説明

粉体または粒体硬度の調剤材料のための調剤供給ユニット

【課題】出口穴を常に確実に閉鎖することにより測定された用量の物質を高精度に供給する調剤供給ユニットを提供する。
【解決手段】粉体または粒体硬度の調剤材料のための調剤供給ユニット100は、ハウジング101、ハウジング101内部に形成され、調剤材料を受けるように働く、少なくとも1つのリザーバキャビティ102、およびエラストマー材料を含む少なくとも1つの供給ヘッド104を含む。供給ヘッド104は、未変形状態でスリット形であり、第1の出口リップ108および第2の出口リップ109によって境界形成され、横方向圧縮力を加えることによって可変の幅に開くことができる、出口107を有する。この構成はさらに、第2の出口リップ109に対する、第2の出口リップ109の長さ方向の振動運動を第1の出口リップ108に与えるように設計された、少なくとも第1の動作伝達手段を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒体または粉体物質のための調剤供給ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
このタイプの調剤供給ユニットは、測定された用量の物質を高精度に供給するために使用される。これには、調剤供給ユニットから所望の量の物質を目的コンテナへと供給することを含む。物質をその後所定の指示にしたがって処理することができるように、調剤供給ユニットから吐出された物質の量を計測するために、そのような目的コンテナは多くの場合、秤に設置されている。
【0003】
欧州特許第0527976 B1号に開示された調剤供給ユニットは、調剤材料のためのレセプタクルおよびエラストマー材料から構成される供給ヘッドを備えたハウジングを含む。供給ヘッドは、哺乳瓶の乳首のように設計され、両側から横方向の力または圧力を外部から加えることによって開くことのできるスリット形の出口を有する。調剤材料が供給プロセス中に粉体ブリッジへと集塊しないように、ブリッジを崩すために針形のアクチュエータが配置されている。供給動作を開始する前に、針形のアクチュエータを側面からエラストマー材料を通るように押し込み、針の先端がスリット形の出口を通って延びるように十分に前進させる。この調剤供給ユニットでは、最小量の粉体調剤材料を高精度に供給することが可能である。しかし、この構成には、アクチュエータがスリット形の出口を通って延びることによって、スリットのリップがアクチュエータの近傍で密閉することを妨げ、したがって、この領域にわずかな漏れ口が残るという欠点がある。物質粒体が漏れ口の幅より大きい場合は、これによって問題が生じることはないが、漏れ口の幅より小さい粒体では、微細な量が漏れ口を通って流出する可能性がある。この問題を解決するために、針形のアクチュエータを、針の先端が供給ヘッド内部にくるように十分に引き戻すことができる。しかし、より大きい粒体が閉じるリップ間に挟まれることによって、漏れ口が生じる可能性もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】欧州特許第0527976 B1号
【特許文献2】欧州特許第2199208 A1号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明の目的は、出口穴を常に確実に閉鎖することができるように上記の調剤供給ユニットを修正することである。
この課題は、独立請求項に記載された特徴を有する調剤供給ユニットによって解決される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
粉体または粒体硬度の調剤材料のための調剤供給ユニットは、ハウジング、ハウジング内部に形成され、調剤材料を受けるように働く、少なくとも1つのリザーバキャビティ、およびエラストマー材料を含む少なくとも1つの供給ヘッドを含む。供給ヘッドは、未変形状態でスリット形であり、第1の出口リップおよび第2の出口リップによって境界形成され、横方向圧縮力を加えることによって可変の幅に開くことができる、出口を有する。この構成はさらに、第2の出口リップに対する、第2の出口リップの長さ方向の振動運動を第1の出口リップに与えるように設計された、少なくとも第1の動作伝達手段を含む。本発明による第2の出口リップの長さ方向の第1の出口リップの振動運動は、出口の閉鎖中に、調剤材料の残りの粒体を出口リップ間の領域から除去し、それにより、閉じた出口リップ間に挟まれた粒体がないようにする、という効果を有する。これにより、供給ヘッドの閉鎖機能の信頼性が著しく高くなり、供給される物質の毒性が高い場合、特に高い重要性を持つ。本発明による出口リップの運動によって出口をより迅速に閉鎖することが可能になるので、出口リップの運動によって、所望の量の調剤材料を、欧州特許第0527976 B1号に開示されたデバイスで可能なものより高い精度で供給することができる。特に出口穴を開口および閉鎖する、供給ヘッドの機能が、この態様を詳細に説明する欧州特許第0527976 B1号と同様の方法で本発明で実現され、参照によってその内容を全体的に本発明の説明に援用する。
【0007】
供給ヘッドの内部輪郭の設計によって、振動運動はさらに吐出流速度を増加させることになり、したがって運動が供給ヘッド内部の調剤材料へと伝播し、そこで粉体のブリッジの形成を防ぐことができると、調剤材料の出口穴からの供給速度が上がる。
【0008】
本発明のさらに発展した実施形態では、第1の出口リップの長さ方向の振動運動は、長さ方向および出口リップの閉鎖方向に直交する2次振動運動を伴うことができる。もちろん、これらの2次運動は、2次運動の振幅が出口リップの幅より大きくならないように、非常に小さくすることもできる。振幅が出口リップの幅より大きいと、出口リップが互いに完全に重なり合うことができなくなるので、2次運動によって出口穴が周期的に部分的に開口することになる。
【0009】
この構成はさらに、第2の動作伝達手段を含むことができ、それにより第2の出口リップにも振動運動を与えることができる。本発明による効果を生じさせるために、出口リップ間に捕えられた調剤材料の粒体が除去されるように、第2の出口リップの振動運動に対する第1の出口リップの振動運動を、少なくとも異なる振幅および/または互いに反対する平行方向にする必要がある。
【0010】
動作伝達手段は、供給ヘッドのエラストマー材料の硬度の増加した区域として構成することができ、硬度の増加した区域は出口リップにそれぞれ隣接し、動作伝達部材のためのコネクタ領域を含む。増加した硬度は、例えば、エラストマー材料の体積を局所的に増加する、より硬度の高い材料を局所的に含む、または剛性の補強要素を埋め込む等、様々な方法によって達成することができる。特に、プラスチックのための現代の射出成形法では、様々なショア硬度のエラストマーを用いて、ほぼ無限の設計の自由が与えられている。
【0011】
コネクタ領域は必ずしも、結合要素として、または特に連結機能を実施するように構成された区域として、構成する必要はない。動作伝達手段から動作伝達部材への材料の変化とすることもできる。これは例えば、動作伝達手段が、動作伝達部材として働く一体に形成された突起を含む場合に当てはまる。
【0012】
出口リップの運動は、動作伝達手段に作用する少なくとも1つの駆動機構によって生成される。単純な解決法は、細い針形の棒を、動作伝達部材としてのコネクタ領域に連結することである。したがって、針形の棒は、駆動機構と動作伝達手段との間に配置される。
【0013】
粉体のブリッジの形成を防ぐさらなる手段として、アクチュエータをリザーバキャビティ内に配置し、動作伝達手段に連結することができる。このアクチュエータは、例えば、出口穴の近傍に形成された動作伝達手段の適切な固定位置に連結された、螺旋に形成されたワイヤの形態とすることができる。ワイヤ螺旋は、供給ヘッドからリザーバキャビティへと延びる。ワイヤ螺旋の長さおよび硬度は、供給される調剤材料に一致させることができる。
【0014】
本発明の調剤供給ユニットはさらに、欧州特許第0527976 B1号に開示されているように、供給ヘッドのエラストマー壁を穿通する針形のアクチュエータを含むことができることが理解されよう。しかし、上記のように、これにより出口穴の密閉性が損なわれることがあるので、針の先端が供給ヘッドの出口穴を通って延びないこともできる。したがって、アクティベータ針の一方の端部がリザーバキャビティ内に配置され、他方の端部が動作伝達手段の駆動機構またはアクチュエータ駆動機構に連結される。
【0015】
調剤供給ユニットを保存コンテナとしての使用に適したものにするために、また出口穴が手動または自動動作中に意図せずに開くことがないように、出口穴の上に置き、供給ヘッドの出口リップを完全に覆う、保護キャップを追加することができる。保護キャップは、調剤供給ユニットが互換性のある調剤供給装置の供給ユニット保持器内に設置されるまで取り外されない。
【0016】
供給ヘッドをより緊密に封止する手段として、封止リングを供給ヘッドのエラストマー壁部分のリザーバキャビティからそれた側に一体に形成することができる。この封止リングの使用は、保護キャップを接触圧によって供給ヘッド304上により確実に保持するため、および/または気密に封止するために限定されない。調剤材料の外部への流出によって周囲環境が汚染されることがないよう十分に、供給ヘッドと接続容器との間のリングの隙間を封止するために、任意で、この封止リングを、例えばホース、管等の接続容器を供給ヘッドに固締するために使用することもできる。容器が、封止リングが嵌合する溝を有する場合、形状嵌合連結によって容器を供給ヘッドに連結することができる。しかし、これは必ずしも他の可能な構成を排除するものではない。フランジ連結、ねじ螺合連結、接着剤による接合、または溶接連結、ならびにスナップ嵌め連結および圧入を使用することも企図されている。
【0017】
設計および製造が単純であることにより、本発明の供給ヘッドは、使用された後に適切に廃棄することができる、単回使用の部品として非常に適している。このタイプの用途では、新しい、未使用な状態の出口を、例えば、調剤供給ユニットを調剤材料で充填し、互換性のある調剤供給装置の保持器内に設置した後に除去される取り外し可能なフォイルで覆うことができる。
【0018】
ハウジングは、例えばバイアルまたはガラスまたはプラスチックのボトルなど、ボトル形のコンテナとすることができる。もちろん、調剤供給ユニット、または調剤供給装置全体を、より大きいシステムの一体型の構成部品とすることもできる。この種類の用途では、調剤供給ユニットは好ましくは、容器をリザーバキャビティに連結することができる際に通るコネクタ領域を備える。容器は、供給ホース、供給パイプ、補助リザーバ、ティアシームの付いた、または付いていないフォイルポーチ、タンク、サイロ等とすることができる。これらの容器は、形状ロック、圧入、または材料接合による連結によって、コネクタ領域に連結することができる。
【0019】
さらに有益な特性を備えた調剤供給ユニットを提供するために、供給ヘッドの表面を被覆で覆うことができる。例えば銀イオンなどの抗菌被覆、または静電気を流すために接地に連結することができる導電性被覆を使用することも考えられる。
【0020】
さらに、例えば欧州特許第2199208 A1号に開示されているように、調剤供給ユニットを、汚染に対して安全に作製することができる。供給ヘッドおよび調剤材料を互いから分離するために、ホース形のフォイルの内部のみが調剤材料と接触することができるように、ホース形のフォイルライニングをリザーバキャビティ内に出口を通って配置することができる。ホース形のフォイルは、例えばポリエチレンフォイルなど、適切な材料で作製されるポーチのネック、エンドレスライナー材料の一部分等とすることができる。出口リップの本発明による振動運動がこの出口リップを覆うフォイル部分に伝達されるように、出口領域のフォイルの各部分が、適切な固締手段によって、第1および第2の出口リップに取り付け可能でなければならない。この目的で使用することができる固締手段は、例えば一体型の切り離しねじ、クランプストリップ、スナップコネクタ等を使用する、接着剤接合、溶接連結などの圧入、材料接合および形状ロック連結など、任意の従来技術水準の連結方法および要素を含む。
【0021】
調剤供給ユニットは、調剤供給ユニットの交換を容易にするように、調剤供給装置内に設置され、調剤供給装置から取り外されるように設計されている。もちろん、調剤供給装置は、複数の調剤供給ユニットを保持することができるように、1つより多い保持器を有することもできる。
【0022】
本発明による調剤供給ユニットの詳細は、図面に示された実施形態の例とともに説明される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1A】ハウジング、ハウジングに隣接するエラストマー材料の供給ヘッド、および一体に形成された動作伝達部材を備えた第1の動作伝達手段を備えた、本発明による調剤供給ユニットの直立断面図である。
【図1B】図1Aの調剤供給ユニットの面X‐Xで見た断面図である。
【図2A】第1の動作伝達手段、針形の動作伝達部材、およびアクチュエータを備えた、エラストマー材料で作製された本発明による供給ヘッドの直立断面図である。
【図2B】図2Aの供給ヘッドを下方から見た図である。
【図3】ポーチ形のハウジング、ハウジングに連結されたエラストマー材料の供給ヘッド、第1および第2の動作伝達手段、および第1および第2の針形の動作伝達要素を備えた、本発明による調剤供給ユニットの立面図である。
【図4】リザーバキャビティ内に配置され、出口穴を通って引き出されるホース形のフォイルライナーを備えた、汚染保護設計バージョンの本発明による調剤供給ユニットの一部を断面で示す立面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1Aは、本発明によるハウジング101を備えた調剤供給ユニット100を、直立断面図で概略的に示す。ハウジング101内部には、リザーバキャビティ102が調剤材料140を保持するように形成されている。ハウジング101はボトル形に設計されており、リザーバキャビティ102を充填することができる際に通る開口105を有する。リザーバキャビティ102を調剤材料140で充填した後、ハウジング101は、取り付けリング103を使用して、供給ヘッド104が開口105を完全に覆うように、エラストマー材料の供給ヘッド104に連結される。このような一般的な調剤供給ユニットでは、供給ヘッド104には、コネクタ領域として働く取り付けフランジ106と供給ヘッド104に形成されたスリット形の出口穴107との間に空の空間が設けられているので、供給ヘッド104がハウジング101に連結されると、リザーバキャビティ102は供給ヘッド104にも延びる。調剤供給ユニット100が図1Aに示すように動作位置になるとすぐに、レセプタクルキャビティ102内の調剤材料140が重力に引かれて供給ヘッド104内へと移動する。
【0025】
もちろん、ハウジング101は、例えば一点鎖線の輪郭線で示す供給パイプなど、調剤材料を連続的に供給するための供給管120を有することもできる。
供給ヘッド104は、力が加えられていないとき、互いに向かい合いスリット形の出口穴107を形成する第1の出口リップ108および第2の出口リップ109を有する。充填された調剤供給ユニット100は、一部分のみを示す調剤供給装置150内へと設置される。調剤供給装置150は、ジョー151、152間に配置された供給ヘッド104に横方向圧縮力を生成するように、互いに向かって動くことができる2つのジョー151、152を有する。図1Bに示すように、ジョー151、152が出口107の領域で互いに供給ヘッド104を圧搾し始めるとすぐに、出口リップ108、109は互いから離れ、それにより、調剤材料140が重力の影響を受けて調剤供給ユニット100から流出することができる際に通る開口が形成される。したがって、供給ヘッド104に作用するジョー151、152の横方向圧縮力が出口リップ108、109の長さ方向に向いている場合、出口107が開く方法は欧州特許第0527976 B1号の教示と一致する。出口穴107を閉鎖するために、ジョー151、152は、供給ヘッド104に作用する圧縮力がなくなるまで、互いから遠ざかるように動く。調剤材料140がリザーバキャビティ102内部でブリッジへと集塊する可能性に対処するために、アクティベータ針130によって供給ヘッドの壁のエラストマー材料を穿通することができる。アクティベータ針130の鋭利な先端131がリザーバ空間102内にあり、他方の端部132がアクティベータ駆動機構(図面には示さず)に連結されている。駆動機構は、供給ヘッド104および調剤材料140に合わせて調整され、円弧形の矢印133によって概略的に示す、任意の種類の動きを生成することができる。
【0026】
本発明による振動運動を第1の出口リップ108に与えることができるように、後者は第1の動作伝達手段110に接続されている。第1の動作伝達手段110は、出口穴107の領域の供給ヘッドの壁の残りの部分と比較して硬度の増加した供給ヘッド104の区域である。この区域は、図1Aの線X−Xによって示される面における供給ヘッド104の断面図を示す図1Bに、より明確に示されている。図1Bには、調剤供給装置150のジョー151、152も明示されており、これらを使用して出口穴107が開閉される。第1の動作伝達手段110上には、ノーズ形の動作伝達部材111が一体に形成されている。後者は駆動機構153に連結されており、その連結部のみを図1Aおよび1Bに示す。駆動機構153は、第1の出口リップ108が第2の出口リップ109に対して長さ方向に動くように、二重矢印によって示す方向に振動運動154を生成する。好ましくはこれらの運動は、出口リップ108、109の密閉と干渉しないように、非常に小さい振幅である。
【0027】
図2Aは、エラストマー材料の供給ヘッド204を直立断面図で示す。図2Bは、同じ供給ヘッド204を下方から見た図で示す。
雌ねじを切ったフランジ206が供給ヘッド204に一体に形成されており、後者をハウジングに連結する単純な手段として働く。供給ヘッド204の内部は、調剤材料のためのリザーバキャビティ202として働く中空の空間として構成されている。さらに、例えばRFIDトランスポンダなどの識別手段261を、供給ヘッド204に埋め込むことができる。もちろん、英数字情報、カラーコード、マトリックスコードまたはバーコードのラベル、刻印262など、他の識別の手段を供給ヘッド204の表面に配置することも可能である。図1Aおよび1Bの第1の実施形態と同様に、供給ヘッド204は、第1の出口リップ208および第2の出口リップ209によって境界形成されるスリット形の出口穴207を有する。第1の出口リップ208に隣接する体積増加領域が、第1の動作伝達手段210を形成する。針形の動作伝達部材211がこの動作伝達手段210に固定されており、後者の硬度を追加的に増加させている。針形の動作伝達部材211の進入点Dの近傍における供給ヘッド204の断面形状は大きい断面2次モーメントを有するので、二重矢印263、264によって示す振動運動が針形の動作伝達部材211の自由端232に作用するとき、点Dは、動作伝達部材211が周りを枢動する回転中心を形成する。これらの振動運動263、264は、図面には示されない駆動機構によって生成される。
【0028】
この実施例による実施形態では、互いに重畳される2つの振動運動263、264が示されており、図2Bに示された1次運動263が第1の出口リップ208を長さ方向に振動させる。第1の出口リップ208の長さ方向のこの1次振動運動263には、出口リップ208の長さ方向および閉鎖方向の両方に垂直な、図2Aに示す2次振動運動264が重畳されている。
【0029】
さらに、リザーバキャビティ内に、粉体のブリッジを排除し、および/または調剤材料を出口穴207へと移動させる助けとなるように作用するアクチュエータ265が配置されている。アクチュエータ265は、リザーバキャビティ内へと延びるワイヤ螺旋として基本的に構成されている。もちろん、金属板の片、棒、フック等、異なる構成のアクチュエータ265を使用することも可能である。アクチュエータ265の形状および設計は、調剤材料の流動性に基本的に依存する。アクチュエータ265の一方の端部は、リザーバキャビティ202内に突出し動作伝達手段210上に一体に形成されたソケット266内に固定されている。したがって、動作伝達手段210の振動運動は、アクチュエータ265にも伝達され得る。
【0030】
図2Aは、出口穴207を覆う取り外し可能なフォイル267をさらに示す。供給ヘッド204がハウジングに連結された後、フォイル267を除去することができる。図2Bは、出口穴207が露出された、すなわちフォイル267が除去された、供給ヘッド204を示す。
【0031】
図3は、調剤供給ユニット300の第3の実施例を立面図で示す。調剤供給ユニットは、溶接フランジ306を備えたエラストマー材料の供給ヘッド304を含む。ポーチ形のハウジング301が、実質的に一体化されたボンディング接続によって溶接フランジ306に連結されている。調剤供給ユニット300は、図面には一部分のみを示す調剤供給装置350上の定位置に設置されている。
【0032】
図2Aの上記の実施例と同様に、図3に示す第3の実施形態も、第1の出口リップ308および第2の出口リップ309によって境界形成されるスリット形状の出口穴307を有する。第1の出口リップ308に近接する体積増加領域が、第1の動作伝達手段310を形成する。第2の動作伝達手段312が、供給ヘッド304の中心長手方向軸に対して鏡面対称に配置されている。第2の動作伝達手段312も同様に、第2の出口リップ309に振動運動を与えるように働き、第1の出口リップ208および第2の出口リップ209の振動運動はそれぞれ、少なくともそれぞれの振幅および/または互いに対して反対する平行方向の動きが、互いに異なっている。
【0033】
針形の動作伝達部材311が、動作伝達手段310、312のそれぞれに埋め込まれ、それにより後者に硬度の増加をもたらす。針形の動作伝達部材311の進入点Dの近傍における供給ヘッド304の断面形状は大きい断面2次モーメントを有するので、図面の平面に直交する方向の振動運動が針形の動作伝達部材311の自由端332にかかるとき、進入点Dは、動作伝達部材311が周りを枢動する回転中心を形成する。これらの振動運動は、調剤供給装置の一部である、2つの概略的に示す駆動機構354、355によって生成される。
【0034】
また、調剤供給ユニット300を保存コンテナとしての使用に適したものにするため、および出口穴307が手動または自動動作の途中に不注意によって開くことをさらに防ぐために、出口穴の上に設けられ、供給ヘッド304の出口リップ308、309を完全に覆う保護キャップ368を追加することができる。図に示すように、保護キャップ368は、調剤供給ユニット300が互換性のある調剤供給装置350の供給ユニット保持器内に設置されるまで、取り外されない。
【0035】
供給ヘッド304と保護キャップ368との間の封止を改善する手段として、封止リング370が、供給ヘッド304のエラストマー壁部分のリザーバキャビティからそれた側に一体に形成されている。この封止リング370の使用は、保護キャップ368を接触圧によって供給ヘッド304上により確実に保持するため、および/または気密に封止するために限定されない。任意で、この封止リング370は、例えばここで示すように縛ったホースなどの接続容器369を固締するために使用することもできる。容器369は、封止リング370が嵌合する溝371を備えたコネクタ領域372を有する。形状嵌合連結によって容器369が供給ヘッド304上に確実に保持され、供給ヘッド304と接続容器369との間のリングの隙間を、調剤材料の流出および周囲環境の汚染を防ぐよう十分に封止することができる。もちろん、保護キャップ368および接続容器369は、図1Aおよび2Aの上述の実施形態と組み合わせて使用することもできる。
【0036】
図4は、汚染保護設計バージョンの本発明による調剤供給ユニット400の一部を断面で示す立面図である。一部分を破断して示す調剤供給ユニット400、より具体的には供給ヘッド404は、図1に示す実施形態と設計レイアウトが同様である。図4には、図3で示した連結式の容器469も含む。供給ヘッド404と調剤材料を互いから分離する手段として、調剤供給ユニット400のリザーバキャビティ402内にホース形のフォイルライナー480が配置され、出口穴407を通って引き出される。ホース形のフォイルの端部483は、供給ヘッド404の封止リング470上で折り返される。端部483は連結式の容器469のコネクタ領域472によって、供給ヘッド404上の定位置に留め付けられる。すべての調剤材料440はホース形のフォイルライナー480の内部にあり、したがって供給ヘッドと接触することはなく、後者は汚染から保護される。
【0037】
第1の出口リップ408の本発明による振動運動がこの出口リップ408を覆うフォイル部分に伝達されるように、出口穴407の領域のフォイル480の各部分が、適切な固締手段481、482によって、第1および第2の出口リップ408、409に取り付け可能でなければならない。図4の実施例では、固締手段は形状ロック連結として構成されており、出口リップ408、409に形成された溝に嵌め込むことができるリブ部分が、フォイルライナーに埋め込まれている。明らかに、この固締方法は、第1の出口リップ408の運動を隣接するフォイル部分に伝達し、それによりホース形のフォイルライナー480が出口穴407を覆っていても供給ヘッド404を確実に機能させるための、多くの可能性の1つを表すに過ぎない。
【0038】
以上、本発明を特定の実施形態の実施例を使用して説明したが、本発明の教示に基づいて、例えば、複数のハウジングを取り付けることができるようにいくつかのコネクタ領域を備えた供給ヘッドなど、多くの他の変形例を作製することができることが明らかである。供給ヘッドは、それぞれの穴の操作に一対のジョーおよび振動運動を出口リップに伝達する動作伝達部材を必要とする、複数の出口穴を有することもできる。上記のすべての実施例の他の可能性として、例えば、バーコード、マトリックスコードおよび/または無線周波数識別手段(RFIDトランスポンダ)などの識別手段など、追加的特徴を供給ヘッドまたはハウジングに組み込むことができる。ハウジングおよび/または供給ヘッドはまた、保護気体を調剤供給ユニットへと注入するための入口コネクタを備えることもでき、またはハウジングおよび/または供給ヘッド内に配置される防湿剤のための室空間を設けることもできる。動作伝達部材の一方を動作伝達要素に、他方を駆動機構に連結する特定の構成および結合連結は、図示された実施例に限定されず、設計者の裁量の範囲内であることは自明であるとみなされる。
【符号の説明】
【0039】
100 調剤供給ユニット
101 ハウジング
102 リザーバキャビティ
103 取り付けリング
104 供給ヘッド
105 開口
106 取り付けフランジ
107 出口穴
108 第1の出口リップ
109 第2の出口リップ
110 第1の動作伝達手段
111 ノーズ形の動作伝達部材
120 調剤材料供給管
130 アクティベータ針
131 鋭利な先端
132 他方の端部
133 円弧形の二重矢印
140 調剤材料
150 調剤供給装置
151 ジョー
152 ジョー
153 駆動機構
154 振動運動
202 リザーバキャビティ
204 供給ヘッド
206 ねじ切りされたフランジ
207 出口穴
208 第1の出口リップ
209 第2の出口リップ
210 第1の動作伝達手段
211 針形の動作伝達部材
232 自由端
261 識別手段
262 ラベルまたは刻印
263 1次振動運動の二重矢印
264 2次振動運動の二重矢印
265 アクチュエータ
266 ソケット
267 取り外し可能なフォイル
300 調剤供給ユニット
301 ハウジング
304 供給ヘッド
306 溶接フランジ
307 出口穴
308 第1の出口リップ
309 第2の出口リップ
310 第1の動作伝達手段
311 針形の動作伝達部材
312 第2の動作伝達手段
332 自由端
350 調剤供給装置
354 駆動機構
355 駆動機構
368 保護キャップ
369 連結式の容器
370 封止リング
371 溝
372 コネクタ領域
400 調剤供給ユニット
402 リザーバキャビティ
404 供給ヘッド
407 出口穴
408 第1の出口リップ
409 第2の出口リップ
469 連結式の容器
470 封止リング
472 コネクタ領域
480 ホース形のフォイルライナー
481 固締手段
482 固締手段
483 ホース形のフォイルライナーの端部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉体または粒体硬度の調剤材料(140、440)のための調剤供給ユニット(100、300、400)であって、ハウジング(101、301)と、前記ハウジング(101、301)内部に形成され、調剤材料(140、440)を受けるように働く、少なくとも1つのリザーバキャビティ(102、202、402)と、エラストマー材料を含む少なくとも1つの供給ヘッド(104、204、304、404)とを備え、前記供給ヘッド(104、204、304、404)が、未変形状態でスリット形であり、第1の出口リップ(108、208、308、408)および第2の出口リップ(109、209、309、409)によって境界形成され、横方向圧縮力を加えることによって可変の幅に開くことができる、出口穴(107、207、307、407)を有する調剤供給ユニットにおいて、構成がさらに、前記第2の出口リップ(109、209、309、409)に対する、前記第2の出口リップの長さ方向の振動運動(154、262、263)を前記第1の出口リップ(108、208、308、408)に与えるように設計された第1の動作伝達手段(110、201、310)を少なくとも含むことを特徴とする調剤供給ユニット。
【請求項2】
前記第1の出口リップ(108、208、308、408)の長さ方向の振動運動(154、263)が、前記長さ方向および前記出口リップ(108、109、208、209、308、309、408、409)の閉鎖方向に直交する、重畳される2次振動運動(264)を伴うことを特徴とする、請求項1に記載の調剤供給ユニット(100、300、400)。
【請求項3】
前記構成がさらに、前記第2の出口リップ(109、209、309、409)に振動運動(154、263、264)を与えるように設計された第2の動作伝達手段(312)を含み、前記第1の出口リップ(108、208、308、408)の振動運動が、少なくとも異なる振幅および/または反対する平行方向であることによって、前記第2の出口リップ(109、209、309、409)の振動運動と区別されることを特徴とする、請求項1または2のいずれか一項に記載の調剤供給ユニット(100、300、400)。
【請求項4】
前記動作伝達手段(110、210、310、312)が、前記供給ヘッド(104、204、304、404)のエラストマー材料の硬度増加区域として構成され、前記硬度増加区域が前記出口リップ(108、109、208、209、308、309、408、409)にそれぞれ隣接し、動作伝達部材(111、211、311)のためのコネクタ領域を含むことを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の調剤供給ユニット(100、300、400)。
【請求項5】
前記動作伝達手段(110、210、310、312)が、動作伝達部材(111)として働くノーズ形の突起を含むことを特徴とする、請求項4に記載の調剤供給ユニット(100、300、400)。
【請求項6】
前記動作伝達手段(110、210、310、312)の駆動機構(153、354、355)と前記動作伝達手段(110、210、310、312)との間の前記動作伝達部材(211、311)が針であることを特徴とする、請求項4に記載の調剤供給ユニット(100、300、400)。
【請求項7】
アクチュエータ(265)が前記リザーバキャビティ(102、202、402)内に配置され、前記動作伝達手段(110、210、310、312)に連結されていることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の調剤供給ユニット(100、300、400)。
【請求項8】
前記アクチュエータ(265)がワイヤ螺旋であることを特徴とする、請求項7に記載の調剤供給ユニット(100、300、400)。
【請求項9】
アクティベータ針(130)が前記供給ヘッド(104、204、304、404)のエラストマー壁を穿通して配置され、前記アクティベータ針(130)の鋭利な先端(131)が前記リザーバキャビティ(102、202、402)内部に配設され、反対側の端部(132)が前記動作伝達手段(110、210、310、312)のアクティベータ駆動機構(153、354、355)またはアクティベータ駆動機構に連結されていることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の調剤供給ユニット(100、300、400)。
【請求項10】
定位置に置かれるとき、前記供給ヘッド(104、204、304、404)の前記出口リップ(108、109、208、209、308、309、408、409)を完全に覆う、保護キャップ(368)が設けられることを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の調剤供給ユニット(100、300、400)。
【請求項11】
封止リング(370、470)が、前記供給ヘッド(104、204、304、404)のエラストマー壁部分の前記リザーバキャビティ(102、202、402)からそれた側に一体に形成されることを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載の調剤供給ユニット(100、300、400)。
【請求項12】
新しい、未使用な状態の前記出口穴(107、207、307、407)が、取り外し可能なフォイル(267)で覆われていることを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載の調剤供給ユニット(100、300、400)。
【請求項13】
前記調剤供給ユニット(100、300、400)が、容器(369、469)を前記リザーバキャビティ(102、202、402)に連結することができるコネクタ領域(106、206)を含むことを特徴とする、請求項1から12のいずれか一項に記載の調剤供給ユニット(100、300、400)。
【請求項14】
前記供給ヘッド(104、204、304、404)が、容器(369、469)のための前記出口穴(107、207、307、407)を取り囲むコネクタ領域(372、472)を含むことを特徴とする、請求項1から13のいずれか一項に記載の調剤供給ユニット(100、300、400)。
【請求項15】
前記供給ヘッド(104、204、304、404)の表面が被覆で覆われていることを特徴とする、請求項1から14のいずれか一項に記載の調剤供給ユニット(100、300、400)。
【請求項16】
ホース形のフォイルライニング(480)が前記リザーバキャビティ(102、202、402)内に置かれ、前記出口穴(107、207、307、407)を通っており、前記出口リップ(108、109、208、209、308、309、408、409)の前記振動運動(154、263、264)を前記出口リップ(108、109、208、209、308、309、408、409)にそれぞれ連結されている前記フォイル部分に伝達することができるように、前記ホース形のフォイルライニング(480)の各部分を、前記出口穴(107、207、307、407)の領域で、前記第1の出口リップ(108、208、308、408)および前記第2の出口リップ(109、209、309、409)に機械的に取り付け可能であることを特徴とする、請求項1から15のいずれか一項に記載の調剤供給ユニット(100、300、400)。
【請求項17】
請求項1から16のいずれか一項に記載の少なくとも1つの調剤供給ユニット(100、300、400)を備えた調剤供給装置(150、350)。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−115660(P2012−115660A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−251477(P2011−251477)
【出願日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【出願人】(599082218)メトラー−トレド アクチェンゲゼルシャフト (130)
【住所又は居所原語表記】Im Langacher, 8606 Greifensee, Switzerland
【Fターム(参考)】