説明

籾摺機用ゴムロール

【課題】 ゴムロール式籾摺機を使用している間に、籾摺機本体に籾摺りロールを固定するボルトの周囲に米ぬかが固着し、ボルトの脱着が困難になるのを防止する機能を設けた新規な構造の籾摺機用ゴムロールの提供。
【解決手段】
ゴムロール式の籾摺機のドラム6及びドラム6の壁面から半径方向へ突設され前記ドラムをハブを介して駆動軸へ取り付けるため取り付けるフランジ3を備えた籾摺りロール構成体1において、フランンジ3及び/又はドラム6の壁面に、所定の形状の1個又は複数個の米糠付着防止羽5を立設させ、かつゴムロール1の外周面にロール幅方向に1個又は複数個の空気抜き溝8を穿設し、ドラム6内に乱流を発生させ、生成された米糠を飛散させ、ドラム6内に発生した風を空気抜き溝8を介して上方へ送出させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、籾摺機に関する。より詳細に述べると、本発明は、ゴムロール式籾摺機用の籾摺ロールを駆動軸に固定する締結ボルトの周囲に固着するのを防止すると共に、ロールと側板との間の間隙に米ぬかが侵入するのを防止する機能を設けた新規な構造の籾摺機用ゴムロールに関する。
【背景技術】
【0002】
籾摺機は籾から籾殼を除いて玄米を得る機械で、毎分2000〜3000回で回転する加速盤から籾をゴムの脱ぷ盤にぶつける衝撃式と、異なった周速度で回転する2個のゴムロールの間隙に籾を落下・通過させてゴムロールの周速度差で籾殼を剥ぎとるゴムロール式の二つの方式がある。本発明は後者のゴムロール式籾摺機の改良である。
【0003】
図1は、現在広く使用されているゴムロール式全自動籾摺機の1例を示す主要部断面図、図2はその側面図である。駆動軸11に籾摺り機用ゴムロール1を含む構成体を取付けた状態を示している。6は、所定の幅と直径を有するドラムで、その外周面には、脱ぷ用ゴム2が接着されている。ドラム2の中央部円周上には、取付用フランジ3が半径方向内方に直角に突設されている。取付用フランジ3の所定の位置には、締結ボルト取付穴4が設けられている。
【0004】
7は、ドラム6を取付けるためのドラム取付用ハブで、その周端部の所定の箇所に取付面9が設けられている。この取付面9は、取付用フランジ3の一方の面と密接するように成形されている。取付面9、所定の位置で、取付用フランジ3を係止する肩部10を形成している。ドラム取付用ハブ7は、任意の手段、例えばハブ締結ボルト12で駆動軸11に着脱可能に締結されている。
【0005】
籾摺ロールを稼働する状態に組立るには、先ず、ドラム取付用ハブ7をハブ締結ボルト12で駆動軸11に締結する。次いで、ドラム取付用フランジ3に設けられたボルト取付穴4とドラム取付用ハブ7の周端部に設けられたボルト取付穴4を重ね合わせ、ゴムロール締結ボルト13を挿通することによって行なわれる。
【0006】
なお、図1及び2で示したゴムロール式全自動籾摺機では、脱ぷ用ゴム2が装着されるドラム6、及びドラム取付用フランジ3は通常は金属製であるが、繊維強化プラスチックで一体に製造してもよい。
【0007】
ところで、当業界で汎用されている図1及び2に示した籾摺り機は、米ぬかが籾摺機側板15と籾摺りゴムロール1との間隙に入り込むという欠点があった。この欠陥を改良する発明として特許文献1は、特許文献1の図3に示すように、籾摺り機ドラムのドラム取付用フランジの所定の箇所に任意の個数の突起片を、ドラムの内周面に沿ってフランジから立設させた籾摺記用ゴムロールを提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【特許文献1】特開平10−202122号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
然しながら、特許文献1が開示する籾摺機用ロールには、開発当初は予想しなかった欠点があることが分かった。即ち、イ。籾摺り機に籾摺りロールを固定するボルトに米ぬかが固着し、ボルトの脱着が困難になる。ロ。籾摺りロールを交換する際、ボルト部分に固着した米ぬかを完全に除去しないと、ボルトが真っ直ぐに固定されず、籾摺り機を回転させると、ロールががたつき、騒音、故障の原因になる。ハ。籾摺りロールの交換に手間がかかり、全体コストを引き上げる要因になっていた。
【0009】
従って、発明が解決しようとする第1の課題は、ゴムロール式籾摺機を使用している間に、籾摺機本体に籾摺りロールを固定するボルトの周囲に米ぬかが固着し、ボルトの脱着が困難になるのを防止する機能を設けた新規な構造の籾摺機用ゴムロールを提供することである。
【0010】
さらに、発明が解決しようとする第2の課題は、ゴムロール式籾摺機を使用している間に、籾摺機本体に籾摺りロールを固定するボルトの周囲に米ぬかが固着したまま、籾摺りロールを交換すると、ボルトが真っ直ぐに固定されず、籾摺り機を回転させると、ロールががたつき、騒音、故障の原因になるのを防止する機能を設けた新規な構造の籾摺機用ゴムロールを提供することである。
【0011】
さらに、発明が解決しようとする第3の課題は、ゴムロール式籾摺機を使用している間に、籾摺機本体に籾摺りロールを固定するボルトの周囲に米ぬかが固着すると、籾摺りロールの交換に手間がかかり、全体コストを引き上げる要因になっていたのを解消することである。
【0012】
さらに、発明が解決しようとする第4の課題は、籾摺り稼働中に、米ヌカがゴムロールと側板との間隙からドラムの内部に入り込むのを防止することが出来なかったことである。発明が解決しようとするさらに別の課題は、逐次明らかにされる。
発明が解決しようとする別の課題及び利点は以下逐次明らかにされる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題は、下記に記載した手段のより解決することができる。
1.各々駆動軸に取付けられていて異なった周速度で回転する2個のゴムロールの間隙に籾を落下・通過させてゴムロールの周速度差で籾殼を剥ぎとるゴムロール式の籾摺機であって、脱ぷ用ゴムが接着されるドラム及び前記ドラムの壁面から半径方向へ突設され前記ドラムをハブを介して駆動軸へ取り付けるため取り付ける取付フランジを備えた籾摺り機用ゴムロールにおいて、
前記フランンジ及び/又はドラムの壁面に、所定の形状の1個又は複数個の米糠付着防止羽5を立設させ、かつ籾摺り機用ゴムロールの外周面に籾摺り機用ゴムロールの幅方向に1個又は複数個の空気抜き溝を穿設し、それにより前記ドラム内に乱流を発生させ、生成された米ぬかを飛散させるともに、ドラム内に発生した風を前記空気抜き溝8を介して上方へ送出させるようにした、籾摺り機用ゴムロール。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載した発明により、下記に例示する効果を得ることができる。
イ。ゴムロール式籾摺機を使用している間に、籾摺機本体に籾摺りロールを固定するボルトの周囲に米ぬかが固着し、ボルトの脱着が困難になるのを防止することができる。
【0015】
ロ。イの効果により、ロールががたつくのが防止され、騒音、故障の原因がなくなる。
【0016】
ハ。イの効果により、籾摺機本体に籾摺りロールを固定するボルトの周囲に米ぬかが固着するのが防止されるので、籾摺りロールの交換の手間がかかり、全体コストを引き上げる要因が消去される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】汎用されているゴムロール式全自動籾摺機の1例を示す主要部断面図。
【図2】図1の側面図。
【図3】本発明の実施例1の側面図。
【図4】本発明の実施例2の側面図。[図4−A]及び[図4−B]は、それぞれ、断面図及び側面図である。
【図5】本発明の実施例3の側面図。[図5−A]及び[図5−B]は、それぞれ、断面図及び側面図である。
【図6】本発明の実施例4の側面図。[図6−A]及び[図6−B]は、それぞれない。れ、断面図及び側面図である。
【図7】本発明の実施例5の側面図。[図7−A]及び[図7−B]は、それぞれ、断面図及び側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明で使用されるゴムロール式の籾摺機に使用される脱ぷ用ゴムが装着されるドラム、及び前記ドラムの中央部から半径方向へ立設された取付用フランジは、金属製でも繊維強化プラスチック製でもよい。いずれにしても、ドラム、及び前記フランジの材料は、本発明の主題ではないので詳細に説明することを割愛する。
【実施例1】
【0019】
図3は本発明の実施例1を示す斜視図である。1は実施例1の籾摺り機用ゴムロール、6は所定の直径と幅及び厚さを有するドラムである。ドラム6の中央部円周上には、取付用フランジ3が半径方向内方に直角に突設されている。この取付用フランジ3は、通常、ドラム6と一体に成形されているが、各々別体に成形して、溶接、ボルト止め、かしめ等任意の手段でドラム6に取付けてもよい。取付用フランジ3の所定の位置には、ボルト取付穴4がけられている。
【0020】
5は、フランジ3の所定箇所に、ドラム6の内周面に沿って立設させた米糠付着防止羽である。米糠付着防止羽5の形状は、実施例1では、図3に示したように、その底面はフランジ3の幅と同じ幅で、ドラム6の壁面に沿って、円の1/4の形状で立ち上げてある。従って、実施例1では、ドラム6の壁面と米糠付着防止羽5は密接していて、両者の間に間隙は形成されていない。然しながら、必ずしも、この形状に限定されない。米糠付着防止羽5の個数は、実施例1では、図3に示したように、3個であるが、3個に限定されない。また、実施例1では、米糠付着防止羽5の形状は3個とも同じ形状であるが、必ずしも全ての羽根の形状を同じにする必要はない。米糠付着防止羽5の機能は、籾摺りロールを稼働中に、乱流を発生させ、生成された米ぬかを飛散させるものである。
【0021】
2は、ドラム6の外周面に装着された脱ぷ用ゴムロールである。8は、脱ぷ用ゴムロール1の外周面の幅方向に穿設された空気抜き溝である。実施例1では、図3に示したように、空気抜き溝8の断面形状は半円形であるが、必ずしも、この形状に限定されない。また、空気抜き溝8の個数は、実施例1では、図3に示したように、3個であるが、3個に限定されない。また、実施例1では、空気抜き溝8の断面形状は3個とも同じ形状であるが、必ずしも全ての空気抜き溝8の断面形状を同じにする必要はない。空気抜き溝8の機能は、籾摺りロールを稼働中にドラム内に発生した風を前記空気抜き溝を介して上方へ送出させるものである。14は、ドラム6をドラム取付用ハブへ取付ける際のハブ取付穴である。
【実施例2】
【0022】
[図4−A]は、実施例2を示す側面図、[図4−B]は、同断面図である。1は籾摺機用ゴムロール、2は脱ぷ用ゴム、3は取付用フランジ、4は締結ボルト取付け穴、5は米糠付着防止羽、6はドラム、8は空気抜き溝である。[図4−A]及び[図4−B]に記載した通り、実施例2における米糠付着防止羽5は、ドラム6の壁面には接触させずに、取付用フランジ3のほぼ中央に立設させてある(図4−A)。従って、実施例2では、ドラム6の壁面と米糠付着防止羽5との間に間隙が形成されている。図4−Bに記載したように、実施例2における米糠付着防止羽5の断面形状は完全な直方体ではなく、頂部の両端が隅切りした形で丸みを持たせてあるが、必ずしもこの形状に限定されない。前述したように、実施例1では、米糠付着防止羽5の底面は、図3に示したように、フランジ3の幅と同じ幅で、ドラム6の壁面に沿って、円の1/4の形状で立ち上げてあるので、その点が異なっている。実施例2の米糠付着防止羽5の形状及び個数は特段に限定されない。
【実施例3】
【0023】
[図5−A]は実施例3を示す側面図、[図5−B]は、同断面図である。1は籾摺機用ゴムロール、2は脱ぷ用ゴム、3は取付用フランジ、4は締結ボルト取付け穴、5は米糠付着防止羽、6はドラム、8は空気抜き溝である。[図5−A]及び[図5−B]に記載した通り、実施例3における米糠付着防止羽5は、フランジ3とは非接触で、ドラム6の壁面に接触させて立設されている。従って、実施例3における米糠付着防止羽5は、ドラム6の壁面と密接しているが、フランジ3との間に間隙が形成されている。図5−Bに記載したように、実施例3における米糠付着防止羽5の断面形状は完全な直方体ではなく、ドラム6の壁面に沿って徐々に拡径しているが、必ずしもこの形状に限定されない。実施例3の米糠付着防止羽5の形状及び個数は特段に限定されない。
【実施例4】
【0024】
[図6−A]は実施例4を示す側面図、[図6−B]は、同断面図である。1は籾摺機用ゴムロール、2は脱ぷ用ゴム、3は取付用フランジ、4は締結ボルト取付け穴、5は米糠付着防止羽、6はドラム、8は空気抜き溝である。図6−A及び図6−Bに記載した通り、実施例4における米糠付着防止羽5は、ドラム6の壁面とは非接触で、フランジ3に取り付けてある。従って、実施例4における米糠付着防止羽5は、ドラム6の壁面ととの間に間隙が形成されている。図6−Bに記載したように、実施例4における米糠付着防止羽5の断面形状は完全な直方体ではなく、フランジ3と接触している底面の幅が、その余の幅より小さく成形されていて、フランジ3と接触している底面とドラム6との間の間隙が大きくなっていて、さらに、3方の隅が隅切りしてある。然しながら、必ずしもこの形状に限定されない。実施例4の米糠付着防止羽5の形状及び個数は特段に限定されない。
【実施例5】
【0025】
[図7−A]は実施例5を示す側面図、[図7−B]は、同断面図である。1は籾摺機用ゴムロール、2は脱ぷ用ゴム、3は取付用フランジ、4は締結ボルト取付け穴、5は米糠付着防止羽、6はドラム、8は空気抜き溝である。図7−A及び図7−Bに記載した通り、実施例5における米糠付着防止羽5は、ドラム6の壁面及びフランジ3の両方に接触して固定されている。従って、実施例5では、米糠付着防止羽5と、ドラム6、及びフランジ3との間に間隙は形成されていない。図7−Bに記載したように、実施例5における米糠付着防止羽5の断面形状は完全な直方体ではなく、フランジ3と接触している底面の幅が、その余の幅より小さく成形されていて、ドラム6の壁面に沿って徐々に拡径している形状である。さらに、隅切りしてある。然しながら、必ずしもこの形状に限定されない。実施例5の米糠付着防止羽5の形状及び個数は特段に限定さ
【符号の説明】
【0026】
1 籾摺機用ゴムロール
2 脱ぷ用ゴム
3 取付用フランジ
4 締結ボルト取付け穴
5 米糠付着防止羽
6 ドラム
7 ドラム取付用ハブ
8 空気抜き溝
9 取付面
10 肩部
11 駆動軸
12 ハブ締結ボルト
13 ゴムロール締結ボルト
14 ハブ取付穴
15 籾摺機側板
16 籾摺機本体
17 籾摺機用ゴムロールと側板との間隙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々駆動軸に取り付けられていて異なった周速度で回転する2個のゴムロールの間隙に籾を落下・通過させてゴムロールの周速度差で籾殼を剥ぎとるゴムロール式の籾摺機であって、脱ぷ用ゴム(2)が接着されるドラム(6)及び前記ドラム(6)の壁面から半径方向へ突設され前記ドラム(6)をハブ(7)を介して駆動軸へ取り付けるため取り付ける取付フランジ(3)を備えた籾摺り機用ゴムロール(1)において、
前記フランンジ(3)及び/又はドラム(6)の壁面に、所定の形状の1個又は複数個の米糠付着防止羽(5)を立設させ、かつ籾摺り機用ゴムロール(1)の外周面に籾摺り機用ゴムロール(1)の幅方向に1個又は複数個の空気抜き溝(8)を穿設し、それにより前記ドラム(6)内に乱流を発生させ、生成された米ぬかを飛散させるともに、ドラム(6)内に発生した風を前記空気抜き溝(8)を介して上方へ送出させるようにした、籾摺り機用ゴムロール(1)。
【請求項2】
前記米糠付着防止羽(5)を、ドラム(6)の壁面には接触させずに、取付用フランジ(3)のほぼ中央に立設させ、ドラム(6)の壁面と米糠付着防止羽(5)との間に間隙が形成されるよう設けてある請求項1に記載した籾摺り機用ゴムロール(1)。
【請求項3】
前記米糠付着防止羽(5)を、フランジ(3)とは非接触で、ドラム(6)の壁面に接触させて立設し、米糠付着防止羽(5)とフランジ(3)との間に間隙が形成されるように、設けた請求項1に記載した籾摺り機用ゴムロール(1)。
【請求項4】
前記米糠付着防止羽(5)を、ドラム(6)の壁面とは非接触で、フランジ(3)に取り付け、付着防止羽(5)とドラム(6)の壁面との間に間隙が形成されるよう設けた請求項1に記載した籾摺り機用ゴムロール(1)。
【請求項5】
前記米糠付着防止羽(5)を、ドラム(6)の壁面及びフランジ(3)の両方に接触して固定し、付着防止羽(5)とドラム(6)及びフランジ(3)との間に間隙が形成されないように設けた請求項1に記載した籾摺り機用ゴムロール(1)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−240044(P2012−240044A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−127731(P2011−127731)
【出願日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【出願人】(000167820)広島化成株式会社 (65)
【Fターム(参考)】