説明

米飯改質剤

【課題】本発明は、米飯改質剤及び米飯改質方法の提供。
【解決手段】低粘性ガラクトキシログルカンを含有することを特徴とする米飯改質剤を含有することにより、炊飯時の炊上がり量の増加及び炊き上がりの食味、食感又は外観(つや)を維持又は改善することができる米飯を提供し、二次加工(冷凍加工)した米飯を解凍しても、食味、食感又は食感(つや)を維持又は改善する米飯を提供することができる。該低粘性ガラクトキシログルカンは、米に対して0.01〜10重量%含有していてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、米飯改質剤及び米飯改質方法に関する。
【背景技術】
【0002】
米飯は、食生活が多様化している現代においても日本人の主食として位置づけられる。米飯は、炊飯したまたは調味加工して冷凍した米飯を解凍した形態で食されることが多い。従って、これらの米飯の外観(つや)、香り、食感、食味を維持または改善、または使用時における分割のし易さの改善が要求されていた。具体的には、凍結時における凍結効率の良さ、解凍時の均一な熱伝導性による品質の向上又は食品同士の結着の防止が要求され、これらの改善のためには米粒が個々にほぐれた状態が好ましい。米粒のほぐれ性を改善する方法としては、乳化剤を含有する油脂を米飯に添加することが知られている(特許文献1)。
【0003】
また、大豆由来の水溶性ヘミセルロースを添加又は表面処理した穀類加工食品は、ほぐれ性が改善され、水分の流出の少ない歩留まりのよいことが知られており(特許文献2)、アミラーゼやリパーゼなどの酵素を添加することでバラケ性の改良された米飯が提供できることが知られている(特許文献3及び4)。
【0004】
一方、キシログルカン又はキシログルカン分解物を米飯に配合することにより、良炊な加工米飯を提供すると共に、炊飯時の歩留まりを向上し、コストダウンが可能であることが知られている(特許文献5)。
【0005】
【特許文献1】特開平3−175940公報
【特許文献2】特許第3207264号
【特許文献3】特開2001−275589公報
【特許文献4】特開2003−23982公報
【特許文献5】特開平7−289179公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、効率的に米飯の炊上がり量が増加し、かつ食味、食感及び外観が維持又は改善された満足度の高い米飯又は調味加工した米飯は提供されていない。本発明者は、前記課題が解決された米飯又は調味加工した米飯について鋭意検討した結果、低粘性ガラクトキシログルカンを含有する米飯が、従来の米飯よりも効率的に米飯の炊上がり量が増加し、食味、食感及び外観が維持又は改善された米飯又は調味加工した米飯が提供できることを見出した。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、以下の通りである。
項1:低粘性ガラクトキシログルカンを含有することを特徴とする米飯改質剤。
項2:低粘性ガラクトキシログルカンが、B型粘度計を用いて測定温度25℃、回転数30rpmである測定条件下において、該1.5重量%水溶液における粘度が1〜150mPa・sの範囲である項1に記載の米飯改質剤。
項3:米飯改質剤が、米飯の炊上がり増加剤である項1又は2に記載の米飯改質剤。
項4:項1〜3のいずれか一項に記載の米飯改質剤を含有する米飯。
項5:低粘性ガラクトキシログルカンの含有量が、米に対して0.01〜10重量%である項4に記載の米飯。
項6:低粘性ガラクトキシログルカンを含有することを特徴とする米飯改質方法。
項7:米飯改質方法が、米飯の炊上がり増加方法である項6に記載の米飯改質方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、炊飯時の炊上がりの増加した米飯を提供することができる。加えて、米飯の炊き上がりの食味、食感又は外観(つや)を維持又は改善することができる。二次加工(冷凍加工)した米飯を解凍しても、食味、食感又は外感を維持又は改善することができる。炊飯時の炊上がり量が増加することにより、単位重量当たりの米の量を減らすことができるので、カロリーが抑えられたダイエット食品又はカロリー制限が必要な人に対する病院食などを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明について詳細に説明する。
【0010】
本明細書において「米」とは、うるち米又はもち米を意味する。該「米」は、無洗米又は精白米のいずれの形態でもよい。
【0011】
本明細書において「米飯」とは、米を炊飯したものを意味する。該「米飯」には、米だけでなく様々な材料を混ぜたものも含まれる。その具体例としては、「麦飯」(米と麦)、「赤飯」(もち米と小豆)、具(例えば、魚介類又は肉、野菜など)と共に醤油などで味付けた「炊き込みご飯」,「かやくご飯」又は「五目御飯」、味付けして調理した具を炊き上げた後に混ぜた「混ぜご飯」などが挙げられる。
【0012】
本明細書において「米飯改質」とは、米飯の炊上がりが増加することを意味する。すなわち、副次的には炊飯時の加水量を増やすことができることを意味する。
【0013】
また、前記に記載のように炊飯時の加水量を増やしても、米飯の炊き上がりの状態における食味(米飯のあじ)、食感(べたつかずに、ふっくらとした良好な硬さ:粘り又は硬さ)及び外観(白さ又はつや)を維持できる又は/及び米粒のほぐれ性(バラケ性)が良好である概念も包含される。加えて、米飯を二次加工した場合において、米粒のほぐれ性(バラケ性)が良好であり、かつ前記の食味、食感及び外観が維持できる概念も包含される。
【0014】
米飯の二次加工とは、炊飯やピラフなどの調理加工された具入りご飯(例えば、松茸ご飯、チャーハン、エビピラフなど),持ち帰り弁当(例えば、焼肉弁当、コロッケ弁当など)又は寿司(例えば、ちらし寿司、稲荷寿司、巻き寿司など)、レトルトや冷凍の白飯,赤飯又は調理加工された具入りご飯(例えば、レトルト米飯、冷凍米飯など)などを意味する。
【0015】
本明細書において「米飯の炊上がり量の増加」とは、炊飯前の「米」の量は同じであっても、炊飯後の米飯の炊上がり量(かさ)が増加することを意味する。すなわち、副次的には炊飯前の加水量を増加できることを意味する。
【0016】
本明細書において「低粘性ガラクトキシログルカン」とは、ガラクトキシログルカンを化学的方法、物理的方法又は酵素的方法により調製し、B型粘度計〔東京計器(株)製〕を用いて、測定温度25℃および回転数30rpmの測定条件下において、該1.5重量%水溶液の粘度が1〜150mPasである物性を有するものをいう。該水溶液の粘度が上記測定条件下において1〜100mPasである物性を有するものがより好ましく、1〜50mPasである物性を有するものが一層好ましい。
【0017】
「ガラクトキシログルカン」とは、双子葉,単子葉植物など高等植物の細胞壁(一次壁)に存在する天然多糖をいう。ガラクトキシログルカンは、具体的にはグルコース、キシロースおよびガラクトースを構成糖とし、主鎖はグルコースがβ−1,4結合し、側鎖にキシロース、そのキシロースにさらにガラクトースが結合した構造を有する。ガラクトキシログルカンは、タマリンドをはじめ、ヒメネア属植物の種子、大豆、緑豆、インゲンマメ、イネ、オオムギ、リンゴなどからも得ることができる。
【0018】
前記「ガラクトキシログルカン」としては、ガラクトキシログルカンの含有率が高く、入手も容易なタマリンド種子由来のガラクトキシログルカン〔タマリンド種子ガム:商品名「グリロイド」(登録商標)大日本住友製薬(株)製〕が好ましい。
【0019】
「低粘性ガラクトキシログルカンを化学的方法により調製する」とは、ガラクトキシログルカンを酸又はアルカリ処理により加水分解することをいう。ここで酸処理に用いる酸としては、無機酸又は有機酸のいずれでもよい。無機酸としては、塩酸、硫酸、リン酸又は硝酸などが挙げられ、硫酸を用いるのが好ましい。有機酸としてはクエン酸、コハク酸、酒石酸、酢酸又はプロピオン酸などが挙げられ、クエン酸を用いるのが好ましい。アルカリ処理に用いる塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム又は水酸化カルシウムなどが挙げられる。
【0020】
「ガラクトキシログルカンを物理的方法により調製する」とは、ガラクトキシログルカンを熱処理、高圧ホモジナイズ処理、超音波処理又は機械的せん断処理により調製することをいう。
【0021】
「ガラクトキシログルカンを酵素的方法により調製する」とは、ガラクトキシログルカンを多糖類分解酵素により酵素的に調製することをいう。多糖類分解酵素としては、例えばβ−1,4−グルカナーゼ、すなわち、いわゆるセルラーゼ活性を有する植物組織崩壊酵素で微生物や植物由来のものを用いることができる。この際に用いる酵素の種類に応じて、基質濃度、酵素濃度、至適pH、至適反応温度及び反応時間などを調節して所望の低粘性ガラクトキシログルカンを調製することができる。
【0022】
低粘性ガラクトキシログルカンは、上記のいずれの方法で調製することができるが、酸による化学的方法又は酵素的方法により調製するのが好ましい。特に酸による化学的方法により調製するのが好ましい。
【0023】
酸による化学的方法で調製される低粘性ガラクトキシログルカンは、適切なガラクトキシログルカンの濃度、用いる酸の種類、溶液のpH、反応温度、反応時間を選択してガラクトキシログルカンを溶解した水溶液に酸を添加後、該水溶液を加熱して得ることができる。
【0024】
低粘性ガラクトキシログルカンの調製時に用いるガラクトキシログルカンの量は、溶液の全量に対してガラクトキシログルカンが0.1〜20重量%であり、好ましくは1〜10重量%である。用いる酸の添加量は、ガラクトキシログルカンの水溶液に対して0.1〜20重量%であり、好ましくは1〜10重量%である。溶液のpHの値としては4未満が好ましい。反応温度は、20℃から150℃であり、好ましくは40℃から121℃である。反応時間は、所望の反応時間を、例えばB型粘度計〔東京計器(株)製〕で測定してモニターすることにより調節することができ、通常は数秒から48時間であり、1時間から24時間が好ましい。
【0025】
本発明に用いる「低粘性ガラクトキシログルカン」は市販で入手できるものでもよく、例えば、大日本住友製薬(株)製の商品名「グリエイト」(登録商標)を用いてもよい。
用いる「グリエイト」(登録商標)のグレードに限定されることはない。
【0026】
低粘性ガラクトキシログルカンは粉末のまま、又は溶液として用いてもよい。酸処理により得られる低粘性ガラクトキシログルカンの溶液は、例えばドラムドライやスプレードライなどの乾燥機で乾燥する方法、酸処理後に得られる低粘性ガラクトキシログルカンを含む溶液にろ過または遠心分離などの処理を行ない不溶物を除去した後ドラムドライ,スプレードライなどで乾燥する方法又は清澄な液を得た後適当な有機溶媒を加えて低粘性ガラクトキシログルカンを凝析・乾燥する方法で乾燥し、精製、粉末化することができる。また、低粘性ガラクトキシログルカンの溶液を適当に濃縮または水で希釈してもよい。
【0027】
本明細書における米飯改質剤は、「低粘性ガラクトキログルカン」を単独で用いるのが原則であるが、本願発明の効果を損なわない限り、以下の成分と併用してもよい。
【0028】
併用してもよい成分としては、増粘多糖類(例えば、キサンタンガム、プルラン、グアガム、ローカストビーンガム、タラガム、ペクチン、大豆多糖類など)、蛋白質(例えば、ゼラチン、卵白など)、乳化剤(例えば、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、レシチン、酵素分解レシチン、ショ糖脂肪酸エステルなど)、酵素(例えば、アミラーゼ、セルラーゼ、プロテアーゼ、リパーゼなど)、糖類(例えば、還元水飴、ソルビトール、果糖ブドウ糖液糖、デキストリン、シクロデキストリン、トレハロースなど)などが挙げられる。
【0029】
「低粘性ガラクトキシログルカン」の含有量は、用いる「米」に対して0.01〜10重量%、好ましくは、0.1〜5.0重量%、更に好ましくは0.1〜2.0重量%である。
【0030】
本明細書において米飯改質剤を含有する米飯は、以下の工程に従って製造することができる。まず、「低粘性ガラクトキシログルカン」と水を加えて、加熱攪拌後に該水溶液を冷却する。該「低粘性ガラクトキシログルカン」を含む水溶液に、水を加えることで希釈する。希釈した「低粘性ガラクトキシログルカン」を含む水溶液を「米」及び水と必要に応じてその他の原料とを同時又は別々に添加して米を浸漬する。また希釈した該水溶液は、米の浸漬後炊飯直前に添加してもよい。次いで、炊飯器又は鍋などを用いて炊飯することで、米飯改質剤を含有する米飯を製造することができる。
【0031】
その他の原料としては、一般に用いられる調味料(例えば、塩、醤油、昆布、ポン酢など)、又は「米飯」の形態に伴い小豆、魚介類又は野菜などであってもよい。尚、「米飯」の形態に併せて必要な加工工程を行ってもよい。
【0032】
米の浸漬時に使用する水は、グリエイト水溶液(5重量%)を米に対して0.1重量部使用する場合には、米の浸漬時に使用する水は、米に対して(米の重量を1とした場合)重量比で約1:1〜約1:2であり、好ましくは約1:1.3〜約1:1.7であり、更に好ましくは約1:1.5〜約1:1.7である。
【0033】
「低粘性ガラクトキシログルカン」は、室温の水に溶解させることができるが、短時間で均一に溶解するためには、加熱攪拌溶解することが好ましい。一般に「低粘性ガラクトキシログルカン」水溶液は、「低粘性ガラクトキシログルカン」と水を混合した後、75度で15分間加熱攪拌溶解し、冷却して得られる。しかし、加熱温度、加熱時間、冷却速度は上記条件に限定されるものではなく、「低粘性ガラクトキシログルカン」が溶解して上記粘度を発現できる条件であれば良い。
【0034】
「低粘性ガラクトキシログルカン」を含む水溶液(5重量%)と該水溶液を希釈するた
めの水は、重量比で約1:4〜約1:19であり、好ましくは、約1:12〜約1:18である。
【0035】
本発明は、米飯改質方法を提供することができる。該方法において「低粘性ガラクトキシログルカン」は、用いる「米」に対して0.01〜10重量%、好ましくは、0.1〜5.0重量%、更に好ましくは0.1〜2.0重量%である。また、該方法において、前記で例示した成分を併用してもよい。
【実施例】
【0036】
以下、参考例及び実施例をあげて本発明を説明するが、本発明はこれらの例示によってなんら限定されるものではない。
【0037】
参考例:低粘性ガラクトキシログルカン水溶液の調製
低粘性ガラクトキシログルカン(商品名「グリエイト」,大日本住友製薬(株)製)を0.25〜1.0gの水に攪拌溶解し、合計100gになるようにして、0.25,0.5および1.0重量%の該水溶液を調製した。該水溶液の25℃、30rpmでB型粘度計により測定した粘度を下記表に示した。
【0038】
【表1】

【0039】
実施例1:ご飯(無洗米)の炊上がり量の増加
無洗米を用いて、下記表2の処方に従って、米飯を調製した。米1合(160g)を炊飯釜に量りこみ、水又はグリエイト水溶液(5重量%)を加えて、浸漬した米を炊飯ジャーで炊飯した。炊き上がった米飯の、炊上がり量を定量して、増加量を確認した。
【0040】
下記表から実施例1は、比較例1に比べて米飯の炊上がり量が、35g(比較例1との重量比で11%)増加した。実施例1の米飯は、食味、食感及び外観(つや)は比較例1の米飯と同等であった。一方、比較例2は、炊上がりが軟らかくて、表面が少し糊状となってバラケにくく、米飯として好ましくない状態であった。エネルギーは、実施例1が100gあたり159kcalであったのに対して、比較例1は100gあたり176kcalであり、実施例1の方が約10%少ない。
以上より、ご飯の炊上がり量を増加させることにより、カロリーが低減し、かつ食味、食感及び外観(つや)が維持された米飯を提供することができた。
【0041】
【表2】

【0042】
実施例2:ご飯(通常米)の炊上がり量の増加
通常米(精白米)を用いて、下記表3の処方に従って、米飯を調製した。米1合(160g)を炊飯釜に量りこみ、米を水で充分に研いだ後、水を加え、浸漬した米を炊飯ジャーで炊飯した。炊き上がった米飯の、炊上がり量を定量して、増加量を確認した。
【0043】
下記表から実施例2は、比較例3に比べて米飯の炊上がり量が、32g(比較例3との重量比で9%)増加した。実施例2の米飯は、食味、食感及び外観(つや)は比較例3の米飯と同等であった。一方、比較例4は、炊上がりが軟らかくて、表面が少し糊状となってバラケにくく、米飯として好ましくない状態であった。エネルギーは、実施例2が148kcalであったのに対して、比較例3は162kcalであり、実施例2の方が約9%少なかった。
以上より、ご飯の炊上がり量を増加させることにより、カロリーが低減し、かつ食味、食感及び外観(つや)が維持された米飯を提供することできた。
【0044】
【表3】

【0045】
実施例3:「釜飯の素」を用いた米飯の炊上がり量の増加
「釜飯の素」を用いて、下記表4の処方に従って、米飯を調製した。
【0046】
無洗米160gを炊飯釜に量りこみ、水又はグリエイト水溶液(5重量%)を加えた。引き続いて「釜飯の素」(株式会社ミツカン社製;とり五目釜飯の素)の1袋を2等分して各々添加した。浸漬した米を炊飯ジャーで炊飯した。炊き上がった米飯の、炊上がり量を定量して、増加量を確認した。
【0047】
下記表から実施例3は、比較例5に比べて米飯の炊上がり量が、30g(比較例5との重量比で8%)増加した。実施例3の米飯は、食味、食感及び外観(つや)は比較例5の米飯と同等であった。一方、比較例6は、炊上がりが軟らかくて、表面が少し糊状となってバラケにくく、米飯として好ましくない状態であった。エネルギーは、実施例3が139kcalであったのに対して、比較例5は151kcalであり、実施例3の方が約8%少ない。
以上より、ご飯の炊上がり量を増加させることにより、カロリーが低減し、かつ食味、食感及び外観(つや)が維持された米飯を提供することができた。
【0048】
【表4】

【0049】
実施例4〜7:加水量を増やした場合の、米飯の食感等への影響
無洗米160gにグリエイト5重量%を添加して、加水量を増やすことにより、米飯の食感等への影響の確認試験(相対比較)を行った(実施例4〜7)。
【0050】
実施例4〜7のいずれのグリエイト添加群は、炊飯後に炒めた際に非常にほぐれが良く、パラパラとした感触であった。また、保温時にも炊きたて時と同じ食感/硬さが保持されていた。加水量を増やして炊上がり量が増加した米飯であっても、グリエイトの添加により米飯の食味、食感又は外観並びにほぐれ性を維持した米飯を提供できた。加えて、炊上がり量を増加した形で、エネルギーを抑制できる米飯を提供できた。
【0051】
【表5】

【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明は、炊飯時の炊上がりの増加した米飯を提供することができる。加えて、米飯の炊き上がりの食味、食感又は外観(つや)を維持又は改善することができる。二次加工(冷凍加工)した米飯を解凍しても、食味、食感又は外感を維持又は改善することができる。炊飯時の炊上がり量が増加することにより、単位重量当たりの米の量を減らすことができるので、カロリーが抑えられたダイエット食品又はカロリー制限が必要な人に対する病院食などを提供することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
低粘性ガラクトキシログルカンを含有することを特徴とする米飯改質剤。
【請求項2】
低粘性ガラクトキシログルカンが、B型粘度計を用いて測定温度25℃、回転数30rpmである測定条件下において、該1.5重量%水溶液における粘度が1〜150mPa・sの範囲である請求項1に記載の米飯改質剤。
【請求項3】
米飯改質剤が、米飯の炊上がり増加剤である請求項1又は2に記載の米飯改質剤。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の米飯改質剤を含有する米飯。
【請求項5】
低粘性ガラクトキシログルカンの含有量が、米に対して0.01〜10重量%である請求項4に記載の米飯。
【請求項6】
低粘性ガラクトキシログルカンを含有することを特徴とする米飯改質方法。
【請求項7】
米飯改質方法が、米飯の炊上がり増加方法である請求項6に記載の米飯改質方法。

【公開番号】特開2008−142045(P2008−142045A)
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−335302(P2006−335302)
【出願日】平成18年12月13日(2006.12.13)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 株式会社食品化学新聞社、月刊 フードケミカル、第22巻、第7号、平成18年7月1日
【出願人】(000002912)大日本住友製薬株式会社 (332)
【Fターム(参考)】