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粉体塗料とその製造方法およびそれを用いた塗膜
説明

粉体塗料とその製造方法およびそれを用いた塗膜

【課題】 塗装を1回で済ませることのできるいわゆる1コート1ベークで、十分な滑り止め効果を得ることができる粉体塗料とその製造方法およびそれを用いた塗膜を提供する。
【解決手段】 少なくとも結着樹脂を含有する母体粒子と、滑り防止剤とを、粘着剤を用いてボンディングドライブレンドしてなることを特徴とする粉体塗料。少なくとも結着樹脂と導電性付与剤を含有する母体粒子と、滑り防止剤とを、粘着剤を用いてボンディングドライブレンドしてなることを特徴とする粉体塗料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉体塗料とその製造方法およびそれを用いた塗膜に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より粉体塗料は、溶剤塗料に比べ揮発分、臭気とも少なく、公害対策および環境規制の面で非常に有益であることは周知である。そして、このような有益な粉体塗料を近年、滑り防止塗膜の用途に応用しようとする試みがなされている。
【0003】
しかし、粉体塗料においてセラミック粉等の滑り防止剤を含有させて使用すると、含有量が少量では十分な効果を得ることができず、多量では焼き付け後の被塗物への密着性不良、混練機の負荷電流が高くなることによる生産性の悪化、混練機および粉砕機内部の磨耗が激しい等の問題が生じていた。
【0004】
そこで、まず粉体塗料を用いて被塗物に塗膜層を形成し、該塗膜層を焼き付ける前に滑り防止剤を前記塗膜層に積層塗装し、しかる後焼き付けを行うことを特徴とする、いわゆる2コート1ベークの粉体塗料の塗装方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
【特許文献1】特開平10−015490号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、この塗装方法は塗装を2回行うので製造工程が複雑になり、コストが掛かってしまうという問題点があった。
また、性質の異なる2つの層が形成されるので、導電性を有する塗装を施したい場合に十分な導電性を得ることが難しいという問題もあった。
本発明は、以上のような問題点に鑑みて為されたものであり、その目的とする処は、塗装を1回で済ませることのできるいわゆる1コート1ベークで、十分な滑り止め効果を得ることができる粉体塗料とその製造方法およびそれを用いた塗膜を提供することにある。
さらに、本発明の他の目的は、十分な滑り止め効果とともに十分な導電性付与効果をも得ることができる粉体塗料とその製造方法およびそれを用いた塗膜を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、下記の技術的構成により、上記課題を解決できたものである。
【0008】
請求項1の発明は、少なくとも結着樹脂を含有する母体粒子と、滑り防止剤とを、粘着剤を用いてボンディングしてなることを特徴とする粉体塗料であり、
請求項2の発明は、少なくとも結着樹脂と導電性付与剤を含有する母体粒子と、滑り防止剤とを、粘着剤を用いてボンディングしてなることを特徴とする粉体塗料であり、
請求項3の発明は、前記母体粒子の体積平均粒子径が5〜20μmであることを特徴とする請求項1または2記載の粉体塗料であり、
請求項4の発明は、前記滑り防止剤は体積平均粒径が20μm〜150μmであることを特徴とする請求項1または2記載の粉体塗料であり、
請求項5の発明は、前記母体粒子と前記滑り防止剤の重量比は、82.5:17.5〜72.5:27.5であることを特徴とする請求項1、2または4記載の粉体塗料であり、
請求項6の発明は、前記滑り防止剤は酸化アルミニウムであることを特徴とする請求項1、2、4または5記載の粉体塗料であり、
請求項7の発明は、前記導電性付与剤は導電性カーボンであり、該導電性カーボンは前記結着樹脂100重量部に対して2.5重量部以上3.5重量部未満含有されることを特徴とする請求項2記載の粉体塗料であり、
請求項8の発明は、前記導電性付与剤は酸化スズであり、該酸化スズは前記結着樹脂100重量部に対して4.5重量部以上8.5重量部未満含有されることを特徴とする請求項2記載の粉体塗料であり、
請求項9の発明は、画像形成装置用のシート搬送ローラに用いられることを特徴とする請求項1ないし8のいずれか記載の粉体塗料であり、
請求項10の発明は、少なくとも結着樹脂を含有する母体粒子を作製する工程と、前記母体粒子と滑り防止剤とを粘着剤を用いてボンディングする工程とを有することを特徴とする粉体塗料の製造方法であり、
請求項11の発明は、少なくとも結着樹脂と導電性付与剤を含有する母体粒子を作製する工程と、前記母体粒子と滑り防止剤とを粘着剤を用いてボンディングする工程とを有することを特徴とする粉体塗料の製造方法であり、
請求項12の発明は、請求項1ないし9のいずれか記載の粉体塗料を用いて作製されたことを特徴とする塗膜であり、
請求項13の発明は、下記式(1)のKの値が0.2以上0.6未満であることを特徴とする請求項12記載の塗膜であり、
K=A/B・・・(1)
(ただし、A:焼き付け後の塗膜厚、B:滑り防止剤の平均粒子径)
請求項14の発明は、塗膜に含まれる粒子径が20μm以上の滑り防止剤の重量割合が18.0%以上20.0%未満であることを特徴とする請求項12または13記載の塗膜であり、
請求項15の発明は、静摩擦係数が0.3以上0.5未満の範囲であることを特徴とする請求項12ないし14のいずれか記載の塗膜であり、
請求項16の発明は、体積固有抵抗が5.0×10Ω・cm以上1.1×1010Ω・cm未満の範囲であることを特徴とする請求項12ないし15のいずれか記載の塗膜である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、塗装を1回で済ませることのできるいわゆる1コート1ベークで、十分な滑り止め効果を得ることができる粉体塗料とその製造方法およびそれを用いた塗膜を提供することができる。
さらに、本発明によれば、十分な滑り止め効果とともに十分な導電性付与効果をも得ることができる粉体塗料とその製造方法およびそれを用いた塗膜を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の粉体塗料は、少なくとも結着樹脂を含有する母体粒子と、滑り防止剤とを、粘着剤を用いてボンディングしてなる粉体塗料である。
【0011】
<結着樹脂等>
本発明に用いる結着樹脂としては、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、キシレン樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂等が使用できる。
また、結着樹脂には、イソシアネート、アミン、ポリアミド、酸無水物、ポリスルフィド、三フッ化ホウ素酸、酸ジヒドラジド、イミダゾール等の硬化剤、アクリルオリゴマー、シリコーン等の流展剤、酸化チタン、カ−ボンブラック等の顔料、炭酸カルシウム、硫酸バリウム等の充填剤、あるいは発泡防止剤等を適宜添加してもよい。
【0012】
これらの原料を用いて粉体塗料の母体粒子を作製する。
母体粒子の体積平均粒子径は5〜20μmの範囲であることが塗膜層を薄く形成させることができるので好適である。
【0013】
体積平均粒子径は、コールターカウンターTA−II型を用い、界面活性剤を用いて水中で懸濁させ超音波分散機により30秒間分散させて濃度5〜9%の状態で測定した体積50%径の値である。
【0014】
母体粒子の体積平均粒子径は、小さいほど塗膜の平滑性が向上し、薄膜塗装が可能となり、滑り防止剤の平均粒子径が小さい場合においても後で説明するKの値の数値範囲を満たす良好な滑り防止効果を有する塗膜を得ることができる。
しかし、母体粒子の体積平均粒子径が5μmより小さい場合は、流動性不足と、ファンデルワールス力等に起因する粒子間力が大きくなることにより、塗装機内で凝集しやすくなり、凝集粉により塗膜にプツ(凸状物)が発生し易い。
逆に体積平均粒子径が20μmより大きい場合は、粒子の充填率が低くなるため十分な平滑性を得ることができにくくなる。
なお、本発明においては、結着樹脂、硬化剤等を選択することにより熱硬化型母体粒子及び熱可塑型母体粒子の両者を作製することができる。
【0015】
<滑り防止剤>
粉体塗料に含有させる滑り防止剤としては、炭化珪素、窒化珪素、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化クロム、酸化セリウム、三酸化アンチモン、酸化ジルコニム、硫酸バリウム、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、珪砂、その他各種無機酸化物顔料等の微粒子が挙げられ、この中でも特に酸化アルミニウムが好適である。
酸化アルミニウムのモース硬度は8.8であり十分な硬度を保持しており耐磨耗性に優れているからである。
【0016】
滑り防止剤の平均粒子径は20〜150μmの範囲のものが好適である。
平均粒子径が20μmより小さい場合は、塗膜表面上に滑り防止剤の凸部の露出部位が得られにくいため、十分な滑り防止機能が得られない場合がある。
反対に、150μmより大きい場合は、塗着性が悪化し塗装ムラができやすくなる場合がある。
滑り防止剤の平均粒子径は電子顕微鏡により確認することができ、電子顕微鏡に写しだされた画面からランダムに15個の粒子を選択し、その平均値により求めることができる。
前記母体粒子と滑り防止剤の重量比は、82.5:17.5〜72.5:27.5であることが好ましい。
滑り防止剤が17.5%未満で少なすぎると十分な滑り止め効果を得ることができず、滑り防止剤が27.5%以上で多すぎると塗膜の被塗物への密着性不良から塗膜強度に問題が生じる。
【0017】
<粘着剤>
また、本発明では、母体粒子と滑り防止剤とを分離させないために、粘着剤を用いた乾式混合、すなわちボンディングにより粉体塗料が作製されている必要がある。
その粘着剤としては、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂等の一般的な未硬化状態の液状或いは半液状の樹脂のみならず、その他の一般的な液状または半液状物質、例えば、アミン類、エーテル類、グリコール類、タール類及びスチレン、アクリル類、フェノール、イソシアネート等のモノマー、オリゴマー又はポリマー等を用いることができる。
また水性粘着剤を用いることもできる。
これらの中でも、水性粘着剤が安全性、環境性などから好ましい。
なお、粘着剤には必要に応じて各種添加剤を加えてもよい。
【0018】
<導電性付与剤>
また、導電性を有する塗装を施したい場合には、前記母体粒子に導電性付与剤を含有させることが好ましい。導電性付与剤としては、「金、銀、銅、白金、パラジウム、ニッケルまたはスズ等」の各種導電性金属粉及びその合金粉、導電性金属または導電性樹脂等によって被覆された「各種金属粉・各種カーボングラファイト粉・各種プラスチック粉・各種無機質粉末等」、各種導電性カーボン、各種カーボングラファイト等を単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0019】
また、その形状は、偏平状(フレ−ク状)、不定形、線状(フィラメント状)、球状、棒状、樹枝状等のいずれのものも使用でき、これらを単独でまたは2種以上を混合して用いてもよい。
【0020】
これらの導電性付与剤の材質、粒子径、粒子分布及び形状等は、所望する機能により適宜調整される。
導電性付与剤として好適なものには導電性カーボンがある。導電性カーボンは結着樹脂100重量部に対して2.5重量部以上3.5重量部未満含有されることが好ましい。
他に導電性付与剤として好適なものには酸化スズがある。酸化スズは結着樹脂100重量部に対して4.5重量部以上8.5重量部未満含有されることが好ましい。
いずれの場合も適量未満であれば十分な導電性付与効果が得られず、適量以上であれば塗膜強度に問題が生じる。
滑り止め効果とともに導電性付与効果を有する粉体塗料は、例えば、プリンタ等の画像形成装置用のシート搬送ローラなどに好適に用いられる。
【0021】
<その他>
本発明の粉体塗料では、流動性改質等のため、必要に応じてシリカ、アルミナ、酸化チタンなどの無機微粒子を表面に付着させてもよい。
<粉体塗料の製造方法>
本発明の粉体塗料の製造方法は、少なくとも結着樹脂を含有する母体粒子を作製する工程と、母体粒子と滑り防止剤とを粘着剤を用いてボンディングする工程とを有する。
【0022】
母体粒子は、結着樹脂に、適宜、硬化剤、流展剤、発泡防止剤、酸化鉄、そして好ましくは導電性付与剤等を加えた原料について、熱溶融混練後、粉砕、分級して得ることができる。また、懸濁重合法、乳化重合法等により得ることもできる。
粉砕分級法により母体粒子を作製するには、粉砕工程時にジェットミルやミクロンジェット等の高圧気流式の粉砕機で熱溶融混練物を粉砕し、小粒径化した後、分級することが好ましい。
その後、上記母体粒子と滑り防止剤とを粘着剤を用いて乾式混合する、ボンディングにより、ドライブレンド処理品を得ることができる。
このドライブレンド処理品をそのまま粉体塗料として用いてもよいが、好ましくはドライブレンド処理品の表面に無機微粒子などを付着させる外添処理をすることで、流動性改質等することができる。
外添処理は、三井三池社製のヘンシェルミキサー、川田製作所社製のスーパーミキサー等の高速ミキサーによってドライブレンド処理品と無機微粒子とをドライブレンドすればよい。
【0023】
<塗膜>
本発明の塗膜は、本発明の粉体塗料を正荷電あるいは負荷電の静電粉体塗装機を用いて塗装、焼き付けすることで作製される。
正荷電の静電粉体塗装機としては、トリボ帯電方式のスプレーガンが挙げられる。
この方式は、空気流によって搬送される粉体塗料がスプレーガン内壁に存在するフッ素原子を含有する部材との摩擦によって正に帯電し、空気流のみによって被塗物まで飛翔して付着するものである。
【0024】
上記フッ素原子を含有する部材は、スプレーガン内部の粉体塗料搬送部にそのまま形成されるかまたは表面処理される。
フッ素原子を含有する部材は長期間の継続使用において物理的劣化が少ないという利点があり、また強い負帯電性を有するため、この部材と粉体塗料の摩擦によって粉体塗料側を正極性に帯電することができる。
上記フッ素原子を含有する部材としては、ポリテトラフルオロエチレン、ポリトリフルオロクロルエチレン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリジクロルジフルオロエチレンなどが使用される。
【0025】
一方、負荷電の静電粉体塗装機としては、コロナ帯電方式のスプレーガンが挙げられる。
この方式は、スプレーガンの先端に設けられたコロナ電極から生成されたコロナイオンによって負荷電された粉体塗料が、導電体である被塗物と電極との間に形成された電界及び空気流にそって飛翔し、被塗物に付着するものである。
また、静電流動浸漬塗装法を用いてもよい。
【0026】
次に、被塗物に付着した粉体塗料を焼き付けることによって、十分な滑り防止効果を有する塗膜を形成することができる。
この場合、焼き付け後の塗膜厚(粉体塗料が焼き付けされて被塗物表面上に形成された塗膜と該塗膜から凸部状に露出された滑り防止剤との合計値)Aと滑り防止剤の平均粒子径Bとの関係を表した下記(1)式のKの値は0.2以上0.6未満であることが好ましい。
【0027】
(数1)
K=A/B・・・(1)
(ただし、A:焼き付け後の塗膜厚、B:滑り防止剤の平均粒子径)
Kの値が0.2未満の場合は、引っ掻き、あるいは擦り等の衝撃により、滑り防止剤が焼き付け後の塗膜から脱落し易い。
一方、Kの値が0.6以上の場合は、滑り防止剤が塗膜の中に取り込まれてしまい、塗膜表面に露出しにくいので十分な滑り防止機能が得られにくくなる。
なお、焼き付け後の塗膜厚Aは、ケット科学研究所社製の万能型膜厚計(商品名:LZ−200)を用いて測定した10箇所の平均値である。
【0028】
また、焼き付け後の塗膜に含まれる粒子径が20μm以上の滑り防止剤の重量割合は18.0%以上20.0%未満であることが好ましい。
18.0%未満の場合は、滑り防止剤が塗膜の中に取り込まれてしまい、塗膜表面に露出しにくいので十分な滑り防止機能が得られにくくなる。
20.0%以上の場合は、焼き付け後の塗膜の被塗物への密着性不良から塗膜強度が十分でなくなる。
【0029】
焼き付け後の塗膜中の滑り防止剤の含有量は以下の方法により測定することができる。 まず、滑り防止剤を有する焼付け後の塗膜が形成された被塗物の重量を測定した後に、該被塗物を800℃で1時間加熱して塗膜を炭化させる。その後直ちにデシケータに入れて放冷し、被塗物上の炭化した塗膜をメタノール等の溶剤を用いて洗浄し、被塗物を乾燥した後に重量を測定し、減量分を塗膜の重量(W1)とする。
また、洗浄によって得た炭化した塗膜が含まれる溶剤を超音波分散器で30分間分散させた後に、目の開きが20μm等のスクリーンに該溶剤を通すことにより、粒子径が20μm以上の滑り防止剤はスクリーン上に残留する。
そして、スクリーン上の残留物を乾燥させた後に重量を測定することにより滑り防止剤の重量(W2)を求めることができる。
そして、W2/W1×100(%)により塗膜中に含まれる滑り防止剤の重量割合を求めることができる。
前記Kの値あるいは焼き付け後の塗膜に含まれる滑り防止剤の重量割合を上記の範囲内にするには、母体粒子と滑り防止剤との配合比、滑り防止剤の平均粒子径等を変化させることにより任意に調整することができる。
【0030】
なお、本発明の塗膜を画像形成装置用のシート搬送ローラに用いるには、静摩擦係数が0.3以上0.5未満の範囲であることが好ましい。
また、体積固有抵抗が5.0×10Ω・cm以上1.1×1010Ω・cm未満の範囲であることが好ましい。
いずれも普通紙を高速で、かつ、連続して搬送する場合に好ましい範囲である。
【実施例】
【0031】
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。なお、原材料の配合量は重量部である。
【0032】
<実施例1>
(粉体塗料の作製)
・母体粒子の作製
結着樹脂(エポキシ樹脂) 50部
(三井石油化学エポキシ社製、商品名:R−304)
結着樹脂(ポリエステル樹脂) 50部
(日本ユピカ社製、商品名:GV−610)
硬化剤 1部
(ケイ・アイ化成社製、商品名:トリフェニールフォスヒンPP−360)
流展剤 1部
(BASF社製、商品名:アクロナール4F)
発泡防止剤 1部
(みどり化学社製、商品名:ベンゾイン)
導電性付与剤(導電性カーボン) 3部
(ケッチェンブラックインターナショナル社製、商品名:ケッチェンブラックEC300J)
酸化鉄 30部
(戸田工業社製、商品名:トダカラー120ED)
上記配合比からなる原料をスーパーミキサーにて混合した後に、110℃の温度条件下で加圧ニーダーにより溶融混練し冷却後にハンマークラッシャーで粗粉砕する。その後、ジェットミルで粉砕しながら風力分級機により体積平均粒子径15μmの母体粒子を得た。
・ボンディング
上記母体粒子 60部
滑り防止剤 40部
(昭和電工社製 商品名:アルミナA−12 体積平均粒子径60μm)
水性粘着剤 1部
(レジテックス社製 商品名:SB1262)
上記配合比からなる原料をヘンシェルミキサーに温水を通し内壁温度60℃で撹拌混合を行ってドライブレンド処理品を得た。
・外添処理
上記ドライブレンド処理品 50.5部
上記母体粒子 50部
外添剤 1部
(日本アエロジル社製 商品名:R−972)
上記配合比からなる原料の撹拌を行う。その後、混合槽から排出し振動フルイ機(目開き105μm)をパスさせ、滑り防止機能を有する実施例1の粉体塗料を得た。
なお、得られた粉体塗料に含有される母体粒子と滑り防止剤の重量比は、
(60/101)×50.5+50:(40/101)×50.5=80:20
であった。
【0033】
<実施例2>
導電性付与剤を下記の酸化スズに代えたことを除いて、実施例1と同様にして実施例2の粉体塗料を得た。
導電性付与剤(酸化スズ) 7部
(三菱マテリアル社製、商品名:W−1)
【0034】
<比較例1>
ボンディングの配合比を以下のように代えたことを除いて、実施例1と同様にして比較例1の粉体塗料を得た。
・ボンディング
上記母体粒子 40部
滑り防止剤 60部
(昭和電工社製 商品名:アルミナA−12 体積平均粒子径60μm)
水性粘着剤 1部
(レジテックス社製 商品名:SB1262)
なお、得られた粉体塗料に含有される母体粒子と滑り防止剤の重量比は、
(40/101)×50.5+50:(60/101)×50.5=70:30
であった。
【0035】
<比較例2>
ボンディングの配合比を以下のように代えたことを除いて、実施例1と同様にして比較例2の粉体塗料を得た。
・ボンディング
上記母体粒子 70部
滑り防止剤 30部
(昭和電工社製 商品名:アルミナA−12 体積平均粒子径60μm)
水性粘着剤 1部
(レジテックス社製 商品名:SB1262)
なお、得られた粉体塗料に含有される母体粒子と滑り防止剤の重量比は、
(70/101)×50.5+50:(30/101)×50.5=85:15
であった。
【0036】
<比較例3>
導電性付与剤の重量比を以下のように代えたことを除いて、実施例1と同様にして比較例3の粉体塗料を得た。
導電性付与剤(導電性カーボン) 4部
(ケッチェンブラックインターナショナル社製、商品名:ケッチェンブラックEC300J)
【0037】
<比較例4>
導電性付与剤の重量比を以下のように代えたことを除いて、実施例1と同様にして比較例4の粉体塗料を得た。
導電性付与剤(導電性カーボン) 2部
(ケッチェンブラックインターナショナル社製、商品名:ケッチェンブラックEC300J)
【0038】
<比較例5>
酸化スズの重量比を以下のように代えたことを除いて、実施例2と同様にして比較例5の粉体塗料を得た。
酸化スズ 9部
(三菱マテリアル社製、商品名:W−1)
【0039】
<比較例6>
酸化スズの重量比を以下のように代えたことを除いて、実施例2と同様にして比較例6の粉体塗料を得た。
酸化スズ 5部
(三菱マテリアル社製、商品名:W−1)
【0040】
<比較例7>
ボンディングを以下のように代えたことを除いて、実施例1と同様にして比較例7の粉体塗料を得た。
・ボンディングなしドライブレンド
上記母体粒子 60部
滑り防止剤 40部
(昭和電工社製 商品名:アルミナA−12 体積平均粒子径60μm)
上記配合比からなる原料をヘンシェルミキサーで撹拌混合を行ってドライブレンド処理品を得た。
なお、得られた粉体塗料に含有される母体粒子と滑り防止剤の重量比は、
(60/101)×50.5+50:(40/101)×50.5=80:20
であった。
表1に実施例および比較例の差異を示す。
【0041】
【表1】

【0042】
<評価方法>
実施例及び比較例の粉体塗料につき、以下の方法で評価した。
・塗膜の作製
実施例及び比較例の粉体塗料をコロナ型粉体塗装機で0.8mm×70mm×150mmのテストピース(パルテック社製 商品名:PB−137T)に塗布し、180℃で20分間焼き付けて塗膜を有する塗装板を得た。なお、塗膜の膜厚は20〜30μmになるように調節した。
【0043】
・焼き付け後の塗膜中の滑り防止剤の含有量
前記塗装板について、前述の方法により測定した。
・塗膜強度
前記塗装板について、耐屈曲性についてJIS K5600−5−1を準用し、耐おもり落下性についてJIS K5600−5−3を準用し、付着性はJIS K5600−5−6を準用し、測定した。耐屈曲性3mmφで合格、耐おもり落下性50cm以上、付着性100/100であれば実用上問題ない。
・静摩擦係数
前記塗装板について、カード摩擦係数試験機(東洋精機製)を用いて下記の方法によって測定した。
環境:20℃/60%RH
実施例および比較例の塗装板は塗装面を上にして水平に固定した。
7×15cmに切断した紙(日本製紙社製 商品名:N再生色上質4T)を表面が下に向くようにおもり(重量は紙を含めて600g)にセットした。
紙をセットしたおもりを塗装膜上に重ねて置き(接触面積は39cm)、おもりを900mm/minの速度で水平に移動させ、その間の紙と塗装面との静摩擦係数を測定した。0.3以上0.5未満であれば実用上問題ない。
・体積固有抵抗
実施例および比較例の粉体塗料について、200kg/cmの圧力を30秒間掛け、直径25mm、厚さ4.5mmのペレットを成型した。このペレットを誘電体損測定システム(Capacitance Bridge AH製 商品名:2500A 1Khz Ultra−Precision)を用いて測定した。5.0×10Ω・cm以上1.1×1010Ω・cm未満であれば実用上問題ない。
測定の結果を表2に示す。
【0044】
【表2】

【0045】
<評価結果>
実施例1および実施例2は、塗膜強度、体積固有抵抗、静摩擦係数のいずれも実用上問題ない。
比較例1は、滑り防止剤が多すぎることで、塗膜強度に実用上問題があった。
比較例2は、滑り防止剤が少なすぎることで、静摩擦係数に実用上問題があった。
比較例3は、導電性付与剤である導電性カーボンが多すぎることで、塗膜強度に実用上問題があった。
比較例4は、導電性付与剤である導電性カーボンが少なすぎることで、体積固有抵抗に実用上問題があった。
比較例5は、導電性付与剤である酸化スズが多すぎることで、塗膜強度に実用上問題があった。
比較例6は、導電性付与剤である酸化スズが少なすぎることで、体積固有抵抗に実用上問題があった。
比較例7は、ボンディングなしのドライブレンドで作製したことで、母体粒子と滑り防止剤が分離してしまい、静摩擦係数に実用上問題があった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも結着樹脂を含有する母体粒子と、滑り防止剤とを、粘着剤を用いてボンディングしてなることを特徴とする粉体塗料。
【請求項2】
少なくとも結着樹脂と導電性付与剤を含有する母体粒子と、滑り防止剤とを、粘着剤を用いてボンディングしてなることを特徴とする粉体塗料。
【請求項3】
前記母体粒子の体積平均粒子径が5〜20μmであることを特徴とする請求項1または2記載の粉体塗料。
【請求項4】
前記滑り防止剤は体積平均粒径が20μm〜150μmであることを特徴とする請求項1または2記載の粉体塗料。
【請求項5】
前記母体粒子と前記滑り防止剤の重量比は、82.5:17.5〜72.5:27.5であることを特徴とする請求項1、2または4記載の粉体塗料。
【請求項6】
前記滑り防止剤は酸化アルミニウムであることを特徴とする請求項1、2、4または5記載の粉体塗料。
【請求項7】
前記導電性付与剤は導電性カーボンであり、該導電性カーボンは前記結着樹脂100重量部に対して2.5重量部以上3.5重量部未満含有されることを特徴とする請求項2記載の粉体塗料。
【請求項8】
前記導電性付与剤は酸化スズであり、該酸化スズは前記結着樹脂100重量部に対して4.5重量部以上8.5重量部未満含有されることを特徴とする請求項2記載の粉体塗料。
【請求項9】
画像形成装置用のシート搬送ローラに用いられることを特徴とする請求項1ないし8のいずれか記載の粉体塗料。
【請求項10】
少なくとも結着樹脂を含有する母体粒子を作製する工程と、前記母体粒子と滑り防止剤とを粘着剤を用いてボンディングする工程とを有することを特徴とする粉体塗料の製造方法。
【請求項11】
少なくとも結着樹脂と導電性付与剤を含有する母体粒子を作製する工程と、前記母体粒子と滑り防止剤とを粘着剤を用いてボンディングする工程とを有することを特徴とする粉体塗料の製造方法。
【請求項12】
請求項1ないし9のいずれか記載の粉体塗料を用いて作製されたことを特徴とする塗膜。
【請求項13】
下記式(1)のKの値が0.2以上0.6未満であることを特徴とする請求項12記載の塗膜。
K=A/B・・・(1)
(ただし、A:焼き付け後の塗膜厚、B:滑り防止剤の平均粒子径)
【請求項14】
塗膜に含まれる粒子径が20μm以上の滑り防止剤の重量割合が18.0%以上20.0%未満であることを特徴とする請求項12または13記載の塗膜。
【請求項15】
静摩擦係数が0.3以上0.5未満の範囲であることを特徴とする請求項12ないし14のいずれか記載の塗膜。
【請求項16】
体積固有抵抗が5.0×10Ω・cm以上1.1×1010Ω・cm未満の範囲であることを特徴とする請求項12ないし15のいずれか記載の塗膜。

【公開番号】特開2007−291284(P2007−291284A)
【公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−123092(P2006−123092)
【出願日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【出願人】(000153591)株式会社巴川製紙所 (457)
【出願人】(390021670)日本理化製紙株式会社 (8)
【Fターム(参考)】