説明

粉体又は粒状体の加水装置

【課題】 粉体又は粒状体に加水を行う際に、粉体又は粒状体が団子状の塊になることがなく、均質な加水を行うことが可能であると共に、混合装置に対して粉体又は粒状体が付着することによる品質低下や、混合装置の清掃等による施工能率の低下が生じることがない、高品質かつ安価な粉体又は粒状体の加水装置を提供する。
【解決手段】 粉体又は粒状体を定量的に供給する供給部10と、粉体又は粒状体を自由落下させる落下部30と、自由落下する粉体又は粒状体に対して微粒子状の水を噴霧する噴霧部(噴霧ノズル40a、40b)と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉体又は粒状体の加水装置に関するものであり、例えば、ベントナイト等の粉体やベントナイト混合土等の粒状体に加水を行うための装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ベントナイト混合土は、砂、礫などの土とベントナイトとを混合したものであり、廃棄物処分施設の遮水層等を構築する材料として使用されている。また、放射性廃棄物処分施設等のように極めて高い遮水性が求められる場合には、ベントナイトが単独で用いられることもある。遮水層を構築するためのベントナイトやベントナイト混合土が、所要の遮水性能を発揮するためには、十分な締め固めを行って遮水層の密度を高める必要がある。このため、締め固めを容易に行うことができるように、適度な加水を行ってベントナイトやベントナイト混合土を湿潤状態とするのが一般的である。
【0003】
ベントナイトやベントナイト混合土に加水を行う方法として、例えば、コンクリート製造用の二軸強制ミキサや、バグミル型ミキサ、あるいは自走式土質改良機やスタビライザと呼ばれる混合機械にて、土とベントナイトとを混合する際に加水を行い、土、ベントナイト及び水を機械的に攪拌・混合する方法が知られている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−100132号公報
【特許文献2】特開2010−222874号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、ベントナイトは加水されることで強い粘性を発揮するため、機械的に材料を攪拌・混合した場合、ミキサの羽根や回転軸等にベントナイトやベントナイト混合土が容易に付着することが知られている。これにより、攪拌性能が低下して均質な品質のベントナイト混合土の製造が困難となる。また、ミキサの羽根や回転軸等への付着物を除去するためには、一旦混合作業を中止して清掃を行う必要があるため、多大な手間を要すると共に、施工能率が大きく低下するという問題がある。
【0006】
さらに、ベントナイトは、その粘性化する性質から、機械的な攪拌を強く行いすぎると団子状の塊になってしまい、これによっても均質な品質のベントナイトやベントナイト混合土の製造が困難になるという問題がある。
【0007】
このような問題に対して、上記特許文献1に記載された技術は、砂及び礫と、ベントナイトとを空練りする空練り部と、空練り後のベントナイト混合土に水を加える水投入部と、水が加えられたベントナイト混合土をさらに混合する練り混ぜ部を備えた構成となっている。この技術では、砂及び礫と、ベントナイトとを空練りした後に、水を加えて練り混ぜることで、団子状の塊(玉)が形成されることがなく、ばらつきの少ないベントナイト混合土が製造できるとしている。
【0008】
しかし、特許文献1に記載された技術では、空練りしたベントナイト混合土と水の練り混ぜ時には、やはりバグミル型ミキサやスタビライザ等の機械式混合装置を使用しており、攪拌羽根や回転軸等にベントナイト混合土が付着するという問題を解決しているとは言い難かった。
【0009】
また、特許文献1には、簡易な練り混ぜ方法として、邪魔板を交互に突出させた構造に、ベントナイト混合土を鉛直方向に落下させる方法が示されている。しかし、この場合にも、やはり邪魔板にベントナイト混合土が付着してしまい、メンテナンスが問題となる。さらに、邪魔板にベントナイト混合土を衝突させるだけの簡易な練り混ぜ方法では、品質の高い練り混ぜを行うことは困難である。
【0010】
また、上記特許文献2に記載された技術では、乾燥状態のベントナイトやベントナイト混合土を遮水層の構築場所に撒出し、その後に水を供給して、撒出し場所にてベントナイトやベントナイト混合土と水とを攪拌するようになっている。しかし、特許文献2に記載された技術においても、機械的な攪拌を行っている限り、攪拌羽根や回転軸等にベントナイト混合土が付着するという問題は解決されず、その清掃等のメンテナンスが必要である。さらに、遮水層の構築現場においてベントナイト混合土と水とを攪拌・混合する方法では、品質のばらつきが大きいという問題がある。
【0011】
上述した不都合は、ベントナイト及びその混合土だけに限られず、セメント及びその混合土等、他の粉体や粒状体でも生じうることである。
【0012】
本発明は、上述した事情に鑑み提案されたもので、粉体又は粒状体に加水を行う際に、粉体又は粒状体が団子状の塊になることがなく、均質な加水を行うことが可能であると共に、混合装置に対して粉体又は粒状体が付着することによる品質低下や、混合装置の清掃等による施工能率の低下が生じることがない、高品質かつ安価な粉体又は粒状体の加水装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の粉体又は粒状体の加水装置は、上述した目的を達成するため、以下の特徴点を備えている。すなわち、本発明の粉体又は粒状体の加水装置は、粉体又は粒状体を定量的に供給する供給部と、粉体又は粒状体を自由落下させる落下部と、自由落下する粉体又は粒状体に対して微粒子状の水を噴霧する噴霧部とを備えたことを特徴とするものである。
【0014】
また、上述した構成からなる粉体又は粒状体の加水装置において、供給部の下方に設けられ、下向きに拡径したコーン状の拡散装置を有し、当該拡散装置により、供給部から供給される粉体又は粒状体を同心円状に拡散させる構成であることが好ましい。
【0015】
また、上述した構成からなる粉体又は粒状体の加水装置において、噴霧部は、自由落下する粉体又は粒状体に対して多方向から微粒子状の水を噴霧する構成であることが好ましい。
【0016】
また、上述した構成からなる粉体又は粒状体の加水装置において、噴霧部は、自由落下する粉体又は粒状体の状態(形状、粒径、含水比等)に合わせて、落下部の周方向(水平方向)及び高さ方向に沿って、複数の噴霧口を有する構成であることが好ましい。
【0017】
また、上述した構成からなる粉体又は粒状体の加水装置において、粉体又は粒状体は、ベントナイト又はベントナイト混合土とすることが可能である。
【0018】
このような構成からなる粉体又は粒状体の加水装置では、例えば、落下部の上方から、供給部により、ベントナイト又はベントナイト混合土等を定量的に供給する。また、落下部の上部付近に、例えば円錐状の拡散装置を設けた構成とし、この拡散装置により、落下部内において、ベントナイト又はベントナイト混合土を同心円状に拡散する。
【0019】
そして、噴霧部により、落下部内を自由落下するベントナイト又はベントナイト混合土に対して微粒子状の水を噴霧することにより、ベントナイト又はベントナイト混合土に対して加水を行うことができる。この際、ベントナイト又はベントナイト混合土に対して、内側及び外側のように多方向から水を噴霧し、あるいは落下方向に沿って多段的に水を噴霧することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の粉体又は粒状体の加水装置は、例えば、ベントナイト又は予め空練りされたベントナイト混合土等の粉体又は粒状体を、薄く広げた状態で鉛直に自由落下させ、微粒子状の水を四方八方から多点的に噴霧することにより、ベントナイト又はベントナイト混合土等の粉体又は粒状体の粒子と水とを広く接触させることができる。これにより、ベントナイト又はベントナイト混合土等の粉体又は粒状体が、団子状の塊となることがなく、また、加水装置の構造部位に付着する等の問題を生じさせることなく、均質に加水を行うことが可能となる。したがって、加水後の粉体又は粒状体の品質が向上するだけではなく、施工能率が向上するので、高品質かつ安価な粉体又は粒状体の加水装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施形態に係る粉体又は粒状体の加水装置の構成を示す模式図。
【図2】定量供給装置の構成を示す模式図。
【図3】拡散装置による粉体又は粒状体の拡散状態を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して、本発明に係る粉体又は粒状体の加水装置(以下、加水装置と略記する)の実施形態を説明する。図1〜図3は本発明の実施形態に係る加水装置を示すもので、図1は全体構成を示す模式図、図2は定量供給装置の構成を示す模式図である。また、図3は拡散装置による粉体又は粒状体の拡散状態を示す模式図であり、図3(a)は拡散装置を側面から見た状態を示し、図3(b)は粒体又は粒状体の断面状態を示している。なお、以下の説明では、粉体又は粒状体の代表例としてベントナイト又はベントナイト混合土について説明するが、本発明を適用する粉体又は粒状体はこれに限られるものではなく、セメントのように、他の粉体や、その混合物からなる粒状体にも適用することができる。なお、本発明が対象とする粉体とは、粒径がおよそ1mm未満程度の固体粒子のことであり、また、本発明が対象とする粒状体とは、粒径がおよそ1mm〜20mm程度の固体粒子のことである。
【0023】
<加水装置の概要>
本発明の実施形態に係る加水装置100は、図1に示すように、略円筒形状の落下部30を備えており、この落下部30の上方に供給部10を配置している。本実施形態の供給部10は、ホッパー11、スクリューコンベア12及び攪拌部15等を有する定量供給装置からなり、ベントナイト又は空練りされたベントナイト混合土(以下、両者をベントナイト混合土70と総称する)をホッパー11に蓄え、このベントナイト混合土70を定量供給装置により、落下部30内に定量的に落下させる。落下部30には、ホッパー11の直下に位置するように拡散装置20が設けられており、この拡散装置20により、ベントナイト混合土70が同心円状に広がって、落下部30内を鉛直に落下する。
【0024】
落下部30には、同心円状に広がって自由落下するベントナイト混合土70の内側及び外側に位置するように、かつ、落下部30の高さ方向に沿って、複数の噴霧ノズル(噴霧部)40a、40bが設けられており、この噴霧ノズル40a、40bから、自由落下するベントナイト混合土70に対して微粒子状の水を噴霧することにより、ベントナイト混合土70と水とを接触させる。この際、自由落下中のベントナイト混合土70が水の噴霧圧によって飛散しないように、噴霧ノズル40a、40bは、同心円の内外からベントナイト混合土70を挟み込む位置に配置して加水を行う。これにより、落下部30内を自由落下するベントナイト混合土70が、所要の状態となるまで加水される。
【0025】
<供給部>
供給部10は、図1に示すように、落下部30の上部に設けられたホッパー11と、ホッパー11の下部に設けられた定量供給装置とからなる。ホッパー11は、ベントナイト混合土70を貯留できればどのような形状であってもよいが、本実施形態では、下向きに縮径した円錐状となっており、下端部に排出口が設けられている。なお、ホッパー11の形状や容量は、加水処理を行うベントナイト混合土70の処理量等、処理現場の状況に応じて適宜変更することができる。
【0026】
<定量供給装置>
定量供給装置は、図2に示すように、ホッパー11の下部に設けられたスクリューコンベア12と、スクリューコンベア12の回転軸13を回転駆動するためのモータ14とを備えており、さらに、ホッパー11内に貯留したベントナイト混合土70を攪拌するための攪拌部15を備えることが好ましい。攪拌部15は、攪拌回転軸16に取り付けられたレイキからなり、ホッパー11の排出口付近のベントナイト混合土70を攪拌して、スクリューコンベア12に対してベントナイト混合土70を安定供給するための部材である。なお、攪拌回転軸16は、攪拌用モータ17の駆動により回動する。
【0027】
この定量供給装置では、スクリューコンベア12を等速回転させることにより、ホッパー11内に貯留されたベントナイト混合土70が、排出口から定量的に排出される。なお、定量供給装置は、スクリューコンベア12及びその付属機器に限定されるものではなく、ベントナイト混合土70を定量供給できる装置であれば、ピストン式、ダイヤフラム式、プランジャ式、スネーク式等、どのような構造であってもよい。
【0028】
<落下部>
落下部30は、図1に示すように、架台50上に載置された円筒状の部材であり、ベントナイト混合土70を自由落下させる間に、所定量の加水を行うことができる高さを有している。落下部30の形状、径及び高さは、加水処理を行うベントナイト混合土70の処理量等、処理現場の状況に応じて適宜変更することができる。
【0029】
<拡散装置>
拡散装置20は、図1、図3(a)に示すように、下向きに拡径したコーン状の部材であり、供給部10の直下に設けられた円筒状の拡散部21内に収容されている。供給部10から供給されるベントナイト混合土70は、図3(b)に示すように、拡散装置20により同心円状に広がり、落下部30内を自由落下する。また、拡散装置20の下部には、拡散装置20と一体となって、ベントナイト混合土70を同心円状に広げるために、円筒状のスカート部22が設けられている。すなわち、ホッパー11の排出口から落下するベントナイト混合土70は、コーン状の拡散装置20により同心円状に広げられるが、この際、ベントナイト混合土70が拡散部21の内壁に衝突して跳ね返り、拡散装置20の径よりも内側へ広がることを防止するために、緩衝部として機能するスカート部21が設けられている。
【0030】
なお、拡散装置20は、上述した形状に限定されるものではなく、落下するベントナイト混合土70を拡散できればどのような形状であってもよく、落下部30の形状等に応じて適宜な形状とすることができる。また、スカート部21は、メンテナンス等を容易にするため、拡散装置20に対して着脱可能とすることが好ましい。
【0031】
<噴霧部>
噴霧部は、複数の噴霧ノズル40a、40bからなり、各噴霧ノズル40a、40bは、同心円状に広がって自由落下するベントナイト混合土70の内側及び外側に位置するようにして、落下部30の周方向及び高さ方向に沿って複数配置されている。各噴霧ノズル40a、40bには、水供給パイプ60の一端が接続されており、水供給パイプ60の他端は圧縮ポンプ(図示せず)に接続されている。そして、水タンク(図示せず)に貯留した水を圧縮ポンプにより所定圧力に圧縮し、水供給パイプ60を介して噴霧ノズル40a、40bに供給することにより、噴霧ノズル40a、40bから微粒子状(霧状)の水が噴出する。
【0032】
本実施形態の噴霧ノズル40a、40bは、落下部30の略中心部と外周部の内外2系統に分かれており、落下部30の高さ方向(上下方向)に多段に配置されている。内側系統の噴霧ノズル40aは、高さ方向に4〜6段設けられており、各段には、落下部30の中心から外側に向かって同心円状で等間隔に4〜8カ所設けられている。一方、外側系統の各噴霧ノズル40bは、内側系統の各噴霧ノズル40aにそれぞれ対向する位置に配置されている。すなわち、外側系統の各噴霧ノズル40bは、高さ方向に4〜6段設けられており、各段には、落下部30の外側から中心に向かって同心円状で等間隔に4〜8カ所設けられている。なお、噴霧ノズル40a、40bの向きは、自由落下するベントナイト混合土70を拡散させないために略水平方向とすることが好ましいが、ベントナイト混合土70に対して満遍なく加水を行うために、下向きあるいは上向きに設置する場合もある。
【0033】
噴霧ノズル40a、40bは、水を微粒子状に噴霧できればどのような構造であってもよく、水圧だけで水を噴霧するもの、あるいは空気の圧力で水を噴霧するもの(2流体噴霧式ノズル)等を用いることができる。本実施形態では、噴霧ノズル40a、40bから噴霧する水粒子の径は、約10〜400μmである。また、噴霧する水の圧力は、約0.05〜1.0MPaである。
【0034】
本実施形態では、各噴霧ノズル40a、40bにおける噴霧量の調整を行い、あるいは高さ方向に多段に設けた噴霧ノズル40a、40bの段数を増減することにより、加水量を調整することができる。具体的には、予備的に噴霧を行い、ベントナイト混合土70の加水状態を把握して、所望の加水量となるように水圧や空気圧を調整したり、各噴霧ノズル40a、40bに開閉弁(図示せず)を設けておき、この開閉弁を開閉することにより使用する噴霧ノズル40a、40bの数を調整したりすればよい。なお、噴霧ノズル40a、40bの設置位置及び設置数、噴霧する水の粒径、噴霧圧は、加水処理を行うベントナイト混合土70の処理量等、処理現場の状況に応じて適宜変更することができる。
【0035】
<ベントナイト混合土の生成>
本実施形態の加水装置100では、ベントナイト混合土70に対して加水を行っている。このベントナイト混合土70を事前に空練りする方法として、従来の二軸強制ミキサやバクミル型ミキサを使用することも可能であるが、例えば、特許第2975891号公報に記載された「混練方法およびその装置」に関する技術を用いることにより、ベントナイト混合土70を安価でかつ効率的に生成することができる。
【0036】
この混練装置は、流動性のある被混練材料を、断面形状の変化した変形通路内を通すことによって混練する装置であって、変形通路を有する装置本体と、変形通路の入口側に接続され、変形通路内に被混練材料を加圧して送り込むための材料圧送手段とを備えている。また、装置本体は、並行配置された複数の変形通路を含み、各変形通路は、その断面形状が入口から出口に向かって連続的に変化しており、しかも、各変形通路の入口と出口との間に、各変形通路を通過する被混練材料を合流させる合流手段と、合流した被混練材料を分割して各変形通路に流す分割手段とを備えており、さらに、各変形通路の少なくとも一つが残りの変形通路の長さと相違している。
【0037】
また、装置本体は、変形通路の方向に直列に接続される複数個のエレメントとからなり、各エレメントは、並行配置された複数の変形通路を備え、各変形通路の入口と出口のうち、互いに隣り合う一方のエレメントの出口に対して他方のエレメントの入口が接続され、出口と入口との接続部分に合流手段および分割手段を設けてもよい。さらに、変形通路の少なくとも一つにバイパス通路を設けてもよい。
【0038】
このような構成からなる混練装置を用いた混練方法は、各変形通路の入口から流動性のある被混練材料を加圧して送り込むことにより、その被混練材料の断面形状を連続的に変化させて混練するものである。そして、混練工程の途中で、各変形通路内を流れる被混練材料を合流させる混合工程と、合流した被混練材料を分割して各変形通路にそれぞれ流す分割工程と、各変形通路内を流れる被混練材料が互いに合流するタイミングを相互にずらす合流調整工程とを含んでいる。
【0039】
合流調整工程としては、変形通路自体の長さを変えて、あるいはバイパス通路を設けて変形通路の実質的な長さを変化させてもよい。また、各変形通路の少なくとも一つに、その変形通路の途中において、被混練材料に混入すべき材料の一部を加圧して送り込むことによって混練してもよい。
【0040】
<ベントナイト混合土の搬送>
上述したように、本実施形態の加水装置100は、供給部10を構成するホッパー11の上部から、空練りされたベントナイト混合土70を供給し、落下部30内を自由落下させながら加水を行う。この一連の工程を行う装置として、図示しないが、ホッパー11の上方開口部へ空練りされたベントナイト混合土70を供給するためのベルトコンベアを備えている。また、落下部30の下方には、加水後のベントナイト混合土70を搬出するためのベルトコンベアを備えている。さらに、落下部30の下端部に、先細り状のシュートを設けてもよい。シュートを設けることにより、加水後のベントナイト混合土70を飛散させることなく搬出用のベルトコンベア上に導くことができる。
【0041】
<他の実施形態>
上述した実施形態では、円筒状の落下部30を用いると共に、拡散装置20によりベントナイト混合土70を同心円状に拡散し、落下部30内を自由落下するベントナイト混合土70に対して、噴霧ノズル40a、40bから微粒子状の水を噴霧することにより加水を行っているが、本発明の加水装置は、このような形状に限定されるものではない。例えば、ベルトコンベア上でベントナイト混合土70を薄く広げて搬送し、そのまま平板状に自由落下させて、平板状のベントナイト混合土70を両面から挟み込むように噴霧ノズル40a、40bを配置して、ベントナイト混合土70に対して噴霧加水を行ってもよい。
【0042】
<従来技術との比較>
従来行われていた、ミキサやスタビライザ等による機械式の加水・混合方法では、攪拌装置内にベントナイト混合土と水とを投入して、攪拌羽根により機械的な力を加えることにより、攪拌・分散させて、ベントナイト混合土に水を接触させている。これに対して、本発明の加水装置では、ベントナイト混合土を自由落下させて分散し、微粒子状に噴霧された水との衝突により、ベントナイト混合土に水を接触させている。したがって、攪拌羽根等でベントナイト混合土に対して強制的な力を加えていないので、団子状の塊(玉)が発生することがなく、かつ、攪拌羽根やその回転軸等の動力機構に、加水されたベントナイト混合土が付着するという問題は生じない。
【0043】
また、ベントナイト混合土に対して均質に加水を行うためには、ベントナイト混合土と水との接触面積をいかに広げるかが重要なポイントとなる。従来の機械式の加水・混合装置では、ベントナイト混合土と水とを機械的に攪拌・分散させていたが、これでは均質な加水を行うことができない場合が多かった。一方、本発明の加水装置では、コーン状のガイド(拡散装置)を用いて、自由落下するベントナイト混合土を同心円状に広げ、落下過程で土粒子をばらけさせ、かつ同心円状に広がったベントナイト混合土の内外から、多方向・多段で水を噴霧することにより、均質な加水を実現している。
【0044】
このように、本発明の加水装置は、ベントナイト混合土に対して機械的な作用を加えることがないため、ベントナイト混合土が団子状の塊(玉)になることなく、均質で、かつ、ばらつきの少ない加水を行うことができる。さらに、従来、機械式の加水・混合方法の問題点であった、装置に対するベントナイト混合土の付着による品質低下や、装置の清掃等による施工能率の低下が生じない。さらに、機械的な機構を伴わない簡便な装置であるため、安価であり、かつ、粉塵や振動等が極めて少ないため、モータの故障等の機械トラブルが発生し難いという優れた利点を有している。なお、本発明の加水装置は、ベントナイト又はベントナイト混合土の他に、セメント又はその混合土のような粉体又は粒状体に対して加水する際に使用することができるので、他の粉体又は粒状体においても、同様の作用効果を発揮することが可能である。
【符号の説明】
【0045】
100 加水装置
10 供給部
11 ホッパー
12 スクリューコンベア
13 回転軸
14 モータ
15 攪拌部
16 攪拌回転軸
17 攪拌用モータ
20 拡散装置
21 拡散部
22 スカート部
30 落下部
40a 内側系統の噴霧ノズル
40b 外側系統の噴霧ノズル
50 架台
60 水供給パイプ
70 ベントナイト混合土

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉体又は粒状体を定量的に供給する供給部と、
前記粉体又は粒状体を自由落下させる落下部と、
前記自由落下する粉体又は粒状体に対して微粒子状の水を噴霧する噴霧部と、
を備えたことを特徴とする粉体又は粒状体の加水装置。
【請求項2】
前記供給部の下方に設けられ、下向きに拡径したコーン状の拡散装置を備え、当該拡散装置により、前記供給部から供給される粉体又は粒状体を同心円状に拡散させることを特徴とする請求項1に記載の粉体又は粒状体の加水装置。
【請求項3】
前記噴霧部は、前記自由落下する粉体又は粒状体に対して多方向から微粒子状の水を噴霧することを特徴とする請求項1又は2に記載の粉体又は粒状体の加水装置。
【請求項4】
前記噴霧部は、前記自由落下する粉体又は粒状体の状態に合わせて、前記落下部の周方向及び高さ方向に沿って、複数の噴霧口を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の粉体又は粒状体の加水装置。
【請求項5】
前記粉体又は粒状体は、ベントナイト又はベントナイト混合土であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の粉体又は粒状体の加水装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−121204(P2012−121204A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−273093(P2010−273093)
【出願日】平成22年12月8日(2010.12.8)
【出願人】(000201478)前田建設工業株式会社 (358)
【Fターム(参考)】