説明

米飯冷却装置

【課題】簡単な構造で、米飯冷却装置に対して移動可能であり、高い冷却効率で米飯を冷却することができる吸引冷却装置と、それを備える米飯冷却装置を提供する。
【解決手段】炊き上がった米飯を搬送コンベアのコンベアベルトV上に載置して搬送しながら冷却する米飯冷却装置1に用いられる吸引冷却装置SCであって、上部が開口した吸引箱13と、前記吸引箱の内部と連通している排気用ダクト14と、前記吸引箱内を負圧に引く排気用ファンとを有し、前記米飯冷却装置に対して移動可能であり、吸引冷却時、前記吸引箱の上部開口が前記コンベアベルトの搬送面の下方にある位置に設置される吸引冷却装置とそれを備える米飯冷却装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、米飯冷却装置に関し、詳細には、業務用の炊飯システムにおいて、炊き上がった米飯を炊飯釜から取り出して、搬送コンベアのコンベアベルト上で搬送しながら所定温度まで冷却する米飯冷却装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、業務用の炊飯システムにおいて、炊き上がった米飯を炊飯釜から取り出して、コンベアベルト上で冷却する米飯冷却装置は、いくつか提案されている。例えば、特許文献1には、炊き上がった米飯にいきなり冷風を吹き付けて冷却すると、米飯表面が急冷され、米飯表面に結露が生じるため、炊飯した米飯にまず熱風を吹き付け、表面を乾燥させた後に冷風を吹き付けるようにした米飯冷却装置が提案されている。しかし、この米飯冷却装置においては、冷却に先立ち、50〜60℃に設定された熱風を吹き付けるようにしているので、当然のことながら、冷却効率は上がらず、米飯を後続する加工作業に適する温度まで冷却するには、時間が掛かるという欠点がある。
【0003】
また、特許文献2には、米飯に冷気を吹き付けるのではなく、コンベアベルト上の米飯を囲む冷却室を設け、空気吸込用ダクトを介して外気に通じる冷却室上半部の空気を、コンベアベルトの下から吸引し、米飯の米粒間を通過させて、冷却室下半部から排気用ダクトを介して排出するようにした米飯冷却装置が開示されている。この特許文献2に開示された米飯冷却装置においては、冷風が直接に米飯に吹き付けられることはないので、米飯表面が急冷されて米飯表面に結露を生じるという現象は起こらないと考えられる。
【0004】
しかし、本発明者が見出したところによれば、この特許文献2に開示された米飯冷却装置においては、室内の外気を吸引によって米飯の米粒間を通過させるようにしているので、室内の外気温が上昇する夏場などにおいては、米飯の温度が所定温度まで下がり切らないという欠点がある。また、この特許文献2に開示された米飯冷却装置においては、米飯を囲む冷却室に天井部が設けられているので、米飯から立ち上る蒸気が天井部に接して冷却され、結露を生じ、場合によっては、水滴となって下方の米飯上に落下し、米飯を濡らしてしまうという問題点があり、さらには、冷却室と、冷却室の空気を米飯の下方から排出させる排気用ダクト部分とが米飯冷却装置本体に一体に設けられているので、冷却室内部と排気用ダクト部を洗浄するのが困難で、衛生的に好ましくないという欠点がある。
【0005】
また、特許文献3には、オゾン発生装置と湿度調整手段とを備え、内部に人間が出入りすることができるドアを有する冷却室を用意し、米飯をこの冷却室内を移動させつつ、送風機によって冷却室内の殺菌された空気を吹き付けるようにした米飯冷却装置が開示されている。この特許文献3に開示された米飯冷却装置では、炊き上がった米飯を、米飯に含まれる水分を失うことなく、かつ衛生的に、短時間で冷却することのできるとされている。しかし、この特許文献3に開示された米飯冷却装置においては、非常に大掛かりな冷却室を用意しなければならず、多大の設備費用を要するとともに、大きな設置場所をとり、炊飯ラインをコンパクトにまとめることができないという欠点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平6−197839号公報
【特許文献2】特許第3160787号公報
【特許文献3】特開平7−250633号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記のような従来の米飯冷却装置が有する欠点を解消するために為されたもので、簡単な構造で、米飯に結露を生じさせることなく、高い冷却効率で米飯を冷却することができる米飯冷却装置、さらには、洗浄が容易で衛生的にも優れた米飯冷却装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決すべく、鋭意研究を重ねた結果、本発明者は、炊き上がった米飯を搬送コンベアで搬送しながら冷却する米飯冷却装置において、コンベアベルトの下から吸引してコンベアベルト上の米飯を冷却する少なくとも2台の吸引冷却装置の間に、コンベアベルト上の米飯に冷却用空気を上から吹き付けて冷却する少なくとも1台の吐出冷却装置を配置することによって、意外にも、米飯の冷却効率が予想外に高まることを見出した。また、吸引冷却装置や吐出冷却装置を米飯冷却装置本体に対して移動可能なものとすることによって、さらには、コンベアベルトを片持ち式とし、取り外しが容易に行えるようにすることによって、米飯冷却装置の洗浄が極めて容易となり、衛生面で優れたものとすることができることを見出し、本発明を完成した。
【0009】
すなわち、本発明は、炊き上がった米飯を搬送コンベアのコンベアベルト上に載置して搬送しながら冷却する米飯冷却装置であって、少なくとも2台の吸引冷却装置と、2台の吸引冷却装置の間に配置された少なくとも1台の吐出冷却装置とを備え、吸引冷却装置の各々が、コンベアベルトの搬送面の下方に位置する吸引口と、当該吸引口と連通する排気用ダクトを有し、吐出冷却装置が、コンベアベルトの搬送面の上方に位置する吐出口と、当該吐出口と連通する送気ダクトを有する米飯冷却装置を提供することによって上記の課題を解決するものである。
【0010】
本発明の米飯冷却装置は、上記のとおり、2台の吸引冷却装置の間に、1台の吐出冷却装置が配置されているので、炊き上がった米飯は、まず、第1の吸引冷却装置を通過するときには、コンベアベルトの下側が負圧に吸引されることによって、コンベアベルト上部の空気が米飯の米粒間を通り抜け、その間に米飯の持っている熱が穏やかに奪い取られて、冷却される。このとき、米飯の温度はまだ高いので、吸引される空気の温度は室温程度で十分であり、格別の冷却手段を要しない。したがって、本発明の米飯冷却装置においては、冷気が熱い状態の米飯上に吹き付けられることがないので、米飯表面が急速に冷却されることもなければ、米飯表面に結露が生じることもない。
【0011】
次に、米飯には、吐出冷却装置によって上方から冷却用空気が吹き付けられる。これによって、コンベアベルト上にある米飯の上層部は速やかに冷却されるが、米飯表面は既に第1の吸引冷却装置によってある程度冷却されているので、米飯表面に結露が生じる恐れはない。吐出冷却装置によって米飯に吹き付ける冷却用空気の温度は20〜28℃の範囲にあるのが好ましく、より好ましくは25℃程度である。冷却用空気の温度が20℃を下回る場合には、冷却用空気の温度が低すぎて、米飯表面に結露が生じる恐れがある。また、冷却用空気の温度が28℃を上回ると、冷却効果が低く、冷却効率が低下する恐れがあるので、好ましくない。
【0012】
本発明の米飯冷却装置が設置された室内の室温が20〜28℃の範囲、より好ましくは25℃程度であれば、室内の空気を何ら冷却することなく、フィルターを通過させるだけで、そのまま吐出冷却装置から米飯に吹き付ける冷却用空気として用いることができる。また、本発明の米飯冷却装置が設置された室内に空調機が備えられており、当該空調機から吹き出される空気の温度が20〜28℃の範囲であれば、当該空調機から吹き出される空気を吐出冷却装置に導いて米飯に吹き付けるようにしても良い。この場合、必要であれば、吐出冷却装置に専用の送気用ファンを設け、当該空調機から導かれる冷却用空気の吐出圧を増すようにすることも適宜行うことができる。或いは、吐出冷却装置に専用の冷却装置又は空調機を設け、当該冷却装置又は空調機によって、吐出冷却装置から米飯に吹き付ける冷却用空気の温度を20〜28℃、より好ましくは25℃に調節するようにしても良い。
【0013】
続いて、第2の吸引冷却装置によって、再び、コンベアベルトの下側が負圧に吸引されるので、コンベアベルト上部の空気は米飯の米粒間を通り抜け、米飯はさらに冷却される。このときの吸引される空気の温度も、室温程度で十分であり、格別の冷却手段を要しない。第2の吸引冷却装置において吸引される空気の温度が室温程度で十分である理由については定かではないが、推測するに、その前段に配置されている吐出冷却装置によって、冷却用空気が吹き付けられ米飯の上層部がある程度冷却されているので、室内の空気が吸引されて米飯上層部を通過するときに冷却されている米飯と熱交換し、吸引時よりも低い温度となって、それよりも下層の米粒間を通過するためではないかと考えられる。
【0014】
使用する吸引冷却装置や吐出冷却装置の吸引・吐出能力にも依るが、本発明者が確認したところによれば、上記のような本発明の米飯冷却装置を用いると、当初、90〜80℃程度であった米飯の温度は、第2の吸引冷却装置を出るときには、約35℃程度まで冷却されている。同じ条件下で、吐出冷却装置を作動させなかった場合には、第2の吸引冷却装置を出るときの米飯の温度は約45〜50℃と高く、2台の吸引冷却装置の間に1台の吐出冷却装置を設けるだけで、約10〜15℃もの温度低下を実現することができる。また、同じ条件下で、吐出冷却装置に代えて、吸引冷却装置を1台増設し、3台の吸引冷却装置で米飯を冷却した場合には、第3の吸引冷却装置を出るときの米飯の温度は約40〜45℃にとどまり、吸引冷却装置を1台増設することによる米飯の温度低下は約5℃でしかない。つまり、吸引冷却装置を1台増設して3台にしても、その冷却効果は、2台の吸引冷却装置の間に1台の吐出冷却装置を配置する本発明の場合に及ばない。
【0015】
本発明の米飯冷却装置は、その好ましい形態において、吸引冷却装置が、コンベアベルトの搬送面の下方に水平方向に引き出し自在に設置された吸引箱を備え、当該吸引箱の上部は開口しており、当該開口が吸引冷却装置の上記吸引口であり、当該吸引箱はその内部が上記排気用ダクトと連通するように上記排気用ダクトに着脱自在に取り付けられており、吸引冷却装置が、米飯冷却装置本体に対して移動可能である。
【0016】
このように、本発明の米飯冷却装置においては、吸引冷却装置が、米飯冷却装置本体に対して移動可能であり、かつ、吸引口を備えた吸引箱も水平方向に引き出し自在、かつ、排気用ダクトとも着脱自在であるので、吸引箱を取り出して、その内部や外周を洗浄することが極めて容易である。また、本発明で用いる吸引冷却装置は、排気用ダクトを介して、吸引箱に設けられた吸引口から外気を吸引するだけであり、搬送コンベアの側部や上部に何らの側壁や覆いを要しないので、搬送コンベア上の暖かい米飯から立ち上る蒸気は自在に周囲に拡散し、結露を生じ水滴となって再び米飯上に落下する恐れがない。
【0017】
また、本発明の米飯冷却装置は、その好ましい形態において、吐出冷却装置が、コンベアベルトの搬送面の上方に上下動自在に設置された吐出フードを備え、当該地出フードの下部は開口しており、当該開口が吐出冷却装置の上記吐出口であり、当該吐出フードはその内部が上記送気用ダクトと連通するように上記送気用ダクトに取り付けられており、吐出冷却装置が、米飯冷却装置本体に対して移動可能である。
【0018】
このように、本発明の米飯冷却装置においては、吐出冷却装置が、吐出フードとともに、米飯冷却装置本体に対して移動可能であるので、吐出フードを適宜取り外して、その内部や外周を洗浄することが極めて容易である。
【0019】
さらに、本発明の米飯冷却装置は、その好ましい形態において、コンベアベルトを、少なくともその往路において、その搬送方向の左右いずれか一方の側方部で片持ち式に支持するフレームと、コンベアベルトの張力を緊張状態と弛緩状態との間で切り換える張力切り換え機構とを備えている。このように、コンベアベルトがフレームによって片持ち式に支持されている場合には、張力切り換え機構を操作して、コンベアベルトの張力を弛緩状態とすることにより、コンベアベルトを、片持ち式の先端部方向に抜き取ることが可能であり、コンベアベルトを適宜取り外して洗浄し、常時清潔に保つことができるので、極めて衛生的である。
【発明の効果】
【0020】
本発明の米飯冷却装置によれば、簡単な構成で、効率良く米飯を冷却することができるという利点が得られる。また、本発明の米飯冷却装置によれば、熱い米飯に冷風がいきなり吹き付けられることがないので、米飯表面に結露を生じることなく、また、冷却装置上部に何らの覆いを設ける必要がないので、結露した蒸気が水滴となって米飯上に落下する恐れもない。さらには、本発明の米飯冷却装置の好ましい一態様によれば、吸引口を形成する吸引箱や、吐出口を形成する吐出フードを、適宜、引き出したり、取り外したりして洗浄することができるとともに、米飯を搬送するコンベアベルトも、適宜取り外して洗浄することができるので、米飯冷却装置を常に生活に保ち、極めて衛生的であるという優れた利点が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の米飯炊飯装置の一例を示す正面断面図である。
【図2】本発明の米飯炊飯装置の一例を示す平面断面図である。
【図3】本発明の米飯炊飯装置の一例を示す側面図である。
【図4】コンベアベルトを取り外す様子を示す側面図である。
【図5】吸引箱の周辺だけを取り出して示す拡大側面図である。
【図6】コンベアフレームに設けられた開口部分の拡大図である。
【図7】吸引箱と排気用ダクトの一部の断面図である。
【図8】吸引箱の平面図である。
【図9】第2の吸引冷却装置を米飯冷却装置の本体に対して移動させ吸引箱を外部に引き出した状態を示す図である。
【図10】吸引箱を第2の吸引冷却装置から取り外した状態を示す図である。
【図11】吸引箱を取り外した状態の第2接続部を第1接続部の側から見た図である。
【図12】第1接続部側のフランジ部分を時計方向に回転させた状態を示す図である。
【図13】吐出冷却装置の一例を示す側面図である。
【図14】第3接続部を吐出フードの側から見た図である。
【図15】吐出フード側のフランジ部分を時計方向に回転させた状態を示す図である。
【図16】吐出フードの側面断面図である。
【図17】吐出フードの正面断面図である。
【図18】吐出フードの他の一例を示す側面断面図である。
【図19】吐出冷却装置の他の一例を示す側面図である。
【図20】ローラ支持台の位置固定・解除機構の拡大正面図である。
【図21】ローラ支持台の位置固定・解除機構の拡大平面図である。
【図22】ローラ支持台の位置固定を解除した状態を示す拡大平面図である。
【図23】下部フリーローラを支持板から取り外す機構の説明図である。
【図24】本発明の米飯冷却装置の動作状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を用いて本発明を詳細に説明するが、本発明が図示のものに限られないことは勿論である。
【0023】
図1、図2、図3は、それぞれ、本発明の米飯冷却装置の一例を示す正面断面図、平面断面図、及び側面図であり、図1は、図2のY−Y’線断面、図2は図1のX−X’線断面を表している。但し、図2においては、便宜上、コンベアベルトは省略してある。また、図3においては、便宜上、第1の吸引冷却装置は省略してある。
【0024】
図1〜図3において、1は本発明の米飯冷却装置、2a、2bは一対のコンベアフレーム、3、3、3は、コンベアフレーム2aと2bとを連結する連結部材、4は本体フレームである。なお、コンベアフレーム2aには、後述する吸引箱を通す開口2ahが二箇所に設けられている。5は駆動ローラ、6は従動ローラ、7は上部フリーローラ、7aは小径の上部フリーローラ、8は下部フリーローラ、9は電動機である。駆動ローラ5、従動ローラ6、上部フリーローラ7及び7aは、一対のコンベアフレーム2a、2b間に回転自在に軸支されており、下部フリーローラ8は、本体フレーム4に取り付けられた支持板10a、10b間に回転自在に軸支されている。
【0025】
11a、11bは、従動ローラ6の両端を支えるローラ支持台であり、ローラ支持台11a、11bは、それぞれ、コンベアフレーム2a、2bに対し、コンベアフレーム2a、2bの長手方向に移動可能に取り付けられている。12a、12bは、ローラ支持台11a、11bの位置固定・解除機構であり、コンベアベルトの張力を緊張状態と弛緩状態との間で切り換える張力切り換え機構を形成しているが、これについては後述する。
【0026】
Vはコンベアベルトであり、駆動ローラ5と従動ローラ6間に掛け渡されている。電動機9が回転すると、その回転力は駆動ローラ5に伝えられ、コンベアベルトVは、図1及び図2において右から左へ向かう搬送方向へ、また、その逆方向に移動する。コンベアベルトVとしては、その上に炊き上がった米飯を載置して搬送することができ、かつ、空気の通過を許容する空隙を備えたものであれば、どのような材質、構造のものであっても良いが、ステンレスメッシュや樹脂メッシュからなるコンベアベルトを用いるのが好ましい。
【0027】
図示の例においては、駆動ローラ5は、従動ローラ6よりも高い位置に設置されており、コンベアベルトVは、炊飯された高温の米飯が載置される従動ローラ6側から、冷却されて次工程へと搬出される駆動ローラ5側に向かうにつれて、次第に高くなるように傾斜して設けられている。このように、米飯冷却装置1におけるコンベアベルトVが低い位置から高い位置へと米飯を搬送するように傾斜している場合には、前工程からの米飯の受入や、次工程への米飯の搬出に重力を利用することができるので便利である。しかし、本発明の米飯冷却装置は、図示の例に限られず、駆動ローラ5と従動ローラ6とを同じ高さに設置し、その間に掛け渡されるコンベアベルトVによって、米飯を水平に搬送しつつ、冷却するようにしても良い。
【0028】
SC、SCは、それぞれ、第1及び第2の吸引冷却装置であり、13、13は吸引箱、14、14は排気用ダクト、15、15は、排気用ダクト14、14内に設けられた排気用ファンであり、排気用ダクト14、14は、吸引箱13、13の内部と連通している。16、16は、吸引箱13、13の上部開口であり、それぞれ、第1及び第2の吸引冷却装置SC、SCの吸引口を形成している。吸引箱13、13は、コンベアフレーム2aの側面に設けられた開口2ahを通って、コンベアベルトVの下方に挿入されており、吸引口16、16は、コンベアベルトVの搬送面の下方に開口している。したがって、排気用ファン15、15が回転して吸引箱13、13内が負圧に引かれると、コンベアベルトVのメッシュ状の空隙を介して、コンベアベルトVの上部空間の空気は吸引箱13、13内に吸引され、排気用ダクト14、14内を通過して外部に排出されることになる。なお、コンベアベルトVの搬送面とは、その上に米飯が載置されて搬送される面をいい、従動ローラ6から駆動ローラ5までの往路におけるコンベアベルトVの上面を意味する。
【0029】
吸引口16、16の直上に位置する上部フリーローラ7aは、コンベアベルトVの上部空間にある空気が吸引箱13、13内に吸引されるさいの空気の流れの妨げとなることがないように、他の部分に配置される上部フリーローラ7よりも小径に形成されている。また、吸引箱13、13の側部先端部には、ガイドローラw、wが上下に配置されており、このガイドローラw、wによって、ガイドレールr、rを上下から挟みながら、吸引箱13、13は、コンベアベルトVの搬送方向とは直交する水平方向に移動可能である。これにより、吸引箱13、13は、コンベアベルトVの下方にある位置からその外へと引き出し可能であり、逆に、外からコンベアベルトVの下方にある位置へと挿入が可能である。さらに、図3に示すように、第1、第2の吸引冷却装置SC、SCは、移動用の車輪を備えた可動台17、17に取り付けられており、米飯冷却装置1の本体に対して移動可能である。
【0030】
BCは吐出冷却装置であり、第1の吸引冷却装置SCと第2の吸引冷却装置SCとの間に配置されている。本例において吐出冷却装置BCは1台であるが、場合によっては、2台、若しくはそれ以上の吐出冷却装置BCを第1の吸引冷却装置SCと第2の吸引冷却装置SCとの間に配置しても良い。
【0031】
18は吐出冷却装置BCの吐出フード、19は吐出フード18の下部開口であり、吐出冷却装置BCの吐出口を形成している。20は送気用ダクトである。図に示すとおり、吐出冷却装置BCの吐出口19は、コンベアベルトVの搬送面の上部に位置しているので、送気用ダクト20を介して送気されてくる冷却用の空気は、吐出口19から、コンベアベルトV上に載置されている米飯に向かって吹き付けられることになる。なお、後述するとおり、吐出フード18は、上下動可能であり、吐出口19からコンベアベルトVまでの距離は自由に調節可能である。また、吐出冷却装置BCも移動可能な支持台に取り付けられているので、米飯冷却装置1の本体に対して移動可能である。
【0032】
図3に示すように、コンベアフレーム2bは、連結部材3、3、3を介してコンベアフレーム2aと連結されており、コンベアフレーム2aによって片持ち式に支持されている。コンベアフレーム2aと2bの間には、駆動ローラ5、従動ローラ6、及び上部フリーローラ7、7aが回転自在に軸支されており、これら各ローラによって、回転、支持される部分は、コンベアベルトVの往路を形成しているので、図示の例においては、コンベアベルトVは、その往路において、コンベアフレーム2aによって、すなわち、コンベアベルトVの搬送方向に向かって右側の側方部で、片持ち式に支持されていることになる。
【0033】
コンベアベルトVの復路を支持する下部フリーローラ8は、その両端を支持板10a、10bで支持されており、片持ち式ではないが、後述するとおり、コンベアベルトVの張力が緩んだ状態では、支持板10a、10bから取り外しが可能である。したがって、上述した位置固定・解除機構12a、12bを操作してローラ支持台11a、11bの位置固定を解除して、ローラ支持台11a、11bをコンベアフレーム2a、2bの長手方向に移動させると、コンベアベルトVの張力は緩和状態となるので、その状態で下部フリーローラ8を支持板10a、10bから取り外せば、例えば図4に示すように、コンベアベルトVは、容易に取り外すことができる。なお、コンベアベルトVの復路を支持する下部フリーローラ8も片持ち式に支持するようにしても良いことは勿論である。
【0034】
因みに、コンベアベルトVを片持ち式に支持する側を変更すれば、コンベアベルトVを、図示の例とは逆に、搬送方向の右側に取り外すことも可能である。しかし、図示の例においては、搬送方向の右側には、通常、第1、第2の吸引冷却装置SC、SCや、吐出冷却装置BCが存在するので、それらの方向に取り外すには障害があるので、第1、第2の吸引冷却装置SC、SCや、吐出冷却装置BCが存在するのとは反対側に取り出すようにするのが好ましい。
【0035】
図5は、吸引箱13の周辺だけを取り出して示す拡大側面図であり、これまで説明したものと同じ部材には同じ符号を付してある。なお、以下、主として、第2の吸引冷却装置SCを例に説明をするが、吸引箱等を含め、吸引冷却装置の構造は、第1の吸引冷却装置SCも同じである。
【0036】
図に示すとおり、吸引箱13は、コンベアフレーム2aに設けられた開口2ahを介して、コンベアベルトVの下に挿入されており、その上部開口である吸引口16は、コンベアベルトVの搬送面の下方に開口している。吸引箱13の側部先端部にはガイドローラw、wが取り付けられており、このガイドローラw、wによって、ガイドレールrを上下から挟み込むことによって、吸引箱13は、コンベアベルトVの幅方向に街路レールrに沿って移動可能であり、図中、左、水平方向に引き出すことができるようになっている。また、コンベアフレーム2aに設けられた開口2ahを介して、吸引箱13の先端部をコンベアフレーム2aの内側に挿入し、ガイドローラw、wをガイドレールrに係合させることによって、吸引箱13をコンベアベルトVの下方の所定位置まで、ガイドレールrに沿って移動させることができるようになっている。なお、rsはガイドレールrの支持部材である。
【0037】
21は、吸引箱13と排気用ダクト14との間の第1接続部、22は、吸引箱13と排気用ダクト14との間の第2接続部である。吸引箱13は、第1接続部21及び第2接続部22の双方において、排気用ダクト14と脱着が可能であり、特に第2接続部22においては、後述するとおり、排気用ダクト14に対する吸引箱13の取付角度を変更することが可能である。なお、23は覆い蓋であり、吸引箱13の上部開口である吸引口16の開口部分をコンベアベルトVの下方に制限することにより、排気用ファン15の吸引力をより有効に利用するためのものである。
【0038】
図6は、コンベアフレーム2aに設けられた開口2ah付近の部分拡大図である。図に示すとおり、ガイドレールr、rは、その上下をガイドローラw、wで挟み込んで吸引箱13が移動できるように、支持部材rs、rsによって、開口2ahの側壁位置から内側に突出するように設置されている。
【0039】
図7は吸引箱13と排気用ダクト14の一部の断面図であり、24a、24bは第1、第2の整流板、25a、25bは整流板ブラケット、Rは米飯を表している。図に示すように、排気用ダクト14は吸引箱13の内部と連通しているので、排気用ダクト14を介して吸引箱13内が負圧に引かれると、図中、矢印で示すようにコンベアベルトVの上部空間の空気が米飯Rの米粒間の間隙を通過して、吸引口16から吸引箱13内へと吸引され、その途上で、米飯Rを効率的に冷却する。なお、米飯冷却装置1が設置される室内は、通常、四季を通じて空調されており、また、近傍では、炊き上がった米飯の炊飯釜からの取り出し工程が行われているので、室内の気温は冬場でも20℃を下回ることはない。したがって、本発明の米飯冷却装置1においては、この室内の空気をそのまま、何らの冷却も加熱もすることなく、吸引口16から吸引して、米飯を冷却することができる。
【0040】
また、吸引箱13内には、先端部が立ち上がった第1、第2の整流板24a、24bが設けられているので、コンベアベルトVの上部空間の空気は、排気用ダクト14に近い吸引箱13の根元側に偏ることなく、排気用ダクト14から遠い、吸引箱13の中程や、先端部からも、吸引口16を介して、吸引箱13内に吸引されることになる。したがって、コンベアベルトVの幅方向の位置によって米飯Rの冷却にムラができることが防止され、より均一な冷却が実現できるという利点がある。
【0041】
図8は、吸引箱13の平面図である。図に示すように、第1、第2の整流板24a、24bには長孔26が設けられており、第1、第2の整流板24a、24bは、この長孔26を介して、ネジ27によって整流板ブラケット25a、25bに取り付けられている。したがって、ネジ27を緩めることにより、第1、第2の整流板24a、24bは、長孔26の孔の長さの許す範囲で、整流板ブラケット25a、25bに対して移動可能である。これにより、第1、第2の整流板24a、24bで区切られる吸引口16のコンベアベルトVの幅方向における長さL、L、Lを調節することができるので、コンベアベルトVの幅方向における吸引量をより均一に調節することが可能となり、米飯のより均一な冷却が実現できるという利点が得られる。
【0042】
図9は、第2の吸引冷却装置SCを米飯冷却装置1の本体に対して移動させ、吸引箱13を外部に引き出した状態を示している。また、図10は、外部に引き出した吸引箱13を、第1接続部21の部分で、第2の吸引冷却装置SCから取り外した状態を示している。なお、第1接続部21の構造は、その部分で、吸引箱13を、第2の吸引冷却装置SCから取り外したり、第2の吸引冷却装置SCに取り付けたりすることができる限り、どのようなものであっても良いが、典型的にはフランジ面を突き合わせ、ボルトナットで着脱自在に固定するのが良い。
【0043】
このように、本発明の米飯冷却装置1においては、第2の吸引冷却装置SCを米飯冷却装置1の本体に対して移動させ、吸引箱13を外部に引き出すことが可能であり、また、吸引箱13を第2の吸引冷却装置SCから取り外すことができるので、吸引箱13の洗浄を極めて容易に行うことができる。さらには、既に洗浄済みの吸引箱13を用意しておく場合には、先に使用していた吸引箱13を取り外すと同時に、新たな吸引箱13を第2の吸引冷却装置SCに取り付けて、直ちに、米飯冷却装置1を運転再開することができるので、吸引箱13を洗浄する間、米飯冷却装置1を休止させる必要がなく、ほぼ連続して運転することが可能となり、極めて便利である。また、当然のことながら、第2の吸引冷却装置SCの洗浄や清掃も容易に行える。したがって、本発明の米飯冷却装置1によれば、吸引箱を含め、吸引冷却装置を清潔に保つことが容易であり、極めて衛生的に米飯の冷却を行うことができるという優れた利点が得られる。
【0044】
図11は、吸引箱13を取り外した状態の第2接続部22を、第1接続部21の側から見た図である。図に示すとおり、第2接続部22は、2枚の円形のフランジ部分を突き合わせ、その第1接続部21側のフランジ部分に長孔26を設け、その長孔26を介して、ネジ27で、双方のフランジ部分を着脱自在に固定した構造を有している。したがって、ネジ27を緩めることによって、図中双方向の矢印で示すように、第1接続部21側のフランジ部分、すなわち、図中手前側のフランジ部分は、長孔26の孔の長さが許す範囲で、図中奥側のフランジ部分に対して、両フランジ部分の取り付け面に対して垂直な水平軸の回りに回転可能である。
【0045】
図12は、図11に示す状態から、ネジ27を緩め、第1接続部21側のフランジ部分を時計方向に回転させた状態を示している。このように、第2接続部22における第1接続部21側のフランジ部分を水平軸の回りに回転させると、第1接続部21も図に示すとおり水平軸の回りに回転するので、排気用ダクト14に対する吸引箱13の取付角度を、第2接続部22における両フランジ部分の取り付け面に対して垂直な水平軸の回りに可変とすることができる。
【0046】
第2接続部22の構造が上述のようなものであれば、例えば、図1に示すように、コンベアベルトVが傾斜している場合であっても、排気用ダクト14、14に対する吸引箱13、13の取付角度を調節することによって、吸引箱13、13の上部開口である吸引口16、16の開口面を、コンベアベルトVの搬送面と平行に位置させることができるので、吸引ファン15、15によって発生される吸引力を有効に利用することができるという優れた作用効果が得られる。
【0047】
図13は、吐出冷却装置BCの一例を示す側面図である。図において、28は支持台であり、吐出冷却装置BCは、第3接続部29及び摺動環30を介して、支持台28に対して取り付けられている。摺動環30は、支持台28の支柱に対して摺動可能であるので、図示しない係止部材を緩めることによって、吐出冷却装置BCを上下方向に移動させることができ、また、係止部材を締めることによって、吐出冷却装置BCを適宜の位置に固定することができる。なお、支持台28には車輪が取り付けられているので、図中矢印で示すように、吐出冷却装置BCは、米飯冷却装置1の本体に対して移動可能である。
【0048】
31は、内部にフィルターと送気用ファンを備えた冷却装置であり、外気は、冷却装置31内部に備えられたフィルターを通過した後、20〜28℃の範囲、好ましくは25℃程度に調節されて、送気用ファンによって送気用ダクト20へと送られ、吐出フード18の下部開口である吐出口19からコンベアベルトV上の米飯に向かって吹き付けられる。冷却装置31は、送風温度を調節することができる空調装置であっても良い。
【0049】
なお、本発明の米飯冷却装置1が設置されている室内の気温が20〜28℃の範囲、好ましくは25℃程度である場合には、室内の空気の温度を冷却装置31で特段調節する必要はなく、フィルターを通過させるだけで、そのまま吐出口19からコンベアベルトV上の米飯に向かって吹き付けて良い。また、本発明の米飯冷却装置1が設置されている室内に空調機が備えられている場合には、その空調機から吐出される空気を送気用ダクト20に導いて、冷却装置31を省略することができる。このとき、空調機から吐出される空気の吐出圧が低い場合には、別途、送気用ファンを設けて、吐出圧を上げることも随意である。また、吐出冷却装置BCが支持台28に対して上下動自在であるので、吐出口19からコンベアベルトVまでの距離を適宜調節して、吐出冷却装置BCによる冷却効果を調整することが可能である。
【0050】
図14は、第3接続部29を、吐出フード18の側から見た図である。図に示すとおり、第3接続部29も、前述した第2接続部22と同様に、2枚の円形のフランジ部分を突き合わせ、その吐出フード18のフランジ部分に長孔26を設け、その長孔26を介して、ネジ27で、双方のフランジ部分を着脱自在に固定した構造を有している。したがって、ネジ27を緩めることによって、吐出フード18側のフランジ部分、すなわち、図中手前側のフランジ部分は、長孔26の孔の長さが許す範囲で、図中奥側のフランジ部分に対して、両フランジ部分の取り付け面に対して垂直な水平軸の回りに回転可能である。
【0051】
図15は、図14に示す状態から、ネジ27を緩め、吐出フード18側のフランジ部分を時計方向に回転させた状態を示している。このように、第3接続部29における吐出フード18側のフランジ部分を水平軸の回りに回転させると、図中破線で示すとおり、吐出フード18も水平軸の回りに回転するので、支持台28に対する吐出フード18の取付角度を、第3接続部29における両フランジ部分の取り付け面に対して垂直な水平軸の回りに可変とすることができる。
【0052】
第3接続部29の構造が上述のようなものであれば、例えば、図1に示すように、コンベアベルトVが傾斜している場合にも、吐出フード18の支持台28に対する取付角度を調節することによって、吐出フード18の下部開口である吐出口19の開口面を、コンベアベルトVの搬送面と平行に位置させることができるので、吐出口19から吐出される冷却用空気をコンベアベルトV上の米飯に均一に吹き付けることが可能となり、米飯のより均一な冷却が可能となる。
【0053】
図16は吐出フード18の側面断面図、図17は吐出フード18の正面断面図である。図に示すとおり、吐出フード18の内部には、上下二段に第1整流板32と第2整流板33とが、互いに直交する方向に設けられている。第1整流板32と第2整流板33は、共に、水平な軸の回りに回転自在に取り付けられており、その角度を適宜調節することによって、吐出口19から吹き出される冷却用空気の流れを調節して、コンベアベルトV上の米飯に対する冷却効果を適宜調整することができる。なお、図示の例では、第1整流板32及び第2整流板33ともに、その枚数は3枚であるが、2枚以下であっても良いし、4枚以上であっても良い。また、これらの第1整流板32及び第2整流板33に駆動装置を取り付け、遠隔操作によって、その角度を調節したり、適宜の時間間隔で回動させて、吐出口19から吹き出る冷却用空気をスイングさせるようにしても良い。
【0054】
図18は吐出フード18の他の一例を示す側面断面図である。34は、吐出フード18のフードカバーであり、フードカバー34の内部には断熱材35が充填されている。これにより、吐出フード18の内部を冷却用の空気が通過して、吐出フード18が冷却されても、その低温は吐出フード18よりも外部には伝わらないので、吐出フード18の外側に結露が生じる恐れがない。また、36は結露受であり、吐出フード18の下端部の周囲全面にわたって設けられている。これにより、仮に、吐出フード18の内壁面に結露が生じても、その結露による水滴は、吐出フード18の内壁面を伝って結露受36によって受け止められ、下方に位置する米飯上に落下することはない。
【0055】
図19は、吐出冷却装置BSの他の一例を示す側面図である。本例においては、支持台28の台座部に冷却装置31が搭載されており、吐出フード18や送気ダクト20と共に移動可能となっている。31aは、冷却装置31に備えられているフィルター、31bは冷却器、31cは送気用ファンである。このように、フィルター31a、冷却器31b、送気用ファン31cを備えた冷却装置31が、吐出フード18や送気ダクト20と共に支持台28に取り付けられている場合には、これら全体を移動式として、自在に必要な場所に移動させることができるので、極めて便利である。例えば、吸引冷却装置しか設置されていない米飯冷却装置の近傍に移動させて、吐出フード18の上下位置や、その取り付け角度を調整して使用し、吸引冷却装置と吐出冷却装置の双方を備えた米飯冷却装置に改変して、その米飯冷却効率を高めることが可能となる。なお、本例においても、冷却装置31は、送風温度を調節することができる空調装置であっても良い。
【0056】
図20は、ローラ支持台11bの位置固定・解除機構12bの拡大正面図である。なお、以下、ローラ支持台11bの位置固定・解除機構12bの構造とその動作について説明するが、ローラ支持台11aの位置固定・解除機構12aの構造とその動作も同様である。
【0057】
図において、37はローラ支持台11bが取り付けられた摺動体、38、38はその摺動をガイドするガイド板であり、これにより、摺動体37は、コンベアフレーム2b内に摺動自在に収容されている。39はコンベアフレーム2bに設けられた開口、40は摺動体37に固定されている係止片、41はコンベアフレーム2bに固定されているベース部材、42は回転ハンドル、42aはその回転軸であり、回転軸42aによって回転ハンドル42はベース部材41に回動自在に支持されている。43は回転軸42aよりも回転軸回転ハンドル42の先端側に設けられた横断部材、44はネジ部材、45はネジ部材44のヘッド部材である。ネジ部材44のヘッド部材45は、係止片40の凹部に係合しており、ネジ部材44のヘッド部材45とは反対側の他端は、横断部材43の内部に設けられている雌ネジと螺合し、横断部材43を貫通している。
【0058】
図21は、ローラ支持台11bの位置固定・解除機構12bの拡大平面図であり、図20を上から見た図である。図に示すとおり、ネジ部材44は、その一方端では、回転ハンドル42の横断部材43の内部に設けられている雌ネジと螺合しており、他方端では、ヘッド部材45を、係止片40の凹部に係合させている。この状態では、回転ハンドル42が最も外側(図中反時計回り)に倒された状態にあり、回転ハンドル42の横断部材43と螺合しているネジ部材44は、そのヘッド部材45を介して、摺動体37に固定されている係止片40を、図中、最も右側に引き出した状態にある。したがって、摺動体37に取り付けられているローラ支持台11b、そして、ローラ支持台11b上に支持されている従動ローラ6は、コンベアフレーム2bから最も外側に張り出した状態にあり、その状態で固定されている。この状態ではコンベアベルトVは緊張状態にある。
【0059】
図22は、図20、図21に示す状態から回転ハンドル42を内側(図中矢印で示す時計回り)に回転させた状態を示している。図に示すとおり、回転ハンドル42を内側(図中時計回り)に回転させると、回転ハンドル42の横断部材43と係止片40の凹部との距離が縮まるので、ヘッド部材45と係止片40の凹部との係合は解かれ、ネジ部材44は図中矢印で示す反時計回りに回転させることができる。これにより、ローラ支持台11bの固定を解除して、従動ローラ6をローラ支持台11bとともに、図中矢印で示すように、コンベアフレーム2bの側に向かって移動させて、コンベアベルトVを弛緩状態とすることができる。
【0060】
コンベアベルトVが弛緩状態になると、上述したとおり、コンベアフレーム2bは、連結部材3、3、3を介して、コンベアフレーム2aによって片持ち式に支持されているので、先に図4で説明したとおり、コンベアベルトVを、コンベアフレーム2a、2bや、その間に支持されている駆動ローラ5、従動ローラ6、更には大小の上部フリーローラ7、7aから取り外すことができる。
【0061】
図23は、下部フリーローラ8を支持板10bから取り外す機構の説明図である。支持板10bには、図に示すような切れ込み46が設けられており、コンベアベルトVが上述したとおり、ローラ支持台11a、11bの位置固定・解除機構12a、12b操作で弛緩状態になると、下部フリーローラ8を、切れ込み46を通過させて支持板10bから取り外すことができる。なお、反対側にある支持板10aについても同様である。これにより、コンベアベルトVを、完全に、本発明の米飯冷却装置1から取り外すことができる。
【0062】
なお、下部フリーローラ8だけでなく、上部に位置する駆動ローラ5、従動ローラ6、上部フリーローラ7、7aなども取り外し可能な構造とすることも考えられるが、駆動ローラ5や従動ローラ6、特に駆動ローラ5は電動機9と動力伝達機構を介して連結されているので、それらを取り外し可能な構造とすることには、多大の労力を要し、現実的ではない。したがって、上述した例に示すように、比較的取り外しが容易な下部フリーローラは別にして、少なくとも、コンベアベルトVを、その往路において片持ち式に支持するコンベアフレーム2a、2bを設けるのが好ましい。
【0063】
取り外されたコンベアベルトVは、適宜、容易に洗浄することができる。また、既に洗浄済みのコンベアベルトVを用意しておく場合には、先に使用していたコンベアベルトVを取り外すと同時に、新たなコンベアベルトVを取り付けて、直ちに、米飯冷却装置1を運転再開することができるので、コンベアベルトVを洗浄する間、米飯冷却装置1を休止させる必要がなく、ほぼ連続して運転することが可能となり、極めて便利である。
【0064】
なお、コンベアベルトVの張力を緊張状態と弛緩状態との間で切り換える張力切り換え機構は、上述したローラ支持台11a、11bの位置固定・解除機構12a、12bに限られない。従動ローラ6を、例えばネジ機構などの送り機構によって、コンベアフレーム2a、2bに対して移動させて、コンベアベルトVの張力を緊張状態と弛緩状態との間で切り換えるようにしても良いし、例えば、下部フリーローラ8に移動機構を設けて、コンベアベルトVの張力を緊張状態と弛緩状態との間で切り換えるようにしても良い。しかし、上述したローラ支持台11a、11bの位置固定・解除機構12a、12bによれば、回転ハンドル42を操作するだけで、ローラ支持台11a、11bの位置固定と解除、換言すれば、コンベアベルトVの張力の緊張状態と弛緩状態との間での切り換えを行うことができるので、便利である。
【0065】
また、上述の位置固定・解除機構によれば、ネジ部材44の一方端は回転ハンドル42の横断部材43と螺合しているので、ネジ部材44のヘッド部材45を回転させることによって、横断部材43に対する螺合深さを変え、ネジ部材44のヘッド部材45から横断部材43までの長さを変えることができる。これにより、位置固定状態において、ヘッド部材45が係合する係止片40と、回転ハンドル42の横断部材43との距離を変化させることができるので、コンベアベルトVの緊張状態におけるローラ支持台11b及び従動ローラ6の突出位置を変化させることができるという利点がある。
【0066】
コンベアベルトVの緊張状態におけるローラ支持台11b及び従動ローラ6の突出位置を変化させることが可能であると、例えば、コンベアベルトVの長さが伸びて若干緩み加減になったときや、逆に、収縮して、回転移動がややきつい状態になったときなど、ヘッド部材45を回転させて、ネジ部材44のヘッド部材45から横断部材43までの長さを変え、ローラ支持台11b及び従動ローラ6の突出位置を変化させることによって、緊張状態におけるコンベアベルトVの張力を適宜の大きさに調節することが可能となるという利点が得られる。
【0067】
図24は、本発明の米飯冷却装置1の動作状態を示す説明図である。図24に示すとおり、炊飯が終了した米飯Rが、図示しないほぐし装置を経てほぼ一定の堆積厚さで本発明の米飯冷却装置1のコンベアベルトV上に供給されると、コンベアベルトVによって図中矢印方向に搬送される。コンベアベルトV上の米飯Rは、まず、第1の吸引冷却装置SCの位置では、米飯Rの上部からコンベアベルトVの下方に開口する吸引口16に向かって吸引される空気によって冷却され、次いで、吐出冷却装置BCの位置では、吐出口19から吹き付けられる冷却用空気によってさらに冷却され、最後に、第2の吸引冷却装置SCによって、再度、米飯Rの上部からコンベアベルトVの下方に開口する吸引口16に向かって吸引される空気によって冷却される。このように、本発明の米飯冷却装置1においては、米飯Rの上から下へと吸引される空気による冷却と、米飯Rの上部から米飯Rに向かって吹き付けられる冷却空気による冷却とが組み合わされて、効率の良い米飯の冷却が可能となる。
【0068】
なお、上述したとおり、第1、第2の吸引冷却装置SC及びSCは、吸引箱13及び13が引き出し可能であり、かつ、排気用ダクト14及び14から取り外すことができるので、吐出冷却装置BCと組み合わせて用いられる場合だけでなく、それら単独で使用しても、洗浄が容易で、機器を清潔に保つことができるという優れた利点を有している。したがって、上述したような吸引冷却装置を1台、若しくは2台以上備えた米飯冷却装置は、洗浄が容易で、極めて衛生的であるという利点を備えている。
【0069】
また、コンベアベルトVを、少なくともその往路工程で片持ち式に支持する場合には、以上説明した米飯冷却装置における場合だけでなく、それ以外の米飯冷却装置であっても、コンベアベルトVを、米飯冷却装置の本体から容易に取り外して洗浄することができ、機器を清潔に保つことができるという優れた利点が得られる。したがって、コンベアベルトVを、少なくともその往路工程で片持ち式に支持するようにした米飯冷却装置は、その冷却方式の如何に係わらず、コンベアベルトV上で米飯を搬送しながら冷却するものである限り、コンベアベルトを米飯冷却装置の本体から容易に取り外して洗浄することができ、装置を清潔に保つことができるという優れた利点を備えるものである。
【産業上の利用可能性】
【0070】
以上述べたとおり、本発明の米飯冷却装置によれば、比較的簡単な構造で、効率良く米飯を冷却することができるので、設備導入に要する費用負担も少なく、設置スペースも小さくて済み、さらには、清掃や洗浄が容易で、米飯冷却装置を清潔に保つことができるので、大量の米飯を炊飯することを日常業務としている産業分野において、極めて優れた産業上の利用可能性を有するものである。
【符号の説明】
【0071】
1 米飯冷却装置
2a、2b コンベアフレーム
2ah、39 開口
、3、3 連結部材
4 フレーム
5 駆動ローラ
6 従動ローラ
7、7a、8 フリーローラ
9 電動機
10a、10b 支持板
11a、11b ローラ支持台
12a、12b 位置固定・解除機構
13、13 吸引箱
14、14 排気用ダクト
15、15 排気用ファン
16、16 吸引口
17、17 可動台
18 吐出フード
19 吐出口
20 送気用ダクト
21、22、29 接続部
23 覆い蓋
24、32、33 整流板
25 整流板ブラケット
26 長孔
27 ネジ
28 支持台
30 摺動環
31 冷却装置
34 フードカバー
35 断熱材
36 結露受
37 摺動体
38 ガイド板
40 係止片
41 ベース部材
42 回転ハンドル
43 横断部材
44 ネジ部材
45 ヘッド部材
46 切れ込み
SC、SC 第1、第2の吸引冷却装置
BC 吐出冷却装置
V コンベアベルト
R 米飯
r ガイドレール
w ガイドローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炊き上がった米飯を搬送コンベアのコンベアベルト上に載置して搬送しながら冷却する米飯冷却装置に用いられる吸引冷却装置であって、上部が開口した吸引箱と、前記吸引箱の内部と連通している排気用ダクトと、前記吸引箱内を負圧に引く排気用ファンとを有し、前記米飯冷却装置に対して移動可能であり、吸引冷却時、前記吸引箱の上部開口が前記コンベアベルトの搬送面の下方にある位置に設置される吸引冷却装置。
【請求項2】
前記吸引箱が、前記排気用ダクトに対して着脱自在に取り付けられている請求項1記載の吸引冷却装置。
【請求項3】
上記排気用ダクトに対する上記吸引箱の取付角度が、取り付け面に垂直な水平軸の回りに可変である請求項2記載の吸引冷却装置。
【請求項4】
前記吸引箱が、その上部開口部分を前記コンベアベルトの搬送面の下方に制限する覆い蓋を有している請求項1〜3のいずれかに記載の吸引冷却装置。
【請求項5】
炊き上がった米飯を搬送コンベアのコンベアベルト上に載置して搬送しながら冷却する米飯冷却装置であって、請求項1〜4のいずれかに記載の吸引冷却装置を備えている米飯冷却装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate


【公開番号】特開2012−101083(P2012−101083A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−255713(P2011−255713)
【出願日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【分割の表示】特願2009−216232(P2009−216232)の分割
【原出願日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【出願人】(599103122)精宏機械株式会社 (26)
【Fターム(参考)】