説明

粉体投入方法および容器

【課題】混合容器に粉体を投入する際に、形成される粉じん雲によって発生する電界を、効果的に低減し、かつ、多量の粉体の投入が容易である粉体投入方法および混合容器を実現する。
【解決手段】本発明に係る粉体投入方法は、導電性の混合容器1に可燃性の粉体を投入する粉体投入方法であって、混合容器1の上方に設けられた投入口2から、上下の両端が開口した導電性の中空部材である投入シュート5を、混合容器1内に挿入する工程と、混合容器1および投入シュート5を接地状態にする工程と、投入シュート5の上端から上記粉体を投入する工程と、混合容器1に上記粉体を投入した後に、投入シュート5を混合容器1から抜き取る工程とを含み、投入シュート5は、側面に貫通穴を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気雰囲気下で、可燃性の粉体が内部に投入される容器、または可燃性の粉体を容器の内部に投入する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
医薬または食品等の粉体を混合する場合、専用の混合容器に粉体を投入し、混合容器内で粉体を混合することが一般的に行われている。粉体を貯蔵していた貯蔵容器または粉体を輸送するための輸送容器から混合容器に粉体を投入する際には、一般に粉体供給装置が用いられる。粉体供給装置としては、バケットコンベア、吸引輸送機、圧送輸送機等が挙げられる。
【0003】
図3は、従来の混合容器内に粉体を投入する構成例の概略を示す模式図である。図3では部分的に内部を透過して描いている。貯蔵容器101は粉体を貯蔵している。空気輸送機102は、吸引式の空気輸送機であり、その投入口102aが混合容器103の上部に設けられた開口部103aに差し込まれるように配置される。貯蔵容器101に貯蔵されていた粉体は、空気輸送機102に吸引されて空気輸送機102に輸送される。空気輸送機102に輸送された粉体は、所定の量が貯まると、まとめて投入口102aから混合容器103内に投入される。このとき、混合容器103の中で粉体が飛散して粉じん雲が形成されることがある。可燃性の粉体を取り扱う場合、このような粉じん雲の内部に発生する電界は、小さい方が望ましい。具体的には、帯電雲の規模の直径が0.7mを超えないように管理することが望ましい(非特許文献1の89頁)。なお、粉体を投入した後、空気輸送機102を取り除き、混合容器ごと粉体を回転させる、または混合容器の内部に設けられた回転翼等を回転させることにより、粉体を混合する。
【0004】
特許文献1には、混合物を取り出す際の比重分離(偏析)を防止するために、内部に平板を配置した混合容器が開示されている。
【0005】
特許文献2には、混合物の偏析を防止するために、容器内に取り外し可能な仕切り板を配置し、容器内に混合物(混合後の粉体)を投入する構成が開示されている。
【0006】
特許文献3には、着色剤および樹脂を含む粒子と、荷電制御剤粒子とを混合する電子写真用トナーの製造方法が開示されている。これによれば、混合容器の上部に筒状部材を配置することで、混合容器の内部で回転する攪拌羽根によって放出された被処理物を、筒状部材の内面で受け止めて被処理物の運動エネルギーを低下させ、被処理物を下方の攪拌羽根に再供給する。
【0007】
特許文献4には、開口部を有する蓋を備える混合容器が開示されている。これによれば、開口部の存在により、混合容器内の温度上昇を抑制することができる。また、蓋の開口部には、筒状被覆部を有するので、混合容器を傾けて回転させても、内容物が漏れ出るおそれがない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平2−56228号公報(1990年2月26日公開)
【特許文献2】特開平8−72820号公報(1996年3月19日公開)
【特許文献3】特開2002−268277号公報(2002年9月18日公開)
【特許文献4】特開2008−136973号公報(2008年6月19日公開)
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】独立行政法人 労働安全衛生総合研究所、「労働安全衛生総合研究所技術指針 静電気安全指針2007」、社団法人産業安全技術協会、平成19年6月1日
【非特許文献2】静電気学会、「新版 静電気ハンドブック」、第1版、株式会社オーム社、平成10年11月25日
【非特許文献3】増田閃一、「最近の静電気工学」、高圧ガス保安協会、昭和49年7月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
直径が0.7mを超える幅の混合容器では、形成される粉じん雲の直径が0.7mより大きくなる可能性がある。混合容器内に形成される粉じんによって発生する電界を小さくするために、混合容器内に接地された導電性の仕切りを配置し、粉じん雲の空間的広がりを制限すること有効である。
【0011】
しかしながら、特許文献1に記載の構成では、仕切り板が接地されていることおよび導電性を有することは記載されていない。また、仕切り板は容器から混合物を排出するときに用いるものであり、また、粉じんが飛散する容器の上部には設けられていない。そのため、粉体を投入するときに発生する粉じん雲による電界を小さくすることはできない。
【0012】
特許文献2に記載の構成では、仕切り板が接地されていることおよび導電性を有することは記載されていない。また、粉体の投入時に、粉じんが飛散する容器の上部には仕切り板がない。そのため、粉体を投入するときに発生する粉じん雲による電界を小さくすることはできない。また、特許文献2に記載の仕切り板を用いるためには、容器は仕切り板より大きい開口部を有する必要がある。また、仕切り板および筒体の外側の領域には粉体を投入することができない。
【0013】
特許文献3に記載の構成では、筒状部材が接地されていることおよび導電性を有することは記載されていない。また、特許文献3に記載の構成は、容器槽底に攪拌羽根を配置した混合機であり、容器混合機等の容器回転型混合機の場合、容器の上部から内部に伸びる筒状部材は、混合効率を低下させることになるので、適さない場合がある。また、容器内の筒状部材の下端より上には、粉体を投入することができない。
【0014】
特許文献4に記載の構成では、蓋に設けられた筒状被覆部が接地されていることは記載されていない。また、粉体の投入時には蓋を取り外して投入するため、粉体を投入するときに発生する粉じん雲による電界を小さくすることはできない。たとえ蓋を取り付けた状態で開口部から粉体を投入するとしても、筒状被覆部が短い場合、容器の上部に発生する粉じん雲による電界を小さくすることはできず、筒状被覆部が長い場合、容器内の筒状被覆部の下端より上には、粉体を投入することができなくなる。
【0015】
このように、従来の技術では、混合容器に粉体を投入する際に形成される粉じん雲によって発生する電界を、効果的に低減することができない。
【0016】
また、粉じん雲の内部に発生する電界を小さくするために、粉じん雲を構成する粒子の帯電量を小さくしてもよい。例えば、粉体の帯電防止方法には、加湿、極性溶剤の添加等による粉体の抵抗率の低下、帯電列を考慮した材料の選定、取り扱い規模・速度の制限、大粒径粉体への変換、除電器による除電等が知られている(非特許文献2の292頁)。
【0017】
しかしながら、高い相対湿度の下では取り扱いができない粉体がある。また、取り扱いの時の相対湿度ならびに溶剤の種類および含有率が制約され、例えば容器内で粉体を乾燥させることができなくなる。
【0018】
帯電列の観点から粉体に対し静電気が発生しにくい材質で容器および空気輸送機等を製作することは、容器の材質の制約が発生するため好ましくない。
【0019】
また、粉体の取り扱い規模や粉体を投入する速度を制限すると生産能力が制限されるという問題が発生する。
【0020】
大粒径粉体への変換については、特に医薬業界において、製品の効用を得るために容器内において微粉状態で取り扱うことも多く、困難な場合が多い。
【0021】
除電器を容器に設置した場合は、コストアップにつながるという問題がある。
【0022】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、混合容器に粉体を投入する際に、形成される粉じん雲によって発生する電界を、効果的に低減し、かつ、容易に多量の粉体を投入することができる粉体投入方法および混合容器を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明に係る粉体投入方法は、導電性の容器に可燃性の粉体を投入する粉体投入方法であって、上記の課題を解決するために、上記容器の上方に設けられた開口部から、上下の両端が開口した導電性の中空部材を、上記容器内に挿入する工程と、上記容器および上記中空部材を接地状態にする工程と、上記中空部材の上端から上記容器内に上記粉体を投入する工程と、上記容器に上記粉体を投入した後に、上記中空部材を上記容器から抜き取る工程とを含み、上記中空部材は、側面に貫通穴を有することを特徴としている。
【0024】
本発明に係る容器は、可燃性の粉体を内部で取り扱う導電性の容器であって、上記の課題を解決するために、上記容器の上方に設けられた開口部と、上記開口部に着脱可能であり、上下の両端が開口した、側面に貫通穴を有する導電性の中空部材とを備え、上記中空部材は、上記容器内に挿入され、かつ、接地された状態で、上記開口部に取り付けることができることを特徴としている。
【0025】
上記の構成によれば、接地された中空部材と容器とにより、容器の内部の空間が制限される。よって、投入された粉体が飛散し、容器の内部で粉じん雲を形成した場合でも、粉じん雲の空間的広がりを制限することができる。それゆえ、帯電し飛散した粉体によって発生する電界を小さく制限することができる。また、中空部材の側面の貫通穴から容器内に粉体を供給することができるので、一度に多量の粉体を投入することができる。
【0026】
また、上記容器から上記中空部材を抜き取った状態において、上記容器の内側に配置できる最大の仮想的な球体の直径が0.7mより大きく、かつ、上記容器に上記中空部材を挿入した状態においては、上記容器の内側に配置できる最大の仮想的な球体の直径が0.7mを超えないよう、構成してもよい。
【0027】
上記の構成によれば、非特許文献1に記載された、帯電雲からのブラシ放電を防止する為には、帯電雲の規模が直径0.7mを超えない、または帯電雲内の平均電界が1kV/cmを超えないようにする、という指標の少なくとも一方を実質的に満足しつつ、容器を大きくすることができる。それゆえ、着火性静電気放電の発生を抑制し、かつ、容器の処理能力を向上させることができる。
【0028】
上記粉体は体積抵抗率が10Ω・m以上であってもよい。
【0029】
上記の構成によれば、粒子の体積抵抗率が10Ω・m以上の、帯電しやすい粒子雲が発生する場合でも、電界強度を低減して粉体を取り扱うことができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明に係る粉体投入方法は、導電性の容器の上方に設けられた開口部から、上下の両端が開口した導電性の中空部材を、上記容器内に挿入する工程と、上記容器および上記中空部材を接地状態にする工程と、上記中空部材の上端から上記容器内に可燃性の粉体を投入する工程と、上記容器に上記粉体を投入した後に、上記中空部材を上記容器から抜き取る工程とを含み、上記中空部材は側面に貫通穴を有することを特徴としている。
【0031】
よって、投入された粉体が飛散し、容器の内部で粉じん雲を形成した場合でも、粉じん雲の空間的広がりを制限することができる。それゆえ、帯電し飛散した粉体によって発生する電界を小さく制限することができる。また、中空部材の側面の貫通穴から容器内に粉体を供給することができるので、一度に大量の粉体を投入することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】(a)は、本発明の実施の形態における混合容器の構成を示す平面図であり、(b)は、(a)のA−A切断面を示す断面図である。
【図2】本発明の実施の形態における粉体の投入方法の工程を示すフロー図である。
【図3】従来の混合容器内に粉体を投入する構成例の概略を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の実施の形態について、図1〜図2を参照しながら詳細に説明する。
【0034】
図1(a)は、本実施の形態における混合容器(容器)1の構成を示す平面図であり、図1(b)は、図1(a)のA−A切断面を示す断面図である。混合容器1は、角形の容器であり、下部が四角錐の形状になっている。混合容器1は、上方に粉体を投入するための投入口(開口部)2を備え、下方に混合した粉体を取り出すための取出口3を備える。また、混合容器1は、上部の四隅に、混合容器1を保持するための保持部4を備える。混合容器1は、金属等の導電性の材質からなり、接地されている。
【0035】
混合容器1に粉体を投入する際には、図1(b)に示すように、混合容器1の投入口2に、投入シュート5が取り付けられる。投入シュート5は、導電性の材質からなる円筒形状の中空部材であり、円筒の上下の両端は開口している。なお、投入シュート5の材質としては、導電性を有していればよく、金属の他に、例えば導電性の繊維が編み込まれた布、導電性の繊維を含む布(不織布を含む)、および導電性樹脂を用いることができ、特にステンレスおよびアルミニウム等の金属を好適に用いることができる。
投入シュート5は、その円筒の側面に長方形の貫通穴6を複数有する。この複数の貫通穴6は、投入シュート5の側面の、異なる高さの位置に設けられている。投入シュート5は、上端にフランジ部7を備える。投入シュート5は、混合容器1内に挿入され、フランジ部7が、混合容器1の投入口2を覆うように投入口2の上に載せられることによって、投入シュート5の取り付けが行われる。なお、フランジ部7は、ねじ等により一時的に混合容器1に結合され、固定されてもよい。また、投入シュート5は、混合容器1に接触することにより電気的に接続され、接地されている。
【0036】
混合容器1に投入された粉体を混合する際には、投入シュート5は混合容器1から抜き取られ、混合容器1の投入口2に蓋(図示せず)が取り付けられる。そして、混合容器1の保持部4が回転装置(図示せず)に固定され、回転装置が混合容器1を回転させることにより、混合容器1の内部の粉体を混合する。混合された粉体は、取出口3に設けられた弁を開けることによって混合容器1から取り出される。
【0037】
図2は、本実施の形態における粉体の投入方法の工程を示すフロー図である。
【0038】
まず、投入口2から混合容器1の中に投入シュート5を挿入する(S1)。
【0039】
投入シュート5を混合容器1に電気的に接続し、投入シュート5および混合容器1を接地状態にする(S2)。なお、投入シュート5の接地は、投入シュート5の導電部分を直接、混合容器1の導電部分に接触させることにより行ってもよいし、投入シュート5と、混合容器とは別に設けられたアースとを導線によって接続することによって行ってもよい。また、投入シュート5を混合容器1に挿入する前から投入シュート5を接地状態にしていてもよい。
【0040】
投入シュート5の上端の開口部から粉体を混合容器1の中に投入する(S3)。投入された粉体は、投入シュート5の下端の開口部および側面の貫通穴から混合容器1内に供給される。
【0041】
粉体の投入が終わると、投入シュート5を混合容器1から抜き取る(S4)。
【0042】
その後、混合容器1の投入口2に蓋を取り付け、回転装置等を使用して、混合容器1の中の粉体を混合する(S5)。
【0043】
ところで、粉じん雲から発生する着火性静電気放電として、ブラシ放電およびストリーマ放電等が挙げられる。非特許文献1の23頁によれば、ブラシ放電は帯電物体の表面電荷密度が3μC/m以上で表面電界が5kV/cm以上のときに起こるとされている。また、非特許文献3の48頁には、ストリーマ放電が発生するための条件として、(1)ストリーマの進行条件として、想定された放電路に沿って2.7〜5kV/cm程度以上の平均電界強度が存在することと、(2)放電始発条件として、放電路の少なくとも1ヵ所において引き金として空気の絶縁破壊電界強度が存在することとが記載されている。つまり、着火性静電気放電を防止するためには、発生する電界の大きさを所定値以下に抑制する必要がある。
【0044】
また、文献「安全工学」(編者:安全工学協会、平成8年8月15日、Vol.35、No.4(1996)、p.292)には、半径rの球の中に空間電荷が一様に分布している時の電界Eの計算方法が記載されている(下記式(1)参照)。
【0045】
【数1】

【0046】
式(1)は、半径rが小さい場合、すなわち発生する帯電雲の大きさを小さく抑制できれば、空間に発生する電界の大きさも抑制することが出来ることを意味している。
【0047】
本実施の形態では、空気輸送機(図示せず)が投入シュート5の上端開口部から投入シュート5を通して粉体を投入することにより、混合容器1内に粉体を投入する。投入された粉体は混合容器1内で飛散して混合容器1内の上部で粉じん雲を形成するが、接地された導電性の投入シュート5が、帯電した媒質(粉じん)の連続性を遮断する。よって、粉じん雲の空間的広がりは制限される。そのため、投入シュート5は、粉じん雲に含まれる帯電粒子によって発生する電界(容器の内壁付近における電界)を小さく制限し、着火性静電気放電が発生する可能性を低減することができる。
【0048】
非特許文献1(89頁)によれば、帯電雲の規模の直径が0.7mを超えないように管理することが望ましいとされている。そのため、本実施の形態の投入シュート5を使用して粉体を投入する方法は、混合容器内に形成される帯電雲(粉じん雲)の直径が0.7mを超える場合、すなわち、混合容器の内側の空間に配置できる最大の仮想的な球体の直径が0.7mを超える場合に、特に有効である。
【0049】
図1(a)および図1(b)に示す混合容器1の縦横の幅を1100mm、上部の角形の部分の高さを731mm、四角錐の部分の高さを564mmとした場合に、直径700mmの球(円)の大きさを、二点鎖線で図1(a)および図1(b)に示している。なお、四角錐の側面の角度は50°である。なお、投入シュート5の幅は200mm、投入シュート5の混合容器1内に挿入された長さ(高さ)は約800mmである。このように、混合容器1内(混合容器1の内壁と投入シュート5によって規定される空間)に所定の大きさ(直径700mm)を超える仮想的な球体が配置できないように投入シュート5を配置(挿入)することにより、混合容器1内に形成される帯電雲の規模を小さくして、空間に発生する電界を小さくすることができる。
【0050】
また、粉じんを構成する粒子の体積抵抗率が10Ω・m以上である場合(非特許文献1の56頁参照)、上記粒子が大きく帯電する可能性が考えられる。容器内部に大きく帯電した粒子雲が存在すると、空間電荷密度が大きくなり、あわせて電界強度も大きくなる。したがって、着火性静電気放電が発生する可能性が高くなるため、その可能性を低減するために、空間の電界をより小さくすることが望ましい。そのため、このような粉体を取り扱う場合には、本実施の形態の混合容器を特に好適に用いることができる。
【0051】
このように、投入シュートを備える本発明に係る混合容器は、内側の水平方向の直径および/または高さが0.7mを超える場合に好適に用いることができる。本発明に係る混合容器は、拡散式ミキサー、または対流式ミキサーであってもよいが、特に、混合容器内に大きな空間を有し、混合容器ごと回転させるタイプの混合容器(フロービン)への応用に適している。
【0052】
なお、投入シュートが側面に貫通穴を有していない場合、混合容器に投入できる粉体の量は、投入シュートの下端までとなってしまい、投入シュートが長い場合、混合容器1が一度に処理できる粉体の量が少なくなってしまう。逆に、投入シュートが短い場合、混合容器1に大きな空間ができてしまい、粉じん雲によって発生する電界の低減効果が期待できなくなる。
【0053】
本実施の形態の投入シュート5は、側面に複数の貫通穴6を有するため、投入された粉体は、貫通穴6を通って混合容器1の中に充填されうる。そのため、投入シュート5を混合容器1の中にまで挿入しても、粉体の投入を妨げることはない。また、粉体の投入後は投入シュートを取り外すことができるので、混合を妨げることもなく、混合容器の洗浄も容易に行うことができる。
【0054】
<変形例>
なお、投入シュートの中空部材の断面形状は円形ではなく、角形であってもよく、その他の形状であってもよい。また、投入シュートの側面に形成されている貫通穴の形状および配置も任意である。例えば、複数の貫通穴を投入シュートの異なる高さの位置に設けてもよいし、同じ高さの位置に設けてもよい。また、混合容器の形状も任意であるが、本発明は、投入シュートを挿入しない状態で、内部に直径0.7mの仮想的な球体が配置できる大きさを有する混合容器に好適に適用できる。
【0055】
また、本発明は、混合容器に限らず、大型の容器(内部に直径0.7mの仮想的な球体が配置できるような容器)に可燃性の粉体を投入する場合に利用することができる。
【0056】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明は、粉体を投入する混合容器、および粉体を混合容器に投入する方法に利用することができる。
【符号の説明】
【0058】
1 混合容器(容器)
2 投入口(開口部)
3 取出口
4 保持部
5 投入シュート(中空部材)
6 貫通穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性の容器に可燃性の粉体を投入する粉体投入方法であって、
上記容器の上方に設けられた開口部から、上下の両端が開口した導電性の中空部材を、上記容器内に挿入する工程と、
上記容器および上記中空部材を接地状態にする工程と、
上記中空部材の上端から上記容器内に上記粉体を投入する工程と、
上記容器に上記粉体を投入した後に、上記中空部材を上記容器から抜き取る工程とを含み、
上記中空部材は、側面に貫通穴を有することを特徴とする粉体投入方法。
【請求項2】
上記容器から上記中空部材を抜き取った状態において、上記容器の内側に配置できる最大の仮想的な球体の直径が0.7mより大きく、かつ、上記容器に上記中空部材を挿入した状態においては、上記容器の内側に配置できる最大の仮想的な球体の直径が0.7mを超えないことを特徴とする請求項1に記載の粉体投入方法。
【請求項3】
上記粉体は体積抵抗率が10Ω・m以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の粉体投入方法。
【請求項4】
可燃性の粉体を内部で取り扱う導電性の容器であって、
上記容器の上方に設けられた開口部と、
上記開口部に着脱可能であり、上下の両端が開口した、側面に貫通穴を有する導電性の中空部材とを備え、
上記中空部材は、上記容器内に挿入され、かつ、接地された状態で、上記開口部に取り付けることができることを特徴とする容器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2012−121588(P2012−121588A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−272457(P2010−272457)
【出願日】平成22年12月7日(2010.12.7)
【出願人】(000002912)大日本住友製薬株式会社 (332)
【Fターム(参考)】