説明

米粉ドーナツ用ミックス粉

【課題】米粉を使用したドーナツの外観や食感を改良するドーナツ用ミックス粉及びこの米粉ドーナツ用ミックス粉を使用した米粉ドーナツを提供すること。
【解決手段】米粉100質量部に対して小麦粉を0.1質量部以上5.0質量部以下及び膨張剤を配合したことを特徴とする米粉ドーナツ用ミックス粉である。また、前記米粉ドーナツ用ミックス粉を使用した米粉ドーナツである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、米粉ドーナツ用ミックス粉に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、ドーナツは小麦粉、卵、砂糖、膨張剤などを含む生地をフライすることにより製造されているが、小麦粉の一部または全量を米粉で代用した米粉を使用したドーナツが製造されるようになってきている。
例えば、小麦粉の一部を米粉で代用した例として、小麦粉20g、バター10g、砂糖10g、全卵7g、ベーキングパウダー0.5g、揚げ油少々、米ペースト30g(米微粒:水=1:1、米微粒15g、水15g)を原料としたドーナツが知られている(例えば特許文献1参照)。
また、小麦アレルギーなどの対策のため小麦粉を全く使用せず穀粉として米粉のみを使用したドーナツが米粉ドーナツとして上市されている。
一方、米粉は、餅、団子などの和菓子の原料として古くから使用されているが、米粉を使用した和菓子では、水分の蒸散と澱粉の老化に起因する製造後の硬化が問題となる。
この澱粉の老化防止を目的として、米粉100重量部当たり、小麦粉を1〜5重量部及び有機酸を含むミックス粉が提案されている(例えば特許文献2参照)。
米粉を使用したドーナツでは硬い食感になりやすいため、その対策として乳化剤などを使用していた。
しかし、製品の硬さは改良できても乳化剤を使用するとねちゃつきが出たり、えぐ味が出るなど十分な対策とはなっていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−187663号公報
【特許文献2】特開2001−29001号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、米粉を使用したドーナツの外観や食感を改良するドーナツ用ミックス粉及びこの米粉ドーナツ用ミックス粉を使用した米粉ドーナツを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は前記の目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、米粉に小麦粉を少量添加することで外観、食感の優れた米粉ドーナツを得ることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
従って、本発明は、米粉100質量部に対して小麦粉を0.1質量部以上5.0質量部以下及び膨張剤を配合したことを特徴とする米粉ドーナツ用ミックス粉である。
また、前記米粉ドーナツ用ミックス粉を使用した米粉ドーナツである。
【発明の効果】
【0006】
本発明の米粉ドーナツ用ミックス粉を使用することでして外観、食感の優れた米粉ドーナツを得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明において米粉ドーナツとは、穀粉原料として米粉を80質量%以上使用し、ベーキングパウダーなどの膨張剤を用いてフライすることにより生地を膨化させて製造するベーカリー食品をいい、イースト発酵を利用して膨化させて製造されるイーストドーナツは本発明の米粉ドーナツには含まれない。
使用する米粉は、もち米やうるち米を原料としてこれを粉砕し粉状にしたものであれば特に限定なく使用することができる。
粉砕の方法は特に限定はなく、気流式粉砕方法、衝撃式粉砕方法やロール式粉砕方法などの方法が使用できる。
具体的な米粉の種類として、もち粉、上新粉、上用粉、求肥粉などを挙げることができ、これらは1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0008】
本発明の米粉ドーナツ用ミックス粉には米粉100質量部に対して小麦粉を0.1質量部以上5.0質量部以下配合する。
使用する小麦粉は、小麦粒を加熱処理せずに粉砕、篩分けして得られる小麦粉であればよく、薄力粉、中力粉、強力粉などの種類や1等粉、2等粉などの等級に制限されず使用できる。
小麦粉の配合量は0.1質量部未満では、効果が十分ではなく、5.0質量部を超えるとドーナツの色調が暗くなり、形状がいびつになることから不適となる。
好ましい小麦粉の配合量は米粉100質量部に対して1.0質量部以上3.0質量部以下である。
【0009】
本発明の米粉ドーナツ用ミックス粉は米粉及び小麦粉の他に、膨化させるための膨張剤が必須原料となる。
膨張剤としては、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、塩化アンモニウム、炭酸水素ナトリウム等を単独または組み合わせて使用できるほか、ガス発生促進剤として酒石酸、酒石酸水素カリウム、フマル酸、第一リン酸カルシウム、グルコノデルタラクトン、酸性ピロリン酸ナトリウムを適宜組み合わせて併用することもできる。
また、市販されているベーキングパウダーを使用することもできる。
膨張剤の使用量は、穀粉及び/又は澱粉の合計100質量部に対し0.5質量部以上5.0質量部以下が好ましい。
0.5質量部未満では、食感が硬くなり、5.0質量部を超えると形状不良となる。
【0010】
本発明の米粉ドーナツ用ミックス粉は米粉、小麦粉、膨張剤の他に必要に応じて従来のケーキドーナツに使用されている副資材を配合してもよく、これらを均一に混合することで得ることができる。
混合の方法は均一に混合できれば特に限定はなく、リボンミキサー、V型ミキサー、ロータリーミキサー、ヘンシェルミキサー等の混合機を使用することが出来る。
副資材として使用できる米粉及び小麦粉以外の穀粉としては、そば粉、ライ麦粉、トウモロコシ粉、オーツ粉末などを挙げることができる。
穀粉以外の副資材としては、糖類、油脂類、乳製品、粉末卵、塩、香料、色素、生地改良剤などを挙げることができる。
【0011】
本発明の米粉ドーナツ用ミックス粉を使用した米粉ドーナツの製造方法は、従来の米粉を使用したドーナツと同様でよく特別な工程は不要である。
製造方法の一例として、例えば、米粉ドーナツ用ミックス粉に適量の水や卵を加えミキシングして生地を調製し、この生地をリング状など適当な形に成形してフライすることで米粉ドーナツを得ることができる。
得られた米粉ドーナツは、従来のケーキドーナツと同様にチョコレートなどでトッピングしたりグレーズなどを用いることができる。
また、餡などのフィリングを包み込んで成形しフライすることでフィリング入りの米粉ドーナツとすることもできる。
【実施例】
【0012】
以下本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
うるち米60質量部、もち粉40重量部、グラニュー糖25重量部、ショートニング15重量部、ベーキングパウダー3重量部、塩1.5重量部及び表1に示す量の薄力小麦粉を均一になるように混合して米粉ドーナツ用ミックス粉を得た。
この米粉ドーナツ用ミックス粉100質量部に対して水50質量部、全卵17質量部を加えて、縦型ミキサーでビーターを使用して5分間混合し、ドーナツ生地を得た。
このドーナツ生地をドーナツマシンを使用して1個50gのリング状に分割し、190℃で2分30秒間潜行フライして米粉ドーナツを得た。
この米粉ドーナツをフライ後5時間室温で放置後10人のパネラーにより以下の評価基準で評価した。
得られた結果を表1に示す。
[食感]
5点 ソフトで非常に良い
4点 ややソフトで良い
3点 普通
2点 やや固く劣る
1点 固く非常に劣る
[色調]
5点 明るいきつね色で非常に良い
4点 きつね色で良い
3点 普通
2点 やや暗い揚げ色で劣る
1点 暗い揚げ色で非常に劣る
[形状]
5点 リング形状がくずれず保たれていて非常に良い。
4点 リング形状がややくずれているが保たれていて良い
3点 普通
2点 ややリング形状がくずれていびつになり劣る。
1点 リング形状がくずれていびつになり非常に劣る。
【0013】
【表1】

【0014】
実施例4〜6は、食感にソフトさが有り色調に問題なく形状不良も少なく、製品として特に優れていた。
実施例2、3、7は、実施例4〜6には及ばないものの、食感にソフトさが有り色調に問題なく形状不良も少なく製品として優れていた。
実施例1は、食感、色調において単独の項目では比較例よりやや劣る評価もあるが、形状が優れていて総合的な評価では、比較例より優れていた。
実施例8は、色調、形状において単独の項目では比較例よりやや劣る評価もあるが、食感が優れていて総合的な評価では、比較例より優れていた。
比較例1は、食感にソフトさがなく製品として劣っていた。
比較例2は、揚げ色が濃く生地粘度が緩くなるため色調・形状不良となり製品として劣っていた。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
米粉100質量部に対して小麦粉を0.1質量部以上5.0質量部以下及び膨張剤を配合したことを特徴とする米粉ドーナツ用ミックス粉。
【請求項2】
請求項1に記載の米粉ドーナツ用ミックス粉を使用した米粉ドーナツ。


【公開番号】特開2013−81423(P2013−81423A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−223581(P2011−223581)
【出願日】平成23年10月11日(2011.10.11)
【出願人】(000231637)日本製粉株式会社 (144)
【Fターム(参考)】