55℃で4時間放置した。その後冷却し酵母を加え、15日間発酵を行った。その後濾過器を用いて固液分離を行い、ろ液26Lを得た。これを85℃で30分加熱して本例品を得た。
【0045】
製造例11(とうもろこしの発酵物)
とうもろこし10kgをよく粉砕し、これに60℃の温水30Lと液化酵素50gを加え、よく撹拌した。その後、徐々に温度を上げてゆき、5分間煮沸抽出した後、30℃まで冷却した。その後、澱粉分解酵素50gを加え、55℃で4時間放置した。その後冷却し酵母を加え、15日間発酵を行った。その後濾過器を用いて固液分離を行い、ろ液15Lを得た。これを85℃で30分加熱して本例品を得た。
【0046】
製造例12(大豆の発酵物)
大豆10kgをよく粉砕し、これに60℃の温水30Lと液化酵素50gを加え、よく撹拌した。その後、徐々に温度を上げてゆき、5分間煮沸抽出した後、30℃まで冷却した。その後、澱粉分解酵素50gを加え、55℃で4時間放置した。その後冷却し酵母を加え、15日間発酵を行った。その後濾過器を用いて固液分離を行い、ろ液8Lを得た。これを85℃で30分加熱して本例品を得た。
【0047】
試験例1(骨芽細胞増殖試験)
・使用細胞:骨芽細胞(mouse Osteoblast MC3T3-E1)
・使用培地:DMEM
・使用試料:製造例5〜7及び9〜11
6wellマイクロプレートに10%濃度で骨芽細胞を播種し、細胞が接着するまで37℃5%CO下前培養を行なった。細胞が接着していることを確認した上、培地に対して所定濃度(5%、10%)となるように試料を添加し、37℃5%CO下培養を行なった。そして、倒立顕微鏡にて接眼マイクロメータ(接眼10倍、対物4倍、1mm×1mm)内の細胞数を経時的に計測した。尚、well中の三点を計測しそれらの平均を測定値とした。また、コントロールとして水のみを添加したもの、米エキス(No.100A)及びその透析物を参考例として同様に試験した。その結果を図1及び図2に示す。尚、図中、「大麦発酵物」は製造例10を、「大麦糖化物」は製造例6を、「小麦発酵物」は製造例9を、「小麦糖化物」は製造例5を、「とうもろこし発酵物」は製造例11を、「とうもろこし糖化物」は製造例7を示す。尚、結果は明記しないが他の製造例についても同様の結果を得た。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】図1は、濃度が5%での試験例1の結果を示したものである。
【図2】図2は、濃度が10%での試験例1の結果を示したものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
米を除く穀類又は豆類を必須的に含む原料の処理物を有効成分として含有することを特徴とする細胞増殖促進剤。
【請求項2】
前記処理物が、前記原料の水抽出物又は有機溶媒抽出物である、請求項1記載の細胞増殖促進剤。
【請求項3】
前記処理物が、前記原料又は前記原料の水抽出物若しくは有機溶媒抽出物の糖化物である、請求項1記載の細胞増殖促進剤。
【請求項4】
前記処理物が、前記原料、前記原料の水抽出物又は有機溶媒抽出物、或いは、前記原料又は前記原料の水抽出物若しくは有機溶媒抽出物の糖化物の、アルコール発酵物又は有機酸発酵物である、請求項1記載の細胞増殖促進剤。
【請求項5】
米を除く穀類又は豆類が、小麦、大麦、トウモロコシ又は大豆である、請求項1〜4のいずれか一項記載の細胞増殖促進剤。
【請求項6】
米を除く穀類又は豆類を必須的に含む原料の処理物を有効成分として含有することを特徴とする細胞修復剤。
【請求項7】
前記処理物が、前記原料の水抽出物又は有機溶媒抽出物である、請求項5記載の細胞修復剤。
【請求項8】
前記処理物が、前記原料又は前記原料の水抽出物若しくは有機溶媒抽出物の糖化物である、請求項5記載の細胞修復剤。
【請求項9】
前記処理物が、前記原料、前記原料の水抽出物又は有機溶媒抽出物、或いは、前記原料又は前記原料の水抽出物若しくは有機溶媒抽出物の糖化物の、アルコール発酵物又は有機酸発酵物である、請求項5記載の細胞修復剤。
【請求項10】
米を除く穀類又は豆類が、小麦、大麦、トウモロコシ又は大豆である、請求項6〜9のいずれか一項記載の細胞修復剤。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−8908(P2007−8908A)
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−195475(P2005−195475)
【出願日】平成17年7月4日(2005.7.4)
【出願人】(504007475)
【Fターム(参考)】