説明

粉体または粒状体を内蔵する編組状ロープおよび製造方法

【課題】 編組状ロープに内蔵する粉体または粒状体等の内容物が当該ロープ内で流動することを抑制し得る編組状ロープを提供するとともに、その製造方法を提供する。
【解決手段】 編組状ロープ1の長手方向に沿って連続する芯材2を編組状ロープの中心付近に配置してなり、芯材と編組状ロープを構成する編組繊維ヤーンとの間に粉体または粒状体3を封入してなる。製造方法は、予め粉体または粒状体の供給部5の下方に編成機4を配置するとともに、供給部および編成機を貫通しつつ上下方向に連続する芯材を配置し、編成機により芯材の周辺に編組繊維ヤーン11を編成するとともに、編組繊維ヤーンが編成される位置に供給部から粉体または粒状体を供給し、編組繊維ヤーンが編組される速度に応じて芯材を下降させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、編組状ロープおよびその製造方法に関し、特に、内部に粉体または粒状体を封入してなる編組状ロープおよび製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、編組状ロープの内部に粉体または粒状体を充填したものには、水質浄化のために、貝殻を粉砕した粒状体を編組状ロープのコアとして充填したもの(特許文献1)、および、草花類の植生用として、草花の種子を混入した培養土等を充填したもの(特許文献2)があった。
【0003】
これらの従来技術は、合成樹脂または生分解性樹脂の繊維ヤーンにより筒状に編組したロープに貝殻または培養土を充填したものであって、上記繊維ヤーンを複数本使用して編組すると同時に、筒状内部に貝殻または培養土を充填することにより製造されるものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−137777号公報
【特許文献2】特開平10−136774号公報
【特許文献3】特公平3−47814号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような編組状ロープを製造するための方法は、本願の出願人において開発された編組状浮子ロープの製造方法(特許文献3)において、未発泡の生ビーズを編組状ロープ内に充填するための方法として開示されるものと同様であるが、この編組状浮子ロープの製造方法の場合は、編組状ロープ内に充填された生ビーズは、その後熱処理によって発泡され、当該編組状ロープ内において膨張することから、発泡体の一部が編組状ロープを構成する繊維ヤーンの編み目に侵入することとなり、これにより発泡体が安定した状態でロープに内蔵されるものであった。
【0006】
ところが、上記従来技術は、編組状ロープの内部に貝殻または培養土を充填するという工程で終了するため、充填した貝殻または培養土は、編組状ロープを構成する繊維ヤーンに絡まず、当該ロープ内において流動可能な状態となることから、編組状ロープを湾曲または折曲させるときには、湾曲部または折曲部の内部断面積が減少することに伴って、その周辺に内容物(貝殻または培養土)が移動することとなっていた。また、上記編組状ロープを製造する際、編組されたロープ部分を引っ張ることによって所定速度による送りを実現するものであるが、上記ロープ部分の引っ張りには、内容物(貝殻または培養土)が充填された部分をロール状に巻き取ることとなり、当該巻き取り時に編組状ロープを湾曲せざるを得ず、上記のように、湾曲による編組状ロープの変形が内容物(貝殻または培養土)移動を誘発することとなっていた。
【0007】
本発明は、上記諸点にかんがみてなされたものであって、その目的とするところは、編組状ロープに内蔵する粉体または粒状体等の内容物が当該ロープ内で流動することを抑制し得る編組状ロープを提供するとともに、その製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで、粉体または粒状体を内蔵する編組状ロープにかかる本発明は、内部に粉体または粒状体を封入してなる編組状ロープであって、上記編組状ロープの長手方向に沿って連続する芯材を該編組状ロープの中心付近に配置してなり、該芯材と上記編組状ロープを構成する編組繊維ヤーンとの間に粉体または粒状体を封入してなることを特徴とする。
【0009】
上記構成により、編組状ロープに内蔵される粉体または粒状体は、当該編組状ロープを形成する編組繊維ヤーンの内側に封入されることとなるが、この編組繊維ヤーンの内側(すなわち編組状ロープの内部)には芯材が存在することから、当該編組状ロープは粉体または粒状体と同時に芯材を内蔵することとなる。その結果、粉体または粒状体は、編成された編組繊維ヤーンと芯材との間で構成される中空円筒状の空間部分に存在し、両者の摩擦抵抗により、流動が制限されることとなる。特に、従来のように、編組繊維を筒状に編成した内部に粉体または粒状体を充填した状態では、編組状ロープの中心付近の粉体または粒状体が最も流動性が高く、粉体または粒状体の移動の原因であったが、芯材の存在により、上記流動性を低下させることができる。
【0010】
また、粉体または粒状体を内蔵する編組状ロープにかかる本発明は、内部に粉体または粒状体を封入してなる編組状ロープであって、表面に凹凸を有する連続した芯材を上記編組状ロープの長手方向に沿って該編組状ロープの中心付近に配置してなり、該芯材と上記編組状ロープを構成する編組繊維ヤーンとの間に粉体または粒状体を封入してなることを特徴とする。
【0011】
上記構成により、編組繊維ヤーンを編成してなる編組状ロープの内側表面は凹凸を有して構成されるから、内部に充填される粉体または粒状体は、編組繊維ヤーンに接触する部分において流動性が低下し、さらに、芯材の凹凸によって当該芯材に接触する部分における粉体または粒状体の流動性を低下させることができる。また、編組状ロープを湾曲等させるとき、外皮として存在する編組繊維ヤーン編成部と、内部に存在する芯材との間で粉体または粒状体が圧縮されることから、摩擦抵抗が一層大きくなり、断面積が縮小するとしても粉体または粒状体が容易に移動できないこととなる。
【0012】
上記料発明においては、前記芯材として、連続方向に所定間隔で結び目が構成されてなる芯材を使用することができる。これにより、芯材の一つの結び目から次の結び目の間において粉体または粒状体が封入されることとなり、粉体または粒状体の移動可能範囲を限定的なものとすることができる。
【0013】
また、前記芯材として、螺旋状のループを有する組紐コードを使用することができる。この場合、中心的な組紐コードから突出するループが螺旋状に配置されるため、粉体または粒状体が編組状ロープの長手方向に移動することを制限することができる。なお、螺旋状ループに沿って移動できるようにも思えるが、現実に編組状ロープ内において芯材の回りを螺旋方向に移動することが困難である。
【0014】
粉体または粒状体を内蔵する編組状ロープの製造方法にかかる本発明は、上記いずれかの編組状ロープを製造する方法であって、予め粉体または粒状体の供給部の下方に編成機を配置するとともに、該供給部および編成機を貫通しつつ上下方向に連続する芯材を配置し、上記編成機により上記芯材の周辺に編組繊維ヤーンを編成するとともに、該編組繊維ヤーンが編成される位置に上記供給部から粉体または粒状体を供給し、上記編組繊維ヤーンが編組される速度に応じて上記芯材を下降させることを特徴とする。
【0015】
上記構成により、編組繊維ヤーンが編成されて編組状ロープを形成すると同時に粉体または粒状体が封入され、さらに芯材も中心付近に配置されたロープを得ることができる。ここで、芯材は各種構成のものを変更して使用することができ、また、芯材が粉体または粒状体の供給部を貫通して配置されることから、供給部から下降して編組状ロープに侵入する芯材の一部は、供給部内で粉体または粒状体を編組状ロープに搬入させることとなる。
【発明の効果】
【0016】
粉体または粒状体を内蔵する編組状ロープにかかる本発明によれば、移動しやすい編組状ロープの中心付近に芯材が存在するため、編組状ロープに内蔵する粉体または粒状体等の内容物が当該ロープ内で流動することを抑制し得る。さらに、芯材に結び目を設ける構成によれば、流動できる範囲が限定されることから、上記ロープ内での内容物の流動を一層効率よく抑制できる。また、螺旋状のループを有する芯材で構成すれば、ロープの長手方向に移動する内容物を抑制できる。
【0017】
また、編組状ロープの製造方法にかかる本発明によれば、上記効果を有する編組状ロープを製造し得る。特に、芯材が内容物の供給部を貫通して配置され、かつ下降する構成であるから、供給部に投入された内容物は、芯材の下降に伴ってロープ内に供給されることとなり、内容物の均一な供給を可能にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】(a)は、本発明の実施形態を示す説明図であり、(b)はIB−IB断面図である。
【図2】編組状ロープの湾曲状態を示す説明図である。
【図3】編組状ロープの製造方法を示す説明図である。
【図4】編組状ロープの第二の実施形態を示す説明図である。
【図5】編組状ロープの第三の実施形態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。第一の実施形態は、図1に示すように、編組状ロープ1の内部に芯材2が配置され、両者1,2の中間に存在する間隙部に粉体または粒状体(以下、粉体等と略称する)3が封入された構成となっている。なお、以下の説明中、編組状ロープ1とは、外皮を構成する大径のロープ部分を意味し、この編組状ロープ1の内部に配置される芯材2および封入等3を含む全体については、編組状ロープ全体と表示する。また、図1(b)において、粉体または粒状体3を円形に描いているが、封入すべき材料により形状が異なり得るものである。
【0020】
本実施形態は、図1(a)に示しているように、芯材2として組紐コードが使用されている。この組紐コードは、複数の撚糸を編成してなるものであり、各撚糸の表面は比較的摩擦係数が高く、また、撚糸の編み目により組紐コード表面に凹凸が形成されている。このように、芯材2の表面に凹凸が形成されることにより、この芯材2の表面に接する粉体等3は、その表面を自由に移動(摺動)することができず、粉体等3の流動化が抑えられる。もう少し詳細に説明すると、撚糸に接する粉体等3は、当該撚糸の摩擦抵抗によって移動(摺動)が抑えられとともに、組紐コード表面の凹部に位置する粉体等3の集合体は、撚糸に接触しない位置においても移動(摺動)が抑えられることとなる。
【0021】
他方、外皮を構成する編組状ロープ1の内側表面には、当該編組状ロープ1の外側表面と同様の編み目が形成されることから、当該内側表面には編組繊維ヤーンが凹凸を形成するように存在している。従って、当該編組状ロープの内側表面に接する粉体等3は、上記編組繊維ヤーンの編み目による凹凸によって移動(摺動)が抑制されることとなる。なお、この編組繊維ヤーンの摩擦係数によっては、上記編み目の凹凸による移動(摺動)抑制のほかに、摩擦抵抗による移動(摺動)が抑えられ得るものである。
【0022】
そこで、上記編組状ロープ1と芯材2の中間に粉体等3が封入されることにより(図1(b))、編組状ロープ全体Rは、粉体等3を外部および内部の両方で規制しているのである。つまり、編組状ロープ1の中空内部に封入される粉体等3のうち、編組状ロープ全体Rの中心付近のものは、当該中心付近に配置される芯材2によって流動化が抑えられ、また、編組状ロープ1に近いものは、編組状ロープ1の存在によって流動化が抑えられることとなる。従って、流動容易な範囲は、せいぜい両者1,2から適当に離れた範囲に位置する粉体等3に限定されることとなる。
【0023】
上記のような構成により、粉体等3の一部が流動可能であることから、編組状ロープ全体Rが適度な柔軟性を有することができるとともに、粉体等3の過剰な流動を抑制して粉体等3が部分的に異なる密度となることを防止することとなる。また、長手方向への流動を抑制することにより、編組状ロープ全体Rが湾曲する状態において、当該湾曲部分の断面積の減少を抑えることができる。
【0024】
この点について、図2に示すように、編組状ロープ全体Rが湾曲するためには、湾曲部の編組状ロープ1は、外周部と内周部の長さが異ならなければならず、芯材2が編組状ロープ全体Rの中心に位置することにより、内周部は収縮(現実的には長手方向からの圧縮により皺を生じて縮小)することとなり、外周部は膨張(現実的には編み目を広げるようにして拡張)することとなる(図2(a)参照)。その結果、断面積に大きな変化を生じさせず、粉体等3の密度変化を抑制することとなる。また、湾曲の状態によっては、図2(b)に示すように、芯材2が編組状ロープ1の内部を内周側に移動することがある。このような場合においても、芯材2が粉体等3を圧縮しつつ移動することとなるから、その移動を小さくすることができる。いずれの状態においても、芯材2を配置しない空洞の編組状ロープ1に粉体等3を単に封入しただけの従来例と比較すれば、中心付近の粉体等3が自由に流動できる従来例よりも格段に優れている。
【0025】
次に、上記構成の編組状ロープ(編組状ロープ全体R)の製造方法にかかる実施形態について説明する。図2に示すように、編組状ロープ1は編成機4によって編成され、その編成途中に粉体等3が封入されるものである。編成機4は、モータMの駆動力を複数のギアGによってボビンB1,B2・・・が設置されるホルダH1,H2・・・を移動させる構成であり、ホルダH1,H2・・・は回転および走行を繰り返すことにより、編組繊維ヤーン11を編成できるようになっている。なお、ホルダH1,H2・・・は、テーブルTに設けられる走行溝41に沿って移動し、その移動軌跡に応じて編成されるロープの種類が異なるものとなる。
【0026】
ここで、編成される編組状ロープ1は、編成機4の上部において編組繊維ヤーン11が編み込まれ、編成された部分が下方に送られるようになっており、当該編成直後の上部開口部分から粉体等3が流入される。そのため、粉体等3は、編成機4の上方に設置されるホッパ5に蓄えられており、下部供給口51から編組状ロープ1に流下されることとなる。編組状ロープ1の内部に配置される芯材2は、連続する長尺なものが用意され、編成される編組状ロープ1の内部に挿入される。つまり、連続する長尺な芯材2は、編成機4およびホッパ5を貫通するように配置され、編成機4による編組状ロープ1の編成は、芯材2の周辺において実施される。また、編組状ロープ1の編成が進むにつれて編組状ロープを下降させるのであるが、この下降量(送り量)に応じて芯材2も下降される。そして、ホッパ5の内部を通過して編組状ロープ1に到達する芯材2は、ホッパ5の内部に蓄えられる粉体等3を付着しながら下降することとなり、当該芯材3は粉体等3の供給コンベアとしての機能を発揮することとなる。これにより、粉体等3の封入量を一定にすることができる。
【0027】
なお、編成された編組状ロープ1の下降は、芯材2をロール6によって巻き取ることにより行われる。これにより、編組状ロープ1に外部から圧縮されるような外力が作用しなくなり、巻き取り作業時に粉体等3が移動することを抑えることができる。なお、芯材2を巻き取ることにより、当該芯材2および編組状ロープ1を所定の送り量に相当する距離を移動させることになるが、芯材2に強力な引っ張り力を与えるものではなく、編成後の編組状ロープの取り出しに必要な送り搬送と、芯材2のホッパ5から編成機4への供給に必要な送り搬送のための引っ張り力程度である。また、先頭に位置する芯材2を巻き取った後は、編組状ロープ全体Rを巻き取ることとなるが、この場合においても編組状ロープ1のみによって引っ張られるのではなく、先頭の芯材2に連続する後続の芯材2による引っ張り力も十分に作用するものである。
【0028】
次に、編組状ロープ(編組状ロープ全体)の第二の実施形態について説明する。本実施形態は、図4に示すように、編組状ロープ101は第一の実施形態と同様に編組繊維ヤーンを編成してなり、芯材102は、本体部分である組紐コード121からループ122が突出するように設けられたものを使用している。図4(a)に示しているように、上記芯材102を編組状ロープ101の内部に配置することは、第一に実施形態と同様である。このループ122は、組紐コード121を構成する撚糸の一部を編成時に引き出しつつ編成機によって編み込んで構成されるものである。従って、本来は螺旋方向に編み込まれる撚糸の一部が引き出されているため、当該ループ122の撚糸で囲まれた仮想平面は、組紐コード121の長手方向に対して略螺旋状に形成される。
【0029】
このように、螺旋状のループ122が組紐コード121から突出する芯材102を編組状ロープ101の内部に配置することにより、図4(b)に示しているように、芯材102の本体部分である組紐コード121は、編組状ロープ101の中央付近に配置されることとなり、また、ループ122は、編組状ロープ101の内部表面に接するか、または、接近して配置されることとなる。従って、組紐コード121と編組状ロープ101の内部表面との中間に粉体等103を封入する場合には、当該粉体等103は、上記ループ122によって編組状ロープ101の長手方向への移動が制限されることとなる。
【0030】
特に、組紐コード121の表面に接する粉体等103および編組状ロープ101の内部表面に存在する編組繊維ヤーンに接する粉体等103は、それぞれの摩擦抵抗および凹凸によって移動が制限されることとなる(第一の実施形態と同様である)が、これらの中間層については、流動性が緩和されているものであった。この流動性の緩和は、編組状ロープ101の湾曲を容易にするために重要であるが、封入すべき粉体等103の流動性によっては、その流動を一層抑制する必要がある。そのために、上記のように組紐コード121から突出するループ122が上記中間層に存在することにより、粉体等103の流動を制限することができる。なお、ループ122を有する組紐コード121は、組紐コード121を構成する撚糸の一部を引き出して構成するため、ループ122は通常の撚糸を使用することも可能であるが、ループ122の形状を強固にするために、撚糸に代えて樹脂製の糸を使用して形成することも可能である。この場合、ループ122による粉体等103の流動抑制効果は、撚糸を使用した芯材102に比較して強力となり得る。
【0031】
なお、上記構成の第二の実施形態を製造する方法は、既に説明した製造方法の実施形態と同様である。従って、芯材102はホッパ5(図3)を貫通して編成機4(図3)に供給されることから、本実施形態の芯材102のループ122が粉体等103を掻き出すように作用することとなり、ループ122によって掻き出された適量の粉体等103が編組状ロープ101に封入されることとなる。
【0032】
次に、編組状ロープ(編組状ロープ全体)の第三の実施形態について説明する。本実施形態は、図5に示すように、編組状ロープ201は第一の実施形態と同様に編組繊維ヤーンを編成してなり、芯材202は、当該芯材202を適当な位置で結んで構成された結び目211を有するものを使用している。なお、結び目211を有する芯材202は、図5(a)に示しているように、編組状ロープ201の内部に配置するものであり、これは、第一に実施形態と同様である。
【0033】
ここで、使用される芯材202は、撚糸を編成してなる組紐コードのようなものを使用してもよいが、本実施形態では、樹脂製の糸を使用している。このような素材の変更は、封入する粉体等の流動性によって決定すればよい。すなわち、図5(b)に示しているように、芯材202は、編組状ロープ201の内部に配置されるとき、結び目211の最も膨らんだ部分が、編組状ロープ201の内部表面に当接するか、接近することとなる。そして、図示のように、この結び目211は適当な間隔を有して断続的に存在することから、一つの結び目211から隣に位置する次の結び目211までの中間には、ある程度のまとまった空間部分が形成されることとなり、この空間部分に粉体等203が充填されることによって、粉体等203の流動は制限されることとなる。このとき、上記空間部においてのみ粉体等203の流動が許容されることから、粉体等203の停留状態は安定することとなる。さらに、粉体等203の流動を制限する必要がある場合には、芯材203の素材を組紐コードに変更すれば、上記空間部分の内部においても流動を制限できることから、一層の安定化を図ることができる。
【0034】
本実施形態の製造方法に関しても既に説明した方法によることとなる。従って、当該芯材202がホッパ5(図3)を通過する際、一つの結び目211から次順位の結び目211までの間に粉体等203を保持するように作用し、適量の粉体等203を保持されつつホッパ5から編組状ロープ201に供給されることとなるから、編組状ロープ全体Rにおける粉体等203の密度をほぼ一定にすることができるのである。
【0035】
本発明の実施形態は上記のとおりであるが、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の態様をとることは可能である。例えば、第一の実施形態では、組紐コードを芯材2として使用したが、これは、表面の摩擦抵抗を考慮するものであり、封入すべき粉体等3の流動性によっては摩擦抵抗の少ない素材(例えば、樹脂製の紐体)を使用することができる。また、摩擦抵抗を調整するために、芯材2の表面に設ける凹凸の大小を変化させてもよく、場合によっては、接着材または粘着材を塗布することにより、芯材2の表面に付着する粉体等3を固着しつつ、当該固着された粉体等3によって凹凸を形成させることも可能である。いずれにしても、実施形態において説明した態様に限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明は、封入する粉体等の性質によって、水質浄化用ロープとすることができるほか、培養土等を封入してロープ状培地とすることもできる。さらに、肥料を封入することにより、植物育成用の肥料供給用ロープを構成することができる。
【符号の説明】
【0037】
1,101,201 編組状ロープ(外皮)
2,102,202 芯材
3,103,203 粉体または粒状体
4 編成機
5 ホッパ
6 巻き取りローラ
11 編組繊維ヤーン
41 走行溝
51 下部供給口
121 組紐コード
122 ループ
211 結び目
B ボビン
G ギア
H ホルダ
M モータ
T テーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に粉体または粒状体を封入してなる編組状ロープであって、上記編組状ロープの長手方向に沿って連続する芯材を該編組状ロープの中心付近に配置してなり、該芯材と上記編組状ロープを構成する編組繊維ヤーンとの間に粉体または粒状体を封入してなることを特徴とする粉体または粒状体を内蔵する編組状ロープ。
【請求項2】
内部に粉体または粒状体を封入してなる編組状ロープであって、表面に凹凸を有する連続した芯材を上記編組状ロープの長手方向に沿って該編組状ロープの中心付近に配置してなり、該芯材と上記編組状ロープを構成する編組繊維ヤーンとの間に粉体または粒状体を封入してなることを特徴とする粉体または粒状体を内蔵する編組状ロープ。
【請求項3】
前記芯材は、連続方向に所定間隔で結び目が構成されてなる芯材である請求項1または2記載の粉体または粒状体を内蔵する編組状ロープ。
【請求項4】
前記芯材は、螺旋状のループを有する組紐コードである請求項1ないし3のいずれか1項に記載の粉体または粒状体を内蔵する編組状ロープ。
【請求項5】
前記1ないし4のいずれか1項に記載の編組状ロープを製造する方法であって、予め粉体または粒状体の供給部の下方に編成機を配置するとともに、該供給部および編成機を貫通しつつ上下方向に連続する芯材を配置し、上記編成機により上記芯材の周辺に編組繊維ヤーンを編成するとともに、該編組繊維ヤーンが編成される位置に上記供給部から粉体または粒状体を供給し、上記編組繊維ヤーンが編組される速度に応じて上記芯材を下降させることを特徴とする粉体または粒状体を内蔵する編組状ロープの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−12370(P2011−12370A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−160014(P2009−160014)
【出願日】平成21年7月6日(2009.7.6)
【出願人】(000109369)ティビーアール株式会社 (3)
【Fターム(参考)】