説明

粉体収納容器、粉体搬送装置及び画像形成装置

【課題】接触式の情報記憶装置を備え、粉体搬送装置本体に対して着脱可能に設置される粉体収納容器について、情報記憶装置に電気的な破損が生じにくい、粉体収納容器、粉体搬送装置、及び、この粉体搬送装置を備えた画像形成装置を提供する。
【解決手段】トナー容器32は、容器先端カバー34に設置されたIDチップ700を備え、IDチップ700は、情報が記憶されるIC(集積回路)等の情報記憶部と、本体側端子に接触して、粉体搬送装置本体との間で情報を通信するための容器側端子と、情報記憶部及び容器側端子が保持されるとともに、粉体搬送装置本体に設置された位置決めピン801に係合するIDチップ穴部701が形成された基板702と、を備え、IDチップ穴部701は、トナー搬送装置本体側のコネクタ800の位置決めピン801に形成された接地用本体側端子に接触するアース端子が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トナー等の粉体を収納する粉体収納容器、この粉体収納容器から搬送先に向けて粉体を搬送する粉体搬送装置、及び、トナー搬送装置としての粉体搬送装置を備える画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真プロセスを利用した複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置では、感光体上に形成された潜像を現像装置のトナーで可視像化することが行われるが、潜像を現像することによりトナーが消費されるため、現像装置内にトナー補給を行う必要がある。そのため、装置本体内に設けられた粉体供給装置としてのトナー補給装置によって、粉体収納容器としてのトナー容器から現像装置にトナーを搬送し、現像装置内へのトナー補給が行われる。このようにトナーの補給が行われる現像装置により、連続して現像を行うことが可能になる。また、トナー容器は画像形成装置本体に固定されたトナー補給装置に対して着脱可能となっており、内部に収納するトナーがなくなると、新たなトナーを収納するトナー容器と交換するもが知られている(特許文献1〜9)。
【0003】
トナー補給装置に着脱可能なトナー容器としては、トナーを収納するトナー収納部材の円筒状の内周面に螺旋状の突起が形成され、トナー補給装置に装着された状態で、トナー収納部材を回転することによって内部に収納するトナーを回転軸方向における一端側から他端側に搬送し、トナー収納部材の他端側に設けられた開口部からトナー補給装置本体に向けてトナー送り出すものが知られている(特許文献1〜6等)。
【0004】
特許文献6には、トナー収納部材を回転することで収納するトナーを一端側から他端側へ搬送するトナー容器について、トナー収納部材の他端側の開口部からトナー補給装置に固定された搬送管を挿入される構成が記載さている。このトナー容器に挿入される搬送管の挿入方向先端側端部近傍にはトナー受入口が形成されており、搬送管は、トナー容器に挿入された状態でトナー収納部材内のトナーをトナー受入口から管内に受け入れ、トナー補給装置本体側に搬送する。また、このトナー容器は、トナー収納部材の他端側端部の開口部内に、搬送管を挿入するための管挿入口が形成された管挿入部材が固定されている。さらに、このトナー容器は、搬送管を挿入する前の状態では管挿入口を閉鎖し、搬送管を挿入するときには管挿入口を開放する開閉部材を備える。
【0005】
特許文献6に記載のトナー容器は、搬送管が挿入されるまでは管挿入口が閉じられた状態を維持し、トナー補給装置に装着される前の状態でのトナーの漏れや飛散を防止できる。また、トナー容器をトナー補給装置に装着した状態では、トナー収納部材内のトナーは挿入された搬送管の挿入方向先端側端部近傍のトナー受入口から搬送管内を通ってトナー補給装置本体側に搬送され、管挿入口は搬送管によって塞がれている。このため、トナー容器をトナー補給装置に装着した状態でもトナーの漏れや飛散を防止できる。
【0006】
また、画像形成装置本体に着脱可能なトナー容器には、画像形成装置本体との間でやり取りするための情報が記憶されたIDチップ等の情報記憶装置(情報記録部、不揮発メモリ)が設置されているものがある(特許文献7〜9等)。そして、画像形成装置本体にトナー容器がセットされた状態で、情報記憶装置に記憶された情報(トナー容器の製造年月日、製造ロット番号、トナーの色、種類等の情報である。)が画像形成装置本体の制御部に送信されたり、画像形成装置本体から情報記憶装置へ情報(画像形成装置での使用履歴等の情報である。)が送信されたりすることで、画像形成装置本体とトナー容器との充実した品質管理がされている。
【0007】
ここで、特許文献7〜9等には、接触式の情報記憶装置(情報記録部)が開示されている。詳しくは、接触式の情報記憶装置(IDチップ)は、トナー容器が画像形成装置本体にセットされると、その金属パッド(端子)が画像形成装置本体に設置されたコネクタの本体側端子に接触する。これにより、トナー容器の情報記憶装置と画像形成装置の制御部(本体側情報記録部)との情報のやり取りが可能になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来の接触式の情報記憶装置は、装置本体へのトナー容器の着脱時に、情報記憶装置の電気回路においてアースが充分にとれずに電気的に浮いた状態になり、電気的な破損が生じてしまう可能性があった。
【0009】
上述の記載では、粉体としてトナーを収納するトナー容器について説明してきたが、収納する粉体はトナーに限るものではなく、情報記憶装置を備え、粉体搬送装置本体に対して着脱可能な粉体収納容器であれば、同様の問題が生じ得る。
【0010】
本発明は以上の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、接触式の情報記憶装置を備え、粉体搬送装置本体に対して着脱可能に設置される粉体収納容器について、情報記憶装置に電気的な破損が生じにくい、粉体収納容器、粉体搬送装置、及び、この粉体搬送装置を備えた画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、粉体搬送装置に供給する粉体を収納し、自身が回転することによって内部に収納する粉体を回転軸方向における一端側から他端側に搬送する粉体収納部材と、該粉体収納部材の他端側に配置された部材であって、該粉体搬送装置に固定され、該粉体収納部材内で開口する粉体受入口から管内に受け入れた粉体を該粉体搬送装置本体側に搬送する搬送管を挿入するための管挿入口が形成された管挿入部材と、を備え、上記粉体搬送装置本体に対して着脱可能な粉体収納容器において、上記粉体収納部材の上記他端側の端部を露出する形で、該粉体収納部材の外周面の少なくとも一部を覆い、該粉体収納部材に対して相対的に回転可能に取り付けられた収納部カバー部材と、該収納部カバー部材に設置され、上記粉体搬送装置本体に装着されることによって、該粉体搬送装置本体が備える情報処理手段との間で通信可能となる情報記憶装置とを備え、該情報記憶装置は、該粉体搬送装置本体と該粉体収納容器との間で通信される情報が記憶される情報記憶部と、該粉体搬送装置本体に設置された本体側端子に接触して、該粉体搬送装置本体との間で前記情報を通信するための容器側端子と、該情報記憶部及び該容器側端子が保持されるとともに、該粉体搬送装置本体に設置された突起部に係合する穴部または切欠部のうち少なくとも一方が形成された基板と、を備え、該基板に形成された該穴部または該切欠部は、該粉体搬送装置本体の該突起部に形成された接地用の本体側端子に接触するアース端子が形成されたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、粉体搬送装置本体に対して着脱可能に設置される粉体収納容器に、接触式の情報記憶装置を設置した場合であっても、情報記憶装置の基板に形成された穴部や切欠部に、粉体搬送装置本体の突起部に形成された接地用の本体側端子に係合するアース端子を形成しているため、情報記憶装置に電気的な破損が生じにくいという優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】トナー補給装置に固定されたコネクタとトナー容器の容器先端側端部との斜視説明図。
【図2】実施形態における複写機を示す全体構成図。
【図3】同複写機の作像部を示す模式図。
【図4】同複写機におけるトナー補給装置にトナー容器が設置された状態を示す模式図。
【図5】同複写機のトナー容器収容部にトナー容器が設置された状態を示す概略斜視図。
【図6】トナー容器の斜視説明図。
【図7】トナー容器を装着する前のトナー補給装置とトナー容器との斜視説明図。
【図8】トナー容器を装着した状態のトナー補給装置とトナー容器との斜視説明図。
【図9】トナー容器を装着する前のトナー補給装置とトナー容器との断面説明図。
【図10】トナー容器を装着した状態のトナー補給装置とトナー容器との断面説明図。
【図11】容器先端カバーを取り外した状態のトナー容器の斜視説明図。
【図12】容器本体からノズル受入部材を取り外した状態のトナー容器の斜視説明図。
【図13】容器本体からノズル受入部材を取り外した状態のトナー容器の断面説明図。
【図14】図13の状態からノズル受入部材を容器本体に取り付けた状態のトナー容器の断面説明図。
【図15】容器先端側から見たノズル受入部材の斜視説明図
【図16】容器後端側から見たノズル受入部材の斜視説明図。
【図17】図14に示す状態のノズル受入部材の上断面図。
【図18】図14に示す状態のノズル受入部材の横断面図。
【図19】ノズル受入部材の分解斜視図。
【図20】ノズルシャッタ部材の断面説明図。
【図21】ノズルシャッタ部材をノズル先端側から見た斜視説明図。
【図22】ノズルシャッタ部材をノズル根元側から見た斜視説明図。
【図23】トナー補給装置の搬送ノズル近傍の断面説明図。
【図24】搬送ノズルのノズル開口部近傍の斜視断面説明図。
【図25】ノズルシャッタ部材を取り外した状態の搬送ノズル近傍をノズル先端側から見た斜視説明図。
【図26】ノズルシャッタ部材を取り外した状態のノズル開口部近傍の斜視説明図。
【図27】トナー容器をトナー補給装置に装着した状態の模式図、(a)は、先端開口形成部の端面とノズル受入部材の端面との回転軸方向における位置が同じ場合の説明図、(b)は、先端開口形成部の端面よりもノズル受入部材の端面が容器後端側にある場合の説明図。
【図28】保管時のトナー容器の斜視説明図。
【図29】キャップ部材を取り付けた状態のトナー容器の容器先端側の端部近傍の断面説明図。
【図30】キャップ部材に吸着剤を設けたトナー容器の一つ目の例の断面説明図。
【図31】キャップ部材に吸着剤を設けたトナー容器の二つ目の例の断面説明図。
【図32】キャップ部材に吸着剤を設けたトナー容器の三つ目の例の断面説明図。
【図33】ネジ止めによって容器本体に固定されるノズル受入部材に用いる容器シャッタ支持部材の斜視説明図。
【図34】汲み上げ部の位置における回転軸に直交する断面の説明図。
【図35】シャッタ側面支持部が橋渡し手段として作用する構成のトナー容器を装着する前のトナー補給装置とトナー容器の端部との断面説明図。
【図36】図35の状態からトナー容器を装着した状態のトナー補給装置とトナー容器との断面説明図。
【図37】図36中のE−E断面における断面説明図、(a)は、橋渡し手段として作用していない構成の説明図、(b)は、シャッタ側面支持部335aが橋渡し手段として作用する構成の説明図。
【図38】容器本体内のトナーが搬送ノズルを通過するまでのトナーの搬送経路を示す模式図。
【図39】実施例と比較例との容器内のトナー残量と補給速度との関係を示すグラフ。
【図40】容器回転ギアを設けた位置の内周面に対してノズル受入部材を圧入するトナー容器の説明図。
【図41】カバー爪引掛け部を設けた位置の内周面に対してノズル受入部材を圧入するトナー容器の説明図。
【図42】IDチップ保持機構を分解した状態のトナー容器の容器先端側端部とコネクタとの斜視説明図。
【図43】IDチップを保持蓋に仮止めした状態のトナー容器の容器先端側端部とコネクタとの斜視説明図。
【図44】IDチップの三面図、(a)は、正面図、(b)は、側面図、(c)は、裏面図。
【図45】IDチップ、保持蓋、及び、コネクタの相対位置関係を示す斜視図。
【図46】IDチップがコネクタに係合した状態を示す斜視図。
【図47】IDチップの電気回路とコネクタの電気回路とを示す回路図。
【図48】IDチップの正面図、(a)は、IDチップがコネクタに保持された状態を示す正面図、(b)は、IDチップが位置決め用のIDチップ穴部を中心に回動している状態を示す正面図。
【図49】通電検査装置のプローブが当接された状態のIDチップを示す図。
【図50】回転軸方向についてのノズル受入口の開口位置が、先端開口形成部の容器先端側の端部と同じ位置としたトナー容器の説明図、(a)は、容器先端側端部近傍の斜視説明図、(b)は、容器先端側端部近傍の断面説明図。
【図51】従来のトナー容器の模式図、(a)は、軸付き回転搬送部材を用いる構成の説明図、(b)は、軸無し回転搬送部材を用いる構成の説明図、(c)は、容器の内周面に螺旋状突起を有する構成の説明図。
【図52】ドーナツ状のシール部材を有するノズルシャッタ部材の説明図、(a)は、斜視図、(b)は断面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を画像形成装置としての複写機(以下、複写機500という)に適用した、本発明の一実施形態について説明する。
図2は、本実施形態の複写機500の概略構成図である。複写機500は、複写装置本体(以下、プリンタ部100という)、給紙テーブル(以下、給紙部200という)及びプリンタ部100上に取り付けるスキャナ(以下、スキャナ部400という)から構成される。
【0015】
プリンタ部100の上部に設けられたトナー容器収容部70には、各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)に対応した四つの粉体物収納容器としてのトナー容器32(Y,M,C,K)が着脱自在(交換自在)に設置されている。トナー容器収容部70の下方には中間転写ユニット85が配設されている。
【0016】
中間転写ユニット85は、中間転写ベルト48、四つの一次転写バイアスローラ49(Y,M,C,K)、二次転写バックアップローラ82、複数のテンションローラ、及び、不図示の中間転写クリーニング装置等で構成される。中間転写ベルト48は、複数のローラ部材によって張架、支持されるとともに、この複数のローラ部材の1つである二次転写バックアップローラ82の回転駆動によって図2中の矢印方向に無端移動する。
【0017】
プリンタ部100には、中間転写ベルト48に対向するように、各色に対応した四つの作像部46(Y,M,C,K)が並設されている。また、四つのトナー容器32(Y,M,C,K)の下方には、それぞれに対応した四つのトナー補給装置60(Y,M,C,K)が配設されている。そして、トナー容器32(Y,M,C,K)に収容されたトナーは、それぞれに対応するトナー補給装置60(Y,M,C,K)によって、各色に対応した作像部46(Y,M,C,K)の現像装置(粉体物使用部)内に供給(補給)される。
【0018】
また、図2に示すように、プリンタ部100は四つの作像部46の下方に潜像形成手段である露光装置47を備える。露光装置47は、スキャナ部400で読み込んだ原稿画像の画像情報またはパーソナルコンピュータ等の外部装置から入力される画像情報に基づいて、後述する感光体41の表面に対して露光し、感光体41の表面に静電潜像を形成する。プリンタ部100が備える露光装置47は、レーザーダイオードを用いたレーザービームスキャナ方式を用いているが、露光手段としてはLEDアレイを用いるものなど他の構成でも良い。
【0019】
図3は、イエローに対応した作像部46Yの概略構成を示す模式図である。
作像部46Yは、潜像担持体であるドラム状の感光体41Yを備える。さらに、作像部46Yは、帯電手段である帯電ローラ44Y、現像手段である現像装置50Y、感光体クリーニング装置42Y、不図示の除電装置等を感光体41Yの周囲に配設した構成である。そして、感光体41Y上で、作像プロセス(帯電工程、露光工程、現像工程、転写工程、クリーニング工程)が行われて、感光体41Y上にイエロー画像が形成されることになる。
【0020】
なお、他の三つの作像部46(M,C,K)も、使用されるトナーの色が異なる点以外は、イエローに対応した作像部46Yとほぼ同様の構成となっていて、各感光体41(M,C,K)上にそれぞれのトナーに対応した色の画像が形成される。以下、他の三つの作像部46(M,C,K)の説明を適宜に省略して、イエローに対応した作像部46Yのみの説明を行うことにする。
【0021】
感光体41Yは、不図示の駆動モータによって図3中の時計回り方向に回転駆動する。そして、帯電ローラ44Yと対向する位置で、感光体41Yの表面が一様に帯電される(帯電工程)。その後、感光体41Yの表面は、露光装置47から発せられたレーザ光Lの照射位置に達して、この位置での露光走査によってイエローに対応した静電潜像が形成される(露光工程)。その後、感光体41Yの表面は、現像装置50Yとの対向位置に達して、この位置で静電潜像が現像されて、イエローのトナー像が形成される(現像工程)。
【0022】
中間転写ユニット85の四つの一次転写バイアスローラ49(Y,M,C,K)は、それぞれ、中間転写ベルト48を感光体41(Y,M,C,K)との間に挟み込んで一次転写ニップを形成している。そして、一次転写バイアスローラ49(Y,M,C,K)に、トナーの極性とは逆の転写バイアスが印加される。
【0023】
現像工程でトナー像が形成された感光体41Yの表面は、中間転写ベルト48を挟んで一次転写バイアスローラ49Yと対向する一次転写ニップに達して、この一次転写ニップで感光体41Y上のトナー像が中間転写ベルト48上に転写される(一次転写工程)。このとき、感光体41Y上には、僅かながら未転写トナーが残存する。一次転写ニップでトナー像を中間転写ベルト48に転写した感光体41Yの表面は、感光体クリーニング装置42Yとの対向位置に達して、この位置で感光体41Y上に残存した未転写トナーがクリーニングブレード42aによって機械的に回収される(クリーニング工程)。最後に、感光体41Yの表面は、不図示の除電装置との対向位置に達して、この位置で感光体41Y上の残留電位が除去される。こうして、感光体41Y上で行われる一連の作像プロセスが終了する。
【0024】
このような作像プロセスは、他の作像部46(M,C,K)でも、イエロー作像部46Yと同様に行われる。すなわち、作像部46(M,C,K)の下方に配設された露光装置47から、画像情報に基づいたレーザ光Lが、各作像部46(M,C,K)の感光体41(M,C,K)上に向けて照射される。詳しくは、露光装置47は、光源からレーザ光Lを発して、そのレーザ光Lを回転駆動されたポリゴンミラーで走査しながら、複数の光学素子を介して各感光体41(M,C,K)上に照射する。その後、現像工程を経て各感光体41(M,C,K)上に形成した各色のトナー像を、中間転写ベルト48上に転写する。
【0025】
このとき、中間転写ベルト48は、図2中の矢印方向に走行して、各一次転写バイアスローラ49(Y,M,C,K)の一次転写ニップを順次通過する。これにより、各感光体41(Y,M,C,K)上の各色のトナー像が、中間転写ベルト48上に重ねて一次転写され、中間転写ベルト48上にカラートナー像が形成される。
【0026】
各色のトナー像が重ねて転写され、カラートナー像が形成された中間転写ベルト48は、二次転写ローラ89との対向位置に達する。この位置では、二次転写バックアップローラ82が、二次転写ローラ89との間に中間転写ベルト48を挟み込んで二次転写ニップを形成している。そして、中間転写ベルト48上に形成されたカラートナー像は、二次転写ニップの位置に搬送された転写紙等の記録媒体P上に転写される。このとき、中間転写ベルト48には、記録媒体Pに転写されなかった未転写トナーが残存する。二次転写ニップを通過した中間転写ベルト48は、不図示の中間転写クリーニング装置の位置に達し、その表面上の未転写トナーが回収され、中間転写ベルト48上で行われる一連の転写プロセスが終了する。
【0027】
次に、記録媒体Pの動きについて説明する。
上述した二次転写ニップに搬送される記録媒体Pは、プリンタ部100の下方に配設された給紙部200の給紙トレイ26から、給紙ローラ27やレジストローラ対28等を経由して搬送されるものである。詳しくは、給紙トレイ26には記録媒体Pが複数枚重ねて収納されている。そして、給紙ローラ27が図2中の反時計回り方向に回転駆動されると、一番上の記録媒体Pがレジストローラ対28の二つのローラによって形成されるローラニップに向けて搬送される。
【0028】
レジストローラ対28に搬送された記録媒体Pは、回転駆動を停止したレジストローラ対28のローラニップの位置で一旦停止する。そして、中間転写ベルト48上のカラートナー像が二次転写ニップに到達するタイミングに合わせて、レジストローラ対28が回転駆動されて、記録媒体Pが二次転写ニップに向けて搬送される。これにより、記録媒体P上に、所望のカラートナー像が転写される。
【0029】
二次転写ニップでカラートナー像が転写された記録媒体Pは、定着装置86の位置に搬送される。定着装置86では、定着ベルト及び加圧ローラによる熱と圧力とにより、表面に転写されたカラートナー像が記録媒体P上に定着される。定着装置86を通過した記録媒体Pは、排紙ローラ対29のローラ間を経て、装置外へと排出される。排紙ローラ対29によって装置外に排出された記録媒体Pは、出力画像として、スタック部30上に順次スタックされる。こうして、複写機500における一連の画像形成プロセスが完了する。
【0030】
次に、作像部46における現像装置50の構成及び動作について、さらに詳しく説明する。なお、ここではイエローに対応した作像部46Yを例に挙げて説明を行うが、他色の作像部46(M,C,K)においても同様である。
【0031】
現像装置50Yは、図3に示すように、感光体41Yに対向する現像ローラ51Y、現像ローラ51Yに対向するドクタブレード52Y、二つの現像剤収容部(53Y,54Y)内に配設された二つの現像剤搬送スクリュ55Y、及び、トナー濃度検知センサ56Y等で構成される。現像ローラ51Yは、内部に固設されたマグネットローラ、及び、マグネットローラの周囲を回転するスリーブ等で構成される。第一現像剤収容部53Y及び第二現像剤収容部54Y内には、キャリアとトナーとからなる二成分の現像剤Gが収容されている。第二現像剤収容部54Yは、その上方に形成された開口を介してトナー落下搬送経路64Yに連通している。また、トナー濃度検知センサ56Yは、第二現像剤収容部54Y内の現像剤G中のトナー濃度を検知する。
【0032】
現像装置50内の現像剤Gは、二つの現像剤搬送スクリュ55Yによって、攪拌されながら、第一現像剤収容部53Yと第二現像剤収容部54Yとの間を循環する。第一現像剤収容部53Y内の現像剤Gは、現像剤搬送スクリュ55Yの一方に搬送されながら現像ローラ51Y内のマグネットローラにより形成される磁界によって現像ローラ51Yのスリーブ表面上に供給され、担持される。現像ローラ51Yのスリーブは、図3の矢印で示すように反時計回り方向に回転駆動し、現像ローラ51Y上に担持された現像剤Gは、スリーブの回転にともない現像ローラ51Y上を移動する。このとき、現像剤G中のトナーは、現像剤G中のキャリアとの摩擦帯電によりキャリアとは逆極性の電位に帯電して静電的にキャリアに吸着し、現像ローラ51Y上に形成された磁界によって引き寄せられるキャリアとともに現像ローラ51Y上に担持される。
【0033】
現像ローラ51Y上に担持された現像剤Gは、図3中の矢印方向に搬送されて、ドクタブレード52Yと現像ローラ51Yとが対向するドクタ部に達する。現像ローラ51Y上の現像剤Gは、ドクタ部を通過する際にその量が適量化され、その後、感光体41Yとの対向位置である現像領域まで搬送される。現像領域では、現像ローラ51Yと感光体41Yとの間に形成された現像電界によって感光体41Y上に形成された潜像に現像剤G中のトナーが吸着される。現像領域を通過した現像ローラ51Yの表面上に残った現像剤Gはスリーブの回転に伴い第一現像剤収容部53Yの上方に達して、この位置で現像ローラ51Yから離脱される。
【0034】
現像装置50Y内の現像剤Gは、トナー濃度が所定の範囲内になるように調整される。詳しくは、現像装置50Y内の現像剤Gに含まれるトナーの現像による消費量に応じて、トナー容器32Yに収容されているトナーが、後述するトナー補給装置60Yを介して第二現像剤収容部54Y内に補給される。
第二現像剤収容部54Y内に補給されたトナーは、二つの現像剤搬送スクリュ55Yによって、現像剤Gとともに混合、攪拌されながら、第一現像剤収容部53Yと第二現像剤収容部54Yとの間を循環する。
【0035】
次に、トナー補給装置60(Y,M,C,K)について説明する。
図4は、トナー補給装置60Yにトナー容器32Yが設置された状態を示す模式図であり、図5は、トナー容器収容部70に四つのトナー容器32(Y,M,C,K)が設置された状態を示す概略斜視図である。
【0036】
プリンタ部100のトナー容器収容部70に設置された各トナー容器32(Y,M,C,K)内のトナーは、各色の現像装置50(Y,M,C,K)内のトナー消費に応じて、トナー色ごとに設けられたトナー補給装置60(Y,M,C,K)によって適宜に各現像装置50(Y,M,C,K)内に補給される。なお、四つのトナー補給装置60(Y,M,C,K)やトナー容器32(Y,M,C,K)は、作像プロセスに用いられるトナーの色が異なる以外はほぼ同一構造である。このため、以下、イエローに対応したトナー補給装置60Yやトナー容器32Yのみの説明を行い、他の三つの色に対応したトナー補給装置60(M,C,K)やトナー容器32(M,C,K)の説明を適宜に省略する。
【0037】
トナー補給装置60(Y,M,C,K)は、トナー容器収容部70、搬送ノズル611(Y,M,C,K)、搬送スクリュ614(Y,M,C,K)、トナー落下搬送経路64(Y,M,C,K)、容器回転駆動部91(Y,M,C,K)等で構成されている。
トナー容器32Yが図中矢印Qの方向へ移動してプリンタ部100のトナー容器収容部70に装着されると、その装着動作に連動して、トナー容器32Yの容器先端側からトナー補給装置60Yの搬送ノズル611Yが挿入され、トナー容器32Y内と搬送ノズル611Y内とが連通する。この装着動作に連動して連通する構成についての詳細は後述する。
【0038】
本実施形態のトナー容器32Yは、略円筒状のトナーボトルであって、主として、トナー容器収容部70に非回転で保持される容器先端カバー34Yと、容器回転ギア301Yが一体的に形成された容器本体33Yとから主に構成される。容器本体33Yは、容器先端カバー34Yに対して相対的に回転可能に保持されている。
【0039】
トナー容器収容部70は、主として、トナー容器32Yの容器先端カバー34Yを保持するための先端受部73と、トナー容器32Yの容器本体33Yを保持するための容器受部72と、トナー容器32Yの装着動作時における挿入口を形成する挿入口形成部71とで構成されている。複写機500の手前側(図2の紙面垂直方向手前側)に設置された不図示の本体カバーを開放すると、トナー容器収容部70の挿入口形成部71が露呈される。そして、各トナー容器32(Y,M,C,K)の長手方向を水平方向とした状態で、複写機500の手前側から各トナー容器32(Y,M,C,K)の着脱操作(トナー容器32の長手方向を着脱方向とする着脱操作)を行う。なお、図4中のセットカバー608Yは、トナー容器収容部70の先端受部73の一部である。
【0040】
容器受部72は、その長手方向の長さが、容器本体33Yの長手方向の長さとほぼ同等になるように形成されている。また、先端受部73は容器受部72における長手方向(着脱方向)の他端側に設けられ、挿入口形成部71は容器受部72における長手方向の一端側に設けられている。そのため、トナー容器32Yの装着動作にともない、容器先端カバー34Yは、挿入口形成部71を通過した後に、しばらく容器受部72上を滑動して、その後に先端受部73に装着されることになる。
【0041】
容器先端カバー34Yが先端受部73に装着された状態で、駆動モータや駆動ギア等で構成されている容器回転駆動部91Yから容器回転ギア301Yに回転駆動が入力されることで、容器本体33Yが図4中の矢印A方向に回転駆動される。容器本体33Y自体が回転することで、容器本体33Yの内周面に螺旋状に形成された螺旋状突起302Yによって、容器本体33Yの内部に収容されたトナーが容器本体長手方向に沿って図4中の左側から右側へ搬送されて、容器先端カバー34Y側から搬送ノズル611Y内に供給される。
【0042】
搬送ノズル611Y内には、搬送スクリュ614Yが配置されており、容器回転駆動部91Yから搬送スクリュギア605Yに回転駆動が入力されることで、搬送スクリュ614Yが回転し、搬送ノズル611Y内に供給されたトナーを搬送する。搬送ノズル611Yの搬送方向下流端は、トナー落下搬送経路64Yに接続されており、搬送スクリュ614Yによって搬送されたトナーは、トナー落下搬送経路64Yを自重落下して現像装置50Y(第二現像剤収容部54Y)内に補給される。
トナー容器32(Y,M,C,K)は、それぞれ、寿命に達したとき(収容するトナーがほとんどすべて消費されて空になったとき)に新品のものに交換される。トナー容器32の長手方向における容器先端カバー34とは反対側の端部には把手部303が設けられており、交換の際には、作業者が把手部303を握って引き出すことで、装着されたトナー容器32を取り外すことが出来る。
【0043】
上述した露光装置47で用いる画像情報に基づいて制御部90がトナー消費量を算出し、制御部90が現像装置50Yへのトナーの供給を要すると判断した場合や、トナー濃度検知センサ56Yの検知結果に基づいて現像装置50Y内のトナー濃度が低下したことを制御部90にて検出した場合は、制御部90の制御によって容器回転駆動部91Yを回転駆動し、トナー容器32Yの容器本体33Yと搬送スクリュ614Yとを所定時間回転させて現像装置50Yへのトナー補給を行う。また、搬送ノズル611Y内に配置された搬送スクリュ614Yを回転することによってトナーの補給を行っているため、搬送スクリュ614Yの回転数を検出することで、トナー容器32Yからのトナー供給量を精度良く算出することもできる。そして、トナー容器32Yを装着したときから累積的に算出したトナー供給量が装着時のトナー容器32Y内のトナー量に達した場合には、トナー容器32Y内にトナーが無いものとして、複写機500の不図示の表示部にトナー容器32Yの交換を促す旨の表示を行う。
また、トナー濃度検知センサ56Yがトナー濃度低下を検知して、補給動作実行し、トナー濃度が回復したか否か判定を複数回繰り返しても、トナー濃度検知センサ56Yによってトナー濃度が回復したことが検知されない場合も、トナー容器32Y内にトナーが無いものとして、複写機500の不図示の表示部にトナー容器32Yの交換を促す旨の表示を行う。
【0044】
本実施形態のトナー補給装置60Yでは、搬送スクリュ614Yの回転数によって現像装置50Yへのトナーの供給量を制御している。このため、搬送ノズル611Yを通過したトナーは、現像装置50Yへの供給量を制御されることなく、トナー落下搬送経路64Yを介して、直接に現像装置50Yへと搬送される。本実施形態のように、搬送ノズル611Yをトナー容器32Yに挿入するトナー補給装置60Yであっても、トナーホッパ等のトナー一次貯留部を設け、このトナー一次貯留部から現像装置50Yへのトナーの搬送量を制御することで、現像装置50Yへのトナーの供給量を制御する構成としてもよい。また、本実施形態のトナー補給装置60Yでは、搬送ノズル611Y内に供給されたトナーを搬送スクリュ614Yによって搬送する構成としているが、搬送ノズル611Y内に供給されたトナーを搬送する構成としては、スクリュ部材に限るものではなく、特許文献6のように、粉体ポンプを用いて搬送ノズル611Yの開口部に負圧を発生させる構成など、スクリュ部材以外によって搬送力を付与する構成であってもよい。
【0045】
トナー一次貯留部を設ける構成では、トナー一次貯留部内に貯留されたトナーが所定量以下になったことを検知するトナーエンドセンサを設置し、トナーエンドセンサのトナーエンド検知に基づいて、容器本体33Y及び搬送スクリュ614Yを所定時間回転駆動してトナー一次貯留部へのトナー補給を行う。さらに、このような制御を所定回数繰り返してもトナーエンドセンサによるトナーエンド検知が解除されない場合には、トナー容器32Y内にトナーがないものとして、複写機500の不図示の表示部にトナー容器32Yの交換を促す旨の表示を行う。このように、トナーエンドセンサのトナーエンド検知に基づいてトナー容器32Y内のトナーが無くなったことを検出する構成であれば、トナー容器32Yを装着したときからのトナー供給量を累積的に算出する必要がない。しかし、本実施形態のトナー補給装置60Yのように、トナー一次貯留部を設けない構成であれば、トナー補給装置60Yの小型化を図ることができ、複写機500全体の小型化を図ることができる。
【0046】
次に、本実施形態のトナー容器32(Y,M,C,K)及びトナー補給装置60(Y,M,C,K)についてより詳細に説明する。なお、上述したように、トナー容器32(Y,M,C,K)及びトナー補給装置60(Y,M,C,K)は、それぞれ使用するトナーの色が異なる他はほぼ同様の構成になっているので、以下、Y,M,C,Kという使用するトナーの色を示す添字を省略して説明する。
【0047】
図6は、本実施形態のトナー容器32の斜視説明図である。また、図7は、トナー容器32を装着する前のトナー補給装置60と、トナー容器32の先端側端部との斜視説明図であり、図8は、トナー容器32を装着した状態のトナー補給装置60と、容器先端側のトナー容器32の端部との斜視説明図である。
図9は、トナー容器32を装着する前のトナー補給装置60と、容器先端側のトナー容器32の端部との断面説明図であり、図10は、トナー容器32を装着した状態のトナー補給装置60と、容器先端側のトナー容器32の端部との断面説明図である。
【0048】
トナー補給装置60は、内部に搬送スクリュ614を備える搬送ノズル611を備える。また、トナー補給装置60は、トナー容器32が装着される前の非装着時(図7及び図9の状態)では、搬送ノズル611に形成されたノズル開口部610を閉鎖し、トナー容器32が装着された装着時(図8及び図10の状態)にはノズル開口部610を開放するノズルシャッタ部材612を備える。一方、トナー容器32の先端面の中央には、装着時に搬送ノズル611が挿入されるノズル受入口331が形成されており、非装着時にノズル受入口331を閉鎖する容器シャッタ部材332を備える。
【0049】
まず、トナー容器32について説明する。
上述したようにトナー容器32は、容器本体33と、容器先端カバー34とから主に構成されている。図11は、容器先端カバー34を取り外した状態のトナー容器32の斜視説明図である。図11に示すように、容器先端カバー34を取り外したトナー容器32は、容器本体33と、ノズル受入口331を形成するノズル受入部材330とから構成される。
図12は、容器本体33からノズル受入部材330を取り外した状態のトナー容器32の斜視説明図であり、図13は、容器本体33からノズル受入部材330を取り外した状態のトナー容器32の断面説明図である。また、図14は、図13の状態からノズル受入部材330を容器本体33に取り付けた状態のトナー容器32(図11と同様に容器先端カバー34を取り外した状態のトナー容器32)の断面説明図である。
【0050】
容器本体33は、略円筒状であり、円筒の中心軸を回転軸として回転する構成となっている。以下、この回転軸に平行な方向を「回転軸方向」と呼び、回転軸方向において、トナー容器32における容器先端カバー34が配置されている側を「容器先端側」、トナー容器32における把手部303が配置されている側(容器先端側とは逆側)を「容器後端側」と呼ぶ。なお、上述したトナー容器32の長手方向は回転軸方向であり、トナー補給装置60にトナー容器32を装着した状態では、回転軸方向は水平方向となる。容器本体33の容器回転ギア301よりも容器後端側は、容器先端側よりもその外径が大きくなっており、その内周面には螺旋状突起302が形成されている。そして、容器本体33が図中の矢印A方向に回転すると、容器本体33内のトナーは螺旋状突起302の作用によって回転軸方向における一端側(容器後端側)から他端側(容器先端側)に向かう搬送力が付与される。
【0051】
容器本体33の容器先端側には、容器本体33が図中矢印A方向に回転することで螺旋状突起部302によって容器先端側に搬送されてきたトナーを、容器本体33の回転によって上方に汲み上げる汲み上げ部304が形成されている。汲み上げ部304の内部空間の回転方向上流側のケーシング内壁面である汲み上げ内壁面304fが回転方向に対してパドル羽のような形状となっている。そして、汲み上げ部304の内部空間が下方にあるときに、螺旋状突起部302の搬送力によって汲み上げ部304内に進入したトナーを、汲み上げ内壁面304fが容器本体33の回転によって汲み上げることにより、挿入された搬送ノズル611よりも上方にトナーを汲み上げることができる。
【0052】
容器本体33の汲み上げ部304よりもさらに容器先端側には、容器回転ギア301が形成されている。容器先端カバー34には、容器本体33に取り付けた状態で、この容器回転ギア301の一部(図6中の奥側)が露出するように、ギア露出開口部34aが設けられている。そして、トナー容器32をトナー補給装置60に装着することで、ギア露出開口部34aから露出した容器回転ギア301が、トナー補給装置60側の容器駆動出力ギア601に噛み合う構成となっている。
【0053】
容器本体33の容器回転ギア301よりもさらに容器先端側には、円筒状の先端開口形成部305が形成されている。そして、この先端開口形成部305にノズル受入部材330の受入部材固定部337を圧入することにより、容器本体33に対してノズル受入部材330を固定することが出来る。ノズル受入部材330を固定する方法としては圧入に限らず、接着剤による固定やネジ止めによる固定であっても良い。
トナー容器32は、容器本体33に対して先端開口形成部305の開口からトナーを充填後、ノズル受入部材330を容器本体33の先端開口形成部305に固定する構成となっている。
【0054】
また、容器本体33の先端開口形成部305の容器回転ギア301側の端部には、カバー爪引掛け部306が形成されている。図11に示す状態のトナー容器32(容器本体33)に対して、容器先端側(図11中の左下側)から容器先端カバー34を取り付けることで、容器本体33が回転軸方向で容器先端カバー34を貫き、容器先端カバー34の上部に設けられたカバー爪部341がカバー爪引掛け部306に引っ掛かる。カバー爪引掛け部306は先端開口形成部305の外周面を一周するように形成されており、カバー爪部341が引っ掛かることで、容器本体33と容器先端カバー34とは、相対的に回転可能な取り付けとなる。カバー爪引掛け部306としては、完全に一周している必要はなく例えば120[°]間隔で三箇所設けた構成であっても良い。
【0055】
また、容器本体33は、二軸延伸ブロー成形法(特許文献1〜3参照)によって成形される。この二軸延伸ブロー成形法は、一般的にはプリフォーム成形工程と延伸ブロー成形工程との二段工程からなる。プリフォーム成形工程では、樹脂を用いて射出成形により試験管状のプリフォームを成形する。このときの射出成形により、試験管状の口部に、先端開口形成部305、カバー爪引掛け部306及び容器回転ギア301を形成する。延伸ブロー成形工程は、プリフォーム成形工程後に冷却され、型から外されたプリフォームを加熱して軟化した後、ブロー成形すると共に延伸する。
【0056】
本実施形態の容器本体33では、容器回転ギア301よりも容器後端側が延伸ブロー成形工程によって成形される。すなわち、汲み上げ部304、螺旋状突起302が形成されている部分、及び、把手部303は、延伸ブロー成形工程によって成形される。
容器本体33において、容器回転ギア301、先端開口形成部305及びカバー爪引掛け部306等の容器回転ギア301から容器先端側の各部は、射出成形されたプリフォームのままの形状であるため、精度良く成形できる。一方、汲み上げ部304、螺旋状突起302が形成されている部分、及び、把手部303は、射出成形された後、延伸ブロー成形工程で延伸して成形されているため、精度良く成形がなされていない。
【0057】
次に、容器本体33に固定されるノズル受入部材330について説明する。
図15は、容器先端側から見たノズル受入部材330の斜視説明図であり、図16は、容器後端側から見たノズル受入部材330の斜視説明図である。また、図17は、図14に示す状態のノズル受入部材330を上から見た上断面図であり、図18は、図14に示す状態のノズル受入部材330を横(図14中の奥側)から見た横断面図である。さらに、図19は、ノズル受入部材330の分解斜視図である。
【0058】
ノズル受入部材330は、シャッタ後端支持部335、シャッタ側面支持部335a及び受入部材固定部337からなる容器シャッタ支持部材340と、容器シャッタ部材332と、容器シール部材333と、コイルスプリングからなる容器シャッタバネ336とから構成される。図17及び図18に示すように、容器シャッタバネ336の先端側の端部は容器シャッタ部材332の壁面に突き当たり、容器シャッタバネ336の後端側の端部はシャッタ後端支持部335の壁面に突き当たる。このとき、容器シャッタバネ336は圧縮した状態であるため、容器シャッタ部材332はシャッタ後端支持部335から離れる方向(図17及び図18中の右方向、容器先端方向)の付勢力を受ける。しかし、容器シャッタ部材332の容器後端側の端部に形成されたシャッタ抜け防止爪332aがシャッタ後端支持部335の外壁面に引っ掛かり、図17及び図18で示す状態よりも容器シャッタ部材332はシャッタ後端支持部335から離れる方向に移動することを防止している。このようなシャッタ抜け防止爪332aのシャッタ後端支持部335に対する引っ掛かりと、容器シャッタバネ336の付勢力と、によって、容器シャッタ部材332の容器シャッタ支持部材340に対する位置決めがなされる。
【0059】
受入部材固定部337は容器後端側ほど内周面の径が階段状に小さくなる筒状である。そして、図17に示すように、二つのシャッタ側面支持部335aの間の円柱状の空間の径と内周面の径が同じ大きさとなる部分(容器シャッタ部材332の外周面が摺動する内周面を形成する部分)に対して、容器先端側となる段差に突き当たるようにドーナツ状の容器シール部材333が配置され、容器シール部材333は、接着剤または両面テープ等により受入部材固定部337の上述した段差に固定されている。
【0060】
また、図17及び図18に示すように、ノズル受入部材330における受入部材固定部337の容器シール部材333が突き当たる段差部分の最も内側の部分には、シール部材巻き込み防止空間337bが形成されている。シール部材巻き込み防止空間337bは円筒状の空間であり、その径は、ドーナツ状の容器シール部材333の外径よりも小さく、容器シャッタ部材332の外周面が摺動する内周面を形成する部分の径よりも大きい。
【0061】
容器シャッタ部材332がノズル受入口331を遮蔽している状態から容器後端方向に移動した場合、ドーナツ状の容器シール部材333の内周面は容器シャッタ部材332と摺動するため、容器シール部材333の内周面を形成する部分は容器シャッタ部材332に引っ張られ容器後端方向に移動するように弾性変形する。
このとき、受入部材固定部337における容器シール部材333が突き当たる段差部分と、容器シャッタ部材332の外周面が摺動する内周面を形成する部分とが連続的に形成されていると、容器シール部材333の弾性変形した部分が、容器シャッタ部材332と摺動する受入部材固定部337の内周面と容器シャッタ部材332の外周面との間に挟まれて、巻き込まれた状態となるおそれがある。受入部材固定部337と容器シャッタ部材332とが摺動する部分に容器シール部材333が巻き込まれると、受入部材固定部337に対して容器シャッタ部材332がロックされ、ノズル受入口331の開閉が行えなくなる。
【0062】
これに対して、本実施形態のノズル受入部材330は、その内周部にシール部材巻き込み防止空間337bが形成されている。シール部材巻き込み防止空間337bの径は、ドーナツ状の容器シール部材333の外径よりも小さいため、容器シール部材333全体が進入してくることはない。また、容器シール部材333の容器シャッタ部材332に引っ張られて弾性変形した部分が、容器後端方向に移動してシール部材巻き込み防止空間337bに進入しても、シール部材巻き込み防止空間337bの径は、容器シャッタ部材332の外周面が摺動する内周面を形成する部分の径よりも大きいため、受入部材固定部337と容器シャッタ部材332とが摺動する部分に容器シール部材333が巻き込まれることがない。よって、受入部材固定部337と容器シャッタ部材332とが摺動する部分に容器シール部材333が巻き込まれることを防止し、受入部材固定部337に対して容器シャッタ部材332がロックされることに起因してノズル受入口331の開閉が行えなくなることを防止できる。
【0063】
図17〜図19に示すように、受入部材固定部337の容器シール部材333が配置される部分の内周面には、複数本のノズルシャッタ突き当てリブ337aが形成されている。図17及び図18に示すように、受入部材固定部337に容器シール部材333を固定した状態では、容器シール部材333の容器先端側の端面は、ノズルシャッタ突き当てリブ337aの容器先端側の端部よりも回転軸方向に突き出している。図10に示すように、トナー容器32をトナー補給装置60に装着したときには、トナー補給装置60側のノズルシャッタ部材612のノズルシャッタ鍔部612aが、ノズルシャッタ突き当てリブ337aの容器先端側端部に突き当たる。このとき、ノズルシャッタ突き当てリブ337aの容器先端側端部よりも容器シール部材333の先端側の面が突き出していることで、ノズルシャッタ鍔部612aが容器シール部材333に接触した後、容器シール部材333を押し潰してノズルシャッタ突き当てリブ337aに突き当たる。このように、トナー容器32をトナー補給装置60に装着したときに、容器シール部材333がノズルシャッタ鍔部612aに押し潰されることで、装着時のノズル受入口331における搬送ノズル611周りの密閉性を確保し、トナー漏れを防止することができる。
【0064】
トナー容器32では、管挿入部材であるノズル受入部材330の管挿入口であるノズル受入口331が開口している容器先端側の端面は、弾性部材である容器シール部材333によって形成される。そして、粉体受入口開閉部材であるノズルシャッタ部材612の突き当て部であるノズルシャッタ鍔部612aが、上述したように、容器シール部材333を押し潰して圧縮させた状態で突き当たる。これにより、ノズルシャッタ鍔部612aにおけるノズルシャッタバネ受け面612fと反対側の面が、容器シール部材333に密着し、更なるトナー漏れ防止機能の向上を図ることが出来る。
【0065】
また、トナー容器32では、弾性部材である容器シール部材333が圧縮されたときに、突き当て部であるノズルシャッタ鍔部612aが突き当たる被突き当て部である複数本のノズルシャッタ突き当てリブ337aを管挿入部材であるノズル受入部材330に備える。ノズルシャッタバネ613に付勢されるノズルシャッタ鍔部612aのノズルシャッタバネ受け面612fの裏側がノズルシャッタ突き当てリブ337aに突き当たることで、ノズルシャッタ部材612のトナー容器32に対する回転軸方向の位置が決まる。これにより、容器シール部材333の容器先端側の端面及び先端開口形成部305の容器先端側の端面と、ノズルシャッタ部材612との回転軸方向の位置関係が決まる。
【0066】
また、後述するように、トナー容器32の装着時には、ノズル開口部610は、ノズルシャッタ鍔部612aがノズルシャッタ突き当てリブ337aに突き当たり、ノズルシャッタ部材612のトナー容器32に対する相対的な位置が固定されてから開き始める。一方、トナー容器32の取り外し時には、搬送ノズル611がトナー容器32から抜け始めても、ノズル開口部610が開口している状態ではノズルシャッタ部材612のトナー容器32に対する相対的な位置は変化せず、ノズルシャッタ部材612がノズル開口部610を閉鎖した後に、ノズルシャッタ部材612は搬送ノズル611とともにトナー容器32から抜けていく。ノズルシャッタ鍔部612aがノズルシャッタ突き当てリブ337aに突き当たる状態では、搬送ノズル611のノズル開口部610が形成されている部分は、ノズル受入口331の入口部分よりも十分にトナー容器32の内側に位置している。十分にトナー容器32の内側に位置している状態からノズル開口部610が開閉するため、ノズル開口部610から外部へのトナー漏れを防止することができる。
【0067】
また、シャッタ側面支持部335aとシャッタ支持開口部335bとは、二つのシャッタ側面支持部335aが円筒形状の一部を形成し、シャッタ支持開口部335bの部分で円筒形状を大きく切り取った形状となっている。このような形状により、円筒形状の内側に形成される円柱状の空間内を容器シャッタ部材332が回転軸方向に移動するようにガイドすることができる。
容器本体33に固定されるノズル受入部材330は、容器本体33の回転時に容器本体33とともに回転するが、このとき、ノズル受入部材330のシャッタ側面支持部335aは、トナー補給装置60側の搬送ノズル611の周りを回転する。このため、回転しているシャッタ側面支持部335aが搬送ノズル611の上部に形成されたノズル開口部610の上方に位置するタイミングでは、容器本体33内のトナーを搬送ノズル611内に供給することを阻害される。一方、シャッタ側面支持部335aが搬送ノズル611の側方に位置し、ノズル開口部610とシャッタ支持開口部335bとが対向するタイミングでは、図10中の矢印βで示すように、容器本体33内のトナーが搬送ノズル611内へと供給される。
【0068】
図17及び図18に示すように、ノズル受入部材330の受入部材固定部337の外周面における回転軸方向の途中で容器後端側が外周径が小さくなるように段差が形成されている。また、図14に示すように、容器本体33の先端開口形成部305の内周面は受入部材固定部337の外周面に沿う形状となっており、容器後端側が内周径が小さくなるように段差が形成されている。そして、受入部材固定部337の外周面の段差が先端開口形成部305の内周面の段差に周方向の全域で突き当たることで、容器本体33に対するノズル受入部材330の軸倒れ(円筒状の受入部材固定部337の中心軸が円筒状の先端開口形成部305の中心軸に対して傾く状態)を防止している。
【0069】
トナー容器32の容器先端カバー34は、トナー補給装置60に装着するときに、セットカバー608に設けられた容器ロック部材609と結合する容器ロック爪339を備える。また、容器先端カバー34には、トナー容器32の使用状況等のデータを記録したIDチップ700が設けられている。さらに、容器先端カバー34には、収納するトナーの色が異なるトナー容器32が他の色のセットカバー608に装着されることを防止する色非互換リブ34bを設けている。
【0070】
次にトナー補給装置60について説明する。
図7及び図8に示すように、トナー補給装置60は、複写機500本体のフレーム602に対して搬送ノズル611を固定するノズルホルダ607を備え、ノズルホルダ607に対して、セットカバー608が固定されている。さらに、ノズルホルダ607には、搬送ノズル611の下方から搬送ノズル611の内部に連通するように配置されたトナー落下搬送経路64が固定されている。
【0071】
また、フレーム602には、容器回転駆動部91が固定されており、容器回転駆動部91は、駆動モータ603及び容器駆動出力ギア601を備え、さらに、不図示の容器駆動出力ギア601の回転軸に駆動モータ603の回転駆動を伝達するウォームギア603aを備える。容器駆動出力ギア601の回転軸には、駆動伝達ギア604が固定されており、搬送スクリュ614の回転軸に固定された搬送スクリュギア605と噛み合う構成となっている。このような構成により、駆動モータ603を回転駆動させることで、容器駆動出力ギア601及び容器回転ギア301を介してトナー容器32を回転させるとともに、駆動伝達ギア604及び搬送スクリュギア605を介して、搬送スクリュ614を回転させることができる。
【0072】
なお、駆動モータ603から容器回転ギア301までの駆動伝達経路や、駆動モータ603から搬送スクリュギア605までの駆動伝達経路にクラッチを設けても良い。このようなクラッチを設けることで、駆動モータ603を回転駆動させたときに、トナー容器32と搬送スクリュ614との何れか一方のみを回転させる構成を実現できる。
【0073】
次に、トナー補給装置60の搬送ノズル611について説明する。
図20は、ノズルシャッタ部材612の断面説明図である。また、図21は、ノズルシャッタ部材612をトナー容器32が取り付けられる側(ノズル先端側)から見た斜視説明図であり、図22は、ノズルシャッタ部材612をトナー補給装置60側(ノズル根元側)から見た斜視説明図である。図23は、トナー補給装置60の搬送ノズル611近傍の断面説明図であり、図24は、搬送ノズル611のノズル開口部610近傍の斜視断面説明図である。また、図25は、ノズルシャッタ部材612を取り外した状態の搬送ノズル611近傍をノズル先端側から見た斜視説明図であり、図26は、ノズルシャッタ部材612を取り外した状態のノズル開口部610近傍の斜視説明図である。なお、図23、図24及び図26では、搬送ノズル611内に配置される搬送スクリュ614の図示を省略している。
【0074】
搬送ノズル611の根元には、トナー補給装置60にトナー容器32を装着した状態で、先端開口形成部305の先端が嵌め込まれる容器セット部615が形成されている。容器セット部615は、円筒状となっており、その内周面(615a)と、円筒状の先端開口形成部305の外周面が摺動可能な状態で嵌合する。この嵌合より、トナー容器32の回転軸に直交する平面方向におけるトナー容器32のトナー補給装置60に対する位置決めがなされる。また、トナー容器32の回転時には、円筒状の先端開口形成部305が回転軸部として機能し、容器セット部615は軸受けとして機能する。このときの先端開口形成部305が容器セット部615と摺動可能に接触し、トナー容器32のトナー補給装置60に対する位置決めがなされる位置を図10中のαで示す。
【0075】
図20等に示すように、ノズルシャッタ部材612は、ノズルシャッタ鍔部612aとノズルシャッタ筒状部612eとから構成される。ノズルシャッタ筒状部612eのノズル先端側の端部近傍の内周面の上部の一部には、シャッタ内周第一リブ612bが形成されている。一方、ノズルシャッタ筒状部612eのノズル根元側の端部近傍の内周面には、シャッタ内周第二リブ612c及びシャッタ内周第三リブ612dが、それぞれ内周面を一周するように形成されている。
シャッタ内周第一リブ612bの内周面における周方向の長さは、ノズルシャッタ部材612を搬送ノズル611に取り付けた状態でノズル開口部610に嵌ることができる長さである。
【0076】
図9及び図23に示すように、ノズルシャッタバネ613のノズル根元側の端部は、容器セット部615の端面(615b)に突き当たり、ノズルシャッタバネ613のノズル先端側の端部は、ノズルシャッタ鍔部612aのノズルシャッタバネ受け面612fに突き当たる。このとき、ノズルシャッタバネ613は圧縮した状態であるため、ノズルシャッタ部材612はノズル先端側から抜け落ちる方向(図23中の左方向)の付勢力を受ける。しかし、ノズル開口部610のノズル先端側の縁部、すなわち、搬送ノズル611におけるノズル先端部611aの内側壁面の上部に、シャッタ内周第一リブ612bが突き当たり、図23や図24で示す状態よりもノズルシャッタ部材612が搬送ノズル611から抜け落ちる方向に移動することを防止している。このようなシャッタ内周第一リブ612bの突き当たりと、ノズルシャッタバネ613の付勢力と、によって、ノズルシャッタ部材612の搬送ノズル611に対する回転軸方向の位置決めがなされる。
【0077】
また、シャッタ内周第一リブ612bの周方向の端部である内周第一リブ先端部612gは、ノズルシャッタ部材612が図24中の矢印A方向に回転しようとすると、ノズル開口部610の横方向の縁部であるノズル開口横縁部611sに突き当たる形状となっている。
トナー容器32が回転すると、トナー容器32に固定された容器シール部材333の内周面に対して、ノズルシャッタ筒状部612eの外周面が接触するノズルシャッタ部材612には、図24中の矢印A方向に回転しようとする力が作用する。このとき、ノズルシャッタ部材612が搬送ノズル611に対して回転し、シャッタ内周第一リブ612bがノズル開口部610から外れた位置となると、トナー補給装置60からトナー容器32を取り外したときに、ノズルシャッタバネ613の付勢力によって、ノズルシャッタ部材612が搬送ノズル611から抜け落ちてしまうおそれがある。
また、ノズルシャッタ部材612の弾性によっては、ノズル開口部610から外れたシャッタ内周第一リブ612bが搬送ノズル611の外周面を強く締め付け、ノズルシャッタ部材612が搬送ノズル611に対して移動できなくなるおそれもある。何れの場合にも、トナー補給装置60からトナー容器32を取り外したときに、ノズル開口部610が開いたままの状態となり、トナー漏れの原因となる。
【0078】
これに対して、本実施形態のトナー補給装置60では、ノズルシャッタ部材612が図24中の矢印A方向に回転しようとすると、ノズル開口横縁部611sに内周第一リブ先端部612gが突き当たる。これにより、図24に示す状態よりも、ノズルシャッタ部材612が搬送ノズル611に対して回転することを防止している。
【0079】
また、シャッタ内周第二リブ612c及びシャッタ内周第三リブ612dの内径寸法は、円筒状の搬送ノズル611の外径寸法よりもわずかに小さくなるように形成されている。シャッタ内周第二リブ612c及びシャッタ内周第三リブ612dが弾性変形することで、ノズルシャッタ部材612を搬送ノズル611に取り付けることができる構成となっている。内径が搬送ノズル611の外径よりも小さい二つのリブ(612c及び612d)が弾性変形した状態で、搬送ノズル611の外周面に接触することで、ノズルシャッタ部材612の内周面と搬送ノズル611の外周面との間の密閉性を高めることができる。よって、ノズルシャッタ部材612と搬送ノズル611との間からのトナー漏れを防止することができる。
【0080】
また、本実施形態のトナー補給装置60は、ノズルシャッタバネ613として、円錐状のスプリングを用いている。円錐状のスプリングは、圧縮しきった状態のときに、隣り合うコイルの少なくとも一部が重なることができ、圧縮しきった状態での回転軸方向の長さを短くできるため、圧縮しきった状態でのノズルシャッタバネ613の回転軸方向の省スペース化を図ることができる。
【0081】
次に、トナー容器32のトナー補給装置60に対する装着過程について説明する。
図7や図9の図中矢印Qで示すようにトナー補給装置60の方向にトナー容器32を移動させることで、搬送ノズル611のノズル先端部611aが容器シャッタ部材332の容器先端側の端面に接触する。さらに、トナー容器32をトナー補給装置60の方向に移動させることで、搬送ノズル611が容器シャッタ部材332の容器先端側の端面を押圧することで、容器シャッタバネ336が縮み、これに伴って容器シャッタ部材332がトナー容器32の内部側(容器後端側)に押し込まれるとともに、搬送ノズル611のノズル先端側がノズル受入口331に挿入される。このとき、ノズルシャッタ部材612におけるノズルシャッタ鍔部612aよりもノズル先端側のノズルシャッタ筒状部612eも搬送ノズル611とともにノズル受入口331に挿入される。
【0082】
さらにトナー容器32をトナー補給装置60の方向に移動させることで、ノズルシャッタ鍔部612aのノズルシャッタバネ受け面とは反対側の面が、容器シール部材333の容器先端側の端面に接触し、さらに、容器シール部材333を少し押し潰すことで、ノズルシャッタ突き当てリブ337aに突き当たる。これにより、ノズルシャッタ部材612のトナー容器32に対する回転軸方向の相対的位置が固定される。
さらにトナー容器32をトナー補給装置60の方向に移動させることで、搬送ノズル611はさらにトナー容器32の内部側に挿入されるが、ノズルシャッタ突き当てリブ337aに突き当たったノズルシャッタ部材612は、搬送ノズル611に対してノズル根元側に押し戻される。これにより、ノズルシャッタバネ613が縮み、ノズルシャッタ部材612の搬送ノズル611に対する相対的位置がノズル根元側に移動する。この相対的位置の移動に伴い、ノズルシャッタ部材612に覆われていたノズル開口部610が容器本体33内部で露出し、容器本体33内と搬送ノズル611内とが連通する。
【0083】
搬送ノズル611がノズル受入口331に挿入されている状態では、縮んだ状態の容器シャッタバネ336やノズルシャッタバネ613の付勢力によって、トナー補給装置60に対してトナー容器32を押し戻す方向(図中矢印Qとは逆方向)の力が作用する。しかし、トナー容器32をトナー補給装置60に装着する際には、この力に抗して容器ロック爪339が容器ロック部材609と結合する位置までトナー容器32をトナー補給装置60の方向に移動させる。これにより、容器シャッタバネ336及びノズルシャッタバネ613の付勢力と、容器ロック爪339の容器ロック部材609に対する引っ掛かりと、によって、図8及び図10に示す状態で、トナー容器32のトナー補給装置60に対する回転軸方向の位置決めがなされる。
【0084】
図7に示すように、容器ロック爪339は、容器先端カバー34の両側面部に設けられており、トナー容器32は、回転軸に直交する仮想平面上において、二つの容器ロック爪339を結んだ線分の中央に容器シャッタ部材332が位置する構成となっている。容器シャッタ部材332が二つの容器ロック爪339を結んだ線分上に無いと、線分から容器シャッタ部材332までの距離がレバーとなって、容器シャッタ部材332の位置で作用する容器シャッタバネ336及びノズルシャッタバネ613の付勢力によって、線分を中心に回転モーメントが作用し、トナー容器32がトナー補給装置60に対して傾くおそれがある。これに対して、本実施形態のトナー容器32は、二つの容器ロック爪339を結んだ線分上に容器シャッタ部材332が位置するため、容器シャッタ部材332の位置で作用する容器シャッタバネ336及びノズルシャッタバネ613の付勢力によって、トナー容器32がトナー補給装置60に対して傾くことを防止できる。
【0085】
なお、トナー容器32をトナー補給装置60に装着した状態で、トナー容器32の容器先端側の端部である先端開口形成部305の円状の端面は、容器セット部615の端面(615b)には接触しない構成となっている。これは、容器ロック爪339が容器ロック部材609に引っ掛かる前に、先端開口形成部305の円状の端面が容器セット部615の端面(615b)に突き当たると、それ以上、トナー容器32をトナー補給装置60側に移動させることが出来なくなり、回転軸方向の位置決めが出来なくなることを防止するためである。よって、トナー容器32をトナー補給装置60に装着した状態では、先端開口形成部305の円状の端面と、容器セット部615の端面(615b)との間には、若干の隙間がある状態となる。
【0086】
また、このように回転軸方向の位置決めがなされた状態では、容器セット部615の内周面(615a)に、先端開口形成部305の外周面が摺動可能な状態で嵌合されるため、上述したように、回転軸に直交する平面方向におけるトナー容器32のトナー補給装置60に対する位置決めがなされる。これにより、トナー容器32のトナー補給装置60に対する装着が完了する。
【0087】
トナー容器32の装着が完了した状態で、駆動モータ603を回転駆動させることにより、トナー容器32の容器本体33と、搬送ノズル611内の搬送スクリュ614が回転する。
容器本体33が回転することで、容器本体33内のトナーは螺旋状突起302によって、容器本体33の容器先端側に搬送され、この搬送によって汲み上げ部304に到達したトナーは、容器本体33が回転することで汲み上げ部304によってノズル開口部610の上方まで持ち上げられる。ノズル開口部610の上方まで持ち上げられたトナーが、ノズル開口部610に落下することで、搬送ノズル611内にトナーが供給される。搬送ノズル611内に供給されたトナーは、搬送スクリュ614によって搬送され、トナー落下搬送経路64を通って現像装置50に補給される。なお、このときの容器本体33内からトナー落下搬送経路64までのトナーの流れを図10中の矢印βで示す。
【0088】
また、上述したように、先端開口形成部305が容器セット部615と摺動可能に接触し、トナー容器32のトナー補給装置60に対する位置決めがなされる位置を図10中のαで示している。ここで、図10中のαの位置は、摺動部と位置決め部との両方の機能を有する構成に限らず、摺動部また位置決め部の何れか一方の機能を有する構成であってもよい。
【0089】
本実施形態のトナー容器32は、容器本体33の開口部に配置され、粉体受け口であるノズル開口部610を有する搬送ノズル611が挿入されるノズル受入口331と、少なくともその一部に容器本体33内の粉体であるトナーをノズル開口部610へ供給する補給口であるシャッタ支持開口部335bと、を形成するノズル受入部材330を有する。また、トナー容器32は、ノズル受入部材330に支持され、搬送ノズル611がノズル受入部材330に対して、挿入または抜き出す動作により、回転軸方向にスライド移動してノズル受入口331を開閉する開閉部材としての容器シャッタ部材332を備える。このような構成により、トナー容器32は、搬送ノズル611が挿入されるまではノズル受入口331が閉じられた状態を維持し、トナー補給装置60に装着される前の状態でのトナーの漏れや飛散を防止できる。
【0090】
また、ノズル受入口331に搬送ノズル611が挿入され、搬送ノズル611に押された容器シャッタ部材332が容器奥側にスライド移動すると、シャッタ支持開口部335b近傍に溜まっていたトナーが押しのけられる。このため、シャッタ支持開口部335bの周辺にノズル受入口331が形成された部分の搬送ノズル611が進入する空間を確保でき、シャッタ支持開口部335bからノズル受入口331へのトナーの供給を確実に行える。
このようにトナー容器32は、トナー補給装置60に装着前の状態では、容器本体33に収納されているトナーの漏れや飛散を防止しつつ、トナー補給装置60に装着されたときには、確実に容器本体33外にトナーを排出することができる。
【0091】
さらに、トナー容器32は、図7及び図9に示すように、ノズル受入口331は、先端開口形成部305の容器先端側の端部よりも容器後端側、すなわち、筒状の先端開口形成部305によって形成される開口の奥側に入った位置に形成されている。
ここで、回転軸方向についてのノズル受入口331の開口位置が、先端開口形成部305の容器先端側の端部と同じ位置としたトナー容器32の説明図を図50に示す。図50(a)は、トナー容器32の容器先端側端部近傍の斜視説明図であり、図50(b)は、トナー容器32の容器先端側端部近傍の断面説明図である。
【0092】
図50に示すトナー容器32は、実施形態のトナー容器32と同様に、搬送ノズル611が挿入されるまではノズル受入口331が閉じられた状態を維持し、トナー補給装置60に装着される前の状態でのトナーの漏れや飛散を防止できる。また、ノズル受入口331に搬送ノズル611が挿入され、搬送ノズル611に押された容器シャッタ部材332が容器奥側にスライド移動すると、シャッタ支持開口部335b近傍に溜まっていたトナーが押しのけられる構成であるため、トナー補給装置60に装着されたときには、確実に容器本体33外にトナーを排出することができる。
搬送ノズル611の容器本体33内に挿入した部分に設けたノズル開口部610に容器本体33内のトナーを供給する構成では、トナー漏れが生じ易い容器本体33のシール部である容器シール部材333と搬送ノズル611との接触部が、容器本体33内から搬送ノズル611内にトナーを供給するノズル開口部610から離れている。このため、図50に示すトナー容器32であっても、トナー補給装置60に装着した状態では、ノズル開口部610から離れた容器シール部材333と搬送ノズル611との接触部からトナー漏れが生じることを防止できる。
【0093】
しかし、搬送ノズル611を容器本体33に挿入した状態では、搬送ノズル611の外周面は容器本体33内のトナーと接触しており、接触したトナーの一部は、トナー容器32から搬送ノズル611を抜き出すとき(トナー補給装置60から取り外すとき)も、搬送ノズル611に付着したままの状態となる。搬送ノズル611に付着したままのトナーの多くは、搬送ノズル611が容器シール部材333との接触部を通過するときに、容器シール部材333に掻き落とされるが、少量のトナーが搬送ノズル611とともに容器シール部材333との接触部を通過し、トナー漏れとなることがある。
【0094】
また、搬送ノズル611をノズル受入口331に挿入する前は、トナー容器32の容器先端側端部で露出していた容器シャッタ部材332の容器先端側の端面は、搬送ノズル611が挿入されると、容器本体33内に入り込みトナーと接触し得る状態となる。このとき、容器シャッタ部材332の容器先端側の端面にトナーが接触して付着すると、搬送ノズル611をトナー容器32から抜き出すときに、容器シャッタ部材332の容器先端側の端面に付着した少量のトナーが容器シャッタ部材332に押し出され、トナー漏れとなることがある。
このように、トナー容器32から搬送ノズル611を抜き出すときにトナー漏れが生じた場合、図50に示すように、ノズル受入口331の開口位置の回転軸方向についての位置が、先端開口形成部305の容器先端側の端部と同じ位置であると、ノズル受入口331から漏れて舞ったトナーが容易に先端開口形成部305の容器先端側の端部を回り込んで、先端開口形成部305の外周面に付着する。また、ノズル受入口331から漏れて落下したトナーが、何の妨げもなく容器セット部615の内周面(615a)に付着する。
【0095】
先端開口形成部305の外周面にトナーが付着すると、再度、同じトナー容器32をトナー補給装置60に装着するときに、先端開口形成部305と容器セット部615の内周面(615a)との間にトナーが存在することとなる。また、容器セット部615の内周面(615a)にトナーが付着すると、再度、同じトナー容器32を装着する場合だけでなく、新たなトナー容器32を装着する場合にも、先端開口形成部305と容器セット部615の内周面(615a)との間にトナーが存在することとなる。先端開口形成部305と容器セット部615の内周面(615a)との間にトナーが存在すると、先端開口形成部305と容器セット部615との嵌合によって、トナー容器32のトナー補給装置60に対する位置決めをする場合に、位置決め精度が低下する。また、先端開口形成部305の外周面が容器セット部615の内周面に対して摺動する構成の場合は、トナーによって摺動性が低下し、トナー容器32の回転トルクが上昇する恐れがある。さらに、先端開口形成部305の外周面と容器セット部615の内周面との間にトナーが存在する状態のままで、摺動し続けると、トナーの凝集体が発生することがある。
【0096】
一方、本実施形態のトナー容器32は、容器本体33における容器先端側の端面は、ノズル受入部材330のノズル受入口331が開口している容器先端側の端面よりも回転軸方向で突き出している。すなわち、トナー容器32は、容器本体33の開口位置である先端開口形成部305の容器先端側の端部よりも容器後端側にノズル受入口331の開口位置を設けている。
【0097】
このように、容器本体33の開口位置に対して、奥まったところにノズル受入口331の開口位置があるため、トナー容器32から搬送ノズル611を抜き出すときにトナー漏れが生じた場合、ノズル受入口331から漏れて舞ったトナーが先端開口形成部305の容器先端側の端部を回り込み難く、先端開口形成部305の外周面にトナーが付着することを抑制できる。また、ノズル受入口331から漏れて落下したトナーは、先端開口形成部305の下方の内周面に引っ掛かるため、容器セット部615の内周面(615a)にトナーが付着することを防止できる。このように、ノズル受入口331から漏れたトナーを、先端開口形成部305の容器先端側の端面よりも容器後端側の内周面で囲まれた領域内に留めることができるので、トナー容器32の外にトナーが飛散することを抑制することができる。
【0098】
図9及び図10に示すように、本実施形態では、トナー補給装置60側の容器セット部615及びトナー容器32側の先端開口形成部305の容器先端側端部は、トナー容器32を装着する前後の何れの状態においても、トナー飛散発生の可能性がある開口部(ノズル開口部610やノズル受入口331)から離れている。このため、トナー容器32を装着する前のノズル受入口331や、トナー容器32をトナー補給装置60に装着した状態の容器シール部材333と搬送ノズル611との接触部からトナーが漏れることを防止できる。さらに、トナー容器32の着脱の際もトナー補給装置60側の容器セット部615はノズル開口部610から離れている。また、トナー容器32側の先端開口形成部305の容器先端側端部は、容器シャッタ部材332から離れている。
【0099】
トナー容器32におけるトナーの排出部であるノズル受入口331を封止する容器シャッタ部材332を、容器本体33の先端開口形成部305の容器先端側端部より容器後端側(奥側)に配置することによって、先端開口形成部305の容器先端側端部に対して、容器シャッタ部材332からある程度の距離を確保することが出来る。これにより、トナーが容器本体33の開口位置よりも奥側にあるノズル受入口331から容器本体33の開口位置を回り込んで、先端開口形成部305の外周面側にトナーが到達することを抑制し、トナー飛散の発生を抑制することができる。
【0100】
上述したように、先端開口形成部305の外周面と、容器セット部615の円筒状の内周面(615a)との嵌合によって、トナー補給装置60に対するトナー容器32の回転軸に直交する方向の位置決めがなされている。すなわち、粉体収納部材である容器本体33の先端開口形成部305の外周面が粉体搬送装置であるトナー補給装置60との位置決め部である。このため、先端開口形成部305の外周面側にトナー汚れが生じると、容器セット部615の内周面との嵌合状態が変化し、位置決め精度が低下するおそれがある。これに対して、本実施形態のトナー容器32は、先端開口形成部305の外周面側にトナーが到達することを抑制できるため、トナー容器32のトナー補給装置60に対する位置決め精度が安定する。
【0101】
さらに、先端開口形成部305の外周面と、容器セット部615の内周面との接触部は、トナー容器32が回転するときに摺動する関係にある。すなわち、粉体収納部材である容器本体33の先端開口形成部305の外周面が粉体搬送装置であるトナー補給装置60との摺動部である。この摺動部にトナーが進入すると、摺動負荷が増大し、トナー容器32の回転トルクが上昇するおそれがある。これに対して、本実施形態の本実施形態のトナー容器32は、先端開口形成部305の外周面側にトナーが到達することを抑制し、容器セット部615の内周面との接触部にトナーが進入することを抑制できるため、摺動負荷の増大を抑制し、摺動性が安定するため、トナー容器32の回転トルクが上昇することを抑制できる。また、摺動部にトナーが進入することを抑制できるため、摺動部でトナーが押し固められることに起因してトナーの凝集体が発生することを抑制できる。
【0102】
このように、本実施形態のトナー容器32は、粉体収納部材である容器本体33の先端開口形成部305の外周面が粉体搬送装置であるトナー補給装置60との位置決め部であり、且つ、摺動部である。そして、このような先端開口形成部305の外周面にトナーが付着することを抑制できるため、このように、本実施形態のトナー容器32では、トナー補給装置60に対する位置決め精度が安定し、かつ、回転時の摺動性も安定する。
【0103】
また、上述したように、トナー容器32をトナー補給装置60に装着したときに、容器シール部材333がノズルシャッタ鍔部612aに押し潰されることで、ノズルシャッタ鍔部612aは容器シール部材333に密着加圧された状態となり、より確実にトナー漏れを防止することができる。容器シャッタ部材332を開口位置より長手方向内側(容器後端側)に配置する構成とすることによって、トナー容器32の先端から容器シャッタ部材332及び容器シール部材333の容器先端側の端面までの間に円柱状の空間部が形成される。
【0104】
図27は、先端開口形成部305の容器先端側の端面(305f)に対するノズル受入部材330のノズル受入口331が開口している他端側の端面(330f)の回転軸方向における位置が、同じ位置である場合と、容器後端側の位置となっている場合とを比較する説明図である。図27(a)は、先端開口形成部305の端面(305f)に対するノズル受入部材330の端面(330f)の回転軸方向における位置が同じ位置である場合の説明図であり、図27(b)は、先端開口形成部305の端面(305f)に対するノズル受入部材330の端面(330f)の回転軸方向における位置が容器後端側の位置となっている場合の説明図である。
【0105】
図27(a)に示す粉体収納容器(32)は、粉体収納部材(33)の開口を形成する開口形成部(305)の他端側の端面(305f)の回転軸方向(図中左右方向)における位置と、管挿入部材(330)の管挿入口(331)が開口している他端側の端面(330f)の回転軸方向における位置とが、同じ位置となっている。
一方、図27(b)に示す粉体収納容器(32)は、開口形成部(305)の他端側の端面(305f)よりも一端側(図中右方向)に、管挿入部材(330)における管挿入口(331)が開口している他端側の端面(330f)を設けている。
【0106】
図27に示す粉体搬送装置(60)では、搬送管(611)が管挿入部材(330)の管挿入口(331)に挿入される前の状態では、粉体受入口開閉部材(612)は、付勢部材(613)によって管挿入方向(図中右方向)に付勢され、搬送管(611)の先端側端部近傍に位置して、粉体受入口(610)を閉鎖する。このとき、付勢部材(613)の管挿入方向側は粉体受入口開閉部材(612)の突き当て部(612a)の裏側に突き当たり、付勢部材(613)の管引き出し方向側は粉体搬送装置(60)の端面(615b)に突き当たる。
【0107】
図27に示す粉体搬送装置(60)に対して粉体収納容器(32)を図27中矢印Q方向にスライドさせて装着していくと、付勢部材(613)によって管挿入方向に付勢された粉体受入口開閉部材(612)が、管挿入部材(330)の管挿入口(331)が開口している他端側の端面(330f)に突き当たる。その後、粉体収納容器(32)をさらにQ方向にスライドさせていくと、粉体収納容器32に対して挿入されていく搬送管(611)に対して粉体受入口開閉部材(612)が管挿入方向とは逆方向の管引き抜き方向(図27中の左方向)に相対的に移動する。これにより、粉体受入口開閉部材(612)が搬送管(611)における根元側に移動し、粉体受入口(610)が開放されて行き、図27に示すように、粉体収納容器(32)を粉体搬送装置(60)に装着した後は、粉体受入口(610)は全体が開放された状態となる。
【0108】
粉体受入口開閉部材(612)が搬送管(611)における根元側に移動することで付勢部材(613)は圧縮されていき、図27に示すように、粉体収納容器(32)を粉体搬送装置(60)に装着した後は、付勢部材(613)の回転軸方向の長さは最も短くなるが、このときの付勢部材(613)も回転軸方向にある程度の長さを有する。このため、管挿入部材(330)における管挿入口(331)が開口している他端側の端面(330f)から付勢部材(613)の管引き出し方向側が突き当たる粉体搬送装置(60)の端面(615b)までの間に、粉体受入口開閉部材(612)における突き当て部(612a)よりも管引き抜き方向側の部分と付勢部材(613)とが収まる退避スペース(回転軸方向の長さがW)が必要である。
【0109】
また、粉体受入口(610)は、粉体収容部材(33)内の粉体を受け入れることが出来る位置まで、到達する必要があり、最適な粉体受入口(610)の位置は、粉体収容部材(33)の形状によって決まる。このため、粉体収容部材(33)の形状が同じであれば、粉体収納部材(33)における開口形成部(305)の他端側の端面(305f)から最適な粉体受入口(610)の位置までの回転軸方向の距離は一定である。
【0110】
このとき、開口形成部(305)の外周面が粉体搬送装置(60)側の嵌合部(615s)と嵌合することで、粉体収納容器(32)の粉体搬送装置(60)に対する回転軸方向に直交する方向の位置決めを行うものであると、回転軸方向における粉体搬送装置(60)に対する開口形成部(305)の他端側の端面(305f)の位置は、開口形成部(305)外周面が上記嵌合部(615s)と嵌合する位置よりも管引き抜き方向側の位置になる。
【0111】
このような構成において、粉体収納容器(32)が、図27(a)に示すように、開口形成部(305)の他端側の端面(305f)の回転軸方向における位置と、管挿入部材(330)における管挿入口(331)が開口している他端側の端面(330f)の回転軸方向における位置とが、同じ位置であると、次のような不具合が生じる。
【0112】
すなわち、管挿入部材(330)における管挿入口(331)が開口している他端側の端面(330f)が、嵌合部(615s)よりも管引き抜き方向側の開口形成部(305)の他端側の端面(305f)と回転軸方向における位置が同じ位置であるため、粉体搬送装置(60)の端面(615b)から嵌合部(615s)までの距離(L1)が、退避スペースの回転軸方向の長さ(W)よりも長くなり、粉体搬送装置(60)の大型化につながる。
また、粉体収容部材(33)の形状が同じであれば、粉体収納部材(33)における開口形成部(305)の他端側の端面(305f)から最適な粉体受入口(610)の位置までの回転軸方向の距離は一定であり、粉体受入口(610)の回転軸方向における位置を決める始点となる開口形成部(305)の他端側の端面(305f)の位置が、粉体搬送装置(60)の端面(615b)から退避スペースの回転軸方向の長さ(W)以上離れた位置となるため、粉体搬送装置(60)の端面(615b)から搬送管(611)の先端までの距離(L2)が長くなり、粉体搬送装置(60)の大型化につながる。
さらに、粉体収納容器(32)の他端側の端部である開口形成部(305)の他端側の端面(305f)の位置が、粉体搬送装置(60)の端面(615b)から退避スペースの回転軸方向の長さW以上離れた位置となるため、粉体搬送装置(60)の端面(615b)から粉体収納容器(32)の一端側端部までの距離(L3)が長くなり、粉体収納容器(32)を保持する粉体搬送装置(60)の大型化につながる。
【0113】
一方、図27(b)に示す構成は、開口形成部(305)の他端側の端部(305f)よりも一端側(図27中の右側)に、管挿入部材(330)における管挿入口(331)が開口している他端側の端面(330f)を設けたため、粉体搬送装置(60)に粉体収納容器(32)を装着すると、回転軸方向において、開口形成部(305)における他端側の端面(305f)よりも管挿入方向側の位置で、粉体受入口開閉部材(612)の突き当て部(612a)が突き当たる。これにより、退避スペースの少なくとも一部が、開口形成部(305)における他端側の端面(305f)よりも管挿入方向側となる。このため、粉体搬送装置(60)の端面(615b)から嵌合部(615s)までの距離(L1)、粉体搬送装置(60)の端面(615b)から搬送管(611)の先端までの距離(L2)、及び、粉体搬送装置(60)の端面(615b)から粉体収納容器(32)の一端側端部までの距離(L3)を、図27(a)に示す構成よりも(図27中のLa分)短くすることができ、粉体搬送装置の回転軸方向の大型化を抑制できる。
【0114】
図27(b)に示す構成では、ノズル受入部材330におけるノズル受入口331が開口している容器先端側の端面(図27中の330f、実施形態におけるシール部材333の容器先端側の端面、ノズルシャッタ突き当てリブ337aの容器先端側端部)を、先端開口形成部305の容器先端側の端部(図27中の305f)よりも容器後端側(図27中の右側)に設けたため、トナー補給装置60にトナー容器32を装着すると、回転軸方向において、先端開口形成部305における容器先端側端部よりも管挿入方向側(容器後端側)の位置で、ノズルシャッタ部材612のノズルシャッタ鍔部612aが突き当たる。これにより、退避スペースの少なくとも一部が、先端開口形成部305の開口位置(容器先端側端部)から容器シール部材333の容器先端側の端面までの間に形成された円柱状の空間内となる。このため、トナー補給装置60の端面615bから嵌合部615sまでの距離L1、トナー補給装置60の端面615bから搬送ノズル611の先端までの距離L2、及び、トナー補給装置60の端面615bからトナー容器32の容器後端側端部までの距離L3を、図27(a)に示す構成よりも(図27中のLa分)短くすることができ、粉体搬送装置の回転軸方向の大型化を抑制できる。
なお、トナー補給装置60の小型化を図らない場合であれば、容器本体33を回転軸方向にLaだけ長くすることができ、トナー容器32に収納できるトナー量を多くすることができる。
【0115】
搬送ノズル611のノズル開口部610は、トナー補給装置60にトナー容器32が装着されていない状態では、ノズルシャッタ部材612が閉じ、トナー補給装置60にトナー容器32が装着されている状態では、ノズルシャッタ部材612を開き、トナーを受け入れ可能な状態にする必要がある。
トナー補給装置60では、先端開口形成部305の容器先端側端部から容器シャッタ部材332及び容器シール部材333の容器先端側の端面までの間に形成される円柱状の空間部内に、ノズルシャッタ部材612が開いたときのノズルシャッタ部材612の退避スペースの全部または一部が納まる様に構成する。また、先端開口形成部305の容器先端側端部から容器シャッタ部材332及び容器シール部材333の容器先端側の端面までの間に形成される円柱状の空間部内に、ノズルシャッタ部材612を閉じるためのノズルシャッタバネ613の全部または一部が納まる様に構成する。このような構成により、ノズルシャッタ部材612及びノズルシャッタバネ613の配置スペースの省スペース化ができる。
【0116】
図10に示すように、本実施形態では、トナー容器32がトナー補給装置60に装着された状態において、ノズルシャッタ部材612の退避位置は、ノズルシャッタ鍔部612aよりもノズル先端側は容器シール部材333の内側に位置し、ノズルシャッタ鍔部612aよりもノズル根元側は、先端開口形成部305の開口位置(容器先端側端部)から容器シール部材333の容器先端側の端面までの間に形成された円柱状の空間内に略収まる。さらに、圧縮された状態のノズルシャッタバネ613もこの円柱状の空間内に略収まっている。
このように構成することで、トナー容器32の最先端部である先端開口形成部305の開口位置からトナー補給装置60のトナー落下部(搬送ノズル611にトナー落下搬送経路64が接続される位置)までの距離を短くすることが可能となり、装置本体の小型化を図ることができる。
【0117】
図20〜図26を用いて説明したように、シャッタ内周第一リブ612bは、ノズルシャッタ部材612が閉じた状態で、ノズル開口部610のノズル先端側の縁部、すなわち、搬送ノズル611におけるノズル先端部611aの内側壁面の上部に突き当たり、ノズルシャッタ部材612の抜け止め機能を有する。また、シャッタ内周第一リブ612bは、その周方向の端部である内周第一リブ先端部612gがノズル開口部610の横方向の縁部であるノズル開口横縁部611sに突き当たり、ノズルシャッタ部材612の回転止め機能を有する。このノズルシャッタ部材612の回転止め機能は、トナー容器32がトナー補給装置60に装着された状態でも同様に機能する。
【0118】
また、上述したように、シャッタ内周第二リブ612c及びシャッタ内周第三リブ612dの内径寸法は、搬送ノズル611の外径寸法よりもわずかに小さくなるように形成されている。一例としては、搬送ノズル611の外径がφ15[mm]である場合、シャッタ内周第二リブ612c及びシャッタ内周第三リブ612dの内径は、φ14.8[mm]〜14.9[mm]程度に設定すると良い。このようにノズルシャッタ部材612の内周面に搬送ノズル611の外径よりもわずかに小さな内径となる円周状のシャッタ内周第二リブ612c及びシャッタ内周第三リブ612dを形成することで、ノズルシャッタ部材612の内周面と搬送ノズル611の外周面との隙間を遮蔽することができ、シール部材無しでトナーシール機能を得ることが出来るので、スポンジやゴムなどのシール部材が不要になる。ノズルシャッタ部材612とは別部材のシール部材を用いる必要がないため、トナー漏れを防止しつつ、低コスト化図ることが出来る。
なお、トナー漏れを防止する構成としては、シャッタ内周第二リブ612cやシャッタ内周第三リブ612dの代わりに、ドーナツ状のシール部材を配置しても良いが、ノズルシャッタ部材612の内周面と搬送ノズル611の外周面との隙間は、非常に狭い隙間なのでドーナツ状のシール部材は入らない。よって、ドーナツ状のシール部材を配置する場合は、ドーナツ状のノズルシャッタシール部材612hを、図52に示すように配置する。このとき、ノズルシャッタシール受部612jの外径は、ノズルシャッタバネ613の径よりも小さくし、ノズルシャッタバネ613が、ノズルシャッタバネ受け面612fに突き当たれるように設定する。
【0119】
ノズルシャッタ部材612を搬送ノズル611に組み付けのためには、ノズルシャッタ部材612を一時的に変形させるため、ノズルシャッタ部材612には、ある程度の弾性変形が必要である。硬くて弾性変形し難い材料を用いると、組み付け時に弾性変形せずに割れてしまうからである。ノズルシャッタ部材612は適度な弾性を有する材質で形成し、例えば搬送ノズル611の外形形状が円筒形の場合、ノズルシャッタ部材612はその外径よりもわずかに大きな内径を有する円筒形とし、ノズルシャッタ部材612の内径部分には内側に向かって突起であるシャッタ内周第一リブ612bを形成する。このシャッタ内周第一リブ612bを搬送ノズル611のノズル開口部610に対向させることで、ノズルシャッタ部材612の抜け止め及び回り止めとして機能させることが出来る。なお、搬送ノズル611におけるノズルシャッタ部材612の突起が係合する部分としては、ノズル開口部610に限らず、その突起による抜け止め機能や回り止め機能を得ることが出来れば、搬送ノズル611の何れの箇所であってもよい。
本発明者らの実験によると、ノズルシャッタ部材612の材質は、引張弾性係数が500[MPa]から2000[MPa]の樹脂材料を選定するのが良い。
ノズルシャッタ部材612を搬送ノズル611に組み付けるときに、ノズルシャッタ部材612の内周面に形成された三つのリブ(612b〜612d)が搬送ノズル611をノズルシャッタ部材612に挿入するときの抵抗となる。この抵抗は、シャッタ内周第一リブ612bがノズル先端部611aを乗り越えて、ノズル開口部610に入るときは特に大きくなる。
【0120】
このとき、ノズルシャッタ部材612がある程度の弾性をもった材料であれば、ノズルシャッタ部材612が変形して容易に組み付けが可能であり、さらに、シャッタ内周第二リブ612c及びシャッタ内周第三リブ612dが搬送ノズル611を締め付けることによる摺動負荷が大きくならない、といったメリットがある。
また、ノズルシャッタ部材612が変形し易すぎるとシャッタ内周第一リブ612bの抜け止め機能や回転止め機能が損なわれる。
このようなノズルシャッタ部材612に用いるある程度の弾性をもった材質としてはポリエチレンまたはポリプロピレンを選定することで上述したメリットを安定して得ることができた。また、ノズルシャッタ部材612のノズルシャッタ筒状部612eの肉厚は0.3[mm]から0.5[mm]とすることが好ましい。
ノズルシャッタ部材612が、上述したような材質特性及び形状を合わせ持つことで、ノズル開口部610を開閉するシャッタ機構の低コスト化がはかれる。
【0121】
次に、保管時のトナー容器32について説明する。
図28は、保管時のトナー容器32の斜視説明図であり、図6で示したトナー容器32の先端開口形成部305の開口を封止する封止部材としてのキャップ部材370を取り付けた状態である。また、図29は、キャップ部材370を取り付けた状態のトナー容器32の容器先端側端部近傍の断面説明図である。
【0122】
また、図28に示すトナー容器32は、次のような発明を含んでいる。すなわち、トナー容器32は、内部に粉体状の現像剤としてのトナーを収納し、現像剤排出口となるノズル受入口331を封止する封止部材としてのキャップ部材370を、先端開口を形成する先端開口形成部305に取り付けることができる粉体収納容器である。そして、上述したように、先端開口形成部305は容器本体33の一部であり、図6、図7及び図9等に示すように、容器本体33は、トナー容器32をトナー補給装置60に固定するときに必要な容器先端カバー34を貫くように先端開口形成部305が形成されている。これにより、容器本体33の先端開口形成部305を容器先端カバー34から露出させることができ、トナーが収容される容器本体33の一部である先端開口形成部305をキャップ部材370によって直接封止することが出来るので、封止効果が上がりトナー漏れをより確実に防止することができる。
【0123】
本実施形態のトナー容器32では、キャップ部材370にキャップ鍔部371を設け、トナー容器32にキャップ部材370を取り付けた状態では、図28に示すように、キャップ鍔部371が容器先端カバー34に設けられたIDチップ700を隠す構成となっている。これにより、トナー容器32保管時のIDチップ700に対する外部からの接触や衝撃を防止することができ、IDチップ700の保護を行うことが出来る。
また、本実施形態のトナー容器32では、キャップ部材370のキャップ鍔部371を容器先端カバー34や容器本体33の外径よりも大きくしている。これにより、落下時等にトナー容器32の破損を防止することができ、トナー容器32の保護を行うことができる。
【0124】
さらに、容器本体33の一部である先端開口形成部305をキャップ部材370によって直接封止しており、容器本体33とは別体の部材(例えば、容器先端カバー34)を介して封止する構成に比して封止効果が高い。そして、先端開口形成部305を直接封止する構成であれば、容器本体33を密封することも可能であり、密封することができれば、容器本体33内への空気や水分の侵入を防止出来、保管時のトナー容器32に対する梱包材の低減を図ることができる。
【0125】
トナー容器32を使用する(トナー補給装置60に装着する)際は、キャップ部材370を外して使用する。なおキャップ部材370をトナー容器32に取り付ける方式としては、ネジ方式でも引っ掛け方式でも固定出来れば何でも良い。このとき、ネジ方式のネジ山や引っ掛け方式の引っ掛け部といったトナー容器32側の固定部を容器先端カバー34から露出させた先端開口形成部305の外周面に設ける。なお、本実施形態のトナー容器32では、図29に示すように、先端開口形成部305の外周面にキャップ固定ネジ山309を設け、封止部材の固定方法としてネジ方式を採用している。
先端開口形成部305によって形成される開口を封止する構成として、キャップ部材370をネジ方式によって固定するものに限らず、フィルム部材を先端開口形成部の容器先端側端部に圧着することで開口を封止してもよい。
【0126】
次に、保管時に乾燥剤等の吸着剤を使用するトナー容器32について説明する。なお、吸着剤とは水分に限らず色々なもの(ガス等)を吸着するものである。よって、乾燥剤は吸着剤に含まれる。また、吸着剤としては、シリカゲル、酸化アルミニウム、ゼオライト等が挙げられるが、吸着性能があるものであればよい。
【0127】
ここでキャップ部材370によって容器本体33を完全に密封した場合、空気や水分の浸入を防止出来るので吸着剤は不要になり、それに伴い梱包材も不要になる。この方法では、トナー容器32を包装する袋や緩衝材や個装箱などの梱包材を低減させ、包装の大きさも小型化することによって、使用材料の低減により環境負荷を低減することができる。
しかし、本発明者らは、粉体であるトナー自身からガスを発生し、凝集や固化までは至らないものの、トナーの小さな塊である凝集体を発生させることを確認した。このような凝集体は白斑点や各色の斑点等、異常画像の発生に繋がるので発生を抑える必要がある。トナー自身からガスが発生しないものであれば、図29に示すように、吸着剤を設けず密封する構成としてもよいが、トナー自身からガスが発生するトナーを収容するトナー容器32はこのガスを吸着する吸着剤を備えることが望ましい。
【0128】
図30は、キャップ部材370に吸着剤372を設けたトナー容器32の一つ目の例の断面説明図である。図30に示すトナー容器32は、次のような発明を含んでいる。すなわち、図30に示すトナー容器32は、図29に示すトナー容器32に対して、キャップ部材370に吸着剤372を設けた構成である。図30に示すトナー容器32では、使用するときにキャップ部材370を取り外すことで、キャップ部材370と一緒に吸着剤372を外せるので操作性が高まる。
しかし、図30に示す構成では、吸着剤372がトナー容器32周りの外気に対して露出しているため、梱包材が必要となる。
【0129】
図31は、キャップ部材370に吸着剤372を設けたトナー容器32の二つ目の例の断面説明図である。図31に示すトナー容器32は、次のような発明を含んでいる。すなわち、図31に示すトナー容器32は、内部に粉体状の現像剤としてのトナーを収納し、現像剤排出口となるノズル受入口331を封止する封止部材としてのキャップ部材370を、先端開口を形成する先端開口形成部305に、容器本体33内部が密閉状態となるように取り付けることができる粉体収納容器である。さらに、図31に示すトナー容器32は、先端開口を密閉するキャップ部材370の内側に吸着剤372を設けている。
【0130】
図31に示すトナー容器32は、キャップ部材370に吸着剤372を設けることで、図30に示すトナー容器32と同様に、使用するときにキャップ部材370を取り外すことで、キャップ部材370と一緒に吸着剤372を外せるので操作性が高まる。
また、トナーを収容する空間(容器本体33の内部空間)がキャップ部材370によって完全に密封することで、トナーを収容する空間への空気や水分の浸入を防止できる。さらに、密封状態となる空間の内側に吸着剤372を設けているので、トナー自身から発生するガスも吸着出来、図30に示すトナー容器32に比して吸着性能が向上する。また、トナーを収容する空間(容器本体33の内部空間)が密封されており、この密封された空間に吸着剤372を設けているため、トナー及び吸着剤372は共にトナー容器32周りの外気の影響を受けない。このため、梱包材が不要になる。
【0131】
図32は、キャップ部材370に吸着剤372を設けたトナー容器32の三つ目の例の断面説明図である。図32に示すトナー容器32は、次のような発明を含んでいる。すなわち、図32に示すトナー容器32は、内部に粉体状の現像剤としてのトナーを収納し、現像剤排出口となるノズル受入口331を封止する封止部材としてのキャップ部材370を、先端開口を形成する先端開口形成部305に、容器本体33内部が密閉状態となるように取り付けることができる粉体収納容器である。また、図32に示すトナー容器32は、先端開口を密閉するキャップ部材370の内側に吸着剤372を設けている。さらに、図32に示すトナー容器32は、この吸着剤372の少なくとも一部が、トナー容器32の先端の凹部内に収まるように配置している。ここで、トナー容器32の先端の凹部とは、先端開口形成部305の開口位置から容器シール部材333の容器先端側端面までの間に形成された円柱状の空間である。
【0132】
図32に示すトナー容器32は、キャップ部材370に吸着剤372を設けることで、図30及び図31に示すトナー容器32と同様に、使用するときにキャップ部材370を取り外すことで、キャップ部材370と一緒に吸着剤372を外せるので操作性が高まる。
また、図31に示すトナー容器32と同様に、トナーを収容する空間(容器本体33の内部空間)がキャップ部材370によって完全に密封することで、トナーを収容する空間への空気や水分の浸入を防止できる。さらに、密封状態となる空間の内側に吸着剤372を設けているので、トナー自身から発生するガスも吸着出来、図30に示すトナー容器32に比して吸着性能が向上する。また、トナーを収容する空間(容器本体33の内部空間)が密封されており、この密封された空間に吸着剤372を設けているため、トナー及び吸着剤372は共にトナー容器32周りの外気の影響を受けない。このため、梱包材が不要になる。
【0133】
図32に示すトナー容器32は、上述した図31に示すトナー容器32と同様の作用に加えて、吸着剤372の少なくとも一部が、トナー容器32の先端の凹部内に収まるように配置しているため、キャップ部材370の回転軸方向の長さを短くすることができ、保管時のトナー容器32を小型化することが出来る。
【0134】
また、キャップ部材370によってトナー容器32を封止する構成の場合、パッキン材等を使用して、トナー容器32の先端開口形成部305とキャップ部材370との密着度を向上させても良い。
また、キャップ部材370に吸着剤372を設ける構成としては、吸着剤372をキャップ部材370と一体(キャップ部材370に固定)に設けても良いし、別体(キャップ部材370に非固定)に設けても良い。ただし、吸着剤372をキャップ部材370に固定して一体で設けた方がキャップ部材370と吸着剤372とを一緒に取り出せるので、吸着剤372の取り出し忘れがなく、また操作性も良好となる。
【0135】
ここで、トナーを収容する空間(容器本体)を封止部材によって直接封止することが出来ない、従来のトナー容器の課題について説明する。
近年、画像形成装置に用いられるトナーは、低温定着化と小粒径化が進み、耐熱性能が劣る傾向にあるため、例えば輸送中に高温環境にさらされると凝集し最悪固化し、トナー容器から画像形成装置への供給が不可能になる虞がある。このトナーの凝集、固化は、同じ温度環境であれば湿度が高い方が著しく発生しやすいことがわかっている。ユーザーへトナー容器を供給する経路は様々で、その環境を管理することはできない。例えば陸路、空路、海路による輸送があるがそれらの温度及び湿度を管理することは困難である。
【0136】
このような背景に関する対策として輸送環境を制御するコンテナを用いる方法もあるが、全輸送経路において対応することは不可能であり、また費用がかかる課題がある。このような問題に対して、本実施形態のトナー容器32は、トナーが収容される容器本体33の一部である先端開口形成部305をキャップ部材370によって直接封止することが出来るので、封止効果が向上しトナー漏れをより確実に防止することができる。また、封止効果が向上しているため、トナー容器32の保管時に外部環境の影響を受け難い。
【0137】
また、トナー容器32からキャップ部材370を取り外すことで、トナー補給装置60への装着が可能となるため、使用する際には使い勝手の良好な粉体収納容器を提供することができる。
さらに、キャップ部材370がIDチップ700やトナー容器32を保護する形状であるため、トナー容器32を包装する緩衝材や個装箱を低減でき、包装の大きさも小型化することによって、使用材料の低減により環境負荷を低減することができる。
【0138】
また、本実施形態は、次のような発明を含んでいる。すなわち、トナー容器32は、内部に粉体状の現像剤としてのトナーを収納し、容器本体33内から排出されるトナーが通過する粉体排出口となるノズル受入口331を開放または閉鎖するノズル受入口開閉部材としての容器シャッタ部材332を有する粉体収納容器である。さらに、トナー容器32は、容器本体33に対して、容器シャッタ部材332を支持するノズル受入部材330が着脱可能に構成されている。
【0139】
図12等を用いて説明したトナー容器32は、容器本体33に対して先端開口形成部305の開口からトナーを充填後、ノズル受入部材330を容器本体33の先端開口形成部305に圧入する構成になっている。
よって、この圧入を解除して、容器本体33からノズル受入部材330を取り外し、容器本体33にトナーを再充填することで、各部材の再使用できる。また、容器本体33からノズル受入部材330を取り外すことで、分解選別が容易となり、マテリアルリサイクルが可能となる。
【0140】
次に、ネジ止めによって容器本体33に対してノズル受入部材330を固定する構成例について説明する。
図33は、ネジ止めによって容器本体33に固定されるノズル受入部材330に用いる容器シャッタ支持部材340の斜視説明図である。図33に示す容器シャッタ支持部材340は、受入部材固定部337の外周面にネジ山337cが形成されている。また、図示は省略するが図33に示す容器シャッタ支持部材340を用いるトナー容器32の容器本体33の先端開口形成部305の内周面には、ネジ山337cとのネジ止めに用いられるネジ溝が形成されている。
図33に示す容器シャッタ支持部材340を用いるノズル受入部材330では、容器シール部材333とともに容器シャッタ部材332が容器シャッタ支持部材340に保持された状態で、容器本体33にネジ止めされる。なお、図33に示す容器シャッタ支持部材340を備えるトナー容器32は、容器本体33にノズル受入部材330を固定する構成がネジ止めである以外は、図12等を用いて説明したトナー容器32と同様の構成である。
【0141】
上述した図12等を用いて説明したトナー容器32は、トナーを充填する先端開口形成部305の開口を、圧入されたノズル受入部材330で塞がれてしまっているため、使用後の容器本体33からノズル受入部材330を取り外しが困難となり、リサイクルが困難となる場合がある。ここでのリサイクルとは、トナーを再充填してトナー容器32として再度使用するリフィルと、トナー容器32を分解して材料選別して行うマテリアルリサイクルとを含んでいる。
【0142】
このような問題に対して、図33に示す容器シャッタ支持部材340を用いるトナー容器32では、トナー容器32を固定した状態でノズル受入部材330を図33中の矢印A方向、または、ノズル受入部材330を固定した状態でトナー容器32を図33中の矢印Aとは逆方向に回転することで、容器本体33に対するノズル受入部材330のネジ止めが解除され、使用後の容器本体33からノズル受入部材330を取り外しが容易となる。このため、トナー充填口である先端開口形成部305の開口を塞いでいるノズル受入部材330を容器本体から容易に取り外すことができる。よって、図33に示す容器シャッタ支持部材340を用いるトナー容器32であれば、使用後にトナーを再充填してトナー容器32として再度使用するリフィルを容易に行うことができる。
【0143】
また、ノズル受入部材330は、ABS、PS、POM等の樹脂部材で構成された容器シャッタ支持部材340及び容器シャッタ部材332と、スポンジ等からなる容器シール部材333と、SW−C(硬鋼線)、SWP−A(ピアノ線)、SUS304(バネ用ステンレス線)等からなる容器シャッタバネ336との異種材料で構成されている。このため、PET(ポリエチレンテレフタラート)等からなる容器本体33からノズル受入部材330を容易に取り外せることにより、トナー容器32を分解して材料選別して行うマテリアルリサイクルを、容易に行うことができる。
【0144】
また、本実施形態は、次のような発明を含んでいる。すなわち、本実施形態のトナー容器32では、図6等に示すように、容器先端から見て右側となる容器本体33の側面における螺旋状突起302が上方ほど容器先端側となるように傾斜する巻き方向となっている。このため、容器先端から見て右側となる容器本体33の側面が上方から下方に移動するように容器本体33が回転する(図中矢印A方向に回転する)ことにより、容器本体33内のトナーを容器先端側へと搬送することができる。
ノズル受入部材330は、容器本体33と共に図中のA方向に回転するが、容器シール部材333が搬送ノズル611と摺動するため、搬送ノズル611からは回転を止める方向の摩擦力が作用する。このとき、ネジ山337cの巻き方向が図33とは異なり、螺旋状突起302と同方向、すなわち、容器先端から見て右側となる受入部材固定部337の側面におけるネジ山337cが上方ほど容器先端側となるように傾斜する巻き方向(右ネジの方向)となっていると、容器本体33が図中矢印Aに回転したときに、容器本体33の回転方向は受入部材固定部337とのネジ止めを緩める方向となる。
【0145】
これに対して、図33に示す容器シャッタ支持部材340を用いるトナー容器32では、ネジ山337cの巻き方向を螺旋状突起302の巻き方向とは逆方向に設定している。すなわち、本実施形態のトナー容器32においては、図33に示すように、ノズル受入部材330が左ネジとなるようにネジ山337cが形成されている。これにより、容器本体33の矢印A方向の回転が、容器本体33に対するノズル受入部材330のネジ止めが緩むように作用することを防止できる。
【0146】
図34は、ノズル受入部材330を固定した容器本体33について、回転軸方向の位置が汲み上げ部304の位置となる回転軸に直交する断面の断面説明図である。
本実施形態は、次のような発明を含んでいる。すなわち、図34に示すように、トナー容器32では、容器本体33にノズル受入部材330を固定した状態では、シャッタ支持開口部335bが汲み上げ部304と対向するように設定する。このように設定することより、容器本体33が回転することによって、汲み上げ部304の一つが回転中心の上方に達するタイミングでは、この汲み上げ部304に対向するシャッタ支持開口部335bも回転中心の上方に位置する。ノズル開口部610は常に上方に向けて開口しているため、汲み上げ部304が上方に位置するタイミングで、シャッタ支持開口部335bも上方に位置することで、汲み上げ部304によって汲み上げられたトナーがシャッタ支持開口部335bを通過して、ノズル開口部610へと供給される。
【0147】
さらに、図34に示すように、汲み上げ内壁面304fの回転中心側の端部に近接する位置に、シャッタ側面支持部335aの回転方向下流側の端面が位置するように配置する。これにより、汲み上げ内壁面304fに沿って流れてきて、内壁面304fの回転中心側の端部から下方に流れようとするトナーが、この端面に橋渡しされ、ノズル開口部610へと供給される。
【0148】
トナー容器32をトナー補給装置60に装着した直後など、容器本体33内にトナーが十分にある状態では、搬送ノズル611のノズル開口部610には、オーバーフローするぐらいのトナーが供給され続ける。このため、搬送スクリュ614の回転数を制御することにより現像装置50に対して、狙いのトナー量を補給することが出来る。一方、経時使用により、容器本体33内のトナーが少なくなってくると、汲み上げ部304からノズル開口部610に向かうトナー量に対して、汲み上げ内壁面304fの回転中心側の端部と搬送ノズル611との隙間からすり抜けるトナー量の割合が多くなり、現像装置50へ補給できるトナー量が少なくなる。現像装置50へ補給できるトナー量が少なくなると、現像装置50内の現像剤Gのトナー濃度が不安定になるため、トナー容器32を交換する必要が生じる。この状態では、容器本体33内には多くのトナーが残っているため、結果的に、交換時のトナー容器32のトナー残量が多くなる問題が発生してしまう。
【0149】
一方、図34に示すように、シャッタ側面支持部335aを図示するように配置することにより、汲み上げ内壁面304fに沿って流れてきて、内壁面304fの回転中心側の端部から下方に流れようとするトナーをシャッタ側面支持部335aの端面で橋渡しして、ノズル開口部610へと供給することができる。これにより、汲み上げ内壁面304fの回転中心側の端部と搬送ノズル611との隙間からすり抜けるトナー量を少なく出来、容器本体33内のトナー量が減少しても、ノズル開口部610へのトナーの補給量を維持することができ、現像装置50へのトナー補給量も維持することができる。よって、容器本体33内のトナーを使い切ることができ、結果的に、交換時のトナー容器32のトナー残量を少なく出来る。
【0150】
図51は、従来の粉体収納容器としてのトナー容器32の模式図である。図51(a)は、トナー容器32のトナーTを収容する空間にスクリュ部材やパドル部材等の軸付き回転搬送部材320を配置して、軸付き回転搬送部材320を回転させることで、トナー容器32内のトナーTをトナー排出口310から排出する構成の模式図である。図51(b)は、トナー容器32のトナーTを収容する空間にオーガやコイル等の軸無し回転搬送部材321を配置して、軸無し回転搬送部材321を回転させることで、トナー容器32内のトナーTをトナー排出口310から排出する構成の模式図である。図51(c)は、トナー容器32の内周面に螺旋状突起302を形成し、トナー容器32自体を回転させることで、螺旋状突起302によってトナー容器32内のトナーTをトナー排出口310から排出する構成の模式図である。
【0151】
複写機500のような二成分の現像剤を用いる画像形成装置は、一般的にトナーとキャリアとからなる現像剤を用いて、現像装置により感光体等の潜像担持体上に形成された潜像にトナー像を形成して画像を作成している。現像剤中に含まれるトナーは画像形成とともに消費されるため、トナーボトルやトナーカートリッジ等の現像剤としてのトナーを収納するトナー容器(粉体収納容器)を画像形成装置本体にセットし、トナー容器から現像装置へトナーを補給する。そして、使用していた容器のトナーがなくなってしまったら、新しいトナーを収納した容器に交換するものが良く知られている。
【0152】
画像形成装置に用いられる現像装置にトナーを補給するトナー容器及びトナー補給装置としては、トナー容器内部にスクリュ、オーガ、コイル、アジテータなどの搬送部材を設け、トナー容器の外部からトナー容器内部の搬送部材に駆動を与えてトナーを搬送するトナー容器及びトナー補給装置が知られている(例えば、図51(a)、図51(b))。また、トナー容器のそのものの内壁に螺旋状の溝あるいは突起を形成しトナー容器を回転させることで、螺旋を利用してトナーをトナー補給装置本体に供給し、トナー補給装置本体を介して現像装置にトナーを補給するトナー容器(例えば、図51(c))が既に知られている。
【0153】
図51(c)で示すようなトナー容器を回転させて、トナーを現像装置に補給するトナー容器及びトナー補給装置では、容器から押し出されるトナーの量が一定にならず、トナーを容器から取り出す補給速度のばらつきが大きくなってしまう。このため、トナー容器を回転させる構成の従来のトナー補給装置では、トナー容器から現像装置に送る経路に精度良くトナーを送る機能をもった搬送機構(サブホッパ)を用いる必要があり、この搬送機構の設置スペースが必要になったりコストアップにつながったりという問題があった。
【0154】
特許文献6に記載のトナー補給装置は、容器本体を回転させることで内部のトナーを回転軸方向の他端側に搬送し、この他端側の回転中心付近にトナー補給装置本体側から搬送管を挿入して、トナーをトナー容器内から取り出す構成となっている。このようなトナー補給装置では、トナー容器内に到達した搬送管の開口部近傍にオーバーフローするほどのトナーが存在していても、搬送管内におけるトナーの搬送量を制御することにより、過剰なトナーが搬送されること防止できる。これにより、トナーを容器から取り出す補給速度のばらつきを抑制することができ、上述した搬送機構(サブホッパ)がなくても、現像装置に対して安定した補給速度でトナーを補給することができる。搬送機構(サブホッパ)を必要としないことで、小型化や低コスト化を図ることができる。特許文献6に記載のトナー補給装置の構成は、搬送管に接続された粉体ポンプの出力を制御することにより、搬送管内におけるトナーの搬送量を制御することができる。
【0155】
また、特許文献6に記載のトナー容器は、トナー補給装置本体側に固定された搬送管を挿入するための管挿入部材が、トナーを収容する容器本体内に固定されている。管挿入部材を容器本体内に固定することで、管挿入部材に設けた管挿入口を閉鎖したときの容器本体内の密閉性がたかまり、トナー容器の保管時に内部のトナーが外部からの影響を受け難くなり、トナー漏れも生じ難くなる。
【0156】
本実施形態のトナー容器32及びトナー補給装置60も、特許文献6と同様に、容器本体33を回転させることで内部のトナーを回転軸方向の他端側に搬送し、この他端側の回転中心付近にトナー補給装置60本体側から搬送ノズル611を挿入して、トナーをトナー容器32内から取り出す構成であるため、上述した搬送機構(サブホッパ)は不要である。本実施形態のトナー補給装置60では、搬送ノズル611内に配置された搬送スクリュ614の回転を制御することにより、搬送管である搬送ノズル611内におけるトナーの搬送量を制御することができる。また、管挿入部材であるノズル受入部材330を容器本体33内に固定しているため、トナー容器32の保管時に内部のトナーが外部からの影響を受け難くなり、トナー漏れも生じ難くなる。
【0157】
特許文献6のように、搬送管内のトナーの搬送量を制御することが出来る構成の場合、搬送管の開口部近傍に十分なトナーが存在している状態であれば、安定したトナー搬送を行うことが出来る。しかし、トナー容器内のトナーの量が少なくなったときに、搬送するトナー量が減少し、安定したトナー搬送を行えなくなることがあった。これは、トナーをトナー容器の内部に設けられた螺旋状突起によって入り口付近まで移動させることはできても、搬送管に設けられた開口部に到達する前にトナーがすべり落ちてしまい、搬送管に入るトナーの量が減少するためである。搬送するトナー量が減少し、安定したトナー搬送を行えなくなると、現像装置内の現像剤のトナー濃度が不安定になるため、トナー容器を交換する必要が生じる。この状態では、容器本体内には多くのトナーが残っているため、結果的に、交換時のトナー容器のトナー残量が多くなる問題が発生してしまう。
【0158】
図35は、シャッタ側面支持部335aが橋渡し手段として作用する構成のトナー容器32を装着する前のトナー補給装置60と、容器先端カバー34側のトナー容器32の端部との断面説明図である。図36は、図35の状態からトナー容器32を装着した状態のトナー補給装置60と、容器先端カバー34側のトナー容器32の端部との断面説明図である。
また、図37は、図36中のE−E断面における断面説明図であり、図37(a)は、シャッタ側面支持部335aが橋渡し手段として作用しない構成の説明図であり、図37(b)は、シャッタ側面支持部335aが橋渡し手段として作用する構成の説明図である。また図38は、容器本体33内のトナーが搬送ノズル611を通過するまでのトナーの搬送経路を示す模式図である。
【0159】
図35、図36及び図37に示すトナー容器32は、次のような発明を含んでいる。すなわち、内部に粉体状の現像剤としてのトナーを収納し、容器本体33内から排出されるトナーが通過する粉体排出口となるノズル受入口331を開放または閉鎖するノズル受入口開閉部材としての容器シャッタ部材332を有し、容器本体33の回転中心付近となるノズル受入口331にトナー補給装置60本体に固定された搬送管としての搬送ノズル611を挿入する粉体収納容器である。さらに、トナー容器32は、容器本体33に形成された汲み上げ部304から搬送管である搬送ノズル611の開口部であるノズル開口部610へのトナーの移動を橋渡しするトナー橋渡し手段として機能するシャッタ側面支持部335aを容器本体33の内部に備える。
【0160】
図35に示すように、トナー橋渡し手段としてのシャッタ側面支持部335aは、容器本体33の内部にあり、容器シャッタ部材332における容器奥側の保持部であるシャッタ後端支持部335及び受入部材固定部337と一体でノズル受入部材330を形成している。
【0161】
図36及び図37(b)に示すように、シャッタ側面支持部335aの内径は、搬送ノズル611の外径よりも大きくなっている。これにより、容器シール部材333と接触する領域を通過した搬送ノズル611がシャッタ側面支持部335aの内周面と接触することを防止し、搬送ノズル611を容器本体に挿入するときに、負荷がかかりにくくしている。ノズル受入部材330には搬送ノズル611の外径よりも内径が小さい容器シール部材333を形成しているので、容器本体33内のトナーが搬送ノズル611の外周面に沿って容器本体33の外部に漏れ出すことを防止している。これにより、容器本体33から搬送ノズル611を通って現像装置50に向かうというトナーの搬送経路以外にトナーが流出することを防いでいる。
【0162】
図37(a)は、橋渡し部材が無い容器本体33内部のトナーの流れを示している。容器本体33の図中矢印A方向の回転によって、汲み上げ部304で容器本体の周方向に沿って汲み上げられたトナーは、重力によってノズル開口部610の方向に流れていく(図中矢印T1)が、搬送ノズル611と汲み上げ部304(汲み上げ内壁面304fの回転中心側の端部)との間にある隙間から流れてしまうトナーが出てきてしまう(図中矢印T2)。このため、補給速度が安定しなくなったり、トナー容器32の交換時に容器本体33に残るトナーの量が増えてしまったりなどの不具合が生じる。
【0163】
図37(b)は、橋渡し手段として機能するシャッタ側面支持部335aを備える容器本体33内部のトナーの流れを示している。
容器本体33の図中矢印A方向の回転によって、汲み上げ部304で容器本体の周方向に沿って汲み上げられたトナーは、重力によってノズル開口部610の方向に流れていく(図中矢印T1)ところまでは図37(a)で示す構成と同じである。しかし、図37(b)に示す構成では、搬送ノズル611と汲み上げ部304(汲み上げ内壁面304fの回転中心側の端部)との間にある隙間を塞ぐようにシャッタ側面支持部335aが配置されているため、図37(a)中の矢印T2で示すようなトナーの流れを抑制し、汲み上げられたトナーはノズル開口部610に効率良く入る。このため、容器本体33内のトナーの量が少なくなったときでも補給速度が安定し、さらに、トナー容器32の交換時に容器本体33に残ってしまうトナー量を減らすことができる。また、交換時に容器本体33に残ってしまうトナー量を減らすことができるため、ランニングコストを削減させて経済性を向上させるとともに、廃棄する残留トナーを低減させて環境への影響を低減させることができる。
【0164】
図39は、実施例(図37(b)に示す構成)と比較例(図37(a)に示す構成)との容器内のトナー残量と補給速度(単位時間当たりのトナー補給量)との関係を示すグラフである。
図39より、実施例では、容器内のトナー残量が少なくなっても補給速度が安定しているが、比較例では、容器内のトナー残量が少なくなると補給速度が低下していることがわかる。これは、橋渡し部材がない比較例では、容器本体33の一部である汲み上げ内壁面304fの回転中心側の端部と、搬送ノズル611との間に出来た隙間をトナーが通過する(滑って逃げてしまう)ため、トナー残量が少なくなると十分な量のトナーがノズル開口部610に到達できず、ノズル開口部610への供給量が維持できず、補給速度が低下しているものと考えられる。
【0165】
図35、図36及び図37(b)に示す例のトナー容器32では、次のような発明を含んでいる。すなわち容器本体の二箇所に汲み上げ部304を設け、汲み上げ部304に対応する位置の二箇所に橋渡し部材(シャッタ側面支持部335a)を設けている。容器本体33の汲み上げ部304を三箇所に設ける場合には橋渡し部材も三箇所設けるというように、汲み上げ部304と橋渡し部材とは同じ数だけ設けるのが効果的である。同様に、容器本体33の汲み上げ部を四箇所以上設ける場合も、橋渡し部材は汲み上げ部304と同数設けることが効果的である。
【0166】
また、本実施形態は、次のような発明を含んでいる。すなわち、トナー容器32では、ノズル受入口331を形成する受入部材固定部337と、橋渡し手段としての機能するシャッタ側面支持部335aとを一体で形成し、橋渡し部材を容器本体33とは別体としている。
容器本体は、二軸延伸ブロー成形法で成形されており、樹脂を射出成形により成形された試験管状のプリフォームを延伸ブロー成形によってトナーが収容される部分を延伸して成形する。このため、容器回転ギア301や先端開口形成部305が形成された先端部近傍は、射出成形されたプリフォームのままの形状であるため、精度良く成形できるが、延伸ブロー成形によって成形される汲み上げ部304から容器後端側の成形は精度良くなされていない。このため、橋渡し部材を汲み上げ部304の近傍に容器本体33と一体で形成すると、橋渡し部材の精度が低下し、搬送ノズル611と接触して、容器本体33の回転トルクの上昇や経時の摺動負荷に起因する部材の破損が発生するおそれがある。
【0167】
これに対して、本実施形態のトナー容器32では、シャッタ側面支持部335aを受入部材固定部337と一体で形成することによって、容器本体33に橋渡し部材を形成するよりも精度良く形成することができる。これにより、橋渡し部材と搬送ノズル611との隙間の精度を保つことができる。これにより、容器本体33の回転トルクの上昇や経時の摺動負荷に起因する部材の破損を防止することができる。
【0168】
また、本実施形態は、次のような発明を含んでいる。すなわち、トナー容器32では、橋渡し手段としての機能するシャッタ側面支持部335aと容器シャッタ部材332における容器奥側の保持部であるシャッタ後端支持部335とを一体で形成している。これにより、容器シャッタ部材332を保持するための別部品が不要になり、構造が簡単になり、部品点数を減らすことができる。
【0169】
本実施形態のトナー容器32は、螺旋状突起302によって、回転する容器本体33の容器後端側から容器先端側にトナーを搬送する。そして、容器本体33の容器先端側端部近傍に到達したトナーを、容器本体33の回転中心付近に挿入された搬送ノズル611のノズル開口部610から搬送ノズル611内に供給し、搬送ノズル611を介して現像装置50にトナーを供給する。
ここで、搬送ノズル611が配置される位置での回転軸に直交する平面方向においては、容器本体33の回転中心側の端部と、搬送ノズル611の外周面との間には必ず隙間ができる。この隙間が、大きすぎると、容器本体33に形成した汲み上げ部304によって持ち上げられたトナーが、汲み上げ部304から搬送ノズル611のノズル開口部610に向かっていく途中で、ノズル開口部610まで到達できず、上記隙間から落下してノズル開口部610に入らないトナーの割合が多くなってしまう。
【0170】
一方、上記隙間を無くしてしまうと、容器本体33の回転に負荷がかかり回転に要する力が大きくなる。さらに、上記隙間を無くすと、容器本体33の回転中心側の端部と搬送ノズル611の外周面との間にトナーが入り込んだときに、トナーの凝集体を形成したり、容器本体33と搬送ノズル611との間で固着してしまったりする。
これに対して、図35、図36及び図37(b)に示すトナー容器32は、容器本体33内に汲み上げ部304から搬送ノズル611のノズル開口部610に向けてトナーを誘導する、橋渡し部材(シャッタ側面支持部335a)を形成する。これにより、容器本体33の回転により汲み上げ部304で持ち上げられたトナーのうち、橋渡し部材が無い構成では、搬送ノズル611の手前で滑り落ちてしっていたトナーも搬送ノズル611のノズル開口部610に運ぶことができる。
【0171】
次に、トナー容器32において、容器本体33に対してノズル受入部材330を圧入する構成の回転軸方向の圧入個所について説明する。
図40及び図41は、本実施形態のトナー容器32におけるノズル受入部材330の圧入個所の説明図であり、図中の領域γが圧入個所となっている。図40は、容器本体33の容器回転ギア301を設けた位置の内周面に対して、ノズル受入部材330を圧入する構成の説明図である。また、図41は、容器本体33のカバー爪引掛け部306を設けた位置の内周面に対して、ノズル受入部材330を圧入する構成の説明図である。
【0172】
図40及び図41に示すトナー容器32は、次のような発明を含んでいる。すなわち、内部に粉体状の現像剤としてのトナーを収納し、容器本体33内から排出されるトナーが通過する粉体排出口となるノズル受入口331を開放または閉鎖するノズル受入口開閉部材としての容器シャッタ部材332と、容器シャッタ部材332を保持する開閉部材保持部材としてのノズル受入部材330とを有する粉体収納容器である。また、トナー容器32は、その容器先端側端部には、円筒状の先端開口形成部305が形成されており、この先端開口形成部305の外周面が容器セット部615の円筒状の内周面(615a)に対して摺動するように嵌合される。さらに、ノズル受入部材330は、容器本体33の内周面に対して圧入固定されるものであり、この圧入固定される個所の回転軸方向の位置は、先端開口形成部305の外周面が容器セット部615の円筒状の内周面と摺動する位置よりも容器後端側である。
【0173】
図40及び図41等に示すように、ノズル受入部材330の容器先端側端部と、先端開口形成部305の容器先端側端部とは回転軸方向における位置が一致している。このため、先端開口形成部305の容器先端側端部近傍の内周面に対してノズル受入部材330を圧入する構成が考えられる。しかし、先端開口形成部305の容器先端側端部近傍は、容器セット部615の円筒状の内周面(615a)に対して嵌合される。このため、ノズル受入部材330を圧入することで先端開口形成部305の圧入個所が膨らみ、先端開口形成部305の外径が大きくなると、容器セット部615に対して嵌合できなくなり、トナー容器32をトナー補給装置60に装着できなくなるおそれがある。また、装着できてもトナー容器32の回転トルクの上昇につながるおそれがある。
【0174】
このような問題を防止するために、圧入による先端開口形成部305の膨らみ量を予め推測して、トナー容器32の作成時の先端開口形成部305の外径を設定することが考えられる。しかし、圧入による膨らみ量を鑑みて先端開口形成部305の外径を設定すると、その公差を大きく設定する必要があり、公差の範囲内で膨らみ量が小さい場合には、先端開口形成部305の外径と容器セット部615の円筒状の内周面(615a)の内径との差が大きくなり、位置決めが不十分となるおそれがある。
【0175】
このような問題を防止する構成として、本実施形態のトナー容器32は、ノズル受入部材330の受入部材固定部337の容器先端側端部近傍の外径は、先端開口形成部305の内周面に対して圧入しない程度に少し小さくなっており、圧入個所となる容器先端側端部よりも容器後端側の位置の受入部材固定部337の外径は圧入できる大きさとなっている。
【0176】
このように、ノズル受入部材330の受入部材固定部337の容器先端側端部よりも容器後端側に圧入個所となる外径の大きな個所を形成することで、容器セット部615に対して嵌合する個所の先端開口形成部305が圧入により外径が大きくなることを防止できる。これにより、先端開口形成部305の外径が大きくなることに起因して、トナー容器32をトナー補給装置60に装着できなくなることやトナー容器32の回転トルクが上昇することを防止することができる。
また、先端開口形成部305は、射出成形されたプリフォームのままの形状であるため、精度良く成形できる。このような位置がノズル受入部材330の圧入によって膨らむことなく、位置決め部や摺動部として用いることができるので、精度の良い位置決めや良好な摺動を実現できる。
【0177】
また、図40に示すトナー容器32は、次のような発明を含んでいる。すなわち、ノズル受入部材330の受入部材固定部337における圧入個所を、容器本体33の容器回転ギア301を設けた位置の内周面に対応する個所としている。容器回転ギア301を設けた個所は、容器本体33の他の部分よりも強度が高いため、圧入による変形が生じ難く、受入部材固定部337との圧入も外れ難いため、圧入位置としては適切である。
【0178】
また、図41に示すトナー容器32は、次のような発明を含んでいる。すなわち、ノズル受入部材330の受入部材固定部337における圧入個所を、容器本体33のカバー爪引掛け部306を設けた位置の内周面に対応する個所としている。カバー爪引掛け部306を設けた個所は、容器本体33の他の部分よりも強度が高いため、圧入による変形が生じ難く、受入部材固定部337との圧入も外れ難いため、圧入位置としては適切である。
【0179】
次に、本実施形態のトナー容器32が備えるIDチップ700の保持機構について説明する。
図1は、トナー補給装置60に固定されたコネクタ800とトナー容器32の容器先端側端部との斜視説明図である。図1に示すように、トナー容器32は、容器本体33と、容器本体33に形成されたトナー排出口としてのノズル受入口331を設けた先端開口形成部305を露出するかたちで、容器本体33に取り付けられた容器先端カバー34を備える。さらに、トナー容器32は、容器先端カバー34の先端に取り付けられる情報記憶装置としてのIDチップ700と、IDチップ700を保持するIDチップ保持機構345とを備えている。
【0180】
本実施形態のIDチップ700の通信方式は接触式である。よってコネクタ800が、トナー補給装置60の本体側の容器先端カバー34の容器先端側端面と対向する位置に配置されている。
図42は、IDチップ保持機構345を分解した状態のトナー容器32の容器先端側端部とコネクタ800との斜視説明図である。図42に示すように、IDチップ700には、位置決め用のIDチップ穴部701が形成されていて、トナー容器32をトナー補給装置60に装着すると、このIDチップ穴部701には、コネクタ800の、位置決めピン801が挿入される。
【0181】
IDチップ保持機構345は、IDチップ700を保持する保持台座部358を有する保持部343と、IDチップ700を図中のX−Z方向に移動可能に保持すると共に、保持部343に着脱可能に嵌合するカバー部材としての保持蓋344とを備えている。
【0182】
図43は、IDチップ700を保持蓋344に仮止めした状態のトナー容器32の容器先端側端部とコネクタ800との斜視説明図である。図43に示すように、保持部343は、容器先端カバー34の容器先端側端部のIDチップ取付面357に形成された、IDチップ700が設置される保持台座部358を備えている。また、保持蓋344は、保持部343に嵌合した際に保持台座部358を外方から囲むように形成された略額縁状のIDチップ設置壁部352と、IDチップ700が外れるのを防止するための額縁状のIDチップ設置壁部352の内側に向かって突出するIDチップ押さえ凸部353とを備えている。なお、保持蓋344に備えられたIDチップ設置壁部352に関しては、外形が長方形のIDチップを額縁状の内側に収納可能な大きさで、その内側にIDチップ700がセットされたときに、IDチップ700をX−Z方向にある程度移動可能に保持するものである。
【0183】
ここで更に詳しく保持機構345に関して説明する。
保持蓋344に備えられたIDチップ設置壁部352は、保持台座部358の図中Y軸方向の長さ(IDチップ取付面357からの高さ)よりも長めに形成されている。よってIDチップ700が保持台座部358に設置された際には、IDチップ700は、容器先端カバー34に対して固定されず、さらに、X−Z方向におけるIDチップ700の外側を囲むように存在するIDチップ設置壁部352とは隙間を持った状態で設置される。またIDチップ700は、保持蓋344が有するIDチップ押さえ凸部353に対しても若干の隙間を持っているため、容器先端カバー34に対して固定はされないが外れることはない。
【0184】
なお、IDチップ700の組み付けの際は、図43に示すようにIDチップ700は保持蓋344のIDチップ仮止めリブ351(図42参照)に引っ掛けられ、仮止めされた状態で保持部343の保持台座部358に設置される。この時、保持台座部358の外部が保持蓋344のガイドとなり、保持台座部に設置後のIDチップ700は、IDチップ仮止めリブ351から離れて四つの保持台座部358の容器先端側の端面に当接するようになる。
【0185】
次に、保持蓋344の取り付けに関して詳細に説明する。
本実施形態のトナー容器32では、保持蓋344を熱カシメ等の加工や締結部材で締め込んで容器先端カバー34に固定するものではなく、爪部材による嵌め合い方式で固定する方式である。なお、容器先端カバー34に対する保持蓋344の固定方法に関してはどのような方法でも可であるが、本実施形態では爪部材による嵌め合い方式を採用している。
図42に示すように、保持蓋344は、保持蓋上部350、保持蓋下部348及び保持蓋右側面部349に、保持蓋上爪部355、保持蓋下爪部354及び保持蓋右側面爪部356をそれぞれ備えている。
また、容器先端カバー34側のIDチップ取付面357の周りには、保持蓋上爪部355、保持蓋下爪部354及び保持蓋右側面爪部356の三箇所の爪部のそれぞれと対向する位置に、取付面上引掛り部359a、取付面下引掛り部359b及び取付面横引掛り部360の三箇所の引掛り部が形成されている。
【0186】
保持蓋344を容器先端カバー34にセットの際は、保持蓋344側の三箇所の爪部(355、348及び349)が、容器先端カバー34側の三箇所の引掛り部(359a、359b及び360)と係合し固定される。なお、三箇所の引掛り部については、取付面上引掛り部359a及び取付面下引掛り部359bの二箇所が穴形状、取付面横引掛り部360の一箇所が爪形状の構成になっている。
穴形状の取付面上引掛り部359a及び取付面下引掛り部359bに対しては、保持蓋上爪部355及び保持蓋下爪部354の二つの爪部先端の傾斜と爪部のバネ性を利用してセットする。また、爪形状の取付面横引掛り部360には、保持蓋右側面爪部356の先端の傾斜と、取付面横引掛り部360の取付面横引掛り部傾斜面360aとを利用してセットする。
【0187】
このような構成であると、図43に示すように、保持蓋344のIDチップ設置壁部352の内側にIDチップ700を仮止めセットし、保持蓋344を容器先端カバー34側の保持台座部358に沿って移動させると、保持蓋344側に形成された爪部(355、348及び349)が容器先端カバー34側に形成された引掛り部(359a、359b及び360)と係合し、両者の嵌め合いで保持蓋344を容器先端カバー34に固定することができる。
なお、図1及び図42、図43を用いて説明した例では、保持蓋344の上下二箇所と右一箇所とを、爪部(355、348及び349)と引掛り部(359a、359b及び360)との嵌合い箇所とした。保持蓋344の嵌合い箇所としては、上下及び右の組み合わせに限るものではなく、保持蓋344の上下のみ、または左右のみ、もしくは上下左右などとしてもよく、嵌合い箇所や個数は本形態に制限するものではない。
【0188】
次に、図44〜図49を用いて、本実施形態のトナー容器32が備える情報記憶装置としてのIDチップ700について説明する。
なお、以下の説明において、「略矩形状の金属板」とは、矩形状のものに加えて略矩形状のものも含むものと定義する。したがって、矩形状の金属板の角部の全部または一部を面取りしたもの、R形状にしたもの等も、「略矩形状の金属板」に含まれることになる。
【0189】
図44は、IDチップ700の三面図であり、図44(a)は、コネクタ800側から見たIDチップ700の正面図、図44(b)は、取り付け方向に対して直交する方向(図1中の右斜め上方向)見たIDチップ700の側面図、図44(c)は、容器先端カバー34側から見たIDチップ700の裏面図である。
図45は、IDチップ700、保持蓋344、及び、コネクタ800を示す斜視図であって、3つの部材(700、344、及び、800)の相対位置関係を示す斜視図である。なお、図45では、図42および図43に示した保持蓋上爪部355及び保持蓋下爪部354の図示は省略している。
図46は、IDチップ700がコネクタ800に係合した状態を示す斜視図である。また、図47は、IDチップ700の電気回路とコネクタ800の電気回路とを示す回路図である。
【0190】
図48(a)はIDチップ700がコネクタ800に保持された状態を示す正面図であって、図48(b)はIDチップ700が位置決め用のIDチップ穴部701を中心に回動している状態を示す正面図である。図49は、工場製造時の検査工程において通電検査装置900のプローブ901が当接された状態のIDチップ700を示す図である。
本実施形態のIDチップ700は、基板702にIDチップ穴部701が一つだけ形成されており、IDチップ穴部701が矩形状の金属板からなる複数の金属パッド710(710a、710b、710c)の間に配置されている。
【0191】
図1に示すように、本実施形態のトナー容器32は、矩形上のIDチップ700の長辺が鉛直方向に対して平行になっておらず、その長辺が斜めになるように配置されている。このため、トナー容器32に配置した状態での上下方向は、IDチップ700の長手方向とは一致しない。しかし、以下の説明においては、便宜上、IDチップ700の長辺に平行な方向(図44中のZ’軸方向)をチップ上下方向と呼び、IDチップ700の短辺に平行な方向(図44中のX’軸方向)をチップ左右方向と呼ぶ。また、トナー補給装置60に対して斜めに配置されたコネクタ800についても同様である。
【0192】
図44に示すように、本実施形態における情報記憶装置としてのIDチップ700は、基板702の重心に対してチップ上下方向における鉛直上方の位置に、IDチップ穴部701が形成されている。そして、このIDチップ穴部701の内径部と周囲とには、金属端子からなる接地(アース)用のアース端子703が設置されている。なお、図44に示すように、本実施形態の基板702の表面に形成されたアース端子703は、円環状の部分に対して二つのアース端子突出部705がチップ左右方向に延設されるように形成されている。
また、IDチップ穴部701に対して、チップ上下方向における上方の位置には一つの矩形状の金属パッド710(第一金属パッド710a)が設置され、チップ上下方向の下方の位置には二つの金属パッド710(第二金属パッド710b、第三金属パッド710c)が設置されている。
【0193】
さらに、図44(c)に示すように、基板702の裏面には、半球面状のエポキシ等の樹脂材料からなり図示を省略した情報記憶部を覆って保護する保護部材720が設けられている。IDチップ700は、基板702の形状や保護部材720等の裏面の構成・配置によるが、内部にIC(集積回路)等の情報記憶部を有することもあって裏面に配置された最も大きく重量がある構成物である保護部材720のチップ上下方向における上方にIDチップ穴部701を配置することで、上述したように、IDチップ700の重心に対してチップ上下方向における鉛直上方にIDチップ穴部701があるという位置関係を実現している。
具体的には、図48(a)に示すように、本実施形態のIDチップ700は、IDチップ穴部701の中心位置が、IDチップ700の重心から距離Zaだけチップ上下方向における上方になるように形成されている。
【0194】
図45に示すように、コネクタ800は、樹脂製で中空の箱であるコネクタ本体805を有しており、そのコネクタ本体805に一本の中空円筒で先端にテーパ形状を有する位置決めピン801(位置決め用の突起部)が水平方向に起立するように設けられている。そして、この位置決めピン801には、接地用本体側端子802が設置されている。この接地用本体側端子802は、板状(または線状)の金属部材であって、その一部がコネクタ本体805と一体で形成された位置決めピン801の中空部に収納され、その湾曲部が中空円筒の周面の一部に形成されたスリット状の開口から露出して、位置決めピン801の円筒外周面から突出している。また、位置決めピン801(接地用本体側端子802)に対して、チップ上下方向における鉛直上方の位置には一つの本体側端子804が設置され、位置決めピン801に対して、チップ上下方向における鉛直下方の位置には二つの本体側端子804が設置されている。これらの本体側端子804は、板状(または線状)の金属部材である。
【0195】
また、コネクタ本体805の下方であって、位置決めピン801を挟むチップ左右方向における両側の位置には、互いの先端内側のテーパ面が線対称になるよう形成された一対のリブからなり、IDチップ700の両側端面であってIDチップ穴部701の中心よりもチップ上下方向における下方の箇所に対向する一対の規制部材としての振れ防止部材803が設けられている。
【0196】
また、保持蓋344は、トナー容器32の容器先端カバー34に固定され、トナー容器32をトナー補給装置60に装着した状態では、コネクタ800とIDチップ700との間に位置し、IDチップ700を移動可能に(ある程度のガタ付きがある状態で)保持するものである。
図45に示すように、保持蓋344は、保持蓋下部348、保持蓋左側面部342及び保持蓋右側面部349のそれぞれに設けた三つのIDチップ押さえ凸部353によって、IDチップ700が、保持蓋344よりもコネクタ800側に脱落することを防止している。
また、保持蓋344のコネクタ800側の端部(IDチップ押さえ凸部353を含む壁面)には、保持蓋開口部347が形成されており、この保持蓋開口部347は、コネクタ800側の四つの端子(三つの本体側端子804、一つの接地用本体側端子802)に対向する領域を含む保持蓋344のコネクタ800側の端部の大部分を開口とする形状である。さらに、保持蓋344の保持蓋開口部347は、コネクタ800に設けられた振れ防止部材803に対応する部分まで開放された形状となっている。そして、トナー容器32の装着時には、位置決めピン801が保持蓋開口部347の開口位置を通過するのに続いて、振れ防止部材803も保持蓋開口部347の開口位置を通過して、保持蓋344の内部に進入することになる。
【0197】
IDチップ700の裏面側(保護部材720の側である。)に対向する四つの保持台座部358は容器先端カバー34の一部であって、保持部343からコネクタ800側に延在する部材である。四つの保持台座部358は、矩形状の基板702の四つの角の近傍を押圧する構成であり、IDチップ700に固定された保護部材720や、コネクタ800との接続時に進入してくる振れ防止部材803との干渉を避けることができる形状となっている。
その一方で、IDチップ700のIDチップ穴部701に位置決めピン801が挿入されるときにIDチップ700が位置決めピン801の接地用本体側端子802や本体側端子804によって容器後端側に押されることになるが、四つの保持台座部358が基板702の裏面から支えることになるため、端子同士の当接状態を維持することができる。
【0198】
図46は、トナー容器32がトナー補給装置60(複写機500本体)に装着された状態における、トナー補給装置60側のコネクタ800とIDチップ700との位置決めが完了し、本体側の端子(本体側端子804及び接地用本体側端子802)と、IDチップ700側の端子(金属パッド710及びアース端子703)とが接続した状態を示す概略斜視図である。なお、図46では、理解容易のため、コネクタ800とIDチップ700との間にある保持蓋344と、三つの金属パッド710との図示は省略されている。
【0199】
本実施形態のトナー容器32は、容器先端カバー34よりも先端開口形成部305が突き出ている。そして、非装着の状態のトナー容器32を図中矢印Q方向に移動させて、トナー補給装置60に装着しようと、まず、先端開口形成部305と容器セット部615との嵌合がなされ、トナー容器32のトナー補給装置60に対する回転軸方向に直交する方向についての位置が決まる。その後、さらに、トナー容器32を図中矢印Q方向に移動させることで、IDチップ700とコネクタ800との接続が始まる。
トナー容器32の回転軸方向に直交する方向の位置決めがなされ、容器先端カバー34の回転軸方向に直交する方向の位置が定まった後に、IDチップ700のIDチップ穴部701が、コネクタ800の位置決めピン801の先端のテーパに拾われるように位置決めピン801に嵌合されて、IDチップ700のチップ上下方向及びチップ左右方向の位置が同時に決まる。すなわち、回転軸方向に直交する方向についてのIDチップ700の位置決めがなされる。
【0200】
さらに、図48(a)に示すように、チップ左右方向における基板702の左右両側であってIDチップ穴部701の中心よりもチップ上下方向における下方である下側の縁部にコネクタ800の振れ防止部材803が進入する。このときIDチップ700の姿勢が図48(b)のようにずれていたとしても、リブ状の振れ防止部材803の先端のテーパ面が上記縁部の一方に接触すると、IDチップ穴部701よりも下方の部分が、接触したテーパ面とは反対側に向かうように回転し、二つのテーパ面に均等に接触する位置で回転が止まり、回転方向(図48(b)に示す両矢印方向の回転である。)の姿勢のずれを矯正する(図48(a)の状態にする)。これによって、IDチップ700の位置決めが完了する。
【0201】
このとき、IDチップ700のアース端子703の一部(IDチップ穴部701の内径部に相当する部分である。)が、図46に示す位置決めピン801の接地用本体側端子802に接触して、IDチップ700の接地(導通)がとられることになる。さらに、その接地がとられた後に、図47(a)に示すように、IDチップ700の三つの金属パッド710(710a、710b、710c)も、コネクタ800の三つの本体側端子804にそれぞれ接触して、IDチップ700と、コネクタ800を備えるトナー補給装置60側の制御部(複写機500の制御部90)との間で情報の伝達が可能になる。
【0202】
このように、本実施形態では、下記(1)から(5)のさまざまな工夫を加えたことで安価な構成で高精度の位置決め機構を実現している。
【0203】
(1)IDチップ穴部701を1つにしている。これによって、基板702の加工費の抑制が可能になる。
【0204】
(2)接地用本体側端子802を位置決めピン801の側周面に一体的に設置している。これによって、位置決めピン801と接地用本体側端子802との距離を実質0にすることができ、接地用本体側端子802に対するアース端子703の位置精度を高めることができる。
【0205】
(3)図46に示す装着完了状態において、コネクタ800側の三つの本体側端子804の湾曲部(接触部)の頂点を結ぶ直線上にIDチップ穴部701の穴中心を一致させるようにIDチップ穴部701と本体側端子804の湾曲部との配置関係を調整している。これによって、位置決め部であるIDチップ穴部701から端子同士(本体側端子804と金属パッド710)の接触部までのチップ左右方向の距離を縮めて0[mm]近傍にするにすることができる。その結果、三つの金属パッド710(710a、710b、710c)と、三つの本体側端子804とが接触するときの位置精度が向上する。
【0206】
(4)IDチップ穴部701の位置を、複数の金属パッド710(710a、710b、710c)を並べたときに生じる複数の間隙のうち、いずれかの間隙に配置している。これによって、複数の金属パッド710(710a、710b、710c)の並びの外側であるチップ上下方向における上方または下方に、位置決め用の穴部(または切欠部)を配置した場合に比べて、IDチップ穴部701の中心から最も離れた位置にある第三金属パッド710cまでの距離(振り子の腕長さに相当することになる。)を短くすることができる。具体的には、三つの金属パッド710(710a、710b、710c)の並びの外側に位置決め用の穴部(または切欠部)を配置した場合、最長の腕長さは穴中心(または、切欠の中心)から金属パッド710の三つ分の距離になる。一方、本実施形態のIDチップ700では、最長の腕長さを金属パッド710の二つ分の距離にすることができる。振れの腕長さが短くなることで、最も遠い位置の第三金属パッド710cの本体側端子804に対する平行度が量産ばらつき等の理由でずれてしまったとしても、そのずれを最低限に抑えることができる。
【0207】
(5)トナー容器32を単品で保管する場合、異物が保持蓋344の中に入ってIDチップ700と、IDチップ押さえ凸部353や保持台座部358との間に挟まり、位置がずれたままになってしまうおそれがある。このような課題に対して、本実施形態では、IDチップ700のIDチップ穴部701が重心に対してチップ上下方向における上方にあるように、位置関係の工夫をしている。これにより、一対のリブから成る振れ防止部材803が回転中心であるIDチップ穴部701よりもチップ上下方向における下方に進入するときに、振れ防止部材803(リブ)のテーパ面との当接によって、二つのテーパ面に均等に接触する位置となるように、IDチップ700を回転することが出来る。これにより、位置ずれを規制して姿勢を矯正することができる。その結果、IDチップ穴部701が一つであっても、複数の本体側端子804に対する複数の金属パッド710(710a、710b、710c)の位置精度を同時に高めることができる。
【0208】
以上、(1)〜(5)に記載したように、それぞれの五つの工夫は、それぞれの作用効果を発揮することになり、金属パッド710の面積を極小にするという安価な構成を採用しても、アース端子703を含むIDチップ700側の複数の端子(703、710)と複数の本体側端子(802、804)との位置決めの精度を極めて高いものとすることができる。
【0209】
さらに、本実施形態における工夫及び作用効果について、上述したものと別のものについて述べる。
まず三つの金属パッド710(710a、710b、710c)それぞれについて詳述する。最上位にある第一金属パッド710aは、通信制御のためのクロック信号が入力される。逐次通信のため速度は遅いが低コストなシリアル通信方式を採用し、シリアルバスとしてI2C(Inter-Integrated Circuit)を採用し、トナー補給装置60側のコネクタ800と接続した状態でシリアルクロック(SCL)が入力される信号線を形成する。第一金属パッド710aがクロック信号入力方向側の端子に相当するが、クロック信号は信号の流れが片方向であるため、後述するVcc(電源、第三金属パッド710c)との短絡によるIDチップ700の破壊の可能性が他の端子と比較して高いと予測される。そのためIDチップ700の破壊を避けるために、Vccから離れた場所に配置してある。万一GND(アース端子703)と短絡しても壊れる可能性は低いからである。
【0210】
第二金属パッド710bもシリアル通信方式を採用し、シリアルバスとしてI2Cを採用、トナー補給装置60側のコネクタ800と接続した状態でシリアルデータ(SDA)が入出力される信号線を形成する。この第二金属パッド710bは入出力双方向であることから、片方向入力の第一金属パッド710aよりも短絡によるIDチップ700破壊の可能性は小さい。
【0211】
第三金属パッド710cは、電源入力部(Vcc)であり、トナー補給装置60側のコネクタ800と接続した状態で5[V]または3.3[V]の電圧が入力される。電源とGNDの短絡という機器全体にとっての故障の危険性を小さくするためにGND(アース端子703)及び、シリアルクロック入力端子(第一金属パッド710a)と間にシリアルデータ入力端子(第二金属パッド710b)を挟んで配置されている。Vccである第三金属パッド710cは、図44にあるようにIDチップ裏側の保護部材720と基板702を介して重なっており、保護部材720内の不図示のIC駆動回路とも近くなっている。これによって電源ラインも短く太くでき、電源動作の安定(=ノイズ誤動作の低減)化を図ることができる。
【0212】
次にアースに関する工夫を述べる。トナー容器32の装着動作において、IDチップ700のアース端子703が位置決めピン801(コネクタ800)の接地用本体側端子802に接触した後に、IDチップ700の三つの金属パッド710(710a、710b、710c)がコネクタ800の三つの本体側端子804に接触開始されるように構成されている。換言すると、トナー容器32の離脱動作において、IDチップ700における三つの金属パッド710(710a、710b、710c)のコネクタ800における三つの本体側端子804への接触が解除された後に、IDチップ700のアース端子703が位置決めピン801(コネクタ800)の接地用本体側端子802に対して接触解除(離間)されるように構成されている。
具体的には、図47(a)に示すように、コネクタ800において、三つの本体側端子804に比べて接地用本体側端子802の接触開始位置がIDチップ700の側に近い位置になるように形成されている。
【0213】
このような構成により、トナー容器32の装着動作においては常にIDチップ700のアースがとられている状態で金属パッド710と本体側端子804との接続が開始され、トナー容器32の取り外し動作においては常にIDチップ700のアースがとられている状態で金属パッド710と本体側端子804との離間(接触解除)が開始されることになる。そのため、IDチップ700側の電気回路においてアースがとられずに電気的に浮いた状態になることが防止され、IDチップ700に電気的な破損が生じにくくなる。
詳しくは、IDチップ700側の電気回路においてアースがとられずに電気的に浮いた状態であるとき、電気回路は非常に大きなインピーダンスで接地されている状態となり、三つの金属パッド710と三つの本体側端子804との接触時または離間時に発生した静電気がわずかでも電気回路に流れ込むと、その電流にインピーダンスを掛けたものと同等の高電圧が発生する。そして、この高電圧によりIDチップ700におけるIC内部での絶縁破壊が生じて、ICが壊れてしまう。
【0214】
このような不具合は、図47(b)に示すように、コネクタ800において、三つの本体側端子804と接地用本体側端子802とのIDチップ700に対する接触開始位置が同位置に形成されているような場合に生じやすくなる。
これに対して、本実施形態では、本体側端子804におけるIDチップ700側に最も突出した部分である湾曲部よりも、位置決めピン801のスリット状の開口から露出した接地用本体側端子802の湾曲部の方が、IDチップ700により近い位置になるよう配置されている。これによって、接触時の回路の接地が最初におこなわれ、離間時の回路の接地が最後になるため、インピーダンスが常に理論上ゼロとなり、静電気が電気回路内に流れ込んでもIC内部での絶縁破壊を防ぐことができる。
【0215】
また、本実施形態のIDチップ700には、先に図44で説明したように、アース端子703の外周の一部に二つのアース端子突出部705を設けている。
このようにIDチップ700の基板702のオモテ面にアース端子突出部705を設けることで、工場での製造時における検査工程(IDチップ700の良・不良を検査する工程である。)において、通電検査用のプローブの当接作業を容易にすることができる。詳しくは、図49に示すように、検査台に載置された状態のIDチップ700の金属パッド710やアース端子703に対して、上方から通電検査装置900が備える複数のプローブ901の先端部をそれぞれ押し当てる。このとき、アース端子703のアース端子突出部705はプローブ901の先端部が当接するのに充分な面積が確保されているため、プローブ901の接触不良による通電検査不良を防止することができる。また、プローブ901の先端部をアース端子703(アース端子突出部705)に上方から当接させて通電検査をおこなっているため、プローブ901をIDチップ穴部701に挿入して通電検査をおこなう場合に比べて、検査ごとに繰り返し使用されるプローブ901自体の耐性を向上させることができるとともに、IDチップ700のIDチップ穴部701が通電検査によって磨耗する不具合も防止することができる。
【0216】
なお、アース端子703の円環と矩形の金属パッド710との間のくさび状に広がる余剰空間において、アース端子突出部705は、そのチップ左右方向の境界(境界線)が円環の外周に接するとともに、金属パッド710(710a、710b、710c)の長手方向と平行になるように配置している。これによって、アース端子突出部705がチップ上下方向へ突出することなく、IDチップ押さえ凸部353と滑動する基板702の左右の滑動領域へのアース端子突出部705の突出(チップ左右方向への突出である。)を抑制することができる。その結果、基板702を大型化することなく、製造上において定尺寸法が決まっている基板素材からの基板702の取り数を出来る限り多いものにすることができて、IDチップ700の原価上昇を抑制することができる。
【0217】
また、コネクタ800における三つの本体側端子804は、板状(または線状)の金属部材であって、その一端側を固定端として他端側を自由端としてコネクタ本体805に固定支持されている。また、三つの本体側端子804は、その他端側にIDチップ700(トナー容器32)側に向けて湾曲した湾曲部が形成されている。すなわち、本体側端子804は、IDチップ700に向けて膝(又は、ブーメラン)のように屈曲している。この本体側端子804の湾曲部は、金属パッド710との接点となる部分である。
そして、トナー容器32のトナー補給装置60に対する装着動作にともない、本体側端子804の湾曲部が金属パッド710の長手方向(チップ左右方向)略中央部に接触する。そして、トナー容器32の装着動作がさらに進むと、IDチップ700がさらにコネクタ800側に近づいて、本体側端子804が金属パッド710に押圧されて弾性変形(曲がっていた膝が伸びるような状態である。)しながら本体側端子804の湾曲部が自由端側に近づくように変位する。すなわち、トナー容器32の装着動作にともない、本体側端子804の湾曲部は、金属パッド710に対する接触圧を徐々に強めながら、長手方向(チップ左右方向)中央部から自由端側に向けてスライドすることになる。
【0218】
このような構成により、関連部品の寸法精度や組み付け精度の高低(寸法ばらつき)によって、コネクタ800(本体側端子804)に対する容器先端カバー34(金属パッド710)の長手方向(チップ左右方向)の位置がずれてしまっても、本体側端子804と金属パッド710との接触不良を確実に抑止することができる。
【0219】
以上説明したように、本実施形態のトナー容器32は、接触式のIDチップ700(情報記憶装置)が、本体側端子804に対して容器側端子である金属パッド710が近づいて接触するときの移動方向(矢印Q方向)に対して略直交する仮想平面上を移動できるように保持蓋344等の保持機構345に保持されている。これにより、トナー補給装置60(複写機500本体)に対して着脱可能に設置されるトナー容器32に、接触式のIDチップ700を設置した場合であっても、IDチップ700の金属パッド710とトナー補給装置60が備えるコネクタ800の本体側端子804との位置決め不良による接触不良が生じにくくなる。
【0220】
さらに、本実施形態においては、トナー補給装置60に対して着脱可能に設置されるトナー容器32に、接触式のIDチップ700を設置した場合であっても、IDチップ700の基板702に形成された一つのIDチップ穴部701に、コネクタ800の位置決めピン801に形成された接地用本体側端子802に係合するアース端子703を形成しているため、IDチップ700に電気的な破損が生じにくくなる。
【0221】
以上に説明したものは一例であり、本発明は、次の態様毎に特有の効果を奏する。
(態様A)
トナー補給装置60等の粉体搬送装置に供給するトナー等の粉体を収納し、自身が回転することによって内部に収納する粉体を回転軸方向における容器後端側等の一端側から容器先端側等の他端側に搬送する容器本体33等の粉体収納部材と、粉体収納部材の他端側に配置された部材であって、粉体搬送装置に固定され、粉体収納部材内で開口するノズル開口部610等の粉体受入口から管内に受け入れた粉体を粉体搬送装置本体側に搬送する搬送ノズル611等の粉体搬送管を挿入するためのノズル受入口331等の管挿入口が形成されたノズル受入部材310等の管挿入部材と、を備え、粉体搬送装置本体に対して着脱可能なトナー容器32等の粉体収納容器において、粉体収納部材の他端側の端部を露出する形で、粉体収納部材の外周面の少なくとも一部を覆い、粉体収納部材に対して相対的に回転可能に取り付けられた容器先端カバー34等の収納部カバー部材と、収納部カバー部材に設置され、粉体搬送装置本体に装着されることによって、粉体搬送装置本体が備える制御部90等の情報処理手段との間で通信可能となるIDチップ700等の情報記憶装置とを備え、情報記憶装置は、粉体搬送装置本体と粉体収納容器との間で通信される情報が記憶される不図示のIC(集積回路)等の情報記憶部と、粉体搬送装置本体に設置された本体側端子804等の本体側端子に接触して、粉体搬送装置本体との間で前記情報を通信するための金属パッド710等の容器側端子と、情報記憶部及び容器側端子が保持されるとともに、粉体搬送装置本体に設置された位置決めピン801等の突起部に係合するIDチップ穴部701等の穴部または切欠部のうち少なくとも一方が形成された基板702等の基板と、を備え、基板に形成された穴部または切欠部は、粉体搬送装置本体の突起部に形成された接地用本体側端子802等の接地用の本体側端子に接触するアース端子703等のアース端子が形成されている。これによれば、上記実施形態について説明したように、トナー補給装置60等の粉体搬送装置本体に対して着脱可能に設置されるトナー容器32等の粉体収納容器に、IDチップ700等の接触式の情報記憶装置を設置した場合であっても、情報記憶装置の基板702等の基板に形成されたIDチップ穴部701等の穴部や切欠部に、粉体搬送装置本体の位置決めピン801等の突起部に形成された接地用本体側端子802等の接地用の本体側端子に係合するアース端子703等のアース端子を形成しているため、粉体収納容器を粉体搬送装置本体に装着するときに、情報記憶装置の位置決め手段として機能し、確実に接触する突起部と穴部または切欠部とに、それぞれの接地用の端子を配置することになり、接地用の本体側端子とアース端子との位置決めを高精度に行うことができるので、より確実に接地用の本体側端子とアース端子とを接触させ、情報記憶装置の接地を行うことができ、情報記憶装置に電気的な破損が生じることを抑制できる。
(態様B)
(態様A)において、ノズル受入部材330等の管挿入部材は、トナー補給装置60等の粉体搬送装置本体に装着される前の状態では、ノズル受入口331等の管挿入口を閉鎖し、搬送ノズル611等の搬送管が管挿入口に挿入される動作によって、容器後端側等の一端側に移動して管挿入口を開放する容器シャッタ部材332等の開閉部材を支持し、IDチップ700等の情報記憶装置は、容器先端カバー34等の収納部カバー部材における容器先端側等の他端側の端部に設置されている。これによれば、上記実施形態について説明したように、容器シャッタ部材332等の開閉部材を備えることで、トナー補給装置60等の粉体搬送装置に装着していない状態のトナー容器32等の粉体収納容器からトナー等の粉体が漏れ出ることを防止できる。さらに、IDチップ700等の情報記憶装置を、容器先端カバー34等の収納部カバー部材における容器先端側等の他端側の端部に設置することで、装着の際の粉体収納容器を他端側に移動させる動作によって、情報記憶装置が備える端子とトナー補給装置60等の粉体搬送装置本体側の端子とを接触状態とすることが出来る。
(態様C)
(態様A)または(態様B)において、アース端子703等のアース端子は、IDチップ穴部701等の穴部または上記切欠部の内径部に、少なくとも形成されている。これによれば、上記実施形態について説明したように、粉体搬送装置本体の位置決めピン801等の突起部に形成された接地用本体側端子802等の接地用の本体側端子に対して、より確実に、アース端子703等のアース端子を接触させ、IDチップ700等の情報記憶装置の接地をとることができ、情報記憶装置に電気的な破損が生じることを抑制できる。
(態様D)
(態様A)乃至(態様C)の何れか一つの態様において、基板702等の基板は、アース端子703等のアース端子が形成されたIDチップ穴部701等の穴部を一つ備える。これによれば、上記実施形態について説明したように、基板の加工費を抑制することができるとともに、穴部を中心に回転させることで、トナー補給装置60等の粉体搬送装置本体に対するIDチップ穴部701の等の情報記憶装置の位置決めができるため、精度よく位置決めを行うことができる。
(態様E)
(態様D)において、金属パッド710等の容器側端子は、チップ上下方向等の短手方向に隙間を空けて並設された複数の金属板であって、IDチップ穴部701等の穴部は、第一金属パッド710aと第二金属パッド710bとの間等の複数の金属板のうちの二つの金属板の間に挟まれる位置に配設される。これによれば、上記実施形態について説明したように、位置決めの基準となる穴部から最も離れた位置の金属板と穴部の距離を短くでき、振れの腕長さが短くなることで、最も遠い位置の第三金属パッド710c等の容器側端子の本体側端子804等の本体側端子に対する平行度が量産ばらつき等の理由でずれてしまったとしても、そのずれを最低限に抑えることができる。
(態様F)
(態様E)において、IDチップ穴部701等の穴部は、基板702等の基板の重心よりも上方の位置に形成されている。これによれば、上記実施形態について説明したように、基板が穴部を回転中心として回転し易くなり、トナー補給装置60等の粉体搬送装置本体に対するIDチップ穴部701の等の情報記憶装置の位置決めができるため、精度良く位置決めを行うことができる。
(態様G)
(態様A)乃至(態様F)の何れか一つの態様において、アース端子703等のアース端子は、基板702等の基板において金属パッド710等の容器側端子が形成された側の表面において所定方向に延設するように形成されたアース端子突出部705等の突出部を具備している。これによれば、上記実施形態について説明したように、工場での製造時におけるIDチップ700等の情報記憶装置の検査工程において、通電検査用のプローブの当接作業を容易にすることができる。
(態様H)
(態様A)乃至(態様G)の何れか一つの態様において、接地用本体側端子802等の接地用の本体側端子に対してアース端子703等のアース端子が近づいて接触するときに、その移動方向に対して交差する仮想平面上を移動できるようにIDチップ700等の情報記憶装置を保持する保持蓋344を有する保持機構345等の保持部を備える。これによれば、上記実施形態について説明したように、情報記憶装置とともにアース端子も移動するができ、接地用の本体側端子の位置に対応した位置にアース端子が移動できることで、より確実に情報記憶装置の接地を取ることができ、情報記憶装置に電気的な破損が生じることを抑制できる。
(態様I)
トナー等の粉体を収納した粉体収納容器を脱着可能に保持し、粉体収納容器を装着しているときに粉体収納容器の内部の粉体を現像装置50等の搬送先に搬送するトナー補給装置60等の粉体搬送装置において、粉体収納容器として、(態様A)乃至(態様H)のいずれか一つの態様の粉体収納容器を用いる。これによれば、上記実施形態について説明したように、粉体搬送装置に粉体収納容器を装着するときに、接地用の本体側端子とアース端子との位置決めを高精度に行うことができるので、より確実に接地用の本体側端子とアース端子とを接触させ、情報記憶装置の接地を行うことができ、情報記憶装置に電気的な破損が生じることを抑制できる。
(態様J)
(態様A)において、本体側端子804等の本体側端子は、一端側を固定端として他端側を自由端としてトナー補給装置60等の粉体搬送装置本体にそれぞれ固定支持されるとともに、他端側にトナー容器32等の粉体収納容器の側に向けて湾曲した湾曲部をそれぞれ有する板状または線状の複数の金属部材であり、位置決めピン801等の突起部は、その先端部がテーパ状に形成されるとともに、IDチップ穴部701等の穴部に係合する位置決めピンであり、接地用本体側端子802等の接地用の本体側端子は、その一部が位置決めピンの内部に収容されて、アース端子703等のアース端子に接触する部分が位置決めピンの外部に露出する板状または線状の複数の金属部材であり、接地用の本体側端子のアース端子に接触する部分が、本体側端子の湾曲部よりも、対向するIDチップ等の情報記憶装置に近くなるように配置されている。これによれば、上記実施形態について説明したように、本体側端子と金属パッド710等の容器側端子とが接触する前に、接地用の本体側端子とアース端子とを接触させることができ、接触時の回路の接地が最初におこなわれ、離間時の回路の接地が最後になるため、静電気が情報記憶装置の電気回路内に流れ込んでも電気回路内部での絶縁破壊を防ぐことができる。
(態様K)
トナー等の粉体を収納した粉体収納容器を脱着可能に保持し、粉体収納容器を装着しているときに粉体収納容器の内部の粉体を現像装置50等の搬送先に搬送するトナー補給装置60等の粉体搬送装置において、粉体収納容器として、(態様F)の粉体収納容器を用い、本体側端子804等の本体側端子は、一端側を固定端として他端側を自由端として粉体搬送装置本体にそれぞれ固定支持されるとともに他端側にトナー容器等の粉体収納容器の側に向けて湾曲した湾曲部をそれぞれ有する板状または線状の複数の金属部材であり、位置決めピン801等の突起部は、その先端部がテーパ状に形成されるとともに、IDチップ穴部701等の穴部に係合する位置決めピンであり、接地用本体側端子802等の接地用の本体側端子は、その一部が位置決めピンの内部に収容されて、アース端子703等のアース端子に接触する部分が位置決めピンの外部に露出する板状または線状の複数の金属部材であり、接地用の本体側端子のアース端子に接触する部分が、本体側端子の湾曲部よりも、対向するIDチップ等の情報記憶装置に近くなるように配置され、基板702等の基板の両側端面における穴部の中心よりも下方の箇所に対向するように配置された一対の振れ防止部材803等の規制部材を具備している。これによれば、上記実施形態について説明したように、本体側端子と金属パッド710等の容器側端子とが接触する前に、接地用の本体側端子とアース端子とを接触させることができ、接触時の回路の接地が最初におこなわれ、離間時の回路の接地が最後になるため、静電気が情報記憶装置の電気回路内に流れ込んでも電気回路内部での絶縁破壊を防ぐことができ、さらに、規制部材によって情報記憶装置の位置ずれを規制して姿勢を矯正することができるため、複数の本体側端子に対する複数の容器側端子の位置精度を同時に高めることができる。
(態様L)
粉体であるトナーを用いてトナー像を形成するプリンタ部100等のトナー像形成手段と、トナー容器32等の粉体収納部たるトナー容器からトナー像形成手段にトナーを搬送するトナー補給装置60等のトナー搬送装置とを備える複写機500等の画像形成装置において、トナー搬送装置として、(態様I)乃至(態様K)の何れか一つの態様の粉体搬送装置を用いる。これによれば、上記実施形態について説明したように、粉体搬送装置に粉体収納容器を装着するときに、接地用の本体側端子とアース端子との位置決めを高精度に行うことができるので、より確実に接地用の本体側端子とアース端子とを接触させ、情報記憶装置の接地を行うことができ、情報記憶装置に電気的な破損が生じることを抑制できる。
【符号の説明】
【0222】
26 給紙トレイ
27 給紙ローラ
28 レジストローラ対
29 排紙ローラ対
30 スタック部
32 トナー容器(粉体収納容器)
33 容器本体(粉体収納部材)
34 容器先端カバー(収納部カバー部材)
34a ギア露出開口部
34b 色非互換リブ
41 感光体
42a クリーニングブレード
42 感光体クリーニング装置
44 帯電ローラ
46Y イエロー作像部
46 作像部
47 露光装置
48 中間転写ベルト
49 一次転写バイアスローラ
50 現像装置
51 現像ローラ
52 ドクタブレード
53 第一現像剤収容部
54 現像剤収容部
54 第二現像剤収容部
55 現像剤搬送スクリュ
56 トナー濃度検知センサ
60 トナー補給装置(粉体搬送装置)
64 トナー落下搬送経路
70 トナー容器収容部
71 挿入口形成部
72 容器受部
73 先端受部
82 二次転写バックアップローラ
85 中間転写ユニット
86 定着装置
89 二次転写ローラ
90 制御部(情報処理手段)
91 容器回転駆動部
100 プリンタ部(トナー像形成手段)
200 給紙部
301 容器回転ギア
302 螺旋状突起
303 把手部
304 汲み上げ部
305 先端開口形成部(開口形成部)
306 カバー爪引掛け部
309 キャップ固定ネジ山
310 トナー排出口
320 軸付き回転搬送部材
321 軸無し回転搬送部材
330 ノズル受入部材(管挿入部材)
331 ノズル受入口(管挿入口)
332 容器シャッタ部材(開閉部材)
332a シャッタ抜け防止爪
333 容器シール部材
335 シャッタ後端支持部
335a シャッタ側面支持部
335b シャッタ支持開口部
336 容器シャッタバネ
337 受入部材固定部
337a ノズルシャッタ突き当てリブ
337b シール部材巻き込み防止空間
337c ネジ山
339 容器ロック爪
340 容器シャッタ支持部材
341 カバー爪部
342 保持蓋左側面部
343 保持部
344 保持蓋
345 保持機構
347 保持蓋開口部
348 保持蓋下部
349 保持蓋右側面部
350 保持蓋上部
351 IDチップ仮止めリブ
352 IDチップ設置壁部
353 IDチップ押さえ凸部
354 保持蓋下爪部
355 保持蓋上爪部
356 保持蓋右側面爪部
357 IDチップ取付面
358 保持台座部
359a 取付面上引掛り部
359b 取付面下引掛り部
360 取付面横引掛り部
360a 取付面横引掛り部傾斜面
370 キャップ部材
371 キャップ鍔部
372 吸着剤
400 スキャナ部
500 複写機(画像形成装置)
601 容器駆動出力ギア
602 フレーム(本体フレーム)
603 駆動モータ
604 駆動伝達ギア
605 搬送スクリュギア
607 ノズルホルダ
608 セットカバー
609 容器ロック部材
610 ノズル開口部(粉体受入口)
611 搬送ノズル(搬送管)
611a ノズル先端部
611s ノズル開口横縁部
612 ノズルシャッタ部材(粉体受入口開閉部材)
612a ノズルシャッタ鍔部(突き当て部)
612b シャッタ内周第一リブ
612c シャッタ内周第二リブ
612d シャッタ内周第三リブ
612e ノズルシャッタ筒状部
612f ノズルシャッタバネ受け面
612g 内周第一リブ先端部
613 ノズルシャッタバネ(付勢部材)
614 搬送スクリュ
615 容器セット部
700 IDチップ(情報記憶装置)
701 IDチップ穴部(穴部または切欠部)
702 基板
703 アース端子
705 アース端子突出部
710 金属パッド(容器側端子)
710a 第一金属パッド
710b 第二金属パッド
710c 第三金属パッド
720 保護部材
800 コネクタ
801 位置決めピン(突起部)
802 接地用本体側端子
803 振れ防止部材(規制部材)
804 本体側端子
805 コネクタ本体
G 現像剤
L レーザ光
P 記録媒体
γ 圧入部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0223】
【特許文献1】特開2003−241496号公報
【特許文献2】特開2005−221825号公報
【特許文献3】特許第4342958号公報
【特許文献4】特開2002−202656号公報
【特許文献5】特開2003−233247号公報
【特許文献6】特開2009−276659号公報
【特許文献7】特開2009−69417号公報
【特許文献8】特開2006−209060号公報
【特許文献9】特開2002−196629号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉体搬送装置に供給する粉体を収納し、自身が回転することによって内部に収納する粉体を回転軸方向における一端側から他端側に搬送する粉体収納部材と、
該粉体収納部材の他端側に配置された部材であって、該粉体搬送装置に固定され、該粉体収納部材内で開口する粉体受入口から管内に受け入れた粉体を該粉体搬送装置本体側に搬送する搬送管を挿入するための管挿入口が形成された管挿入部材と、を備え、
上記粉体搬送装置本体に対して着脱可能な粉体収納容器において、
上記粉体収納部材の上記他端側の端部を露出する形で、該粉体収納部材の外周面の少なくとも一部を覆い、該粉体収納部材に対して相対的に回転可能に取り付けられた収納部カバー部材と、
該収納部カバー部材に設置され、上記粉体搬送装置本体に装着されることによって、該粉体搬送装置本体が備える情報処理手段との間で通信可能となる情報記憶装置とを備え、
該情報記憶装置は、該粉体搬送装置本体と該粉体収納容器との間で通信される情報が記憶される情報記憶部と、
該粉体搬送装置本体に設置された本体側端子に接触して、該粉体搬送装置本体との間で前記情報を通信するための容器側端子と、
該情報記憶部及び該容器側端子が保持されるとともに、該粉体搬送装置本体に設置された突起部に係合する穴部または切欠部のうち少なくとも一方が形成された基板と、を備え、
該基板に形成された該穴部または該切欠部は、該粉体搬送装置本体の該突起部に形成された接地用の本体側端子に接触するアース端子が形成されたことを特徴とする粉体収納容器。
【請求項2】
請求項1の粉体収納容器において、
上記管挿入部材は、上記粉体搬送装置本体に装着される前の状態では、上記管挿入口を閉鎖し、上記搬送管が該管挿入口に挿入される動作によって、上記一端側に移動して該管挿入口を開放する開閉部材を支持し、
上記情報記憶装置は、上記収納部カバー部材における上記他端側の端部に設置されていることを特徴とする粉体収納容器。
【請求項3】
請求項1または2の粉体収納容器において、
上記アース端子は、少なくとも、上記穴部または上記切欠部の内径部に形成されたことを特徴とする粉体収納容器。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか一項に記載の粉体収納容器において、
上記基板は、上記アース端子が形成された上記穴部を一つ備えたことを特徴とする粉体収納容器。
【請求項5】
請求項4の粉体収納容器において、
上記容器側端子は、短手方向に隙間を空けて並設された複数の金属板であって、
上記穴部は、該複数の金属板のうちの二つの金属板の間に挟まれる位置に配設されたことを特徴とする粉体収納容器。
【請求項6】
請求項5の粉体収納容器において、
上記穴部は、上記基板の重心よりも上方の位置に形成されたことを特徴とする粉体収納容器。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れか一項に記載の粉体収納容器において
上記アース端子は、上記基板において上記容器側端子が形成された側の表面において所定方向に延設するように形成された突出部を具備したことを特徴とする粉体収納容器。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れか一項に記載の粉体収納容器において
上記接地用の本体側端子に対して上記アース端子が近づいて接触するときに、その移動方向に対して交差する仮想平面上を移動できるように上記情報記憶装置を保持する保持部を備えたことを特徴とする粉体収納容器。
【請求項9】
粉体を収納した粉体収納容器を脱着可能に保持し、
該粉体収納容器を装着しているときに該粉体収納容器の内部の粉体を搬送先に搬送する粉体搬送装置において、
上記粉体収納容器として、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の粉体収納容器を用いることを特徴とする粉体搬送装置。
【請求項10】
請求項9の粉体搬送装置において、
上記本体側端子は、一端側を固定端として他端側を自由端として上記粉体搬送装置本体にそれぞれ固定支持されるとともに、該他端側に上記粉体収納容器の側に向けて湾曲した湾曲部をそれぞれ有する板状または線状の複数の金属部材であり、
上記突起部は、その先端部がテーパ状に形成されるとともに、上記穴部に係合する位置決めピンであり、
上記接地用の本体側端子は、その一部が該位置決めピンの内部に収容されて、上記アース端子に接触する部分が該位置決めピンの外部に露出する板状または線状の複数の金属部材であり、
該接地用の本体側端子の該アース端子に接触する部分が、該本体側端子の該湾曲部よりも、対向する上記情報記憶装置に近くなるように配置されたことを特徴とする粉体搬送装置。
【請求項11】
粉体を収納した粉体収納容器を脱着可能に保持し、
該粉体収納容器を装着しているときに該粉体収納容器の内部の粉体を搬送先に搬送する粉体搬送装置において、
上記粉体収納容器として、請求項6に記載の粉体収納容器を用い、
上記本体側端子は、一端側を固定端として他端側を自由端として上記粉体搬送装置本体にそれぞれ固定支持されるとともに、該他端側に上記粉体収納容器の側に向けて湾曲した湾曲部をそれぞれ有する板状または線状の複数の金属部材であり、
上記突起部は、その先端部がテーパ状に形成されるとともに、上記穴部に係合する位置決めピンであり、
上記接地用の本体側端子は、その一部が該位置決めピンの内部に収容されて、上記アース端子に接触する部分が前該位置決めピンの外部に露出する板状または線状の複数の金属部材であり、
上記接地用の本体側端子の該アース端子に接触する部分が、該本体側端子の該湾曲部よりも、対向する上記情報記憶装置に近くなるように配置され、
上記基板の両側端面における該穴部の中心よりも下方の箇所に対向するように配置された一対の規制部材を具備したことを特徴とする粉体搬送装置。
【請求項12】
粉体であるトナーを用いてトナー像を形成するトナー像形成手段と、
粉体収納部たるトナー容器から該トナー像形成手段にトナーを搬送するトナー搬送装置とを備える画像形成装置において、
上記トナー搬送装置として、請求項9乃至11の何れか一項に記載の粉体搬送装置を用いたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate

【図28】
image rotate

【図29】
image rotate

【図30】
image rotate

【図31】
image rotate

【図32】
image rotate

【図33】
image rotate

【図34】
image rotate

【図35】
image rotate

【図36】
image rotate

【図37】
image rotate

【図38】
image rotate

【図39】
image rotate

【図40】
image rotate

【図41】
image rotate

【図42】
image rotate

【図43】
image rotate

【図44】
image rotate

【図45】
image rotate

【図46】
image rotate

【図47】
image rotate

【図48】
image rotate

【図49】
image rotate

【図50】
image rotate

【図51】
image rotate

【図52】
image rotate


【公開番号】特開2013−113946(P2013−113946A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−258356(P2011−258356)
【出願日】平成23年11月25日(2011.11.25)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】