説明

粉体化粧料

【課題】使用時に指や小道具で取れやすく、滑らかに伸び広がる使用性に優れ、肌への付着性、発色も良く、自然に見える仕上がりを得るためのぼかし易さに優れ、かつ化粧持ちにも優れた粉体化粧料、特にポイントメイクアップ化粧料の提供。
【解決手段】球状の粒子表面にポリオルガノポリシロキサンからなる突起物を有する略球形状粉体及び特定のフッ素変性シリコーンを配合した粉体化粧料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリオルガノシロキサンからなる突起物をもった略球状粉体と特定のフッ素変性シリコーンを配合した粉体化粧料に関し、更に詳細には指もしくは小道具にふんわりと適度に取れ、使用時には滑らかな伸び広がりに優れ、付着性が良く、透明感が高いため発色も良く、肌に自然に溶け込むように自然にぼかすことができ、化粧持ちの良好な化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、粉体化粧料には、その使用性や付着性、化粧持ちを向上させるため種々の粉体や油剤の配合が検討されている。滑らかな伸び広がりを付与し粉っぽさを軽減するため、様々な球状粉体の配合が行われてきた。また、付着性の向上には高粘性油剤の配合や、化粧持ちの向上には固形油や皮膜形成剤、撥水撥油性油剤の配合や粉末表面を改質することが行われてきた。更にそれらの機能を併せ持ったもの検討も行われてきている。具体的には、微小突起をもつシリコーン粉体とポリオルガノシロキサンを合わせて配合することで伸び広がりの良さや密着性、化粧持ちを上げる技術(例えば、特許文献1参照)や球状の有機粒子表面にポリオルガノシロキサンからなる突起物をもったコアシェル粒子を配合して、伸び広がりの使用性や仕上がり感の持続性を上げる技術(例えば、特許文献2参照)、撥水撥油粉体と固形油または半固形油を配合することで、使用感触や化粧持ちを上げる技術(例えば、特許文献3参照)などがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−137953号公報
【特許文献2】特開2009−280570号公報
【特許文献3】特開2010−037213号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、粉体化粧料、特にアイカラーやチークカラーのようなポイントメイクアップ化粧料には、肌への付着性や化粧持ちと、滑らかな伸び広がりという相反する機能を求められ、更には、きれいな発色は残しつつ自然なグラデーションになるようなぼかし易さが望まれるなど要望は高くなってきている。それらを鑑みると、上記特許文献1の技術では、仕上がりの発色の維持が難しく求められるほどの化粧持ちは得ることはできず、自然に仕上げるぼかし易さも十分ではなかった。また、特許文献2の技術でも、滑らかな使用感や付着性を得ることはできるが、化粧持ちは十分ではなかった。さらに、特許文献3の技術のようにフッ素系処理の粉体を用いると、十分な化粧持ちを得ることはできるが、肌への付着性に難を生じ、それを解消しようと付着性の高い油剤を併用すると取れが悪くなり、伸び広がりのような使用性も損ない、自然にぼかして仕上げることも難しくなってしまった。
【0005】
そこで、使用時に指や小道具で取れやすく、滑らかに伸び広がる使用性に優れ、肌への付着性、発色も良く、自然に見える仕上がりを得るためのぼかし易さに優れ、かつ化粧持ちにも優れた粉体化粧料の開発が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、使用時に取れやすく、滑らかな伸び広がりのような使用性に優れ、付着性、発色も良く、ぼかし易さに優れ、かつ化粧もちにも優れた粉体化粧料の開発をすべく、鋭意研究を行った結果、その形状特性より肌への伸び広がりを有する微小突起をもつ球状粒子の中でポリオルガノシロキサンからなる微小突起を有する球状粒子が、シリコーン油剤とのなじみが良いことに着目し、なかでも特定のフッ素変性シリコーンを組み合わせた粉体化粧料が、滑らかな伸び広がりを有しながらも肌への付着性がよくぼかし易さに優れ、更には化粧持ちを向上させることで上記課題を解決することを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、
次の成分(a)および成分(b);
(a)球状の粒子表面にポリオルガノポリシロキサンからなる突起物を有する略球形状粉体
(b)下記一般式(I)であらわされるフッ素変性シリコーン
【化1】

(式中Rは炭素数1〜10のアルキル基又はフェニル基、Rは炭素数1〜10のフッ素置換アルキル基、nは1〜6の整数であり、mは0〜3の整数、(m+n)は3〜6の整数である。)
を配合することを特徴とする粉体化粧料を提供するものである。また、特に成分(a)を1〜20質量%(以下「%」と略す)配合する前記粉体化粧料を提供するものである。更に、前述の粉体化粧料としてアイカラー又はチークカラーを提供するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、ポリオルガノシロキサンからなる突起物を有する略球形状粉体と特定のフッ素変性シリコーンを配合し、指もしくは小道具にふんわりと適度に取れ、使用時には滑らかな伸び広がりに優れ、付着性が良く、透明感が高いため発色も良く、肌に自然に溶け込むように自然にぼかすことができ、化粧持ちの良好な粉体化粧料である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の構成について詳述する。
本発明の成分(a)球状の粒子表面にポリオルガノシロキサンからなる突起物を有する略球形状粉体は、コアとなる球状の粒子がポリオルガノシロキサンからなる複数の突起を有する、いわゆる金平糖のような形状の粒子である。コアとなる粒子の材質は特に限定されるものではないが有機粉体であることが好ましく、例えば、ポリオルガノシロキサン、ポリアクリル酸アルキル、ポリメタクリル酸アルキル、ポリスチレン、ポリウレタン、ナイロン等が例示される。これらの中でも、より好ましくは、ポリオルガノシロキサン、ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチル、ポリウレタン、ポリスチレンが入手のしやすさ、コスト面などの点で適している。表面に有される突起物の材質はポリオルガノシロキサンであれば特に限定されず、具体的にはポリメチルシルセスキオキサン等が挙げられる。これらの突起物はコアとなる粒子と化学的に結合しており、容易に欠落するものではない。成分(a)の突起物は粒子表面の全体に亘って、複数存在するものであり、コアとなる球状の粒子の大きさにもよるが、概ね20〜200個存在するものであると、本発明において成分(a)の特性が十分に生かされ好ましい。
【0010】
本発明における前記成分(a)は平均粒子径が1〜30μmのものが好ましく使用でき、更には1〜15μmのものが好適である。この範囲であると、肌への伸び広がりや感触の点において、十分な効果を発揮する。また、本発明において成分(a)は、粒度分布が平均粒径の±30%の範囲にあるのが好ましい。粒度分布があまり広いと肌上での伸び広がりや付着性が十分に発揮されない。
また、成分(a)は(突起物の底面平均直径)/(コアとなる球状の粒子の平均粒径)が、0.01〜0.3であり、かつ、(突起物の平均高さ)/(コアとなる球状の粒子の平均粒径)が、0.01〜0.3であることが望ましい。この範囲を外れると、十分な付着効果やぼかし易さが得られなくなるおそれがある。
尚、ここで「成分(a)の平均粒径」の粒径とは表面に存在する突起の頂点までを含めた略球形状の粒径であり、「コアとなる球状の粒子の平均粒径」の粒径とは突起物を含めない球状部分の粒径である。これらの値や、突起物の底面平均直径、突起物の平均高さ等の値は、粒度分布測定装置や電子顕微鏡写真から求めることができる。
これらの市販品としては、コアとなる球状粒子と、突起物のどちらもがポリメチルシルセスキオキサンであるTOSPEARL 150KA(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製)、コアとなる球状粒子がメタクリル酸メチルクロスポリマーであり、表面に有される突起物がポリメチルシルセスキオキサンであるSilcrusta MK03(日興リカ社製)等がある。本発明の粉体化粧料における成分(a)の配合量は1〜20%が好ましく、更には5〜15%であると固形にした際の成型性の点で優位性があり、付着効果や、ぼかし易さの点でも好ましい。
【0011】
本発明の粉体化粧料における成分(b)は、環状シリコーン化合物にフッ素原子を導入したフッ素変性シリコーンであり、下記一般式(I)等で表わされる化合物が例示できる。
【0012】
成分(b)のフッ素変性シリコーンは、具体的には、下記一般式(II)〜(IX)で表わされる化合物が例示できる。
【化1】

(式中Rは炭素数1〜10のアルキル基又はフェニル基、Rは炭素数1〜10のフッ素置換アルキル基、nは1〜6の整数であり、mは0〜3の整数、(m+n)は3〜6の整数である。)

【化2】

(式中nは3〜6の整数である。)

【化3】


【化4】


【化5】

【化6】


【化7】


【化8】


【化9】

【0013】
本発明の粉体化粧料における、成分(b)のフッ素変性シリコーンの配合量は0.1〜10%が好ましく、更には0.5〜5%がより好ましい。この範囲で用いると、取れがよく、滑らかな伸び広がりで、化粧持ちが特に良好になる。また、前記成分(b)のフッ素変性シリコーンは必要に応じて1種または2種以上を用いることができる。このようなフッ素変性シリコーンの中でも、上記一般式(II)であらわされるトリフルオロシクロテトラシロキサンやトリフルオロシクロペンタシロキサンが好適に使用され、市販品としてはKF−5002(信越化学工業社製)が挙げられる。
【0014】
本発明の粉体化粧料には、本発明の効果を損なわない程度で、必要に応じて、前記必須成分以外の各種成分、例えば、油性成分、粉体成分、界面活性剤、水性成分、水溶性高分子、紫外線吸収剤、保湿剤、皮膜形成剤、褪色防止剤、酸化防止剤、消泡剤、美容成分、防腐剤、香料などを各種の効果を付与するために適宜配合することができる。
【0015】
様々な感触を演出する目的で用いる油性成分としては、動物油、植物油、合成油等の起源及び、固形、半固形油、液体油、揮発性油等の性状を問わず、炭化水素類、油脂類、ロウ類、エステル油類、硬化油類、脂肪酸類、高級アルコール類、シリコーン油類、ラノリン誘導体類、油性ゲル化剤類等が挙げられる。
具体的には、パラフィンワックス、セレシンワックス、マイクロクリスタリンワックス、モンタンワックス、フィッシャートロプシュワックス、流動パラフィン、スクワラン、ワセリン等の炭化水素類、モクロウ、ミンク油、オリーブ油、ヒマシ油、マカデミアンナッツ油等の油脂類、ミツロウ、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、ゲイロウ等のロウ類、ロジン酸ペンタエリスリットエステル、ホホバ油、トリ2―エチルヘキサン酸グリセリル、イソノナン酸イソトリデシル、2−エチルヘキサン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、トリオクタン酸グリセリル、ジイソステアリン酸ポリグリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、トリイソステアリン酸ジグリセリル、トリイソステアリン酸ポリグリセリル、リンゴ酸ジイソステアリル、ジエチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール等のエステル類、オレイン酸、イソステアリン酸、ステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ベヘニン酸等の脂肪酸類、ステアリルアルコール、セチルアルコール、ラウリルアルコール、ベヘニルアルコール、オレイルアルコール等の高級アルコール類、メチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、トリメチルシロキケイ酸、架橋型ポリエーテル変性メチルポリシロキサン、メタクリル変性メチルポリシロキサン、オレイル変性メチルポリシロキサン、ポリビニルピロリドン変性メチルポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン等のシリコーン油類、ラノリン、酢酸ラノリン、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラノリンアルコール等のラノリン誘導体類、イソステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、12−ヒドロキシステアリン酸等の油性ゲル化剤類等が挙げられ、これらの1種又は2種以上用いることができる。これらの中でもトリ2―エチルヘキサン酸グリセリル、イソノナン酸イソノニル、ジエチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール等の低分子量エステル油が成分(b)との相溶性がよく、成分(a)の分散性や伸び広がりや付着性の観点から好ましい。
【0016】
着色や感触の改善等を目的として用いる粉体としては、球状、板状、針状等の形状、煙霧状、微粒子、顔料級等の粒子径、多孔質、無孔質等の粒子構造等により特に限定されず、無機粉体類、光輝性粉体類、有機粉体類、色素粉体類、金属粉体類、複合粉体類等が挙げられる。
具体的に例示すれば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、硫酸バリウム等の白色無機顔料、酸化鉄、カーボンブラック、酸化クロム、水酸化クロム、紺青、群青等の有色無機顔料、タルク、白雲母、金雲母、紅雲母、黒雲母、合成雲母、絹雲母(セリサイト)、合成セリサイト、カオリン、炭化珪素、ベントナイト、スメクタイト、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化アンチモン、珪ソウ土、ケイ酸アルミニウム、メタケイ酸アルミニウムマグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ヒドロキシアパタイト、窒化ホウ素、シリカ等の白色体質粉体、二酸化チタン被覆雲母、二酸化チタン被覆オキシ塩化ビスマス、酸化鉄被覆雲母チタン、酸化鉄雲母、紺青処理雲母チタン、カルミン処理雲母チタン、オキシ塩化ビスマス、魚鱗箔等の光輝性粉体、ポリアミド系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、フッ素系樹脂、セルロース系樹脂、ポリスチレン系樹脂、スチレン−アクリル共重合体等のコポリマー樹脂、ポリプロピレン系樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂等の有機高分子樹脂粉体、ステアリン酸亜鉛、N−アシルリジン等の有機低分子性粉体、澱粉、シルク粉末、セルロース粉末等の天然有機粉体、赤色201号、赤色202号、赤色205号、赤色226号、赤色228号、橙色203号、橙色204号、青色404号、黄色401号等の有機顔料粉体、赤色3号、赤色104号、赤色106号、橙色205号、黄色4号、黄色5号、緑色3号、青色1号等のジルコニウム、バリウム又はアルミニウムレーキ等の有機顔料粉体あるいは更にアルミニウム粉、金粉、銀粉等の金属粉体、微粒子酸化チタン被覆雲母チタン、微粒子酸化亜鉛被覆雲母チタン、硫酸バリウム被覆雲母チタン、酸化チタン二酸化珪素、酸化亜鉛二酸化珪素等の複合粉体、ポリエチレンテレフタレート・アルミニウム・エポキシ積層末、ポリエチレンテレフタレート・ポリオレフィン積層フィルム末、ポリエチレンテレフタレート・ポリメチルメタクリレート積層フィルム末のラメ剤等が挙げられ、これら粉体はその1種又は2種以上を用いることができ、更に複合化したものを用いても良い。尚、これら粉体は、フッ素系化合物、シリコーン系化合物、金属石鹸、レシチン、水素添加レシチン、コラーゲン、炭化水素、高級脂肪酸、高級アルコール、エステル、ワックス、ロウ、界面活性剤等の1種又は2種以上を用いて表面処理を施してあっても良い。
【0017】
湿潤剤や感触調整剤としての目的で利用される界面活性剤としては、グリセリン脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、ポリグリセリン脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、プロピレングリコール脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、ソルビタン脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、ソルビトールの脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、ポリアルキレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン変性シリコーン、ポリオキシアルキレンアルキル共変性シリコーン等の非イオン性界面活性剤類、アルキルベンゼン硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、α−スルホン化脂肪酸塩、アシルメチルタウリン塩、N−メチル−N−アルキルタウリン塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、アルキル燐酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル燐酸塩等の陰イオン性界面活性剤類、アルキルアミン塩、ポリアミン及びアルカノイルアミン脂肪酸誘導体、アルキルアンモニウム塩、脂環式アンモニウム塩等の陽イオン性界面活性剤類、レシチン、N,N−ジメチル−N−アルキル−N−カルボキシメチルアンモニウムベタイン等の両性界面活性剤等が挙げられ、これらを一種又は二種以上を用いることができる。
【0018】
油ゲル化剤としては、デキストリン脂肪酸エステル、蔗糖脂肪酸エステル、デンプン脂肪酸エステル、ヒドロキシステアリン酸、ステアリン酸カルシウム、疎水性煙霧状シリカ、有機変性ベントナイト等が挙げられ、これらを一種又は二種以上を用いることができる。
【0019】
モイスチャー効果やみずみずしい感触を付与する目的で用いる水性成分としては、水及び水に可溶な成分であれば何れでもよく、水の他に、例えば、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール等のグリコール類、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン等のグリセロール類、アロエベラ、ウイッチヘーゼル、ハマメリス、キュウリ、レモン、ラベンダー、ローズ等の植物抽出液等が挙げられる。
感触の改善を目的で用いる水溶性高分子としては、グアーガム、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ヒアルロン酸、アラビアガム、アルギン酸ナトリウム、カラギーナン、ムコ多糖、コラーゲン、エラスチン、ケラチン等の天然系のもの、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等の半合成系のもの、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸ナトリウム等の合成系のものを挙げることができる。
紫外線吸収剤としては、例えばベンゾフェノン系、PABA系、ケイ皮酸系、サリチル酸系、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、オキシベンゾン等が挙げられる。酸化防止剤としては、例えばα−トコフェロール、アスコルビン酸等、美容成分としては、例えばビタミン類、タンパク質、消炎剤、生薬等、防腐剤としては、例えばパラオキシ安息香酸エステル、フェノキシエタノール等が挙げられる。
【0020】
本発明の粉体化粧料は粉体を主成分とするものであり、少なくとも粉体を化粧料中に70%以上、更には80%以上したものが好ましく、粉末状もしくは、これを公知の方法により成型して固形状にした化粧料のことである。固形状のものは、粉体に油剤等を分散させた組成物を、皿等の容器に充填しプレスする圧縮成型法(いわゆるプレス成型法)や、溶媒を用いる湿式充填法(いわゆるスラリー充填法)等により固形状に成形した化粧料である。用途としては、ファンデーション、白粉、コンシーラー、チークカラー、アイカラー、口紅、日焼け止め剤、化粧下地、ボディーパウダー等が挙げられる。その使用性を際立たせる点で、指や小道具でぼかしながら自然な色合いを演出するポイントメイクアップ化粧料、中でもアイカラーやチークカラーでの使用が特に好ましい。
【0021】
以下に実施例をもって本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらにより、何ら限定されるものではない。
【0022】
実施例1〜5及び比較例1〜7:粉体固形チークカラー(プレス成型)
表1に示す成分を用いて、下記の製造方法により粉体固形チークカラーを製造した。そして、「取れの良さ」、「滑らかな伸び広がり」、「付着性の良さ」、「発色の良さ」、「ぼかし易さ」及び「化粧持ち」を、下記の官能評価方法で評価した。それらの結果を併せて表1に示した。
【0023】
【表1】

【0024】
*1:パーフルオロオクチルトリエトキシシラン3%処理品マイカ
*2:パーフルオロオクチルトリエトキシシラン3%処理品タルク
*3:PDM−10L(トピー工業社製)
*4:TOSPEARL 150KA(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製)
*5:TOSPEARL 145A(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製)
*6:SP−500(東レ社製)
*7:KF−5002(信越化学工業社製)
トリフルオロプロピルシクロテトラシロキサンとトリフルオロプロピルシクロペンタシロキサンの混合物
*8:シリコンKF−96A(50cs)(信越化学工業社製)
*9:フォンブリンHC/04(アウシモント社製)
*10:コスモール525(日清オイリオグループ社製)
【0025】
(製造方法)
A.成分(1)〜(13)をヘンシェルミキサー(三井三池社製)で均一に分散する。
B.成分(14)〜(20)を均一に混合する。
C.Aをヘンシェルミキサーにて攪拌しながら、Bを添加し、均一に分散する。
D.Cをパルベライザーにて粉砕する。
E.Dを金皿に充填、圧縮成形し、固形チークカラーを得た。
【0026】
(官能評価方法)
専門パネル員20名により、前記製造方法で得られた各チークカラーを顔にブラシで使用し、使用時にブラシへの化粧料の「取れの良さ」、肌上への「滑らかな伸び広がり」、化粧料の色が肌上に自然に見えるような「ぼかし易さ」、肌上で上滑りせず密着する「付着性の良さ」、「発色の良さ」及び「化粧持ち」について、パネル各人が下記絶対評価基準にて6段階に評価し評点を付け、各試料ごとにパネル全員の評点合計から、その平均値を算出し、下記4段階判定基準により判定した。尚「化粧持ち」については使用後、通常の生活をしてもらった6時間後の状態を評価した。
[絶対評価基準]
(評点):(評価)
6点:非常に良好
5点:良好
4点:やや良好
3点:普通
2点:やや不良
1点:不良
[4段階判定基準]
(判定):(評点の平均値) :(評価)
◎ :5点を超える :非常に良好
○ :3点を超え5点以下 :良好
△ :1点を超え3点以下 :やや不良
× :1点以下 :不良
【0027】
表1の結果からも明らかなように、本発明の実施例は使用時の取れの良さに優れ、滑らかに伸び広がり、付着性や発色が良く、自然な仕上がりのようにぼかし易く、化粧持ちにも優れる化粧料であった。
それに対し、成分(a)を同じ材質のポリオルガノシロキサンからなる真球状粉体に替えた比較例1では、付着性、ぼかし易さに特に劣り、ナイロン−12からなる真球状粉体に替えた比較例2では取れやすさとぼかし易さで特に劣り、メタクリル酸メチルクロスポリマーからなる突起を持たない略球形状粉体を配合した比較例3では全体的にあまり芳しくない結果となった。また、成分(b)のフッ素変性シリコーンを配合しない比較例4では、ぼかし易さや化粧持ちに特に劣り、フッ素変性シリコーンをメチルポリシロキサンに替えた比較例5では化粧持ちが、フッ素系油剤であるパーフルオロポリメチルイソプロピルに替えた比較例6では、肌へのなじみが十分ではなく付着性が特に劣っていた。さらに、成分(b)のフッ素変性シリコーンを配合せず、配合の多いタルクとマイカを化粧持ちに効果のあるフッ素系油剤で表面処理した比較例7では、取れの良さや付着性の面で特に劣っていた。
【0028】
実施例6:粉体固形アイカラー(プレス成型)
(成分) (%)
1.セリサイト 残量
2.タルク 10
3.合成炭化水素ワックス粉末 1
4.球状の粒子表面にポリオルガノポリシロキサン
からなる突起物を有する略球形状粉体*11 10
5.雲母チタン*12 20
6.酸化チタン被覆ガラス末*13 3
7.赤色202号 0.5
8.黄酸化鉄 1.5
9.黒酸化鉄 0.5
10.防腐剤 適量
11.流動パラフィン 5
12.メチルポリシロキサン 3
13.ジメチコノール 3
14.成分(b)のフッ素変性シリコーン*7 2
15.香料 適量
【0029】
*11:Silcrusta MK03(日興リカ社製)
*12:FLAMENCO RED 420C(メルク社製)
*13:マイクログラスメタシャイン MT1080RB(日本板硝子社製)
【0030】
(製造方法)
A.成分(1)〜(10)をヘンシェルミキサー(三井三池社製)で均一に分散する。
B.成分(11)〜(15)を均一に混合する。
C.Aをヘンシェルミキサーにて攪拌しながら、Bを添加し、均一に分散する。
D.Cをパルベライザーにて粉砕する。
E.Dを金皿に充填、圧縮成形し、粉体固形アイカラーを得た。
【0031】
実施例6の粉体固形アイカラーは、使用時の取れの良さに優れ、滑らかに伸び広がり、付着性や発色が良く、自然な仕上がりのようにぼかし易く、化粧持ちにも優れる化粧料であった。
【0032】
実施例7:粉体固形アイカラー(スラリー充填)
(成分) (%)
1.セリサイト 残量
2.タルク 5
3.合成炭化水素ワックス粉末 1
4.窒化ホウ素 10
5.球状の粒子表面にポリオルガノポリシロキサン
からなる突起物を有する略球形状粉体*4 7
6.真球状メタクリル酸メチルクロスポリマー粉体 2
7.酸化チタン被覆合成金雲母*14 20
8.酸化鉄被覆雲母チタン*15 15
9.酸化鉄被覆マイカ*16 10
10.ベンガラ 4
11.黄酸化鉄 5
12.(チタン/酸化チタン)焼結物 2
13.群青 1
14.コンジョウ 1
15.防腐剤 適量
16.重質流動イソパラフィン 1
17.ワセリン 0.5
18.2−エチルヘキサン酸グリセリル 5
19.成分(b)のフッ素変性シリコーン*7 1
(スラリー用溶媒)
20.軽質流動イソパラフィン 100
【0033】
*14:HELIOS R100S(トピー工業社製)
*15:COLORONA BLACKSTAR GOLD(メルク社製)
*16:COLORONA MICABLACK(メルク社製)
【0034】
(製造方法)
A.成分(1)〜(15)を均一になるまで攪拌混合する。
B.Aと成分(16)〜(19)を均一に混合後、(20)を加えスラリー状にする。
C.Bを容器に充填した後、70℃条件下で24時間乾燥して固形アイカラー(湿式)を得た。
【0035】
実施例7の粉体固形アイカラーは、使用時の取れの良さに優れ、滑らかに伸び広がり、付着性や発色が良く、自然な仕上がりのようにぼかし易く、化粧持ちにも優れる化粧料であった。
【0036】
実施例8:粉末状チークカラー
(成分) (%)
1.ラウロイルリジン 25
2.タルク 残量
3.マイカ 8
4.酸化チタン 4
5.酸化亜鉛 2
6.球状の粒子表面にポリオルガノポリシロキサン
からなる突起物を有する略球形状粉体*4 4
7.シリカ 8
8.酸化鉄被覆雲母チタン*15 5
9.硫酸バリウム被覆雲母チタン*17 15
10.赤色202号 0.3
11.赤色226号 1
12.黄色4号 0.1
13.成分(b)のフッ素変性シリコーン*7 0.5
14.(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー 7.5
*17:RONAFLAIR LOWLUSTER PIGMENT(メルク社製)
【0037】
(製造方法)
A.成分(1)〜(12)を均一になるまで攪拌混合する。
B.Aと成分(13)及び(14)を均一に混合する。
C.Bを容器に充填して、ルース状チークカラーを得た。
【0038】
実施例8の粉末状チークカラーは、使用時の取れの良さに優れ、滑らかに伸び広がり、付着性や発色が良く、自然な仕上がりのようにぼかし易く、化粧持ちにも優れる化粧料であった。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(a)および成分(b);
(a)球状の粒子表面にポリオルガノポリシロキサンからなる突起物を有する略球形状粉体;
(b)下記一般式(I)であらわされるフッ素変性シリコーン;
【化1】

(式中Rは炭素数1〜10のアルキル基又はフェニル基、Rは炭素数1〜10のフッ素置換アルキル基、nは1〜6の整数であり、mは0〜3の整数、(m+n)は3〜6の整数である。)
を配合することを特徴とする粉体化粧料。
【請求項2】
前記成分(a)を1〜20質量%配合することを特徴とする請求項1に記載の粉体化粧料。
【請求項3】
前記成分(b)を0.1〜10質量%配合することを特徴とする請求項1又は2に記載の粉体化粧料。
【請求項4】
前記粉体化粧料がアイカラー及び/又はチークカラーであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の粉体化粧料。


【公開番号】特開2013−10706(P2013−10706A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−143712(P2011−143712)
【出願日】平成23年6月29日(2011.6.29)
【出願人】(000145862)株式会社コーセー (734)
【Fターム(参考)】