説明

粉体含有化粧料

【課題】酸性〜弱酸性領域において、無水ケイ酸が均一に再分散されることにより、肌のべたつきが抑えられ、さらさら感及びその持続性が向上し、使用感に優れる、水系での粉体含有化粧料の提供、及び前記粉体含有化粧料を、ノンエアゾール型噴射容器の内部に収容しても、前記無水ケイ酸の再分散性に優れ、その凝集を抑制することにより、前記容器の吐出口に目詰まりが生じない粉体含有化粧料の提供。
【解決手段】該水系化粧料は、無水ケイ酸と、カチオン性ポリマーと、ノニオン性界面活性剤と、水と、を少なくとも含み、前記カチオン性ポリマーと、前記ノニオン性界面活性剤との比率(カチオン性ポリマー/ノニオン性界面活性剤)が、0.02以上10以下であり、25℃におけるpHが、pH3以上pH7未満である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、肌のべたつきが抑えられ、さらさら感及びその持続性が向上し、使用感に優れ、ノンエアゾール型噴射容器に好適に使用可能な粉体含有化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、水性溶媒を用いた粉体含有化粧料(以下、水性粉体含有化粧料と称することがある。)について、肌のべたつきを抑え、良好な使用感を付与する目的で、シリカ(無水ケイ酸)を配合させる技術が、研究、開発されている。かかる技術としては、従来より、酸性〜弱酸性領域において、無水ケイ酸の再分散性が悪く、沈降した際に生じる凝集物により、前記水性粉体含有化粧料を収容した容器の吐出口において目詰まりが発生するという問題がある。
【0003】
前記問題を解決することを目的として、水性粉体含有化粧料としては、特定の共重合体を分散剤として用いて無水ケイ酸の凝集を防止する技術(例えば、特許文献1参照)、寒天を用いて無水ケイ酸の凝集を防止する技術(例えば、特許文献2参照)、無水ケイ酸の形状、粒径、及び沈降速度を規定して無水ケイ酸の凝集を防止する技術(例えば、特許文献3参照)、特定のノニオン界面活性剤を使用して無水ケイ酸の凝集を防止する技術(例えば、特許文献4参照)などが提案されている。
しかしながら、これらの提案によっても、酸性〜弱酸性領域において、水性粉体含有化粧料中の無水ケイ酸の凝集を完全に抑制することは難しく、前記無水ケイ酸が均一に再分散されないことにより、肌のべたつきが生じ、使用感に不具合が生じるという課題がある。また、そのような粉体含有化粧料をノンエアゾール型噴射容器に収容すると、前記粉体含有化粧料中に含まれる無水ケイ酸の凝集により、前記容器の吐出口に目詰まりが生じるという課題がある。
【0004】
したがって、酸性〜弱酸性領域において、無水ケイ酸が均一に再分散されることにより、肌のべたつきが抑えられ、さらさら感及びその持続性が向上し、使用感に優れる、水性溶媒を用いた粉体含有化粧料の速やかな開発が強く望まれているのが現状である。
また、前記粉体含有化粧料を、ノンエアゾール型噴射容器の内部に収容しても、前記無水ケイ酸の再分散性に優れ、その凝集を抑制することにより、前記容器の吐出口に目詰まりが生じない粉体含有化粧料の速やかな開発が強く望まれているのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】再公表特許WO2005/072685号公報
【特許文献2】特開平11−116432号公報
【特許文献3】特開平11−001419号公報
【特許文献4】特開2001−348317号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、かかる現状に鑑みてなされたものであり、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、酸性〜弱酸性領域において、無水ケイ酸が均一に再分散されることにより、肌のべたつきが抑えられ、さらさら感及びその持続性が向上し、使用感に優れる、粉体含有化粧料を提供することを目的とする。
また、前記粉体含有化粧料を、ノンエアゾール型噴射容器の内部に収容しても、前記無水ケイ酸の再分散性に優れ、その凝集を抑制することにより、前記容器の吐出口に目詰まりが生じない粉体含有化粧料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、前記目的を達成すべく、鋭意検討を行った結果、カチオン性ポリマーと、ノニオン性界面活性剤との相乗効果により、酸性〜弱酸性領域において、無水ケイ酸が均一に再分散されるため、肌のべたつきが抑えられ、さらさら感及びその持続性が向上し、使用感に優れる粉体含有化粧料となることを知見し、本発明の完成に至った。
また、前記粉体含有化粧料を、ノンエアゾール型噴射容器の内部に収容しても、前記無水ケイ酸の再分散性に優れ、その凝集を抑制することにより、前記容器の吐出口に目詰まりが生じないことを知見し、本発明の完成に至った。
【0008】
本発明は、本発明者らによる前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては、以下のとおりである。即ち、
<1> 無水ケイ酸と、カチオン性ポリマーと、ノニオン性界面活性剤と、水と、を少なくとも含み、前記カチオン性ポリマーと、前記ノニオン性界面活性剤との比率(カチオン性ポリマー/ノニオン性界面活性剤)が、0.02以上10以下であり、25℃におけるpHが、pH3以上pH7未満であることを特徴とする粉体含有化粧料である。
<2> 無水ケイ酸が、球状の無水ケイ酸である前記<1>に記載の粉体含有化粧料である。
<3> カチオン性ポリマーの含有量が、0.1質量%〜2質量%である前記<1>から<2>のいずれかに記載の粉体含有化粧料である。
<4> カチオン性ポリマーの重量平均分子量が、2,000,000以下である前記<1>から<3>のいずれかに記載の粉体含有化粧料である。
<5> ノニオン性界面活性剤が、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸グリセリル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレングリセリルエーテル脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油脂肪酸エステル、及びポリグリセリン脂肪酸エステルから選ばれる1種以上である前記<1>から<4>のいずれかに記載の粉体含有化粧料である。
<6> ノニオン性界面活性剤が、ポリオキシエチレン(20)イソステアリルエーテル、ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン(80)ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン(50)トリイソステアリン酸グリセリル、ポリオキシエチレン(80)イソステアリン酸硬化ヒマシ油、モノステアリン酸ポリエチレングリコール(40EO)から選ばれる1種以上の平均EO付加モル数が20〜80のポリオキシエチレン基を有するノニオン性界面活性剤である前記<1>から<5>のいずれかに記載の粉体含有化粧料である。(ただし、括弧内の数値は平均EO付加モル数を示す。)
<7> ノニオン性界面活性剤の含有量が、0.2質量%〜3質量%である前記<1>から<6>のいずれかに記載の粉体含有化粧料である。
<8> カチオン性ポリマーと、ノニオン性界面活性剤との質量比率(カチオン性ポリマー/ノニオン性界面活性剤)が、0.1以上5以下である前記<1>から<7>のいずれかに記載の粉体含有化粧料である。
<9> 更に、制汗防臭成分を含有する前記<1>から<8>のいずれかに記載の粉体含有化粧料である。
<10> 制汗防臭成分が、クロルヒドロキシアルミニウム、及びパラフェノールスルホン酸亜鉛の少なくともいずれかである前記<1>から<9>のいずれかに記載の粉体含有化粧料である。
<11> ノンエアゾール型噴射容器に収容して用いる前記<1>から<10>のいずれかに記載の粉体含有化粧料である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、従来における諸問題を解決でき、酸性〜弱酸性領域において、無水ケイ酸が均一に再分散されることにより、肌のべたつきが抑えられ、さらさら感及びその持続性が向上し、使用感に優れる、粉体含有化粧料を提供することができる。
また、前記粉体含有化粧料を、ノンエアゾール型噴射容器の内部に収容しても、前記無水ケイ酸の再分散性に優れ、その凝集を抑制することにより、前記容器の吐出口に目詰まりが生じない粉体含有化粧料を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(粉体含有化粧料)
本発明の粉体含有化粧料は、無水ケイ酸(成分A)と、カチオン性ポリマー(成分B)と、ノニオン性界面活性剤(成分C)と、水(成分D)とを少なくとも含み、制汗防臭成分(成分E)を含むことが好ましく、更に必要に応じて、その他の成分を含む。
【0011】
<成分A:無水ケイ酸>
前記無水ケイ酸としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、破砕状の無水ケイ酸、球状の無水ケイ酸などが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、再分散性、目詰り、肌のべたつきが抑えられ、さらさら感及びその持続性が向上し、使用感に優れる点で、球状の無水ケイ酸が好ましい。
【0012】
前記無水ケイ酸としては、非晶質であれば、特に制限はなく、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。前記市販品としては、例えば、サイリシア530、サイリシア730(いずれも、富士シリシア化学株式会社製)等の破砕状の無水ケイ酸;サンスフェアH−31、サンスフェアH−121(いずれも、AGCエスアイテック株式会社製)等の球状の無水ケイ酸などが挙げられる。
【0013】
前記無水ケイ酸の体積平均粒子径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、2μm〜14μmが好ましく、2μm〜11μmがより好ましい。
前記無水ケイ酸の体積平均粒子径が、2μm未満であると、さらさら感が得られないことがあり、14μmを超えると、さらさら感の持続性が低下することがある。一方、前記無水ケイ酸の体積平均粒径が、より好ましい範囲であると、肌のべたつきが抑えられ、さらさら感及びその持続性が向上し、使用感に優れる点で、有利である。
なお、前記無水ケイ酸の体積平均粒子径は、粒度分布測定装置(例えば、ベックマン・コールター社製、製品名「LS13 320」)により、測定することができる。
【0014】
前記無水ケイ酸の前記粉体含有化粧料における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.2質量%〜10質量%が好ましく、0.5質量%〜5質量%がより好ましい。
前記含有量が、0.2質量%未満であると、さらさら感が得られないことがあり、10質量%を超えると、かさつきや白残りが生じることがある。一方、前記含有量が、より好ましい範囲であると、肌のべたつきが抑えられ、さらさら感及びその持続性が向上し、使用感に優れる点で有利である。
【0015】
前記無水ケイ酸を含有させることにより、肌のべたつきが抑えられ、さらさら感及びその持続性が向上し、使用感に優れる粉体含有化粧料とすることができる。
【0016】
<成分B:カチオン性ポリマー>
前記カチオン性ポリマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、カチオン化セルロース、カチオン化セルロース誘導体、カチオン化澱粉、カチオン化グアーガム、カチオン化グアーガム誘導体、ジアリル四級アンモニウム塩のホモポリマー、四級化ポリビニルピロリドン誘導体、ポリグリコールポリアミン縮合物、ジアルキルジアリルアンモニウム塩/アクリルアミド共重合体、ビニルイミダゾリウムトリクロライド/ビニルピロリドン共重合体、ヒドロキシエチルセルロース/ジメチルジアリルアンモニウムクロライド共重合体、ビニルピロリドン/四級化ジメチルアミノエチルメタクリレート共重合体、ポリビニルピロリドン/アルキルアミノアクリレート共重合体、ポリビニルピロリドン/アルキルアミノアクリレート/ビニルカプロラクタム共重合体、ビニルピロリドン/メタクリルアミドプロピル塩化トリメチルアンモニウム共重合体、アルキルアクリルアミド/アクリレート/アルキルアミノアルキルアクリルアミド/ポリエチレングリコールメタクリレート共重合体などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、前記無水ケイ酸が均一に再分散され、その凝集を抑制することができ、目詰りの点で、ジメチルジアリルアンモニウムクロライドの重合体、ジメチルジアリルアンモニウムクロライド/アクリルアミド共重合体、アクリル酸/塩化ジメチルジアリルアンモニウム共重合体、アクリル酸/塩化ジメチルジアリルアンモニウム/アクリルアミド共重合体が好ましい。
【0017】
前記カチオン性ポリマーとしては、特に制限はなく、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。前記市販品としては、例えば、MERQUAT 10(表示名称「ポリクオタニウム−10」、ナルコジャパン株式会社製)等のカチオン化セルロース;MERQUAT 100、MERQUAT 106(いずれも、表示名称「ポリクオタニウム−6」、ナルコジャパン株式会社製)等のジメチルジアリルアンモニウムクロライドの重合体;MERQUAT 550、MERQUAT S、MERQUAT 2200、MERQUAT 740(いずれも、表示名称「ポリクオタニウム−7」、ナルコジャパン株式会社製)等のジメチルジアリルアンモニウムクロライド/アクリルアミド共重合体;MERQUAT 280、MERQUAT 281、MERQUAT 295(いずれも、表示名称「ポリクオタニウム−22」、ナルコジャパン株式会社製)等のアクリル酸/塩化ジメチルジアリルアンモニウム共重合体;MERQUAT Plus 3330(表示名称「ポリクオタニウム−39」、ナルコジャパン株式会社製)等のアクリル酸/塩化ジメチルジアリルアンモニウム/アクリルアミド共重合体などが挙げられる。
【0018】
前記カチオン性ポリマーの重量平均分子量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、2,000,000以下が好ましく、100,000以上2,000,000以下がより好ましく、100,000以上1,600,000以下が特に好ましい。
前記カチオン性ポリマーの重量平均分子量が、2,000,000を超えると、再分散性が十分でなく、目詰り、べたつきが生じることがある。一方、前記カチオン性ポリマーの重量平均分子量が、より好ましい範囲であると、前記無水ケイ酸が均一に再分散され、その凝集を抑制することができ、目詰り及びべたつきがない点で、有利である。
なお、前記カチオン性ポリマーの重量平均分子量は、GPC−MALLSを用いて測定した値であり、ポリマーの純分濃度が約1,000ppmの移動相で希釈した試料溶液を、TSK−GELαカラム(東ソー(株)製)を用い、0.5moL/Lの過塩素酸ナトリウム溶液を移動相として、約633nmの波長を多角度光散乱検出器により測定することができる。標準品としては、分子量既知のポリエチレングリコールを用いることができる。
【0019】
前記カチオン性ポリマーの前記粉体含有化粧料における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.01質量%〜3質量%が好ましく、0.1質量%〜2質量%がより好ましい。
前記含有量が、0.01質量%未満であると、前記無水ケイ酸が均一に再分散されず、その凝集を抑制することができないことがあり、3質量%を超えると、べたつきが生じることがある。一方、前記含有量が、より好ましい範囲内であると、前記無水ケイ酸が均一に再分散され、その凝集を抑制することができ、目詰り及びべたつきがない点で、有利である。
【0020】
前記カチオン性ポリマーを含有させることにより、前記無水ケイ酸が均一に再分散され、その凝集を抑制することができ、目詰りがなく使用感(さらさら感、べたつきのなさ)に優れる粉体含有化粧料とすることができる。
【0021】
<成分C:ノニオン性界面活性剤>
前記ノニオン性界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸グリセリル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレングリセリルエーテル脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、脂肪酸エステルなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、前記無水ケイ酸の再分散性が向上し、その目詰りを抑制することができる点で、ポリオキシエチレン基を有するノニオン性界面活性剤が好ましい。
【0022】
前記ポリオキシエチレン(POE)基を有するノニオン性界面活性剤におけるエチレンオキシド(EO)付加モル数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、20〜80が好ましい。
前記EO付加モル数が、20未満あるいは80を超えると、無水ケイ酸の目詰りを抑制できないことがある。一方、前記EO付加モル数が、より好ましい範囲内であると、無水ケイ酸の目詰りを抑制する点で、有利である。
【0023】
前記ポリオキシエチレンアルキルエーテルとしては、エチレンオキサイド平均付加モル数が20〜25であり、かつ炭素数が10〜22で飽和及び不飽和のいずれかである分岐状及び直鎖状のいずれかのアルキル鎖を有するポリオキシエチレンアルキルエーテルが好ましく、具体的には、ポリオキシエチレンイソステアリルエーテル(20EO〜25EO)、ポリオキシエチレンオクチルドデシルエーテル(20EO〜25EO)などが挙げられる。
前記ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルとしては、エチレンオキサイド平均付加モル数が20〜80、かつ脂肪酸の炭素数が12〜18で飽和及び不飽和のいずれかである分岐状及び直鎖状のいずれかのアルキル鎖を有するポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルが好ましい。
前記ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油としては、エチレンオキサイド平均付加モル数が20〜80のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油が好ましい。
前記ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油脂肪酸エステルとしては、エチレンオキサイド平均付加モル数が20〜50のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油脂肪酸エステルが好ましく、具体的には、ポリオキシエチレンイソステアリン酸硬化ヒマシ油(20〜50)などが挙げられる。
前記ポリオキシエチレングリセリルエーテル脂肪酸エステルとしては、エチレンオキサイド平均付加モル数が20〜60、脂肪酸の炭素数が12〜18で飽和及び不飽和のいずれかである分岐状及び直鎖状のいずれかのアルキル鎖を有するポリオキシエチレングリセリルエーテル脂肪酸エステルが好ましく、具体的には、ポリオキシエチレンイソステアリン酸グリセリル(20〜60)、ポリオキシエチレントリイソステアリン酸グリセリル(20〜40)などが挙げられる。
なお、括弧内の数値は、平均EO付加モル数を示す。
これらのノニオン性界面活性剤の中でも、再分散性、目詰りのなさの点で、平均EO付加モル数が20〜25であり、かつ炭素数が10〜22で飽和及び不飽和のいずれかである分岐状及び直鎖状のいずれかのアルキル鎖を有するポリオキシエチレンアルキルエーテル;平均EO付加モル数が20〜80であり、かつ脂肪酸の炭素数が12〜18で飽和及び不飽和のいずれかである分岐状及び直鎖状のいずれかのアルキル鎖を有するポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル;が好ましく、平均EO付加モル数が20〜80のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油がより好ましい。
【0024】
前記ノニオン性界面活性剤としては、特に制限はなく、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。前記市販品としては、例えば、EMALEX SPIS−100(日本エマルジョン株式会社製)等のイソステアリン酸ソルビタン;EMALEX MSG−6K(日本エマルジョン株式会社製)等のステアリン酸ポリグリセリル;EMALEX 1820(日本エマルジョン株式会社製)等のポリオキシエチレン(20)イソステアリルエーテル;EMALEX HC−60(日本エマルジョン株式会社製)等のポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油;EMALEX ET−8020(日本エマルジョン株式会社製)等のポリオキシエチレン(80)ソルビタン脂肪酸エステル;EMALEX GWIS−350(日本エマルジョン株式会社製)等のポリオキシエチレン(50)トリイソステアリン酸グリセリル;EMALEX RWIS−150(日本エマルジョン株式会社製)等のモノイソステアリン酸ポリオキシエチレン(50)硬化ヒマシ油;EMALEX 840(日本エマルジョン株式会社製)等のモノステアリン酸ポリエチレングリコール(40EO)などが挙げられる。
【0025】
前記ノニオン性界面活性剤の前記粉体含有化粧料における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.05質量%〜5質量%が好ましく、0.2質量%〜3質量%がより好ましい。
前記含有量が、0.05質量%未満であると、前記無水ケイ酸が均一に再分散されず、目詰りを抑制することができないことがあり、5質量%を超えると、べたつきが生じることがある。一方、前記含有量が、より好ましい範囲内であると、前記無水ケイ酸が均一に再分散され、目詰りを抑制することができる点で、有利である。
【0026】
前記ノニオン性界面活性剤を、前記カチオン性ポリマーと併用することにより、前記無水ケイ酸の再分散性が向上し、その目詰りを抑制することができる粉体含有化粧料とすることができる。
【0027】
<成分Bと成分Cとの比率(B/C)>
前記カチオン性ポリマー(成分B)と、前記ノニオン性界面活性剤(成分C)との比率(B/C)としては、0.02以上10以下であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、再分散性、目詰りの点から、0.05以上5以下がより好ましく、0.1以上5以下が特に好ましい。
前記比率(B/C)が、0.02未満であると、前記無水ケイ酸が均一に再分散されず、その凝集を抑制することができないことがあり、10を超えると、前記無水ケイ酸が均一に再分散されず、目詰りを抑制することができないことがある。一方、前記比率(B/C)が、特に好ましい範囲内であると、前記無水ケイ酸が均一に再分散され、目詰りを抑制することができる点で有利である。
【0028】
前記カチオン性ポリマー(成分B)と、前記ノニオン性界面活性剤(成分C)との比率(B/C)を、0.02以上10以下とすることにより、酸性〜弱酸性領域において、本発明の粉体含有化粧料における、前記無水ケイ酸の再分散性が向上し、その凝集を抑制することができる。なお、前記無水ケイ酸は、pH3以上pH7未満の水中では、粒子表面のシラノール基間で水素結合を生じ、凝集しやすいが、前記カチオン性ポリマー(成分B)と、前記ノニオン性界面活性剤(成分C)とを上記比率で混合したものを用いて得られる相乗効果により、前記無水ケイ酸の水中における再分散性が良好となる。
【0029】
<成分D:水>
前記水としては、例えば、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水、超純水などが挙げられ、前記水の前記粉体含有化粧料における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、30質量%〜90質量%が好ましく、40質量%〜80質量%がより好ましく、50質量%〜70質量%が特に好ましい。
【0030】
前記水の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記粉体含有化粧料に含まれる前記成分A、成分B、成分C、及びその他の成分を除いた残部を、その含有量とすることができる。
【0031】
前記水により、皮膚に均一に、前記無水ケイ酸(成分A)、前記カチオン性ポリマー(成分B)、及び前記ノニオン性界面活性剤(成分C)を展着することができるため、皮膚への滞留性、及び使用感が向上する。
【0032】
<成分E:制汗防臭成分>
前記制汗防臭成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、クエン酸、リンゴ酸、グルコン酸、乳酸、エチレンジアミン四酢酸、ピロリドンカルボン酸、パラフェノールスルホン酸等の有機酸又はこれらの塩;酸化アルミニウム、クロルヒドロキシアルミニウム等の無機化合物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、制汗防臭効果の点で、クロルヒドロキシアルミニウム、及びパラフェノールスルホン酸亜鉛の少なくともいずれかの化合物が好ましい。
【0033】
前記制汗防臭成分としては、特に制限はなく、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。前記市販品としては、例えば、クロルヒドロキシアルミニウム(Summit Research Labs社製、商品名「MICRO−DRY 3115」)、パラフェノールスルホン酸亜鉛(マツモトファインケミカル社製、商品名「スルホ石炭酸亜鉛」)などが挙げられる。
【0034】
前記制汗防臭成分の前記粉体含有化粧料における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.2質量%〜15質量%が好ましく、2質量%〜10質量%がより好ましい。
前記含有量が、0.2質量%未満であると、防臭効果の持続性が不十分となることがあり、15質量%を超えると、さらさら感及びその持続性に劣り、べたつきが生じることがある。一方、前記含有量が、より好ましい範囲内であると、防臭効果の持続性を効果的に発揮することができる点で有利である。
【0035】
前記制汗防臭成分により、効果的に本発明の粉体含有化粧料において制汗の防臭効果の持続性を発揮することができる。
【0036】
<その他の成分>
本発明の粉体含有化粧料には、前記その他の成分として本発明の効果を損なわない範囲で、通常の粉体含有化粧料に添加される任意成分を配合することができる。
【0037】
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、pH調整剤が好適に挙げられ、更に必要に応じて、油脂類、ワックス類、シリコーン類、炭化水素油、高級脂肪酸、高級アルコール、合成エステル油、前記ノニオン性界面活性剤以外の界面活性剤、前記カチオン性ポリマー以外の高分子化合物、酸化防止剤、色素、有機酸、アルカリ剤、防腐剤、紫外線吸収剤、キレート剤、保湿剤、増粘剤、清涼剤、抗炎症剤、アミノ酸、ビタミン剤、各種植物抽出エキスなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0038】
前記pH調整剤としては、本発明の粉体含有化粧料の25℃におけるpHを、pH3以上pH7未満とすることができるものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、皮膚に対し低刺激である点で、クエン酸、水酸化ナトリウムなどが好ましい。
前記pHの測定方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、25℃において、pHメーター(堀場製作所製、商品名「D−51」)で測定する方法などが挙げられる。
【0039】
<調製方法>
本発明の粉体含有化粧料の調製方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記水(成分D)に、前記カチオン性ポリマー(成分B)と前記ノニオン性界面活性剤(成分C)との比率(B/C)が、0.02以上10以下となるように調製したものと、前記無水ケイ酸(成分A)と、更に必要に応じて、前記制汗防臭成分(成分E)と、前記その他の成分とを均一に混合した後に、25℃におけるpHが、pH3以上pH7未満となるようにpH調整剤で調整することにより調製することができる。
【0040】
前記粉体含有化粧料のpHとしては、pH3以上pH7未満であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、25℃におけるpHが、後述の制汗防臭成分の溶解性が良好となり、且つ、皮膚に対し低刺激である点で、pH4〜pH6がより好ましい。
【0041】
前記粉体含有化粧料の粘度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、25℃における粘度が、無水ケイ酸の分散性が良好となり、噴霧容器に適用した際、噴霧性状が良好となる点で、10mPa・s以下が好ましい。
【0042】
<剤型>
本発明の粉体含有化粧料の剤型としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ノンエアゾール系、水−油2相系、水−油−粉末3相系等の幅広い剤型を取り得る。即ち、ノンエアゾール、ローション、ミスト、スプレー、含浸シート等の多様な剤型などにおいて広く適用可能である。
また、本発明の粉体含有化粧料は、特開2010−235723号公報等に記載のノンエアゾール型噴射容器(トリガー型スプレー容器)の内部に収容しても、前記無水ケイ酸の再分散性に優れ、その凝集を抑制することにより、前記容器の吐出口に目詰まりが生じない粉体含有化粧料とすることができる。
【0043】
(用途)
本発明の粉体含有化粧料は、酸性〜弱酸性領域において、無水ケイ酸が均一に再分散されることにより、肌のべたつきが抑えられ、さらさら感及びその持続性が向上し、使用感に優れるため、例えば、制汗・デオドラント剤、化粧水、防臭剤、美容液、ボディパウダーなどに好適に適用することができる。剤型は、ミスト、スプレーなどが挙げられ、具体的には、デオドラントミスト、デオドラントローション、化粧ミスト、ウォータースプレーなどに好適に適用することができ、デオドラントローションが特に好ましい。
【実施例】
【0044】
次に、粉体含有化粧料の実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるものではない。
【0045】
(実施例1〜46及び比較例1〜9)
<デオドラントローションの調製>
水(成分D)に、無水ケイ酸(成分A)、カチオン性ポリマー(成分B)、及びノニオン性界面活性剤(成分C)、更に必要に応じて、制汗防臭成分(成分E)、及び任意成分を、下記表1〜表4に示す所定量(単位:質量%)添加し、スリーワンモーターによるパドル攪拌を用いて均一に混合した。これに、pH調整剤としてクエン酸又は水酸化ナトリウムを用いて、実施例1〜31、及び実施例33〜35、並びに比較例1〜5、比較例8、及び比較例9における混合液をpH5となるように調整し、実施例32における混合液をpH3となるように調整し、比較例6における混合液をpH2となるように調整し、比較例7における混合液をpH7となるように調整し、pH調整剤として水酸化ナトリウムを用いて実施例36〜46における混合液をpH5となるように調整して、粉体含有化粧料であるデオドラントローション(試料)を調製した。
なお、実施例1〜46及び比較例1〜9における混合液のpHは、25℃において、pHメーター(堀場製作所製、商品名「D−51」)で測定することにより行った。また、用いた各組成の商品名、及び製造会社名等を表5に示す。
次に、実施例1〜46及び比較例1〜9のデオドラントローション(試料)について、以下のようにして、諸特性の評価を行った。結果を表1〜表4に併記する。
【0046】
<再分散性の評価>
ポリエチレン製容器(商品名「PH−100」)に前記試料を100mL入れ、3,000rpmで10分間遠心分離して粉体を沈降させた後、40℃で1ヶ月間静置した。これを試料とし、15cmの振り幅で横に振とう(1往復/秒)を繰返し、底面の粉体が完全に分散するまでの回数を測定した。各10本について試験を実施し、その平均値を算出した。
[評価基準]
◎◎:分散回数の平均が5回未満
◎:分散回数の平均が5回以上10回未満
○:分散回数の平均が10回以上15回未満
△:分散回数の平均が15回以上20回未満
×:分散回数の平均が20回以上
【0047】
<目詰りの評価>
ノンエアゾール型噴射容器(トリガー型スプレー容器;トリガー:株式会社三谷バルブ製、商品名「Z−305」、ポリエチレン製容器;商品名「PH−100」)に前記試料を100mL入れ、3,000rpmで10分間遠心分離して粉体を沈降させた後、40℃で1ヶ月間静置した。これを試料とし、1日おきに噴霧を15回行い、吐出量が正常噴霧の50%になった場合、目詰りが発生したと判断した。実施例及び比較例の評価結果の欄には、目詰りが発生した日数を記載した。
[評価基準]
◎◎:目詰まりが発生した日数が試験開始180日以上
◎:目詰まりが発生するまでの日数が試験開始150日以上180日未満
○:目詰まりが発生するまでの日数が試験開始120日以上150日未満
△:目詰まりが発生するまでの日数が試験開始から90日以上120日未満
×:目詰まりが発生するまでの日数が試験開始から90日未満
【0048】
<さらさら感の評価>
ノンエアゾール型噴射容器(トリガー型スプレー容器;トリガー:株式会社三谷バルブ製、商品名「Z−305」、ポリエチレン製容器;商品名「PH−100」)に前記試料を100mL入れ、20名の一般のパネラーに胸元や腋窩部、腕に使用してもらい、処理してから1時間後のさらさら感を回答してもらった。実施例及び比較例の評価結果の欄には、以下の基準に従い、結果を記入した。
[評価基準]
◎:「塗布部が無塗布部よりもさらさら感がある」と回答した人が、16名〜20名
○:「塗布部が無塗布部よりもさらさら感がある」と回答した人が、11名〜15名
△:「塗布部が無塗布部よりもさらさら感がある」と回答した人が、6名〜10名
×:「塗布部が無塗布部よりもさらさら感がある」と回答した人が、5名以下
【0049】
<べたつきの評価>
ノンエアゾール型噴射容器(トリガー型スプレー容器;トリガー:株式会社三谷バルブ製、商品名「Z−305」、ポリエチレン製容器;商品名「PH−100」)に前記試料を100mL入れ、20名の一般のパネラーに胸元や腋窩部、腕に使用してもらい、処理してから10分後のべたつきを回答してもらった。実施例及び比較例の評価結果の欄には、以下の基準に従い、結果を記入した。
[評価基準]
◎:「べたつきを感じない」と回答した人が、16名〜20名
○:「べたつきを感じない」と回答した人が、11名〜15名
△:「べたつきを感じない」と回答した人が、6名〜10名
×:「べたつきを感じない」と回答した人が、5名以下
【0050】
<白残りの評価>
ノンエアゾール型噴射容器(トリガー型スプレー容器;トリガー:株式会社三谷バルブ製、商品名「Z−305」、ポリエチレン製容器;商品名「PH−100」)に前記試料を100mL入れ、20名の一般のパネラーに胸元や腋窩部、腕に使用してもらい、使用してから10分間後の「白残りのなさ」を回答してもらった。実施例及び比較例の評価結果の欄には、以下の基準に従い、結果を記入した。
[評価基準]
◎:「白残りがない」と回答した人が、16名〜20名
○:「白残りがない」と回答した人が、11名〜15名
△:「白残りがない」と回答した人が、6名〜10名
×:「白残りがない」と回答した人が、5名以下
【0051】
<防臭効果の持続性評価>
男女被験者20名に対し、各々の片方の腋窩部に、前記試料を0.1g塗布し、もう片方の腋窩部には何も処理せず、その後、予め洗浄したガーゼを腋窩部に縫い付けたシャツを8時間、着用してもらった。着用開始から8時間後に、ガーゼ(5cm×5cm)に付着した臭気を、専門パネラーが下記評価基準に基づいて官能評価した。
まず、以下の基準により、各被験者のガーゼに付着した臭いに対する評価をした。
[評価基準]
3点:塗布部側のガーゼは無塗布部のガーゼよりも臭気強度が非常に弱い
2点:塗布部側のガーゼは無塗布部のガーゼよりも臭気強度がかなり弱い
1点:塗布部側のガーゼは無塗布部のガーゼよりも臭気強度がやや弱い
0点:塗布部側のガーゼは無塗布部のガーゼと同等
【0052】
次に、20名の被験者の平均点を求め、これに基づいて、防臭効果の持続性を以下のように評価した。
[評価基準]
◎:20名の被験者の平均点が2.5点以上3点以下
○:20名の被験者の平均点が2点以上2.5点未満
△:20名の被験者の平均点が1点以上2点未満
×:20名の被験者の平均点が1点未満
【0053】
【表1】

【0054】
【表2】

【0055】
【表3】

【0056】
【表4】

【0057】
【表5】

【0058】
表1における実施例1〜4の結果から、球状の無水ケイ酸を用いたデオドラントローションでは、さらさら感、べたつきのなさ、及び白残りにおいて良好となることがわかった。
また、表1における実施例4〜8の結果から、重量平均分子量が2,000,000以下のカチオン性ポリマー(成分B)を用いたデオドラントローションは、前記無水ケイ酸の再分散が良好となり、ノンエアゾール型噴射容器の内部に収容したとしても、前記容器の吐出口に目詰まりが生じず、べたつきのなさが良好となることがわかった。
また、表1における実施例8〜17の結果から、平均EO付加モル数20〜80のポリオキシエチレン(POE)基を有するノニオン性界面活性剤(成分C)を用いたデオドラントローションでは、更に、前記無水ケイ酸の再分散性が良好となり、ノンエアゾール型噴射容器の内部に収容したとしても、前記容器の吐出口に目詰まりが生じないことがわかった。
【0059】
表2における実施例18〜21及び31の結果から、前記無水ケイ酸(成分A)の含有量を0.5質量%〜5質量%としたデオドラントローションでは、さらさら感、べたつきのなさ、及び白残りにおいて良好となることがわかった。
また、表2における実施例22〜25及び31の結果から、前記ノニオン性界面活性剤(成分C)の含有量を0.2質量%〜3質量%としたデオドラントローションでは、前記無水ケイ酸の再分散性が良好となり、ノンエアゾール型噴射容器の内部に収容したとしても、前記容器の吐出口に目詰まりが生じず、べたつきのなさが良好となることがわかった。
また、表2における実施例26〜35の結果から、前記カチオン性ポリマー(成分B)と、前記ノニオン性界面活性剤(成分C)との比率(B/C)を0.1以上5以下としたデオドラントローションでは、前記無水ケイ酸の再分散性が良好となり、ノンエアゾール型噴射容器の内部に収容したとしても、前記容器の吐出口に目詰まりが生じず、べたつきのなさが良好となることがわかった。
【0060】
表3における、実施例36〜46の結果から、制汗防臭成分(成分E)の含有量を2質量%〜10質量%とすることにより、防臭効果の持続性、べたつきのなさ、及び白残りにおいて良好となることがわかった。
【0061】
表4における比較例1の結果から、前記無水ケイ酸を用いないデオドラントローションでは、べたつきが生じることがわかった。
また、表4における比較例2〜5の結果から、前記カチオン性ポリマー(成分B)、及び前記ノニオン性界面活性剤(成分C)のいずれかを含まないデオドラントローションでは、前記無水ケイ酸の再分散性が悪く、前記デオドラントローションをノンエアゾール型噴射容器の内部に収容すると、前記容器の吐出口に目詰まりが生じることがわかった。
また、表4における比較例6及び7の結果から、pH3未満、及びpH7以上の化粧料では、前記無水ケイ酸の再分散性が悪く、前記デオドラントローションをノンエアゾール型噴射容器の内部に収容すると、前記容器の吐出口に目詰まりが生じることがわかった。
また、表4における比較例8及び9の結果から、前記カチオン性ポリマー(成分B)と、前記ノニオン性界面活性剤(成分C)との比率(B/C)が、0.02未満、及び10を超えると、前記無水ケイ酸の再分散性が悪く、前記デオドラントローションをノンエアゾール型噴射容器の内部に収容すると、前記容器の吐出口に目詰まりが生じることがわかった。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明の粉体含有化粧料は、酸性〜弱酸性領域において、無水ケイ酸が均一に再分散されることにより、肌のべたつきが抑えられ、さらさら感及びその持続性が向上し、使用感に優れるため、例えば、デオドラント剤、制汗デオドラント剤、化粧水、美容液、日焼け止め剤、美白剤、ボディソープ、洗顔剤、ハンドソープなどに好適に適用することができる。特に、デオドラント剤に適用することがより好ましい。
また、本発明の粉体含有化粧料は、酸性〜弱酸性領域において、前記無水ケイ酸の再分散性に優れ、その凝集を抑制することにより、前記容器の吐出口に目詰まりが生じないため、デオドラントローション、デオドラントミスト、デオドラントローション、化粧ミスト、ウォータースプレーなどに好適に適用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無水ケイ酸と、カチオン性ポリマーと、ノニオン性界面活性剤と、水と、を少なくとも含み、
前記カチオン性ポリマーと、前記ノニオン性界面活性剤との比率(カチオン性ポリマー/ノニオン性界面活性剤)が、0.02以上10以下であり、
25℃におけるpHが、pH3以上pH7未満であることを特徴とする粉体含有化粧料。
【請求項2】
カチオン性ポリマーの重量平均分子量が、2,000,000以下である請求項1に記載の粉体含有化粧料。
【請求項3】
ノニオン性界面活性剤が、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸グリセリル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレングリセリルエーテル脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油脂肪酸エステル、及びポリグリセリン脂肪酸エステルから選ばれる1種以上である請求項1から2のいずれかに記載の粉体含有化粧料。
【請求項4】
更に、制汗防臭成分を含有する請求項1から3のいずれかに記載の粉体含有化粧料。
【請求項5】
ノンエアゾール型噴射容器に収容して用いる請求項1から4のいずれかに記載の粉体含有化粧料。

【公開番号】特開2012−219028(P2012−219028A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−83431(P2011−83431)
【出願日】平成23年4月5日(2011.4.5)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】