説明

粉のたたないパウダー原料

【課題】1つ以上の界面活性剤で化学的に固定され、そして油でコーティングされた、表面層を有するパウダー原料を含む、コーティングされたパウダー原料を提供すること。
【解決手段】上記界面活性剤は、上記パウダー原料に基づいて、少なくとも約0.1重量%の量で存在し;上記油は、上記パウダー原料に基づいて、約0.1〜180重量%の範囲にわたる量で存在し;そして、上記界面活性剤と油とを合わせた重量のパーセンテージは、上記パウダー原料に基づいて、少なくとも約4.0重量%である。上記パウダー原料の油吸収速度は、乾燥パウダーの1グラム当り約0.01〜約0.70グラムの範囲にわたる。上記コーティングされたパウダー原料は、化粧品として有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、粉のたたない(dustless)パウダー原料(例えば、化粧品(例えば、ファンデーション、口紅、ローション、およびクリーム)のために用いられ得る粉のたたない顔料)に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
顔料粒子の調製は、伝統的に、顔料の防水性、ならびに強度および質感を改善するために、顔料における疎水特性の強化に焦点を当てる。強い疎水特性はこれらの理由から望ましいが、これらの顔料は、高い油吸収値および比較的低い分散能を有する傾向がある。実際、上記顔料の油吸収はしばしば、非常に高いので、良い分散物を得るためにロールミル(roll mill)または特定のミル(mill)を必要とする。さらに、高い油吸収値を有する顔料には粉がたつ傾向があり、このことが化粧品製造現場において問題となり得る。
【0003】
これらの問題を除去し、そして化粧品製造者に取り扱いやすさを提供するために、油中で完全に飽和し、そして粉がたたない油分散型産物が、導入されてきた。例えば、UniqemaによるTioveilシリーズを参照のこと。しかしながら、高レベルの(典型的に、55%を超える)顔料充填量は、上記油分散物を非常に粘性の高いものにすると同時に、質感の安定性および油の浸出の問題を引き起こす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、当該分野において必要とされるものは、油中に分散する能力を有し、そして上記の副作用を有することなく化粧用システムにおいて用いられ得る、粉がたたないパウダー原料である。本発明は、この必要性を満たす。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(発明の概要)
本発明は、(a)1つ以上の界面活性剤で化学的に固定され、そして(b)油でコーティングされた、表面層を有するパウダー原料を含む、コーティングされたパウダー原料に関する。上記界面活性剤は、上記パウダー原料に基づいて、少なくとも約0.1重量%の量、存在し;上記油は、上記パウダー原料に基づいて、約0.1〜180重量%の範囲にわたる量、存在し;そして、上記界面活性剤と油とを合わせた重量のパーセンテージは、上記パウダー原料に基づいて、少なくとも約4.0重量%である。上記パウダー原料の油吸収値は、乾燥パウダー 1グラム当り、約0.01〜約0.70グラムの範囲にわたる。
本発明はまた、コーティングされたパウダー原料を調製するためのプロセスに関する。このプロセスは、以下の工程:(a)パウダー原料を導入する工程;(b)このパウダー原料を1つ以上の界面活性剤で化学的に固定する工程、および(c)この化学的に固定されたパウダー原料を油でコーティングする工程、を包含する。上記界面活性剤は、上記パウダー原料に基づいて、少なくとも約0.1重量%の量、存在し;上記油は、上記パウダー原料に基づいて、約0.1〜180重量%の範囲にわたる量、存在し;そして、上記界面活性剤と油とを合わせた重量のパーセンテージは、上記パウダー原料に基づいて、少なくとも約4.0重量%である。
例えば、本発明は以下の項目を提供する。
(項目1)
パウダー原料を含む、コーティングされたパウダー原料であって、該パウダー原料は、
(a)1つ以上の界面活性剤で化学的に固定され、そして
(b)油でコーティングされている、表面層を有し、
ここで、該界面活性剤は、該パウダー原料に基づいて、少なくとも約0.1重量%の量で存在し;該油は、該パウダー原料に基づいて、約0.1〜180重量%の範囲にわたる量で存在し;そして、該界面活性剤と油とを合わせた重量のパーセンテージは、該パウダー原料に基づいて、少なくとも約4.0重量%であり、
そしてここで、該パウダー原料の油吸収値は、乾燥パウダー1グラム当り約0.01〜約0.70グラムの範囲にわたる、コーティングされたパウダー原料。
(項目2)
項目1に記載のコーティングされたパウダー原料であって、ここで、前記界面活性剤は、前記パウダー原料に基づいて、約1.0〜約60重量%の範囲にわたる量で存在する、コーティングされたパウダー原料。
(項目3)
項目2に記載のコーティングされたパウダー原料であって、ここで、前記界面活性剤は、前記パウダー原料に基づいて、約3.0〜約30重量%の範囲にわたる量で存在する、コーティングされたパウダー原料。
(項目4)
項目1に記載のコーティングされたパウダー原料であって、ここで、前記油は、前記パウダー原料に基づいて、約3.0〜約120重量%の範囲にわたる量で存在する、コーティングされたパウダー原料。
(項目5)
項目4に記載のコーティングされたパウダー原料であって、ここで、前記油は、前記パウダー原料に基づいて、約5.0〜約60%の範囲にわたる量で存在する、コーティングされたパウダー原料。
(項目6)
項目1に記載のコーティングされたパウダー原料であって、ここで、前記界面活性剤と油とを合わせた重量のパーセンテージは、前記パウダー原料に基づいて、4.0〜約150重量%の範囲にわたる、コーティングされたパウダー原料。
(項目7)
項目6に記載のコーティングされたパウダー原料であって、ここで、前記界面活性剤と油とを合わせた重量のパーセンテージは、前記パウダー原料に基づいて、約8.0〜約90重量%の範囲にわたる、コーティングされたパウダー原料。
(項目8)
項目1に記載のコーティングされたパウダー原料であって、ここで、前記油吸収値は、乾燥パウダー1グラム当り約0.10〜約0.64グラムの範囲にわたる、コーティングされたパウダー原料。
(項目9)
項目1に記載のコーティングされたパウダー原料であって、ここで、該パウダー原料は、顔料である、コーティングされたパウダー原料。
(項目10)
項目9に記載のコーティングされたパウダー原料であって、ここで、前記顔料は、二酸化チタン、酸化亜鉛、二酸化ジルコニウム、酸化鉄、群青、雲母、滑石、酸化クロム、ケイ酸マグネシウム、およびケイ酸アルミニウムからなる群から選択される、コーティングされたパウダー原料。
(項目11)
項目1に記載のコーティングされたパウダー原料であって、ここで、該パウダー原料は、ビーズ形態である、コーティングされたパウダー原料。
(項目12)
項目11に記載のコーティングされたパウダー原料であって、ここで、前記ビーズは、ケイ酸アルミニウム/ケイ酸マグネシウムのビーズ、シリカビーズ、ナイロンビーズ、またはその組み合わせである、コーティングされたパウダー原料。
(項目13)
項目1に記載のコーティングされたパウダー原料であって、ここで、該パウダー原料は、カーボンブラック、セルロース、ウレタン、スチレン、ポリオレフィン、ポリエチレン、ポリアミド、アクリラート、炭酸カルシウム、ゼオライト、いぶしシリカ、金属パウダー、セラミックパウダー、およびジルコニウムからなる群から選択される原料である、コーティングされたパウダー原料。
(項目14)
項目1に記載のコーティングされたパウダー原料であって、ここで、前記界面活性剤は、脂肪酸、アシルアミノ酸、レシチン、アシルコラーゲン、エーテル カルボン酸、有機シラン、およびメチコーンからなる群から選択される、コーティングされたパウダー原料。
(項目15)
項目1に記載のコーティングされたパウダー原料であって、ここで、前記油は、モノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリド、炭化水素、シリコーン、親油性ビタミン、親油性染料、精油、およびその組み合わせからなる群から選択される、コーティングされたパウダー原料。
(項目16)
項目1に記載のコーティングされたパウダー原料を含む、化粧品。
(項目17)
コーティングされたパウダー原料を調製するためのプロセスであって、
a.パウダー原料を導入する工程
b.該パウダー原料を1つ以上の界面活性剤で化学的に固定する工程、および
c.該化学的に固定されたパウダー原料を油でコーティングする工程
を包含し、ここで、該界面活性剤は、該パウダー原料に基づいて、少なくとも約0.1重量%の量で存在し;該油は、該パウダー原料に基づいて、約0.1〜180重量%の範囲にわたる量で存在し;そして、該界面活性剤と油とを合わせた重量のパーセンテージは、該パウダー原料に基づいて、少なくとも約4.0重量%である、プロセス。
(項目18)
項目17に記載のプロセスであって、ここで、前記界面活性剤は、前記パウダー原料に基づいて、約1.0〜約60重量%の範囲にわたる量で存在する、プロセス。
(項目19)
項目18に記載のプロセスであって、ここで、前記界面活性剤は、前記パウダー原料に基づいて、少なくとも約3.0〜約30重量%の範囲にわたる量で存在する、プロセス。
(項目20)
項目17に記載のプロセスであって、ここで、前記油は、前記パウダー原料に基づいて、約3.0〜約120重量%の範囲にわたる量で存在する、プロセス。
(項目21)
項目20に記載のプロセスであって、ここで、前記油は、前記パウダー原料に基づいて、約5.0〜約重量60%の範囲にわたる量で存在する、プロセス。
(項目22)
項目17に記載のプロセスであって、ここで、前記界面活性剤と油とを合わせた重量のパーセンテージは、前記パウダー原料に基づいて、4.0〜約150重量%の範囲にわたる、プロセス。
(項目23)
項目22に記載のプロセスであって、ここで、前記界面活性剤と油とを合わせた重量のパーセンテージは、前記パウダー原料に基づいて、約8.0〜約90重量%の範囲にわたる、プロセス。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】図1は、粉の程度を決定するために撮られた3つの写真を示す。この写真は、以下:(a)粉がたたないパウダー、(b)無視できる程度の量の粉がたつパウダー、および(c)確認された量の粉がたつパウダーを示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
(発明の詳細な説明)
本発明は、(a)1つ以上の界面活性剤で化学的に固定され、そして(b)油でコーティングされた、表面層を有するパウダー原料を含む、コーティングされたパウダー原料に関する。上記界面活性剤は、上記パウダー原料に基づいて、少なくとも約0.1重量%の量、存在し;上記油は、上記パウダー原料に基づいて、約0.1〜180重量%の範囲にわたる量、存在し;そして、上記界面活性剤と油とを合わせた重量のパーセンテージは、上記パウダー原料に基づいて、少なくとも約4.0重量%である。上記パウダー原料の油吸収値は、乾燥パウダー 1グラム当り約0.01〜約0.70グラムの範囲にわたる。上記コーティングされたパウダー原料は、そのパウダー形態で用いられる場合に、改善された分散能を示し、そして無視できる程度の粉しかたたないか、または全く粉がたたない。
【0008】
本明細書中に用いられる用語「パウダー原料」は、有機顔料および無機顔料、顔料のエキステンダー(extender)、無機ビーズおよび有機ビーズ、金属、金属酸化物粉末、プラスチック、プラスチックのフィラー(filler)、脱水した乳製品、薬剤、および爆薬を含む。当該分野において公知のように、パウダーは、非常に小さい、流動す可能な粒子からなる、任意の固体の乾燥した原料である。無機顔料が好ましいが、界面活性剤により固定される能力を有する、当該分野において公知の任意のパウダー原料が、用いられ得る。受容可能なパウダー原料としては、二酸化チタン、酸化亜鉛、二酸化ジルコニウム、酸化鉄(黄色、赤色、および黒色を含む)、ウルトラマリン(例えば、群青、ウルトラマリンバイオレット(ultramarine violet)など)、マンガンバイオレット(manganese violet)、雲母(絹雲母)、滑石、酸化クロム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、カーボンブラック、セルロース、ウレタン、スチレン、ポリオレフィン、ポリエチレン(polyetheylene)、ポリアミド、アクリラート、炭酸カルシウム、ゼオライト、いぶしシリカ(fumed silica)、金属粉末(例えば、マグネシウム)、セラミック粉末(例えば、窒化ケイ素)、ジルコニウム、デンプン(例えば、オクテニルコハク酸トウモロコシデンプンエステルアルミニウム(aluminum starch octenylsuccinate)、真珠(例えば、Rona/EM Industriesにより生成されるtimron
super silver、雲母(および)二酸化チタン、雲母(および)酸化鉄(および)二酸化チタン、ならびに二酸化チタン(および)雲母(および)シリカ)、綿パウダー、ケイ酸アルミニウム/マグネシウム ビーズ、シリカビーズ、ナイロンビーズ、およびその組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0009】
パウダーと対照的に、パスタは、液体によりコーティングされるかまたは液体中に分散された固体粒子からなる、柔らかい、粘性のある、広げられる、流動不可能な塊である。当該分野において周知の液体は、特定の固定された形状を有さない(自由に流動する)が、不変の容量を有する、物質の流体状態の、滑らかな、摩擦のない物質である。パスタおよび液体は、本発明の範囲外である。
【0010】
用語「界面活性剤」は、化合物の表面に作用する能力を有する、当該分野において公知の全ての化学的因子を含む(サーファクタント、洗浄剤、湿潤剤、および乳化剤が挙げられるが、これらに限定されない)。上記界面活性剤は、何らかの特別な特性を有する必要はなく、非イオン性であっても陰イオン性であってもよく、疎水性であっても親水性であってもよい。
【0011】
好ましくは、上記界面活性剤は、1つ以上の反応基(例えば、カルボキシル基、亜リン酸基、硫黄基、またはシラン基)を有する。上記界面活性剤は、1つ以上のヒドロキシル基またはアルキレンオキシド部分(例えば、エチレンオキシドまたはプロピレンオキシド)を含んでも含まなくてもよい。より好ましくは、上記界面活性剤は、アシルコラーゲン、エーテル カルボン酸、ラクタート、グルコナート、アミノ酸(例えば、スレオニンおよびセリン)、アシルアミノ酸(例えば、アシルグルタメート、アシルサルコシネート、アシルグリシネート、およびアシルアラニネート)、脂肪酸およびその塩、シラン(例えば、有機シラン)またはグリセロール ホスファートエステル(例えば、レシチン)である。特に好ましい界面活性剤としては、シラン、メチコーン、ガラクツロン酸、グルカロラクトン、没食子酸、グルコヘプタン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、ラウリルアミドベタイン、ステアリル アンホアセテート(amphoacetate)、ラウリル アンホプロピオネート(amphopropionate)、ステアリル アンホプロピオネート、ポリエチレン、ミリストイルサルコシンナトリウム、ステアロイルグルタミン酸二ナトリウム、イソステアリル セバシン酸(isostearyl sebacic
acid)、およびその組み合わせが挙げられる。
【0012】
上記界面活性剤は、当該分野において公知の方法(例えば、本明細書中に参考として全体が援用されている米国特許第5,897,868号に記載されている方法)により、上記パウダー原料の表面上に、化学的に固定される。化学的固定は、その処理されたパウダー原料が一様に化学的に結合した反応産物を有する点で、上記界面活性剤を上記パウダー原料に添加することと異なる。この反応は、上記パウダー原料の表面上に吸収される、親油性または親水性の部分を有する水溶性化合物により引き起こされ得る。例えば、多価金属の水溶性の塩を添加すると、化学結合が、生成され得る。この反応産物は、上記パウダー原料の粒子の表面上に化学的に固定された処理を提供する。対照的に、界面活性剤でパウダー原料をコーティングすることは、単に、上記パウダー原料の表面上にこの界面活性剤を吸収させることに関する。界面活性剤でパウダー原料の表面をコーティングすることは、他の目的のためには有益であるが、この表面を、自由に流動する、信頼性のない、機能的層として不十分なものにする。
【0013】
上記界面活性剤は、上記パウダー原料に基づいて、少なくとも0.1重量%の量で存在する。上記界面活性剤は、好ましくは、約1.0〜約200重量%;より好ましくは、約1.0〜約60重量%;そして最も好ましくは、約3.0〜約30重量%の範囲にわたる量で存在する。
【0014】
上記油は、当該分野において公知の任意の油であり得る(合成グリセリドなどのエステル(例えば、モノグリセリド、ジグリセリド、およびトリグリセリド)、脂肪酸エステル、ヒドロキシル酸エステル、二量体の酸エステル、天然に誘導されたエステル(例えば、ヒマシ油誘導体および植物に基づいた油)、炭化水素、シリコーンおよびその誘導体(例えば、シクロメチコーン、ポリシリコーン−11など)、親油性ビタミン、親油性染料、精油、およびその組み合わせが挙げられる)。油(例えば、ジメチル ポリシロキサン、(Dow CorningからDC 200として入手可能である)ジメチコーン、鉱油、イソステアリル ネオペンタノアート、およびカプリル酸/カプリン酸 トリグリセリド)は良い結果をもたらすことが示されてきたが、具体的な油を選択する場合には、選択はしばしば、生産される化粧品に依存する。一般的に、上記油は、5〜100,000cstの範囲にわたる粘度を有する。
【0015】
上記パウダー原料の表面層は、当該分野において公知の任意の方法により、油でコーティングされ得る。好ましくは、上記油は、液体として用いられる。液体として市販されていない油(例えば、親油性ビタミンであり、主に固体として販売されているアスコルビル
パルミタート)は、コーティング油として用いられる前に、液体油中に可溶化され得る。適切な可溶化する油としては、ビタミン アセタート、カプリル酸/カプリン酸 トリグリセリド、および当該分野において公知の他の油が挙げられる。いったん液体形態になると、その後、上記油は、従来の技術を用いて、上記パウダー原料に対してコーティングされ得る。例えば、上記油は、例えば、反応バルブを介して、この反応物に注がれ得、そしてその組成物が均一になるまで混合され得る。
【0016】
上記油は、上記パウダー原料に基づいて、約0.1〜180重量%の範囲にわたる量で存在する。上記油は、好ましくは、約1.0〜約150重量%;より好ましくは、約3.0〜約120重量%;そして最も好ましくは、約5.0〜約60重量%の範囲にわたる量で存在する。
【0017】
上記界面活性剤と油とを合わせた重量のパーセンテージは、上記パウダー原料に基づいて、少なくとも4.0重量%である。この組み合わせた重量のパーセンテージは、好ましくは、4.0〜約300重量%;より好ましくは、4.0〜約150重量%;そして最も好ましくは、約8.0〜約90重量%の範囲にわたる。
【0018】
油吸収は、表面積と密接な関係を共有し、そしてどのくらいの油が上記パウダー粒子の曝露された表面上に吸収されるのか(個々の粒子間の空間内に吸収される任意の油を含む)を測定するために用いられる用語である。多くの油が吸収されるほど、その油吸収値は高くなる。
【0019】
油吸収は、以下の技術により算出され得る:(1)約5グラムの試料を計量皿に置き、そしてこの重量(I)を記録し;(2)この試料をガラスプレートに移し、そしてスタンドおよびコックを有するビュレットの下にこのガラスプレートを置き;(3)油の始点(D)を記録し;(4)ゆっくりとこのコックを開いて、少量の油をこの試料中に放出し;(5)スパーテルを用いて、この油および試料を共に混合し(すり合わせ);(6)終点に達するまで、工程4および5を繰り返し;(7)試料が最大濃度を含む点に対応する、油の終点(E)を記録する。一般的に、試料の終点は、この試料がパテのような一貫性(ピーナッツバターのような)を獲得し、この試料が広げられる場合に油の光沢が現れ始める点を観察することによって、決定され得る。上記終点を行き過ぎると、鈍く見える、かつ、パウダーの比較的堅い外観は、光沢のある、崩れた形状を示す(slumping)パスタへと変化する。この試験のための全時間は、始点から終点まで15分以内であるべきであり;長いすり合わせ時間は、上記油吸収値を低下させ、避けられるべきである。油吸収は、以下の等式を用いて算出され得る:用いられる油の容量:E−D=F;油吸収 %w/w=F×G/I×100、ここで、D=油の始点;E=油の終点;F=用いられる油の容量;G=用いられる油の密度;およびI=実際の試料の重量。
【0020】
上記油吸収試験のために用いられる油として一般的に用いられる鉱油は、0.85g/mlの密度を有する。他の油(例えば、シクロペンタシロキサン、イソステアリル ネオペンタノアート、カプリル酸/カプリン酸 トリグリセリド、およびイソノニル イソノナノアート)もまた、用いられ得る。
【0021】
上記油吸収値は、乾燥パウダー1グラム当りの油のグラムとして測定される。上記コーティングされたパウダー原料の油吸収値は、乾燥パウダー1グラム当り約0.01〜約0.70グラムの範囲にわたるべきである。上記油吸収値は、好ましくは、約0.10〜約0.64、より好ましくは、約0.12〜約0.46の範囲にわたる。
【0022】
上記コーティングされたパウダー原料は、従来の乳化剤、懸濁剤、エマルジョン安定剤、美容的に受容可能な原料、および当該分野において公知の他の因子を含み得る。
【0023】
上記コーティングされたパウダー原料は、化粧品(例えば、ファンデーション、口紅、アイシャドー、ローション、クリーム、コンシーラー、ほお紅、アイライナー、マスカラ、アイブローライナー、リップライナー、マニキュア液、およびサンスクリーン)において用いられ得る。上記コーティングされたパウダー原料はまた、洗面用品(例えば、脱臭剤、発汗抑制剤、およびシャワージェル)において用いられ得る。上記コーティングされたパウダー原料が化粧品または洗面用品において用いられる場合、化粧品または洗面用品を作製する場合に用いられる他の典型的な構成成分が、添加され得る。例えば、口紅はしばしば、上記コーティングされたパウダー原料に加えて、様々な油およびワックスを含む。
【0024】
本発明はまた、コーティングされたパウダー原料を調製するためのプロセスに関する。上記プロセスは、以下の工程:(a)パウダー原料を導入する工程;(b)このパウダー原料を1つ以上の界面活性剤で化学的に固定する工程、および(c)この化学的に固定されたパウダー原料を油でコーティングする工程を包含し、ここで、この界面活性剤は、このパウダー原料に基づいて、少なくとも約0.1重量%の量で存在し;この油は、このパウダー原料に基づいて、約0.1〜180重量%の範囲にわたる量で存在し;そして、この界面活性剤と油とを合わせた重量のパーセンテージは、このパウダー原料に基づいて、少なくとも約4.0重量%である。
【0025】
以下の実施例は、本発明を説明することを意図される。これらの実施例は、特許請求の範囲により規定されている、本発明の範囲を限定するために用いられるべきでない。
【実施例】
【0026】
(コーティングされたパウダー原料を調製する一般的手順)
パウダー原料を、(その顔料の重量に基づいて)50〜500%の水と混合し、そして分散させる。界面活性剤(例えば、脂肪酸またはアシルアミノ酸の水溶性のアルカリ金属塩)の水溶液をこのスラリーに添加し(パウダー100部当たり0.5〜400部の界面活性剤)、そして分散させる。次いで、油を、この系に導入する(パウダー100部当たり1〜180部の油)。上記界面活性剤の官能基が上記パウダー原料の粒子の表面に結合するのを助けるために、多価金属の1〜2化学当量の水溶性塩(例えば、アルカリ土類金属、アルミニウム、チタン、亜鉛、またはジルコニウムの硫酸塩)を添加し得る。得られたコーティングされた、表面が改変されたパウダー原料を、必要に応じて、フィルタープレスを用いて脱水し、そして精製水または脱イオン水ですすいで、任意の二次的な塩を除去する。さらに、このフィルターケークを、オーブン内で、このフィルターケークが100℃の温度に達するまで、2時間を超える期間、脱水する。上記フィルターケークが冷めた後、次いで、このフィルターケークをアトマイザー内で粉砕して、使用可能なパウダーを生成する。
【0027】
【表1】

【0028】
【表2】

【0029】
【表3】

【0030】
【表4】

この原料が、安息角を形成し得る流動可能な粒子を含んでいた場合に、外観について、この原料をパウダーに分類した。この原料が、安息角を形成し得る流動可能な粒子を含んでいなかった場合に、示された他の特性に依存して、この原料をパスタまたは液体に分類した。
【0031】
粉の発生に関して、上記パウダー原料により発生した粉の量を、視覚による観察を通して、以下の方法により決定した:(1)容器内に80グラムのパウダーを計りとり;(2)適切な表面の約2フィート上にこの容器を置き、そして素早くこの表面上に内容物を空け;(3)衝撃の約1秒後、この結果を写真に撮り;そして(4)この写真を評価して、粉の量を決定する。明白な量の粉が観察された場合、この粉の発生を、「確認された」とみなし;微量の粉しか観察されなかった場合、この粉の発生を、「無視できる程度」とみなし;そして、全く粉が観察されなかった場合、この粉の発生を、「なし」とみなした。図1は、粉の発生についての3つの分類を説明する3つの写真を含む。
【0032】
例4〜7、12〜16、21〜23、28〜32、35〜37、40〜44、46、52〜56、63〜66、71〜74、79〜82、87〜91、93〜95、97、および99を、本発明に従って、実施する;例1〜3、8〜11、17〜20、24〜27、33、34、38、39、45、47〜51、57〜62、67〜70、75〜78、83〜86、92、96、および98は、比較例である。
【0033】
上記コーティングされたパウダー原料は、様々な化粧品および洗面用品において用いられ得る。下に示されているのは、上記パウダー原料を用いたw/o液体ファンデーション、w/s液体ファンデーション、プレス型パウダーファンデーション、o/w液体ファンデーション、ルーズ(loose)パウダー、加熱注入(hot−pour)型クリームファンデーション、マスカラ、アイシャドー、および口紅の例である。
【0034】
これらの例において用いられている、当該分野において慣習である用語「QS」は、その所望の機能性を得るために「十分な品質」を表す。芳香剤の用途では、その機能性は、典型的に、約0.05〜1.0wt%を用いて得られ;防腐剤の用途では、その機能性は、典型的に、約0.01〜1.0wt%を用いて得られる。
【0035】
(w/o(油中水型)液体ファンデーション)
【0036】
【表5】

手順:
1.副容器内で部分Aの成分の重量を計り、そして混合し始める。加熱し始めて、約85℃にする。全成分が溶解したら、上記容器を45℃未満まで冷ます。
2.主容器内で、部分Bのイソノニル イソノナノアートならびにシクロメチコーン(および)ジメチコーンのクロスポリマー(crosspolymer)の重量を計る。ホモジナイザーを始動させ、そして残っている部分Bの構成成分を添加する。均一の質感が得られるまで、室温で混合を続ける。
3.部分Bを保有する容器に部分Aを移す。均一の質感が得られるまで、室温で混合を続ける。
4.副容器内で部分CのD.I.水の重量を計る。混合しながら、D.I.水を上記主容器に添加する。全てが溶解するまで、室温で混合を続ける。
5.室温でホモジネートしながら、部分Cの残りの構成成分を上記主成分に添加して、乳化する。均一の質感が得られるまで、ホモジネートを続ける。
【0037】
(w/s(シリコーン中水型)液体ファンデーション)
【0038】
【表6】

手順:
1.副容器内で部分Aの構成成分の重量を計り、そして混合し始める。約85℃まで加熱する。全成分が溶解している場合、約70℃まで冷ます。
2.約70℃で、部分Bの構成成分をこのバッチに添加し、そしてよく混合する。約40〜50℃まで冷まし続ける。
3.ブレンダー内で、部分Cの構成成分を混和する。この混ぜ合わせた構成成分を上記バッチに添加し、そしてホモジネートする。
4.ホモジネートしながら、約40〜50℃で、ゆっくりと部分Dの構成成分を上記バッチに添加する。室温まで冷ます。
【0039】
(プレス型パウダーファンデーション)
【0040】
【表7】

手順:
1.主容器内で部分Aの構成成分を混和し、そして混合し始める。
2.副容器内で部分Bの構成成分の重量を計り、そしてよく混合する。部分Bの構成成分が均一になる場合、上記主容器に添加する。上記構成成分が均一に湿った状態になるまで、室温で、上記主容器を混合し続ける。
3.部分Cの構成成分をこのバッチに添加する。
4.計量ボート内でこの組成物を測定し、そしてパン(pan)に盛る。パウダープレス機を介して、一定の圧力を加えて、上記プレス型パウダーファンデーションを形成する。
【0041】
(o/w(水中油型)液体ファンデーション)
【0042】
【表8】

手順:
1.副容器内で部分Aの構成成分の重量を計り、そして、混合しながら約80℃まで加熱する。
2.副容器内で部分Bの構成成分の重量を計り、そしてブレンダーを用いて混和する。
3.部分Bの構成成分を部分Aに添加し、そして、分散物が得られるまで、よく混合する。65℃未満まで冷ます。
4.部分Cの構成成分を、部分AおよびBを含む上記副容器に添加し、そしてよく混合する。
5.部分Dの構成成分を主容器に添加し、そして約60〜65℃まで加熱する。
6.上記副容器内の上記構成成分(部分A〜C)を上記主容器(部分Dを含む)に添加し、そして、約65℃で延長された期間ホモジネートする。混合しながら、室温まで冷ます。
【0043】
(ルーズパウダー)
【0044】
【表9】

手順:
1.ブレンダーを用いて、部分Aの構成成分を混和する。
2.副容器内で部分Bの構成成分の重量を計り、そしてよく混合する。部分Bの構成成分が均一になる場合、上記ブレンダーに添加する。上記構成成分が均一に湿った状態になるまで、室温で混合し続ける。
3.混合しながら、部分Cの構成成分を上記ブレンダーに添加する。質感が均一になるまで、混合し続ける。容器内に、この組成物を満たす。
【0045】
(加熱注入型クリームファンデーション(無水))
【0046】
【表10】

手順:
1.副容器内で部分Aの構成成分を約80〜85℃まで加熱し、そして均一になるまでよく混合する。
2.別々の副容器内で部分Bの構成成分を約80〜85℃まで加熱し、そして均一になるまでよく混合する。
3.部分Bの構成成分を部分Aに添加し、そしてよく混合する。
4.ブレンダーを用いて、部分Cの構成成分を混和し、そして、ホモジネートしながら、約80〜85℃でこの混和された構成成分をこのバッチに添加する。5.約80〜85℃で温度を維持しながら、この生成物をパンに盛る。冷ます。
【0047】
(マスカラ)
【0048】
【表11】

手順:
1.部分Aの構成成分を約80〜85℃まで加熱し、そして均一になるまでよく混合する。
2.部分Bの構成成分を約80〜85℃まで加熱し、そして均一になるまでよく混合する。
3.部分Cの構成成分を共に添加し、そして約80〜85℃まで加熱する。
4.部分A、B、およびCをプロペラミキサーに添加し、そして、この組成物が均一に湿った状態になるまで室温で混合する。
5.混合しながら、冷ます。約45〜50℃で、部分Dをこのバッチに添加する。混合し続けて、室温まで冷ます。
【0049】
(アイシャドー)
【0050】
【表12】

手順:
1.ブレンダーを用いて、部分Aの構成成分を混和する。
2.副容器内で部分Dの構成成分の重量を計り、そしてよく混合する。
3.混和しながら、部分Dの構成成分を上記ブレンダーに添加する。
4.この生じた組成物を0.27mmのふるいで2回粉砕する。
5.部分Bおよび部分Cの構成成分をブレンダーで混和する。
6.均一な質感が得られるまで、混和された部分BおよびCを、粉砕された部分AおよびDの混合物とよく混合する。
7.パンにプレスする。
【0051】
(口紅)
【0052】
【表13】

手順:
1.ローラーミルを用いて、分散するまで、部分Bの構成成分を混和する。
2.部分Aの構成成分を、これらの構成成分が溶解して明瞭になるまで、約85〜90℃で加熱する。
3.約85〜90℃で加熱しながら、部分Bの構成成分を部分Aに添加する。均一になるまでよく混合する。
4.部分Cの構成成分をこのバッチに添加し、そして、均一な質感が得られるまで、混合し続ける。
5.型に詰め、そして室温まで冷ます。
【0053】
(W/Oサンスクリーン)
【0054】
【表14】

手順:
1.ホモジナイザーを用いて、部分Aの構成成分を混合する。滑らかな質感が得られるまで、ホモジネートを続ける。
2.副容器内で部分Bの構成成分を混合する。
3.ホモジネートしながら、部分Bの構成成分を部分Aに添加する。
4.均一な滑らかな質感が得られるまで、ホモジネートし続ける。
5.部分Cの構成成分を、これらの部分AおよびBのホモジネートされた構成成分に添加する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明。

【図1】
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【公開番号】特開2012−126729(P2012−126729A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−29504(P2012−29504)
【出願日】平成24年2月14日(2012.2.14)
【分割の表示】特願2008−514871(P2008−514871)の分割
【原出願日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【出願人】(507331209)ユー.エス. コスメティックス コーポレイション (5)
【Fターム(参考)】