説明

粉体供給装置

【課題】 粉体の凝集を防止し、または、凝集した粉体を元の粒子状にほぐし、粉体を粒子の状態で安定して供給することができる粉体供給装置を提供する。
【解決手段】 粉体Pを収容するホッパー2の底部2bにエアーノズル3を設け、ホッパー2の上部2cに排出口2dを設ける。エアーノズル3に圧縮空気を供給するコンプレッサー4を設け、エアーノズル3から噴出される圧縮空気によって、粉体Pがホッパー2内を旋回し、撹拌されながら排出口2dから排出されるように、エアーノズル3を配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉体塗料、静電荷像現像トナー、磁性材料、高分子材料などの粉体を供給するための粉体供給装置に関し、特に、凝集しやすい粉体を粒子の状態で安定して供給するための粉体供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
粉体塗装は、従来の溶剤型塗装、水性型塗装と比較して、無溶剤、無廃液であること、塗料回収が容易でリサイクル性が良好であること、また工程が簡易であることなど多くの利点を有している。このため、特に地球環境保全に対応する塗装技術として注目されている。
【0003】
粉体塗装(静電粉体塗装)に用いられる粉体塗料は、取り扱いやすさを考慮して平均粒径が30〜40μmのものが一般的に用いられている。しかし、この塗料で形成された塗膜の平滑性は、溶剤塗装に比較してかなり劣ってしまう。このため、自動車ボディの上塗り塗装やスチール家具など、平滑性の優れた美装塗膜を要求される塗装では、粉体塗装は広く採用されるに至っていない。
【0004】
これに対し、塗膜の平滑性を向上させるには、塗料の微粒子化が有効であると考えられている。平均粒径を25μm以下、特に15μm以下とした場合には、平滑性の向上に加え、塗膜の薄膜化が可能となり、部品加工精度の維持や塗装コストの低減も可能となる。
【0005】
しかし、粉体塗料は粒径が小さくなるとファンデルワールス力や静電気力の影響を強く受け、付着力が増大し、その結果粉体塗料同士で凝集してしまう。
【0006】
一方、従来から使用されている粉体供給装置の多くは、塗料容器(ホッパー)の下側に塗料の排出口が設けられているため、自重で粉体塗料が圧迫されて凝集し、さらにはブロッキングしてしまう(塊状に固まってしまう)。また、凝集やブロッキングしてしまった塗料を元の粒子状にほぐす機構も設けられていない。その結果、塗料が排出口などで目詰まりし、塗装ガンへの安定した供給が困難となる。また、塗装ガンへ供給され、塗装できたとしても、塊状の塗料を被塗装物に付着させてしまうため、所望の平滑性を有する塗膜を安定して形成することができない。
【0007】
このような塗料の凝集などを防止するために、例えば、塗料容器内で粉体塗料を流動させる粉体供給装置が知られている(例えば、特許文献1、2参照。)。この粉体供給装置は、塗料容器内の下部に設けられた多孔質板によって、上方の流動室と下方のエアー室とに区分され、エアー室に流動用エアーの供給孔が設けられ、流動室に粉体の噴出し口と流動用エアーの排気孔とが設けられた構造となっている。そして、流動用エアーの供給孔からエアー室にエアーを供給し、このエアーを多孔質板を経て流動室内に供給することによって、流動室内の粉体塗料を流動させるものである。
【0008】
また、バイブレータを設置して多孔質板を振動させ、凝集した塗料をほぐそうとする装置も知られている(例えば、特許文献3参照。)。
【特許文献1】特開2002−273275号公報
【特許文献2】特開2002−113409号公報
【特許文献3】特開平05−015815号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、特許文献1、2のような粉体供給装置では、粉体塗料の粒径が極めて小さい場合、あるいは粉体塗料の比重が大きい場合には、多孔質板の上面に粉体塗料が溜まってしまい、多孔質板を抜けたエアーが粉体塗料を流動させることなく孔の周囲の粉体塗料のみを押し退けて粉体塗料層を突き抜けてしまい、粉体塗料が流動し難くなり、塗装ガンへの安定した供給が困難となる。また、特許文献3のような装置では、平均粒径15μm以下の超微粒子に対しては、凝集した塗料をほぐすという効果が得られない。
【0010】
そこで本発明は、粉体の凝集を防止し、または、凝集した粉体を元の粒子状にほぐし、粉体を粒子の状態で安定して供給することができる粉体供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明は、塗装ガンなどに粒子状の粉体を供給する粉体供給装置であって、粉体を収容するホッパーの底部にエアーノズルが設けられ、ホッパーの上部に排出口が設けられ、エアーノズルに圧縮空気を供給する圧縮空気源が設けられ、エアーノズルから噴出される圧縮空気によって、粉体がホッパー内を旋回し、撹拌されながら排出口から排出されるように、エアーノズルが配置されていることを特徴としている。
【0012】
また、ホッパーの胴部を略円筒形とし、このホッパーの底部と上部とを胴部の中心軸とほぼ同軸の略円錐形とし、上部の略円錐形の頂部に排出口を形成し、圧縮空気によって粉体が胴部の中心軸回りに旋回するようにエアーノズルを配置してもよい。
【0013】
また、排出口の大きさを可変としてもよい。
【0014】
また、ホッパーの内壁に、凝集した粉体をほぐす粉砕突起を設けてもよい。
【0015】
また、ホッパーに振動を与え、粉体を撹拌する振動撹拌手段を設けてもよい。
【0016】
また、粉体を貯蔵する貯蔵タンクを設け、この貯蔵タンクからホッパーに粉体を搬送する搬送手段を設け、ホッパーの排出口からの粉体排出量に応じて、貯蔵タンクからの粉体搬送量を制御する搬送制御手段を設けてもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、ホッパーの底部(エアーノズル)から上部(排出口)に向かって、粉体がホッパー内を旋回し、撹拌されながら排出されるため、自重や静電気力などによる粉体の凝集が抑制される。また、凝集したとしても、旋回、撹拌に伴う粉体同士の衝突、あるいはホッパー内壁への衝突によって、凝集した粉体が元の粒子状にほぐされる。このため粉体が凝集した状態、あるいはブロッキングした状態で排出されることが抑制され、粉体が粒子の状態で安定して排出、供給される。
【0018】
この結果例えば、粉体が粉体塗料である場合、平均粒径が15μm以下の微粒子を粉体塗料として使用することができるようになり、平滑性に優れた美装塗膜が可能となる。さらに、塗膜の薄膜化が可能となり、部品加工精度の維持や塗装コストの低減も可能となる。
【0019】
また、ホッパーの胴部を略円筒形とし、このホッパーの底部と上部とを略円錐形とし、上部の略円錐形の頂部に排出口を形成して、粉体が胴部の中心軸回りに旋回するようにエアーノズル配置することで、塊状の(凝集した)粉体が遠心力によってホッパー内の外周側に寄り、中心に位置する排出口から排出し難くなる。一方、粒子状の粉体は遠心力によってホッパー内の中心側に寄り、排出口から排出しやすくなる。この結果、凝集した粉体の排出(供給)が抑制され、粒子状の粉体を安定して排出、供給できる。
【0020】
また、排出口の大きさを可変とすることで、所望の粒径以下の粉体のみを排出させることができる。
【0021】
また、更にホッパーの内壁に粉砕突起を増設することで、凝集した粉体がこの粉砕突起に衝突し、元の粒子状にほぐされやすくなる。
【0022】
また、ホッパーに振動を与え、粉体を撹拌する振動撹拌手段を設けることで、ホッパーの底部に溜まる粉体の積層高さが均一化し、エアーノズルからの圧縮空気を受ける粉体量が一定に保たれる。この結果、旋回し、撹拌される粉体量が一定となり、安定した排出(供給)が維持される。
【0023】
また、貯蔵タンクからホッパーに粉体を搬送する搬送手段を設けることで、粉体の排出(供給)を連続的に行うことができ、かつ、ホッパーの排出口からの粉体排出量に応じて、貯蔵タンクからの粉体搬送量を制御する搬送制御手段を設けることで、ホッパー内の粉体量を常に適正にし、粉体の旋回、撹拌を良好に維持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明を図示の実施形態に基づいて説明する。
【0025】
図1は、本実施形態に係る粉体供給装置1の概略構成図であり、粉体Pを収容するホッパー2の底部2bにエアーノズル3が設けられ、ホッパー2の上部2cに排出口2dが設けられている。そして、エアーノズル3から噴出される圧縮空気によって、粉体Pがホッパー2内を旋回し、撹拌されながら排出口2dから塗装ガン10に供給されるものである。なお、本実施形態では、粉体Pは粉体塗装に用いられる粉体塗料である。
【0026】
ホッパー2はアルミニウム製またはポリプロピレンなどの樹脂製で、その内壁は鏡面仕上げなどの処理を施し、粉体Pが付着しにくい状態である。その胴部2aが円筒形で、底部2bと上部2cとが、胴部2aの中心軸と同軸で底円が胴部2aと同径の略円錐形となっている。このホッパー2の底部2bに、本実施形態では2つのエアーノズル3が、ホッパー2の中心軸より均等な距離で、かつ対向する位置に、互いにねじれる方向に2本のエアーノズル3がホッパー2の内側に向かって配置されている。そして、コンプレッサー(圧縮空気源)4からの圧縮空気がエアーノズル3から噴出されことによって、ホッパー2内の空気が加圧されながら旋回するために、ホッパー2内の粉体Pが胴部2aの中心軸回りに旋回し、撹拌されながら排出口2dに向かうように配置されている。
【0027】
また、ホッパー2の底部2bが略円錐形であり、その底部2bにエアーノズル3が配置されていることによって、エアーによる加圧と併せて旋回する粉体を上昇させる方向に導いている。
【0028】
また、ホッパー2の胴部2aの内壁に、複数の三角柱(粉砕突起)5を配置してもよく、後述するように、この三角柱5によって凝集した粉体P2をほぐすようになっている。なお、本実施形態では、三角柱5を粉砕突起としているが、これに限らず、凝集した粉体P2を効果的にほぐせる形状であればよく、その配置位置や数等も任意であるが、その表面は衝突した粉体Pが付着しにくい仕上げとなっていることが望ましい。
【0029】
ホッパー2の排出口2dは、上部2c(略円錐形)の頂部に形成されており、この排出口2dの口径(大きさ)は、口径伸縮機構(図示せず)などによって調節(可変)できるようになっている。すなわち、胴部2aの内径に対する排出口2dの口径によって、排出口2dから排出される粉体Pの粒度(粒径)が異なるため、排出させたい粉体Pの粒度に応じて、排出口2dの口径を調節できるようになっている。例えば、胴部2aの内径が100mmの場合、排出口2dの口径(内径)は3〜30mm程度とすることが望ましい。
【0030】
なお、排出口2dの口径は、胴部2aの中心軸に対してほぼ均等に伸縮することが望ましい。伸縮方法として、カメラの絞りのように径を伸縮させる方法や、必要な粉体Pの粒度に応じて複数の排出口用の部品を用意し、適宜交換する方法など、様々な方法をとり得る。
【0031】
この排出口2dには排出管6が接続され、この排出管6の下流端6aに、エアー流路管7を取り付けてもよく、その場合、エアー流路管7と粉体流路管8とが接続されている。排出管6の下流端6aとエアー流路管7の下流端7aとは、図示のように、断面が絞られており、コンプレッサー4からの圧縮空気がエアー流路管7を通過すると、この下流端7aで流速(動圧)が増し、排出管6の下流端6aでの静圧が下がって負圧となる。そしてこの負圧によって、排出管6から粉体Pが排出されやすいようになっている。
【0032】
粉体流路管8の下流端には塗装ガン10が取り付けられ、コンプレッサー4からの圧縮空気によって、粉体流路管8内を流れてきた粉体Pが、塗装ガン10から吐出されるようになっている。
【0033】
また、粉体Pが塗装ガン10から所望の流量で安定して吐出されるように、エアー流路管7に供給する圧縮空気量は、エアーノズル3から噴出される圧縮空気量に応じて調節(制御)されるようになっている。さらに、粉体Pの吐出量を安定させるために、排出管6に粉体流量計9を取り付けてもよく、これにより安定な粉体Pの吐出が可能となる。すなわち、この粉体流量計9によって粉体Pの排出量を測定し、その測定値と予め設定された設定値との差を算出し、その差をなくすように、エアーノズル3およびエアー流路管7に供給する圧縮空気量を制御するものである。また、塗装ガン10に供給する圧縮空気量を調節することによって、塗装ガン10から吐出される粉体量が調節される。
【0034】
なお、図中符号11は、エアーノズル3、エアー流路管7および塗装ガン10に、コンプレッサー4からの圧縮空気を送るためのエアーホースである。
【0035】
ところで、本実施形態に係わる粉体Pとしての粉体塗料は、次のようにして製造されたものである。すなわち、原料である結着樹脂、添加剤および顔料をボールミル、ヘンシェンミキサー、スーパーミキサーなどの混合機で混合し、熱ロール、エクスクルーダ、コニーダなどの混錬機で溶融混錬して、得られた混合物をペレットに成形する。次に、このペレットをアトマイザーなどの粉砕機で粗粉砕し、ジェットミルなどの粉砕機により、所望の粒径の収率を考慮した条件で粉砕する。そして、この粉体をエルボージェットやTSPセパレータなどの流体分級機により、所望の粒径に分級することによって、粉体塗料が得られる。そして、粉体塗装粉の際には、摩擦やコロナ放電によって粉体塗料を一定の極性に帯電し、接地した被塗装物の表面に静電付着させるものである。
【0036】
次に、このような構成の粉体供給装置1の動作について説明する。
【0037】
まず、ホッパー2内に粉体Pが収容された状態で、コンプレッサー4からエアーノズル3に圧縮空気を供給する。すると、エアーノズル3から噴出された圧縮空気によって、粉体Pがホッパー2の中心軸回りに旋回し、撹拌される。この旋回、撹拌によって、自重や静電気力などによる粉体Pの凝集、ブロッキングが抑制されるとともに、凝集したとしても、凝集した粉体P2が元の粒子状の粉体P1にほぐされる。すなわち、旋回、撹拌に伴う粉体P同士の衝突、あるいは凝集した粉体P2の三角柱5への衝突によって、粒子状の粉体P1にほぐされる。
【0038】
さらに、圧縮空気によって加圧されたホッパー2内で、粉体Pが旋回しながらホッパー2の上方に向かい、唯一の出口である排出口2dから排出される。この際、凝集した粉体P2は遠心力によってホッパー2内の外周側に寄り、粒子状の粉体P1は遠心力によってホッパー2内の中心側に寄る。このため、凝集した粉体P2は排出口2dから排出し難くなり、粒子状の粉体P1は排出口2dから排出しやすくなる。さらに、上記のように、排出させたい粉体Pの粒径(粒度)に応じて、排出口2dの口径が調節されているため、所望の粒径以下の粉体Pのみが排出される。
【0039】
そして、排出口2dから排出された粉体P(粒子状の粉体P1)は排出管6を通過し、上記のように、加圧されたホッパー2の気圧によって粉体流路管8内を塗装ガン10側に送られる。そして、塗装ガン10に供給される圧縮空気によって、粉体Pが塗装ガン10から吐出され、被塗装物の表面に粉体Pが静電付着する。その後、付着した粉体塗料層を約120〜250℃で5〜30分間程度焼成して加熱溶融することで、粉体塗料層が塗膜として形成される。
【0040】
以上のように、粉体Pが凝集した粉体P2として排出されることがなく、このため、凝集した粉体P2によって排出口2dや粉体流路管8などが目詰まりすることもないため、粒子状の粉体P1が安定して塗装ガン10に供給(排出)される。特に、平均粒径が15μm以下の微粒子を粉体塗料として使用した場合でも、微粒子の状態で塗装ガン10に供給できるため、平滑性に優れた美装塗膜が可能となる。さらに、塗膜の薄膜化が可能となり、部品加工精度の維持や塗装コストの低減も可能となる。
【0041】
また、被塗装物が大きく、連続的な塗装が必要な場合、従来の粉体供給装置では、凝集した粉体がブロッキングして塊となってしまい、安定的な粉体の供給が損なわれていた。
【0042】
しかし、本実施形態に係わる粉体供給装置1では、上記のように、粉体Pが凝集したとしても、凝集した粉体P2が三角柱5に衝突し、元の粒子状の粉体P1にほぐされるため、粒子状の粉体P1が安定して供給される。
【0043】
ところで、粉体Pを長時間連続的に供給する場合、図2に示すように、ホッパー2に貯蔵タンク12を接続してもよい。
【0044】
すなわち、粉体を貯蔵する貯蔵タンク12とホッパー2とを、スクリュコンベヤ(搬送手段)13によって接続し、貯蔵タンク12からホッパー2にスクリュコンベヤ13を介して粉体Pを搬送する。そして、搬送制御手段によって、ホッパー2の排出口2dからの粉体排出量に応じて、貯蔵タンク12からの粉体搬送量を制御するものである。この場合、スクリュコンベヤ13から粉体Pと空気が逆流しないように、スクリュコンベヤ13内の圧力がホッパー2内の気圧より高くなるように制御を行う。
【0045】
この搬送制御手段としては、例えば、スクリュコンベヤ13に粉体流量計を取り付け、この流量計による流量と、排出管6に取り付けられた粉体流量計9による流量とが同じになるように、スクリュコンベヤ13の回転速度を制御することが挙げられる。
【0046】
また、予め、エアーノズル3からの圧縮空気量、噴出時間などの作動条件と、ホッパー排出口2dからの粉体排出量との関係データを採取し、この関係データに基づいて、作動中におけるホッパー2からの粉体排出量を算出する。そして、この算出排出量と同量の粉体Pを貯蔵タンク12からホッパー2に補充するように、スクリュコンベヤ13を制御してもよい。さらに、スクリュコンベヤ13から送られてくる粉体Pを、圧縮空気を噴出するエアーノズル3とコンプレッサ4の配管途中へ供給してもよい。
【0047】
このような制御により、ホッパー2内の粉体量が常に所定量となり、粉体Pの旋回、撹拌が良好に維持される。この結果、粒子状の粉体P1の安定した供給が維持される。また、このような制御を行う場合、ホッパー2内に粉体Pを貯めておく必要はなく、貯蔵タンク12から搬送された粉体Pを順次、この粉体供給装置1によって旋回、撹拌しながら排出(供給)するようにしてもよい。
【0048】
また、ホッパー2に振動を与え、ホッパー2内の粉体Pを撹拌する振動撹拌手段(図示せず)を設けてもよい。これにより、ホッパー2の底部2bに溜まる粉体Pの積層高さが均一化し、エアーノズル3からの圧縮空気を受ける粉体量が一定に保たれる。この結果、旋回し、撹拌される粉体量が一定となり、さらに安定した排出(供給)が維持される。
【0049】
次に、本実施形態に係わる粉体供給装置1などを用いて、塗装ガン10から吐出された粉体Pの粒径などを測定した結果について説明する。
【0050】
図3は、塗装ガン10からの吐出安定性と吐出される粉体Pの平均粒径とについて、本実施形態に係わる粉体供給装置1(本願装置)と従来の装置とを比較した結果を示したものである。なお、粉体Pの素材としての平均粒径は、5μmである。
【0051】
図3に示すように、従来の装置では吐出時の平均粒径が9μmであり、粉体Pが凝集して吐出されているのに対し、本願装置では平均粒径が5μmであり、粉体Pが凝集せずに元の粒径で吐出されていることがわかる。すなわち、本願装置では、粉体Pが凝集せず、または、凝集してもほぐされて、元の粒子の状態で塗装ガン10に供給されることが確認された。また、吐出安定性についても、従来の装置では粉体Pの吐出量がやや不足し、断続的な吐出であるに対し、本願装置では連続的に安定して粉体Pが吐出され、本願装置の方が吐出安定性についても優れている。このように、本願装置は従来の装置に比べて、粉体Pを元の粒子の状態で安定して供給できることが確認された。
【0052】
ところで、本実施形態では、粉体Pが粉体塗料の場合について説明したが、これに限らず、ショットブラストに使用される金属粉やビーズなど様々な粉体に、本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の実施形態に係る粉体供給装置の概略構成図。
【図2】本発明の実施形態に係る粉体供給装置であって、貯蔵タンクと搬送手段とを有する場合の概略構成図。
【図3】吐出安定性と吐出時の平均粒径とについて、本発明の実施形態に係わる粉体供給装置と従来の装置とを比較した結果を示す図。
【符号の説明】
【0054】
1 粉体供給装置
2 ホッパー
2a 胴部
2b 底部
2c 上部
2d 排出口
3 エアーノズル
4 コンプレッサー(圧縮空気源)
5 三角柱(粉砕突起)
6 排出管
7 エアー流路管
8 粉体流路管
9 粉体流量計
10 塗装ガン
12 貯蔵タンク
13 スクリュコンベヤ(搬送手段)
P 粉体(粉体塗料)
P1 粒子状の粉体
P2 凝集した粉体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
塗装ガンなどに粒子状の粉体を供給する粉体供給装置であって、
粉体を収容するホッパーの底部にエアーノズルが設けられ、前記ホッパーの上部に排出口が設けられ、前記エアーノズルに圧縮空気を供給する圧縮空気源が設けられ、前記エアーノズルから噴出される圧縮空気によって、前記粉体が前記ホッパー内を旋回し、撹拌されながら前記排出口から排出されるように、前記エアーノズルが配置されている、
ことを特徴とする粉体供給装置。
【請求項2】
前記ホッパーの胴部を略円筒形とし、このホッパーの底部と上部とを前記胴部の中心軸とほぼ同軸の略円錐形とし、前記上部の略円錐形の頂部に前記排出口を形成し、前記圧縮空気によって前記粉体が前記胴部の中心軸回りに旋回するように前記エアーノズルを配置した、
ことを特徴とする請求項1に記載の粉体供給装置。
【請求項3】
前記排出口の大きさを可変とした、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の粉体供給装置。
【請求項4】
前記ホッパーの内壁に、凝集した粉体をほぐす粉砕突起を設けた、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の粉体供給装置。
【請求項5】
前記ホッパーに振動を与え、前記粉体を撹拌する振動撹拌手段を設けた、
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の粉体供給装置。
【請求項6】
粉体を貯蔵する貯蔵タンクを設け、この貯蔵タンクから前記ホッパーに前記粉体を搬送する搬送手段を設け、前記ホッパーの排出口からの粉体排出量に応じて、前記貯蔵タンクからの粉体搬送量を制御する搬送制御手段を設けた、
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の粉体供給装置。
【請求項7】
前記粉体が粉体塗料である、
ことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の粉体供給装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−7003(P2006−7003A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−183885(P2004−183885)
【出願日】平成16年6月22日(2004.6.22)
【出願人】(000004662)キヤノンセミコンダクターエクィップメント株式会社 (7)
【Fターム(参考)】