説明

粉体塗装ブース

【課題】ハンドガンで粉体塗装を行う小型の粉体塗装ブースにおいて、粉体塗料の再使用を可能とし、かつ色替え作業の清掃作業を短時間で行うことができるようにする。
【解決手段】塗装室10と排気フィルター室11とを備える粉体塗装ブースにおいて、塗装室10と排気フィルター室11とを分離し、塗装室110と排気フィルター室11との間に、粉体塗料を回収する回収サイクロン12を設置したことを特徴とする。塗装室10は、ハンドガン13から噴射された粉体塗料が周囲に飛び散らないように囲み、下部背面にオーバースプレー粉を吸引する吸引ダクト16が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、主として、ハンドガンで粉体塗装を行う際に使用する粉体塗装ブースに関するものである。
【背景技術】
【0002】
少量多種の粉体塗装を行う場合には、ハンドガンで粉体塗装を行うことが多い。
ハンドガンを用いて粉体塗装を行う場合、粉体塗料が周囲に飛び散らないように、排気ファンを備えた小型の塗装ブースを使用している。
【0003】
この種の塗装ブースは、図4に示すように、省設置スペース化と製造コストの低減のために、ハンドガン1で塗装を行う塗装室2の背面側に、フィルターボックス3を一体に設けており、塗装室2の上部にはフィルターボックス3の分離フィルター4を介して噴霧気流を吸引する排気ファン5を設置したものであり、例えば、特許文献1にその開示がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−40682号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記構造の塗装ブースは、塗装室2と背面のフィルターボックス3とを一体に形成したものであるから、構造上、粉体塗料を回収し難く、清掃も行い難い。
したがって、色替えを行う場合には、清掃に長時間を要するため、通常は、粉体塗料は再使用することなく、廃棄していることが多い。
【0006】
そこで、この発明は、ハンドガンで塗装を行う小型の塗装ブースにおいて、清掃作業を容易にし、短時間の色替え作業が可能とし、しかも粉体塗料の再使用を可能にすることを課題にするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の課題を解決するために、この発明は、塗装室と排気フィルター室とを分離し、塗装室と排気室との間に、粉体塗料の回収サイクロンを設置したものである。
【発明の効果】
【0008】
この発明に係る塗装ブースは、塗装室と排気フィルター室とを分離し、塗装室と排気フィルター室との間に、粉体塗料の回収サイクロンを設置したので、色替えの際には、清掃が面倒な排気フィルター室は清掃する必要がなく、塗装ブースと回収サイクロンを清掃するだけでよいので、色替え作業を短時間で行える。
【0009】
しかも、粉体塗料は、回収サイクロンによって回収できるので、廃棄塗料が削減され、塗料コストを低減できると共に、資源の無駄による環境を害さないという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】この発明の一実施形態に係る塗装ブースの概略構成図である。
【図2】この発明の他の実施形態に係る塗装ブースの概略構成図である。
【図3】この発明の他の実施形態に係る塗装ブースの概略構成図である。
【図4】従来の塗装ブースの概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
この発明の一実施形態に係る粉体塗装ブースは、図1に示すように、塗装室10と排気フィルター室11とを分離し、塗装室10と排気フィルター室11との間に、粉体塗料の回収サイクロン12を設置している。
【0012】
塗装室10は、ハンドガン13から噴射された粉体塗料Aが周囲に飛び散らないように囲み、下部背面にオーバースプレー粉を吸引する吸引ダクト16が設けられている。
【0013】
塗装室10の吸引ダクト16は、回収サイクロン12の導入管17に接続され、塗装室10のオーバースプレー粉が回収サイクロン12に吸引され、回収サイクロン12で回収されるようになっている。
【0014】
回収サイクロン12は、円筒部12aと逆円錐形のコーン部12bとからなるサイクロン筒と、オーバースプレー粉が混入する被処理空気を旋回流として円筒部の内周壁に沿って導入する導入管17と、コーン部12bの下端に設けられた回収粉体の回収容器18と、コーン部12bの下部で反転し、サイクロン筒の中心部を旋回しながら上昇する、回収粉体を分離した上昇旋回流の排気口19とを有する。コーン部12bには、清掃用窓14を開閉自在に設け、回収サイクロン12を清掃する際に、清掃用窓14を開いて内部を清掃することができるようにしている。
【0015】
回収サイクロン12と排気フィルター室11とは、排気ダクト22を介して接続されている。
【0016】
排気口19から排気ダクト22を介して排気フィルター室11に導入された排気は、バグフィルター等のフィルター20を備える排気フィルター室11によってダストが除去され、清浄空気として排出される。
【0017】
排気フィルター室11には、排気ブロワ21が接続されている。
【0018】
回収サイクロン12のコーン部12bの下端に設けられた回収粉体の回収容器1は、コーン部12bに対して接続金具で着脱自在に取り付けられている。
【0019】
回収容器1に溜まった回収粉は、振動篩機等によって回収粉に混ざったゴミを除去した後、新粉と適宜混合して、再使用される。
【0020】
色替えを行う際には、塗装室10と回収サイクロン12のみをエアーブローすればよい。なお、回収サイクロン12の清掃の際には、清掃用窓14を開くことによって、内部を容易に清掃することができる。
【0021】
次に、図2はこの発明の他の実施形態であり、回収サイクロン12のコーン部12bと下方の回収粉体の回収容器1との間に、振動篩機15とピンチバルブ23を設けている。また、塗装室10は、背面吸引方式のものであり、背面にオーバースプレー粉を吸引する吸引ダクト16を接続している。
【0022】
また、図3の実施形態は、部分回収式の塗装室30を使用する例であり、塗装室30は、背面パネル31と、ホッパー部32とからなる。
【符号の説明】
【0023】
10、30 塗装室
11 排気フィルター室
12 回収サイクロン
12a ホイールハウジング
12b 懸架装置
13 ハンドガン
14 清掃用窓
15 振動篩機
16 吸引ダクト
17 導入管
18 回収容器
19 排気口
20 集塵装置
21 排気ブロワ
22 排気ダクト
23 ピンチバルブ
31 背面パネル
32 ホッパー部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
塗装室と排気フィルター室とを備える粉体塗装ブースにおいて、塗装室と排気フィルター室とを分離し、塗装室と排気フィルター室との間に、粉体塗料の回収サイクロンを設置したことを特徴とする粉体塗装ブース。
【請求項2】
回収サイクロンの下部に、回収容器が着脱自在に接続されている請求項1記載の粉体塗装ブース。
【請求項3】
回収サイクロンの壁面に、清掃用窓を開閉自在に設けたことを特徴とする請求項1又は2記載の粉体塗装ブース。
【請求項4】
排気フィルター室のフィルターがバグフィルターである請求項1〜3のいずれかの項に記載の粉体塗装ブース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−224414(P2011−224414A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−93612(P2010−93612)
【出願日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【出願人】(000117009)旭サナック株式会社 (194)
【Fターム(参考)】