粉体供給装置
【課題】供給能力を向上させることができながら、粉体のブリッジや固着等が生じ易くなるのが防止された粉体供給装置とする。
【解決手段】粉体を貯留するホッパ部1と、このホッパ部1内の粉体が落ち入る上室部2と、この上室部2内の粉体が落ち入る下室部3と、この下室部3内の粉体を切り出す切出し手段4と、が備えられた粉体供給装置であって、上室部2は、横長状で、かつ長手方向中央部に粉体排出口2Bが形成されており、この粉体排出口2Bを挟んだ一方側及び他方側に、上室部2内の粉体を粉体排出口2Bまで移動する粉体移動手段が、それぞれ設けられている。
【解決手段】粉体を貯留するホッパ部1と、このホッパ部1内の粉体が落ち入る上室部2と、この上室部2内の粉体が落ち入る下室部3と、この下室部3内の粉体を切り出す切出し手段4と、が備えられた粉体供給装置であって、上室部2は、横長状で、かつ長手方向中央部に粉体排出口2Bが形成されており、この粉体排出口2Bを挟んだ一方側及び他方側に、上室部2内の粉体を粉体排出口2Bまで移動する粉体移動手段が、それぞれ設けられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉体供給装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の粉体供給装置は、例えば、圧縮空気等が流れている輸送管内に、ベントナイト、セメント、混合セメント、粘土鉱物、セメント系固化材、石灰系固化材、中性固化材、セメント混和材、コンクリート混和材、鉄粉、石炭灰等の粉体を供給する際に、一般的には、粒径200mm未満の粉体を供給する際に用いられる。したがって、この種の粉体供給装置は、輸送管内に粉体を定量供給できることのほか、輸送管内の圧縮空気等が粉体供給装置内を逆流しないことが求められる。
【0003】
そこで、従来から、粉体を貯留するホッパ部と、このホッパ部内の粉体が落ち入る上室部と、この上室部内の粉体が落ち入る下室部と、この下室部内の粉体を切り出すフィーダと、が備わる粉体供給装置が提案されている(例えば、特許文献1等参照。)。この粉体供給装置には、ホッパ部と上室部とを仕切る弁体、及び上室部と下室部とを仕切る弁体が備えられており、これらの弁体を開閉操作することによって、粉体の逆流を防止する構成とされている。しかしながら、この従来の粉体供給装置は、ホッパ部内や上室部内において粉体のブリッジや固着等が生じる問題を有していた。
【0004】
そこで、本出願人は、ホッパ部や上室部の周壁を上端部から下端部にかけて内径が先細くなる略円錐形状にするとともに、当該周壁に沿うスクリュー手段を設けた粉体供給装置を提案した(特許文献2参照。)。この提案によって粉体のブリッジや固着等の問題は大幅に改善された。しかしながら、近年では、粉体供給装置の供給能力(吐出能力)向上が求められるようになっており、例えば、従来100kg/分程度の吐出能力で十分であるとされていたのが、300kg/分程度の吐出能力まで求められるようになっている。
【0005】
そこで、ホッパ部や上室部の容積を増やして吐出能力の向上を図ることも考えられるが、単に容積を増やすのでは、次のような問題が生じる。
まず、ホッパ部や上室部の容積を増やすために当該ホッパ部や上室部の高さを高くすると粉体供給装置全体の高さも高くなるため、ホッパ部内に粉体を投入するために使用するサイロの高さも高くする必要が生じる。しかるに、サイロが所定の高さ(例えば、8m。)を超えると、別途、行政上の届け出等が必要になり、施工期間等に影響が生じる可能性がある。
【0006】
そこで、ホッパ部や上室部の高さを高くすることなく、平面方向(水平方向)の広さを広くすることも考えられるが、平面方向の広さを広くすると、ホッパ部や上室部の周壁の傾斜が緩やかになってしまうため、粉体のブリッジや固着等が生じ易くなる。なお、この粉体のブリッジや固着等の問題は、下室部よりもホッパ部や上室部において生じ易く、特に上室部において生じ易いとされる。下室部においては粉体が連続的に切り出されるが、ホッパ部及び上室部においては粉体が一時的に留まるためブリッジや固着等が生じ易くなるものと考えられ、特に上室部においては粉体が留まった状態で加圧されるためブリッジや固着等が生じ易くなるものと考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−255787号公報
【特許文献2】特開2007−22578号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の主たる課題は、供給能力を向上させることができながら、粉体のブリッジや固着等が生じ易くなるのが防止された粉体供給装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この課題を解決した本発明は、次の通りである。
〔請求項1記載の発明〕
粉体を貯留するホッパ部と、このホッパ部内の粉体が落ち入る上室部と、この上室部内の粉体が落ち入る下室部と、この下室部内の粉体を切り出す切出し手段と、が備えられた粉体供給装置であって、
前記上室部は、横長状で、かつ長手方向中央部に粉体排出口が形成されており、
この粉体排出口を挟んだ一方側及び他方側に、前記上室部内の粉体を前記粉体排出口まで移動する粉体移動手段が、それぞれ設けられている、
ことを特徴とする粉体供給装置。
【0010】
(主な作用効果)
上室部を横長状とすることによって、高さを高くすることなく容積を増やすことができ、供給能力を向上させることができる。また、長手方向中央部に粉体排出口を形成し、この粉体排出口を挟んだ一方側及び他方側に、上室部内の粉体を当該粉体排出口まで移動する粉体移動手段をそれぞれ設けることによって、粉体のブリッジや固着等が生じ易くなるのを防止することができる。
【0011】
〔請求項2記載の発明〕
前記上室部が横長円筒状とされ、
前記移動手段が前記上室部の軸心回りに回転する掻き寄せ羽根で構成され、
前記上室部の長手方向中央部に上方へ突出する筒状体が設けられ、この筒状体が前記上室部の粉体供給口を構成し、
前記筒状体内に前記ホッパ部と前記上室部とを仕切る上側弁装置が、前記下室部内に前記上室部と前記下室部とを仕切る下側弁装置が、それぞれ設けられている、
請求項1記載の粉体供給装置。
【0012】
(主な作用効果)
上室部を横長円筒状とし、移動手段を上室部の軸心回りに回転する掻き寄せ羽根で構成すると、極めて簡易な構成でありながら上室部内の粉体を粉体排出口まで確実に移動することができる。また、上室部の長手方向中央部に上方へ突出する筒状体を設け、この筒状体が上室部の粉体供給口を構成するものとし、当該筒状部内にホッパ部と上室部とを仕切る上側弁装置を設け、下室部内に上室部と下室部とを仕切る下側弁装置を設けると、粉体排出口上にまで掻き寄せ羽根を位置させることができるようになる。結果、粉体を粉体排出口まで確実に移動することができるようになり、粉体の排出が確実に行われるようになる。
【0013】
〔請求項3記載の発明〕
前記上側弁装置は、前記上室部の粉体供給口を閉じる上側皿部材と、この上側皿部材の下方に設けられ、かつ前記粉体供給口を横切る方向に延在する回動軸と、を有し、前記回動軸の回動に伴って前記上側皿部材が当該回動軸回りに回動して前記上室部の粉体供給口が開く構成とされ、
前記回動軸は、前記上側皿部材が前記上室部の粉体供給口を閉じた状態において、軸方向中央部が上方に偏在している、
請求項2記載の粉体供給装置。
【0014】
(主な作用効果)
ホッパ部と上室部とを仕切る上側弁装置がバタフライ弁によって構成されていると、上室部内が加圧されている状態において停電等が発生した際に、当該バタフライ弁が開いてしまう可能性がある。しかるに、上側弁装置が上室部の粉体供給口を閉じる上側皿部材と、この上側皿部材の下方に設けられた回動軸とで構成されていると、上側皿部材にかかる圧力が回動軸を中心とする回動力に変換される可能性がないため、上室部内が加圧されている状態において停電等が発生しても上側皿部材が開いてしまう可能性がない。なお、バタフライ弁は、通常、エアで制御されており、停電、故障等の際にエアが抜けると、弁の制御圧が低下して弁が開いてしまう。
一方、回動軸が粉体供給口を横切る方向に延在すると、上側皿部材が上室部の粉体供給口を開いた際に、当該回動軸上に粉体が積ってしまうため、粉体のブリッジや固着等が生じる可能性がある。しかるに、上側皿部材が上室部の粉体供給口を閉じた状態において、回動軸の軸方向中央部が上方に偏在していると、上側皿部材が上室部の粉体供給口を開いた状態においては、当該軸方向中央部が横方向に偏在した状態となる。したがって、回動軸上に粉体が積らなくなり、粉体のブリッジや固着等が生じるのが防止される。
【0015】
〔請求項4記載の発明〕
前記下側弁装置は、前記下室部の粉体供給口を閉じる下側皿部材と、上下方向に伸縮し、かつ軸回りに回動する伸縮回動軸と、を有し、前記伸縮回動軸の伸張に伴って前記下側皿部材が下方に移動して前記下室部の粉体供給口を開き、前記伸縮回動軸の回動に伴って前記下側皿部材が当該伸縮回動軸回りに回動して前記下室部の粉体供給口の直下から外れる構成とされている、
請求項2又は請求項3記載の粉体供給装置。
【0016】
(作用効果)
伸縮回動軸の伸張に伴って下側皿部材が下方に移動して下室部の粉体供給口が開く構成とされていると、上室部内が加圧されていない状態においては、粉体供給口を閉じる下側皿部材に対して下方から上方へ大きな圧力がかかることになり、伸縮回動軸の伸張が行われ難くなる。したがって、上室部内が加圧されていない状態における意図しない弁の開放が防止される。また、伸縮回動軸の回動に伴って下側皿部材が当該伸縮回動軸回りに回動して下室部の粉体供給口の直下から外れる構成とされていると、下側皿部材上に粉体が積もらないため、粉体のブリッジや固着等が生じ難くなる。
【0017】
〔請求項5記載の発明〕
前記筒状体の周壁に、前記上室部内の空気を排出する排気口が設けられている、
請求項1〜4のいずれか1項に記載の粉体供給装置。
【0018】
(作用効果)
筒状体の周壁に上室部内の空気を排出する排気口が設けられていると、仮に上室部内に粉体が残っていたとしても、当該粉体が排気に伴って排出され難くなる。したがって、排気口に連結されるバグフィルタ等の除塵装置の負荷が軽減される。また、筒状体は上側弁装置の収納に利用されるものであり、排気口を設けるにあたって別途設けるものではないため、装置構成が簡易化される。
【発明の効果】
【0019】
本発明によると、供給能力を向上させることができながら、粉体のブリッジや固着等が生じ易くなるのが防止された粉体供給装置となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】粉体供給装置の正面図である。
【図2】粉体供給装置の側面図である。
【図3】ホッパ部、上室部、下室部及び切出し手段の概要図である。
【図4】上室部内の概要図である。
【図5】上室部の模式平面図である。
【図6】上側弁装置の模式配置図(図5のVI−VI線矢視図)である。
【図7】上側弁装置の模式配置図(図5のVII−VII線矢視図)である。
【図8】上側弁装置の回動時の説明図である。
【図9】筒状体を中心とする圧気構成、排気構成及び上側弁装置(開)の説明図である。
【図10】下側弁装置の模式配置図である。
【図11】下側弁装置の移動及び回動時の説明図である(側面視)。
【図12】下側弁装置の移動及び回動時の説明図である(平面視)。
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に、本発明の実施の形態を説明する。
本形態の粉体供給装置は、図1〜3に示すように、サイロ等の貯留槽から投入口1Aを通してベントナイト等の粉体が投入(供給)されるホッパ部1と、このホッパ部1の下方に設けられた上室部2と、この上室部2の下方に設けられた下室部3と、この下室部3の下方に設けられた切出し手段たるテーブルフィーダ4と、ホッパ部1や上室部2、下室部3等を支持する支持フレーム5と、から主になる。
【0022】
ホッパ部1の上端部には、バグフィルタ1Dが備わるエア排気部1Cが設けられており、ホッパ部1内に粉体が投入される際には、このエア排気部1Cからエアが排気される。このエアの排気によって、粉体の投入をスムーズに行うことができる。このエアと伴にホッパ部1内から排出された粉体は、バグフィルタ1Dによって除塵され、大気中への排出が防止される。
【0023】
ホッパ部1の周壁は、上端部から下端部に向かうに従って径が先細くなる逆円錐形状とされおり、下端部の開口が粉体の排出口1Dとされている。この粉体排出口1Dは、バタフライ弁7を収納する枠体7Bと接続されている。バタフライ弁7は、本粉体供給装置に備わる3つの弁装置の1つであり(第1の弁装置)、軸材7Aを軸に回転して粉体排出口1Dを開閉する機能を有する。ホッパ部1内の粉体を計量する際にはバタフライ弁7によって粉体排出口1Dを閉じ、ホッパ部1内から粉体を排出する際にはバタフライ弁7によって粉体排出口1Dを開くことになる。なお、第1の弁装置としては、バタフライ弁7に変えて、例えばリフトダンパー等の粉体排出口1Dを開閉する機能を有する弁装置を用いることもできる。
【0024】
ホッパ部1の周壁には、例えば120度間隔で3箇所に、ブラケット1Bが設けられている。このブラケット1Bは、支持フレーム5を構成する上部横架部材5Aに対して、上部ロードセル6Aを介して支持されている。また、粉体排出口1Dと接続された枠体7Bは、上室部2側と蛇腹等からなるフレキ20を介して接続されている。したがって、上部ロードセル6Aによって、ホッパ部1内に貯留された粉体の重量のみを計測することができる。
【0025】
ホッパ部1の周壁には、粉体のブリッジや固着等を防止するために、バイブレータ1Eが取り付けられている。しかしながら、バイブレータ1Eの振動はホッパ部1の周壁を介して前記上部ロードセル6Aや、後述する下部ロードセル6Bに伝わるため、バイブレータ1Eの多用は、ロードセル6A,6Bに悪影響を与える可能性がある。そこで、本形態のホッパ部1内には、肩部から粉体排出口1Dにかけて延在するスクリュー手段10Aが、複数、図示例では2本、設けられている。このスクリュー手段10Aに備わる図示しないスクリュー羽根が回転しても、ホッパ部1の周壁に振動を与えないため、ロードセル6A,6Bに悪影響を与えるおそれなしに、粉体のブリッジや固着等を防止することができる。
【0026】
ホッパ部1内の粉体は、重力の作用によって、ホッパ部1の粉体排出口1D、バタフライ弁7の枠体7B及びフレキ20を通り、後述する接続筒2A及び筒状体30を通して上室部2内に落ち入る。この上室部2は、長手方向中央部が横長円筒で構成されており、この横長円筒の左右開口部分が張出曲面状端板で塞がれることによって密閉構造とされている。また、横長円筒の底面には、筒状体30と上下方向に関して対向するように粉体排出口2Bが設けられている。
【0027】
上室部2内には、図4に示すように、当該上室部2の軸心と同軸をなすように回転軸12Xが配されている。この回転軸12Xは、左右の張出曲面状端板間に軸支され、上室部2外において回転駆動源2Mに接続されている。回転軸12Xの外周には、螺旋状の掻き寄せ羽根12L,12Rが支持部材12aを介して取り付けられている。この掻き寄せ羽根12L,12Rは、粉体排出口2Bを挟んだ一方側及び他方側にそれぞれ設けられており、上室部2内の粉体を当該粉体排出口2Bまで移動させる粉体移動手段としての機能を有する。掻き寄せ羽根12L,12Rは、上室部2の内周面と、直接又は当接ブレード等を介して間接的に当接しており、横長円筒の内面に付着した粉体を掻き取る機能を有する。ただし、掻き寄せ羽根12Lと掻き寄せ羽根12Rとでは、所定方向に回転させた場合に粉体を掻き寄せる(移動させる)方向が逆方向となるよう、螺旋の向きが逆方向とされている。したがって、回転駆動源2Mによって回転軸12Xを所定方向に回転させると、上室部2内の粉体が全て粉体排出口2Bに向かって移動する。もちろん、掻き寄せ羽根12Lの回転軸及び回転駆動源と、掻き寄せ羽根12Rの回転軸及び回転駆動源とを別系統とすること等によっても、全ての粉体を粉体排出口2Bに向かって移動させることができる。なお、図示例では、張出曲面状端板の内面に当接するスクレーパ12Yが、支持部材12bを介して回転軸12Xの両端部に取り付けられている。回転軸12Xの回転に伴ってこのスクレーパ12Yが回転し、張出曲面状端板の内面に付着した粉体が掻き取られる。
【0028】
本形態のように、上室部2を横長状とすることによって、上室部2の高さを高くすることなく容積(容量)を増やすことができるため、粉体の供給能力を向上させることができる。また、長手方向中央部に粉体排出口2Bを形成し、この粉体排出口2Bを挟んだ一方側及び他方側に上室部2内の粉体を当該粉体排出口2Bまで移動する粉体移動手段(掻き寄せ羽根12L,12R)をそれぞれ設けることによって、粉体のブリッジや固着等が生じるのを防止することができる。
【0029】
筒状体30は、上室部2の横長円筒から上方へ突出しており、接続筒2Aを介してフレキ20と接続されている。この筒状体30は、図5に示すように、平面略円形状の粉体供給口30Aを有しており、この筒状体30内には、ホッパ部1と上室部2とを仕切る上側弁装置8が設けられている。この上側弁装置8も、前述バタフライ弁7と同様、本粉体供給装置に備わる3つの弁装置の1つ(第2の弁装置)であるが、バタフライ弁7とは異なる構造とされている。なお、この上側弁装置8にホッパ部1の粉体排出口1Dを開閉する機能を持たせ、前述バタフライ弁7の配置を省略することも考えられる。しかしながら、フレキ20内における粉体のブリッジ、固着等を防止するためには、両弁装置7,8をともに配置する方が好ましい。
【0030】
上側弁装置8は、図6及び図7に示すように、粉体供給口30Aを閉じる上側皿部材81を有する。この上側皿部材81は、平面視円形状で、中央部が上方に縦断面略円弧状に膨らむ皿状とされている。一方、筒状部30は、上縁部に内方に突出する鍔部31が設けられており、この鍔部31の内周面が粉体供給口30Aを構成するものとされ、また、当該内周面にOリング等からなる気密部材32が嵌め込まれている。この気密部材32が上側皿部材81の周端部表面と当接することによって、粉体供給口30Aから上室部2内の空気、粉体等が漏れるのが防止される。
【0031】
上側皿部材81は、中央部裏面から下方に突出する支持部材83によって支持されており、この支持部材83は、上側皿部材81の下方に位置し、かつ粉体供給口30Aを横切る方向に延在する回動軸82の軸方向中央部82Aに接続されている。回動軸82は、その両端部が筒状部30を貫通しており、当該筒状部30外に備わるシリンダ等を構成要素とする回動源によって軸心回りに回動させられる構成とされている。したがって、回動軸82が回動すると、図8の(a)に示すように、上側皿部材81が当該回動軸82回りに回動して粉体供給口30Aが開くことになる。特に、本形態では、回動軸82が90°回転すると、図8の(b)に示すように、上側皿部材81が前記鍔部31の下方に位置する構成とされているため、ホッパ部1から上室部2内に落ち込む粉体が上側皿部材81上に積もるおそれがない。また、このように上側皿部材81の回動軸が当該上側皿部材81よりも下方に設けられていると、上側皿部材81にかかる圧力が回動軸82を中心とする回動力に変換される可能性がない。したがって、上室部2内が加圧されている状態において停電等が発生しても上側皿部材81が開いてしまう可能性がない。また、特に本形態では、上側皿部材81の周端部表面がその上方に位置する気密部材32に当接することによって粉体供給口30Aが閉じられる構成とされているため、上室部2内が加圧されている状態においては上側皿部材81の周端部表面が気密部材32に押しつけられる。したがって、上室部2内が加圧されている状態においては上側皿部材81が回動軸82回りに回動するのを防止する機能を果たし、安全性に優れる。さらに、以上の過程において、上側弁装置8は筒状体30内に位置するため、前述掻き寄せ羽根12L,12Rを筒状体30と対向する粉体排出口2B上にまで位置させることができ、上室部2からの粉体の排出を確実に行うことができる。なお、図示例では、回動軸82が90°回転した際に上側皿部材81の一部が筒状体30から突出するが(図8の(b))、掻き寄せ羽根12L,12Rと接触しない限り、このような突出も許容される。もし接触が生じるようであれば、筒状体30の長さ等を調節して、上側皿部材81が筒状体30から突出しないようにすればよい。
【0032】
一方、本形態では、上側皿部材81が粉体供給口30Aを閉じた状態において、図6に示すように、回動軸82の軸方向中央部82Aが上方に偏在する構成とされている。したがって、上側皿部材81が粉体供給口30Aを開いた状態においては、図9に示すように、当該軸方向中央部82Aが横方向に偏在した状態となるため、回動軸82(82A)上にも粉体が積もり難くなり、粉体のブリッジや固着等がより確実に防止される。なお、回動軸82の軸方向中央部82Aがどのよう形状とされることで上方に偏在するかは特に限定されない。軸方向中央部82Aが、図示例のように、下方開きのコ字状とされることで上方に偏在する形態のほか、上方に膨らむ曲線状とされることで上方に偏在する形態等も例示することができる。
【0033】
上室部2内の粉体は、重力の作用によって、粉体排出口2Bから排出され、粉体供給口3Aを通して下室部3内に落ち入る。この下室部3の周壁は、上端部から下端部に向かうに従って径が先細くなる逆円錐形状とされている。また、下室部3の周壁には、例えば120度間隔で3箇所に、ブラケット3Bが設けられており、このブラケット3Bは、支持フレーム5を構成する下部横架部材5Bに対して、下部ロードセル6Bを介して支持されている。この下部ロードセル6Bは、上室部2及び下室部3の荷重を受けるが、フレキ20によって接続されたホッパ部1の荷重は受けないため、上室部2内及び下室部3内に収容されている粉体の重量のみを計測することができる。
【0034】
この下室部3内には、上室部2と下室部3とを仕切る下側弁装置9が設けられている。このように下室部3内に下側弁装置9を配置することによって、前述掻き寄せ羽根12L,12Rを上室部2の粉体排出口2B上にも位置させることができるようになり、粉体を粉体排出口2Bから確実に排出することができる。なお、この下側弁装置9も、前述バタフライ弁7、上側弁装置8と同様、本粉体供給装置に備わる3つの弁装置の1つであり、第3の弁装置である。
【0035】
この下側弁装置9は、図10に示すように、粉体供給口3Aを閉じる下側皿部材91を有する。この下側皿部材91は、平面視円形状で、中央部が上方に縦断面略円弧状に膨らむ皿状とされている。一方、粉体供給口3Aは下室部3の天面略中央部に形成されており、この粉体供給口3Aの内周面にはOリング等からなる気密部材33が嵌め込まれている。この気密部材33が下側皿部材91の周端部表面と当接することによって、粉体供給口3Aから下室部3内の空気、粉体等が漏れるのが防止される。
【0036】
下側皿部材91は、中央部裏面から下方に突出する支持部材93によって支持されており、この支持部材93は、傾斜棒材94を介して伸縮回転軸95の下端部に接続されている。この伸縮回転軸95は、下室部3の天面を貫くシリンダ等からなり、上下方向に伸縮し、かつ軸回りに回動する構成とされている。したがって、図11の(a)に示すように、伸縮回動軸95が伸張すると、この伸張に伴って下側皿部材91が下方に移動して下室部3の粉体供給口3Aが開くことになる。さらに、図11の(b)に示すように、伸縮回動軸95が回動すると、この回動に伴って下側皿部材91が当該伸縮回動軸95回りに回動し、図12の(a)及び(b)の比較において明らかなように、下側皿部材91が粉体供給口3Aの直下から外れることになる。このように、伸縮回動軸95の伸張に伴って下側皿部材91が下方に移動し、もって粉体供給口3Aが開く構成とされていると、上室部2内が加圧されていない状態においては、粉体供給口3Aを閉じる下側皿部材91に対して下方から上方へ大きな圧力が加わり、下側皿部材91の周端部表面が気密部材33に押しつけられた状態になる。したがって、上室部2内が加圧されていない状態における意図しない弁(91)の開放が防止され、安全性に優れる。また、伸縮回動軸95の回動に伴って下側皿部材91が当該伸縮回動軸95回りに回動して粉体供給口3Aの直下から外れると、下側皿部材91上に粉体が積もらなくなる。したがって、粉体のブリッジや固着等がより確実に防止される。なお、以上の説明では、下側皿部材91の下方への移動、及び伸縮回転軸95回りの回動を、この順に区別して説明したが、例えば、下側皿部材91が下方へ移動する過程において伸縮回転軸95回りに回動するように構成することもできる。
【0037】
本形態の下側弁装置9は、前述上側弁装置8のように別途筒状体(30)を設け、この筒状体内に納めることを要しないため、粉体供給装置の高さを抑えるには好適である。しかしながら、この下側弁装置9は下室部3内に収納されるため、下室部3内に掻き寄せ羽根(12L,12R)等を設置する場合は、接触が問題となる。このような種々の事情のもとでは、本形態のように上側弁装置8の構造と下側弁装置9の構造とを異なるものとし、更に上室部2内のみ掻き寄せ羽根12L,12Rを設ける形態とするのが好適である。
【0038】
下室部3内の粉体は、ホイール4Aが備わるテーブルフィーダ4によって本粉体供給装置から外部に切り出される(吐出される)。ホイール4Aは、下室部3の底面を構成しており、下室部3の中心軸を中心に回転する。このホイール4Aの回転によって定量供給(排出)が可能となるが、更に当該ホイール4A上に堆積した粉体が攪拌されるため、下室部3内における粉体のブリッジや固着等は生じ難くなるとの利点もある。ホイール4A上に堆積した粉体は、当該ホイール4Aの回転によって徐々に周端部側へ送られ、吐出口4Bから外部に吐出される。この吐出される粉体は、図示しないコンプレッサ等のエア圧送装置からのエアに乗せられて、適宜の場所に圧送される。図示例においては、粉体の吐出口4Bが2箇所とされているが、1箇所又は3箇所以上の複数箇所とすることもできる。また、テーブルフィーダ4に変えて、同じく切出し手段として機能するロータリーフィーダ等を配置することもできる。
【0039】
本形態の支持フレーム5は、ホッパ部1を支持する上フレーム5Xと、上室部2を支持する中フレーム5Yと、下室部3を支持する下フレーム5Zとに、分解可能とされている。したがって、本形態の粉体供給装置を搬送するに際しては、支持フレーム5を上フレーム5X、中フレーム5Y、下フレーム5Zに分解しておき、施工現場においてサイロ等に隣接して、下フレーム5Z、中フレーム5Y、上フレーム5Xの順に積み上げ、粉体供給装置とすることができる。また、支持フレームに5には、必要に応じて、昇降階段等を有する付帯設備50を取り付けることができる。
【0040】
次に、粉体供給装置の作動方法について説明する。
まず、粉体供給装置の始動時には、バタフライ弁7、上側弁装置8及び下側弁装置9を閉じた状態で、サイロ等から投入口1Aを通してホッパ部1内に粉体を投入する。この投入に際しては、上部ロードセル6Aによって粉体の投入量を計測し、粉体の投入量が所定量に達したら粉体の投入が自動的に停止するようにすると好適である。
【0041】
粉体の投入が終了したら、バタフライ弁7及び上側弁装置8を開き、ホッパ部1内の粉体を上室部2内に落とし入れる。この際には、バイブレータ1Eやスクリュー手段10Aを利用してホッパ部1内における粉体のブリッジや固着等を防止するのが好ましい。
【0042】
粉体がホッパ部1から上室部2内に落ち入ったら、バタフライ弁7及び上側弁装置8を閉じ、上室部2内を下室部3内と同圧となるまで加圧する。この加圧は、図9に示すように、管、ホース等からなる流路L2を通して筒状体30に形成された圧気口42から上室部2内に圧縮空気等を送り込む(供給する)ことによって行う。圧縮空気の供給は、例えば、当初は圧縮空気A1及び圧縮空気A2を、合流管44を通して流路L2内に送り込むことで急速に供給(加圧)し、上室部2内が所定の圧力に到達した段階で、圧縮空気A1又は圧縮空気A2の供給を止め、以後、徐々に下室部3内と同圧になるまで加圧すると好適である。圧縮空気A1及び圧縮空気A2の両方を利用して下室部3内と同圧になるまで急速に加圧しようとすると、仮に上室部2内の圧力が下室部3内の圧力を超えてしまった場合に、下側皿部材91に対して下方への大きな圧力が加わり、下側弁装置9を構成する伸縮回転軸95等が損壊してしまうおそれがある。この加圧に際しては、バタフライ弁7及び上側弁装置8が閉じているため、前述したサイロ等からホッパ部1内に粉体を投入する作動を開始することができる。
【0043】
上室部2内の加圧が終了したら、下側弁装置9を開き、上室部2内の粉体を下室部3内に落とし入れる。この粉体の落とし入れは、掻き寄せ羽根12L,12Rを回転させて上室部2内の粉体を粉体排出口2B側へ移動させながら行う。粉体が上室部2内から下室部3内に落ち入ったら、下側弁装置9を閉じる。下室部3内に落ち入った粉体は、テーブルフィーダ4によって下室部3内から連続的に切り出される。
【0044】
この切出しに際しては、下側弁装置9が閉じているため、ホッパ部1内に所定量の粉体が投入されているようであれば、ホッパ部1内の粉体を上室部2内に落とし入れることができる。ただし、上室部2内は下室部3内と同圧となるように加圧されているため、バタフライ弁7及び上側弁装置8を開くに先立って、上室部2内を減圧する。この減圧は、図9に示すように、管、ホース等からなる2本の流路L1を通して筒状体30に形成された排気口41から上室部2内の空気を排気することによって行う。このように筒状体30に形成された排気口41を通して排気を行うものとすると、仮に上室部2内に粉体が残っていたとしても、当該粉体が排気に伴って排出され難くなる。また、当該筒状体30は上側弁装置8の収納に利用されるものであり、排気口41を設けるにあたって別途設けるものではないため、装置構成が簡易化される。
【0045】
以上の排気は、例えば、当初は2本の流路L1の一方のみを利用して徐々に行い、上室部2内が所定の圧力まで減圧された段階で、2本の流路L1両方を利用して急速に行うと好適である。当初から2本の流路L1両方を利用して急速に排気すると、当該流路L1に接続されたフィルタ装置43に備わるバグフィルタ等が破れてしまうおそれがある。なお、このバグフィルタ等としては、ホッパ部1に備わる前述バグフィルタ1Dを利用することも考えられる。しかしながら、上側ロードセル6Aに対して振動等を原因とする影響が生じるのを防止するために、別のバクフィルタを設けるのが好ましい。
【0046】
一方、テーブルフィーダ4による切出しによって下室部3内の粉体が所定量以下になったら、前述上室部2内の加圧及び上室部2から下室部3内への粉体の落とし込みを行う。この粉体の落とし込みによって下室部3内の粉体量が増えるため、以上の作動を適宜繰り返すことによって、粉体の連続切出し(連続定量供給)が可能となる。なお、下室部3内の粉体量は、下側ロードセル6Bや粉体の高さを図る図示しないレベル計等によって計測することができる。
【実施例1】
【0047】
本発明者らは、上記実施の形態に沿う粉体供給装置を製作し、粉体供給性能を調べる試験を行った。その際、粉体供給装置のホッパ部1は粉体500kgを貯留可能な容量とし、上室部2は粉体500kgを貯留可能な容量とし、下室部2は粉体1000kgを貯留可能な容量とした。この粉体供給装置全体の高さは、約6.2mとなった。この粉体供給装置について、300kg/分の供給(吐出)試験を行ったところ、粉体のブリッジや固着の問題は、従来の粉体供給装置と変わらないか、むしろ向上するものであった。なお、従来の粉体供給装置は、ホッパ部1を粉体200kg貯留可能な容量とし、上室部2を粉体200kg貯留可能な容量とし、下室部2を粉体400kg貯留可能な容量とし、高さを5.3m、吐出量を100kg/分とした場合である。また、いずれの場合も粉体としてベントナイトを使用した。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は、例えば、圧縮空気等が流れている輸送管内に、ベントナイト等の粉体を供給する際に用いられる粉体供給装置として、適用可能である。
【符号の説明】
【0049】
1…ホッパ部、1E…バイブレータ、2…上室部、3…下室部、4…テーブルフィーダ、5…支持フレーム、6A…上部ロードセル、6B…下部ロードセル、7…バタフライ弁(第1の弁装置)、8…上側弁装置(第2の弁装置)、9…下側弁装置(第3の弁装置)、10A…スクリュー手段、12L,12R…掻き寄せ羽根、20…フレキ、30…筒状体、41…排気口、42…圧気口。
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉体供給装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の粉体供給装置は、例えば、圧縮空気等が流れている輸送管内に、ベントナイト、セメント、混合セメント、粘土鉱物、セメント系固化材、石灰系固化材、中性固化材、セメント混和材、コンクリート混和材、鉄粉、石炭灰等の粉体を供給する際に、一般的には、粒径200mm未満の粉体を供給する際に用いられる。したがって、この種の粉体供給装置は、輸送管内に粉体を定量供給できることのほか、輸送管内の圧縮空気等が粉体供給装置内を逆流しないことが求められる。
【0003】
そこで、従来から、粉体を貯留するホッパ部と、このホッパ部内の粉体が落ち入る上室部と、この上室部内の粉体が落ち入る下室部と、この下室部内の粉体を切り出すフィーダと、が備わる粉体供給装置が提案されている(例えば、特許文献1等参照。)。この粉体供給装置には、ホッパ部と上室部とを仕切る弁体、及び上室部と下室部とを仕切る弁体が備えられており、これらの弁体を開閉操作することによって、粉体の逆流を防止する構成とされている。しかしながら、この従来の粉体供給装置は、ホッパ部内や上室部内において粉体のブリッジや固着等が生じる問題を有していた。
【0004】
そこで、本出願人は、ホッパ部や上室部の周壁を上端部から下端部にかけて内径が先細くなる略円錐形状にするとともに、当該周壁に沿うスクリュー手段を設けた粉体供給装置を提案した(特許文献2参照。)。この提案によって粉体のブリッジや固着等の問題は大幅に改善された。しかしながら、近年では、粉体供給装置の供給能力(吐出能力)向上が求められるようになっており、例えば、従来100kg/分程度の吐出能力で十分であるとされていたのが、300kg/分程度の吐出能力まで求められるようになっている。
【0005】
そこで、ホッパ部や上室部の容積を増やして吐出能力の向上を図ることも考えられるが、単に容積を増やすのでは、次のような問題が生じる。
まず、ホッパ部や上室部の容積を増やすために当該ホッパ部や上室部の高さを高くすると粉体供給装置全体の高さも高くなるため、ホッパ部内に粉体を投入するために使用するサイロの高さも高くする必要が生じる。しかるに、サイロが所定の高さ(例えば、8m。)を超えると、別途、行政上の届け出等が必要になり、施工期間等に影響が生じる可能性がある。
【0006】
そこで、ホッパ部や上室部の高さを高くすることなく、平面方向(水平方向)の広さを広くすることも考えられるが、平面方向の広さを広くすると、ホッパ部や上室部の周壁の傾斜が緩やかになってしまうため、粉体のブリッジや固着等が生じ易くなる。なお、この粉体のブリッジや固着等の問題は、下室部よりもホッパ部や上室部において生じ易く、特に上室部において生じ易いとされる。下室部においては粉体が連続的に切り出されるが、ホッパ部及び上室部においては粉体が一時的に留まるためブリッジや固着等が生じ易くなるものと考えられ、特に上室部においては粉体が留まった状態で加圧されるためブリッジや固着等が生じ易くなるものと考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−255787号公報
【特許文献2】特開2007−22578号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の主たる課題は、供給能力を向上させることができながら、粉体のブリッジや固着等が生じ易くなるのが防止された粉体供給装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この課題を解決した本発明は、次の通りである。
〔請求項1記載の発明〕
粉体を貯留するホッパ部と、このホッパ部内の粉体が落ち入る上室部と、この上室部内の粉体が落ち入る下室部と、この下室部内の粉体を切り出す切出し手段と、が備えられた粉体供給装置であって、
前記上室部は、横長状で、かつ長手方向中央部に粉体排出口が形成されており、
この粉体排出口を挟んだ一方側及び他方側に、前記上室部内の粉体を前記粉体排出口まで移動する粉体移動手段が、それぞれ設けられている、
ことを特徴とする粉体供給装置。
【0010】
(主な作用効果)
上室部を横長状とすることによって、高さを高くすることなく容積を増やすことができ、供給能力を向上させることができる。また、長手方向中央部に粉体排出口を形成し、この粉体排出口を挟んだ一方側及び他方側に、上室部内の粉体を当該粉体排出口まで移動する粉体移動手段をそれぞれ設けることによって、粉体のブリッジや固着等が生じ易くなるのを防止することができる。
【0011】
〔請求項2記載の発明〕
前記上室部が横長円筒状とされ、
前記移動手段が前記上室部の軸心回りに回転する掻き寄せ羽根で構成され、
前記上室部の長手方向中央部に上方へ突出する筒状体が設けられ、この筒状体が前記上室部の粉体供給口を構成し、
前記筒状体内に前記ホッパ部と前記上室部とを仕切る上側弁装置が、前記下室部内に前記上室部と前記下室部とを仕切る下側弁装置が、それぞれ設けられている、
請求項1記載の粉体供給装置。
【0012】
(主な作用効果)
上室部を横長円筒状とし、移動手段を上室部の軸心回りに回転する掻き寄せ羽根で構成すると、極めて簡易な構成でありながら上室部内の粉体を粉体排出口まで確実に移動することができる。また、上室部の長手方向中央部に上方へ突出する筒状体を設け、この筒状体が上室部の粉体供給口を構成するものとし、当該筒状部内にホッパ部と上室部とを仕切る上側弁装置を設け、下室部内に上室部と下室部とを仕切る下側弁装置を設けると、粉体排出口上にまで掻き寄せ羽根を位置させることができるようになる。結果、粉体を粉体排出口まで確実に移動することができるようになり、粉体の排出が確実に行われるようになる。
【0013】
〔請求項3記載の発明〕
前記上側弁装置は、前記上室部の粉体供給口を閉じる上側皿部材と、この上側皿部材の下方に設けられ、かつ前記粉体供給口を横切る方向に延在する回動軸と、を有し、前記回動軸の回動に伴って前記上側皿部材が当該回動軸回りに回動して前記上室部の粉体供給口が開く構成とされ、
前記回動軸は、前記上側皿部材が前記上室部の粉体供給口を閉じた状態において、軸方向中央部が上方に偏在している、
請求項2記載の粉体供給装置。
【0014】
(主な作用効果)
ホッパ部と上室部とを仕切る上側弁装置がバタフライ弁によって構成されていると、上室部内が加圧されている状態において停電等が発生した際に、当該バタフライ弁が開いてしまう可能性がある。しかるに、上側弁装置が上室部の粉体供給口を閉じる上側皿部材と、この上側皿部材の下方に設けられた回動軸とで構成されていると、上側皿部材にかかる圧力が回動軸を中心とする回動力に変換される可能性がないため、上室部内が加圧されている状態において停電等が発生しても上側皿部材が開いてしまう可能性がない。なお、バタフライ弁は、通常、エアで制御されており、停電、故障等の際にエアが抜けると、弁の制御圧が低下して弁が開いてしまう。
一方、回動軸が粉体供給口を横切る方向に延在すると、上側皿部材が上室部の粉体供給口を開いた際に、当該回動軸上に粉体が積ってしまうため、粉体のブリッジや固着等が生じる可能性がある。しかるに、上側皿部材が上室部の粉体供給口を閉じた状態において、回動軸の軸方向中央部が上方に偏在していると、上側皿部材が上室部の粉体供給口を開いた状態においては、当該軸方向中央部が横方向に偏在した状態となる。したがって、回動軸上に粉体が積らなくなり、粉体のブリッジや固着等が生じるのが防止される。
【0015】
〔請求項4記載の発明〕
前記下側弁装置は、前記下室部の粉体供給口を閉じる下側皿部材と、上下方向に伸縮し、かつ軸回りに回動する伸縮回動軸と、を有し、前記伸縮回動軸の伸張に伴って前記下側皿部材が下方に移動して前記下室部の粉体供給口を開き、前記伸縮回動軸の回動に伴って前記下側皿部材が当該伸縮回動軸回りに回動して前記下室部の粉体供給口の直下から外れる構成とされている、
請求項2又は請求項3記載の粉体供給装置。
【0016】
(作用効果)
伸縮回動軸の伸張に伴って下側皿部材が下方に移動して下室部の粉体供給口が開く構成とされていると、上室部内が加圧されていない状態においては、粉体供給口を閉じる下側皿部材に対して下方から上方へ大きな圧力がかかることになり、伸縮回動軸の伸張が行われ難くなる。したがって、上室部内が加圧されていない状態における意図しない弁の開放が防止される。また、伸縮回動軸の回動に伴って下側皿部材が当該伸縮回動軸回りに回動して下室部の粉体供給口の直下から外れる構成とされていると、下側皿部材上に粉体が積もらないため、粉体のブリッジや固着等が生じ難くなる。
【0017】
〔請求項5記載の発明〕
前記筒状体の周壁に、前記上室部内の空気を排出する排気口が設けられている、
請求項1〜4のいずれか1項に記載の粉体供給装置。
【0018】
(作用効果)
筒状体の周壁に上室部内の空気を排出する排気口が設けられていると、仮に上室部内に粉体が残っていたとしても、当該粉体が排気に伴って排出され難くなる。したがって、排気口に連結されるバグフィルタ等の除塵装置の負荷が軽減される。また、筒状体は上側弁装置の収納に利用されるものであり、排気口を設けるにあたって別途設けるものではないため、装置構成が簡易化される。
【発明の効果】
【0019】
本発明によると、供給能力を向上させることができながら、粉体のブリッジや固着等が生じ易くなるのが防止された粉体供給装置となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】粉体供給装置の正面図である。
【図2】粉体供給装置の側面図である。
【図3】ホッパ部、上室部、下室部及び切出し手段の概要図である。
【図4】上室部内の概要図である。
【図5】上室部の模式平面図である。
【図6】上側弁装置の模式配置図(図5のVI−VI線矢視図)である。
【図7】上側弁装置の模式配置図(図5のVII−VII線矢視図)である。
【図8】上側弁装置の回動時の説明図である。
【図9】筒状体を中心とする圧気構成、排気構成及び上側弁装置(開)の説明図である。
【図10】下側弁装置の模式配置図である。
【図11】下側弁装置の移動及び回動時の説明図である(側面視)。
【図12】下側弁装置の移動及び回動時の説明図である(平面視)。
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に、本発明の実施の形態を説明する。
本形態の粉体供給装置は、図1〜3に示すように、サイロ等の貯留槽から投入口1Aを通してベントナイト等の粉体が投入(供給)されるホッパ部1と、このホッパ部1の下方に設けられた上室部2と、この上室部2の下方に設けられた下室部3と、この下室部3の下方に設けられた切出し手段たるテーブルフィーダ4と、ホッパ部1や上室部2、下室部3等を支持する支持フレーム5と、から主になる。
【0022】
ホッパ部1の上端部には、バグフィルタ1Dが備わるエア排気部1Cが設けられており、ホッパ部1内に粉体が投入される際には、このエア排気部1Cからエアが排気される。このエアの排気によって、粉体の投入をスムーズに行うことができる。このエアと伴にホッパ部1内から排出された粉体は、バグフィルタ1Dによって除塵され、大気中への排出が防止される。
【0023】
ホッパ部1の周壁は、上端部から下端部に向かうに従って径が先細くなる逆円錐形状とされおり、下端部の開口が粉体の排出口1Dとされている。この粉体排出口1Dは、バタフライ弁7を収納する枠体7Bと接続されている。バタフライ弁7は、本粉体供給装置に備わる3つの弁装置の1つであり(第1の弁装置)、軸材7Aを軸に回転して粉体排出口1Dを開閉する機能を有する。ホッパ部1内の粉体を計量する際にはバタフライ弁7によって粉体排出口1Dを閉じ、ホッパ部1内から粉体を排出する際にはバタフライ弁7によって粉体排出口1Dを開くことになる。なお、第1の弁装置としては、バタフライ弁7に変えて、例えばリフトダンパー等の粉体排出口1Dを開閉する機能を有する弁装置を用いることもできる。
【0024】
ホッパ部1の周壁には、例えば120度間隔で3箇所に、ブラケット1Bが設けられている。このブラケット1Bは、支持フレーム5を構成する上部横架部材5Aに対して、上部ロードセル6Aを介して支持されている。また、粉体排出口1Dと接続された枠体7Bは、上室部2側と蛇腹等からなるフレキ20を介して接続されている。したがって、上部ロードセル6Aによって、ホッパ部1内に貯留された粉体の重量のみを計測することができる。
【0025】
ホッパ部1の周壁には、粉体のブリッジや固着等を防止するために、バイブレータ1Eが取り付けられている。しかしながら、バイブレータ1Eの振動はホッパ部1の周壁を介して前記上部ロードセル6Aや、後述する下部ロードセル6Bに伝わるため、バイブレータ1Eの多用は、ロードセル6A,6Bに悪影響を与える可能性がある。そこで、本形態のホッパ部1内には、肩部から粉体排出口1Dにかけて延在するスクリュー手段10Aが、複数、図示例では2本、設けられている。このスクリュー手段10Aに備わる図示しないスクリュー羽根が回転しても、ホッパ部1の周壁に振動を与えないため、ロードセル6A,6Bに悪影響を与えるおそれなしに、粉体のブリッジや固着等を防止することができる。
【0026】
ホッパ部1内の粉体は、重力の作用によって、ホッパ部1の粉体排出口1D、バタフライ弁7の枠体7B及びフレキ20を通り、後述する接続筒2A及び筒状体30を通して上室部2内に落ち入る。この上室部2は、長手方向中央部が横長円筒で構成されており、この横長円筒の左右開口部分が張出曲面状端板で塞がれることによって密閉構造とされている。また、横長円筒の底面には、筒状体30と上下方向に関して対向するように粉体排出口2Bが設けられている。
【0027】
上室部2内には、図4に示すように、当該上室部2の軸心と同軸をなすように回転軸12Xが配されている。この回転軸12Xは、左右の張出曲面状端板間に軸支され、上室部2外において回転駆動源2Mに接続されている。回転軸12Xの外周には、螺旋状の掻き寄せ羽根12L,12Rが支持部材12aを介して取り付けられている。この掻き寄せ羽根12L,12Rは、粉体排出口2Bを挟んだ一方側及び他方側にそれぞれ設けられており、上室部2内の粉体を当該粉体排出口2Bまで移動させる粉体移動手段としての機能を有する。掻き寄せ羽根12L,12Rは、上室部2の内周面と、直接又は当接ブレード等を介して間接的に当接しており、横長円筒の内面に付着した粉体を掻き取る機能を有する。ただし、掻き寄せ羽根12Lと掻き寄せ羽根12Rとでは、所定方向に回転させた場合に粉体を掻き寄せる(移動させる)方向が逆方向となるよう、螺旋の向きが逆方向とされている。したがって、回転駆動源2Mによって回転軸12Xを所定方向に回転させると、上室部2内の粉体が全て粉体排出口2Bに向かって移動する。もちろん、掻き寄せ羽根12Lの回転軸及び回転駆動源と、掻き寄せ羽根12Rの回転軸及び回転駆動源とを別系統とすること等によっても、全ての粉体を粉体排出口2Bに向かって移動させることができる。なお、図示例では、張出曲面状端板の内面に当接するスクレーパ12Yが、支持部材12bを介して回転軸12Xの両端部に取り付けられている。回転軸12Xの回転に伴ってこのスクレーパ12Yが回転し、張出曲面状端板の内面に付着した粉体が掻き取られる。
【0028】
本形態のように、上室部2を横長状とすることによって、上室部2の高さを高くすることなく容積(容量)を増やすことができるため、粉体の供給能力を向上させることができる。また、長手方向中央部に粉体排出口2Bを形成し、この粉体排出口2Bを挟んだ一方側及び他方側に上室部2内の粉体を当該粉体排出口2Bまで移動する粉体移動手段(掻き寄せ羽根12L,12R)をそれぞれ設けることによって、粉体のブリッジや固着等が生じるのを防止することができる。
【0029】
筒状体30は、上室部2の横長円筒から上方へ突出しており、接続筒2Aを介してフレキ20と接続されている。この筒状体30は、図5に示すように、平面略円形状の粉体供給口30Aを有しており、この筒状体30内には、ホッパ部1と上室部2とを仕切る上側弁装置8が設けられている。この上側弁装置8も、前述バタフライ弁7と同様、本粉体供給装置に備わる3つの弁装置の1つ(第2の弁装置)であるが、バタフライ弁7とは異なる構造とされている。なお、この上側弁装置8にホッパ部1の粉体排出口1Dを開閉する機能を持たせ、前述バタフライ弁7の配置を省略することも考えられる。しかしながら、フレキ20内における粉体のブリッジ、固着等を防止するためには、両弁装置7,8をともに配置する方が好ましい。
【0030】
上側弁装置8は、図6及び図7に示すように、粉体供給口30Aを閉じる上側皿部材81を有する。この上側皿部材81は、平面視円形状で、中央部が上方に縦断面略円弧状に膨らむ皿状とされている。一方、筒状部30は、上縁部に内方に突出する鍔部31が設けられており、この鍔部31の内周面が粉体供給口30Aを構成するものとされ、また、当該内周面にOリング等からなる気密部材32が嵌め込まれている。この気密部材32が上側皿部材81の周端部表面と当接することによって、粉体供給口30Aから上室部2内の空気、粉体等が漏れるのが防止される。
【0031】
上側皿部材81は、中央部裏面から下方に突出する支持部材83によって支持されており、この支持部材83は、上側皿部材81の下方に位置し、かつ粉体供給口30Aを横切る方向に延在する回動軸82の軸方向中央部82Aに接続されている。回動軸82は、その両端部が筒状部30を貫通しており、当該筒状部30外に備わるシリンダ等を構成要素とする回動源によって軸心回りに回動させられる構成とされている。したがって、回動軸82が回動すると、図8の(a)に示すように、上側皿部材81が当該回動軸82回りに回動して粉体供給口30Aが開くことになる。特に、本形態では、回動軸82が90°回転すると、図8の(b)に示すように、上側皿部材81が前記鍔部31の下方に位置する構成とされているため、ホッパ部1から上室部2内に落ち込む粉体が上側皿部材81上に積もるおそれがない。また、このように上側皿部材81の回動軸が当該上側皿部材81よりも下方に設けられていると、上側皿部材81にかかる圧力が回動軸82を中心とする回動力に変換される可能性がない。したがって、上室部2内が加圧されている状態において停電等が発生しても上側皿部材81が開いてしまう可能性がない。また、特に本形態では、上側皿部材81の周端部表面がその上方に位置する気密部材32に当接することによって粉体供給口30Aが閉じられる構成とされているため、上室部2内が加圧されている状態においては上側皿部材81の周端部表面が気密部材32に押しつけられる。したがって、上室部2内が加圧されている状態においては上側皿部材81が回動軸82回りに回動するのを防止する機能を果たし、安全性に優れる。さらに、以上の過程において、上側弁装置8は筒状体30内に位置するため、前述掻き寄せ羽根12L,12Rを筒状体30と対向する粉体排出口2B上にまで位置させることができ、上室部2からの粉体の排出を確実に行うことができる。なお、図示例では、回動軸82が90°回転した際に上側皿部材81の一部が筒状体30から突出するが(図8の(b))、掻き寄せ羽根12L,12Rと接触しない限り、このような突出も許容される。もし接触が生じるようであれば、筒状体30の長さ等を調節して、上側皿部材81が筒状体30から突出しないようにすればよい。
【0032】
一方、本形態では、上側皿部材81が粉体供給口30Aを閉じた状態において、図6に示すように、回動軸82の軸方向中央部82Aが上方に偏在する構成とされている。したがって、上側皿部材81が粉体供給口30Aを開いた状態においては、図9に示すように、当該軸方向中央部82Aが横方向に偏在した状態となるため、回動軸82(82A)上にも粉体が積もり難くなり、粉体のブリッジや固着等がより確実に防止される。なお、回動軸82の軸方向中央部82Aがどのよう形状とされることで上方に偏在するかは特に限定されない。軸方向中央部82Aが、図示例のように、下方開きのコ字状とされることで上方に偏在する形態のほか、上方に膨らむ曲線状とされることで上方に偏在する形態等も例示することができる。
【0033】
上室部2内の粉体は、重力の作用によって、粉体排出口2Bから排出され、粉体供給口3Aを通して下室部3内に落ち入る。この下室部3の周壁は、上端部から下端部に向かうに従って径が先細くなる逆円錐形状とされている。また、下室部3の周壁には、例えば120度間隔で3箇所に、ブラケット3Bが設けられており、このブラケット3Bは、支持フレーム5を構成する下部横架部材5Bに対して、下部ロードセル6Bを介して支持されている。この下部ロードセル6Bは、上室部2及び下室部3の荷重を受けるが、フレキ20によって接続されたホッパ部1の荷重は受けないため、上室部2内及び下室部3内に収容されている粉体の重量のみを計測することができる。
【0034】
この下室部3内には、上室部2と下室部3とを仕切る下側弁装置9が設けられている。このように下室部3内に下側弁装置9を配置することによって、前述掻き寄せ羽根12L,12Rを上室部2の粉体排出口2B上にも位置させることができるようになり、粉体を粉体排出口2Bから確実に排出することができる。なお、この下側弁装置9も、前述バタフライ弁7、上側弁装置8と同様、本粉体供給装置に備わる3つの弁装置の1つであり、第3の弁装置である。
【0035】
この下側弁装置9は、図10に示すように、粉体供給口3Aを閉じる下側皿部材91を有する。この下側皿部材91は、平面視円形状で、中央部が上方に縦断面略円弧状に膨らむ皿状とされている。一方、粉体供給口3Aは下室部3の天面略中央部に形成されており、この粉体供給口3Aの内周面にはOリング等からなる気密部材33が嵌め込まれている。この気密部材33が下側皿部材91の周端部表面と当接することによって、粉体供給口3Aから下室部3内の空気、粉体等が漏れるのが防止される。
【0036】
下側皿部材91は、中央部裏面から下方に突出する支持部材93によって支持されており、この支持部材93は、傾斜棒材94を介して伸縮回転軸95の下端部に接続されている。この伸縮回転軸95は、下室部3の天面を貫くシリンダ等からなり、上下方向に伸縮し、かつ軸回りに回動する構成とされている。したがって、図11の(a)に示すように、伸縮回動軸95が伸張すると、この伸張に伴って下側皿部材91が下方に移動して下室部3の粉体供給口3Aが開くことになる。さらに、図11の(b)に示すように、伸縮回動軸95が回動すると、この回動に伴って下側皿部材91が当該伸縮回動軸95回りに回動し、図12の(a)及び(b)の比較において明らかなように、下側皿部材91が粉体供給口3Aの直下から外れることになる。このように、伸縮回動軸95の伸張に伴って下側皿部材91が下方に移動し、もって粉体供給口3Aが開く構成とされていると、上室部2内が加圧されていない状態においては、粉体供給口3Aを閉じる下側皿部材91に対して下方から上方へ大きな圧力が加わり、下側皿部材91の周端部表面が気密部材33に押しつけられた状態になる。したがって、上室部2内が加圧されていない状態における意図しない弁(91)の開放が防止され、安全性に優れる。また、伸縮回動軸95の回動に伴って下側皿部材91が当該伸縮回動軸95回りに回動して粉体供給口3Aの直下から外れると、下側皿部材91上に粉体が積もらなくなる。したがって、粉体のブリッジや固着等がより確実に防止される。なお、以上の説明では、下側皿部材91の下方への移動、及び伸縮回転軸95回りの回動を、この順に区別して説明したが、例えば、下側皿部材91が下方へ移動する過程において伸縮回転軸95回りに回動するように構成することもできる。
【0037】
本形態の下側弁装置9は、前述上側弁装置8のように別途筒状体(30)を設け、この筒状体内に納めることを要しないため、粉体供給装置の高さを抑えるには好適である。しかしながら、この下側弁装置9は下室部3内に収納されるため、下室部3内に掻き寄せ羽根(12L,12R)等を設置する場合は、接触が問題となる。このような種々の事情のもとでは、本形態のように上側弁装置8の構造と下側弁装置9の構造とを異なるものとし、更に上室部2内のみ掻き寄せ羽根12L,12Rを設ける形態とするのが好適である。
【0038】
下室部3内の粉体は、ホイール4Aが備わるテーブルフィーダ4によって本粉体供給装置から外部に切り出される(吐出される)。ホイール4Aは、下室部3の底面を構成しており、下室部3の中心軸を中心に回転する。このホイール4Aの回転によって定量供給(排出)が可能となるが、更に当該ホイール4A上に堆積した粉体が攪拌されるため、下室部3内における粉体のブリッジや固着等は生じ難くなるとの利点もある。ホイール4A上に堆積した粉体は、当該ホイール4Aの回転によって徐々に周端部側へ送られ、吐出口4Bから外部に吐出される。この吐出される粉体は、図示しないコンプレッサ等のエア圧送装置からのエアに乗せられて、適宜の場所に圧送される。図示例においては、粉体の吐出口4Bが2箇所とされているが、1箇所又は3箇所以上の複数箇所とすることもできる。また、テーブルフィーダ4に変えて、同じく切出し手段として機能するロータリーフィーダ等を配置することもできる。
【0039】
本形態の支持フレーム5は、ホッパ部1を支持する上フレーム5Xと、上室部2を支持する中フレーム5Yと、下室部3を支持する下フレーム5Zとに、分解可能とされている。したがって、本形態の粉体供給装置を搬送するに際しては、支持フレーム5を上フレーム5X、中フレーム5Y、下フレーム5Zに分解しておき、施工現場においてサイロ等に隣接して、下フレーム5Z、中フレーム5Y、上フレーム5Xの順に積み上げ、粉体供給装置とすることができる。また、支持フレームに5には、必要に応じて、昇降階段等を有する付帯設備50を取り付けることができる。
【0040】
次に、粉体供給装置の作動方法について説明する。
まず、粉体供給装置の始動時には、バタフライ弁7、上側弁装置8及び下側弁装置9を閉じた状態で、サイロ等から投入口1Aを通してホッパ部1内に粉体を投入する。この投入に際しては、上部ロードセル6Aによって粉体の投入量を計測し、粉体の投入量が所定量に達したら粉体の投入が自動的に停止するようにすると好適である。
【0041】
粉体の投入が終了したら、バタフライ弁7及び上側弁装置8を開き、ホッパ部1内の粉体を上室部2内に落とし入れる。この際には、バイブレータ1Eやスクリュー手段10Aを利用してホッパ部1内における粉体のブリッジや固着等を防止するのが好ましい。
【0042】
粉体がホッパ部1から上室部2内に落ち入ったら、バタフライ弁7及び上側弁装置8を閉じ、上室部2内を下室部3内と同圧となるまで加圧する。この加圧は、図9に示すように、管、ホース等からなる流路L2を通して筒状体30に形成された圧気口42から上室部2内に圧縮空気等を送り込む(供給する)ことによって行う。圧縮空気の供給は、例えば、当初は圧縮空気A1及び圧縮空気A2を、合流管44を通して流路L2内に送り込むことで急速に供給(加圧)し、上室部2内が所定の圧力に到達した段階で、圧縮空気A1又は圧縮空気A2の供給を止め、以後、徐々に下室部3内と同圧になるまで加圧すると好適である。圧縮空気A1及び圧縮空気A2の両方を利用して下室部3内と同圧になるまで急速に加圧しようとすると、仮に上室部2内の圧力が下室部3内の圧力を超えてしまった場合に、下側皿部材91に対して下方への大きな圧力が加わり、下側弁装置9を構成する伸縮回転軸95等が損壊してしまうおそれがある。この加圧に際しては、バタフライ弁7及び上側弁装置8が閉じているため、前述したサイロ等からホッパ部1内に粉体を投入する作動を開始することができる。
【0043】
上室部2内の加圧が終了したら、下側弁装置9を開き、上室部2内の粉体を下室部3内に落とし入れる。この粉体の落とし入れは、掻き寄せ羽根12L,12Rを回転させて上室部2内の粉体を粉体排出口2B側へ移動させながら行う。粉体が上室部2内から下室部3内に落ち入ったら、下側弁装置9を閉じる。下室部3内に落ち入った粉体は、テーブルフィーダ4によって下室部3内から連続的に切り出される。
【0044】
この切出しに際しては、下側弁装置9が閉じているため、ホッパ部1内に所定量の粉体が投入されているようであれば、ホッパ部1内の粉体を上室部2内に落とし入れることができる。ただし、上室部2内は下室部3内と同圧となるように加圧されているため、バタフライ弁7及び上側弁装置8を開くに先立って、上室部2内を減圧する。この減圧は、図9に示すように、管、ホース等からなる2本の流路L1を通して筒状体30に形成された排気口41から上室部2内の空気を排気することによって行う。このように筒状体30に形成された排気口41を通して排気を行うものとすると、仮に上室部2内に粉体が残っていたとしても、当該粉体が排気に伴って排出され難くなる。また、当該筒状体30は上側弁装置8の収納に利用されるものであり、排気口41を設けるにあたって別途設けるものではないため、装置構成が簡易化される。
【0045】
以上の排気は、例えば、当初は2本の流路L1の一方のみを利用して徐々に行い、上室部2内が所定の圧力まで減圧された段階で、2本の流路L1両方を利用して急速に行うと好適である。当初から2本の流路L1両方を利用して急速に排気すると、当該流路L1に接続されたフィルタ装置43に備わるバグフィルタ等が破れてしまうおそれがある。なお、このバグフィルタ等としては、ホッパ部1に備わる前述バグフィルタ1Dを利用することも考えられる。しかしながら、上側ロードセル6Aに対して振動等を原因とする影響が生じるのを防止するために、別のバクフィルタを設けるのが好ましい。
【0046】
一方、テーブルフィーダ4による切出しによって下室部3内の粉体が所定量以下になったら、前述上室部2内の加圧及び上室部2から下室部3内への粉体の落とし込みを行う。この粉体の落とし込みによって下室部3内の粉体量が増えるため、以上の作動を適宜繰り返すことによって、粉体の連続切出し(連続定量供給)が可能となる。なお、下室部3内の粉体量は、下側ロードセル6Bや粉体の高さを図る図示しないレベル計等によって計測することができる。
【実施例1】
【0047】
本発明者らは、上記実施の形態に沿う粉体供給装置を製作し、粉体供給性能を調べる試験を行った。その際、粉体供給装置のホッパ部1は粉体500kgを貯留可能な容量とし、上室部2は粉体500kgを貯留可能な容量とし、下室部2は粉体1000kgを貯留可能な容量とした。この粉体供給装置全体の高さは、約6.2mとなった。この粉体供給装置について、300kg/分の供給(吐出)試験を行ったところ、粉体のブリッジや固着の問題は、従来の粉体供給装置と変わらないか、むしろ向上するものであった。なお、従来の粉体供給装置は、ホッパ部1を粉体200kg貯留可能な容量とし、上室部2を粉体200kg貯留可能な容量とし、下室部2を粉体400kg貯留可能な容量とし、高さを5.3m、吐出量を100kg/分とした場合である。また、いずれの場合も粉体としてベントナイトを使用した。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は、例えば、圧縮空気等が流れている輸送管内に、ベントナイト等の粉体を供給する際に用いられる粉体供給装置として、適用可能である。
【符号の説明】
【0049】
1…ホッパ部、1E…バイブレータ、2…上室部、3…下室部、4…テーブルフィーダ、5…支持フレーム、6A…上部ロードセル、6B…下部ロードセル、7…バタフライ弁(第1の弁装置)、8…上側弁装置(第2の弁装置)、9…下側弁装置(第3の弁装置)、10A…スクリュー手段、12L,12R…掻き寄せ羽根、20…フレキ、30…筒状体、41…排気口、42…圧気口。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉体を貯留するホッパ部と、このホッパ部内の粉体が落ち入る上室部と、この上室部内の粉体が落ち入る下室部と、この下室部内の粉体を切り出す切出し手段と、が備えられた粉体供給装置であって、
前記上室部は、横長状で、かつ長手方向中央部に粉体排出口が形成されており、
この粉体排出口を挟んだ一方側及び他方側に、前記上室部内の粉体を前記粉体排出口まで移動する粉体移動手段が、それぞれ設けられている、
ことを特徴とする粉体供給装置。
【請求項2】
前記上室部が横長円筒状とされ、
前記移動手段が前記上室部の軸心回りに回転する掻き寄せ羽根で構成され、
前記上室部の長手方向中央部に上方へ突出する筒状体が設けられ、この筒状体が前記上室部の粉体供給口を構成し、
前記筒状体内に前記ホッパ部と前記上室部とを仕切る上側弁装置が、前記下室部内に前記上室部と前記下室部とを仕切る下側弁装置が、それぞれ設けられている、
請求項1記載の粉体供給装置。
【請求項3】
前記上側弁装置は、前記上室部の粉体供給口を閉じる上側皿部材と、この上側皿部材の下方に設けられ、かつ前記粉体供給口を横切る方向に延在する回動軸と、を有し、前記回動軸の回動に伴って前記上側皿部材が当該回動軸回りに回動して前記上室部の粉体供給口が開く構成とされ、
前記回動軸は、前記上側皿部材が前記上室部の粉体供給口を閉じた状態において、軸方向中央部が上方に偏在している、
請求項2記載の粉体供給装置。
【請求項4】
前記下側弁装置は、前記下室部の粉体供給口を閉じる下側皿部材と、上下方向に伸縮し、かつ軸回りに回動する伸縮回動軸と、を有し、前記伸縮回動軸の伸張に伴って前記下側皿部材が下方に移動して前記下室部の粉体供給口を開き、前記伸縮回動軸の回動に伴って前記下側皿部材が当該伸縮回動軸回りに回動して前記下室部の粉体供給口の直下から外れる構成とされている、
請求項2又は請求項3記載の粉体供給装置。
【請求項5】
前記筒状体の周壁に、前記上室部内の空気を排出する排気口が設けられている、
請求項1〜4のいずれか1項に記載の粉体供給装置。
【請求項1】
粉体を貯留するホッパ部と、このホッパ部内の粉体が落ち入る上室部と、この上室部内の粉体が落ち入る下室部と、この下室部内の粉体を切り出す切出し手段と、が備えられた粉体供給装置であって、
前記上室部は、横長状で、かつ長手方向中央部に粉体排出口が形成されており、
この粉体排出口を挟んだ一方側及び他方側に、前記上室部内の粉体を前記粉体排出口まで移動する粉体移動手段が、それぞれ設けられている、
ことを特徴とする粉体供給装置。
【請求項2】
前記上室部が横長円筒状とされ、
前記移動手段が前記上室部の軸心回りに回転する掻き寄せ羽根で構成され、
前記上室部の長手方向中央部に上方へ突出する筒状体が設けられ、この筒状体が前記上室部の粉体供給口を構成し、
前記筒状体内に前記ホッパ部と前記上室部とを仕切る上側弁装置が、前記下室部内に前記上室部と前記下室部とを仕切る下側弁装置が、それぞれ設けられている、
請求項1記載の粉体供給装置。
【請求項3】
前記上側弁装置は、前記上室部の粉体供給口を閉じる上側皿部材と、この上側皿部材の下方に設けられ、かつ前記粉体供給口を横切る方向に延在する回動軸と、を有し、前記回動軸の回動に伴って前記上側皿部材が当該回動軸回りに回動して前記上室部の粉体供給口が開く構成とされ、
前記回動軸は、前記上側皿部材が前記上室部の粉体供給口を閉じた状態において、軸方向中央部が上方に偏在している、
請求項2記載の粉体供給装置。
【請求項4】
前記下側弁装置は、前記下室部の粉体供給口を閉じる下側皿部材と、上下方向に伸縮し、かつ軸回りに回動する伸縮回動軸と、を有し、前記伸縮回動軸の伸張に伴って前記下側皿部材が下方に移動して前記下室部の粉体供給口を開き、前記伸縮回動軸の回動に伴って前記下側皿部材が当該伸縮回動軸回りに回動して前記下室部の粉体供給口の直下から外れる構成とされている、
請求項2又は請求項3記載の粉体供給装置。
【請求項5】
前記筒状体の周壁に、前記上室部内の空気を排出する排気口が設けられている、
請求項1〜4のいずれか1項に記載の粉体供給装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−116611(P2012−116611A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−267729(P2010−267729)
【出願日】平成22年11月30日(2010.11.30)
【出願人】(000115463)ライト工業株式会社 (137)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月30日(2010.11.30)
【出願人】(000115463)ライト工業株式会社 (137)
【Fターム(参考)】
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