説明

粉体塗料組成物

マスターバッチ組成物、マスターバッチ組成物の製造方法、粉体塗料組成物の製造方法、前記製造方法によって得ることができる粉体塗料組成物、及び粉体塗料組成物を得るために、又は硬化粉体塗料の不透明度を増大させるためにマスターバッチ組成物を使用することが開示されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マスターバッチ組成物、マスターバッチ組成物の製造方法、粉体塗料組成物の製造方法、該製造方法によって得られる粉体塗料組成物、ならびに、粉体塗料組成物を得るための、あるいは硬化粉体塗料の不透明度を増大させるためのマスターバッチ組成物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
先行技術に開示の方法に基づいて多量の二酸化チタンを粉体塗料組成物中に組み込むことは困難である。一般には、押出機中にて、TiO粒子と粉体塗料組成物の他の成分とを溶融混合する。先行技術の粉体塗料組成物中に組み込むことができるTiO粒子の量は、粉体塗料組成物の総量を基準として最大で35〜40重量%の範囲のレベルに達することがある。しかしながら、従来のポリエステルとエポキシ樹脂をベースとする粉体塗料組成物は、TiO粒子の量が最も高いレベル(すなわち40重量%)になると、表面平滑性の低下をきたす。したがって粉体塗料組成物中のTiOの量は35〜40重量%の範囲に限定される。こうして得られる塗料の不透明度は低品位である〔すなわち、完全な被覆(full coverage)は、約80〜90μmという比較的高い膜厚においてしか得ることができない〕。白色顔料入り粉体塗料の不透明度は、液体ペイント(例えば、アルキド樹脂で造られているアルキドペイント)の不透明度よりはるかに低い。白色顔料入り粉体塗料とライトシェード(light shade)粉体塗料に関しては、不透明度に限界があることがとりわけ問題である。これは、ポリマーマトリックス中での二酸化チタンの分散性が良くないためである可能性が最も高い。
【0003】
これとは別に、多量の二酸化チタンを組み込むには、押出機においてより長い混合時間とより多くのエネルギーが必要とされ、このため押出機の押出量が低下する。さらに、先行技術によれば、二酸化チタンの量を40重量%より増やしても、不透明度のさらなる増大をもたらさない。
【0004】
米国特許出願第2007/0248825A1号は、少なくとも樹脂と、少なくとも1種の抗ブリッジング剤(anti−bridging agent)と、少なくとも40重量%の顔料とを含む粉体塗料組成物を開示している。しかしながら、たとえ顔料の量を40重量%を超えるレベルに増大させたとしても、得られる塗料の不透明度は大幅には増大しない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願第2007/0248825A1号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、増大した不透明度を有する硬化粉体塗料に転化させることができる粉体塗料組成物、及びこの目的に適う特殊な樹脂系を提供することである。本発明の目的はさらに、減少した膜厚を有する粉体塗料(したがって塗料材料と硬化エネルギーが節減される)を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
驚くべきことに、多量のTiO粒子を、非末端不飽和基を有するエポキシ樹脂と共に、あるいは非末端不飽和基を有する不飽和有機化合物とエポキシ樹脂との混合物と共に含む組成物を使用して、粉体塗料の不透明度を増大させることができる、ということが見出された。
【0008】
本発明の第1の実施態様は、a)TiO粒子を少なくとも50重量%、ならびにb)b1)末端ではない少なくとも1つの炭素−炭素二重結合及び/又は少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を有する少なくとも1種のエポキシ樹脂;もしくはb2)i)炭素−炭素二重結合も炭素−炭素三重結合も持たない少なくとも1種のエポキシ樹脂と、ii)末端ではない少なくとも1つの炭素−炭素二重結合及び/又は少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を有する少なくとも1種の不飽和有機化合物(A)との混合物、ここで成分i)とii)との重量比が1000:1〜10:5の範囲である;もしくはb3)b1)とb2)との任意の混合物;を含む成分を少なくとも10重量%含む組成物であり、ここで重量%は組成物の総重量を基準としている。
【0009】
本発明の組成物の必須成分は、粒子の形態で存在する二酸化チタン(TiO)である。二酸化チタンは、光沢と極めて高い屈折率を有していることから最も広く使用されている顔料であり、その光沢と屈折率を凌ぐ材料はほんのわずかしかない。TiOはさらに、粉末形態での効果的な不透明剤であり、ペイント、塗料、プラスチック、紙、インク、食品、医薬品、ならびに練り歯磨き等の製品に不透明度を付与するための顔料として使用されている。
【0010】
本発明の組成物は、組成物の総重量を基準として少なくとも50重量%の、好ましくは少なくとも55重量%のTiO粒子を含む。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の好ましい実施態様によれば、二酸化チタン粒子は、組成物中に、組成物の総重量を基準として60〜90重量%の、好ましくは62〜85重量%の、最も好ましくは65〜80重量%の範囲の量にて存在する。
【0012】
不透明度は、二酸化チタン粒子の粒径を最適粒径にすることによって改良される。したがって本発明の好ましい実施態様によれば、組成物は、0.05〜0.5μmの、好ましくは0.08〜0.4μmの、さらに好ましくは0.1〜0.3μmの平均粒径(「BS ISO 13318−3:2004:遠心X線法」に従って測定)を有する二酸化チタン粒子を含む。
【0013】
好ましい実施態様によれば、本発明の組成物は、12〜22cm/100gの、好ましくは14〜20cm/100gの、最も好ましくは16〜19cm/100gの油吸収能(「パレット・ナイフ法、ISO787、パート5」に従って測定)を有するTiO粒子を含む。
【0014】
本発明の意義の範囲内での二酸化チタン粒子は、個別の粒子の総重量を基準として少なくとも90重量%の二酸化チタンを含む粒子である。好ましい実施態様によれば、二酸化チタン粒子を、アルミニウム、ケイ素、ジルコニウム、及びこれらの任意の混合物からなる金属群から選択される酸化物で表面処理する。
【0015】
TiO粒子の加工性を改良するために、該粒子の表面を有機成分で処理するのが好ましい。
本発明で使用するのに好適な市販TiO粒子の例としては、Kronos社から市販のKronos(登録商標)2160、2340、2315、3645、2222、及び2305;Du Pont社から市販のTi−Pure(登録商標)706及び960;Millennium社から市販のTiona(登録商標)595;ならびにHuntsman社から市販のTioxide TR92(登録商標)又はTR81(登録商標);などがある。
【0016】
成分b
本発明の組成物はさらに、b1)又はb2)又はb3)であるb)を、組成物の総重量を基準として少なくとも10重量%の量にて含む。
【0017】
成分b1)は、末端ではない炭素−炭素二重結合又は炭素−炭素三重結合を有する少なくとも1種のエポキシ樹脂を含む。混合物b2)は、i)炭素−炭素二重結合も炭素−炭素三重結合も持たない少なくとも1種のエポキシ樹脂、及びii)末端ではない少なくとも1つの炭素−炭素二重結合又は少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を有する少なくとも1種の不飽和有機化合物(A)を含み、ここで成分i)とii)との重量比が1000:1〜10:5の範囲である。b3)は、b1)とb2)の任意の混合物である。
【0018】
成分b1)又は混合物b2)又は混合物b3)は、組成物の総重量を基準として少なくとも15重量%の量にてマスターバッチ中に存在するのが好ましい。
成分b1)又は混合物b2)又は混合物b3)は、組成物の総重量を基準として10〜45重量%の、好ましくは15〜40重量%の、最も好ましくは20〜35重量%の範囲の量にて存在する。
【0019】
成分a)と成分b)との重量比が特定の範囲内である組成物を使用すると、硬化粉体塗料組成物の不透明度に関して大幅に改良された結果を得ることができる。したがって好ましい実施態様によれば、成分a)と成分b)との重量比は4:1〜11:9であり、好ましくは3.5:1〜1.5:1であり、さらに好ましくは7:3〜1.5:1である。
【0020】
成分b1
成分b1)は、末端ではない少なくとも1つの炭素−炭素二重結合及び/又は少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を有する少なくとも1種のエポキシ樹脂を含む。本発明の意義の範囲内でのエポキシ樹脂は、少なくとも1つのエポキシ基を含む有機成分である。
【0021】
成分b1)は、末端ではない少なくとも1つの炭素−炭素二重結合及び/又は少なくとも1つの炭素−炭素三重結合と、エポキシ基と反応することができる少なくとも1つの官能基とを有する不飽和有機成分(B)とエポキシ樹脂との反応によって得る(あるいは得ることができる)のが好ましい。成分b1)は、末端ではない少なくとも1つの炭素−炭素二重結合及び/又は少なくとも1つの炭素−炭素三重結合と、アミノ、ヒドロキシ、カルボキシ、及び酸無水物基からなる群から選択される少なくとも1つの官能基とを有する不飽和有機成分(B)とエポキシ樹脂との反応によって得られる(あるいは得ることができる)のが好ましい。
【0022】
成分b1)を得るのに使用される不飽和成分(B)は、末端ではない少なくとも1つの炭素−炭素二重もしくは三重結合を有する。末端とは、炭素−炭素二重もしくは三重結合が主鎖又は側鎖の端部に位置する、ということを意味している。さらに、好ましい実施態様によれば、不飽和成分(B)は、エポキシ基と反応することができる少なくとも1つの官能基を有するシクロアルケン、シクロアルキン、アルケン、アルキン、又はこれらの任意の混合物からなる群から選択される。
【0023】
さらなる好ましい実施態様によれば、末端ではない少なくとも1つの炭素−炭素二重結合及び/又は少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を有する不飽和成分(B)は、ブタジエンの官能化ホモポリマー、又はアクリロニトリル、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、マレイン酸、及び無水マレイン酸からなる群から選択されるビニルもしくはアリル成分とブタジエンとのコポリマーである。
【0024】
ブタジエンのホモポリマー又はコポリマーは、エポキシ基と反応することができる基で官能化され、官能基は、アミノ、ヒドロキシ、カルボキシ、及び酸無水物基からなる群から選択されるのが好ましい。ブタジエンの官能化ホモポリマーもしくはコポリマーは、当業者に公知の方法によって製造することができる。
【0025】
さらなる好ましい実施態様によれば、末端ではない少なくとも1つの炭素−炭素二重結合及び/又は少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を有する不飽和成分(B)は、不飽和脂肪酸、二量化もしくは三量化不飽和脂肪酸、アミン末端ブタジエンアクリロニトリルコポリマー、カルボキシル末端ブタジエンアクリロニトリルコポリマー、官能化・部分エポキシ化ポリブタジエン、不飽和脂肪酸ダイマーもしくは不飽和脂肪酸トリマーをベースとするポリアミドアミン、テトラヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸無水物、アセチレンジカルボン酸、ブチンジオール、又はこれらの任意の混合物もしくは任意の反応生成物からなる群から選択される。
【0026】
特に好ましいのは、芳香族グリシジルエーテル(例えば、ビスフェノールAグリシジルエーテル、ビスフェノールFグリシジルエーテル、ビスフェノールAベースのエポキシ樹脂、又はビスフェノールFベースのエポキシ樹脂)と、二量化不飽和脂肪酸、アミン末端ブタジエン−アクリロニトリルコポリマー、及びカルボキシル末端ブタジエン−アクリロニトリルコポリマーからなる群から選択される不飽和有機成分(B)との反応によって得られる(あるいは得ることができる)成分b1)である。
【0027】
混合物b2
混合物b2)は、i)炭素−炭素二重結合も炭素−炭素三重結合も持たない少なくとも1種のエポキシ樹脂、及びii)末端ではない少なくとも1つの炭素−炭素二重結合及び/又は少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を有する少なくとも1種の不飽和有機化合物(A)を含み、ここで成分i)とii)との重量比が1000:1〜2:1の範囲であり、好ましくは500:1〜10:4の範囲であり、さらに好ましくは500:1〜5:1の範囲であり、さらに好ましくは200:1〜10:3の範囲であり、最も好ましくは200:1〜5:1の範囲である。
【0028】
エポキシ樹脂b2)−i)は、炭素−炭素二重結合も炭素−炭素三重結合も持たないエポキシ樹脂である。既に上記にて定義したように、本発明の意義の範囲内でのエポキシ樹脂は、少なくとも1つのエポキシ基を有する有機化合物である。
【0029】
本発明の組成物は、少なくとも60℃の、好ましくは少なくとも70℃の、さらに好ましくは少なくとも80℃の、そして最も好ましくは85〜120℃の範囲の軟化温度(Mettler装置を使用してDIN51920に従って測定)を有する成分b1)又はエポキシ樹脂b2)−i)を含むのが好ましい。
【0030】
さらに、成分b1)又はb2)−i)が、少なくとも0.5eq./kgの、好ましくは1.2〜3.0eq./kgの範囲の、さらに好ましくは1.25〜1.6eq./kgの範囲のエポキシ含量(ISO3001に従って測定)を有するという場合の組成物が好ましい。
【0031】
成分b2)−i)は、成分b1)に転化される出発物質として使用されるエポキシ樹脂と同じであってよい(すなわち、末端ではない少なくとも1つの炭素−炭素二重結合及び/又は少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を有する不飽和有機成分(B)と反応する前の)。
【0032】
好適なエポキシ樹脂としては、例えば、油がアマニ油である場合のエポキシ化油、大豆油、サフラワー油、オイチシカ油、キャラウェイシード油、菜種油、ヒマシ油、脱水ヒマシ油、綿実油、桐油、ベルノニア油(天然油)、ひまわり油、ピーナッツ油、オリーブ油、大豆葉油、トウモロコシ油、魚油(例えば、ニシン油やイワシ油)、及び非環式テルペン油などがある。エポキシ化油は、エポキシ化大豆油及び/又はエポキシ化アマニ油であるのが好ましい。
【0033】
特に好ましいエポキシ樹脂b2)−i)は、少なくとも1つのフェノール性ヒドロキシル基を有する芳香族成分のグリシジルエーテルである。好ましいのは、ビスフェノールAジグリシジルエーテル又はビスフェノールFジグリシジルエーテルであり、これらは、ビスフェノールA、ビスフェノールF、又はこれらの任意の混合物とさらに反応させるのが好ましい。
【0034】
不飽和有機化合物(A)(成分b2)−ii))は、末端ではない少なくとも1つの炭素−炭素二重結合及び/又は炭素−炭素三重結合を有する。化合物(A)は、エポキシ樹脂b2)−i)と反応しないのが好ましい。前記不飽和化合物は、シクロアルケン、シクロアルキン、アルケン、及びアルキンからなる群から選択するのがさらに好ましい。好ましい実施態様によれば、不飽和有機化合物(A)は、エポキシド基と反応することができる官能基を持たないポリブタジエンホモポリマーとポリブタジエンコポリマー、部分エポキシ化ポリブタジエン、不飽和脂肪酸のエステル、不飽和脂肪酸ダイマーと不飽和脂肪酸トリマーのエステル、不飽和有機酸と不飽和有機酸無水物のエステル、不飽和アルコールのエステル、4,4’−ビスマレイミドジフェニルメタン、及びこれらの任意の混合物、からなる群から選択される。
【0035】
本発明の組成物は、25℃(例えば、25℃は組成物のガラス転移温度である)にて固体であるのが好ましい。
本発明のさらなる実施態様は、b1)末端ではない少なくとも1つの炭素−炭素二重結合及び/又は少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を有する少なくとも1種のエポキシ樹脂;又はb2)i)炭素−炭素二重結合も炭素−炭素三重結合も持たない少なくとも1種のエポキシ樹脂と、ii)末端ではない少なくとも1つの炭素−炭素二重結合及び/又は少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を有する少なくとも1種の不飽和有機化合物(A)との混合物、ここで成分i)とii)との重量比が1000:1〜2:1の範囲である;又はb3)b1)とb2)との任意の混合物;を含む樹脂成分/樹脂系b)である。
【0036】
この樹脂系は、より良好な不透明度をもたらす。より好ましい実施態様では、成分i)とii)との重量比は500:1〜10:4であり、さらに好ましくは500:1〜5:1であり、さらに好ましくは200:1〜10:3であり、最も好ましくは200:1〜5:1である。樹脂成分/樹脂系b)の、その成分b1)、b2)、及びb)に関する好ましい実施態様は、樹脂系b)を構成する二酸化チタン組成に関して前述の実施態様と全く同じである。
【0037】
本発明のさらなる実施態様は、a)本発明の組成物を供給する工程;及びb)工程a)において供給された組成物を60℃以上の温度で溶融混合する工程;を含むマスターバッチ組成物の製造方法である。
【0038】
溶融混合工程b)は、70〜200℃の範囲の温度で行うのが好ましく、80〜140℃の範囲の温度で行うのがさらに好ましい。
好ましい実施態様によれば、溶融混合工程b)は、少なくとも30秒行い、40〜120秒の範囲で行うのがさらに好ましい。
【0039】
本発明の組成物は25℃で予備混合するのが好ましい。予備混合工程は、本発明の組成物の成分を完全に混合するに足る時間(例えば10〜20分)にわたってブレンダードラム中にて行うことができる。
【0040】
溶融混合工程は、押出機にて行うのが好ましく、一軸スクリュー押出機(例えばBuss TCS 30)又は二軸スクリュー押出機にて行うのがさらに好ましい。押出機においては、工程a)において供給された組成物を、好ましくは60〜200℃の温度で、さらに好ましくは70〜140℃の温度で、少なくとも30秒の滞留時間にて、さらに好ましくは40〜120秒の範囲の滞留時間にて溶融混合する。
【0041】
本発明のさらなる実施態様は、本発明によるマスターバッチ組成物の製造方法によって得ることができる(又は得られる)マスターバッチ組成物である。
本発明のマスターバッチ組成物は、粉体塗料組成物から造られる硬化粉体塗料の不透明度を高めるべく、粉体塗料組成物の必須成分として使用される。
【0042】
本発明のさらなる実施態様は、a)本発明のマスターバッチ組成物の製造方法に従ってマスターバッチ組成物を製造する工程;及びb)工程a)において得られるマスターバッチ組成物と、カルボキシル基、酸水物基、及びフェノール性ヒドロキシ基からなる群から選択される少なくとも1つの官能基を有する有機化合物(C)を含む組成物とを混合する工程;を含む粉体塗料組成物の製造方法である。
【0043】
本発明のマスターバッチ組成物は、有機化合物(C)及び必要に応じて粉体塗料組成物の他の成分と、25℃にて好ましくは10〜20分予備混合するのが好ましい。
好ましい実施態様によれば、工程b)は溶融混合工程であり、この工程は、60℃以上の温度にて、好ましくは70〜200℃の範囲の温度にて、さらに好ましくは80〜140℃の範囲の温度にて行われる。工程b)は、少なくとも30秒(好ましくは40〜120秒の範囲にて)行われる溶融混合工程であるのが好ましい。
【0044】
溶融混合工程は、好ましくは押出機にて、さらに好ましくは一軸スクリュー押出機もしくは二軸スクリュー押出機にて、60〜200℃の温度で、好ましくは少なくとも30秒の滞留時間にわたって、さらに好ましくは40〜120秒の滞留時間にわたって行う。
【0045】
得られる押出物を、必要に応じて、例えばRetschベンチミル中にて冷却・粉砕する。引き続き、適切な粒径を有する粉体塗料組成物を得るために、粉砕された押出物をふるいにかけることができる。
【0046】
工程b)において使用される化合物(C)は、遊離のカルボキシル基、ジカルボン酸基、ポリカルボン酸基、酸無水物基、ポリ酸無水物基、又はこれらの任意の混合物、を有するカルボキシル官能性ポリエステル樹脂及びカルボキシル官能性アクリルポリマーからなる群から選択するのが好ましい。
【0047】
化合物(C)は、15〜200mgKOH/g樹脂の酸価を有するカルボキシル基含有化合物であるのが好ましく、20〜120mgKOH/g樹脂の酸価を有するカルボキシル基含有化合物であるのがさらに好ましい。
【0048】
好適なポリエステルとしては、直鎖脂肪族ポリオール、分岐鎖脂肪族ポリオール、及び脂環式ポリオールと、脂肪族ポリカルボン酸とそれらの無水物、脂環式ポリカルボン酸とそれらの無水物、及び/又は、芳香族ポリカルボン酸とそれらの無水物との縮合反応に基づいたポリエステルである。ポリオールと酸もしくは酸無水物との比は、遊離のカルボキシル基を有するポリエステルが形成されるよう、酸もしくは無水物がアルコールに対して過剰に存在する、というような比である。
【0049】
この点を考慮して使用するためのポリエステルは、例えば、イソフタル酸、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−オキシビス安息香酸、3,6−ジクロロフタル酸、テトラクロロフタル酸、テトラヒドロフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、ヘキサヒドロテレフタル酸(シクロヘキサンジカルボン酸)、ヘキサクロロエンドメチレンテトラヒドロフタル酸、フタル酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸、アジピン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、及びこれらの混合物、の構造単位を含んでよい。これらの酸は、そのようなものとして使用することもできるし、あるいは利用可能でありさえすれば、それらの酸無水物、酸塩化物、及び/又は低級アルキルエステルとして使用することもできる。ポリエステルは、イソフタル酸及び/又はテレフタル酸の少なくとも一方をベースにするのが好ましい。三官能以上の酸も使用することができる。好適なこのような酸の例としては、トリメリット酸やピロメリット酸がある。これらの三官能以上の酸は、末端基として使用することもできるし、あるいは分岐ポリエステルを得るために使用することもできる。
【0050】
有用なポリアルコールは、特に、カルボン酸と反応してポリエステルを形成することができるジオール(好ましいのは脂肪族ジオール)を含む。例としては、エチレングリコール、プロパン−1,2−ジオール、プロパン−1,3−ジオール、ブタン−1,2−ジオール、ブタン−1,4−ジオール、ブタン−1,3−ジオール、2,2−ジメチルプロパンジオール−1,3(ネオペンチルグリコール)、ヘキサン−2,5−ジオール、ヘキサン−1,6−ジオール、2,2−ビス−(4−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−プロパン(水素化ビスフェノール−A)、1,4−ジメチロールシクロヘキサン、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、2,2−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]プロパン、ネオペンチルグリコールのヒドロキシピバリン酸エステル、2−エチル−2−ブチルプロパンジオール−1,3(ブチルエチルプロパンジオール)、2−エチル−2−メチルプロパンジオール−1,3−(エチルメチルプロパンジオール)、及び2−メチルプロパンジオール−1,3(MP−ジオール)などが挙げられる。
【0051】
分岐ポリエステルを得るためには、三官能以上のアルコールを使用することができる。好適なこのようなポリオールの例としては、グリセロール、ヘキサントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリス−(2−ヒドロキシエチル)−イソシアヌレート、ペンタエリスリトール、及びソルビトールなどがある。
【0052】
ポリエステルは、必要に応じて通例のエステル化触媒(例えば、酸化ジブチルスズやテトラブチルチタネート)の存在下にて、エステル化反応又はエステル交換反応による従来の手順に従って製造することができる。製造条件とCOOH/OH比は、特定の望ましい酸価及び/又はヒドロキシル価を有する最終生成物が得られるように選択することができる。
【0053】
ポリマー中の反応性基とエポキシ基との当量比(例えば、ポリマー中のカルボキシル基とマスターバッチ組成物中のエポキシ基との当量比)は、通常は1.6:1〜0.5:1であり、好ましくは1:1〜0.8:1である。
【0054】
カルボン酸官能性ポリエステルは、一連の工程にて製造するのが好ましい。一連の工程の最後の工程において、芳香族酸が、又は好ましくは脂肪族酸が、酸官能性ポリエステルが得られるようにエステル化される。当業者には公知のように、最初の工程において、テレフタル酸を、過剰のジオールの存在で反応させる。このような反応により、主としてヒドロキシル官能性ポリエステルが得られる。第2のもしくは後続の工程にて、さらなる酸を第1の工程の生成物と反応させることによって酸官能性ポリエステルが得られる。さらなる酸としては、特に、イソフタル酸、アジピン酸、無水コハク酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、及び無水トリメリット酸などがある。無水トリメリット酸を170〜200℃の温度で使用すると、比較的多数のトリメリット酸末端基を有するポリエステルが得られる。
【0055】
エポキシ基と反応することができるこうしたポリマーの例としては、ポリアクリレート、ポリウレタン、ポリエーテル、及びポリエステルなどがある。好適なポリマーのうちでは、ポリエステル、ビスフェノールベースのポリエーテル、及びポリアクリレートが特に好ましい。これらのポリマーを使用して、粉体塗料における種々の特性を調整することができる。ポリアクリレートは、黄変や気象影響に対して極めて優れた抵抗性を示す。ポリウレタンは通常、耐摩耗性である。ビスフェノールベースのポリエーテルは、優れた機械的特性と極めて良好な耐食性を有し、そしてポリエステルは、極めて良好な機械的特性を有するようであり、原材料を適切に選択すれば黄変しない。
【0056】
ポリアクリレート
エポキシ基と反応することができるポリマーとして本発明において有用なポリアクリレートは、(メタ)アクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ベンシル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート〔例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートやヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート〕、及び/又は、アルキル(メタ)アクリレートのグリシジルエステルもしくはグリシジルエーテル、をベースにして製造することができる。ポリアクリレートは、実質的に塩化ビニル非含有であるのが好ましい。ポリアクリレートは公知の方法によって得ることができる。これらの方法では、例えば、スチレンやマレイン酸/無水マレイン酸等のコモノマー、ならびに少量のエチレン、プロピレン、及びアクリロニトリルを使用することができる。
【0057】
エポキシ基を含有するポリアクリレートは、ポリアクリレートの合成時にグリシジル(メタ)アクリレートを使用することによって得られる。
酸基を含有するポリアクリレートは通常、必要とされる量の酸〔例えば、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、又はフマル酸〕のラジカル共重合によって得られる。
【0058】
少なくとも1つのカルボキシル基を含有する有機化合物を含む組成物は、顔料、充填剤、流動化剤、艶消し剤、脱ガス助剤(degassing aid)、硬化触媒、及びこれらの任意の混合物からなる群から選択される1種以上の添加剤をさらに含むのが好ましい。
【0059】
極めて好適な添加剤としては、ポリエステル/エポキシ系の摩擦電荷特性を向上させる添加剤、及びガスオーブン中でのオーバーベイク(overbake)や硬化によって引き起こされることがある変色を抑える添加剤がある。
【0060】
添加剤は、流動促進剤、脱ガス剤(degassing agent)、ならびに必要であれば安定剤及び/又は触媒を含んでよい。
本発明のさらなる実施態様は、本発明による粉体塗料組成物の製造方法によって得ることができる(又は得られる)粉体塗料組成物である。
【0061】
本発明のさらなる実施態様は、本発明による粉体塗料組成物を加熱することによって得ることができる(又は得られる)硬化粉体塗料である。
本発明の粉体塗料組成物は、熱により硬化させるのが好ましい。一般には、粉体塗料組成物を表面(例えば金属シート)上に塗布し、塗布された粉体塗料組成物を引き続き、好ましくは150〜250℃の温度で、さらに好ましくは170〜230℃の温度で、最も好ましくは180〜200℃の温度で熱硬化させる。熱硬化は、5〜40分行うのが好ましく、10〜20分行うのがさらに好ましい。本発明の粉体塗料組成物は、当業者に公知の方法(例えば静電吹付)によって支持体に塗布することができる。支持体上の硬化粉体塗料の膜厚は、20〜100μmであるのが好ましく、30〜90μmであるのがさらに好ましく、40〜70μmであるのが最も好ましい。
【0062】
本発明のさらなる実施態様は、粉体塗料組成物を得るための、又は硬化粉体塗料の不透明度を増大させるための、本発明の組成物又は本発明のマスターバッチ組成物の使用である。
【0063】
本発明の硬化粉体塗料は、先行技術におけるTiOベースの粉体塗料と比較して、高レベルの不透明度を保持しつつ膜厚を減少させた状態で製造することができる。さらに、減少させた膜厚を使用して同程度の不透明度を得ることができるので、硬化用材料と硬化エネルギーを節減することができる。
【実施例】
【0064】
実施例においては、表Aに記載した以下の成分を使用する。
【0065】
【化1−1】

【0066】
【化1−2】

【0067】
【化1−3】

【0068】
(I)マスターバッチ組成物を製造するための一般的な手順
TiO粒子とエポキシ樹脂b1)又は混合物b2)もしくはb3)を、ブレンダードラム中にて25℃で20分プレミックスする。プレミックスした組成物を、一軸スクリュー押出機〔TCS30(Buss社);スイス〕にて125℃で30秒の滞留時間(スクリュー速度;400rpm)にて溶融混合する。
【0069】
(1)マスターバッチ組成物A
a)混合物Aの製造
固体混合物Aは、下記の組成を145〜148℃で4時間にわたって混合・加熱することによって得られる。
【0070】
【化2】

【0071】
得られる混合物は、1.35eq/kgのエポキシ含量を有し、請求項15に記載の樹脂系に相当する。
本発明の組成物Aは、32重量%の混合物Aと68重量%のTIOXIDE TR92(登録商標)とを混合することによって得られる。
【0072】
本発明のマスターバッチ組成物Aは、組成物Aを一般的な手順において上記したように溶融混合することによって得られる。
(2)マスターバッチ組成物B
a)エポキシ樹脂Bの製造
固体エポキシ樹脂Bは、90重量%の固体エポキシ樹脂Araldite(登録商標)GT6750と10重量%のPripol(登録商標)1017とを128〜133℃の温度で4時間反応させることによって得られる。得られる未変性エポキシ樹脂Bは、1.05eq/kgのエポキシ含量を有し、請求項15に記載の樹脂系に相当する。
【0073】
b)本発明の組成物Bは、23重量%のエポキシ樹脂Bと77重量%のTIOXIDE TR92(登録商標)とを混合することによって得られる。本発明のマスターバッチ組成物Bは、組成物Bを一般的な手順において上記したように溶融混合することによって得られる。
【0074】
(3)マスターバッチ組成物C
a)エポキシ樹脂Cの製造
固体エポキシ樹脂Cは、下記の組成を148〜150℃の温度で4時間にわたって混合・加熱することによって得られる。
【0075】
【化3】

【0076】
得られるエポキシ樹脂Cは、1.24eq/kgのエポキシ含量を有し、請求項15に記載の樹脂系に相当する。
b)本発明の組成物Cは、32重量%のエポキシ樹脂Cと68重量%のTIOXIDE TR92(登録商標)とを混合することによって得られる。本発明のマスターバッチ組成物Cは、組成物Cを一般的な手順において上記したように溶融混合することによって得られる。
【0077】
(4)マスターバッチ組成物D
a)エポキシ樹脂Dの製造
固体エポキシ樹脂Dは、下記の組成を140〜145℃の温度で4時間にわたって混合・加熱することによって得られる。この樹脂は、請求項15に記載の樹脂系に相当する。
【0078】
【化4】

【0079】
b)本発明の組成物Dは、43.7重量%のエポキシ樹脂Dと56.3重量%のTIOXIDE TR92(登録商標)とを混合することによって得られる。本発明のマスターバッチ組成物Dは、組成物Dを一般的な手順において上記したように溶融混合することによって得られる。
【0080】
(5)マスターバッチ組成物E
本発明のマスターバッチ組成物Eは、下記の組成を一般的な手順において上記したように溶融混合することによって得られる。
【0081】
【化5】

【0082】
(6)マスターバッチ組成物F
a)エポキシ樹脂Fの製造
エポキシ樹脂Fは、97.1重量%のAraldite(登録商標)GT7071(エポキシ含量1.9〜2.0eq/kg)と2.9%のブチンジオールとを151〜155℃の温度で4時間にわたって混合・加熱することによって得られる。得られるエポキシ樹脂Fは、1.5eq/kgのエポキシ含量を有し、請求項15に記載の樹脂系に相当する。
【0083】
本発明の組成物Fは、32重量%のエポキシ樹脂Fと68重量%のTIOXIDE TR92(登録商標)とを混合することによって得られる。本発明のマスターバッチ組成物Fは、組成物Fを一般的な手順において上記したように溶融混合することによって得られる。
【0084】
(7)マスターバッチ組成物G
a)エポキシ樹脂Gの製造
エポキシ樹脂Gは、97.1重量%のAraldite(登録商標)GT7071(エポキシ含量1.9〜2.0eq/kg)と2.9%のアセチレン二酸(acetylene diacid)とを150〜153℃の温度で4時間にわたって混合・加熱することによって得られる。得られるエポキシ樹脂Gは、1.59eq/kgのエポキシ含量を有し、請求項15に記載の樹脂系に相当する。
【0085】
本発明の組成物Gは、32重量%のエポキシ樹脂Gと68重量%のTIOXIDE TR92(登録商標)とを混合することによって得られる。本発明のマスターバッチ組成物Gは、組成物Gを一般的な手順において上記したように溶融混合することによって得られる。
【0086】
(8)マスターバッチ組成物H
本発明の組成物Hは、32重量%のエポキシ樹脂Dと68重量%のTIOXIDE TR92(登録商標)とを混合することによって得られる。本発明のマスターバッチ組成物Hは、組成物Hを一般的な手順において上記したように溶融混合することによって得られる。
【0087】
(9)エポキシ樹脂J
固体エポキシ樹脂Jは、下記の組成を150〜155℃の温度で4時間にわたって混合・加熱することによって得られる。エポキシ樹脂Jは、請求項15に記載の樹脂系に相当する。
【0088】
【化6】

【0089】
(10)マスターバッチK
a)エポキシ樹脂Araldit(登録商標)GT6750(エポキシ含量1.31〜1.42eq/kg)と3%Probimer5292A(ビスマレイミド/Huntsman社)とを混合して、変性樹脂K(エポキシ含量eq/kg)を得る。本混合物は、請求項15に記載の樹脂系に相当する。
【0090】
b)変性樹脂KとTiOであるTioxide TR92とを押し出し(プロセシング:Extruder Buss TCS30、400rpm、125℃)によって混合する;変性樹脂K/TR92比:38.5/61.5。
【0091】
(II)粉体塗料組成物と硬化粉体塗料を製造するための一般的な手順
後述の表に記載の粉体塗料組成物を、以下の一般的な手順によって製造した。
粉体塗料組成物の成分を、ブレンダードラム中にて25℃で20分プレミックスする。引き続き、プレミックスした組成物を、一軸スクリュー押出機〔TCS30(Buss社);スイス〕にて、温度80℃、スクリュー速度400rpm、及び滞留時間30秒で溶融混合する。
【0092】
次いで、得られた押出物を室温に冷却し、Retschベンチミルにて粉砕する。粉砕した押出物を、60ミクロンの篩によりふるい分ける。
得られる粉体塗料組成物を、Gema静電ガンを使用する静電塗装によって標準的な白/黒コントラストパネル上に塗布する。次いで、被覆されたパネルを、電気オーブン中にて200℃で20分加熱する。
【0093】
(III)パラメーターの測定
熱硬化させた粉体塗料組成物を含むテストパネルを、以下のように分析した。
a)不透明度のための最低膜厚
不透明度のための最低膜厚とは、硬化粉体塗料のすぐ下にて黒色と白色の下層被膜を見分けることができない程度に充分な最低膜厚を表わしている。パネルの被覆黒色エリアと被覆白色エリアとを見分けられない最低膜厚は、3人の判定者によって目視により決定される。
【0094】
b)パラメーター“Σ”
50〜90μmの膜厚範囲における、白/黒コントラストパネルの白色部分と黒色部分との間の光学的カラーパラメーターの差(ΔLとΔE)を次の式に従って求めた:
Σ=ΔL(白−黒)(50μm)+ΔL(白−黒)(60μm)ΔL(白−黒)(90μm)+ΔE(白−黒)(60μm)+ΔL(白−黒)(75μm)ΔL(白−黒)(90μm)
括弧内の値は、テストパネル上の硬化粉体塗料の厚さを示す。
【0095】
ΔLとΔEは、ドイツLange博士のTricolorII装置を使用してCIELAB(CIE 1976)に従って求める。
Σの値が小さくなるほど不透明度が高くなり、その結果として、パネルの被覆黒色エリアと被覆白色エリアとが見分けられない最低膜厚がより薄くなる。
【0096】
c)パラメーター“Ω”
30〜60μmの膜厚範囲における、白/黒コントラストパネルの白色部分と黒色部分との間の光学的カラーパラメーターの差を次の式に従って求めた:
Ω=ΔL(白−黒)(30μm)+ΔL(白−黒)(40μm)+ΔL(白−黒)(50μm)+ΔL(白−黒)(60μm)+ΔE(白−黒)(30μm)+ΔE(白−黒)(40μm)+ΔE(白−黒)(50μm)+ΔE(白−黒)(60μm)
括弧内の値は、テストパネル上の硬化粉体塗料の厚さを示す。
【0097】
ΔLとΔEは、ドイツLange博士のTricolorII装置を使用してCIELAB(CIE 1976)に従って求める。
Ωの値が小さくなるほど不透明度が高くなり、その結果として、パネルの被覆黒色エリアと被覆白色エリアとが見分けられない最低膜厚がより薄くなる。
【0098】
下記の成分は全て重量%にて記載されている。
【0099】
【化7】

【0100】
【化8】

【0101】
【化9】

【0102】
【化10】

【0103】
【化11】

【0104】
【化12】

【0105】
【化13】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
a) TiO粒子を少なくとも50重量%、ならびに、
b)b1)末端ではない少なくとも1つの炭素−炭素二重結合及び/又は少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を有する少なくとも1種のエポキシ樹脂;もしくは
b2)i)炭素−炭素二重結合も炭素−炭素三重結合も持たない少なくとも1種のエポキシ樹脂と、ii)末端ではない少なくとも1つの炭素−炭素二重結合及び/又は少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を有する少なくとも1種の不飽和有機化合物(A)との混合物、ここで成分i)とii)との重量比が1000:1〜10:5の範囲である;もしくは、
b3)b1)とb2)との任意の混合物;
を含む成分を少なくとも10重量%含み、ここで重量%は組成物の総重量を基準としている組成物。
【請求項2】
成分a)が、組成物の総重量を基準として60〜90重量%の範囲の量にて存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
b)が、組成物の総重量を基準として10〜45重量%の範囲の量にて存在する、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
成分b1)が、末端ではない少なくとも1つの炭素−炭素二重結合及び/又は少なくとも1つの炭素−炭素三重結合と、アミノ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、及び無水物基からなる群から選択される少なくとも1つの基とを有する不飽和成分(B)とエポキシ樹脂との反応によって得られる、請求項1〜3の少なくとも一項に記載の組成物。
【請求項5】
不飽和成分(B)が、ブタジエンの官能化ホモポリマー、又はアクリロニトリル、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、メタリル酸エステル、マレイン酸、及び無水マレイン酸からなる群から選択されるビニル化合物もしくはアリル化合物とブタジエンとのコポリマーである、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
不飽和成分(B)が、不飽和脂肪酸、二量化もしくは三量化不飽和脂肪酸、アミン末端ブタジエンアクリロニトリルコポリマー、カルボキシル末端ブタジエンアクリロニトリルコポリマー、官能化・部分エポキシ化ポリブタジエン、不飽和脂肪酸ダイマーもしくは不飽和脂肪酸トリマーのポリアミドアミン誘導体、テトラヒドロフタル酸無水物、アセチレンジカルボン酸、ブチンジオール、又はこれらの任意の混合物もしくは任意の反応生成物からなる群から選択される、請求項4〜5の少なくとも一項に記載の組成物。
【請求項7】
末端ではない少なくとも1つの炭素−炭素二重結合及び/又は少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を有する不飽和有機化合物(A)が、エポキシ基と反応することができる官能基を持たないポリブタジエンホモポリマーとポリブタジエンコポリマー、部分エポキシ化ポリブタジエン、不飽和脂肪酸のエステル、不飽和脂肪酸ダイマーと不飽和脂肪酸トリマーのエステル、不飽和有機酸と不飽和有機酸無水物のエステル、不飽和アルコールのエステル、4,4’−ビスマレイミドジフェニル、又はこれらの任意の混合物の群から選択される、請求項1〜6の少なくとも一項に記載の組成物。
【請求項8】
成分b1)及び/又はエポキシ樹脂b2)−i)が、Mettler装置によるDIN51920に従った測定にて、60℃以上の、好ましくは70℃以上の、さらに好ましくは80℃以上の、そして最も好ましくは85℃〜120℃の範囲の軟化温度を有する、請求項1〜7の少なくとも一項に記載の組成物。
【請求項9】
a)請求項1〜8の少なくとも一項に記載の組成物を供給する工程;及びb)工程a)において供給された組成物を60℃以上の温度で溶融混合する工程;を含むマスターバッチ組成物の製造方法。
【請求項10】
請求項9に記載の製造方法によって得ることができるマスターバッチ組成物。
【請求項11】
a)請求項9に記載のマスターバッチ組成物を製造する工程;及び、
b)工程a)において得られたマスターバッチ組成物と、カルボキシル基、無水物基、及びフェノール性ヒドロキシ基からなる群から選択される少なくとも1つの官能基を有する有機化合物を含む組成物とを混合する工程;
を含む粉体塗料組成物の製造方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法によって得ることができる粉体塗料組成物。
【請求項13】
請求項12に記載の粉体塗料組成物を加熱することによって得ることができる硬化粉体塗料。
【請求項14】
粉体塗料組成物を得るための、あるいは硬化粉体塗料の不透明度を増大させるための、請求項1〜8の少なくとも一項に記載の組成物又は請求項10に記載のマスターバッチ組成物の使用。
【請求項15】
b1)末端ではない少なくとも1つの炭素−炭素二重結合及び/又は少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を有する少なくとも1種のエポキシ樹脂;もしくは
b2)i)炭素−炭素二重結合も炭素−炭素三重結合も持たない少なくとも1種のエポキシ樹脂と、ii)末端ではない少なくとも1つの炭素−炭素二重結合及び/又は少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を有する少なくとも1種の不飽和有機化合物(A)との混合物、ここで成分i)とii)との重量比が1000:1〜2:1の範囲である;もしくは
b3)b1)とb2)との任意の混合物;
を含む樹脂成分b)。

【公表番号】特表2012−517491(P2012−517491A)
【公表日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−548646(P2011−548646)
【出願日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際出願番号】PCT/EP2010/051013
【国際公開番号】WO2010/089242
【国際公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【出願人】(504177804)ハンツマン・アドヴァンスト・マテリアルズ・(スイッツランド)・ゲーエムベーハー (43)
【Fターム(参考)】