粉体収容器、トナーカートリッジ、現像装置、プロセスユニット、画像形成装置、及び粉体収容器の再生産方法
【課題】電子部品又は光学部品が設けられている粉体収容器の再生産工程における問題を解決し、容易かつ効率的に再生産することが可能な粉体収容器を提供する。
【解決手段】内部にトナーを収容するハウジング20と、ハウジング20の内部と外部を連通するようにハウジング20に設けられた穴26と、穴26を開閉するためにハウジング20に着脱可能に取り付けられた蓋部材27と、粉体収容器が装着される機器との間で電気又は光の信号のやり取りをして機能を発揮する電子部品28又は光学部品とを備えた粉体収容器において、電子部品28又は光学部品を蓋部材27に設けた。
【解決手段】内部にトナーを収容するハウジング20と、ハウジング20の内部と外部を連通するようにハウジング20に設けられた穴26と、穴26を開閉するためにハウジング20に着脱可能に取り付けられた蓋部材27と、粉体収容器が装着される機器との間で電気又は光の信号のやり取りをして機能を発揮する電子部品28又は光学部品とを備えた粉体収容器において、電子部品28又は光学部品を蓋部材27に設けた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉体を収容する粉体収容器、粉体収容器を用いたトナーカートリッジ、現像装置、プロセスユニット、画像形成装置、及び粉体収容器の再生産方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、プリンタ、ファクシミリ、あるいはこれらの複合機等の電子写真方式の画像形成装置において、トナーカートリッジ、現像装置、又はこれらと感光体などを一体的に構成したプロセスユニットを、画像形成装置本体に対して着脱可能に構成した方式が知られている。この方式は、ユーザー等がユニットを交換することで容易に装置のメンテナンスを行うことができるという利点から、多くの製品に採用されている。
【0003】
また、上記トナーカートリッジ、現像装置、プロセスユニットには、それらを構成するハウジングの外側にICチップ(ICタグ)などの情報記憶媒体が設けられているものがある(特許文献1参照)。この情報記憶媒体としてのICチップには、トナー量に関する情報、現像ローラや感光体などの部品の使用による摩耗や劣化を管理するための駆動回転時間又は走行距離、トナーカートリッジ、現像装置又はプロセスユニットの製造年月日やその個体識別番号、それらが装着される画像形成装置の個体識別番号、装着年月日、それらが寿命に至った年月日などの情報が記憶されている。これらの情報をICチップに記憶し、あるいは更新することで、画像品質の維持やトナーカートリッジ等の交換時期などをユーザーに知らしめるようにしている。
【0004】
また、上記トナーカートリッジ、現像装置又はプロセスユニットのハウジングに、圧力の変化や磁界変化を検知してトナー(キャリアが混合されたものを含む)の量を検知するトナーセンサが設けられたものがある。さらに、透明樹脂から成る導光部材をハウジング内に配置し、その導光部材の一部を欠落させてその欠落部に存在するトナーを外部から発光させた光で検知する(トナーがあれば光りが遮断され、トナーがなくなれば光が通じる)という光学式のトナーセンサもある。
【0005】
ところで、近年では、先進諸国を中心として世界的に環境問題への取り組みが行われており、画像形成装置メーカーにおいても、その取り組みの一つとして、トナーが無くなった使用済みのトナーカートリッジ、現像装置、又はプロセスユニットなどを、ユーザーから回収し、必要な処置を施してから再度市場に投入する再生産を行っている。
【0006】
一般的に、トナーカートリッジ等を再生産するには、まず、ハウジングに設けられた充填口を開封するか、又はハウジングに別途穴を開け、その穴あるいは充填口からエアガンなどで高圧縮された空気を送り込んで、ハウジング内に残るトナーを外部に排出する清掃工程を行う。そして、充填口又は開けられた穴からハウジング内にトナーを再充填し、封止部材で充填口又は穴を封止する(特許文献2参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、トナーカートリッジ等にICチップ(ICタグ)などの情報記憶媒体が設けられている場合、上記清掃工程において、ハウジング外に排出されたトナーが情報記憶媒体に付着したり、トナーの付着した手で情報記憶媒体に触れたりすることなどにより、情報記憶媒体がトナーで汚れてしまうことがある。情報記憶媒体がトナーで汚れると、その接続端子において接触不良が生じ、正確に情報が読み書きできなくなる虞がある。このため、情報記憶媒体がトナーで汚れた場合は、情報記憶媒体を清掃しなければならず、その手間が別途生じることになる。
【0008】
また、圧力変化を検知するトナーセンサ(以下、圧電センサとする)や磁界変化を検知するセンサ(以下、磁気センサとする)がトナーカートリッジ等に設けられている場合も同様で、清掃中にセンサが汚れるとそれらに付属する端子の接触不良が生じる虞がある。
【0009】
さらに、清掃作業中に、エアガンでの吹き付けにより発生する静電気によって、上記情報記憶媒体や圧電センサあるいは磁気センサの電子部品が破損してしまい、再使用ができなくなってしまうといった問題もある。
【0010】
一方、光学式センサの導光部材は、上記圧電センサや磁気センサのように接触不良を起す虞は無いが、ハウジング内で比較的大きな容積を取るため、導光部材が取り付けられたままでは、ハウジングの清掃作業やトナー充填作業の邪魔になり、それらの作業工程を完全に遂行することができなくなる虞がある。
【0011】
そこで、本発明は、斯かる事情に鑑み、電子部品又は光学部品が設けられている粉体収容器の再生産工程における問題を解決し、容易かつ効率的に再生産することが可能な粉体収容器、その粉体収容器を用いたトナーカートリッジ、現像装置、プロセスユニット、画像形成装置、及び前記粉体収容器の再生産方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため、請求項1に係る発明は、内部に粉体を収容するハウジングと、前記ハウジングの内部と外部を連通するようにハウジングに設けられた穴と、前記穴を開閉するためにハウジングに着脱可能に取り付けられた蓋部材と、粉体収容器が装着される機器との間で電気又は光の信号のやり取りをして機能を発揮する電子部品又は光学部品とを備えた粉体収容器において、前記電子部品又は前記光学部品を前記蓋部材に設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、電子部品又は光学部品を蓋部材と一緒にハウジングから取り外すことができるので、容易かつ効率的に粉体収容器を再生産することができるようになる。すなわち、粉体収容器に電子部品が設けられている場合、ハウジングの清掃作業をする前に、電子部品を蓋部材と一緒に取り外し保管しておくことで、清掃中に粉体などが電子部品に付着するのを回避することができる。これにより、粉体などで汚れた電子部品の清掃作業を別途行う必要がなくなるので、作業効率が向上する。また、清掃作業中に静電気が発生しても、電子部品はその影響を受けないので、電子部品が静電気によって破損する虞もない。また、粉体収容器に光学部品が設けられている場合、ハウジングの清掃作業をする前に、光学部品を蓋部材と一緒に取り外しておくことで、光学部品がハウジングの清掃作業や粉体の充填作業の邪魔にならなくなるので、それらの作業が行いやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施の一形態に係る画像形成装置の概略構成図である。
【図2】本発明の実施の一形態に係るプロセスユニットの概略構成図である。
【図3】プロセスユニットの外観図である。
【図4】プロセスユニットの要部拡大図である。
【図5】プロセスユニットの要部拡大図である。
【図6】本発明の他の実施形態に係るプロセスユニットの概略構成図である。
【図7】(a)は蓋部材を横から見た図、(b)は蓋部材を内側から見た図である。
【図8】蓋部材の取付方法を説明するための図である。
【図9】前記他の実施形態に係るプロセスユニットを画像形成装置本体に装着した状態を示す図である。
【図10】本発明のさらに別の実施形態に係るプロセスユニットの概略構成図である。
【図11】光学式の検知手段の構成を示す図である。
【図12】蓋部材の変形例を示す図である。
【図13】本発明の構成を、縦方向に複数並べて配設されるプロセスユニットに適用した例を示す概略構成図である。
【図14】本発明の構成を、横方向に複数並べて配設されるプロセスユニットに適用した例を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付の図面に基づき、本発明について説明する。なお、本発明を説明するための各図面において、同一の機能もしくは形状を有する部材や構成部品等の構成要素については、判別が可能な限り同一符号を付すことにより一度説明した後ではその説明を省略する。
【0016】
まず、図1を参照して、本発明の実施の一形態に係る画像形成装置の全体構成及び動作について説明する。
図1に示す画像形成装置1は、モノクロ画像形成装置であり、その装置本体のほぼ中央部には、画像形成ユニットとしてのプロセスユニット10が着脱可能に装着されている。プロセスユニット10は、潜像担持体としてのドラム状の感光体2と、感光体2の表面を帯電させる帯電ローラ3等を備える帯電装置と、感光体2上の潜像を現像(顕像化)する現像装置4と、感光体2の表面をクリーニングするためのクリーニングブレード5等を備えるクリーニング装置などを有する。
【0017】
プロセスユニット10の上方には、感光体2の表面を露光する露光装置6が配設されている。露光装置6は、光源、ポリゴンミラー、f−θレンズ、反射ミラー等を有し、画像データに基づいて感光体2の表面へレーザー光Lを照射するようになっている。
【0018】
プロセスユニット10の下方には、画像を用紙などに転写する転写手段としての転写ローラ8を備えた転写装置7が配設されている。転写ローラ8は、感光体2に接触するように配設されている。また、転写ローラ8には、図示しない電源から転写バイアスが印加されるようになっている。
【0019】
画像形成装置1の図の右部には、用紙やOHPシートなどのシート状の記録媒体を給送する給送手段としての給紙ローラ11を備えた給紙装置9が配設されている。
【0020】
一方、画像形成装置1の図の左部には、用紙等を装置外へ排出する排出手段としての排紙ローラ対13を備えた排紙装置12と、装置外に排出された用紙等をストックする排紙トレイ14とが配設されている。
【0021】
また、画像形成装置1内には、給紙装置9から排紙装置12へ用紙等を搬送するための搬送路Rが形成されている。この搬送路Rにおいて、感光体2と転写ローラ8との接触部に形成された転写ニップよりも搬送方向上流側には、搬送装置15が配設されている。搬送装置15は、搬送タイミングを計って用紙等を前記転写ニップへ搬送する搬送手段としてのレジストローラ対16を備えている。
【0022】
一方、転写ニップよりも搬送方向下流側には、定着装置17が配設されている。定着装置17は、互いに接触して配設された定着ローラ18と加圧ローラ19を備える。定着ローラ18内には、加熱源としての図示しないハロゲンヒータが配設されている。
【0023】
上記画像形成装置は以下のように動作する。
作像動作が開始されると、感光体2が図1の時計回りに回転駆動され、帯電ローラ3によって感光体2の表面が所定の極性に一様に帯電される。次いで、図示しない画像読取装置によって読み取られた原稿の画像情報に基づいて、露光装置6から感光体2の帯電面にレーザー光Lが照射されて、感光体2の表面に静電潜像が形成される。このように感光体2上に形成された静電潜像に、現像装置4によってトナーが供給されることにより、静電潜像はトナー画像として顕像化(可視像化)される。
【0024】
一方、給紙装置9では、給紙ローラ11が回転を開始することにより、積載されている用紙が搬送路Rへ送り出される。搬送路Rへ送り出された用紙は、レジストローラ対16に突き当たって一旦静止され、これにより用紙の斜行が矯正される。その後、レジストローラ対16の回転駆動を開始し、上記感光体2上に形成されたトナー画像とタイミングが合うように、感光体2と転写ローラ8との間の転写ニップへ用紙を搬送する。
【0025】
このとき、転写ローラ8には、感光体2上のトナー画像の帯電極性と逆極性の転写バイアスが印加されており、これにより形成された転写電界によって、感光体2上のトナー画像が用紙に転写される。トナー画像が転写された用紙は定着装置17へと搬送され、定着ローラ18と加圧ローラ19との接触する定着ニップを用紙が通過する際にトナーが熱で溶融し、トナー画像が用紙に定着される。その後、用紙は、排紙ローラ対13によって装置外に排出され、排紙トレイ14上にストックされる。
【0026】
また、上記トナー画像の転写を終えた感光体2は、クリーニングブレード5によってその表面がクリーニングされた後、引き続き潜像形成のために帯電ローラ3により再び帯電されて、次の露光に備える。
【0027】
なお、本実施形態の構成では、用紙等の搬送路Rをほぼ水平にすることで、画像形成装置自体を薄くし、小型化することを可能にしている。また、搬送路Rがほぼ水平となることで、さまざまな記録媒体に対して紙詰まり(ジャム)が発生しにくい構成となっている。
【0028】
図2は、プロセスユニットの概略構成図である。
以下、図2に基づき、プロセスユニット10が有する現像装置4について説明する。
【0029】
図2に示すように、現像装置4は、現像剤(画像形成に用いる粉体)としてのトナーを収容する現像剤収容部21を内部に有するハウジング20と、トナーを担持して感光体2上の潜像を現像する現像手段としての現像ローラ22と、現像ローラ22にトナーを供給する供給部材としての供給ローラ23と、現像ローラ22上に担持されたトナー量を規制する規制部材としての現像ブレード24と、現像剤収容部21内のトナーを撹拌する撹拌部材としてのアジテータ25などを備える。
【0030】
供給ローラ23は現像ローラ22に当接しており、作像動作の開始に伴って現像ローラ22と供給ローラ23とが回転を開始すると、供給ローラ23によって現像ローラ22の表面にトナーが供給され担持される。また、現像ローラ22上に担持されたトナーは、現像ローラ22と現像ブレード24との当接箇所を通過することにより、トナー層の厚さが規制されるようになっている。その後、現像ローラ22上のトナーが感光体2との当接箇所(現像領域)に搬送されると、トナーが感光体2上の静電潜像へ静電的に転移してトナー画像が形成される。また、アジテータ25は、回転することにより、現像剤収容部21内のトナーを撹拌しつつ供給ローラ23側へ搬送するようになっている。
【0031】
また、図2に示すように、ハウジング20には、その内部と外部を連通するように穴26が設けられている。この穴26は、トナーを充填するための穴であり、トナー充填後は板状の蓋部材27によって閉塞(密封)されている。また、蓋部材27の外面には、情報記憶媒体としてのICチップ28(ICタグ)が設けられている。
【0032】
ICチップ28には、少なくともハウジング20内に収容されたトナーに関する情報が記憶されている。トナーに関する情報とは、例えば、トナー量(トナー残量)やトナーの色などである。また、それ以外に、現像ローラや感光体などの部品の使用による摩耗や劣化を管理するための駆動回転時間又は走行距離、プロセスユニットの製造年月日やその個体識別番号、画像形成装置の個体識別番号、プロセスユニットの装着年月日、プロセスユニットが寿命に至った年月日などの情報を、ICチップ28に記憶させてもよい。
【0033】
また、画像形成装置1の本体側には、ICチップ28の情報を読み取る図示しない情報読み取り装置が設けられている。プロセスユニット10を画像形成装置本体に装着すると、プロセスユニット10側のICチップ28と、本体側の情報読み取り装置とが、接続端子を介して電気的に接続されることにより、ICチップ28からの情報の読み出し及びICチップ28への情報の書込が行うことが可能となる。
【0034】
図3は、プロセスユニットの外観図、図4及び図5は、その要部拡大図である。
図3に示すように、上記蓋部材27は、ハウジング20の外側に設けられたホルダ29を介して着脱可能に取り付けられている。
【0035】
詳しくは、図4及び図5に示すように、ホルダ29は、蓋部材27を挿入可能な一対の溝部29aを有する。これらの溝部29aに蓋部材27を挿入すると、蓋部材27の下端部が溝部29aの底29b(図5参照)に当接することで、蓋部材27がホルダ29によって保持されるようになっている。
【0036】
また、図5に示すように、蓋部材27の裏面(ハウジング20に対向する面)には、発泡ウレタンフォームなどから成るシール部材30が設けられている。このシール部材30は、穴26を覆うことができる大きさに形成されており、蓋部材27をホルダ29に挿入した状態にすると、シール部材30によって穴26が塞がれ、穴26からのトナー漏れが防止される。また、この状態で、シール部材30は、蓋部材27とハウジング20との間で圧縮されており、そのシール部材30の復元力によって蓋部材27はホルダ29の溝部29aに押し付けられている。この押し付け力によって、蓋部材27が溝部29aから抜け出ないように保持されている。また、シール部材30の復元力以上の力を蓋部材27の外側からハウジング20側に加えながら蓋部材27を上方へスライドさせることにより、蓋部材27をホルダ29から取り外すことができる。
【0037】
以下、本実施形態に係るプロセスユニットの再生産方法について説明する。
トナーが消費され、トナーが無くなった使用済みのプロセスユニット10は、ユーザー等から回収された後、ハウジング20内の劣化した残留トナーを排出するための清掃作業が行われる。このとき、清掃作業を行う前に、ハウジング20から、ICチップ28(ICタグ)が設けてある蓋部材27を取り外す。そして、清掃作業中に飛散するトナーがICチップ28(ICタグ)に付着しないような場所に、蓋部材27を保管しておく。
【0038】
その後、ハウジング20内の清掃作業を行う。清掃作業は、まず、ハウジング20の穴26を下向きにしてプロセスユニット10を振動させ、穴26からハウジング20内の残留トナーをある程度排出する。次いで、エアガンなどで穴26からハウジング20内に高圧縮空気を送り込んで、ハウジング20内に残っているトナーを穴26から吹き出す。
【0039】
上記清掃作業を終えると、新しいトナーを穴26からハウジング20内に再充填し、保管してある蓋部材27を取り付けて穴26を塞ぐ。また、ICチップ28は、情報の書き換え又は一部更新が行われる。以上の工程を経て、プロセスユニット10の再生産が完了する。
【0040】
なお、ハウジング20の清掃作業を行う際に、ハウジング20に新たに穴を開け、そこから残留トナーの排出を行う方法もあるが、この場合、穴開け時に内部部品を傷つけないように注意が必要となると共に、開けた穴を塞ぐ必要が生じる。また、プロセスユニット10を構成する部品にエアガンが干渉してトナー充填用の穴26などからハウジング20内に高圧縮空気を送り込めない場合は、構成部品を一旦分解する必要がある。この場合、構成部品を分解する手間が生じる上、分解した部品の管理もしなければならないため、清掃作業に至るまでの準備段階にかなりの手間がかかる。
【0041】
これに対し、上記本発明の実施形態の場合は、予め設けられている充填口(あるいは排出口)としての穴26を利用することにより、ハウジング20に新たに穴を開けることなく、また、プロセスユニット10を分解することなくハウジング20内の清掃作業を行える。このため、効率良く清掃作業を行うことが可能である。
【0042】
以上のように、本実施形態に係るプロセスユニットの再生産方法によれば、ハウジング20の清掃作業をする前に、ハウジング20からICチップ28(ICタグ)が設けてある蓋部材27を取り外し保管しておくことで、清掃中に飛散したトナーや手に付着したトナーがICチップ28(ICタグ)に付着するのを回避することができる。これにより、トナーで汚れたICチップ28(ICタグ)の清掃作業を別途行う必要がなくなるので、作業効率が向上する。また、清掃作業中のエアガンでの吹き付けにより多量の静電気が発生しても、ICチップ28(ICタグ)はその影響を受けないので、ICチップ28(ICタグ)が破損することもない。これにより、ICチップ28(ICタグ)の再利用が可能となり、再生産コストを低減することが可能となる。
【0043】
図6は、本発明の他の実施形態に係るプロセスユニットの概略構成図である。
以下、当該他の実施形態に係るプロセスユニットの構成について、上記実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0044】
上述の実施形態に係るプロセスユニットは、ハウジング内のトナーの有無(残量)を把握するためにICチップ(ICタグ)を備えているが、図6に示すプロセスユニット10は、トナーの有無(残量)を検知する検知手段として圧電センサ31を備えている。圧電センサ31は、プロセスユニット10のハウジング20内に配設されており、圧電センサ31の端面にかかるトナーの荷重に基づいてハウジング20内のトナーの有無が検知される。
【0045】
また、圧電センサ31は、ハウジング20に対して着脱可能に構成された蓋部材27の内面に設けられている。図6に示すように、蓋部材27をハウジング20に取り付けた状態では、圧電センサ31がハウジング20に形成された穴26から内側へ露出して配設されるようになっている。なお、この穴26は、ハウジング20の清掃用及びトナー充填用の穴としても機能する。
【0046】
図7の(a)は、図6に示す上記蓋部材を横から見た図、図7の(b)は、同じ蓋部材を内側から見た図である。
図7の(a)(b)に示すように、上記圧電センサ31は、IC基板32を介して蓋部材27の内面に取り付けられている。蓋部材27のIC基板32が取り付けられた箇所には、複数のスリット33が形成されており、各スリット33からIC基板32に設けられた電気接点が外部へ露呈している。また、蓋部材27の長手方向の両端部には、それぞれネジ穴34が形成されている。
【0047】
図8に示すように、蓋部材27をハウジング20に取り付けるには、蓋部材27の各ネジ穴34にネジ35を挿通し、当該ネジ35をハウジング20側のネジ穴36に締結することにより固定する。また、ハウジング20に形成された穴26の周囲には、スポンジ等から成るシール部材30が設けられている。ハウジング20に蓋部材27を取り付けると、蓋部材27とシール部材30によって穴26が密封され、穴26からのトナー漏れが防止される。
【0048】
図9は、図6に示すプロセスユニットを画像形成装置本体に装着した状態を示す図である。
図9に示すように、プロセスユニット10を画像形成装置本体に装着すると、IC基板32の電気接点が本体側に設けられた電気接点37と接触し、圧電センサ31が本体側に設けられたCPU38と導通した状態となる。この場合、本体側の電気接点37は3つの板バネで構成されており、蓋部材27に形成されたスリット33を通してIC基板32の電気接点に接触する。圧電センサ31がCPU38と導通することで、圧電センサ31からの電気信号をCPU38が受け取ることができるようになり、CPU38ではその電気信号に基づいてトナーの有無を判断する。そして、トナーが無いと判断した場合は、図示しない報知手段がCPU38からの指令を受けて報知信号を発する。
【0049】
次に、図6に示すプロセスユニットの再生産方法について説明する。
プロセスユニットの再生産を行う場合は、まず、上述の再生産方法と同様に、ハウジング20から蓋部材27を取り外し、蓋部材27を保管しておく。そして、ハウジング20内の清掃作業を行ってから、新しいトナーをハウジング20の穴26から充填し、蓋部材27を取り付けて穴26を塞ぐ。
【0050】
この場合も、ハウジング20の清掃作業をする前に、ハウジング20から蓋部材27を取り外し保管しておくことで、清掃中にトナーが圧電センサ31に付着するのを回避することができる。これにより、トナーで汚れた圧電センサ31の清掃作業を別途行う必要がなくなるので、作業効率が向上する。また、清掃作業中のエアガンでの吹き付けにより多量の静電気が発生しても、圧電センサ31はその影響を受けないので、圧電センサ31が破損することもない。これにより、圧電センサ31の再利用が可能となり、再生産コストを低減することが可能となる。
【0051】
また、図6に示す構成において、圧電センサ31に代えて、磁気センサをトナー有無検知手段として蓋部材27に設けてもよい。特に、トナーとキャリアから成る二成分現像剤を検知する磁気センサの場合は、トナーの有無を検知する以外に、トナー濃度も検知することができる。この場合も、圧電センサの場合と同様に、磁気センサを蓋部材27に設けることで、ハウジング20の清掃作業時に、磁気センサにトナーが付着したり、発生した静電気によって磁気センサが破損したりするのを防止することができる。
【0052】
図10は、本発明のさらに別の実施形態に係るプロセスユニットの概略構成図である。
以下、当該別の実施形態に係るプロセスユニットの構成について、上記各実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0053】
この実施形態では、トナーの有無(残量)を検知する検知手段として光学式の検知手段を用いている。
図11に示すように、光学式の検知手段40は、光を発する発光素子41と、光を受ける受光素子42と、発光素子41から発した光を受光素子42へと導くための第1の導光部材43及び第2の導光部材44とを備える。両導光部材43,44は、透明樹脂等で構成されており、ハウジング20に対して着脱可能に構成された蓋部材27に設けられている。一方、発光素子41と受光素子42は、画像形成装置本体に設けられている。また、図10に示すように、画像形成装置本体には、発光素子41を定期的に発光させるドライバ45と、受光素子42の出力値に基づいてトナーの有無を判断するCPU46とが設けられている。
【0054】
ハウジング20の蓋部材27を取り付ける箇所には穴26が形成されている。図10に示すように、蓋部材27をハウジング20に取り付けた状態では、両導光部材43,44が穴26を通してハウジング20内に配設されるようになっている。なお、この穴26は、上記各実施形態と同様に、ハウジング20の清掃用及びトナー充填用の穴としても機能する。
【0055】
また、図10に示すように、プロセスユニット10を画像形成装置本体に装着した状態では、各導光部材43,44の外部に露出した端部が、発光素子41及び受光素子42と対向するように配設される。この状態において、発光素子41から光を照射すると、図11に示すように、光は第1の導光部材43の一端部43aに入射し、反対側の他端部43bから出射する。そして、光は、第1の導光部材43の他端部43bから、それと対向する第2の導光部材44の一端部44aに入射し、反対側の他端部44bから出射して、受光素子42へと到達する。
【0056】
ハウジング20内にトナーが十分に存在する場合は、第1の導光部材43と第2の導光部材44の互いに対向する端部34b,44aの間に、トナーが存在することにより光が遮断されるため、受光素子42まで光が到達しない。一方、印刷などでトナーが消費されることにより、トナーの上面が導光部材43,44の位置よりも低下すると、両導光部材43,44の互いに対向する端部43b,44aの間にトナーが存在しなくなるので、受光素子42まで光が到達するようになる。このときの受光素子42の信号(出力値)をCPU46が受信することにより、トナー量が所定量よりも下回っていると判断される仕組みとなっている。また、CPU46によってトナー量が所定量よりも下回っていると判断された場合は、そのことが図示しない報知手段によって報知される。
【0057】
また、図10に示す実施形態において、アジテータ25は、回転することで、その一部が両導光部材43,44の互いに対向する端部43b,44aの間を周期的に通過し、各端部43b,44aの間に存在するトナーを押し出すように構成されている。また、図10に示す現像装置4は、現像ローラ22や供給ローラ23の上方に現像剤収容部21を配設した、いわゆる縦型の現像装置であり、仕切り部材47によって下方の現像部48と上方の現像剤収容部21とに分割されている。現像剤収容部21内に収容されたトナーは、アジテータ25によって撹拌されると共に搬送スクリュー49へと送られる。そして、トナーは、回転する搬送スクリュー49によってその軸方向の一端部側へと搬送され、仕切り部材47に設けられた穴部47aから下方の現像部48へと供給されるようになっている。
【0058】
また、図11に示す蓋部材27も、図8に示す上記蓋部材27と同様に、ネジ止め用のネジ穴34が形成されている。さらに、上記と同様に、ハウジング20に形成された穴26の周囲には、スポンジ等から成るシール部材が設けられている(図8参照)。
【0059】
続いて、図10に示すプロセスユニットの再生産方法について説明する。
この場合も、プロセスユニットの再生産を行う場合は、上記各実施形態の場合と基本的に同様に行う。すなわち、ハウジング20から蓋部材27を取り外し、蓋部材27を保管しておき、ハウジング20内の清掃作業を行ってから、新しいトナーをハウジング20の穴26から充填し、蓋部材27を取り付けて穴26を塞ぐ。
【0060】
この場合、ハウジング20の清掃作業をする前に、蓋部材27を取り外しておくことで、導光部材43,44をハウジング20内部から一旦退避させることができる。このようにすることで、導光部材43,44が清掃作業やその後のトナーの充填作業の邪魔にならなくなるので、清掃作業や充填作業が行いやすくなる。
【0061】
図12に示すのは、上記蓋部材の変形例である。
図12に示す蓋部材27は、ハウジング20に形成された円形の穴(図示省略)に挿入される円柱状の挿入部27aと、挿入部27aの外周に設けられたフランジ部27bとを有する。この蓋部材27は、ポリプロピレン等の軟質部材で構成されており、蓋部材27をハウジング20に取り付ける際、挿入部27aが上記穴に圧入されることで当該穴が密封される。従って、この構成の場合、穴の周囲にシール部材を設ける必要がない。
【0062】
なお、図12において、符号50で示すのは、蓋部材27に設けられた一対の導光部材43,44の倒れを防止する支持部材である。ここでは、軟質部材から成る蓋部材27に導光部材43,44を設けた構成を示しているが、同様の蓋部材27に、上記ICチップ(ICタグ)や圧電センサ、あるいは磁気センサ等を設けることも可能である。また、挿入部27aの形状は、それを挿入する穴の形状に合わせて円形以外の形状に変更することも可能である。
【0063】
また、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加え得ることは勿論である。上述の実施形態では、本発明の構成を図1に示すモノクロ画像形成装置に搭載されるプロセスユニットに適用した場合を例に説明したが、その他のプリンタ、複写機、ファクシミリ、あるいはこれらの複合機等に搭載されるプロセスユニットにも本発明の構成を適用可能である。
【0064】
図13及び図14に、カラー画像形成装置用のプロセスユニットに本発明の構成を適用した例を示す。
なお、図13に示すプロセスユニットは、縦方向(上下方向)に複数並べて配設されるものであり、図14に示すプロセスユニットは、横方向(水平方向)に複数並べて配設されるものである。
【0065】
このように、図13及び図14に示すプロセスユニット10においても、ICチップ28(ICタグ)や、上記各種トナー有無検知手段を構成する電子部品(圧電センサや磁気センサ等)又は光学部品(導光部材等)を、ハウジング20に着脱可能に取り付けられた蓋部材27に設けることで、上記と同様の作用・効果が得ることが可能である。
【0066】
また、本発明の構成は、感光体2や現像装置4等を一体的に構成したプロセスユニット10に限らず、感光体2等と別体となった現像装置4や、さらにその現像装置4から現像剤収容部21(トナー収容器)を別体に構成したトナーカートリッジにも適用可能である。
【0067】
具体的には、図2において、感光体2と、帯電ローラ3等を備える帯電装置と、クリーニングブレード5等を備えるクリーニング装置とを、一体的な感光体ユニットとして構成し、これと現像装置4とを別体として、現像装置4を画像形成装置本体に対し単独で着脱可能に構成してもよい。また、図2に示す現像装置4の構成部材のうち、現像剤収容部21(トナー収容器)とアジテータ25を分離して別体のトナーカートリッジとし、それを画像形成装置本体に対し単独で着脱可能に構成してもよい。なお、これらの場合は、現像装置4又はトナーカートリッジを単独で取り外して上記と同様の再生産処理を行うことになる。
【0068】
また、本発明の構成は、トナーを収容するトナーカートリッジ、現像装置、プロセスユニットに限らず、ハウジング内にトナー以外の粉体を収容する粉体収容器にも適用可能である。すなわち、粉体収容器に、それが装着される機器との間で電気又は光の信号のやり取りをして機能を発揮する電子部品又は光学部品が設けられている場合、その電子部品又は光学部品を、蓋部材と一体的に着脱可能に構成することで、上記と同様の作用・効果が得られるようになる。
【0069】
以上のように、本発明によれば、粉体収容器にICチップ(ICタグ)、圧電センサ又は磁気センサ等の電子部品が設けられていても、ハウジングの清掃作業をする前に、それらの電子部品を蓋部材と一緒に取り外し保管しておくことで、清掃中に粉体などが電子部品に付着するのを回避することができる。これにより、粉体などで汚れた電子部品の清掃作業を別途行う必要がなくなるので、作業効率の向上を図れるようになる。また、清掃作業中に静電気が発生しても、電子部品はその影響を受けないので、電子部品が静電気によって破損する虞がなくなり、効率良く再生産を行えるようになる。
【0070】
また、粉体収容器に導光部材等の光学部品が設けられていても、ハウジングの清掃作業をする前に、光学部品を蓋部材と一緒に取り外しておくことで、光学部品がハウジングの清掃作業や粉体の充填作業の邪魔になることがないので、それらの作業を行いやすくなる。これにより、作業効率が向上する。
【0071】
このように、本発明によれば、電子部品又は光学部品を蓋部材と一緒にハウジングから取り外せるようにすることで、容易かつ効率的に粉体収容器を再生産することができるようになる。
【符号の説明】
【0072】
1 画像形成装置
2 感光体(潜像担持体)
4 現像装置
10 プロセスユニット
20 ハウジング
26 穴
27 蓋部材
28 ICチップ(電子部品)
31 圧電センサ(電子部品)
43 第1の導光部材(光学部品)
44 第2の導光部材(光学部品)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0073】
【特許文献1】特開2010−276779号公報
【特許文献2】特開2002−251119号公報
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉体を収容する粉体収容器、粉体収容器を用いたトナーカートリッジ、現像装置、プロセスユニット、画像形成装置、及び粉体収容器の再生産方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、プリンタ、ファクシミリ、あるいはこれらの複合機等の電子写真方式の画像形成装置において、トナーカートリッジ、現像装置、又はこれらと感光体などを一体的に構成したプロセスユニットを、画像形成装置本体に対して着脱可能に構成した方式が知られている。この方式は、ユーザー等がユニットを交換することで容易に装置のメンテナンスを行うことができるという利点から、多くの製品に採用されている。
【0003】
また、上記トナーカートリッジ、現像装置、プロセスユニットには、それらを構成するハウジングの外側にICチップ(ICタグ)などの情報記憶媒体が設けられているものがある(特許文献1参照)。この情報記憶媒体としてのICチップには、トナー量に関する情報、現像ローラや感光体などの部品の使用による摩耗や劣化を管理するための駆動回転時間又は走行距離、トナーカートリッジ、現像装置又はプロセスユニットの製造年月日やその個体識別番号、それらが装着される画像形成装置の個体識別番号、装着年月日、それらが寿命に至った年月日などの情報が記憶されている。これらの情報をICチップに記憶し、あるいは更新することで、画像品質の維持やトナーカートリッジ等の交換時期などをユーザーに知らしめるようにしている。
【0004】
また、上記トナーカートリッジ、現像装置又はプロセスユニットのハウジングに、圧力の変化や磁界変化を検知してトナー(キャリアが混合されたものを含む)の量を検知するトナーセンサが設けられたものがある。さらに、透明樹脂から成る導光部材をハウジング内に配置し、その導光部材の一部を欠落させてその欠落部に存在するトナーを外部から発光させた光で検知する(トナーがあれば光りが遮断され、トナーがなくなれば光が通じる)という光学式のトナーセンサもある。
【0005】
ところで、近年では、先進諸国を中心として世界的に環境問題への取り組みが行われており、画像形成装置メーカーにおいても、その取り組みの一つとして、トナーが無くなった使用済みのトナーカートリッジ、現像装置、又はプロセスユニットなどを、ユーザーから回収し、必要な処置を施してから再度市場に投入する再生産を行っている。
【0006】
一般的に、トナーカートリッジ等を再生産するには、まず、ハウジングに設けられた充填口を開封するか、又はハウジングに別途穴を開け、その穴あるいは充填口からエアガンなどで高圧縮された空気を送り込んで、ハウジング内に残るトナーを外部に排出する清掃工程を行う。そして、充填口又は開けられた穴からハウジング内にトナーを再充填し、封止部材で充填口又は穴を封止する(特許文献2参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、トナーカートリッジ等にICチップ(ICタグ)などの情報記憶媒体が設けられている場合、上記清掃工程において、ハウジング外に排出されたトナーが情報記憶媒体に付着したり、トナーの付着した手で情報記憶媒体に触れたりすることなどにより、情報記憶媒体がトナーで汚れてしまうことがある。情報記憶媒体がトナーで汚れると、その接続端子において接触不良が生じ、正確に情報が読み書きできなくなる虞がある。このため、情報記憶媒体がトナーで汚れた場合は、情報記憶媒体を清掃しなければならず、その手間が別途生じることになる。
【0008】
また、圧力変化を検知するトナーセンサ(以下、圧電センサとする)や磁界変化を検知するセンサ(以下、磁気センサとする)がトナーカートリッジ等に設けられている場合も同様で、清掃中にセンサが汚れるとそれらに付属する端子の接触不良が生じる虞がある。
【0009】
さらに、清掃作業中に、エアガンでの吹き付けにより発生する静電気によって、上記情報記憶媒体や圧電センサあるいは磁気センサの電子部品が破損してしまい、再使用ができなくなってしまうといった問題もある。
【0010】
一方、光学式センサの導光部材は、上記圧電センサや磁気センサのように接触不良を起す虞は無いが、ハウジング内で比較的大きな容積を取るため、導光部材が取り付けられたままでは、ハウジングの清掃作業やトナー充填作業の邪魔になり、それらの作業工程を完全に遂行することができなくなる虞がある。
【0011】
そこで、本発明は、斯かる事情に鑑み、電子部品又は光学部品が設けられている粉体収容器の再生産工程における問題を解決し、容易かつ効率的に再生産することが可能な粉体収容器、その粉体収容器を用いたトナーカートリッジ、現像装置、プロセスユニット、画像形成装置、及び前記粉体収容器の再生産方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため、請求項1に係る発明は、内部に粉体を収容するハウジングと、前記ハウジングの内部と外部を連通するようにハウジングに設けられた穴と、前記穴を開閉するためにハウジングに着脱可能に取り付けられた蓋部材と、粉体収容器が装着される機器との間で電気又は光の信号のやり取りをして機能を発揮する電子部品又は光学部品とを備えた粉体収容器において、前記電子部品又は前記光学部品を前記蓋部材に設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、電子部品又は光学部品を蓋部材と一緒にハウジングから取り外すことができるので、容易かつ効率的に粉体収容器を再生産することができるようになる。すなわち、粉体収容器に電子部品が設けられている場合、ハウジングの清掃作業をする前に、電子部品を蓋部材と一緒に取り外し保管しておくことで、清掃中に粉体などが電子部品に付着するのを回避することができる。これにより、粉体などで汚れた電子部品の清掃作業を別途行う必要がなくなるので、作業効率が向上する。また、清掃作業中に静電気が発生しても、電子部品はその影響を受けないので、電子部品が静電気によって破損する虞もない。また、粉体収容器に光学部品が設けられている場合、ハウジングの清掃作業をする前に、光学部品を蓋部材と一緒に取り外しておくことで、光学部品がハウジングの清掃作業や粉体の充填作業の邪魔にならなくなるので、それらの作業が行いやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施の一形態に係る画像形成装置の概略構成図である。
【図2】本発明の実施の一形態に係るプロセスユニットの概略構成図である。
【図3】プロセスユニットの外観図である。
【図4】プロセスユニットの要部拡大図である。
【図5】プロセスユニットの要部拡大図である。
【図6】本発明の他の実施形態に係るプロセスユニットの概略構成図である。
【図7】(a)は蓋部材を横から見た図、(b)は蓋部材を内側から見た図である。
【図8】蓋部材の取付方法を説明するための図である。
【図9】前記他の実施形態に係るプロセスユニットを画像形成装置本体に装着した状態を示す図である。
【図10】本発明のさらに別の実施形態に係るプロセスユニットの概略構成図である。
【図11】光学式の検知手段の構成を示す図である。
【図12】蓋部材の変形例を示す図である。
【図13】本発明の構成を、縦方向に複数並べて配設されるプロセスユニットに適用した例を示す概略構成図である。
【図14】本発明の構成を、横方向に複数並べて配設されるプロセスユニットに適用した例を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付の図面に基づき、本発明について説明する。なお、本発明を説明するための各図面において、同一の機能もしくは形状を有する部材や構成部品等の構成要素については、判別が可能な限り同一符号を付すことにより一度説明した後ではその説明を省略する。
【0016】
まず、図1を参照して、本発明の実施の一形態に係る画像形成装置の全体構成及び動作について説明する。
図1に示す画像形成装置1は、モノクロ画像形成装置であり、その装置本体のほぼ中央部には、画像形成ユニットとしてのプロセスユニット10が着脱可能に装着されている。プロセスユニット10は、潜像担持体としてのドラム状の感光体2と、感光体2の表面を帯電させる帯電ローラ3等を備える帯電装置と、感光体2上の潜像を現像(顕像化)する現像装置4と、感光体2の表面をクリーニングするためのクリーニングブレード5等を備えるクリーニング装置などを有する。
【0017】
プロセスユニット10の上方には、感光体2の表面を露光する露光装置6が配設されている。露光装置6は、光源、ポリゴンミラー、f−θレンズ、反射ミラー等を有し、画像データに基づいて感光体2の表面へレーザー光Lを照射するようになっている。
【0018】
プロセスユニット10の下方には、画像を用紙などに転写する転写手段としての転写ローラ8を備えた転写装置7が配設されている。転写ローラ8は、感光体2に接触するように配設されている。また、転写ローラ8には、図示しない電源から転写バイアスが印加されるようになっている。
【0019】
画像形成装置1の図の右部には、用紙やOHPシートなどのシート状の記録媒体を給送する給送手段としての給紙ローラ11を備えた給紙装置9が配設されている。
【0020】
一方、画像形成装置1の図の左部には、用紙等を装置外へ排出する排出手段としての排紙ローラ対13を備えた排紙装置12と、装置外に排出された用紙等をストックする排紙トレイ14とが配設されている。
【0021】
また、画像形成装置1内には、給紙装置9から排紙装置12へ用紙等を搬送するための搬送路Rが形成されている。この搬送路Rにおいて、感光体2と転写ローラ8との接触部に形成された転写ニップよりも搬送方向上流側には、搬送装置15が配設されている。搬送装置15は、搬送タイミングを計って用紙等を前記転写ニップへ搬送する搬送手段としてのレジストローラ対16を備えている。
【0022】
一方、転写ニップよりも搬送方向下流側には、定着装置17が配設されている。定着装置17は、互いに接触して配設された定着ローラ18と加圧ローラ19を備える。定着ローラ18内には、加熱源としての図示しないハロゲンヒータが配設されている。
【0023】
上記画像形成装置は以下のように動作する。
作像動作が開始されると、感光体2が図1の時計回りに回転駆動され、帯電ローラ3によって感光体2の表面が所定の極性に一様に帯電される。次いで、図示しない画像読取装置によって読み取られた原稿の画像情報に基づいて、露光装置6から感光体2の帯電面にレーザー光Lが照射されて、感光体2の表面に静電潜像が形成される。このように感光体2上に形成された静電潜像に、現像装置4によってトナーが供給されることにより、静電潜像はトナー画像として顕像化(可視像化)される。
【0024】
一方、給紙装置9では、給紙ローラ11が回転を開始することにより、積載されている用紙が搬送路Rへ送り出される。搬送路Rへ送り出された用紙は、レジストローラ対16に突き当たって一旦静止され、これにより用紙の斜行が矯正される。その後、レジストローラ対16の回転駆動を開始し、上記感光体2上に形成されたトナー画像とタイミングが合うように、感光体2と転写ローラ8との間の転写ニップへ用紙を搬送する。
【0025】
このとき、転写ローラ8には、感光体2上のトナー画像の帯電極性と逆極性の転写バイアスが印加されており、これにより形成された転写電界によって、感光体2上のトナー画像が用紙に転写される。トナー画像が転写された用紙は定着装置17へと搬送され、定着ローラ18と加圧ローラ19との接触する定着ニップを用紙が通過する際にトナーが熱で溶融し、トナー画像が用紙に定着される。その後、用紙は、排紙ローラ対13によって装置外に排出され、排紙トレイ14上にストックされる。
【0026】
また、上記トナー画像の転写を終えた感光体2は、クリーニングブレード5によってその表面がクリーニングされた後、引き続き潜像形成のために帯電ローラ3により再び帯電されて、次の露光に備える。
【0027】
なお、本実施形態の構成では、用紙等の搬送路Rをほぼ水平にすることで、画像形成装置自体を薄くし、小型化することを可能にしている。また、搬送路Rがほぼ水平となることで、さまざまな記録媒体に対して紙詰まり(ジャム)が発生しにくい構成となっている。
【0028】
図2は、プロセスユニットの概略構成図である。
以下、図2に基づき、プロセスユニット10が有する現像装置4について説明する。
【0029】
図2に示すように、現像装置4は、現像剤(画像形成に用いる粉体)としてのトナーを収容する現像剤収容部21を内部に有するハウジング20と、トナーを担持して感光体2上の潜像を現像する現像手段としての現像ローラ22と、現像ローラ22にトナーを供給する供給部材としての供給ローラ23と、現像ローラ22上に担持されたトナー量を規制する規制部材としての現像ブレード24と、現像剤収容部21内のトナーを撹拌する撹拌部材としてのアジテータ25などを備える。
【0030】
供給ローラ23は現像ローラ22に当接しており、作像動作の開始に伴って現像ローラ22と供給ローラ23とが回転を開始すると、供給ローラ23によって現像ローラ22の表面にトナーが供給され担持される。また、現像ローラ22上に担持されたトナーは、現像ローラ22と現像ブレード24との当接箇所を通過することにより、トナー層の厚さが規制されるようになっている。その後、現像ローラ22上のトナーが感光体2との当接箇所(現像領域)に搬送されると、トナーが感光体2上の静電潜像へ静電的に転移してトナー画像が形成される。また、アジテータ25は、回転することにより、現像剤収容部21内のトナーを撹拌しつつ供給ローラ23側へ搬送するようになっている。
【0031】
また、図2に示すように、ハウジング20には、その内部と外部を連通するように穴26が設けられている。この穴26は、トナーを充填するための穴であり、トナー充填後は板状の蓋部材27によって閉塞(密封)されている。また、蓋部材27の外面には、情報記憶媒体としてのICチップ28(ICタグ)が設けられている。
【0032】
ICチップ28には、少なくともハウジング20内に収容されたトナーに関する情報が記憶されている。トナーに関する情報とは、例えば、トナー量(トナー残量)やトナーの色などである。また、それ以外に、現像ローラや感光体などの部品の使用による摩耗や劣化を管理するための駆動回転時間又は走行距離、プロセスユニットの製造年月日やその個体識別番号、画像形成装置の個体識別番号、プロセスユニットの装着年月日、プロセスユニットが寿命に至った年月日などの情報を、ICチップ28に記憶させてもよい。
【0033】
また、画像形成装置1の本体側には、ICチップ28の情報を読み取る図示しない情報読み取り装置が設けられている。プロセスユニット10を画像形成装置本体に装着すると、プロセスユニット10側のICチップ28と、本体側の情報読み取り装置とが、接続端子を介して電気的に接続されることにより、ICチップ28からの情報の読み出し及びICチップ28への情報の書込が行うことが可能となる。
【0034】
図3は、プロセスユニットの外観図、図4及び図5は、その要部拡大図である。
図3に示すように、上記蓋部材27は、ハウジング20の外側に設けられたホルダ29を介して着脱可能に取り付けられている。
【0035】
詳しくは、図4及び図5に示すように、ホルダ29は、蓋部材27を挿入可能な一対の溝部29aを有する。これらの溝部29aに蓋部材27を挿入すると、蓋部材27の下端部が溝部29aの底29b(図5参照)に当接することで、蓋部材27がホルダ29によって保持されるようになっている。
【0036】
また、図5に示すように、蓋部材27の裏面(ハウジング20に対向する面)には、発泡ウレタンフォームなどから成るシール部材30が設けられている。このシール部材30は、穴26を覆うことができる大きさに形成されており、蓋部材27をホルダ29に挿入した状態にすると、シール部材30によって穴26が塞がれ、穴26からのトナー漏れが防止される。また、この状態で、シール部材30は、蓋部材27とハウジング20との間で圧縮されており、そのシール部材30の復元力によって蓋部材27はホルダ29の溝部29aに押し付けられている。この押し付け力によって、蓋部材27が溝部29aから抜け出ないように保持されている。また、シール部材30の復元力以上の力を蓋部材27の外側からハウジング20側に加えながら蓋部材27を上方へスライドさせることにより、蓋部材27をホルダ29から取り外すことができる。
【0037】
以下、本実施形態に係るプロセスユニットの再生産方法について説明する。
トナーが消費され、トナーが無くなった使用済みのプロセスユニット10は、ユーザー等から回収された後、ハウジング20内の劣化した残留トナーを排出するための清掃作業が行われる。このとき、清掃作業を行う前に、ハウジング20から、ICチップ28(ICタグ)が設けてある蓋部材27を取り外す。そして、清掃作業中に飛散するトナーがICチップ28(ICタグ)に付着しないような場所に、蓋部材27を保管しておく。
【0038】
その後、ハウジング20内の清掃作業を行う。清掃作業は、まず、ハウジング20の穴26を下向きにしてプロセスユニット10を振動させ、穴26からハウジング20内の残留トナーをある程度排出する。次いで、エアガンなどで穴26からハウジング20内に高圧縮空気を送り込んで、ハウジング20内に残っているトナーを穴26から吹き出す。
【0039】
上記清掃作業を終えると、新しいトナーを穴26からハウジング20内に再充填し、保管してある蓋部材27を取り付けて穴26を塞ぐ。また、ICチップ28は、情報の書き換え又は一部更新が行われる。以上の工程を経て、プロセスユニット10の再生産が完了する。
【0040】
なお、ハウジング20の清掃作業を行う際に、ハウジング20に新たに穴を開け、そこから残留トナーの排出を行う方法もあるが、この場合、穴開け時に内部部品を傷つけないように注意が必要となると共に、開けた穴を塞ぐ必要が生じる。また、プロセスユニット10を構成する部品にエアガンが干渉してトナー充填用の穴26などからハウジング20内に高圧縮空気を送り込めない場合は、構成部品を一旦分解する必要がある。この場合、構成部品を分解する手間が生じる上、分解した部品の管理もしなければならないため、清掃作業に至るまでの準備段階にかなりの手間がかかる。
【0041】
これに対し、上記本発明の実施形態の場合は、予め設けられている充填口(あるいは排出口)としての穴26を利用することにより、ハウジング20に新たに穴を開けることなく、また、プロセスユニット10を分解することなくハウジング20内の清掃作業を行える。このため、効率良く清掃作業を行うことが可能である。
【0042】
以上のように、本実施形態に係るプロセスユニットの再生産方法によれば、ハウジング20の清掃作業をする前に、ハウジング20からICチップ28(ICタグ)が設けてある蓋部材27を取り外し保管しておくことで、清掃中に飛散したトナーや手に付着したトナーがICチップ28(ICタグ)に付着するのを回避することができる。これにより、トナーで汚れたICチップ28(ICタグ)の清掃作業を別途行う必要がなくなるので、作業効率が向上する。また、清掃作業中のエアガンでの吹き付けにより多量の静電気が発生しても、ICチップ28(ICタグ)はその影響を受けないので、ICチップ28(ICタグ)が破損することもない。これにより、ICチップ28(ICタグ)の再利用が可能となり、再生産コストを低減することが可能となる。
【0043】
図6は、本発明の他の実施形態に係るプロセスユニットの概略構成図である。
以下、当該他の実施形態に係るプロセスユニットの構成について、上記実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0044】
上述の実施形態に係るプロセスユニットは、ハウジング内のトナーの有無(残量)を把握するためにICチップ(ICタグ)を備えているが、図6に示すプロセスユニット10は、トナーの有無(残量)を検知する検知手段として圧電センサ31を備えている。圧電センサ31は、プロセスユニット10のハウジング20内に配設されており、圧電センサ31の端面にかかるトナーの荷重に基づいてハウジング20内のトナーの有無が検知される。
【0045】
また、圧電センサ31は、ハウジング20に対して着脱可能に構成された蓋部材27の内面に設けられている。図6に示すように、蓋部材27をハウジング20に取り付けた状態では、圧電センサ31がハウジング20に形成された穴26から内側へ露出して配設されるようになっている。なお、この穴26は、ハウジング20の清掃用及びトナー充填用の穴としても機能する。
【0046】
図7の(a)は、図6に示す上記蓋部材を横から見た図、図7の(b)は、同じ蓋部材を内側から見た図である。
図7の(a)(b)に示すように、上記圧電センサ31は、IC基板32を介して蓋部材27の内面に取り付けられている。蓋部材27のIC基板32が取り付けられた箇所には、複数のスリット33が形成されており、各スリット33からIC基板32に設けられた電気接点が外部へ露呈している。また、蓋部材27の長手方向の両端部には、それぞれネジ穴34が形成されている。
【0047】
図8に示すように、蓋部材27をハウジング20に取り付けるには、蓋部材27の各ネジ穴34にネジ35を挿通し、当該ネジ35をハウジング20側のネジ穴36に締結することにより固定する。また、ハウジング20に形成された穴26の周囲には、スポンジ等から成るシール部材30が設けられている。ハウジング20に蓋部材27を取り付けると、蓋部材27とシール部材30によって穴26が密封され、穴26からのトナー漏れが防止される。
【0048】
図9は、図6に示すプロセスユニットを画像形成装置本体に装着した状態を示す図である。
図9に示すように、プロセスユニット10を画像形成装置本体に装着すると、IC基板32の電気接点が本体側に設けられた電気接点37と接触し、圧電センサ31が本体側に設けられたCPU38と導通した状態となる。この場合、本体側の電気接点37は3つの板バネで構成されており、蓋部材27に形成されたスリット33を通してIC基板32の電気接点に接触する。圧電センサ31がCPU38と導通することで、圧電センサ31からの電気信号をCPU38が受け取ることができるようになり、CPU38ではその電気信号に基づいてトナーの有無を判断する。そして、トナーが無いと判断した場合は、図示しない報知手段がCPU38からの指令を受けて報知信号を発する。
【0049】
次に、図6に示すプロセスユニットの再生産方法について説明する。
プロセスユニットの再生産を行う場合は、まず、上述の再生産方法と同様に、ハウジング20から蓋部材27を取り外し、蓋部材27を保管しておく。そして、ハウジング20内の清掃作業を行ってから、新しいトナーをハウジング20の穴26から充填し、蓋部材27を取り付けて穴26を塞ぐ。
【0050】
この場合も、ハウジング20の清掃作業をする前に、ハウジング20から蓋部材27を取り外し保管しておくことで、清掃中にトナーが圧電センサ31に付着するのを回避することができる。これにより、トナーで汚れた圧電センサ31の清掃作業を別途行う必要がなくなるので、作業効率が向上する。また、清掃作業中のエアガンでの吹き付けにより多量の静電気が発生しても、圧電センサ31はその影響を受けないので、圧電センサ31が破損することもない。これにより、圧電センサ31の再利用が可能となり、再生産コストを低減することが可能となる。
【0051】
また、図6に示す構成において、圧電センサ31に代えて、磁気センサをトナー有無検知手段として蓋部材27に設けてもよい。特に、トナーとキャリアから成る二成分現像剤を検知する磁気センサの場合は、トナーの有無を検知する以外に、トナー濃度も検知することができる。この場合も、圧電センサの場合と同様に、磁気センサを蓋部材27に設けることで、ハウジング20の清掃作業時に、磁気センサにトナーが付着したり、発生した静電気によって磁気センサが破損したりするのを防止することができる。
【0052】
図10は、本発明のさらに別の実施形態に係るプロセスユニットの概略構成図である。
以下、当該別の実施形態に係るプロセスユニットの構成について、上記各実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0053】
この実施形態では、トナーの有無(残量)を検知する検知手段として光学式の検知手段を用いている。
図11に示すように、光学式の検知手段40は、光を発する発光素子41と、光を受ける受光素子42と、発光素子41から発した光を受光素子42へと導くための第1の導光部材43及び第2の導光部材44とを備える。両導光部材43,44は、透明樹脂等で構成されており、ハウジング20に対して着脱可能に構成された蓋部材27に設けられている。一方、発光素子41と受光素子42は、画像形成装置本体に設けられている。また、図10に示すように、画像形成装置本体には、発光素子41を定期的に発光させるドライバ45と、受光素子42の出力値に基づいてトナーの有無を判断するCPU46とが設けられている。
【0054】
ハウジング20の蓋部材27を取り付ける箇所には穴26が形成されている。図10に示すように、蓋部材27をハウジング20に取り付けた状態では、両導光部材43,44が穴26を通してハウジング20内に配設されるようになっている。なお、この穴26は、上記各実施形態と同様に、ハウジング20の清掃用及びトナー充填用の穴としても機能する。
【0055】
また、図10に示すように、プロセスユニット10を画像形成装置本体に装着した状態では、各導光部材43,44の外部に露出した端部が、発光素子41及び受光素子42と対向するように配設される。この状態において、発光素子41から光を照射すると、図11に示すように、光は第1の導光部材43の一端部43aに入射し、反対側の他端部43bから出射する。そして、光は、第1の導光部材43の他端部43bから、それと対向する第2の導光部材44の一端部44aに入射し、反対側の他端部44bから出射して、受光素子42へと到達する。
【0056】
ハウジング20内にトナーが十分に存在する場合は、第1の導光部材43と第2の導光部材44の互いに対向する端部34b,44aの間に、トナーが存在することにより光が遮断されるため、受光素子42まで光が到達しない。一方、印刷などでトナーが消費されることにより、トナーの上面が導光部材43,44の位置よりも低下すると、両導光部材43,44の互いに対向する端部43b,44aの間にトナーが存在しなくなるので、受光素子42まで光が到達するようになる。このときの受光素子42の信号(出力値)をCPU46が受信することにより、トナー量が所定量よりも下回っていると判断される仕組みとなっている。また、CPU46によってトナー量が所定量よりも下回っていると判断された場合は、そのことが図示しない報知手段によって報知される。
【0057】
また、図10に示す実施形態において、アジテータ25は、回転することで、その一部が両導光部材43,44の互いに対向する端部43b,44aの間を周期的に通過し、各端部43b,44aの間に存在するトナーを押し出すように構成されている。また、図10に示す現像装置4は、現像ローラ22や供給ローラ23の上方に現像剤収容部21を配設した、いわゆる縦型の現像装置であり、仕切り部材47によって下方の現像部48と上方の現像剤収容部21とに分割されている。現像剤収容部21内に収容されたトナーは、アジテータ25によって撹拌されると共に搬送スクリュー49へと送られる。そして、トナーは、回転する搬送スクリュー49によってその軸方向の一端部側へと搬送され、仕切り部材47に設けられた穴部47aから下方の現像部48へと供給されるようになっている。
【0058】
また、図11に示す蓋部材27も、図8に示す上記蓋部材27と同様に、ネジ止め用のネジ穴34が形成されている。さらに、上記と同様に、ハウジング20に形成された穴26の周囲には、スポンジ等から成るシール部材が設けられている(図8参照)。
【0059】
続いて、図10に示すプロセスユニットの再生産方法について説明する。
この場合も、プロセスユニットの再生産を行う場合は、上記各実施形態の場合と基本的に同様に行う。すなわち、ハウジング20から蓋部材27を取り外し、蓋部材27を保管しておき、ハウジング20内の清掃作業を行ってから、新しいトナーをハウジング20の穴26から充填し、蓋部材27を取り付けて穴26を塞ぐ。
【0060】
この場合、ハウジング20の清掃作業をする前に、蓋部材27を取り外しておくことで、導光部材43,44をハウジング20内部から一旦退避させることができる。このようにすることで、導光部材43,44が清掃作業やその後のトナーの充填作業の邪魔にならなくなるので、清掃作業や充填作業が行いやすくなる。
【0061】
図12に示すのは、上記蓋部材の変形例である。
図12に示す蓋部材27は、ハウジング20に形成された円形の穴(図示省略)に挿入される円柱状の挿入部27aと、挿入部27aの外周に設けられたフランジ部27bとを有する。この蓋部材27は、ポリプロピレン等の軟質部材で構成されており、蓋部材27をハウジング20に取り付ける際、挿入部27aが上記穴に圧入されることで当該穴が密封される。従って、この構成の場合、穴の周囲にシール部材を設ける必要がない。
【0062】
なお、図12において、符号50で示すのは、蓋部材27に設けられた一対の導光部材43,44の倒れを防止する支持部材である。ここでは、軟質部材から成る蓋部材27に導光部材43,44を設けた構成を示しているが、同様の蓋部材27に、上記ICチップ(ICタグ)や圧電センサ、あるいは磁気センサ等を設けることも可能である。また、挿入部27aの形状は、それを挿入する穴の形状に合わせて円形以外の形状に変更することも可能である。
【0063】
また、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加え得ることは勿論である。上述の実施形態では、本発明の構成を図1に示すモノクロ画像形成装置に搭載されるプロセスユニットに適用した場合を例に説明したが、その他のプリンタ、複写機、ファクシミリ、あるいはこれらの複合機等に搭載されるプロセスユニットにも本発明の構成を適用可能である。
【0064】
図13及び図14に、カラー画像形成装置用のプロセスユニットに本発明の構成を適用した例を示す。
なお、図13に示すプロセスユニットは、縦方向(上下方向)に複数並べて配設されるものであり、図14に示すプロセスユニットは、横方向(水平方向)に複数並べて配設されるものである。
【0065】
このように、図13及び図14に示すプロセスユニット10においても、ICチップ28(ICタグ)や、上記各種トナー有無検知手段を構成する電子部品(圧電センサや磁気センサ等)又は光学部品(導光部材等)を、ハウジング20に着脱可能に取り付けられた蓋部材27に設けることで、上記と同様の作用・効果が得ることが可能である。
【0066】
また、本発明の構成は、感光体2や現像装置4等を一体的に構成したプロセスユニット10に限らず、感光体2等と別体となった現像装置4や、さらにその現像装置4から現像剤収容部21(トナー収容器)を別体に構成したトナーカートリッジにも適用可能である。
【0067】
具体的には、図2において、感光体2と、帯電ローラ3等を備える帯電装置と、クリーニングブレード5等を備えるクリーニング装置とを、一体的な感光体ユニットとして構成し、これと現像装置4とを別体として、現像装置4を画像形成装置本体に対し単独で着脱可能に構成してもよい。また、図2に示す現像装置4の構成部材のうち、現像剤収容部21(トナー収容器)とアジテータ25を分離して別体のトナーカートリッジとし、それを画像形成装置本体に対し単独で着脱可能に構成してもよい。なお、これらの場合は、現像装置4又はトナーカートリッジを単独で取り外して上記と同様の再生産処理を行うことになる。
【0068】
また、本発明の構成は、トナーを収容するトナーカートリッジ、現像装置、プロセスユニットに限らず、ハウジング内にトナー以外の粉体を収容する粉体収容器にも適用可能である。すなわち、粉体収容器に、それが装着される機器との間で電気又は光の信号のやり取りをして機能を発揮する電子部品又は光学部品が設けられている場合、その電子部品又は光学部品を、蓋部材と一体的に着脱可能に構成することで、上記と同様の作用・効果が得られるようになる。
【0069】
以上のように、本発明によれば、粉体収容器にICチップ(ICタグ)、圧電センサ又は磁気センサ等の電子部品が設けられていても、ハウジングの清掃作業をする前に、それらの電子部品を蓋部材と一緒に取り外し保管しておくことで、清掃中に粉体などが電子部品に付着するのを回避することができる。これにより、粉体などで汚れた電子部品の清掃作業を別途行う必要がなくなるので、作業効率の向上を図れるようになる。また、清掃作業中に静電気が発生しても、電子部品はその影響を受けないので、電子部品が静電気によって破損する虞がなくなり、効率良く再生産を行えるようになる。
【0070】
また、粉体収容器に導光部材等の光学部品が設けられていても、ハウジングの清掃作業をする前に、光学部品を蓋部材と一緒に取り外しておくことで、光学部品がハウジングの清掃作業や粉体の充填作業の邪魔になることがないので、それらの作業を行いやすくなる。これにより、作業効率が向上する。
【0071】
このように、本発明によれば、電子部品又は光学部品を蓋部材と一緒にハウジングから取り外せるようにすることで、容易かつ効率的に粉体収容器を再生産することができるようになる。
【符号の説明】
【0072】
1 画像形成装置
2 感光体(潜像担持体)
4 現像装置
10 プロセスユニット
20 ハウジング
26 穴
27 蓋部材
28 ICチップ(電子部品)
31 圧電センサ(電子部品)
43 第1の導光部材(光学部品)
44 第2の導光部材(光学部品)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0073】
【特許文献1】特開2010−276779号公報
【特許文献2】特開2002−251119号公報
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に粉体を収容するハウジングと、
前記ハウジングの内部と外部を連通するようにハウジングに設けられた穴と、
前記穴を開閉するためにハウジングに着脱可能に取り付けられた蓋部材と、
粉体収容器が装着される機器との間で電気又は光の信号のやり取りをして機能を発揮する電子部品又は光学部品とを備えた粉体収容器において、
前記電子部品又は前記光学部品を前記蓋部材に設けたことを特徴とする粉体収容器。
【請求項2】
前記電子部品は情報記憶媒体又はトナーセンサである請求項1に記載の粉体収容器。
【請求項3】
前記光学部品は導光部材である請求項1に記載の粉体収容器。
【請求項4】
前記粉体がトナーである請求項1から3のいずれか1項に記載の粉体収容器。
【請求項5】
前記情報記憶媒体が、前記粉体収容器が装着される機器に設けられた情報読み取り装置に接続端子を介して電気的に接続可能なICチップである請求項2に記載の粉体収容器。
【請求項6】
内部にトナーを収容すると共に画像形成装置に着脱可能に装着されるトナーカートリッジにおいて、
請求項1から5のいずれか1項に記載の粉体収容器を用いたことを特徴とするトナーカートリッジ。
【請求項7】
内部にトナーを収容するトナー収容器と、
前記トナー収容器内のトナーを用いて潜像担持体上の潜像を現像する現像手段とを一体的に備え、
画像形成装置に着脱可能に装着される現像装置において、
前記トナー収容器として、請求項1から5のいずれか1項に記載の粉体収容器を用いたことを特徴とする現像装置。
【請求項8】
表面に潜像を担持する潜像担持体と、
内部にトナーを収容するトナー収容器と、
前記トナー収容器内のトナーを用いて前記潜像担持体上の潜像を現像する現像手段とを少なくとも一体的に備え、
画像形成装置に着脱可能に装着されるプロセスユニットにおいて、
前記トナー収容器として、請求項1から5のいずれか1項に記載の粉体収容器を用いたことを特徴とするプロセスユニット。
【請求項9】
請求項1から5のいずれか1項に記載の粉体収容器、請求項6に記載のトナーカートリッジ、請求項7に記載の現像装置、又は請求項8に記載のプロセスユニットを備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
内部に粉体を収容するハウジングと、
前記ハウジングの内部と外部を連通するようにハウジングに設けられた穴と、
前記穴を開閉するためにハウジングに着脱可能に取り付けられた蓋部材と、
粉体収容器が装着される機器との間で電気又は光の信号のやり取りをして機能を発揮する電子部品又は光学部品とを備えた粉体収容器の再生産方法において、
前記電子部品又は前記光学部品は前記蓋部材に設けられており、
粉体収容器を再生産する際、使用済みの粉体収容器の蓋を取り外してからハウジング内を清掃し、その後、ハウジング内に粉体を充填してから蓋を閉じることを特徴とする粉体収容器の再生産方法。
【請求項1】
内部に粉体を収容するハウジングと、
前記ハウジングの内部と外部を連通するようにハウジングに設けられた穴と、
前記穴を開閉するためにハウジングに着脱可能に取り付けられた蓋部材と、
粉体収容器が装着される機器との間で電気又は光の信号のやり取りをして機能を発揮する電子部品又は光学部品とを備えた粉体収容器において、
前記電子部品又は前記光学部品を前記蓋部材に設けたことを特徴とする粉体収容器。
【請求項2】
前記電子部品は情報記憶媒体又はトナーセンサである請求項1に記載の粉体収容器。
【請求項3】
前記光学部品は導光部材である請求項1に記載の粉体収容器。
【請求項4】
前記粉体がトナーである請求項1から3のいずれか1項に記載の粉体収容器。
【請求項5】
前記情報記憶媒体が、前記粉体収容器が装着される機器に設けられた情報読み取り装置に接続端子を介して電気的に接続可能なICチップである請求項2に記載の粉体収容器。
【請求項6】
内部にトナーを収容すると共に画像形成装置に着脱可能に装着されるトナーカートリッジにおいて、
請求項1から5のいずれか1項に記載の粉体収容器を用いたことを特徴とするトナーカートリッジ。
【請求項7】
内部にトナーを収容するトナー収容器と、
前記トナー収容器内のトナーを用いて潜像担持体上の潜像を現像する現像手段とを一体的に備え、
画像形成装置に着脱可能に装着される現像装置において、
前記トナー収容器として、請求項1から5のいずれか1項に記載の粉体収容器を用いたことを特徴とする現像装置。
【請求項8】
表面に潜像を担持する潜像担持体と、
内部にトナーを収容するトナー収容器と、
前記トナー収容器内のトナーを用いて前記潜像担持体上の潜像を現像する現像手段とを少なくとも一体的に備え、
画像形成装置に着脱可能に装着されるプロセスユニットにおいて、
前記トナー収容器として、請求項1から5のいずれか1項に記載の粉体収容器を用いたことを特徴とするプロセスユニット。
【請求項9】
請求項1から5のいずれか1項に記載の粉体収容器、請求項6に記載のトナーカートリッジ、請求項7に記載の現像装置、又は請求項8に記載のプロセスユニットを備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
内部に粉体を収容するハウジングと、
前記ハウジングの内部と外部を連通するようにハウジングに設けられた穴と、
前記穴を開閉するためにハウジングに着脱可能に取り付けられた蓋部材と、
粉体収容器が装着される機器との間で電気又は光の信号のやり取りをして機能を発揮する電子部品又は光学部品とを備えた粉体収容器の再生産方法において、
前記電子部品又は前記光学部品は前記蓋部材に設けられており、
粉体収容器を再生産する際、使用済みの粉体収容器の蓋を取り外してからハウジング内を清掃し、その後、ハウジング内に粉体を充填してから蓋を閉じることを特徴とする粉体収容器の再生産方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2013−61629(P2013−61629A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−111654(P2012−111654)
【出願日】平成24年5月15日(2012.5.15)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年5月15日(2012.5.15)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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