説明

米由来高発酵性糖液の製造方法

【課題】バイオエタノール産業への進出、高アルコール飲料の製造や発酵管理の自動化が可能となる、米を原料とする糖化液や、該糖化液を仕込み水とする高濃度糖化液や、これら糖化液を用いたアルコールの製造方法を提供する。
【解決手段】α化処理を施した精白米と米糠との混合物に、水の存在下、α−アミラーゼ、グルコアミラーゼ、タンパク質分解酵素を作用させ、Brixが15〜25%、全窒素分が1.2mg/ml以上、カリウムが400ppm以上、リンが300ppm以上、マグネシウムが50ppm以上の開始糖化液を得た。また、α化処理を施した精米歩合90%の精白米に、水の存在下、α−アミラーゼ、グルコアミラーゼ及びタンパク質分解酵素を作用させて得られる糖化液を仕込み水として用い、Brixが40%以上、全窒素分が3.0mg/ml以上、カリウムが500ppm以上、リンが400ppm以上、マグネシウムが100ppm以上の流加糖化液を得た。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、精白米や米糠を添加した精白米から効率的に糖化液を製造する方法や、かかる糖化液を仕込み水として利用して高濃度糖化液を製造する方法や、これら糖化液及び/又は高濃度糖化液を用いた高濃度アルコールを製造する方法等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、微生物の培養にはその成育促進のために窒素源や塩類、ビタミン類などの微量成分の供給源としてペプトンや肉エキス、酵母エキス、麦芽エキスなどの天然成分が用いられてきた。一方、米糠やフスマは古くからキノコの培養基として主に固体発酵における発酵促進物として用いられており、米糠やフスマに微生物の発酵を促進しうる物質の存在は知られていた。
【0003】
微生物の発酵を促進するための米糠の処理方法及び処理物として、例えば、加熱処理した米糠又は麩と水に麹とミネラル成分の含有した鉱泉水及び/又はミネラル水とを混合し、主に麹の酵素で自己消化させて酵素消化液となし、当該酵母を加えて発酵させて、アルコールや乳酸菌や有機酸を含む酸性溶液に生成した有機質物の発酵分解促進資材の製造方法(例えば、特許文献1参照)や、無機質、水溶性ビタミン、糖質、フィチン酸及びタンパク質を含有する米糠抽出物を有効成分とする発酵促進剤(例えば、特許文献2参照)が知られている。
【0004】
また、米から糖化液を効率的に製造する方法として、生米に水を加え、115〜125℃に加熱し、45〜50℃に冷却後、アミラーゼを加えてホモジナイザーにより混合して糖化を行い、次いで95℃以上に加熱して酵素を失活させる米糖化液の製造方法(例えば、特許文献3参照)や、でんぷん含有農産物(米を含む)を用いて、でんぷんをオリゴ糖へと加水分解する第一のでんぷん加水分解酵素、及びでんぷん又はオリゴ糖をグルコースへと加水分解する第二のでんぷん加水分解酵素でもってでんぷん含有農産物スラリー(糖化液)を処理することを含む方法(例えば、特許文献4参照)が知られている。
【0005】
さらに、米糠そのものを発酵させてアルコールを得る方法として、無蒸煮の米糠及び/又は粉砕白米をそのまま発酵原料にして低温で発酵させるアルコール又は醸造酒類を製造する方法(例えば、特許文献5参照)が知られている。
【0006】
他方、本発明者らは、糖類又は該糖類の含有物を原料とし、アルコール発酵酵母に発酵阻害を与えない糖濃度に調整した初発発酵液と、該初発発酵液の糖濃度より高い糖濃度の流加糖液とを調整し、初発発酵液にアルコール発酵酵母を接種してアルコール発酵を行わせ、発酵液の糖濃度を直接的又は間接的にモニターしながら流加糖液を発酵液に添加して、発酵液の糖濃度を制御しながらアルコール発酵を継続し、アルコール発酵全期間の30〜80%の時間内に流加糖液の添加を終了して、アルコール濃度が15vol/vol%以上となるまで、半回分発酵法によりアルコール発酵して高濃度アルコールを製造する方法を提案している(例えば、特許文献6参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−201089号公報
【特許文献2】特開2005−333851号公報
【特許文献3】特開2003−250485号公報
【特許文献4】特開2004−248673号公報
【特許文献5】特開平10−276753号公報
【特許文献6】特開2008−228697号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
稲作は単位面積当たりのエネルギー収量が多く、連作可能(土地が劣化しない)であり、耕作放棄地や休耕田を活用するなどインフラが整っており新たな投資が不要であり、米は国内で生産可能な唯一の原料作物であり、酵母の増殖に必要な全ての栄養成分を含有している。そこで、本発明の課題は、米の有効利用、とりわけ、酒類製造業界におけるコスト削減効果(競争力の強化)やバイオエタノール産業への進出(新産業の創出)が期待でき、高アルコール飲料の製造(新酒類の創出・差別化)や発酵管理の自動化・品質安定化(省力化・労働環境の改善)が可能となる、米を原料とする糖化液や、該糖化液を仕込み水として利用する高濃度糖化液の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは前記課題を解決すべく、複数の異なる精米歩合(85〜95%)を有する精白米、及び精米歩合85%の精白米と米糠との混合物に加水して、α−アミラーゼ、グルコアミラーゼ及びタンパク質分解酵素を作用させて、固液分離して得られた糖化液に、さらに酵母を添加して発酵させ、経時的に発生する炭酸ガスの重量を測定した。そして、発酵前と所定時間発酵後の発酵物の組成を分析した結果、全窒素量、無機塩量、菌体密度は、異なる精米歩合を有する精白米、及び精白米と米糠との混合物により差異のあることを見いだし、また、発酵速度は、菌体密度と深く関連していることを見いだした。そして、糠を一部用いる精白米からの原料に前記酵素を作用させて得られた糖化液を、流加培養システムにおけるアルコール製造の開始糖化液として使用し、また、仕込液として前記糖化液を用いて、一定の精米歩合を有する精白米を同様に酵素処理して高濃度糖化液を製造し、該高濃度糖化液を同じく流加培養システムにおける流加糖化液として使用すると、効率的なアルコール発酵が行われ、濃度19.8%という高濃度アルコールを短期間で製造できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明は、[1]α化処理を施した精白米と米糠との混合物に、水の存在下、α−アミラーゼ、グルコアミラーゼ及びタンパク質分解酵素を作用させることを特徴とする糖化液の製造方法や、[2]精白米と米糠との混合物が、精米歩合80%〜95%の精白米80〜95重量部と米糠5〜20重量部の混合物であることを特徴とする上記[1]記載の糖化液の製造方法や、[3]糖化液のBrix(糖分)が15〜25%、全窒素分が1.2mg/ml以上、カリウムが400ppm以上、リンが300ppm以上、マグネシウムが50ppm以上の濃度となるように調整されることを特徴とする上記[1]又は[2]記載の糖化液の製造方法や、[4]上記[1]〜[3]のいずれか記載の製造方法で得られるBrix(糖分)15〜25%の糖化液や、[5]α化処理を施した精白米と米糠との混合物に、α−アミラーゼ、グルコアミラーゼ及びタンパク質分解酵素を作用させる高濃度糖化液の製造方法であって、仕込み水として、α化処理を施した精米歩合90〜95%の精白米に、水の存在下、α−アミラーゼ、グルコアミラーゼ及びタンパク質分解酵素を作用させて得られる糖化液を用いることを特徴とする高濃度糖化液の製造方法や、[6]α化処理を施した精白米と米糠との混合物に、α−アミラーゼ、グルコアミラーゼ及びタンパク質分解酵素を作用させる高濃度糖化液の製造方法であって、仕込み水として、α化処理を施した精白米と米糠との混合物に、水の存在下、α−アミラーゼ、グルコアミラーゼ及びタンパク質分解酵素を作用させて得られる糖化液を用いることを特徴とする高濃度糖化液の製造方法や、[7]α化処理を施した精米歩合90〜95%の精白米に、α−アミラーゼ、グルコアミラーゼ及びタンパク質分解酵素を作用させる高濃度糖化液の製造方法であって、仕込み水として、α化処理を施した精白米と米糠との混合物に、水の存在下、α−アミラーゼ、グルコアミラーゼ及びタンパク質分解酵素を作用させて得られる糖化液を用いることを特徴とする高濃度糖化液の製造方法に関する。
【0011】
また、本発明は、[8]精白米と米糠との混合物が、精米歩合80%〜95%の精白米80〜95重量部と米糠5〜20重量部の混合物であることを特徴とする上記[5]〜[7]のいずれか記載の高濃度糖化液の製造方法や、[9]糖化液のBrix(糖分)が40%以上、全窒素分が3.0mg/ml以上、カリウムが500ppm以上、リンが400ppm以上、マグネシウムが100ppm以上の濃度となるように調整される上記[5]〜[8]のいずれか記載の高濃度糖化液の製造方法や、[10]上記[5]〜[9]のいずれか記載の製造方法で得られるBrix(糖分)40%以上の高濃度糖化液や、[11]上記[4]記載の糖化液を開始糖化液とし、上記[10]記載の高濃度糖化液を流加糖化液として用いることを特徴とする高濃度アルコールの製造方法や、[12]アルコール発酵酵母に発酵阻害を与えない糖濃度に調整した開始糖化液と、該開始糖化液の糖濃度より高い糖濃度の流加糖化液とを調製し、開始糖化液にアルコール発酵酵母を接種してアルコール発酵を行わせ、発酵液の糖濃度を直接的又は間接的にモニターしながら流加糖化液を発酵液に添加して、発酵液の糖濃度を制御しながらアルコール発酵を継続し、アルコール発酵全期間の30〜80%の時間内に流加糖化液の添加を終了して、アルコール濃度が15vol/vol%以上となるまでアルコール発酵する半回分発酵法による高濃度アルコールの製造方法であって、前記開始糖化液として、上記[4]記載の糖化液を用い、開始糖化液の糖濃度より高い糖濃度の流加糖化液として、上記[10]記載の高濃度糖化液を用いることを特徴とする高濃度アルコールの製造方法や、[13]上記[4]記載の糖化液、又は上記[10]記載の高濃度糖化液を発酵基質として使用する方法に関する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によると、Brix(糖分)が15〜25%、全窒素分が1.2mg/ml以上、カリウムが400ppm以上、リンが300ppm以上、マグネシウムが50ppm以上という発酵速度を向上させる成分(増殖促進成分)を含有する糖化液(開始糖化液)や、Brix(糖分)が40%以上、全窒素分が3.0mg/ml以上、カリウムが500ppm以上、リンが400ppm以上、マグネシウムが100ppm以上という発酵速度を向上させる成分(増殖促進成分)を含有する高濃度糖化液(流加糖化液)が得られ、これらの糖化液を用いて、48時間で18.2%という世界最高水準のアルコール発酵速度、及び66時間で19.8%という世界最高濃度の到達アルコール濃度を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】精米歩合の違いによる発酵経過を示す図である。
【図2】タンパク質分解酵素量の違いによる発酵経過を示す図である。
【図3】流加培養システム(本発明の米糖化液使用)を用いたアルコール発酵経過を示す図である。
【図4】流加培養システム(従来法)を用いたアルコール発酵経過を示す図である。
【図5】流加培養システム概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の糖化液の製造方法としては、α化処理を施した精白米と米糠との混合物に、水の存在下、α−アミラーゼ、グルコアミラーゼ及びタンパク質分解酵素を作用させる方法であれば特に制限されず、上記精白米と米糠との混合物としては、精米歩合80%〜95%の精白米80〜95重量部と米糠5〜20重量部の混合物、好ましくは85%の精白米85重量部と米糠15重量部の混合物を好適に例示することができる。本発明の糖化液、すなわち、酵素処理後の精白米及び米糠の水溶性抽出物は、α−アミラーゼ、グルコアミラーゼ及びタンパク質分解酵素による酵素反応終了後、反応物を遠心分離処理、圧搾処理、濾過処理等の固液分離処理を行うことにより得られ、必要に応じて固液分離処理後に水で希釈し、成分濃度を調整することもできる。本発明の糖化液は、カリウム、リン、マグネシウムなどの塩類(ミネラル)、水溶性ビタミン類、単糖類、二糖類などの糖質、タンパク質、ペプチド、アミノ酸類など、酵母の増殖促進成分が含有されている。得られた糖化液をアルコール発酵に使用するときなどは、酵母が生育阻害を受けて発酵速度が低下することがないように、Brix(糖分)が15〜25%、全窒素分が1.2mg/ml以上、カリウムが400ppm以上、リンが300ppm以上、マグネシウムが50ppm以上の濃度となるように、中でも、Brixが20〜21%、全窒素分が1.3〜1.9mg/ml、カリウムが450〜600ppm、リンが300〜600ppm、マグネシウムが70〜150ppmの濃度となるように、調整することが好ましい。
【0015】
本発明の高濃度糖化液の製造方法としては、α化処理を施した精白米と米糠との混合物に、α−アミラーゼ、グルコアミラーゼ及びタンパク質分解酵素を作用させる高濃度糖化液の製造方法であって、仕込み水として、α化処理を施した精米歩合90〜95%の精白米に、水の存在下、α−アミラーゼ、グルコアミラーゼ及びタンパク質分解酵素を作用させて得られる糖化液を用いる方法、すなわち、精米歩合90〜95%の精白米をα化し、α化した前記精白米に、α−アミラーゼ、グルコアミラーゼ及びタンパク質分解酵素を混和し、作用させて、精白米の水溶性抽出物である塩類、水溶性ビタミン類、糖質及びタンパク質、ペプチド、アミノ酸類を含有させた糖化液を得、得られた糖化液を仕込み水として利用する方法を好適に例示することができる他、α化処理を施した精白米と米糠との混合物に、α−アミラーゼ、グルコアミラーゼ及びタンパク質分解酵素を作用させる高濃度糖化液の製造方法であって、仕込み水として、α化処理を施した精白米と米糠との混合物に、水の存在下、α−アミラーゼ、グルコアミラーゼ及びタンパク質分解酵素を作用させて得られる糖化液(すなわち、本発明の糖化液)を用いる方法や、α化処理を施した精米歩合90〜95%の精白米に、α−アミラーゼ、グルコアミラーゼ及びタンパク質分解酵素を作用させる高濃度糖化液の製造方法であって、仕込み水として、α化処理を施した精白米と米糠との混合物に、水の存在下、α−アミラーゼ、グルコアミラーゼ及びタンパク質分解酵素を作用させて得られる糖化液(すなわち、本発明の糖化液)を用いる方法を例示することができる。
【0016】
上記精白米と米糠との混合物としては、精米歩合80%〜95%の精白米80〜95重量部と米糠5〜20重量部の混合物、好ましくは85%の精白米85重量部と米糠15重量部の混合物を好適に例示することができ、上記精米歩合90〜95%の精白米としては精米歩合90%の精白米を好適に例示することができる。本発明の高濃度糖化液は、酵素反応終了後、反応物を遠心分離処理、圧搾処理、濾過処理等の固液分離処理を行うことにより得ることができる。高濃度糖化液は粘性が高いために完全な固液分離が困難になるが、米の微細残渣が混入していても実用上問題はない。また、必要に応じて固液分離処理の前後に水で希釈し、成分濃度を調整することもできる。本発明の高濃度糖化液としては、Brix(糖分)が40%以上、全窒素分が3.0mg/ml以上、カリウムが500ppm以上、リンが400ppm以上、マグネシウムが100ppm以上の濃度となるように、中でも、Brixが45〜55%、全窒素分が3.0〜5.0mg/ml、カリウムが500〜700ppm、リンが400〜500ppm、マグネシウムが100〜150ppmの濃度となるように調整して用いることができる。
【0017】
本発明の前記精白米は、玄米を精米歩合80〜95%に精米し、玄米果皮及び種皮(米糠)と胚乳(精白米)とに分離することにより得られる。ここで、例えば精米歩合90%とは、玄米を、精米して、得られる精白米が玄米の重量の90%であり、残りの玄米果皮及び種皮(米糠)が10%であることを意味する。なお、この操作で米糠は粉砕され、その後の酵素反応の促進効果及び有効成分の抽出効果を高めることができる。
【0018】
上記α化処理としては、精白米を水に浸漬して吸水させ、必要に応じて米糠と混合した後の、蒸煮処理、過熱水蒸気処理、高周波処理等を挙げることができ、例えば、蒸煮処理の場合には、95〜110℃、好ましくは98〜105℃で、20〜240秒間、好ましくは40〜180秒間の条件で行うのがよく、過熱水蒸気処理には、例えば121℃、15分のオートクレーブ処理を示すことができる。
【0019】
α化処理後、冷却してα−アミラーゼ、グルコアミラーゼ、タンパク質分解酵素を添加して酵素反応を行うが、市販のものを用いることができ、例えば、α−アミラーゼとしては、『アミラーゼAD「アマノ」1』(商品名、天野エンザイム株式会社製)、「コクゲンSD−A」(商品名、大和化成社製)、「スピターゼHS」(商品名、ナガセケムテックス社製)などが使用できる。また、グルコアミラーゼとしては、「グルクザイムAF6」(商品名、天野エンザイム社製)、「ユニアーゼ30」(商品名、ヤクルト薬品工業社製)、「スミチーム」(商品名、新日本化学工業社製)などが使用できる。さらに、タンパク質分解酵素としては、『プロテアーゼA「アマノ」G』(商品名、天野エンザイム社製)、「アロアーゼNS」(商品名、ヤクルト薬品工業社製)、「スミチームLP」(商品名、新日本化学工業社製)などが使用できる。前記酵素の代わりに、これらの酵素を含む麹菌や麹、例えば、黒麹、黄麹、紅麹を用いることができ、また、これら酵素と麹、麹と麹を混合して用いても酵母等の発酵促進効果を有する糖化液を得ることができる。
【0020】
酵素反応時のpHは特別調整する必要はないが、使用する酵素が作用するpHの範囲内でなければならない。酵素反応時間は反応温度にもよるが、でんぷんがグルコースに、タンパク質がペプチド・アミノ酸へ十分分解される時間が必要である。一例としては55℃、24時間で十分であるが、分解が十分にできているかの確認は糖度、全窒素、カリウム、マグネシウム、リンの各成分を分析することにより確認することができる。また、米のでんぷんが、酵母が資化可能な二単糖以下に分解されたかの確認は、培養試験若しくは糖分析を行うことで実施できる。米の分解が終了後、遠心分離などの方法により、固液分離することによって窒素源や炭素源、塩類、ビタミン類を含有する米糖化液を得ることができる。得られた米糖化液は黄色の透明な液体である。
【0021】
本発明の高濃度アルコールの製造方法としては、上記本発明の糖化液を開始糖化液とし、上記本発明の高濃度糖化液を流加糖化液として用いる方法であれば特に制限されず、より具体的には、アルコール発酵酵母に発酵阻害を与えない糖濃度に調整した開始糖化液(本発明の糖化液)と、該開始糖化液の糖濃度より高い糖濃度の流加糖化液(本発明の高濃度糖化液)とを調製し、開始糖化液にアルコール発酵酵母を接種してアルコール発酵を行わせ、発酵液の糖濃度を直接的又は間接的にモニターしながら流加糖化液(高濃度糖化液)を発酵液に添加して、発酵液の糖濃度を制御しながらアルコール発酵を継続し、アルコール発酵全期間の30〜80%の時間内に流加糖化液の添加を終了して、アルコール濃度が15vol/vol%以上となるまでアルコール発酵する半回分発酵法による高濃度アルコールの製造方法を好適に例示することができる。前記開始糖化液として、前記糖化液のBrix(糖分)が15〜25%、全窒素分が1.2mg/ml以上、カリウムが400ppm以上、リンが300ppm以上、マグネシウムが50ppm以上の濃度となるように調整された糖化液を用い、前記開始糖化液の糖濃度より高い糖濃度の流加糖化液として、前記糖化液のBrix(糖分)が40%以上、全窒素分が3.0mg/ml以上、カリウムが500ppm以上、リンが400ppm以上、マグネシウムが100ppm以上の濃度となるように調整された高濃度糖化液を用いることが特に好ましい。
【0022】
本発明の高濃度アルコールの製造方法に用いられる装置としては、発酵槽、流加糖化液貯留槽、発酵槽内の発酵液に通気する通気手段、発酵槽内の発酵液を攪拌する攪拌手段、発酵槽内の発酵液の糖濃度を直接的又は間接的にモニターする検知手段、検知手段からの信号に基づいて流加糖化液貯留槽から流加糖化液を発酵槽に流加させる制御手段を備えた装置を用いることができ、例えば、図5に示す装置を具体的に挙げることができ、以下、図5の装置における本発明の製造方法を説明する。
【0023】
図5において、1は流加糖化液貯留槽、2は流量計、3は発酵槽、4はリレーユニット、5はフローセルタイプの屈折式糖度計、6は制御用コンピュータ、7と8は送液ポンプ、9はエアーポンプ、10は発酵槽内の撹拌手段を表わす。
【0024】
発酵槽3は、エアポンプ9により流量計2で測定された所定量の酸素を流入する通気手段と、発酵液を撹拌するための撹拌手段10と、フローセルタイプの屈折式糖度計5のフローセルに発酵液が流入、流出して糖度を検知するための検知手段、及び流加糖化液貯留槽1より高濃度の糖化液を発酵槽に流加するため流加手段を備えており、いずれもポンプを介して高濃度糖化液や検知手段に用いる糖化液の流出入を行っている。発酵槽3に通気される酸素量は、酵母の種類、酵母の状態、培地の種類、発酵温度等により異なるが微酸素状態となるような量である。撹拌は、撹拌翼を有する撹拌棒を駆動装置により回転させるが、酸素量と同様に酵母の種類及び酵母の状態、流加糖化液の糖濃度(粘度)等により異なるが、250rpm前後の回転数で行うことが好ましい。
【0025】
先ず、発酵槽3に所定濃度の本発明の開始糖化液を仕込み、更に酵母を仕込んだ後に温度を所定温度に保ちつつ撹拌手段10により穏やかに撹拌しながら発酵を開始させる。発酵期間全般にわたりフローセルタイプの屈折式糖度計5により測定された糖濃度を所定の糖濃度になるようにモニターしながら制御用コンピュータ6により、リレーユニット4を動作させ送液ポンプ8の電源をON、OFFさせることにより、開始糖化液の糖濃度より高い本発明の高濃度糖化液が収容された流加糖化液貯留槽1よりポンプ8を介して糖化液が適宜流加される。例えば、フローセルタイプの屈折式糖度計においては、経時的に所定の間隔で測定するが、例えば10秒間隔、さらには、これより短いとより正確に測定できる。このように常に正確な糖濃度を測定し、その測定値に基づいて所望の糖化液の流加、糖濃度の維持、或いは糖化液の流加を終了することができる。所定の時間発酵後、高濃度糖化液の流加を終了させて、その後も発酵を続け、アルコールの生成具合をみて発酵を終了させる。本発明では、10〜35℃で2〜15日間発酵を行い、例えば、28.5℃で発酵させた場合2日間の培養でアルコール濃度は約18%に達する。
【0026】
本発明の糖化液や高濃度糖化液は、ビタミン類や微量成分をはじめとして様々な栄養成分を含有しているため、酵母細胞の増殖を促進し、発酵速度を向上させることが可能となることから、アルコール発酵の他、発酵食品の製造及び発酵法による食品添加物や医薬品等の物質生産に有用な発酵基質として利用可能である。また、原料には米以外を使用していないため、安全な発酵原料である。本発明の糖化液の利用される分野としては、清酒、焼酎等の酒類製造、食酢等の調味料製造、有機酸やアミノ酸、核酸等の物質生産、パン酵母製造など微生物生産等微生物を利用する様々な分野で利用できる。
【0027】
さらに、本発明は、Brix(糖分)が15〜25%の糖化液を開始糖化液として、また、Brix(糖分)が40%以上の糖化液を流加糖化液(高濃度糖化液)として用いて、流加培養システムに供することにより、高濃度アルコールを製造することができることから、本発明の高濃度アルコールの製造方法は、余剰の米を利用して、バイオエタノールを効率的に生産することができ、エコ対策の一環に役立つことが期待される。
【0028】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下の実施例において、ブリックスの測定には、フローセルタイプに改良した屈折式ブリックス計(アタゴ社製、RX−5000)を使用し、アルコール濃度の測定には、ガスクロマトグラフ(島津製作所製、GC9A、FID検出器)を用い、全量注入法による絶対検量線法で求め、菌体密度は、培養液の1mlをあらかじめ重量を測定したマイクロテストチューブに採取して、15000rpm、3分間の遠心分離を行いその上澄みを除去後、その湿重量を測定して先の空重量を差し引くことで求めた。また、全窒素の測定にはビュッヒ・ラボテクニック社(スイス)製の「ケルダールオートサンプラーシステム:K−370/K−371」を用い、カリウム、マグネシウム及びリンの測定にはセイコーインスツルメンツ社製の「誘導結合プラズマ発光分析装置:SPS3000」を用いた。
【実施例1】
【0029】
玄米を精米歩合85%、90%、95%に精白し、それぞれの精白米100gを純水に2時間浸漬後、軽く脱水した。また、85%精白米85gも同様に処理し、その後85%精白米を調製した際に排出した米糠15gを含水した85%精白米に添加し、121℃、15分のオートクレーブ処理を行った。85%、90%、95%精白米それぞれ100gも同様に、121℃、15分のオートクレーブ処理を行った。純水100mlにα−アミラーゼ(天野エンザイム株式会社製の「アミラーゼAD「アマノ」1」)、グルコアミラーゼ(天野エンザイム株式会社製の「グルクザイムAF6」)を0.1%、プロテアーゼ(天野エンザイム株式会社製の「プロテアーゼA「アマノ」G」)を0.05%添加した酵素溶液を、粗熱を取ったそれぞれの蒸米に加えて、58℃で22時間酵素反応を行った。酵素反応終了後、それぞれの反応物を遠心分離して固液分離を行い、糖化液を得た。得られた米糖化液のBrixを測定し、高糖圧迫を引き起こさないように純水で希釈してBrix20〜21%になるよう調整した。
【0030】
得られたそれぞれの米糖化液7.5mlに前培養した協会9号酵母0.1mlを添加して、30℃で振とう培養を行った。2時間毎、培養容器を含めた培養液の重量を電子天秤にて測定することで、発酵により糖が消費されて発生した炭酸ガスの重量を測定した。その結果を図1に示す。図1に示すように、精米歩合が低くなる程発酵速度が遅くなっていることがわかる。最も速い玄米組成(85%精白米及び米糠混合物)は24時間以内に発酵が終了しているのに対して、85%精白米では72時間経過しても発酵は終了しなかった。発酵終了後の菌体密度は精米歩合が低下するに従い低くなっており、玄米組成と85%精白米で約5倍の開きがあった。このことから、発酵速度は菌体密度と深く関連していることがわかった。菌体密度の向上に影響する因子について検討するために、発酵前後の各成分含量及び菌体密度を表1に示す。各成分の上の数字は、発酵前の含有量を、下の数字は発酵後の含有量を示す。

【0031】
【表1】

【0032】
表1に示すように米糖化液は、精米歩合が低くなるにしたがい全窒素が高くなり、逆にカリウム、マグネシウム、リンは低くなっている。このことから、塩類は糠成分中に多量に存在していることがわかる。一方、米糠中にはタンパク質も心白よりも多量に含まれているが、そのタンパク質はプロテアーゼによって分解されにくいことが示唆される。発酵終了後の各栄養成分は玄米組成とした85%精白米+米糠以外、カリウムとリンが殆どなくなっており、菌体密度の差がカリウムとリンの不足により、引き起こされたと考えられた。しかしながら、85%精白米ではカリウムとリンは残存しているものの菌体密度が非常に低いことから、糠中に酵母の増殖に係わる成分の存在が示唆される。したがって、発酵促進効果を有する糖化液の製造には90%以上の精米歩合の白米を使用するか、白米に米糠を添加しなければならない。
【実施例2】
【0033】
玄米を90%となるように精白し、この90gを2時間純水中に浸漬後、米糠10gを添加して121℃、15分間オートクレーブした。100mlの純水にα−アミラーゼ、グルコアミラーゼを原料米に対して各0.10%、プロテアーゼを原料米に対して0%、0.025%、0.05%、0.10%となるよう添加し、粗熱を取った蒸米に添加して58℃で22時間糖化を行った。糖化後それぞれを遠心分離して固液分離を行った。これら糖化液のBrixを測定し、それぞれの糖化液をBrix20〜21%に調整した。
【0034】
得られた米糖化液7.5mlに前培養した協会9号酵母を0.1ml添加して、30℃で振とう培養を行い2時間毎にその重量を測定し、発酵により糖が消費され発生した炭酸ガスの重量を求めた。また、糖化液と発酵修了後の培養上清の全窒素、カリウム、リン、マグネシウムの濃度を測定した。図2に示すように、プロテアーゼ添加量が多くなるに従い、発酵速度は速くなっているのがわかる。また、表2に示すように全窒素はプロテアーゼ添加量が多くなるにしたがって多くなっており、これに伴い菌体密度の上昇、発酵速度の向上が認められる。また、カリウムやマグネシウム、リンなどの塩類もプロテアーゼ添加量が多くなると若干多くなっていることから、プロテアーゼ処理により塩類の溶出量が増加することは明らかである。これらのことから、発酵速度を向上させるためには菌体密度を上昇させることが必須であり、そのためには米糠の添加と共にプロテアーゼによる処理が必要である。
【0035】
【表2】

【実施例3】
【0036】
90%精白米540gを2時間純水中に浸漬・脱水後、その米糠60gを添加して121℃、15分間オートクレーブした。600mlの純水にα−アミラーゼ、グルコアミラーゼ、プロテアーゼを原料米に対して各0.10%となるよう添加後、粗熱を取った蒸米に添加して58℃で22時間糖化を行った。糖化後、遠心分離して固液分離を行い、糖化液のBrixを測定、純水で希釈してBrix20%に調整した開始糖化液900mlを得た。前記開始糖化液には、全窒素が1.43mg/ml、カリウムが510ppm、マグネシウムが87ppm、リンが350ppmの濃度の各成分を含有していた。
【実施例4】
【0037】
90%精白米500gを2時間純水中に浸漬・脱水後、121℃、15分間オートクレーブした。500mlの純水にα−アミラーゼ、グルコアミラーゼ、プロテアーゼを原料米に対して各0.10%となるよう添加後、粗熱を取った蒸米に添加して58℃で22時間糖化を行った。糖化後、遠心分離して固液分離を行い、Brix35%程度の糖化液650mlを得た。この糖化液500mlを次の蒸米の仕込み水として用い、2段糖化を1段目と同様にして行いBrix約50%の高濃度糖化液620mlを得た。前記高濃度糖化液には、全窒素が4.25mg/ml、カリウムが575ppm、マグネシウムが124ppm、リンが448ppmの濃度の各成分を含有していた。
【実施例5】
【0038】
実施例3で得られた開始糖化液900mlをジャーファーメンターに入れ、これに前培養した協会9号酵母15mlを添加して培養温度28.5℃、通気量50ml/分、攪拌速度250rpmで培養を開始した。発酵液糖化液のBrixを10秒ごとに測定し、Brixが2.7%低下してから、この低下した状態のBrix値を一定に保ちながら、実施例4で得られた高濃度糖化液350mlを漸次流加した。その後、さらにBrixが0.5%低下してから70mlを2回、さらに0.5%低下してから60ml、50mlとBrix値を一定に保ちながら流加し、最終的に600mlを流加した。流加終了後、そのまま発酵を継続し、Brix値の低下が認められなくなってから66時間で発酵を終了した。このときの発酵経過を図3に示す。
【0039】
図3より、Brixは設定した値で安定して推移しており、流加終了後も順調に低下して発酵開始後約58時間で一定に達した。流加速度は流加開始から順調に伸びており、流加終了時にもその落ち込みは少なくなっていた。菌体密度は発酵開始後12時間後から急速に増加し、36時間では60mg/mlを超え、その後徐々に低下して60時間以降急速に低下した。アルコール濃度は発酵開始12時間以降急速に上昇し、48時間では18%を超え、60時間には約20%に達していた。このことから、本発明により調整された米糖化液が高発酵性糖化液であることは明らかであり、この米糖化液を用いると、高濃度アルコールを効率的に得ることができることがわかる。
【0040】
[比較例]
15%グルコース、2MY培地(酵母エキス:0.6%、麦芽エキス:0.6%、ペプトン:1%)900mlをジャーファーメンターに入れ、これに前培養した協会9号酵母15mlを添加して培養温度28.5℃、通気量50ml/分、攪拌速度250rpmで培養を開始した。発酵液糖化液のBrixを10秒ごとに測定し、Brixが1.1%低下してから、55%グルコース、MY培地を600ml、Brix値を一定に保ちながら流加した。流加終了後、そのまま発酵を継続し、Brix値の低下が認められなくなってから90時間で発酵を終了した。このときの醗酵経過を図4に示した。
【0041】
図3と図4の比較から、明らかに本発明によって得られた米糖化液を使用した方の菌体密度が向上し、アルコール生成速度及びアルコール濃度の向上が認められる。また、到達アルコール濃度も向上しており、本発明によって得られた米糖化液が酵母の菌体密度を向上させ、アルコール生成能を向上させる効果があることが確認されたことから、本発明により得られた糖化液の発酵促進効果は明らかである。
【符号の説明】
【0042】
1 流加糖化液貯留槽
2 流量計
3 発酵槽
4 リレーユニット
5 フローセルタイプの屈折式糖度計
6 制御用コンピュータ
7 送液ポンプ
8 送液ポンプ
9 エアーポンプ
10 撹拌手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
α化処理を施した精白米と米糠との混合物に、水の存在下、α−アミラーゼ、グルコアミラーゼ及びタンパク質分解酵素を作用させることを特徴とする糖化液の製造方法。
【請求項2】
精白米と米糠との混合物が、精米歩合80%〜95%の精白米80〜95重量部と米糠5〜20重量部の混合物であることを特徴とする請求項1記載の糖化液の製造方法。
【請求項3】
糖化液のBrix(糖分)が15〜25%、全窒素分が1.2mg/ml以上、カリウムが400ppm以上、リンが300ppm以上、マグネシウムが50ppm以上の濃度となるように調整されることを特徴とする請求項1又は2記載の糖化液の製造方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか記載の製造方法で得られるBrix(糖分)15〜25%の糖化液。
【請求項5】
α化処理を施した精白米と米糠との混合物に、α−アミラーゼ、グルコアミラーゼ及びタンパク質分解酵素を作用させる高濃度糖化液の製造方法であって、仕込み水として、α化処理を施した精米歩合90〜95%の精白米に、水の存在下、α−アミラーゼ、グルコアミラーゼ及びタンパク質分解酵素を作用させて得られる糖化液を用いることを特徴とする高濃度糖化液の製造方法。
【請求項6】
α化処理を施した精白米と米糠との混合物に、α−アミラーゼ、グルコアミラーゼ及びタンパク質分解酵素を作用させる高濃度糖化液の製造方法であって、仕込み水として、α化処理を施した精白米と米糠との混合物に、水の存在下、α−アミラーゼ、グルコアミラーゼ及びタンパク質分解酵素を作用させて得られる糖化液を用いることを特徴とする高濃度糖化液の製造方法。
【請求項7】
α化処理を施した精米歩合90〜95%の精白米に、α−アミラーゼ、グルコアミラーゼ及びタンパク質分解酵素を作用させる高濃度糖化液の製造方法であって、仕込み水として、α化処理を施した精白米と米糠との混合物に、水の存在下、α−アミラーゼ、グルコアミラーゼ及びタンパク質分解酵素を作用させて得られる糖化液を用いることを特徴とする高濃度糖化液の製造方法。
【請求項8】
精白米と米糠との混合物が、精米歩合80%〜95%の精白米80〜95重量部と米糠5〜20重量部の混合物であることを特徴とする請求項5〜7のいずれか記載の高濃度糖化液の製造方法。
【請求項9】
糖化液のBrix(糖分)が40%以上、全窒素分が3.0mg/ml以上、カリウムが500ppm以上、リンが400ppm以上、マグネシウムが100ppm以上の濃度となるように調整される請求項5〜8のいずれか記載の高濃度糖化液の製造方法。
【請求項10】
請求項5〜9のいずれか記載の製造方法で得られるBrix(糖分)40%以上の高濃度糖化液。
【請求項11】
請求項4記載の糖化液を開始糖化液とし、請求項10記載の高濃度糖化液を流加糖化液として用いることを特徴とする高濃度アルコールの製造方法。
【請求項12】
アルコール発酵酵母に発酵阻害を与えない糖濃度に調整した開始糖化液と、該開始糖化液の糖濃度より高い糖濃度の流加糖化液とを調製し、開始糖化液にアルコール発酵酵母を接種してアルコール発酵を行わせ、発酵液の糖濃度を直接的又は間接的にモニターしながら流加糖化液を発酵液に添加して、発酵液の糖濃度を制御しながらアルコール発酵を継続し、アルコール発酵全期間の30〜80%の時間内に流加糖化液の添加を終了して、アルコール濃度が15vol/vol%以上となるまでアルコール発酵する半回分発酵法による高濃度アルコールの製造方法であって、前記開始糖化液として、請求項4記載の糖化液を用い、開始糖化液の糖濃度より高い糖濃度の流加糖化液として、請求項10記載の高濃度糖化液を用いることを特徴とする高濃度アルコールの製造方法。
【請求項13】
請求項4記載の糖化液、又は請求項10記載の高濃度糖化液を発酵基質として使用する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−200647(P2010−200647A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−48331(P2009−48331)
【出願日】平成21年3月2日(2009.3.2)
【出願人】(590003722)佐賀県 (38)
【Fターム(参考)】