説明

粉体コンテナの排出口開閉装置

【課題】粉体コンテナの排出口の開閉弁に昇降体を下方から嵌合させ昇降開閉する排出口開閉装置において、粉体が、開閉弁と昇降体の嵌合部や排出口部分などに付着残留するのを除き、粉体コンテナを排出場所から搬送する際の落粉の問題を除く。
【解決手段】排出口開閉装置(2)が、粉体コンテナ(4)の排出口(6)の内側に設けられた中空円錐状の開閉弁(8)と、円錐状外面を有する昇降体(10)を開閉弁(8)に接離自在に嵌合させ開閉弁(8)を昇降させ開閉する弁開閉手段(12)と、嵌合した開閉弁(8)と昇降体(10)を離す際に開閉弁(8)に向けて昇降体(10)から洗浄空気を噴射させる洗浄手段(14)を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉体コンテナの排出口の開閉弁を、排出口の外側下方から昇降体を嵌合させ開閉する粉体コンテナの排出口開閉装置に関する。
【背景技術】
【0002】
粉体を収容し排出場所に搬送したコンテナの、排出口の内側に設けた中空円錐状の開閉弁を、排出口の外側の下方から円錐状の昇降体を嵌合させ昇降させて開閉する粉体コンテナの排出口開閉装置がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平2−233390号公報(図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の粉体コンテナの排出口開閉装置には、次のとおりの改善の望まれている課題がある。
【0005】
すなわち、開閉弁の円錐状内面に昇降体の円錐状外面を嵌合させ開閉弁を開閉し粉体を排出した後に、昇降体を下げて開閉弁との嵌合を外す際、開閉弁と昇降体の嵌合部や周辺に排出した粉体や粉塵などが付着し残留しやすい。
【0006】
したがって、この開閉弁や排出口の部分に付着残留した粉体が、粉体コンテナを排出場所からクレーンなどによって吊上げ搬送する際に落下し、排出場所や搬送経路を汚す問題、また周囲の環境を悪化させる問題がある。
【0007】
本発明は上記事実に鑑みてなされたもので、その主たる技術的課題は、粉体コンテナの排出口の中空円錐状の開閉弁に円錐状外面を有する昇降体を下方から嵌合させ昇降開閉する排出口開閉装置において、粉体が、開閉弁と昇降体の嵌合部や排出口部分などに付着残留するのを除き、粉体コンテナを排出場所から搬送する際に、粉体が落下して排出場所や搬送経路を汚す問題、また周囲の環境を悪化させる問題を除くことである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による記技術的課題を解決する粉体コンテナの排出口開閉装置は、粉体コンテナの排出口の内側に設けられ、底面を開放した中空円錐状に形成され、底面の周縁を排出口に接離させ排出口を開閉する開閉弁と、円錐状外面を有する昇降体を排出口の外側から開閉弁の円錐状内面に接離自在に嵌合させ開閉弁を昇降させ開閉する弁開閉手段と、嵌合した開閉弁と昇降体を離す際に開閉弁の円錐状内面に向けて昇降体から洗浄空気を噴射させる洗浄手段と、を備えている。
【0009】
好適には、洗浄手段は、円錐状の昇降体の内周面に形成され圧力空気源に連結された環状空気室と、昇降体の円錐状外面に開口し環状空気室に連結した複数個の噴射ノズルと、を備えている。
【0010】
そして、昇降体は、円錐状本体の外側に被せた弾性層を備えている。また、噴射ノズルは、円錐状本体に立設され環状空気室に連通するとともに弾性層を貫通した中空雄ねじと、中空雄ねじに螺合し弾性層を押圧固定するナットと、を備えている。
【発明の効果】
【0011】
本発明に従って構成された粉体コンテナの排出口開閉装置は、粉体コンテナの排出口の内側に設けられた中空円錐状に形成され底面の周縁を排出口に接離させ排出口を開閉する開閉弁と、円錐状外面を有する昇降体を排出口の外側から開閉弁の円錐状内面に接離自在に嵌合させ開閉弁を昇降させ開閉する弁開閉手段と、嵌合した開閉弁と昇降体を離す際に開閉弁の円錐状内面に向けて昇降体から洗浄空気を噴射させる洗浄手段を備えている。
【0012】
したがって、本発明に係る粉体コンテナの排出口開閉装置は、嵌合した開閉弁と昇降体を離す際に開閉弁の円錐状内面に向けて昇降体から洗浄空気を噴射させる洗浄手段を備えているので、開閉弁と昇降体の嵌合部や排出口部分などへの粉体の付着残留を除くことができ、粉体コンテナを排出場所から離脱させ搬送する際に、付着粉体が落下し、排出場所や搬送経路を汚す問題、また周囲の環境を悪化させる問題を除くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に従って構成された粉体コンテナの排出口開閉装置を、開閉弁と弁開閉手段を分離状態で示した側面図。
【図2】図1の開閉弁と弁開閉手段を嵌合状態で示した側面図。
【図3】図2の嵌合状態の開閉弁と弁開閉手段の部分拡大断面図。
【図4】図1の洗浄手段の洗浄作用の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に従って構成された粉体コンテナの排出口開閉装置について、好適実施形態を図示している添付図面を参照してさらに詳細に説明する。なお、添付図面は、図面が煩雑になるのを避けるために一部の断面ハッチングが省略されている。
【0015】
図1および図2を参照して説明する。番号2で示す粉体コンテナの排出口開閉装置は、粉体コンテナ4の排出口6の内側に設けられ、底面を開放した中空円錐状に形成され、底面の周縁を排出口6に接離させ排出口6を開閉する開閉弁8と、円錐状外面を有する昇降体10を排出口6の外側から開閉弁8の円錐状内面に接離自在に嵌合させ開閉弁8を昇降させ(矢印Z1、Z2)開閉する弁開閉手段12と、嵌合した開閉弁8と昇降体10(図2)を離す際に開閉弁8の円錐状内面に向けて昇降体10から洗浄空気を噴射させる洗浄手段14を備えている。
【0016】
粉体コンテナ4は、粉体Hを収容し開閉弁8を有した下部の排出口6から排出する容器で、粉体投入口を有した筒状の本体4aと、本体4aから下方に伸び先端に排出口6が形成された漏斗状部4bと、本体4aおよび漏斗状部4bの周囲に取付けられた複数個の脚フレーム4cを備えている。粉体コンテナ4のこの脚フレーム4cが粉体の排出場所16に載置される(図2)。
【0017】
開閉弁8は、底面を開放した中空円錐状にステンレス鋼によって形成された弁本体8aと、弁本体8aの底面の周縁に取付けられ漏斗状部4bの排出口6に接離する環状シール8bを備えている。環状シール8bは合成ゴムによって楕円断面に成形され、弁本体8aに一体に設けられたシールフレーム8c内に取付けられている。
【0018】
粉体の排出場所16は、粉体コンテナ4を載置したときに、粉体コンテナ4の排出口6が収まる上方に拡がった漏斗状の粉体の投入口18を備えている。投入口18の中央に昇降体10を有した弁開閉手段12が備えられている。
【0019】
弁開閉手段12は、昇降体10を上下動させるベローズ式の昇降駆動体20と、昇降体10と開閉弁8の嵌合した状態を解除自在に保持するクランプシール22と、クランプシール22および昇降駆動体20を覆う伸縮自在な防塵カバー24を備えている。
【0020】
昇降駆動体20は、圧力空気の給排によって矢印Z1で示す上方とZ2で示す下方の上下方向に伸縮する周知のベローズを備えたものである。昇降駆動体20には、排出場所16に備えた圧力空気源26の圧力空気が制御器28によって給排される。
【0021】
主として図3を参照して説明する。昇降体10は、ステンレス鋼製の円錐状本体10aと、その外側に被せた弾性層10bと、弾性層10bの外側に被せた合成ゴム製のカバー10cを備えている。弾性層10bはポリウレタンのような合成樹脂を発泡成形した多孔質のスポンジである。
【0022】
円錐状本体10aの頂点である先端には、開閉弁8に昇降体10を嵌合させるときに開閉弁8に先に接触し嵌合の衝撃を緩和する緩衝体10dを備えている。緩衝体10dは、合成樹脂、ばねなどの適宜の材料によって形成することができる。
【0023】
クランプシール22は合成ゴムにより断面中空の環状チューブ状に形成され、開閉弁8の環状シール8bのシールフレーム8cに対向した位置に配置されている。このクランプシール22には、圧力空気源26の圧力空気が制御器28によって給排され、昇降体10を開閉弁8に嵌合させた状態(図3)で圧力空気を供給すると拡張し、開閉弁8の環状シール8bを粉体コンテナ4の排出口6に押圧し開閉弁8と昇降体10を一体に保持する。クランプシール22から圧力空気を抜くとこの押圧状態は解除される。
【0024】
図1〜図3を参照して弁開閉手段12による開閉弁8の開閉手順について説明する。
(1)図1に示すように、排出場所16の昇降体10をZ2の下方に降ろしクランプシール22の圧力空気を抜いた状態にする。
(2)図1に示すように、この排出場所16の上方に粉体コンテナ4を位置付け、図2に示すように降ろして排出場所16に載置する。
(3)図2、図3に示すように、圧力空気源26の圧力空気を制御器28によりクランプシール22に供給し拡張させ開閉弁8と昇降体10を一体に保持する。
(4)この保持状態で弁開閉手段12の昇降駆動体20を伸張させ昇降体10をZ1方向に上昇させると、開閉弁8は矢印Z1方向に上昇し(図2に二点鎖線で示す)排出口6を開放し、粉体コンテナ4内の粉体Hは排出場所16の投入口18に排出される。
(5)粉体Hの排出を止めるには、昇降駆動体20を制御器28により収縮させ昇降体10を開閉弁8とともに矢印Z2方向に下降させ、排出口6を閉じる。
【0025】
次に洗浄手段14について、図1〜図3主として図3を参照して説明する。洗浄手段14は、円錐状の昇降体10の内周面に形成され圧力空気源26に制御弁28を介して連結された環状空気室14aと、昇降体10の円錐状外面に開口し環状空気室14aに連結した複数個の噴射ノズル14bを備えている(実施例では周方向に等間隔で6個)。
【0026】
噴射ノズル14bは、昇降体10の円錐状本体10aに立設され環状空気室14aに連通するとともに弾性層10bを貫通した中空雄ねじ14cと、中空雄ねじ14cに螺合し弾性層10bおよびカバー10cを円錐状本体10aに押圧固定するナット14dを備えている。
【0027】
洗浄手段14の洗浄作用について図3とともに図4を参照して説明する。
(1)図3に示すクランプシール22の圧力空気を抜いて図4に示すように収縮させ、嵌合した開閉弁8と昇降体10を離す際に、圧力空気源26の圧力空気を環状空気室14に制御器28によって供給する。
(2)図4に示すように、供給された圧力空気は噴射ノズル14bから開閉弁8と昇降体10の隙間Sに噴射され、この隙間S部分に残留付着する、特に昇降体10を下降させ開閉弁8と昇降体10を離す際に投入口18の側から吸込まれる粉体は、下方の排出場所16の投入口18に洗い流される。
【0028】
上述したとおりの粉体コンテナの排出口開閉装置2の作用効果について説明する。
【0029】
本発明に従って構成された粉体コンテナの排出口開閉装置2は、粉体コンテナ4の排出口6の内側に設けられた中空円錐状に形成され底面の周縁を排出口6に接離させ排出口6を開閉する開閉弁8と、円錐状外面を有する昇降体10を排出口6の外側から開閉弁8の円錐状内面に接離自在に嵌合させ開閉弁8を昇降させ開閉する弁開閉手段12と、嵌合した開閉弁8と昇降体10を離す際に開閉弁8の円錐状内面に向けて昇降体10から洗浄空気を噴射させる洗浄手段14を備えている。
【0030】
したがって、排出口開閉装置2は、嵌合した開閉弁8と昇降体10を離す際に開閉弁8の円錐状内面に向けて昇降体10から洗浄空気を噴射させる洗浄手段14を備えているので、開閉弁8と昇降体10の嵌合部や排出口部分などへの粉体の付着残留を除くことができ、粉体コンテナ4を排出場所16から離脱させ搬送する際に、付着粉体が落下し、排出場所16や搬送経路を汚す問題、また周囲の環境を悪化させる問題を除くことができる。
【0031】
洗浄手段14は、円錐状の昇降体10の内周面に形成され圧力空気源26に連結された環状空気室14aと、昇降体10の円錐状外面に開口し環状空気室14aに連結した複数個の噴射ノズル14bを備えている。
【0032】
したがって、環状空気室14aを備えることにより、簡単な構造で効率よく開閉弁8の内面および昇降体10の外面を洗浄することができる。
【0033】
昇降体10は、円錐状本体10aの外側に被せた弾性層10bを備えている。また、噴射ノズル14bは、円錐状本体10aに立設され環状空気室14aに連通するとともに弾性層10bを貫通した中空雄ねじ14cと、中空雄ねじ14cに螺合し弾性層を押圧固定するナット14dを備えている。
【0034】
したがって、弾性層10bによって開閉弁8と昇降体10との嵌合時の衝撃を吸収し開閉弁8をスムーズに正確に開けることができる。また噴射ノズル14は空気を噴射する機能の他に昇降体10の弾性層10bを確実に機械的に固定し押さえることができる。
【0035】
以上、本発明を実施例に基づいて詳細に説明したが、本発明は上記の実施例に限定されるものではなく、例えば下記のように、本発明の範囲内においてさまざまな変形あるいは修正ができるものである。
【0036】
洗浄手段14については、嵌合した開閉弁8と昇降体10を離す際に開閉弁8の円錐状内面に向けて昇降体10から洗浄空気を噴射させる例を説明したが、圧力空気の制御器28にシーケンスコントローラを用意してこの手順を開閉弁8の開閉に関連させて自動制御するようにしてもよい。
【0037】
洗浄手段14は、昇降体10に6個の噴射ノズル14bを備えているが、噴射ノズルの個数、配置は排出口開閉装置2の大きさ、形状、扱う粉体の性状などによって適宜に変えればよい。また、噴射ノズルは複数の噴射口を形成する網状のものでもよい。
【符号の説明】
【0038】
2:排出口開閉装置
4:粉体コンテナ
6:排出口
8:開閉弁
10:昇降体
10a:円錐状本体
10b:弾性層
12:弁開閉手段
14:洗浄手段
14a:環状空気室
14b:噴射ノズル
14c:中空雄ねじ
14d:ナット
18:投入口
26:圧力空気源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉体コンテナの排出口の内側に設けられ、底面を開放した中空円錐状に形成され、底面の周縁を排出口に接離させ排出口を開閉する開閉弁と、
円錐状外面を有する昇降体を排出口の外側から開閉弁の円錐状内面に接離自在に嵌合させ開閉弁を昇降させ開閉する弁開閉手段と、
嵌合した開閉弁と昇降体を離す際に開閉弁の円錐状内面に向けて昇降体から洗浄空気を噴射させる洗浄手段と、を備えている、
ことを特徴とする粉体コンテナの排出口開閉装置。
【請求項2】
洗浄手段が、
円錐状の昇降体の内周面に形成され圧力空気源に連結された環状空気室と、
昇降体の円錐状外面に開口し環状空気室に連結した複数個の噴射ノズルと、を備えている、
ことを特徴とする請求項1記載の粉体コンテナの排出口開閉装置。
【請求項3】
昇降体が、
円錐状本体の外側に被せた弾性層を備えている、
ことを特徴とする請求項1または2記載の粉体コンテナの排出口開閉装置。
【請求項4】
噴射ノズルが、
円錐状本体に立設され環状空気室に連通するとともに弾性層を貫通した中空雄ねじと、
中空雄ねじに螺合し弾性層を押圧固定するナットと、を備えている、
ことを特徴とする請求項3記載の粉体コンテナの排出口開閉装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−35594(P2013−35594A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−175701(P2011−175701)
【出願日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【出願人】(591147786)赤武エンジニアリング株式会社 (27)
【Fターム(参考)】