説明

粉体の直接投入装置

【課題】乾燥粉体であってもそのまま長距離の輸送を可能にした粉体の投入装置を提供する。
【解決手段】石炭灰が圧送される圧送管7と、水中に一端が開口すると共に他端が水上に配され、水中に配される部位に圧送管7の先端が開口する投入管6と、投入管6の他端に一端が連結され他端が水中に開口する空気放出管8とを備え、水中に配される部位の投入管6内に圧送管7からの粉体を導入して水中に粉体を投入すると供に、粉体と共に圧送され浮上した空気泡を空気放出管8により水中に放出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、火力発電所で発生する石炭灰を埋め立て処理場等の水中に直接投入する粉体の直接投入装置に関する。
【背景技術】
【0002】
石炭火力発電所では、微粉砕した石炭をボイラー内で燃焼させて蒸気を発生させ、発生した蒸気により蒸気タービンを作動させて電気エネルギーを得ている。また、石炭と共に石灰石をボイラー内に投入し、硫黄酸化物を燃料と同時に炉内で除去する加圧流動床複合発電が知られている。火力発電では、燃焼により発生した灰の粒子は、浮遊したものが集められたり、溶解して相互に凝集して堆積し、フライアッシュ、クリンカアッシュとして回収される。
【0003】
フライアッシュやクリンカアッシュは、よう壁の裏込材、コンクリートの細骨材代替、コンクリートの代替、充填材、路盤材等として再利用されている。有効利用されるもの以外の石炭灰、特に、フライアッシュは、粉塵対策のため発電所内で散水し湿灰状態にして処分場や灰捨て場に運搬して処分されている。石炭灰は積み出し時に散水等の粉塵対策が必要とされ、処理コストが高くなっているのが現状である。
【0004】
このため、フライアッシュをスラリー状にして埋立地に流体搬送することが従来から提案されている(例えば、特許文献1参照)。しかし、加圧流動床複合発電において発生する灰はカルシウム分を多く含んでいるため、水と混合すると固化する性質がある。従って、流体搬送を行う場合に長距離の輸送ができないのが実情である。
【0005】
【特許文献1】特開平11−323881号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、乾燥粉体であってもそのまま長距離の輸送を行い投入場所に投入することができる粉体の直接投入装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための本発明の第1の態様は、粉体が圧送される圧送管と、粉体が投入される水中に一端が開口すると共に他端が水上に配され、水中に配される部位に圧送管の先端が開口する投入管と、投入管の他端に一端が連結され他端が水中に開口する空気放出管とを備え、水中に配される部位の投入管内に圧送管からの粉体を導入して水中に粉体を投入すると共に、粉体と共に圧送され浮上した空気泡が空気放出管を介して水中に放出されることを特徴とする粉体の直接投入装置にある。
【0008】
第1の態様では、圧送管からの粉体を投入管から水中に直接投入すると共に、粉体と共に圧送され浮上した空気泡が空気放出管を介して水中に放出され、乾燥粉体であってもそのまま長距離の輸送が行なわれて投入場所に投入される。
【0009】
そして、本発明の第2の態様は、第1の態様に記載の粉体の直接投入装置において、水上に配される部位の投入管内に水を噴出する水噴出手段を備え、投入管内の空気中に水を噴射することで空気中の粉体を加湿することを特徴とする粉体の直接投入装置にある。
【0010】
第2の態様では、空気中の粉体を加湿することで空気中に残留する粉体を確実に除去して水中に投入することができる。
【0011】
また、本発明の第3の態様は、第1の態様または第2の態様に記載の粉体の直接投入装置において、水中に配される部位の圧送管が開口する部位の上部側の投入管の管路に網部材を備え、浮上する空気泡を網部材に通過させることで空気泡を微細化することを特徴とする粉体の直接投入装置にある。
【0012】
第3の態様では、空気泡が網部材で微細化され、空気の放出を容易にすることができる。
【0013】
また、本発明の第4の態様は、第1の態様乃至第3の態様のいずれかに記載の粉体の直接投入装置において、投入管及び空気放出管は、粉体が投入される部位の水面に浮く浮き体に備えられていることを特徴とする粉体の直接投入装置にある。
【0014】
第4の態様では、浮き体により投入管及び空気放出管を任意の投入位置の水面に浮かせて保持することができる。
【0015】
また、本発明の第5の態様は、第1の態様乃至第4のいずれかの態様において、圧送管で圧送される粉体は、火力発電所で発生する石炭灰であり、石炭灰が投入管に圧送されて埋立て処分地に投入されることを特徴とする粉体の直接投入装置にある。
【0016】
第5の態様では、火力発電所で発生する石炭灰を埋立て処分地に直接搬送することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の粉体の直接投入装置は、乾燥粉体であってもそのまま長距離の輸送を行い投入場所に投入することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図1には本発明の一実施形態例に係る粉体の直接投入装置により石炭灰を埋立て処分地に投入している状態の概要平面視、図2には図1中の側面視、図3には本発明の一実施形態例に係る粉体の直接投入装置の外観視、図4には粉体の直接投入装置の側面視、図5には図4中のV−V線矢視、図6には水噴出手段の説明、図7には架題の平面視、図8には図7中のVIII−VIII線矢視を示してある。
【0019】
図1、図2に示すように、火力発電所で発生した石炭灰の粉体が輸送船1により埋立て処分地2の揚炭岸壁3に運ばれる。埋立て処分地2の埋立て部位の水面には浮き体としての架台4が浮かべて配置され、架台4には投入装置5が備えられている。投入装置5は、一端が水中に開口する投入管6を備え、投入管6には粉体が圧送される圧送管7の先端が接続されている。輸送船1側の圧送管7には図示しない圧縮機が備えられ、圧縮機からの圧縮空気により粉体が圧送される。また、投入装置5には粉体と共に圧送される空気を水中に放出する空気放出管8が備えられている。
【0020】
図3乃至図6に基づいて投入装置5を説明する。
【0021】
図に示すように、架台4の固定プレート11(図5参照)には投入管6が固定され、投入管6の一端(図4中下側端)が水面Sの下側に位置して水中に開口している。投入管6の他端(図4中上側端)は水上に位置して配され、投入管6の他端にはU字管12の一端が連結されている。U字管12の他端には空気抜き管13の上端が連結され、空気抜き管13の下端は水中に水面Sの下側に位置して水中に開口している。そして、投入管6と空気抜き管13は、2枚の連結板14により連結されている。
【0022】
つまり、U字管12及び空気抜き管13により空気放出管8が構成され、空気放出管8の一端(U字管12の一端)が投入管6の他端に連結され、空気放出管8の他端(U字管12の他端)が水中に開口した状態となっている。
【0023】
一方、水中に配される部位の投入管6には圧送管7の先端が連結され、圧送管7により圧送される粉体は投入管6の内部の水中に導入される。粉体と共に送られる空気は気泡(空気泡)となって投入管6を浮上する。水中に配される部位の圧送管7が開口する部位の上部側の投入管6の管路には網部材としての網15が設けられ、投入管6を浮上する気泡が網15を通過することにより気泡が微細化される。微細化されて浮上する気泡は、U字管12から空気抜き管13に送られ、空気抜き管13の下端から水中に放出される。
【0024】
また、水上に配される部位の投入管6には水噴射手段としての複数の水噴射ノズル16が取り付けられ、複数の水噴射ノズル16には水ホース17(図6参照)及び吸い込みホース18を介して水が送られる。水噴射ノズル16から投入管6の気中に水を噴射することで、投入管6の空気中の石炭灰の粉体を加湿し、気泡に混在して浮上した粉体を空気から分離する。
【0025】
図7、図8に基づいて架台4を説明する。
【0026】
図に示すように、架台4は枠材21が四角枠状に組みつけられ、四辺部は断面が下向きのコ字型にされている。架台4の中心部は空間部20とされ、投入管6(図5参照)を固定する固定プレート11(図5参照)が空間部20に設置される。コ字型の内部には四辺の周囲に亘り浮具22が収容され、架台4が所定の投入水面に浮力をもって配置される。架台4の表面には金網部23が設けられ、作業員が投入装置5の周囲に乗ることができるようになっている。
【0027】
上記構成の粉体の直接投入装置は、埋立て処分地2の埋立て部位の水面に架台4が浮かべて配置されている。輸送船1の圧縮機からの圧縮空気により石炭灰である粉体が圧送管7により投入装置5に運ばれる。圧送管7で運ばれた粉体は水中に配される部位の投入管6に送られ、粉体が水中に直接投入される。粉体と共に送られる空気は気泡となって投入管6を浮上し、網15で微細化された後U字管12から空気抜き管13に送られ、空気抜き管13の下端から水中に放出される。一方、水噴射ノズル16から投入管6の気中に水が噴射され、投入管6の空気中の石炭灰の粉体が加湿されて気泡に混在して浮上した粉体が空気から分離される。
【0028】
このため、火力発電所で発生する石炭灰が埋立て処分地に直接搬送されて直接水中に投入されると共に、粉体と共に圧送され浮上した空気泡が水中に放出される。従って、乾燥粉体である石炭灰であっても、散水処理等を施すことなく低コストで、そのまま長距離の輸送が行なわれて投入場所に投入される。また、空気泡が網15により微細化され、空気の放出を容易にすることができる。また、空気中の粉体に水を噴射して粉体を加湿することで、空気中に残留する粉体を確実に除去して水中に投入することができる。
【0029】
尚、上述した粉体の直接投入装置は、火力発電所で発生する石炭灰を埋立て処分地に搬送する例を挙げて説明したが、石炭灰以外の粉体の輸送・投入に適用することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明は、例えば、火力発電所で発生する石炭灰を埋め立て処理場等の水中に直接投入する粉体の直接投入装置の産業分野で利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の一実施形態例に係る粉体の直接投入装置により石炭灰を埋立て処分地に投入している状態の概要平面図である。
【図2】図1中の側面図である。
【図3】本発明の一実施形態例に係る粉体の直接投入装置の外観図である。
【図4】粉体の直接投入装置の側面図である。
【図5】図4中のV−V線矢視図である。
【図6】水噴出手段の説明図である。
【図7】架題の平面図である。
【図8】図7中のVIII−VIII線矢視図である。
【符号の説明】
【0032】
1 輸送船
2 埋め立て処分地
3 揚炭岸壁
4 架台
5 投入装置
6 投入管
7 圧送管
8 空気放出管
11 固定プレート
12 U字管
13 空気抜き管
14 連結板
15 網
20 空間部
21 枠材
22 浮具
23 金網部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉体が圧送される圧送管と、
粉体が投入される水中に一端が開口すると共に他端が水上に配され、水中に配される部位に圧送管の先端が開口する投入管と、
投入管の他端に一端が連結され他端が水中に開口する空気放出管と
を備え、
水中に配される部位の投入管内に圧送管からの粉体を導入して水中に粉体を投入すると共に、粉体と共に圧送され浮上した空気泡が空気放出管を介して水中に放出される
ことを特徴とする粉体の直接投入装置。
【請求項2】
請求項1に記載の粉体の直接投入装置において、
水上に配される部位の投入管内に水を噴出する水噴出手段を備え、投入管内の空気中に水を噴射することで空気中の粉体を加湿する
ことを特徴とする粉体の直接投入装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の粉体の直接投入装置において、
水中に配される部位の圧送管が開口する部位の上部側の投入管の管路に網部材を備え、浮上する空気泡を網部材に通過させることで空気泡を微細化することを特徴とする粉体の直接投入装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の粉体の直接投入装置において、
投入管及び空気放出管は、粉体が投入される部位の水面に浮く浮き体に備えられている
ことを特徴とする粉体の直接投入装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の粉体の直接投入装置において、
圧送管で圧送される粉体は、火力発電所で発生する石炭灰であり、石炭灰が投入管に圧送されて埋め立て処分地に投入される
ことを特徴とする粉体の直接投入装置。






【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−186927(P2007−186927A)
【公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−6472(P2006−6472)
【出願日】平成18年1月13日(2006.1.13)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】