説明

粉体塗料用ポリエステル樹脂組成物、並びにこれを用いた粉体塗料

【課題】 塗膜の耐候性と平滑性及び低温硬化性に優れた粉体塗料とすることのできる粉体塗料用ポリエステル樹脂組成物とこれを用いた粉体塗料を提供する。
【解決手段】 主たるジカルボン酸成分としてイソフタル酸、主たるグリコール成分としてネオペンチルグリコールを重縮合した後に、炭素数4〜12の脂肪族ジカルボン酸を酸成分の1〜10モル%加えてポリエステルの末端構造の50%以上を炭素数4〜12の脂肪族ジカルボン酸としたポリエステル樹脂に、β-ヒドロキシアルキルアミド系硬化剤をポリエステル樹脂の酸価に対して0.7〜1.2倍当量を配合した樹脂組成物であり、160℃におけるゲル化時間が9〜14分である粉体塗料用ポリエステル樹脂組成物と、これを用いた粉体塗料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗膜の耐候性、平滑性に優れ、かつ、低温での焼き付けが可能な粉体塗料用ポリエステル樹脂組成物、並びにこれを用いた粉体塗料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
粉体塗料は、溶剤型塗料と比較して有機系揮発分の発生がない無公害型塗料であること、一度で厚塗り塗装が可能であること、塗装直後でも使用に供しうること、比較的安価であること、回収利用が可能であること等の利点を有し、家電製品、建材、自動車部品等の部材の保護装飾用塗料として、近年急速に需要が拡大している。
【0003】
粉体塗料は主として、エポキシ樹脂系、アクリル樹脂系、ポリエステル樹脂系のものが使用されているが、その中でもポリエステル樹脂系粉体塗料はバランスのとれた塗膜性能を有する塗料である。
【0004】
耐候性に優れたポリエステル樹脂系粉体塗料を得るためには、主成分であるポリエステル樹脂の耐候性を向上させる必要があり、通常は、酸成分ではイソフタル酸、グリコール成分ではネオペンチルグリコールの共重合割合を多くしたポリエステル樹脂が使用されている。イソフタル酸は、太陽光エネルギーの波長領域に対して吸収領域が異なっており、光劣化を受け難く、ネオペンチルグリコールはβ位の炭素に水素が結合していないため、これらの成分を多くしたポリエステルは耐候性が良好であることが知られている。
【0005】
ポリエステル粉体塗料に用いられる一般的な硬化剤として、主たる末端がヒドロキシル基であるポリエステル樹脂に用いるイソシアナート系硬化剤は、反応性の高いイソシアナート基をブロック剤でブロックすることで、一定の温度以下では活性を示さない構造をしているが、焼き付け時にブロック剤が解離することで、焼き付け炉を汚染するため使用が好まれない。また、主たる末端がカルボキシル基であるポリエステル樹脂に用いるトリグリシジルイソシアヌレート系硬化剤はブロック剤を含有しないものの、変異原性が認められ、安全上使用が好ましくない。
【0006】
近年、トリグリシジルイソシアヌレート系硬化剤に代わる硬化剤として、ヒドロキシアルキルアミド系硬化剤が注目を集めている。ヒドロキシアルキルアミド系硬化剤を用いた粉体塗料は、低温焼き付けが可能で、かつ焼き付け時に有機系揮発分が全くなく、環境への負荷のないクリーンな塗料とすることができる。
【0007】
しかしながら、ヒドロキシアルキルアミド系硬化剤を用いた粉体塗料は、その硬化剤の特性の影響等により、塗膜の平滑性や被塗物との密着性、特に耐水、耐湿処理後の密着性が劣るという欠点があり、用途が限定されていた。
これらの問題を解決するために、特許文献1には、特定の粘度、特定の酸価を有する、芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジオールからなるポリエステル樹脂より得られる、塗膜の平滑性、素材との密着性に優れた粉体塗料が提案されている。しかし、この粉体塗料は、塗膜の平滑性や被塗物との密着性には優れているが、耐候性は十分なものではなかった。
【0008】
また、特許文献2には、イソフタル酸成分とネオペンチルグリコール成分からなるポリエステル樹脂をイソフタル酸等で解重合させた樹脂を主成分とする粉体塗料が提案されている。この粉体塗料は優れた耐候性を有し、低温硬化性、塗膜の平滑性、素材との密着性に優れたものであるが、塗膜の平滑性については満足できるレベルではなかった。
【特許文献1】特開2003−119256号公報
【特許文献2】特開2006−37015号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は上記の問題を解決し、塗膜の耐候性と平滑性及び低温硬化性に優れた粉体塗料とすることのできる粉体塗料用ポリエステル樹脂組成物、並びにこれを用いた粉体塗料を提供することを技術的な課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、上記の課題を解決するために鋭意検討した結果、本発明に到達した。
【0011】
すなわち、本発明は、次の構成を要旨とするものである。
(1)主たるジカルボン酸成分としてイソフタル酸、主たるグリコール成分としてネオペンチルグリコールを重縮合した後に、炭素数4〜12の脂肪族ジカルボン酸を酸成分の1〜10モル%加えてポリエステルの末端構造の50%以上を炭素数4〜12の脂肪族ジカルボン酸としたポリエステル樹脂に、β-ヒドロキシアルキルアミド系硬化剤をポリエステル樹脂の酸価に対して0.7〜1.2倍当量を配合した樹脂組成物であり、160℃におけるゲル化時間が9〜14分であることを特徴とする粉体塗料用ポリエステル樹脂組成物。
(2)上記(1)記載の粉体塗料用ポリエステル樹脂組成物を用いた粉体塗料。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、塗膜の耐候性と平滑性及び低温硬化性に優れた粉体塗料とすることができる粉体塗料用ポリエステル樹脂組成物、並びにこれを用いた粉体塗料が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0014】
本発明におけるポリエステル樹脂は、主としてイソフタル酸とネオペンチルグリコールからなることが必要であり、イソフタル酸とネオペンチルグリコールの合計した割合は全成分に対して80〜100モル%であることが好ましい。この合計した割合が80モル%に満たないと、塗膜の耐候性が優れているというには不十分となりやすい。
【0015】
上記のポリエステル樹脂における酸成分としては、イソフタル酸の他に、本発明の効果を損なわない範囲でテレフタル酸、5-ナトリウムスルホイソフタル酸、無水フタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸や、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二酸等の脂肪族ジカルボン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等の三価以上のカルボン酸を少量使用してもよい。また、これらの酸のエステル形成性誘導体を使用してもよく、必要に応じて、4-ヒドロキシ安息香酸、ε-カプロラクトン等のオキシカルボン酸を併用してもよい。
【0016】
次に、グリコール成分としては、ネオペンチルグリコールの他に、本発明の効果を損なわない範囲でエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール等の脂肪族ジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、1,4-シクロヘキサンジオール等の脂環族グリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、グリセリン等の三価以上のアルコール、あるいはビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールSのエチレンオキサイド付加物等の芳香族グリコールを併用してもよい。
【0017】
本発明におけるポリエステル樹脂の酸価は20〜50mgKOH/gであることが好ましく、さらに好ましくは25〜40mgKOH/gである。ポリエステル樹脂の酸価が20mgKOH/gに満たないと樹脂の分子量が高くなりすぎ、流動性が低下するため、塗膜の平滑性が低下するとともに素材との密着性が悪くなりやすい。一方、酸価が50mgKOH/gを超えると、塗料として配合した場合、硬化剤との硬化反応が増大しすぎるため塗膜の平滑性が悪くなり、素材との密着性が低下しやすい。
【0018】
本発明において、ポリエステルの末端構造の50%以上、好ましくは60%以上が炭素数4〜12の脂肪族ジカルボン酸であることが必要である。この割合が50%未満であると、塗膜としたときの硬化反応が速すぎ、塗膜外観が悪くなる。ポリエステルの末端構造の50%以上を脂肪族ジカルボン酸とすると、β-ヒドロキシアルキルアミド系硬化剤との反応性が穏やかとなって硬化反応時間が9〜14分となり、外観の良好な塗膜が得られる。
【0019】
以上の条件を満たすために、炭素数4〜12の脂肪族ジカルボン酸の添加量を酸成分の1〜10モル%、好ましくは3〜8モル%とすることが必要である。
【0020】
ジカルボン酸成分とグリコール成分とを重縮合した後、炭素数4〜12の脂肪族ジカルボン酸を酸成分の1〜10モル%加えることでポリエステルの分子量を下げ、末端の構造をカルボキシル基を有する脂肪族ジカルボン酸とすることができる。
【0021】
炭素数4〜12の脂肪族ジカルボン酸としては、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸等が用いられる。炭素数4〜12の脂肪族ジカルボン酸の添加量が1モル%に満たないと、ポリエステル樹脂の分子量が大きすぎて塗膜の平滑性が悪くなる。また、添加量が10モル%を超えると、ポリエステルの末端構造の50%以上は炭素数4〜12の脂肪族ジカルボン酸となるものの、ポリエステル樹脂の分子量が小さくなりすぎ、塗膜にタレが生じるので好ましくない。
【0022】
本発明におけるポリエステル樹脂は、160℃における溶融粘度が100〜600dPa・sであることが好ましく、さらに好ましくは150〜500dPa・sである。ポリエステル樹脂の160℃における溶融粘度が100dPa・sに満たないと溶融粘度が低くなりすぎ、塗膜にタレを生じやすい。また、溶融粘度が600dPa・sを超えると塗膜の平滑性が低下し、素材との密着性が悪くなりやすい。
【0023】
上記の条件を満足するポリエステル樹脂は、前記のようなカルボン酸成分、ジオール成分(それらのエステル形成性誘導体を含む)を原料とし、常法によって200〜280℃の温度でエステル化又はエステル交換反応を行った後、5hPa以下の減圧下、200〜300℃、好ましくは230〜290℃の温度で重縮合反応を行って高重合度のポリエステルとし、さらに炭素数4〜12の脂肪族ジカルボン酸を酸成分の1〜10モル%添加して200〜260℃、好ましくは220〜250℃の反応温度で2〜5時間、好ましくは2.5〜4時間反応させる方法で調製することができる。
【0024】
炭素数4〜12の脂肪族ジカルボン酸が高重合度のポリエスエテルと反応することで、ポリエステル末端が脂肪族ジカルボン酸となり、イソフタル酸等の芳香族カルボン酸がポリエステル末端である場合よりもβ−ヒドロキシアルキルアミド系硬化剤との硬化反応速度が遅くなり、平滑性のよい塗膜となる。反応温度が200℃に満たないと、脂肪族ジカルボン酸が十分に反応せず、未反応の脂肪族ジカルボン酸が存在するため平滑性が悪くなる。また、反応温度が260℃を超えると、ポリマーの熱分解が進行する。さらに、所定の温度であっても反応時間が2時間に満たないと、脂肪族ジカルボン酸が全て反応しないため、未反応の脂肪酸が塗膜の平滑性を低下させ、素材との密着性が悪くなる。反応時間が5時間を超えると熱履歴が長くなるため、ポリマーの熱分解が進行する。なお、エステル化、エステル交換反応及び重縮合反応においては、公知の反応触媒等を用いることができる。
【0025】
本発明の粉体塗料用ポリエステル樹脂組成物は、上記のポリエステル樹脂にβ-ヒドロキシアルキルアミド系硬化剤を配合したものである。この硬化剤の種類は特に限定されるものではないが、例えばEMS社製の「Primid XL-552」が挙げられる。硬化剤の配合量はポリエステル樹脂の酸価に対して0.7〜1.2倍当量、好ましくは0.9〜1倍当量とするのが適当である。
【0026】
硬化剤の配合量がポリエステル樹脂の酸価に対して0.7倍当量未満だとポリエステル樹脂との架橋点が少なく、塗膜にタレを生じるとともに塗膜の強度が小さくなる。また、硬化剤の配合量がポリエステル樹脂の酸価に対して1.2倍当量より大きいと、硬化反応が速くなりすぎ、塗膜がゆず肌模様となる等、外観が悪くなる。
【0027】
また、本発明の樹脂組成物は、160℃におけるゲル化時間が9〜14分、好ましくは10〜13分であることが必要である。樹脂組成物のゲル化時間が9分に満たないと、硬化反応が速くなりすぎるために塗膜の平滑性が著しく悪化し、ゲル化時間が14分を超えると硬化反応性が遅いため十分に硬化せず、塗膜の強度が低下する。
【0028】
本発明の粉体塗料は、上記のようなポリエステル樹脂組成物に、必要に応じて公知のレベリング剤、その他の添加剤、例えば二酸化チタン、沈降性硫酸バリウム、カーボンブラック等の顔料などからなる混合物をニーダー又はロールを用いて70〜140℃で溶融混練することによって調製することができる。
【0029】
本発明の粉体塗料は、これを被塗物に塗装し、通常、150〜190℃の温度で、15〜25分間焼き付けることにより、平滑性及び素材との密着性に優れた塗膜を形成する。
【0030】
本発明の粉体塗料におけるポリエステル樹脂は、ポリエステル末端に脂肪酸があるため、β-ヒドロキシアルキルアミド硬化剤との硬化反応が比較的遅く、また溶融粘度が低いため、塗膜の平滑性が優れたものであり、また、イソフタル酸及びネオペンチルグリコールの共重合割合が高いため、耐候性にも優れた塗膜を形成することができる。
【実施例】
【0031】
次に、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において、ポリエステル樹脂及び樹脂組成物の特性値、塗膜性能の評価は、次に示す方法で行なった。
(1)ポリエステルの共重合成分及び末端基の割合
ポリエステルを重水素化トリフルオロ酢酸に溶解させ、1H-NMR(日本電子製JNM-LA400)を用いて測定した。
(2)平滑性
塗膜の平滑性を、目視により評価した。
【0032】
○:塗膜に凹凸が少なく、平滑性が良好である。
【0033】
×:塗膜に大きな凹凸があり、平滑性が不良である。
(3)促進耐候性
SK5400に準じ、WEL-6-XS-HC-B-EC型サンシャインウェザーメーター(スガ試験機社製)を用いて、500時間照射時の塗膜の光沢保持率(%)を求めた。光沢保持率が80%以上のものを合格とした。
(4)ゲル化時間
ポリエステル樹脂と硬化剤からなる樹脂組成物100質量部に対し、二酸化チタン顔料50質量部を混合したものを試料とし、試料量 100g、温度160℃で、ブラベンダー・プラスチコーダー(ブラベンダー社製 PLV-340)を用いて硬化曲線を求め、測定開始からトルク値が250m・gに達するまでの時間をゲル化時間とした。
(実施例1)
イソフタル酸100モル部、ネオペンチルグリコール135モル部をエステル化反応槽に仕込み、圧力0.3MPaG、温度260℃で4時間エステル化反応を行った。得られたエステル化物を重縮合反応槽に移送した後、三酸化アンチモンを4.0×10-4モル/酸成分1モル及びテトラブチルチタネート0.1×10-4モル/酸成分1モル添加し、0.5hPaに減圧し、280℃で4時間重縮合反応を行い、極限粘度0.45dl/g以上のポリエステルを得た。次いで、このポリエステルに、7モル部のアジピン酸を添加し、常圧下、250℃で3時間反応を行い、ポリエステル樹脂を得た。
【0034】
得られたポリエステル樹脂1000g(酸価33.6mgKOH/g)に、β−ヒドロキシアルキルアミド系硬化剤(EMS社製「Primid XL-552」)50g(1.0倍当量)を配合したポリエステル樹脂組成物に、ブチルポリアクリレート系レベリング剤(BASF社製「アクロナール4F」)、ベンゾイン及びルチル型二酸化チタン顔料(石原産業社製「タイペークCR-90」)を表1に示す量(質量部)添加し、ヘンシェルミキサー(三井三池製作所製「FM10B型」)でドライブレンドした後、コ・ニーダ(ブッス社製「PR-46型」)を用いて100℃で溶融混練し、冷却、粉砕した後、140メッシュ(106μm)の金網で分級して粉体塗料を得た。
【0035】
得られた粉体塗料をリン酸亜鉛処理鋼板上に膜厚が50〜60μmとなるように静電塗装し、160℃×20分間の焼付けを行った。
(実施例2〜4、比較例1〜7)
実施例1と同様な方法で、表1に示すポリエステル樹脂、組成物、粉体塗料を得た。
【0036】
実施例1〜4及び比較例1〜7で得られた塗膜の性能を評価した結果を併せて表1に示す。
【0037】
【表1】

表1から明らかなように、実施例1〜4で得られた粉体塗料は、塗膜の平滑性が良好で、かつ、耐候性に優れていた。
【0038】
一方、比較例1〜7では、次のような問題があった。
【0039】
比較例1は、炭素数4〜12の脂肪族ジカルボン酸の添加量が1モル%に満たないため、ポリエステル樹脂の分子量が大きく、ゲル化時間も長すぎ、また、ポリエステルの末端構造が脂肪族ジカルボン酸である割合が50%未満であったため、塗膜の平滑性が悪かった。
【0040】
比較例2は、炭素数4〜12の脂肪族ジカルボン酸の添加量が10モル%を超えたため、ポリエステル樹脂の分子量が小さく、塗膜にタレが生じた。
【0041】
比較例3は、炭素数4〜12の脂肪族ジカルボン酸を添加しなかったため、β-ヒドロキシアルキルアミド系硬化剤との硬化反応速度が速くてゲル化時間が7.5分と短く、塗膜の平滑性が悪かった。
【0042】
比較例4は、イソフタル酸の共重合量が少ないため、また、比較例5は、ネオペンチルグリコールの共重合量が少ないため、いずれも塗膜の耐候性が劣っていた。
【0043】
比較例6は、硬化剤の配合量がポリエステル樹脂の酸価に対して0.7倍当量未満であったため、塗膜にタレが生じた。
【0044】
比較例7は、硬化剤の配合量がポリエステル樹脂の酸価に対して1.2倍当量より大きかったため、塗膜がゆず肌模様となった。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
主たるジカルボン酸成分としてイソフタル酸、主たるグリコール成分としてネオペンチルグリコールを重縮合した後に、炭素数4〜12の脂肪族ジカルボン酸を酸成分の1〜10モル%加えてポリエステルの末端構造の50%以上を炭素数4〜12の脂肪族ジカルボン酸としたポリエステル樹脂に、β-ヒドロキシアルキルアミド系硬化剤をポリエステル樹脂の酸価に対して0.7〜1.2倍当量を配合した樹脂組成物であり、160℃におけるゲル化時間が9〜14分であることを特徴とする粉体塗料用ポリエステル樹脂組成物。
【請求項2】
請求項1記載の粉体塗料用ポリエステル樹脂組成物を用いた粉体塗料。


【公開番号】特開2010−31177(P2010−31177A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−196279(P2008−196279)
【出願日】平成20年7月30日(2008.7.30)
【出願人】(000228073)日本エステル株式会社 (273)
【Fターム(参考)】