粉体搬送量測定装置及びこれを用いた現像装置、画像形成装置
【課題】粉体保持体上の帯電された状態の粉体の粉体搬送量が簡単な構成で精度よく求める。
【解決手段】粉体保持体3と、この粉体保持体3と対向して設けられる導電性の電極部材4と、粉体保持体3から離れた位置に設けられ、電極部材4を一方の導電層とし且つ電極部材4の粉体保持体3側に絶縁層6を介して導電層7を形成することで電位が変化する電圧を印加したときに一時的に電荷が蓄積可能に構成される蓄電要素5と、粉体保持体3と電極部材4との間に粉体Dが介在された状態で予め決められた時間だけ予め決められた電位の電圧を印加する電圧印加手段8と、この電圧印加手段8による電圧の印加開始に伴って蓄電要素5に蓄積された電荷の時間変化に相当する電気的特性を検知する特性検知手段9と、検知された電気的特性に基づいて蓄積された電荷量の大きさに対応する電気特性値を割り出し、粉体保持体3上の粉体搬送量を算出する算出手段10と、を備える。
【解決手段】粉体保持体3と、この粉体保持体3と対向して設けられる導電性の電極部材4と、粉体保持体3から離れた位置に設けられ、電極部材4を一方の導電層とし且つ電極部材4の粉体保持体3側に絶縁層6を介して導電層7を形成することで電位が変化する電圧を印加したときに一時的に電荷が蓄積可能に構成される蓄電要素5と、粉体保持体3と電極部材4との間に粉体Dが介在された状態で予め決められた時間だけ予め決められた電位の電圧を印加する電圧印加手段8と、この電圧印加手段8による電圧の印加開始に伴って蓄電要素5に蓄積された電荷の時間変化に相当する電気的特性を検知する特性検知手段9と、検知された電気的特性に基づいて蓄積された電荷量の大きさに対応する電気特性値を割り出し、粉体保持体3上の粉体搬送量を算出する算出手段10と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉体搬送量測定装置及びこれを用いた現像装置、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、現像スリーブ上の層形成ローラによって規制された現像剤層に対し、現像スリーブに対向配置される電極との間に直流電圧を印加し、現像剤を流れる電流から層形成ローラの回転数を変化させて現像剤量を調整する方式が開示されている。
また、特許文献2には、現像スリーブ上の層形成ローラによって規制された現像剤層に対し、現像スリーブに対向配置される従動ローラの回転数によって現像剤搬送量を算出し、この算出結果に基づいて所望の現像剤搬送量になるように層形成ローラの回転数を変化させる方式が開示されている。
更に、特許文献3には、現像ロール上のトナー層厚を帯電シートとの間のトナーの静電容量から算出する方式が開示されている。
更にまた、特許文献4には、現像スリーブと電極部材との間の現像剤に対して現像バイアスが印加されたときの電流から現像バイアスのデューティ比を変化させる方式が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−300988号公報(発明を実施するための最良の形態、図2)
【特許文献2】特開2000−47488号公報(発明を実施するための最良の形態、図2)
【特許文献3】特開2007−57719号公報(実施の形態2、図7)
【特許文献4】特開平10−232539号公報(発明の実施の形態、図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、粉体保持体上の帯電された状態の粉体の粉体搬送量が簡単な構成で精度よく求められる粉体搬送量測定装置及びこれを用いた現像装置、画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に係る発明は、帯電された粉体を保持して搬送する粉体保持体と、この粉体保持体と対向して設けられる導電性の電極部材と、前記粉体保持体から離れた位置に設けられ、前記電極部材を一方の導電層とし且つ当該電極部材の粉体保持体側に絶縁層を介して導電層を形成することで電位が変化する電圧を印加したときに一時的に電荷が蓄積可能に構成される蓄電要素と、前記粉体保持体と前記電極部材との間に粉体が介在された状態で予め決められた時間だけ予め決められた電位の電圧を印加する電圧印加手段と、この電圧印加手段にて前記電圧が印加されたときに電圧の印加開始に伴って前記蓄電要素に蓄積された電荷の時間変化に相当する電気的特性を検知する特性検知手段と、この特性検知手段にて検知された電気的特性に基づいて蓄積された電荷量の大きさに対応する電気特性値を割り出し、この電気特性値の大きさに応じて前記粉体保持体上の粉体搬送量を算出する算出手段と、を備えることを特徴とする粉体搬送量測定装置である。
【0006】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る粉体搬送量測定装置において、前記特性検知手段は、前記蓄電要素に流れる電流を検知する電流検知手段であり、前記算出手段は、この電流検知手段にて検知される電流の変化に基づいて、電流の時間的な積算量若しくは電流ピークに相当する電気特性値を割り出し、この電気特性値の大きさに応じて前記粉体保持体上の粉体搬送量を算出するようにしたことを特徴とする粉体搬送量測定装置である。
請求項3に係る発明は、請求項1に係る粉体搬送量測定装置において、前記特性検知手段は、前記蓄電要素の一対の導電層間に作用する電圧を検知する電圧検知手段であり、前記算出手段は、この電圧検知手段にて検知される電圧の変化に基づいて、電圧の変化開始から予め決められた時間経過後の電圧に相当する電気特性値を割り出し、この電気特性値の大きさに応じて粉体保持体上の粉体搬送量を算出するようにしたことを特徴とする粉体搬送量測定装置である。
【0007】
請求項4に係る発明は、請求項1乃至3のいずれかに係る粉体搬送量測定装置を含み、前記粉体保持体が粉体としての現像剤を保持して搬送する回転可能な現像剤保持体であることを特徴とする現像装置である。
請求項5に係る発明は、請求項4に係る現像装置において、前記算出手段は、前記現像剤保持体を回転させた後に停止させて前記現像剤保持体上の現像剤搬送量を算出するものであることを特徴とする現像装置である。
請求項6に係る発明は、請求項4又は5に係る現像装置において、前記電極部材より現像剤保持体の回転方向に沿う上流側部位にて前記現像剤保持体に対応して設けられ、当該現像剤保持体上の現像剤搬送量を規制する層規制手段を備えることを特徴とする現像装置である。
請求項7に係る発明は、請求項6に係る現像装置のうち現像剤がトナー及びキャリアを含む二成分現像剤である態様において、前記層規制手段は、前記現像剤保持体に対して離れて移動可能に配置され且つ当該現像剤保持体上の現像剤搬送量を変化可能に規制する層規制部材と、前記現像剤保持体上の現像剤搬送量を可変するように前記層規制部材の移動状態を制御する制御手段と、を備えることを特徴とする現像装置である。
請求項8に係る発明は、請求項7に係る現像装置において、前記層規制部材は、前記現像剤保持体との対向部位で現像剤保持体と同方向に回転し且つ回転速度が可変な回転部材であり、前記制御手段は、前記現像剤保持体上の現像剤搬送量を増加させるときに前記層規制部材の回転速度を増加前の回転速度より速めるように制御するものであることを特徴とする現像装置である。
請求項9に係る発明は、請求項8に係る現像装置において、現像された画像の現像剤濃度を判別する濃度判別手段と、環境条件を判別する環境判別手段と、を更に備え、前記制御手段は、現像剤濃度及び環境条件と現像剤搬送量の予め決められた目標値とを対応付けて記述した対応表を有しており、前記濃度判別手段及び前記環境判別手段による判別結果から、現像剤搬送量が前記対応表の目標値になるように前記層規制部材の回転速度を制御することを特徴とする現像装置である。
請求項10に係る発明は、請求項6に係る現像装置において、前記算出手段にて算出された現像剤搬送量が予め決められた許容範囲内にあるか否かを判別する判別手段と、前記判別手段にて現像剤搬送量が予め決められた許容範囲内にないと判別された場合当該現像剤の交換を促すようにユーザーに告知する告知手段と、を備えることを特徴とする現像装置である。
【0008】
請求項11に係る発明は、請求項6に係る現像装置のうち現像剤がトナー及びキャリアを含む二成分現像剤である態様において、予め決められた初期の現像剤搬送量は、前記蓄電要素と前記現像剤保持体との対向部位で現像剤が前記蓄電要素のうち前記現像剤保持体側の導電層に接触する量に設定されていることを特徴とする現像装置である。
請求項12に係る発明は、請求項7に係る現像装置において、予め決められた初期の現像剤搬送量は、前記蓄電要素と前記現像剤保持体との対向部位で現像剤が前記蓄電要素のうち前記現像剤保持体側の導電層に接触しない量に設定され、この設定された現像剤搬送量で使用し、前記現像剤保持体の現像剤搬送量が測定される場合には、現像剤が前記蓄電要素のうち前記現像剤保持体側の導電層に接触するように使用時の現像剤搬送量から一旦増量させ、現像剤搬送量が測定された後、前記使用時の現像剤搬送量に戻すようにすることを特徴とする現像装置である。
請求項13に係る発明は、請求項11又は12に係る現像装置において、現像剤搬送量を測定した後、前記蓄電要素と前記現像剤保持体との対向部位で現像剤が前記蓄電要素のうち前記現像剤保持体側の導電層に接触する量である状態で、現像剤中のトナーが現像剤保持体側に吸引される方向の電界を前記現像剤保持体に作用させて前記蓄電要素のうち前記現像剤保持体側の導電層に付着したトナーを現像剤保持体側に回収する回収手段を有することを特徴とする現像装置である。
【0009】
請求項14に係る発明は、潜像を保持する像保持体と、この像保持体に対向するように設けられる請求項4乃至13のいずれかに係る現像装置と、を備えることを特徴とする画像形成装置である。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に係る発明によれば、本構成を有さない場合に比べて、帯電された状態の粉体を保持して搬送する粉体保持体上の粉体搬送量が簡単な構成で精度よく求められる。
請求項2に係る発明によれば、本構成を有さない場合に比べて、粉体搬送量を容易に測定することができる。
請求項3に係る発明によれば、本構成を有さない場合に比べて、粉体搬送量を容易に測定することができる。
請求項4に係る発明によれば、本構成を有さない場合に比べて、現像剤を保持して搬送する現像剤保持体上の現像剤搬送量が簡単な構成で精度よく求められる。
請求項5に係る発明によれば、本構成を有さない場合に比べて、現像剤保持体上の現像剤搬送量をより精度よく求めることができる。
請求項6に係る発明によれば、本構成を有さない場合に比べて、現像剤保持体上の安定した現像剤搬送量を求めることができる。
請求項7に係る発明によれば、本構成を有さない場合に比べて、現像剤保持体上の現像剤搬送量を変化させることができる。
請求項8に係る発明によれば、本構成を有さない場合に比べて、現像剤保持体上の現像剤搬送量を適正な値に容易に調整することができる。
請求項9に係る発明によれば、本構成を有さない場合に比べて、現像剤濃度や環境条件に合った現像剤搬送量に調整することができる。
請求項10に係る発明によれば、本構成を有さない場合に比べて、現像剤の劣化状況が容易に判断され、ユーザーによる適正な交換が可能になる。
請求項11に係る発明によれば、本構成を有さない場合に比べて、蓄電要素の汚れ防止を図りながら、安定した精度のよい現像剤搬送量を求めることができる。
請求項12に係る発明によれば、本構成を有さない場合に比べて、蓄電要素の汚れ防止を図りながら、長期に亘って精度のよい現像剤搬送量を求めることができる。
請求項13に係る発明によれば、本構成を有さない場合に比べて、蓄電要素が清浄化されると共に現像剤搬送量の測定が一層安定して行われるようになる。
請求項14に係る発明によれば、本構成を有さない場合に比べて、現像剤を保持して搬送する現像剤保持体上の現像剤搬送量が簡単な構成で精度よく求められる画像形成装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明が適用された粉体搬送量測定装置を用いた現像装置の実施の形態モデルの概要を示す説明図である。
【図2】実施の形態モデルでの現像剤搬送量が少ない場合の作用を示す説明図である。
【図3】実施の形態モデルにて、図2より現像剤搬送量が多い場合の作用を示す説明図である。
【図4】実施の形態モデルにて、図3より現像剤搬送量が多い場合の作用を示す説明図である。
【図5】実施の形態モデルにて、図4より現像剤搬送量が多い場合の作用を示す説明図である。
【図6】比較モデルでの現像剤搬送量が少ない場合の作用を示す説明図である。
【図7】比較モデルにて、図6より現像剤搬送量が多い場合の作用を示す説明図である。
【図8】比較モデルにて、図7より現像剤搬送量が多い場合の作用を示す説明図である。
【図9】実施の形態1の画像形成装置の概要を示す説明図である。
【図10】実施の形態1の現像装置の概要を示す説明図である。
【図11】実施の形態1の制御装置での制御フローを示すフローチャートである。
【図12】対応表の一例を示す説明図である。
【図13】(a)〜(c)は現像剤搬送量を変化させた場合の電流波形の変化を示す説明図である。
【図14】(a)〜(c)は現像剤搬送量を変化させた場合の電圧波形の変化を示す説明図である。
【図15】変形例として、現像剤が帯電要素に接触していない場合の制御フローを示すフローチャートである。
【図16】実施の形態2の現像装置の概要を示す説明図である。
【図17】実施の形態2の制御装置での制御フローを示すフローチャートである。
【図18】実施の形態3の現像装置の概要を示す説明図である。
【図19】実施例の結果を示すグラフである。
【図20】比較例の結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
◎実施の形態の概要
先ず、本発明が適用された粉体搬送量測定装置を用いた現像装置の実施の形態の概要について説明する。
図1は、本発明を具現化する実施の形態モデルに係る粉体搬送量測定装置が用いられた現像装置2の概要を示すものであって、潜像を保持する像保持体1に対向するように配置されている。
【0013】
同図において、粉体搬送量測定装置は、帯電された粉体Dを保持して搬送する粉体保持体3と、この粉体保持体3と対向して設けられる導電性の電極部材4と、粉体保持体3から離れた位置に設けられ、電極部材4を一方の導電層とし且つ電極部材4の粉体保持体3側に絶縁層6を介して導電層7を形成することで電位が変化する電圧を印加したときに一時的に電荷が蓄積可能に構成される蓄電要素5と、粉体保持体3と電極部材4との間に粉体Dが介在された状態で予め決められた時間だけ予め決められた電位の電圧を印加する電圧印加手段8と、この電圧印加手段8にて前記電圧が印加されたときに電圧の印加開始に伴って蓄電要素5に蓄積された電荷の時間変化に相当する電気的特性を検知する特性検知手段9と、この特性検知手段9にて検知された電気的特性に基づいて蓄積された電荷量の大きさに対応する電気特性値を割り出し、この電気特性値の大きさに応じて粉体保持体3上の粉体搬送量を算出する算出手段10と、を備えている。
【0014】
ここで、粉体保持体3は、ロール状、ベルト状いずれであっても差し支えない。また、蓄電要素5は電荷の蓄積がなされるものであればよく、通常一つの絶縁層6を電極板(導電層)で挟む構成のものであるが、絶縁層6の層数は特に限定されず、複数層備えるものであってもよく、全体として蓄電要素5として機能するものであればよい。更に、電極部材4とは別に、蓄電要素5の電極部材4側の導電層を設けるようにしても差し支えない。更にまた、蓄電要素5の粉体保持体3側に面する導電層7側に他の導電部材を設けることは差し支えない。
【0015】
そして、電極部材4としては、固定して配置される態様であってもよいし、例えば粉体Dの動きに合わせて回転するような態様であっても差し支えない。電極部材4が固定して配置される態様にあっては、蓄電要素5としては平板状や弧状等が選定され、一方、電極部材4が回転する態様にあっては、電極部材4はロール状又はベルト状いずれでもよく、この場合の蓄電要素5としては電極部材4と共にその周面に沿って層状に設けられればよい。尚、粉体搬送量をより安定して算出する観点からすれば、電極部材4は固定して配置される方が好ましい。
【0016】
また、電圧印加手段8にて印加される電圧は、ゼロから予め決められた大きさの電圧にしてもよいし、他の電圧値から変化させるようにしてもよく、要は大きさ(電位)の異なる電圧に変化させることを意味する。また、電位の大きさを一定とはせずに、例えば環境条件等を加味して、選択する電位を決めるようにしてもよい。
更に、粉体保持体3上の粉体搬送量を測定する際、繰り返して測定を行い、その平均値を求めて、この平均値を粉体搬送量とするようにしてもよい。
【0017】
そして、このような粉体搬送量測定装置の具体的な態様としては、次の二つの態様が挙げられる。第一の態様は、特性検知手段9は、蓄電要素5に流れる電流を検知する電流検知手段であり、算出手段10は、この電流検知手段にて検知される電流の変化に基づいて、電流の時間的な積算量若しくは電流ピークに相当する電気特性値を割り出し、この電気特性値の大きさに応じて粉体保持体3上の粉体搬送量を算出するようにしたものが挙げられる。このとき、電流検知手段としては、流れる電流が検知できるものであればよく、例えば電流自体を電圧に変換して検知することも含まれる。
【0018】
また、第二の態様としては、特性検知手段9は、蓄電要素5の一対の導電層(具体的には4,7)間に作用する電圧を検知する電圧検知手段であり、算出手段10は、この電圧検知手段にて検知される電圧の変化に基づいて、電圧の変化開始から予め決められた時間経過後の電圧に相当する電気特性値を割り出し、この電気特性値の大きさに応じて粉体保持体3上の粉体搬送量を算出するようにしたものが挙げられる。
【0019】
このような粉体搬送量測定装置を現像装置2にて現像剤を保持する現像剤保持体上の現像剤搬送量を測定する装置として用いるには、上述の粉体搬送量測定装置を含み、粉体保持体3を粉体Dとしての現像剤Dを保持して搬送する回転可能な現像剤保持体3とすればよい。ここで、使用される現像剤Dとしては、一成分系、二成分系を問わないが、現像剤保持体3上を現像剤Dがより均一な状態で搬送される観点からすれば、現像剤Dとしてはトナー及びキャリアが含まれる二成分現像剤が好適である。また、現像剤保持体3は、ロール状、ベルト状いずれであっても差し支えない。
【0020】
次に、本実施の形態モデルでの粉体搬送量を測定する作用について説明するが、ここでは、粉体Dを現像剤Dとし、粉体保持体3を現像剤保持体3とした場合の現像剤搬送量と同様の作用のため、以下に現像剤Dを用いた場合の現像剤保持体3上の現像剤搬送量を測定する作用について説明する。
図2は、本実施の形態モデルで現像剤Dが蓄電要素5の導電層7と現像剤保持体3との間隙よりも少ない状態で、現像剤Dが導電層7に接触していない場合の各波形の変化を示したものである。また、電圧印加手段8による電圧印加によって時刻tにて0からVへと電位が変化したときの各波形の変化を示している。ここで、検知電流iは電流計によって検知された電流であり、検知電圧V1は現像剤保持体3と蓄電要素5の導電層7との間の電位差であり、検知電圧V2は蓄電要素5の一対の導電層(具体的には4,7)間の電位差となっている。
【0021】
同図において、蓄電要素5を設けたことで、現像剤Dが蓄電要素5(具体的には導電層7)に接触していない状況であっても、蓄電要素5を流れる電流が、初期に立ち上がりその後蓄電要素5による時定数の下でゆっくり減衰する検知電流iとして検出される。つまり、蓄電要素5には充電電流が流れ、検知電流iは図のように少し立ち上がり、その後放電によって減衰する。また、検知電圧V1は、時刻tで立ち上がった後、緩やかに減衰する。一方、検知電圧V2は緩やかに増加する傾向を示す。そして、V1とV2の和がVとなる。このときの検知電圧V2は、どちらかというと、電流を積分したような波形となる。
【0022】
また、図3は、現像剤Dが蓄電要素5の導電層7に少し接触している場合であり、検知電流iのピーク値は図2に比べ大きくなる。このとき、検知電圧V1,V2も検知電流iに合わせて変化する傾向を示し、図2に比べて、やや大きい減衰を示す。
【0023】
更に、図4は、現像剤Dが蓄電要素5の導電層7の略全面に亘って接触している場合であり、現像剤Dが蓄電要素5の導電層7の一部にしか接触しない図3の場合に比べて、検知電流iのピーク値は大きくなる。そのため、検知電圧V1は図3に比べて、その減衰量が大きく、検知電圧V2は逆にその増加量が大きくなる傾向を示す。
【0024】
そして、図5は、現像剤Dが蓄電要素5の導電層7の全面に亘って接触する点では図4と同様であるが、図4に比べて、その接触面積が広くなっている状態を示す。そのため、図5は、図4の場合に比べて、検知電流iのピーク値は大きくなる。一方、検知電圧V1は図4のものに比べて、その減衰量が大きく、検知電圧V2は逆にその増加量が大きくなる傾向を示す。
【0025】
つまり、本実施の形態モデルでは、蓄電要素5を設けたことで、現像剤Dが蓄電要素5の導電層7に接触していない状態であっても電流計による電流が検出され、また、蓄電要素5による大きな時定数に伴う変化が観測されるようになるため、現像剤保持体3と蓄電要素5の導電層7との間に存在する現像剤Dの量に応じた電気的特性の変化として検出される。また、現像剤Dが蓄電要素5の導電層7に接触することで、より一層大きな変化として検出されるようになる。このことから、現像剤保持体3上の現像剤搬送量の測定が容易になされる。
【0026】
このような本実施の形態モデルに対し、電極部材4に蓄電要素5を備えない比較の形態モデルでは、次のようになる。尚、図6〜8にて説明するが、わかり易くするために、符号は本実施の形態モデルと同様のものを用いた。
図6は、現像剤保持体3と電極部材4との間隙にて、現像剤Dが電極部材4に接触していない場合を示す。このとき、電圧印加手段8による印加電圧を時刻tにて0からVへと変化させると、現像剤Dが電極部材4に接触していないため、電流計での検知電流iは殆ど観測されず、一方、現像剤保持体3と電極部材4との間の電位差である検知電圧V1はVで一定となる。
【0027】
図7は、現像剤Dが電極部材4に少し接触する場合であり、検知電流iは現像剤Dが高抵抗体(例えば体積抵抗率が109〜1012Ω・cm)であるため、時刻tで急峻に立ち上がった後急激に減衰し、その後、徐々に増加する傾向を示す。このような変化は次のように推定される。つまり、一旦立ち上がった波形は、蓄電要素5による容量成分がない分、急激に減衰する。また、電圧印加によって生じる電界により、現像剤Dの配列が変化したり、電流の流れる通路ができるとその分の抵抗が時間的に変化することに起因して、その後の増加傾向を来すものと推定される。また、このときの検知電圧V1はVで一定となり、電圧波形から現像剤搬送量を測定することは不能である。
【0028】
図8は、現像剤Dが電極部材4に接触する点では図7と同様であるが、図7の場合に比べ、電極部材4と接触する面積が広くなっている。つまり、現像剤保持体3と電極部材4との間の現像剤量が図7に比べ多い状態を示す。この場合の検知電流iは、図7に比べ、大きく立ち上がり、また、一旦減衰した後の検知電流iの増加傾向も図7に比べて大きくなる。
【0029】
以上のような比較モデルの方式では、現像剤量によって検知電流iの波形が夫々大きく異なり、また、時刻tから一定時間経過後の時点での検知電流iから現像剤搬送量を求めようとしても、検知電流iそのものが、現像剤Dの特性、現像剤Dの動きやすさ、電流経路のでき方などの影響を受けた結果の値であることから、現像剤搬送量の特性を示す値としては、ばらつきの大きいものであり、精度のよい現像剤搬送量を求めることは困難になる。更に、現像剤搬送量が少ない場合には、測定自体がなされないという欠点もある。
したがって、本実施の形態モデルでの現像剤搬送量の測定の有効性が確認される。
【0030】
このような現像装置2にあって、算出される現像剤搬送量の測定精度を向上させる観点からすれば、図1に示すように、算出手段10は、現像剤保持体3を回転させた後に停止させて現像剤保持体3上の現像剤搬送量を算出することが好ましい。この場合、例えば現像時の現像剤保持体3の周速が速くても、現像剤搬送量を求める際に現像剤保持体3を停止させることで、蓄電要素5の導電層7と現像剤保持体3との間隙にある現像剤Dの位置ずれ等が抑えられ、一層精度のよい現像剤搬送量が測定される。
【0031】
また、現像剤搬送量を安定した現像剤搬送量とするには、電極部材4より現像剤保持体3の回転方向に沿う上流側部位にて現像剤保持体3に対応して設けられ、現像剤保持体3上の現像剤搬送量を規制する層規制手段11を備えることが好ましい。
このような層規制手段11としては、現像剤保持体3に対向して配置される層規制部材12を用いて現像剤保持体3上の現像剤搬送量を安定化させるようにしてもよいし、例えば事前に層規制された現像剤層を電界作用等で現像剤保持体3上に供給することで現像剤保持体3上の現像剤搬送量を安定化させるようにしてもよい。このように、現像剤保持体3上の現像剤層が電極部材4との対向部位より上流側で層規制されることで、現像剤保持体3上の現像剤搬送量を測定する際、現像剤Dの密度等がより一層均一化され、安定した現像剤搬送量が測定される。
【0032】
更に、現像剤Dがトナー及びキャリアを含む二成分現像剤である態様において、現像剤保持体3上の現像剤搬送量を適正に保つ観点から、層規制手段11は、現像剤保持体3に対して離れて移動可能に配置され且つ現像剤保持体3上の現像剤搬送量を変化可能に規制する層規制部材12と、現像剤保持体3上の現像剤搬送量を可変するように層規制部材12の移動状態を制御する制御手段と、を備えることが好ましい。このような層規制部材12の代表的態様としては、例えばロール状やベルト状の回転速度が変化する回転部材の態様や、回転せずに、単に、現像剤保持体3との間隙寸法を変化させる部材の態様が挙げられる。
【0033】
そして、現像剤搬送量をより細かく制御する観点から、層規制部材12は、現像剤保持体3との対向部位で現像剤保持体3と同方向に回転し且つ回転速度が可変な回転部材であり、前記制御手段は、現像剤保持体3上の現像剤搬送量を増加させるときに層規制部材12の回転速度を増加前の回転速度より速めるように制御することが好ましい。
【0034】
また、層規制部材12が回転部材である態様において、現像剤保持体3上の現像材搬送量をより適正にする観点から、現像された画像の現像剤濃度を判別する濃度判別手段と、環境条件を判別する環境判別手段と、を更に備え、前記制御手段は、現像剤濃度及び環境条件と現像剤搬送量の予め決められた目標値とを対応付けて記述した対応表を有しており、前記濃度判別手段及び前記環境判別手段による判別結果から、現像剤搬送量が前記対応表の目標値になるように層規制部材12の回転速度を制御することが好ましい。
【0035】
このような具体的方法としては、現像剤濃度及び環境条件と、許容される現像剤搬送量との関係を予め定めた対応表を記憶しておき、現像剤濃度及び環境条件の判別結果から、対応表に記述された適正な現像剤搬送量となるように層規制部材12の回転速度を変化させるようにすればよい。ここで、目標値とは、一つの値としてもよいが、通常、許容範囲を意味するものであり、また、濃度判別手段にて判別される画像の現像剤濃度は、現像後の画像であれば、現像直後の画像であってもよいし、現像後しばらく経過した後の画像であってもよく、このような画像から濃度が測定され、判別されるものであればよい。
【0036】
また、劣化した現像剤Dの使用を防ぐ観点から、算出手段10にて算出された現像剤搬送量が予め決められた許容範囲内にあるか否かを判別する判別手段と、前記判別手段にて現像剤搬送量が予め決められた許容範囲内にないと判別された場合現像剤Dの交換を促すようにユーザーに告知する告知手段と、を備えることが好ましい。例えば二成分現像剤が使用される場合、一般に、現像剤Dの劣化が進行すると、現像剤搬送量が低下する方向に向かう。そのため、現像剤搬送量の許容範囲を事前に決めておき、この許容範囲を超える場合に現像剤Dが劣化状態にあるものと判別し、現像剤Dの交換を促すようにすればよい。そして、このような現像剤搬送量の許容範囲は、事前に実験等で確認して決定しておけばよい。また、告知手段としては、表示や音等の任意の方式が採用できる。
【0037】
更に、現像剤Dの交換に際しては、現像剤濃度や環境条件を加味することも可能で、この場合、現像剤濃度及び環境条件と、現像剤搬送量の関係を求めた対応表を記憶しておき、測定された現像剤濃度、環境条件で許容されない現像剤搬送量であればユーザーに現像剤Dの交換を促すようにすればよい。そして、このような現像剤Dの交換は、現像剤Dとして二成分現像剤のみならず、一成分現像剤に対しても同様に行うようにすればよい。
【0038】
そして、現像剤Dによる蓄電要素5の汚れを防ぎつつ現像剤搬送量の安定した測定を行う観点から、現像剤Dとしてトナー及びキャリアが含まれる二成分現像剤を用いる態様において、予め決められた初期の現像剤搬送量は、蓄電要素5と現像剤保持体3との対向部位で現像剤Dが蓄電要素5のうち現像剤保持体3側の導電層7に接触する量に設定されていることが好ましい。このように、通常使用される状態では蓄電要素5の導電層7に現像剤Dを接触させることで、蓄電要素5の導電層7の表面には現像剤Dが接触していることから、この部位への直接の汚れ付着が抑えられるようになる。また、導電層7の全面に亘って常に現像剤Dを接触させている必要はなく、一部に接触していればよく、このように現像剤Dを導電層7に接触させることで、現像剤搬送量を測定する際の電気的特性もより一層明瞭となる。ここで、予め決められた初期とは、例えば装置立ち上げ時を意味し、通常、この状態で使用されることをいう。
【0039】
また、現像剤Dによる蓄電要素5の汚れをより防ぎつつ現像剤搬送量の安定した測定を行う観点から、予め決められた初期の現像剤搬送量は、蓄電要素5と現像剤保持体3との対向部位で現像剤Dが蓄電要素5のうち現像剤保持体3側の導電層7に接触しない量に設定され、この設定された現像剤搬送量で使用し、現像剤保持体3の現像剤搬送量が測定される場合には、現像剤Dが蓄電要素5のうち現像剤保持体3側の導電層7に接触するように使用時の現像剤搬送量から一旦増量させ、現像剤搬送量が測定された後、使用時の現像剤搬送量に戻すようにすることが好ましい。
【0040】
このように使用時に蓄電要素5の導電層7の表面に現像剤Dが接触しないようにすることで、導電層7の表面に現像剤Dが擦れることもなく、また、汚れの付着も抑えられ、長期に亘って安定した現像剤搬送量の測定が可能になる。更に、現像剤搬送量の測定に際しては、現像剤Dを増量させて導電層7に現像剤Dを接触させることで、より一層安定した現像剤搬送量の測定がなされる。そして、このような現像剤Dの増量に際しては、層規制部材12や現像剤保持体3の回転速度等を調整すればよい。
【0041】
また、蓄電要素5の導電層7へ付着した汚れを除去する観点から、現像剤搬送量を測定した後、蓄電要素5と現像剤保持体3との対向部位で現像剤Dが蓄電要素5のうち現像剤保持体3側の導電層7に接触する量である状態で、現像剤D中のトナーが現像剤保持体3側に吸引される方向の電界を現像剤保持体3に作用させて蓄電要素5のうち現像剤保持体3側の導電層7に付着したトナーを現像剤保持体3側に回収する回収手段を有することが好ましい。
更に、このような現像装置2を画像形成装置に適用するには、潜像を保持する像保持体1と、この像保持体1に対向するように設けられる現像装置2とを備え、この現像装置2として上述の現像装置2を用いるようにすればよい。
【0042】
次に、図面に示す実施の形態に基づいて本発明を更に詳細に説明する。
◎実施の形態1
図9は一例として本発明が適用された実施の形態1に係る画像形成装置の概要を示す説明図である。
同図において、本実施の形態の画像形成装置は、例えば電子写真方式を用いたものであり、装置本体20の上部に、プラテンガラス上に置かれた原稿の画像を読み取るための原稿読取器を内蔵した原稿読取部21を設け、更にこの原稿読取部21の上部には、原稿を自動的に読み取り、読み取った原稿を決められた場所に収容するための自動原稿送り部22を備えている。
【0043】
装置本体20内の下方には、記録材を供給する供給部70を有し、装置本体20内の中央には供給部70から供給された記録材に画像を形成する画像形成部が設けられている。
画像形成部は、略直線方向に沿って、四色夫々のトナー像を形成する作像エンジン30(30a〜30d)を設け、これらの作像エンジン30を複数の張架部材61〜66に掛け渡されて回転するベルト状の中間転写体60に対向する位置に並べて配置している。そして、中間転写体60上に各作像エンジン30からのトナー像を転写させて多重化し、中間転写体60上で多重化されたトナー像を記録材に一括転写するように構成されている。
【0044】
夫々の作像エンジン30(30a〜30d)は、使用する現像剤の他は略同様に構成されているため、ここでは一つの作像エンジン30について説明する。
作像エンジン30は、図中B方向に回転し且つ潜像を形成して保持する像保持体としての感光体31と、この感光体31の周りに設けられ且つトナー像を形成するための各種装置とで構成されている。感光体31の周りには、感光体31を予め決められた電位に帯電する帯電装置32、帯電装置32で帯電された感光体31に潜像を形成するように例えばレーザ光を用いて露光する露光装置33、感光体31上に形成された潜像に対して現像を行ってトナー像にする現像装置40、現像されたトナー像を中間転写体60上に転写する転写装置35、転写後の感光体31上を清掃する清掃装置36等が予め決められた位置に配置されている。
【0045】
中間転写体60は、複数の張架部材61〜66に掛け渡され、例えば張架部材61を駆動部材として回転するもので、例えば張架部材63を中間転写体60に張力を付与する部材とすることで、中間転写体60は緊張した状態で循環回転するようになる。また、張架部材65と中間転写体60を挟んで対向する位置には、中間転写体60上で多重化されたトナー像を記録材に一括転写するための一括転写装置67が設けられ、この一括転写装置67と張架部材65との間に中間転写体60上のトナー像が記録材に転移される方向のバイアスが印加されるようになっている。また、中間転写体60の張架部材61の近くには、この張架部材61を対向する部材として中間転写体60上の残留トナーを清掃する清掃装置68が設けられている。
【0046】
また、供給部70には、供給部70内の記録材を供給して搬送するためのピックアップ部材71、捌き部材72が設けられており、これらによって供給部70より下流側にある記録材の搬送経路に向かって記録材が一枚ずつ搬送される。供給部70から搬送された記録材は、位置決め部材73にて位置決めされて、姿勢が規制された後、予め決められたタイミングで下流側の一括転写部位(張架部材65と一括転写装置67とが対向する部位)に向かって搬送される。
【0047】
一括転写部位にてトナーが転写された記録材は、搬送ベルト74を介して定着装置75にて定着され、定着後の記録材は排出部材76を介して排出収容部77に収容される。
また、図中符号23は、作像エンジン30夫々の現像装置40に対してトナーを補給するための補給装置である。
【0048】
このような構成の画像形成装置における現像装置40は、図10に示すように構成されており、現像剤としてはトナーと磁性キャリアが含まれる二成分現像剤が用いられる。
同図において、現像装置40は、感光体31に対向して開口を有する現像容器41が配置され、この開口に対応した現像容器41内には、感光体31に対向して配置され且つ現像剤を保持して搬送する現像剤保持体42が配置されている。更に、現像容器41内の現像剤保持体42の後方には、現像剤を攪拌して混合しながら、現像剤を帯電し、帯電した現像剤を現像剤保持体42に供給する一対の攪拌搬送部材48,49が設けられている。これらの攪拌搬送部材48,49は、現像剤保持体42の回転軸方向に沿って延びる回転軸と、その回転軸の周りに螺旋状の羽根を有して回転するもので、互いに反対方向へ現像剤を搬送することで、現像容器41内を現像剤が循環できるようになっている。
【0049】
現像剤保持体42は、表面に現像剤を保持した状態で回転する現像スリーブ42aと、この現像スリーブ42aの内部に固定的に設けられ、複数の磁極(図中四角形状で示す部材)が選択された位置に固定的に配置された磁石体42bとで構成されている。
【0050】
現像スリーブ42aには切替器81が接続され、二つの電源82,83の間でいずれか一方の電源に現像スリーブ42aが接続されるようになっている。ここで、電源82は、現像スリーブ42a上の現像剤からトナーを感光体31側に飛翔させるための現像バイアスを供給するためのものであり、電源83は、予め決められた電位の直流電圧をON/OFFによって印加するためのもので、印加される電圧は階段状に急激に変化するものとなる。
【0051】
また、現像装置40には、現像スリーブ42aと感光体31とが対向する部位より現像スリーブ42aの回転方向における上流側で、磁石体42bの一つの磁極に対応する位置に、現像スリーブ42aから予め決められた間隔をもって配置された層規制部材43が、回転可能な状態で設けられている。そのため、磁石体42b内の磁極によって穂立ちがなされた現像スリーブ42a上の現像剤は、回転する層規制部材43によって規制されることで、層規制部材43を通過した現像スリーブ42a上には規制された現像剤量が保持された状態で、下流側に搬送される。
【0052】
更に、本実施の形態では、層規制部材43より現像スリーブ42aの回転方向における下流側で、現像スリーブ42aと感光体31とが対向する部位より上流側位置に、現像スリーブ42aから離れた状態で現像スリーブ42aに対向して配置される略円柱状に形成された蓄電要素90が磁石体42bの磁極とほぼ対向するように、固定された状態で設けられている。
【0053】
蓄電要素90は、略同心円状に設けられた三層構成のもので、現像スリーブ42a側の導電層91、この導電層91とは異なる中心部分に導電性の電極部材としての中心導体92、導電層91と中心導体92との間に設けられた絶縁層93とで構成されている。また、本実施の形態では、導電層91の表面の少なくとも一部には現像剤が接触するようになっており、導電層91に対する現像剤の残渣(特に現像剤中のトナー)の堆積は抑えられる。
【0054】
そして、この蓄電要素90の中心導体92側には、蓄電要素90を流れる電流を検知する電流センサ97が接続されている。また、感光体31と現像スリーブ42aとが対向する部位より感光体31の回転方向における下流側で感光体31に対向する部位に、感光体31上で現像されたトナー像のトナー濃度を検知する濃度センサ98が設けられると共に、更に、現像装置40の環境条件を検知する環境センサ99が予め定めた位置に設けられている。
【0055】
また、本実施の形態では、現像スリーブ42a上の現像剤搬送量の測定や層規制部材43の回転速度を制御するための制御装置100が設けられており、この制御装置100は、層規制部材43、切替器81、電流センサ97、濃度センサ98、環境センサ99等と信号の伝達がなされるようになっている。
【0056】
本実施の形態の制御装置100は、現像装置40自体の制御も行うが、ここでは、主として現像スリーブ42a上の現像剤搬送量の測定制御について説明する。制御装置100による制御フローは図11に示すようになっており、この制御フローについて図10を参照しながら説明する。
現像剤搬送量の測定を開始する場合、先ず、切替器81を電源82側にした状態で、感光体31に予め決められた大きさの濃度パッチを作成する(ステップS1)。作成された濃度パッチのトナー濃度を濃度センサ98にて測定すると共に環境条件を環境センサ99によって測定する(ステップS2)。
【0057】
その後、現像スリーブ42a及び層規制部材43の回転を停止した状態で切替器81を電源82側から電源83側に切り替えた後、現像スリーブ42aと蓄電要素90の中心導体92との間にこの電源83によってゼロから予め定めた電位の直流電圧に急峻に変化する電圧を印加し、電流センサ97によって検出される電流波形のうち、電圧の印加開始から予め決められた期間までの積算電流値から、現像スリーブ42aと蓄電要素90(具体的には導電層91)との間の現像剤量を求め、求められた現像剤量から現像スリーブ42a上の現像剤搬送量を算出する(ステップS3)。積算電流値は、測定電流値から減衰曲線をA・exp(−bt)(ただし、A,bは定数)とおいて積分値を求めてもよい。
【0058】
ここで、積算電流値から現像剤搬送量を算出するには、先ず、積算電流値と、現像スリーブ42aと蓄電要素90との間隙にある現像剤量との関係を事前実験等で把握し、この現像剤量をそのまま現像剤搬送量として算出するようにしてもよいし、例えば単位面積当たりに換算した値を現像剤搬送量としてもよい。
【0059】
次に、測定されたトナー濃度、環境条件及び算出された現像剤搬送量から、トナー濃度や環境条件に対して現像剤搬送量が目標範囲内にあるか否かの判別が、例えば事前に記憶されている対応表を参照しながらなされる(ステップS4)。このような対応表は、トナー濃度及び環境条件に適合する現像剤搬送量の目標範囲(目標値)を事前に実験等で把握しておき、例えば制御装置100内に記憶しておけばよい。
【0060】
そして、ステップS4で目標範囲内と判別されれば、層規制部材43の回転速度の設定値はそのままに、現像剤搬送量の測定を終える。一方、ステップS4で現像剤搬送量が目標範囲外であると判別されると、層規制部材43の回転速度の設定値を増減し(ステップS5)、ステップS3に戻る。このとき、現像スリーブ42a及び層規制部材43を再度回転させて、予め定めた時間後に現像剤搬送量の測定を行うことは言うまでもない。尚、回転速度の設定値の増減は、例えば現像剤搬送量が不足している場合には設定値を増加させ、現像剤搬送量が過剰である場合には設定値を減少させるようにすればよい。
【0061】
そして、トナー濃度、環境条件に合った現像剤搬送量が確認されれば終了する。
また、現像剤搬送量の測定を繰り返しても算出される現像剤搬送量が目標範囲内にならない場合には、例えば事前に繰り返し回数の最大回数を定めておき、この回数だけ繰り返しても目標範囲内に至らない場合には例えば現像剤の劣化と判断し、ユーザーに現像剤の交換を促すようにしてもよい。
【0062】
また、このような制御フローで、例えば対応表にトナー濃度及び環境条件と、これらの条件に適合した層規制部材43の回転速度の設定値との対応が関連付けられていれば、トナー濃度及び環境条件から層規制部材43の回転速度の設定値を新たな設定値に変更するようにしてもよい。この場合、例えば現在の設定値がトナー濃度及び環境条件に許容される場合であり、更に、現像剤搬送量が許容されない場合には、例えば現像剤が劣化しているものと判断し、ユーザーに現像剤の交換を促すようにしてもよい。
【0063】
図12は、対応表の一例を示したもので、例えば環境条件を三段階に分け、トナー濃度も三段階に分け、夫々に対応する許容される現像剤搬送量(図中R1〜R5で示す)を事前に決めたものとなっている。また、現像剤搬送量は、夫々の目標範囲を有しており、R1からR5に向かうに連れて現像剤搬送量が少なくなっている。
例えば高温高湿環境下では、現像剤は主としてその流動性が低下するため、勢い現像剤搬送量が減少する方向に向かうため、これらを加味した現像剤搬送量を決めておく方がよい。そして、例えば算出された現像剤搬送量がこの対応表の現像剤搬送量の範囲よりも低下した場合には、現像剤の劣化が生じたものと判断するようにしても差し支えない。
また、ここでは、目標範囲が互いにオーバーラップする値ではないものとしたが、一部オーバーラップするようになっていてもよい。
【0064】
次に、このような現像剤搬送量の測定方法の有効性について説明する。
蓄電要素90を流れる電流の短時間での電流波形の変化をみると、現像剤搬送量が多い場合と少ない場合とでは異なるものとなる。図13(a)〜(c)は現像剤搬送量を(a)から(c)方向へ、順次多くした場合の電流波形の一例を示したものである。
【0065】
電源83によって現像スリーブ42aと蓄電要素90の中心導体92との間に急峻に変化する電圧を印加すると、蓄電要素90の、特に絶縁層93に対し急速に充電電流が流れる結果、電流波形は急激に立ち上がる。これは、現像剤の体積抵抗率がおよそ109〜1011Ω・cmであるのに対し、絶縁層93の体積抵抗率を現像剤より1桁以上大きいおよそ1013Ω・cm以上とすることで、蓄電要素90に対して急速な充電電流が流れることになる。その後、充電量に応じた放電がなされ、放電電流による減衰曲線が得られる。この場合、現像剤搬送量が多くなると、現像剤と蓄電要素90(具体的には導電層91)との接触面積が増加するために、蓄電要素90を流れる充電電流が増加する。したがって、電流波形での最大電流も増加するようになり、減衰曲線も緩やかになる。
【0066】
このような電流波形で、例えばある時刻の電流値から現像剤搬送量を算出しようとすると、電流のピークの位置は例えば電源や測定系の立ち上がりも含まれるため、常に一定とは限られず、電圧の立ち上げ時から一定時間が経過した時点での電流値を基に現像剤搬送量を算出することは多くの誤差が含まれる虞がある。これに対し、本実施の形態では、一回の電圧変更によって生じる電流量、例えばt1までの間の電流波形の電流積分値を求め、これから現像剤搬送量を算出するようにしているため、検知のために現像剤層に与える電気的な影響時間(例えば本実施の形態のt1としては約100msもあればよい)を最小限にでき、ばらつきの少ない現像剤搬送量の算出がなされる。尚、このような現像剤搬送量の算出には、例えば事前に現像剤搬送量と電流積分値との関係を求め、対応表としておけばよい。
【0067】
更に、本実施の形態では、対応表の作成にあたっては、感光体31上のトナー濃度や環境条件も同時に加味したものとなっている。それ故、層規制部材43の回転速度を制御することで、より適正な現像剤搬送量が維持されるようになる。一方、現像剤自体の劣化が進行した場合には、現像剤を交換させるようにすればよい。
【0068】
一般に、二成分現像剤を用いて現像を繰り返すと、現像剤中のキャリアの帯電性能の劣化の他、流動性の低下などが進行し、現像剤としての十分な帯電がなされ難くなると共に現像剤搬送量の低下や背景かぶりが生じ易くなる。また、環境条件では、例えば高温高湿条件の方が低温低湿条件に比べて現像剤の流動性が低下し、現像剤搬送量は減少し易くなる。また、現像濃度を一定に保つためにトナーの濃度制御を行っていくと、高温高湿条件では低いトナー濃度へ移行し、若干現像剤搬送量は増加する。例えば図12に示すような対応表で想定している範囲よりも現像剤搬送量が低下した場合は、現像剤自体の劣化の虞があり、この場合、現像剤の交換を促す告知を行うことで、速やかな現像剤の交換がなされる。
【0069】
以上の説明においては、電流波形の積算電流値から現像剤搬送量を算出する態様を示したが、次のようにしてもよい。つまり、図13(a)〜(c)にも示すように、電流波形のピーク値も現像剤搬送量によって変化する。そのため、電流波形のピーク検出を行い、そのときのピーク値を求めて、現像剤搬送量としてもよい。このときも、ピーク値と現像剤搬送量との対応表を事前に求めておけばよい。
【0070】
更に、電流波形ではなく、蓄電要素90に作用する電圧を下に現像剤搬送量を算出するようにしてもよい。
図14(a)〜(c)は蓄電要素90に作用する電圧波形、つまり、蓄電要素90の絶縁層93に作用する電位差の変化を示したもので、(a)から(c)に向かうに従い現像剤搬送量が増加したものとなっている。電源83による電圧が印加されると、蓄電要素90に作用する電位差(電圧)は瞬時に立ち上がり(図では負側)、その後若干増加する傾向を示す。この変化には、電源83の立ち上がり、現像剤に流れる電流、測定系の影響が含まれるが、電圧波形は、電流波形を積分したような波形となるため、増加傾向となる部分は非常にゆっくりと変化するため、電圧波形の変化開始時期から予め決められた時間後(立ち上がった後にしばらく経過した時点で図中例えばt1で示す時点)の電圧の大きさに応じて現像剤搬送量を算出する場合、例えば現像剤の配列の変化や導電路の抵抗変化などがあっても、これらの影響が非常に小さく抑えられる。そして、このような電圧を検知する時間(ここではt1が相当する)としては、例えば図13にも示したように、電流積分値や電流値のピークが確認できる時間を基準として決めることも可能である。
【0071】
電圧波形自体は、現像剤の体積抵抗率がおよそ109〜1011Ω・cmであるのに対し、絶縁層93の体積抵抗率を現像剤より1桁以上大きいおよそ1013Ω・cm以上とすることで、現像スリーブ42aと蓄電要素90の導電層91との間の現像剤による抵抗成分より、絶縁層93での抵抗成分の方が大きいため、電圧波形の立ち上がりは急峻となり、その後の変化は漸増する傾向を示す。そのため、電流波形の予め決めた時刻の電流値を下に現像剤搬送量を算出するようにしても、精度の高い現像剤搬送量の算出がなされる。
【0072】
本実施の形態では、蓄電要素90を固定して配置する態様を示したが、例えば現像剤の搬送力に合わせて従動回転するように構成しても差し支えない。また、蓄電要素90の絶縁層93の層数は一層に限られず、複数層備えるようにしてもよい。この場合、絶縁層93の相互間は導電性または半導電性の部材で構成されていればよい。更に、現像剤搬送量を測定する場合、現像スリーブ42aを停止する態様を示したが、現像スリーブ42aの回転を行わせて現像剤搬送量を算出するようにしても差し支えない。そして、この場合、現像スリーブ42aを固定するものに比べて、得られる電気的特性の安定性が多少低下することが想定されるが、それも加味した制御を行うようにすればよい。
【0073】
また、本実施の形態では、磁石体42bの蓄電要素90に対向する部位に磁極を設ける態様を示したが、必ずしも磁極を必要とせず、磁極を設けないようにしてもよい。更に、蓄電要素90の導電層91表面の汚れを清掃するため、例えば現像剤搬送量の測定を終えた時点で、例えば現像スリーブ42a側に現像剤中のトナーを吸引する方向の電界を作用させるようにしても差し支えない。
【0074】
更に、現像スリーブ42a上の現像剤搬送量を層規制部材43の回転速度を調整して行う場合、次のようにする方がより細かい現像剤搬送量の制御が可能になる。
例えば現像スリーブ42aの表面粗さが最大高さRzで5μm以下(JIS B 0601:’01に準拠)の平滑性を備えたものを使用することで、現像スリーブ42a上の現像剤の規制が層規制部材43の回転によって容易になされるようになる。また、層規制部材43の表面も同様の平滑性を備える方がよい。
【0075】
また、上述した実施の形態では、現像剤が蓄電要素90の導電層91に接触する態様を示したが、導電層91に対する現像剤の擦れを防ぎ、蓄電要素90として長期に亘る安定した働きを確保するため、通常、現像剤を蓄電要素90に接触させない方式としてもよい。
図15は、変形例として、現像剤が、通常、蓄電要素90の導電層91に接触していない場合の制御フローを示すもので、図10を参照しながら説明する。
【0076】
先ず、切替器81を電源82側にした状態で、感光体31に予め決められた大きさの濃度パッチを作成する(ステップS11)。作成された濃度パッチのトナー濃度を濃度センサ98にて測定すると共に環境条件を環境センサ99によって測定する(ステップS12)。
ここで、この変形例では、現像剤が、通常、蓄電要素90の導電層91に接触していないことから、現像剤搬送量を測定するために、層規制部材43の回転速度を予め決められた比率で上昇させ、現像剤搬送量を増加させる(ステップS13)。このとき、層規制部材43の回転速度としては、現像剤が蓄電要素90に接触する量になるように、事前に実験等で比率を求め、この求めた比率に応じて回転速度を増加させるようにすればよい。
【0077】
その後、現像スリーブ42a及び層規制部材43の回転を停止した状態で切替器81を電源82側から電源83側に切り替えた後、現像スリーブ42aと蓄電要素90の中心導体92との間にこの電源83によってゼロから予め定めた電位の直流電圧に急峻に変化する電圧を印加し、電流センサ97によって検出される電流波形のうち、電圧の印加開始から予め決められた期間までの積算電流値から、現像スリーブ42aと蓄電要素90との間の現像剤量を求め、求められた現像剤量から現像スリーブ42a上の現像剤搬送量を算出し、この算出結果から、増加させる前の現像剤搬送量を推定する(ステップS14)。このときの推定は、事前の実験等で層規制部材43の回転速度を上昇させた比率での現像剤の増量割合を求めておき、これから逆算するようにすればよい。
【0078】
次に、測定されたトナー濃度、環境条件及び推定された現像剤搬送量から、トナー濃度や環境条件に対して推定された現像剤搬送量が目標範囲内にあるか否かの判別が、例えば事前に記憶されている対応表を参照しながらなされる(ステップS15)。そして、目標範囲内にあると判別された場合には、層規制部材43の回転速度を上昇させた比率の逆数となる比率で下降させ、これを層規制部材43の回転速度として設定して(ステップS16)終える。
また、ステップS15で推定された現像剤搬送量が目標範囲内にない場合は、層規制部材43の回転速度を増減させ、ステップS14から再度行う。
【0079】
このように、通常、現像剤を蓄電要素90(具体的には導電層91)に接触させずに、現像剤搬送量を測定する際に接触させるようにすると、蓄電要素90に対する現像剤の摩耗が抑えられると共に、現像剤搬送量の測定時にも安定した測定がなされる。
また、このように、現像剤を蓄電要素90に接触させずに長期間使用すると、蓄電要素90の表面(導電層91の表面)に現像剤中のトナーの付着が起きやすいため、例えば現像剤搬送量を測定した後に、現像剤が蓄電要素90に接触している状態で、現像スリーブ42a側にトナーを吸引して回収する方向の電界を作用させて、蓄電要素90の表面を清掃するようにしてもよい。
【0080】
◎実施の形態2
図16は、実施の形態2の現像装置40の概要を示す説明図である。本実施の形態の現像装置40は、実施の形態1の現像装置40(図10参照)と略同様に構成されるが、層規制部材が異なるものとなっている。尚、同様の構成要素には同様の符号を付し、ここではその詳細な説明を省略する。
【0081】
同図において、本実施の形態の層規制部材44は、その一端側が現像容器41に固定され、他端側が現像スリーブ42aから予め決められた間隔を持って離れた状態で配置されている。また、この層規制部材44に対向する位置に磁石体42b側の磁極が設けられている。そのため、磁石体42b内の磁極によって穂立ちがなされた現像スリーブ42a上の現像剤は、層規制部材44によって規制されることで、層規制部材44を通過する現像剤量でほぼ一定となった現像剤が下流側に搬送される。
【0082】
本実施の形態においても、切替器81、電流センサ97、濃度センサ98、環境センサ99等を有し、これらを制御する制御装置100が設けられている。
本実施の形態の制御装置100による現像剤搬送量の測定制御について、図17に示す制御フローを参照しながら説明する。
【0083】
現像剤搬送量の算出を開始する場合、先ず、切替器81を電源82側にした状態で、感光体31に予め決められた大きさの濃度パッチを作成する(ステップS21)。作成された濃度パッチのトナー濃度を濃度センサ98にて測定すると共に環境条件を環境センサ99によって測定する(ステップS22)。
その後、現像スリーブ42a及び層規制部材43の回転を停止した状態で切替器81を電源82側から電源83側に切り替えた後、この電源83によって階段状電圧、つまり、ゼロから予め定めた電位の直流電圧に急峻に変化する電圧を現像スリーブ42aと蓄電要素90との間に印加し、電流センサ97によって検出される電流波形のうち、電圧の印加開始から予め決められた期間までの積算電流値から、現像スリーブ42aと蓄電要素90との間の現像剤量を求め、求められた現像剤量から現像スリーブ42a上の現像剤搬送量を算出する(ステップS23)。
【0084】
次に、測定されたトナー濃度、環境条件及び算出された現像剤搬送量から、トナー濃度や環境条件に対して現像剤搬送量が予め定めた許容範囲内にあるか否かの判別が、例えば事前に記憶されている対応表を参照しながらなされる(ステップS24)。ここで、現像剤搬送量が許容範囲を超えていると判別された場合は、現像剤の劣化が進行している状況であるものと判断し、現像剤の交換を促すように告知して(ステップS25)、終える。
【0085】
本実施の形態では、層規制部材44が実施の形態1のように回転するタイプでないことから、現像剤搬送量の増減を行うことはせず、現像剤の劣化に至るものと判断すればそれを告知するようにしている。そのため、現像剤の交換が必要な場合にはスムーズになされる。
【0086】
また、本実施の形態では、層規制部材44が固定するタイプのものを説明したが、例えば層規制部材44を、現像スリーブ42aに対し、例えばその法線方向に沿って移動できるように構成することで、実施の形態1の回転する層規制部材43(図10参照)と同様に作用させることも可能である。この場合、例えば図11のステップS4で現像剤搬送量が目標範囲内にないと判別された場合、層規制部材44を移動させ、層規制部材44と現像スリーブ42aとの間隙を変化させることで現像剤搬送量を増減すればよい。
【0087】
本実施の形態では、積算電流値を用いて現像剤搬送量を算出する態様を示したが、電流波形のピーク値を用いるようにしてもよいし、電流波形ではなく、電圧波形を用いて現像剤搬送量を算出するようにしてもよいことは言うまでもない。
【0088】
◎実施の形態3
図18は、実施の形態3の現像装置40の概要を示す説明図である。本実施の形態の現像装置40は、実施の形態1の現像装置40(図10参照)と異なり、層規制部材44が実施の形態2と同様に固定して配置されるものであり、また、蓄電要素90の形状は板状のものとなっている。尚、同様の構成要素には同様の符号を付し、ここではその詳細な説明を省略する。
【0089】
同図において、本実施の形態の蓄電要素90は、現像スリーブ42aに面する側に導電層94、反対側に導電性の電極部材95、導電層94と電極部材95との間の絶縁層96を有する平板状の部材である。また、本実施の形態の蓄電要素90は実施の形態1の蓄電要素90とは形状が異なるが、現像剤に対する作用は同様になされる。このとき、蓄電要素90としては平板状の部材の他に例えば弧状の部材であっても差し支えない。
【0090】
本実施の形態では、実施の形態2と同様の層規制部材44を用い、蓄電要素90が例えば三層構成の板状部材にて構成されている。このような構成の実施の形態での制御装置100による制御フローは、実施の形態2と略同様(図17参照)であるため、ここではその説明は省略する。
そして、このような態様にあっても、現像スリーブ42a上の現像剤搬送量に対する安定した算出がなされる。更に、本実施の形態においても、電流波形から積算電流値若しくはピーク値を求め、現像剤搬送量を算出するようにしてもよいし、電圧波形から現像剤搬送量を算出するようにしてもよいことは言うまでもない。
【0091】
上述した実施の形態1〜3では、現像剤搬送量を測定する際、現像剤が蓄電要素90(具体的には現像剤保持体側の導電層)に接触している状態で測定を行ったが、例えば現像剤が蓄電要素90に接触していない状態で測定することも可能である。ただし、この場合、現像剤が蓄電要素90に接触する態様に比べ、感度が低下することから、例えば、現像剤搬送量の測定レベルの一つ又は二つとして、現像剤が蓄電要素90に接触していない状態を付加する方が好適である。
また、現像剤として二成分現像剤を用いる態様を示したが、一成分現像剤を用いて同様に現像剤搬送量を算出することも可能である。この場合、より現像剤に負荷を与えないようにするには、例えば蓄電要素としてフィルム状の部材を用いるか、蓄電要素に対しては現像剤を通常接触させないようにする方がよい。
【実施例】
【0092】
◎実施例1
本実施例は、実施の形態3の構成と同様の構成の現像装置を用い、測定時に現像スリーブを停止した状態で現像スリーブ上の現像剤搬送量と、電流波形との関係を確認したものである。横軸に現像スリーブ上での単位面積当たりの現像剤搬送量をプロットし、縦軸に現像スリーブと電極部材との間に急峻に変化する電圧を印加したときの電流波形に基づいて、電源立ち上がり後から一定時間(例えば200ms等の予め定めた時間)までの電流積分値(積算電流値に相当)を算出し、それをプロットした。
また、比較例として、電流波形での電流積分値ではなく、電源立ち上がり後から一定時間経過後の電流値をプロットしたものも確認した。
【0093】
本実施例の結果は、図19に示すように、現像剤搬送量と電流積分値とがほぼ一直線状に並ぶ良好な直線性を有する関係が確認された。
一方、比較例の結果は、図20に示すように、現像剤搬送量と電流値との間に良好な直線性の関係は見受けられなかった。
つまり、本実施例のように、電圧を急峻に変化させたときの電流積分値を用いるようにすれば、この電流積分値から現像剤搬送量が容易に算出される一方、電流積分値ではなく一定時刻での電流値を用いると、現像剤の動き易さ等に起因するばらつきが生じ、電流値から現像剤搬送量を推定することは困難であることが確認された。
【0094】
更に、本件発明者らは、電流波形のピーク値についても同様の確認を行ったところ、電流積分値と同様の作用が見受けられることを確認した。また、得られる電圧波形についても同様の確認を行ったところ、予め決められた時間後の電圧値を用いることで、電流積分値の場合と同様の作用が見受けられることを確認した。
【0095】
◎実施例2
本実施例は、蓄電要素の絶縁層の厚さについて、好適な一例を求めたものである。
蓄電要素による検知感度を高くするには、蓄電要素の絶縁層が現像剤層と同等の誘電的厚みを有する場合である。一般的には、現像剤搬送量が350g/m2で、現像スリーブと蓄電要素との間隙が0.35mm程度、絶縁層の比誘電率が2程度であれば、絶縁層の厚みとしては15μm前後が好適となる。
また、検知感度が多少低下しても使用できる範囲としては、絶縁性を保ち、検知感度が最大値に対して1/10以上のものとするには、絶縁層の(層厚/比誘電率)が1〜100(μm)程度であれば、現像剤に対して使用可能な範囲となるものと推定される。
【符号の説明】
【0096】
1…像保持体,2…現像装置,3…現像剤保持体(粉体保持体),4…電極部材,5…蓄電要素,6…絶縁層,7…導電層,8…電圧印加手段,9…特性検知手段,10…算出手段,11…層規制手段,12…層規制部材,D…現像剤(粉体)
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉体搬送量測定装置及びこれを用いた現像装置、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、現像スリーブ上の層形成ローラによって規制された現像剤層に対し、現像スリーブに対向配置される電極との間に直流電圧を印加し、現像剤を流れる電流から層形成ローラの回転数を変化させて現像剤量を調整する方式が開示されている。
また、特許文献2には、現像スリーブ上の層形成ローラによって規制された現像剤層に対し、現像スリーブに対向配置される従動ローラの回転数によって現像剤搬送量を算出し、この算出結果に基づいて所望の現像剤搬送量になるように層形成ローラの回転数を変化させる方式が開示されている。
更に、特許文献3には、現像ロール上のトナー層厚を帯電シートとの間のトナーの静電容量から算出する方式が開示されている。
更にまた、特許文献4には、現像スリーブと電極部材との間の現像剤に対して現像バイアスが印加されたときの電流から現像バイアスのデューティ比を変化させる方式が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−300988号公報(発明を実施するための最良の形態、図2)
【特許文献2】特開2000−47488号公報(発明を実施するための最良の形態、図2)
【特許文献3】特開2007−57719号公報(実施の形態2、図7)
【特許文献4】特開平10−232539号公報(発明の実施の形態、図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、粉体保持体上の帯電された状態の粉体の粉体搬送量が簡単な構成で精度よく求められる粉体搬送量測定装置及びこれを用いた現像装置、画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に係る発明は、帯電された粉体を保持して搬送する粉体保持体と、この粉体保持体と対向して設けられる導電性の電極部材と、前記粉体保持体から離れた位置に設けられ、前記電極部材を一方の導電層とし且つ当該電極部材の粉体保持体側に絶縁層を介して導電層を形成することで電位が変化する電圧を印加したときに一時的に電荷が蓄積可能に構成される蓄電要素と、前記粉体保持体と前記電極部材との間に粉体が介在された状態で予め決められた時間だけ予め決められた電位の電圧を印加する電圧印加手段と、この電圧印加手段にて前記電圧が印加されたときに電圧の印加開始に伴って前記蓄電要素に蓄積された電荷の時間変化に相当する電気的特性を検知する特性検知手段と、この特性検知手段にて検知された電気的特性に基づいて蓄積された電荷量の大きさに対応する電気特性値を割り出し、この電気特性値の大きさに応じて前記粉体保持体上の粉体搬送量を算出する算出手段と、を備えることを特徴とする粉体搬送量測定装置である。
【0006】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る粉体搬送量測定装置において、前記特性検知手段は、前記蓄電要素に流れる電流を検知する電流検知手段であり、前記算出手段は、この電流検知手段にて検知される電流の変化に基づいて、電流の時間的な積算量若しくは電流ピークに相当する電気特性値を割り出し、この電気特性値の大きさに応じて前記粉体保持体上の粉体搬送量を算出するようにしたことを特徴とする粉体搬送量測定装置である。
請求項3に係る発明は、請求項1に係る粉体搬送量測定装置において、前記特性検知手段は、前記蓄電要素の一対の導電層間に作用する電圧を検知する電圧検知手段であり、前記算出手段は、この電圧検知手段にて検知される電圧の変化に基づいて、電圧の変化開始から予め決められた時間経過後の電圧に相当する電気特性値を割り出し、この電気特性値の大きさに応じて粉体保持体上の粉体搬送量を算出するようにしたことを特徴とする粉体搬送量測定装置である。
【0007】
請求項4に係る発明は、請求項1乃至3のいずれかに係る粉体搬送量測定装置を含み、前記粉体保持体が粉体としての現像剤を保持して搬送する回転可能な現像剤保持体であることを特徴とする現像装置である。
請求項5に係る発明は、請求項4に係る現像装置において、前記算出手段は、前記現像剤保持体を回転させた後に停止させて前記現像剤保持体上の現像剤搬送量を算出するものであることを特徴とする現像装置である。
請求項6に係る発明は、請求項4又は5に係る現像装置において、前記電極部材より現像剤保持体の回転方向に沿う上流側部位にて前記現像剤保持体に対応して設けられ、当該現像剤保持体上の現像剤搬送量を規制する層規制手段を備えることを特徴とする現像装置である。
請求項7に係る発明は、請求項6に係る現像装置のうち現像剤がトナー及びキャリアを含む二成分現像剤である態様において、前記層規制手段は、前記現像剤保持体に対して離れて移動可能に配置され且つ当該現像剤保持体上の現像剤搬送量を変化可能に規制する層規制部材と、前記現像剤保持体上の現像剤搬送量を可変するように前記層規制部材の移動状態を制御する制御手段と、を備えることを特徴とする現像装置である。
請求項8に係る発明は、請求項7に係る現像装置において、前記層規制部材は、前記現像剤保持体との対向部位で現像剤保持体と同方向に回転し且つ回転速度が可変な回転部材であり、前記制御手段は、前記現像剤保持体上の現像剤搬送量を増加させるときに前記層規制部材の回転速度を増加前の回転速度より速めるように制御するものであることを特徴とする現像装置である。
請求項9に係る発明は、請求項8に係る現像装置において、現像された画像の現像剤濃度を判別する濃度判別手段と、環境条件を判別する環境判別手段と、を更に備え、前記制御手段は、現像剤濃度及び環境条件と現像剤搬送量の予め決められた目標値とを対応付けて記述した対応表を有しており、前記濃度判別手段及び前記環境判別手段による判別結果から、現像剤搬送量が前記対応表の目標値になるように前記層規制部材の回転速度を制御することを特徴とする現像装置である。
請求項10に係る発明は、請求項6に係る現像装置において、前記算出手段にて算出された現像剤搬送量が予め決められた許容範囲内にあるか否かを判別する判別手段と、前記判別手段にて現像剤搬送量が予め決められた許容範囲内にないと判別された場合当該現像剤の交換を促すようにユーザーに告知する告知手段と、を備えることを特徴とする現像装置である。
【0008】
請求項11に係る発明は、請求項6に係る現像装置のうち現像剤がトナー及びキャリアを含む二成分現像剤である態様において、予め決められた初期の現像剤搬送量は、前記蓄電要素と前記現像剤保持体との対向部位で現像剤が前記蓄電要素のうち前記現像剤保持体側の導電層に接触する量に設定されていることを特徴とする現像装置である。
請求項12に係る発明は、請求項7に係る現像装置において、予め決められた初期の現像剤搬送量は、前記蓄電要素と前記現像剤保持体との対向部位で現像剤が前記蓄電要素のうち前記現像剤保持体側の導電層に接触しない量に設定され、この設定された現像剤搬送量で使用し、前記現像剤保持体の現像剤搬送量が測定される場合には、現像剤が前記蓄電要素のうち前記現像剤保持体側の導電層に接触するように使用時の現像剤搬送量から一旦増量させ、現像剤搬送量が測定された後、前記使用時の現像剤搬送量に戻すようにすることを特徴とする現像装置である。
請求項13に係る発明は、請求項11又は12に係る現像装置において、現像剤搬送量を測定した後、前記蓄電要素と前記現像剤保持体との対向部位で現像剤が前記蓄電要素のうち前記現像剤保持体側の導電層に接触する量である状態で、現像剤中のトナーが現像剤保持体側に吸引される方向の電界を前記現像剤保持体に作用させて前記蓄電要素のうち前記現像剤保持体側の導電層に付着したトナーを現像剤保持体側に回収する回収手段を有することを特徴とする現像装置である。
【0009】
請求項14に係る発明は、潜像を保持する像保持体と、この像保持体に対向するように設けられる請求項4乃至13のいずれかに係る現像装置と、を備えることを特徴とする画像形成装置である。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に係る発明によれば、本構成を有さない場合に比べて、帯電された状態の粉体を保持して搬送する粉体保持体上の粉体搬送量が簡単な構成で精度よく求められる。
請求項2に係る発明によれば、本構成を有さない場合に比べて、粉体搬送量を容易に測定することができる。
請求項3に係る発明によれば、本構成を有さない場合に比べて、粉体搬送量を容易に測定することができる。
請求項4に係る発明によれば、本構成を有さない場合に比べて、現像剤を保持して搬送する現像剤保持体上の現像剤搬送量が簡単な構成で精度よく求められる。
請求項5に係る発明によれば、本構成を有さない場合に比べて、現像剤保持体上の現像剤搬送量をより精度よく求めることができる。
請求項6に係る発明によれば、本構成を有さない場合に比べて、現像剤保持体上の安定した現像剤搬送量を求めることができる。
請求項7に係る発明によれば、本構成を有さない場合に比べて、現像剤保持体上の現像剤搬送量を変化させることができる。
請求項8に係る発明によれば、本構成を有さない場合に比べて、現像剤保持体上の現像剤搬送量を適正な値に容易に調整することができる。
請求項9に係る発明によれば、本構成を有さない場合に比べて、現像剤濃度や環境条件に合った現像剤搬送量に調整することができる。
請求項10に係る発明によれば、本構成を有さない場合に比べて、現像剤の劣化状況が容易に判断され、ユーザーによる適正な交換が可能になる。
請求項11に係る発明によれば、本構成を有さない場合に比べて、蓄電要素の汚れ防止を図りながら、安定した精度のよい現像剤搬送量を求めることができる。
請求項12に係る発明によれば、本構成を有さない場合に比べて、蓄電要素の汚れ防止を図りながら、長期に亘って精度のよい現像剤搬送量を求めることができる。
請求項13に係る発明によれば、本構成を有さない場合に比べて、蓄電要素が清浄化されると共に現像剤搬送量の測定が一層安定して行われるようになる。
請求項14に係る発明によれば、本構成を有さない場合に比べて、現像剤を保持して搬送する現像剤保持体上の現像剤搬送量が簡単な構成で精度よく求められる画像形成装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明が適用された粉体搬送量測定装置を用いた現像装置の実施の形態モデルの概要を示す説明図である。
【図2】実施の形態モデルでの現像剤搬送量が少ない場合の作用を示す説明図である。
【図3】実施の形態モデルにて、図2より現像剤搬送量が多い場合の作用を示す説明図である。
【図4】実施の形態モデルにて、図3より現像剤搬送量が多い場合の作用を示す説明図である。
【図5】実施の形態モデルにて、図4より現像剤搬送量が多い場合の作用を示す説明図である。
【図6】比較モデルでの現像剤搬送量が少ない場合の作用を示す説明図である。
【図7】比較モデルにて、図6より現像剤搬送量が多い場合の作用を示す説明図である。
【図8】比較モデルにて、図7より現像剤搬送量が多い場合の作用を示す説明図である。
【図9】実施の形態1の画像形成装置の概要を示す説明図である。
【図10】実施の形態1の現像装置の概要を示す説明図である。
【図11】実施の形態1の制御装置での制御フローを示すフローチャートである。
【図12】対応表の一例を示す説明図である。
【図13】(a)〜(c)は現像剤搬送量を変化させた場合の電流波形の変化を示す説明図である。
【図14】(a)〜(c)は現像剤搬送量を変化させた場合の電圧波形の変化を示す説明図である。
【図15】変形例として、現像剤が帯電要素に接触していない場合の制御フローを示すフローチャートである。
【図16】実施の形態2の現像装置の概要を示す説明図である。
【図17】実施の形態2の制御装置での制御フローを示すフローチャートである。
【図18】実施の形態3の現像装置の概要を示す説明図である。
【図19】実施例の結果を示すグラフである。
【図20】比較例の結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
◎実施の形態の概要
先ず、本発明が適用された粉体搬送量測定装置を用いた現像装置の実施の形態の概要について説明する。
図1は、本発明を具現化する実施の形態モデルに係る粉体搬送量測定装置が用いられた現像装置2の概要を示すものであって、潜像を保持する像保持体1に対向するように配置されている。
【0013】
同図において、粉体搬送量測定装置は、帯電された粉体Dを保持して搬送する粉体保持体3と、この粉体保持体3と対向して設けられる導電性の電極部材4と、粉体保持体3から離れた位置に設けられ、電極部材4を一方の導電層とし且つ電極部材4の粉体保持体3側に絶縁層6を介して導電層7を形成することで電位が変化する電圧を印加したときに一時的に電荷が蓄積可能に構成される蓄電要素5と、粉体保持体3と電極部材4との間に粉体Dが介在された状態で予め決められた時間だけ予め決められた電位の電圧を印加する電圧印加手段8と、この電圧印加手段8にて前記電圧が印加されたときに電圧の印加開始に伴って蓄電要素5に蓄積された電荷の時間変化に相当する電気的特性を検知する特性検知手段9と、この特性検知手段9にて検知された電気的特性に基づいて蓄積された電荷量の大きさに対応する電気特性値を割り出し、この電気特性値の大きさに応じて粉体保持体3上の粉体搬送量を算出する算出手段10と、を備えている。
【0014】
ここで、粉体保持体3は、ロール状、ベルト状いずれであっても差し支えない。また、蓄電要素5は電荷の蓄積がなされるものであればよく、通常一つの絶縁層6を電極板(導電層)で挟む構成のものであるが、絶縁層6の層数は特に限定されず、複数層備えるものであってもよく、全体として蓄電要素5として機能するものであればよい。更に、電極部材4とは別に、蓄電要素5の電極部材4側の導電層を設けるようにしても差し支えない。更にまた、蓄電要素5の粉体保持体3側に面する導電層7側に他の導電部材を設けることは差し支えない。
【0015】
そして、電極部材4としては、固定して配置される態様であってもよいし、例えば粉体Dの動きに合わせて回転するような態様であっても差し支えない。電極部材4が固定して配置される態様にあっては、蓄電要素5としては平板状や弧状等が選定され、一方、電極部材4が回転する態様にあっては、電極部材4はロール状又はベルト状いずれでもよく、この場合の蓄電要素5としては電極部材4と共にその周面に沿って層状に設けられればよい。尚、粉体搬送量をより安定して算出する観点からすれば、電極部材4は固定して配置される方が好ましい。
【0016】
また、電圧印加手段8にて印加される電圧は、ゼロから予め決められた大きさの電圧にしてもよいし、他の電圧値から変化させるようにしてもよく、要は大きさ(電位)の異なる電圧に変化させることを意味する。また、電位の大きさを一定とはせずに、例えば環境条件等を加味して、選択する電位を決めるようにしてもよい。
更に、粉体保持体3上の粉体搬送量を測定する際、繰り返して測定を行い、その平均値を求めて、この平均値を粉体搬送量とするようにしてもよい。
【0017】
そして、このような粉体搬送量測定装置の具体的な態様としては、次の二つの態様が挙げられる。第一の態様は、特性検知手段9は、蓄電要素5に流れる電流を検知する電流検知手段であり、算出手段10は、この電流検知手段にて検知される電流の変化に基づいて、電流の時間的な積算量若しくは電流ピークに相当する電気特性値を割り出し、この電気特性値の大きさに応じて粉体保持体3上の粉体搬送量を算出するようにしたものが挙げられる。このとき、電流検知手段としては、流れる電流が検知できるものであればよく、例えば電流自体を電圧に変換して検知することも含まれる。
【0018】
また、第二の態様としては、特性検知手段9は、蓄電要素5の一対の導電層(具体的には4,7)間に作用する電圧を検知する電圧検知手段であり、算出手段10は、この電圧検知手段にて検知される電圧の変化に基づいて、電圧の変化開始から予め決められた時間経過後の電圧に相当する電気特性値を割り出し、この電気特性値の大きさに応じて粉体保持体3上の粉体搬送量を算出するようにしたものが挙げられる。
【0019】
このような粉体搬送量測定装置を現像装置2にて現像剤を保持する現像剤保持体上の現像剤搬送量を測定する装置として用いるには、上述の粉体搬送量測定装置を含み、粉体保持体3を粉体Dとしての現像剤Dを保持して搬送する回転可能な現像剤保持体3とすればよい。ここで、使用される現像剤Dとしては、一成分系、二成分系を問わないが、現像剤保持体3上を現像剤Dがより均一な状態で搬送される観点からすれば、現像剤Dとしてはトナー及びキャリアが含まれる二成分現像剤が好適である。また、現像剤保持体3は、ロール状、ベルト状いずれであっても差し支えない。
【0020】
次に、本実施の形態モデルでの粉体搬送量を測定する作用について説明するが、ここでは、粉体Dを現像剤Dとし、粉体保持体3を現像剤保持体3とした場合の現像剤搬送量と同様の作用のため、以下に現像剤Dを用いた場合の現像剤保持体3上の現像剤搬送量を測定する作用について説明する。
図2は、本実施の形態モデルで現像剤Dが蓄電要素5の導電層7と現像剤保持体3との間隙よりも少ない状態で、現像剤Dが導電層7に接触していない場合の各波形の変化を示したものである。また、電圧印加手段8による電圧印加によって時刻tにて0からVへと電位が変化したときの各波形の変化を示している。ここで、検知電流iは電流計によって検知された電流であり、検知電圧V1は現像剤保持体3と蓄電要素5の導電層7との間の電位差であり、検知電圧V2は蓄電要素5の一対の導電層(具体的には4,7)間の電位差となっている。
【0021】
同図において、蓄電要素5を設けたことで、現像剤Dが蓄電要素5(具体的には導電層7)に接触していない状況であっても、蓄電要素5を流れる電流が、初期に立ち上がりその後蓄電要素5による時定数の下でゆっくり減衰する検知電流iとして検出される。つまり、蓄電要素5には充電電流が流れ、検知電流iは図のように少し立ち上がり、その後放電によって減衰する。また、検知電圧V1は、時刻tで立ち上がった後、緩やかに減衰する。一方、検知電圧V2は緩やかに増加する傾向を示す。そして、V1とV2の和がVとなる。このときの検知電圧V2は、どちらかというと、電流を積分したような波形となる。
【0022】
また、図3は、現像剤Dが蓄電要素5の導電層7に少し接触している場合であり、検知電流iのピーク値は図2に比べ大きくなる。このとき、検知電圧V1,V2も検知電流iに合わせて変化する傾向を示し、図2に比べて、やや大きい減衰を示す。
【0023】
更に、図4は、現像剤Dが蓄電要素5の導電層7の略全面に亘って接触している場合であり、現像剤Dが蓄電要素5の導電層7の一部にしか接触しない図3の場合に比べて、検知電流iのピーク値は大きくなる。そのため、検知電圧V1は図3に比べて、その減衰量が大きく、検知電圧V2は逆にその増加量が大きくなる傾向を示す。
【0024】
そして、図5は、現像剤Dが蓄電要素5の導電層7の全面に亘って接触する点では図4と同様であるが、図4に比べて、その接触面積が広くなっている状態を示す。そのため、図5は、図4の場合に比べて、検知電流iのピーク値は大きくなる。一方、検知電圧V1は図4のものに比べて、その減衰量が大きく、検知電圧V2は逆にその増加量が大きくなる傾向を示す。
【0025】
つまり、本実施の形態モデルでは、蓄電要素5を設けたことで、現像剤Dが蓄電要素5の導電層7に接触していない状態であっても電流計による電流が検出され、また、蓄電要素5による大きな時定数に伴う変化が観測されるようになるため、現像剤保持体3と蓄電要素5の導電層7との間に存在する現像剤Dの量に応じた電気的特性の変化として検出される。また、現像剤Dが蓄電要素5の導電層7に接触することで、より一層大きな変化として検出されるようになる。このことから、現像剤保持体3上の現像剤搬送量の測定が容易になされる。
【0026】
このような本実施の形態モデルに対し、電極部材4に蓄電要素5を備えない比較の形態モデルでは、次のようになる。尚、図6〜8にて説明するが、わかり易くするために、符号は本実施の形態モデルと同様のものを用いた。
図6は、現像剤保持体3と電極部材4との間隙にて、現像剤Dが電極部材4に接触していない場合を示す。このとき、電圧印加手段8による印加電圧を時刻tにて0からVへと変化させると、現像剤Dが電極部材4に接触していないため、電流計での検知電流iは殆ど観測されず、一方、現像剤保持体3と電極部材4との間の電位差である検知電圧V1はVで一定となる。
【0027】
図7は、現像剤Dが電極部材4に少し接触する場合であり、検知電流iは現像剤Dが高抵抗体(例えば体積抵抗率が109〜1012Ω・cm)であるため、時刻tで急峻に立ち上がった後急激に減衰し、その後、徐々に増加する傾向を示す。このような変化は次のように推定される。つまり、一旦立ち上がった波形は、蓄電要素5による容量成分がない分、急激に減衰する。また、電圧印加によって生じる電界により、現像剤Dの配列が変化したり、電流の流れる通路ができるとその分の抵抗が時間的に変化することに起因して、その後の増加傾向を来すものと推定される。また、このときの検知電圧V1はVで一定となり、電圧波形から現像剤搬送量を測定することは不能である。
【0028】
図8は、現像剤Dが電極部材4に接触する点では図7と同様であるが、図7の場合に比べ、電極部材4と接触する面積が広くなっている。つまり、現像剤保持体3と電極部材4との間の現像剤量が図7に比べ多い状態を示す。この場合の検知電流iは、図7に比べ、大きく立ち上がり、また、一旦減衰した後の検知電流iの増加傾向も図7に比べて大きくなる。
【0029】
以上のような比較モデルの方式では、現像剤量によって検知電流iの波形が夫々大きく異なり、また、時刻tから一定時間経過後の時点での検知電流iから現像剤搬送量を求めようとしても、検知電流iそのものが、現像剤Dの特性、現像剤Dの動きやすさ、電流経路のでき方などの影響を受けた結果の値であることから、現像剤搬送量の特性を示す値としては、ばらつきの大きいものであり、精度のよい現像剤搬送量を求めることは困難になる。更に、現像剤搬送量が少ない場合には、測定自体がなされないという欠点もある。
したがって、本実施の形態モデルでの現像剤搬送量の測定の有効性が確認される。
【0030】
このような現像装置2にあって、算出される現像剤搬送量の測定精度を向上させる観点からすれば、図1に示すように、算出手段10は、現像剤保持体3を回転させた後に停止させて現像剤保持体3上の現像剤搬送量を算出することが好ましい。この場合、例えば現像時の現像剤保持体3の周速が速くても、現像剤搬送量を求める際に現像剤保持体3を停止させることで、蓄電要素5の導電層7と現像剤保持体3との間隙にある現像剤Dの位置ずれ等が抑えられ、一層精度のよい現像剤搬送量が測定される。
【0031】
また、現像剤搬送量を安定した現像剤搬送量とするには、電極部材4より現像剤保持体3の回転方向に沿う上流側部位にて現像剤保持体3に対応して設けられ、現像剤保持体3上の現像剤搬送量を規制する層規制手段11を備えることが好ましい。
このような層規制手段11としては、現像剤保持体3に対向して配置される層規制部材12を用いて現像剤保持体3上の現像剤搬送量を安定化させるようにしてもよいし、例えば事前に層規制された現像剤層を電界作用等で現像剤保持体3上に供給することで現像剤保持体3上の現像剤搬送量を安定化させるようにしてもよい。このように、現像剤保持体3上の現像剤層が電極部材4との対向部位より上流側で層規制されることで、現像剤保持体3上の現像剤搬送量を測定する際、現像剤Dの密度等がより一層均一化され、安定した現像剤搬送量が測定される。
【0032】
更に、現像剤Dがトナー及びキャリアを含む二成分現像剤である態様において、現像剤保持体3上の現像剤搬送量を適正に保つ観点から、層規制手段11は、現像剤保持体3に対して離れて移動可能に配置され且つ現像剤保持体3上の現像剤搬送量を変化可能に規制する層規制部材12と、現像剤保持体3上の現像剤搬送量を可変するように層規制部材12の移動状態を制御する制御手段と、を備えることが好ましい。このような層規制部材12の代表的態様としては、例えばロール状やベルト状の回転速度が変化する回転部材の態様や、回転せずに、単に、現像剤保持体3との間隙寸法を変化させる部材の態様が挙げられる。
【0033】
そして、現像剤搬送量をより細かく制御する観点から、層規制部材12は、現像剤保持体3との対向部位で現像剤保持体3と同方向に回転し且つ回転速度が可変な回転部材であり、前記制御手段は、現像剤保持体3上の現像剤搬送量を増加させるときに層規制部材12の回転速度を増加前の回転速度より速めるように制御することが好ましい。
【0034】
また、層規制部材12が回転部材である態様において、現像剤保持体3上の現像材搬送量をより適正にする観点から、現像された画像の現像剤濃度を判別する濃度判別手段と、環境条件を判別する環境判別手段と、を更に備え、前記制御手段は、現像剤濃度及び環境条件と現像剤搬送量の予め決められた目標値とを対応付けて記述した対応表を有しており、前記濃度判別手段及び前記環境判別手段による判別結果から、現像剤搬送量が前記対応表の目標値になるように層規制部材12の回転速度を制御することが好ましい。
【0035】
このような具体的方法としては、現像剤濃度及び環境条件と、許容される現像剤搬送量との関係を予め定めた対応表を記憶しておき、現像剤濃度及び環境条件の判別結果から、対応表に記述された適正な現像剤搬送量となるように層規制部材12の回転速度を変化させるようにすればよい。ここで、目標値とは、一つの値としてもよいが、通常、許容範囲を意味するものであり、また、濃度判別手段にて判別される画像の現像剤濃度は、現像後の画像であれば、現像直後の画像であってもよいし、現像後しばらく経過した後の画像であってもよく、このような画像から濃度が測定され、判別されるものであればよい。
【0036】
また、劣化した現像剤Dの使用を防ぐ観点から、算出手段10にて算出された現像剤搬送量が予め決められた許容範囲内にあるか否かを判別する判別手段と、前記判別手段にて現像剤搬送量が予め決められた許容範囲内にないと判別された場合現像剤Dの交換を促すようにユーザーに告知する告知手段と、を備えることが好ましい。例えば二成分現像剤が使用される場合、一般に、現像剤Dの劣化が進行すると、現像剤搬送量が低下する方向に向かう。そのため、現像剤搬送量の許容範囲を事前に決めておき、この許容範囲を超える場合に現像剤Dが劣化状態にあるものと判別し、現像剤Dの交換を促すようにすればよい。そして、このような現像剤搬送量の許容範囲は、事前に実験等で確認して決定しておけばよい。また、告知手段としては、表示や音等の任意の方式が採用できる。
【0037】
更に、現像剤Dの交換に際しては、現像剤濃度や環境条件を加味することも可能で、この場合、現像剤濃度及び環境条件と、現像剤搬送量の関係を求めた対応表を記憶しておき、測定された現像剤濃度、環境条件で許容されない現像剤搬送量であればユーザーに現像剤Dの交換を促すようにすればよい。そして、このような現像剤Dの交換は、現像剤Dとして二成分現像剤のみならず、一成分現像剤に対しても同様に行うようにすればよい。
【0038】
そして、現像剤Dによる蓄電要素5の汚れを防ぎつつ現像剤搬送量の安定した測定を行う観点から、現像剤Dとしてトナー及びキャリアが含まれる二成分現像剤を用いる態様において、予め決められた初期の現像剤搬送量は、蓄電要素5と現像剤保持体3との対向部位で現像剤Dが蓄電要素5のうち現像剤保持体3側の導電層7に接触する量に設定されていることが好ましい。このように、通常使用される状態では蓄電要素5の導電層7に現像剤Dを接触させることで、蓄電要素5の導電層7の表面には現像剤Dが接触していることから、この部位への直接の汚れ付着が抑えられるようになる。また、導電層7の全面に亘って常に現像剤Dを接触させている必要はなく、一部に接触していればよく、このように現像剤Dを導電層7に接触させることで、現像剤搬送量を測定する際の電気的特性もより一層明瞭となる。ここで、予め決められた初期とは、例えば装置立ち上げ時を意味し、通常、この状態で使用されることをいう。
【0039】
また、現像剤Dによる蓄電要素5の汚れをより防ぎつつ現像剤搬送量の安定した測定を行う観点から、予め決められた初期の現像剤搬送量は、蓄電要素5と現像剤保持体3との対向部位で現像剤Dが蓄電要素5のうち現像剤保持体3側の導電層7に接触しない量に設定され、この設定された現像剤搬送量で使用し、現像剤保持体3の現像剤搬送量が測定される場合には、現像剤Dが蓄電要素5のうち現像剤保持体3側の導電層7に接触するように使用時の現像剤搬送量から一旦増量させ、現像剤搬送量が測定された後、使用時の現像剤搬送量に戻すようにすることが好ましい。
【0040】
このように使用時に蓄電要素5の導電層7の表面に現像剤Dが接触しないようにすることで、導電層7の表面に現像剤Dが擦れることもなく、また、汚れの付着も抑えられ、長期に亘って安定した現像剤搬送量の測定が可能になる。更に、現像剤搬送量の測定に際しては、現像剤Dを増量させて導電層7に現像剤Dを接触させることで、より一層安定した現像剤搬送量の測定がなされる。そして、このような現像剤Dの増量に際しては、層規制部材12や現像剤保持体3の回転速度等を調整すればよい。
【0041】
また、蓄電要素5の導電層7へ付着した汚れを除去する観点から、現像剤搬送量を測定した後、蓄電要素5と現像剤保持体3との対向部位で現像剤Dが蓄電要素5のうち現像剤保持体3側の導電層7に接触する量である状態で、現像剤D中のトナーが現像剤保持体3側に吸引される方向の電界を現像剤保持体3に作用させて蓄電要素5のうち現像剤保持体3側の導電層7に付着したトナーを現像剤保持体3側に回収する回収手段を有することが好ましい。
更に、このような現像装置2を画像形成装置に適用するには、潜像を保持する像保持体1と、この像保持体1に対向するように設けられる現像装置2とを備え、この現像装置2として上述の現像装置2を用いるようにすればよい。
【0042】
次に、図面に示す実施の形態に基づいて本発明を更に詳細に説明する。
◎実施の形態1
図9は一例として本発明が適用された実施の形態1に係る画像形成装置の概要を示す説明図である。
同図において、本実施の形態の画像形成装置は、例えば電子写真方式を用いたものであり、装置本体20の上部に、プラテンガラス上に置かれた原稿の画像を読み取るための原稿読取器を内蔵した原稿読取部21を設け、更にこの原稿読取部21の上部には、原稿を自動的に読み取り、読み取った原稿を決められた場所に収容するための自動原稿送り部22を備えている。
【0043】
装置本体20内の下方には、記録材を供給する供給部70を有し、装置本体20内の中央には供給部70から供給された記録材に画像を形成する画像形成部が設けられている。
画像形成部は、略直線方向に沿って、四色夫々のトナー像を形成する作像エンジン30(30a〜30d)を設け、これらの作像エンジン30を複数の張架部材61〜66に掛け渡されて回転するベルト状の中間転写体60に対向する位置に並べて配置している。そして、中間転写体60上に各作像エンジン30からのトナー像を転写させて多重化し、中間転写体60上で多重化されたトナー像を記録材に一括転写するように構成されている。
【0044】
夫々の作像エンジン30(30a〜30d)は、使用する現像剤の他は略同様に構成されているため、ここでは一つの作像エンジン30について説明する。
作像エンジン30は、図中B方向に回転し且つ潜像を形成して保持する像保持体としての感光体31と、この感光体31の周りに設けられ且つトナー像を形成するための各種装置とで構成されている。感光体31の周りには、感光体31を予め決められた電位に帯電する帯電装置32、帯電装置32で帯電された感光体31に潜像を形成するように例えばレーザ光を用いて露光する露光装置33、感光体31上に形成された潜像に対して現像を行ってトナー像にする現像装置40、現像されたトナー像を中間転写体60上に転写する転写装置35、転写後の感光体31上を清掃する清掃装置36等が予め決められた位置に配置されている。
【0045】
中間転写体60は、複数の張架部材61〜66に掛け渡され、例えば張架部材61を駆動部材として回転するもので、例えば張架部材63を中間転写体60に張力を付与する部材とすることで、中間転写体60は緊張した状態で循環回転するようになる。また、張架部材65と中間転写体60を挟んで対向する位置には、中間転写体60上で多重化されたトナー像を記録材に一括転写するための一括転写装置67が設けられ、この一括転写装置67と張架部材65との間に中間転写体60上のトナー像が記録材に転移される方向のバイアスが印加されるようになっている。また、中間転写体60の張架部材61の近くには、この張架部材61を対向する部材として中間転写体60上の残留トナーを清掃する清掃装置68が設けられている。
【0046】
また、供給部70には、供給部70内の記録材を供給して搬送するためのピックアップ部材71、捌き部材72が設けられており、これらによって供給部70より下流側にある記録材の搬送経路に向かって記録材が一枚ずつ搬送される。供給部70から搬送された記録材は、位置決め部材73にて位置決めされて、姿勢が規制された後、予め決められたタイミングで下流側の一括転写部位(張架部材65と一括転写装置67とが対向する部位)に向かって搬送される。
【0047】
一括転写部位にてトナーが転写された記録材は、搬送ベルト74を介して定着装置75にて定着され、定着後の記録材は排出部材76を介して排出収容部77に収容される。
また、図中符号23は、作像エンジン30夫々の現像装置40に対してトナーを補給するための補給装置である。
【0048】
このような構成の画像形成装置における現像装置40は、図10に示すように構成されており、現像剤としてはトナーと磁性キャリアが含まれる二成分現像剤が用いられる。
同図において、現像装置40は、感光体31に対向して開口を有する現像容器41が配置され、この開口に対応した現像容器41内には、感光体31に対向して配置され且つ現像剤を保持して搬送する現像剤保持体42が配置されている。更に、現像容器41内の現像剤保持体42の後方には、現像剤を攪拌して混合しながら、現像剤を帯電し、帯電した現像剤を現像剤保持体42に供給する一対の攪拌搬送部材48,49が設けられている。これらの攪拌搬送部材48,49は、現像剤保持体42の回転軸方向に沿って延びる回転軸と、その回転軸の周りに螺旋状の羽根を有して回転するもので、互いに反対方向へ現像剤を搬送することで、現像容器41内を現像剤が循環できるようになっている。
【0049】
現像剤保持体42は、表面に現像剤を保持した状態で回転する現像スリーブ42aと、この現像スリーブ42aの内部に固定的に設けられ、複数の磁極(図中四角形状で示す部材)が選択された位置に固定的に配置された磁石体42bとで構成されている。
【0050】
現像スリーブ42aには切替器81が接続され、二つの電源82,83の間でいずれか一方の電源に現像スリーブ42aが接続されるようになっている。ここで、電源82は、現像スリーブ42a上の現像剤からトナーを感光体31側に飛翔させるための現像バイアスを供給するためのものであり、電源83は、予め決められた電位の直流電圧をON/OFFによって印加するためのもので、印加される電圧は階段状に急激に変化するものとなる。
【0051】
また、現像装置40には、現像スリーブ42aと感光体31とが対向する部位より現像スリーブ42aの回転方向における上流側で、磁石体42bの一つの磁極に対応する位置に、現像スリーブ42aから予め決められた間隔をもって配置された層規制部材43が、回転可能な状態で設けられている。そのため、磁石体42b内の磁極によって穂立ちがなされた現像スリーブ42a上の現像剤は、回転する層規制部材43によって規制されることで、層規制部材43を通過した現像スリーブ42a上には規制された現像剤量が保持された状態で、下流側に搬送される。
【0052】
更に、本実施の形態では、層規制部材43より現像スリーブ42aの回転方向における下流側で、現像スリーブ42aと感光体31とが対向する部位より上流側位置に、現像スリーブ42aから離れた状態で現像スリーブ42aに対向して配置される略円柱状に形成された蓄電要素90が磁石体42bの磁極とほぼ対向するように、固定された状態で設けられている。
【0053】
蓄電要素90は、略同心円状に設けられた三層構成のもので、現像スリーブ42a側の導電層91、この導電層91とは異なる中心部分に導電性の電極部材としての中心導体92、導電層91と中心導体92との間に設けられた絶縁層93とで構成されている。また、本実施の形態では、導電層91の表面の少なくとも一部には現像剤が接触するようになっており、導電層91に対する現像剤の残渣(特に現像剤中のトナー)の堆積は抑えられる。
【0054】
そして、この蓄電要素90の中心導体92側には、蓄電要素90を流れる電流を検知する電流センサ97が接続されている。また、感光体31と現像スリーブ42aとが対向する部位より感光体31の回転方向における下流側で感光体31に対向する部位に、感光体31上で現像されたトナー像のトナー濃度を検知する濃度センサ98が設けられると共に、更に、現像装置40の環境条件を検知する環境センサ99が予め定めた位置に設けられている。
【0055】
また、本実施の形態では、現像スリーブ42a上の現像剤搬送量の測定や層規制部材43の回転速度を制御するための制御装置100が設けられており、この制御装置100は、層規制部材43、切替器81、電流センサ97、濃度センサ98、環境センサ99等と信号の伝達がなされるようになっている。
【0056】
本実施の形態の制御装置100は、現像装置40自体の制御も行うが、ここでは、主として現像スリーブ42a上の現像剤搬送量の測定制御について説明する。制御装置100による制御フローは図11に示すようになっており、この制御フローについて図10を参照しながら説明する。
現像剤搬送量の測定を開始する場合、先ず、切替器81を電源82側にした状態で、感光体31に予め決められた大きさの濃度パッチを作成する(ステップS1)。作成された濃度パッチのトナー濃度を濃度センサ98にて測定すると共に環境条件を環境センサ99によって測定する(ステップS2)。
【0057】
その後、現像スリーブ42a及び層規制部材43の回転を停止した状態で切替器81を電源82側から電源83側に切り替えた後、現像スリーブ42aと蓄電要素90の中心導体92との間にこの電源83によってゼロから予め定めた電位の直流電圧に急峻に変化する電圧を印加し、電流センサ97によって検出される電流波形のうち、電圧の印加開始から予め決められた期間までの積算電流値から、現像スリーブ42aと蓄電要素90(具体的には導電層91)との間の現像剤量を求め、求められた現像剤量から現像スリーブ42a上の現像剤搬送量を算出する(ステップS3)。積算電流値は、測定電流値から減衰曲線をA・exp(−bt)(ただし、A,bは定数)とおいて積分値を求めてもよい。
【0058】
ここで、積算電流値から現像剤搬送量を算出するには、先ず、積算電流値と、現像スリーブ42aと蓄電要素90との間隙にある現像剤量との関係を事前実験等で把握し、この現像剤量をそのまま現像剤搬送量として算出するようにしてもよいし、例えば単位面積当たりに換算した値を現像剤搬送量としてもよい。
【0059】
次に、測定されたトナー濃度、環境条件及び算出された現像剤搬送量から、トナー濃度や環境条件に対して現像剤搬送量が目標範囲内にあるか否かの判別が、例えば事前に記憶されている対応表を参照しながらなされる(ステップS4)。このような対応表は、トナー濃度及び環境条件に適合する現像剤搬送量の目標範囲(目標値)を事前に実験等で把握しておき、例えば制御装置100内に記憶しておけばよい。
【0060】
そして、ステップS4で目標範囲内と判別されれば、層規制部材43の回転速度の設定値はそのままに、現像剤搬送量の測定を終える。一方、ステップS4で現像剤搬送量が目標範囲外であると判別されると、層規制部材43の回転速度の設定値を増減し(ステップS5)、ステップS3に戻る。このとき、現像スリーブ42a及び層規制部材43を再度回転させて、予め定めた時間後に現像剤搬送量の測定を行うことは言うまでもない。尚、回転速度の設定値の増減は、例えば現像剤搬送量が不足している場合には設定値を増加させ、現像剤搬送量が過剰である場合には設定値を減少させるようにすればよい。
【0061】
そして、トナー濃度、環境条件に合った現像剤搬送量が確認されれば終了する。
また、現像剤搬送量の測定を繰り返しても算出される現像剤搬送量が目標範囲内にならない場合には、例えば事前に繰り返し回数の最大回数を定めておき、この回数だけ繰り返しても目標範囲内に至らない場合には例えば現像剤の劣化と判断し、ユーザーに現像剤の交換を促すようにしてもよい。
【0062】
また、このような制御フローで、例えば対応表にトナー濃度及び環境条件と、これらの条件に適合した層規制部材43の回転速度の設定値との対応が関連付けられていれば、トナー濃度及び環境条件から層規制部材43の回転速度の設定値を新たな設定値に変更するようにしてもよい。この場合、例えば現在の設定値がトナー濃度及び環境条件に許容される場合であり、更に、現像剤搬送量が許容されない場合には、例えば現像剤が劣化しているものと判断し、ユーザーに現像剤の交換を促すようにしてもよい。
【0063】
図12は、対応表の一例を示したもので、例えば環境条件を三段階に分け、トナー濃度も三段階に分け、夫々に対応する許容される現像剤搬送量(図中R1〜R5で示す)を事前に決めたものとなっている。また、現像剤搬送量は、夫々の目標範囲を有しており、R1からR5に向かうに連れて現像剤搬送量が少なくなっている。
例えば高温高湿環境下では、現像剤は主としてその流動性が低下するため、勢い現像剤搬送量が減少する方向に向かうため、これらを加味した現像剤搬送量を決めておく方がよい。そして、例えば算出された現像剤搬送量がこの対応表の現像剤搬送量の範囲よりも低下した場合には、現像剤の劣化が生じたものと判断するようにしても差し支えない。
また、ここでは、目標範囲が互いにオーバーラップする値ではないものとしたが、一部オーバーラップするようになっていてもよい。
【0064】
次に、このような現像剤搬送量の測定方法の有効性について説明する。
蓄電要素90を流れる電流の短時間での電流波形の変化をみると、現像剤搬送量が多い場合と少ない場合とでは異なるものとなる。図13(a)〜(c)は現像剤搬送量を(a)から(c)方向へ、順次多くした場合の電流波形の一例を示したものである。
【0065】
電源83によって現像スリーブ42aと蓄電要素90の中心導体92との間に急峻に変化する電圧を印加すると、蓄電要素90の、特に絶縁層93に対し急速に充電電流が流れる結果、電流波形は急激に立ち上がる。これは、現像剤の体積抵抗率がおよそ109〜1011Ω・cmであるのに対し、絶縁層93の体積抵抗率を現像剤より1桁以上大きいおよそ1013Ω・cm以上とすることで、蓄電要素90に対して急速な充電電流が流れることになる。その後、充電量に応じた放電がなされ、放電電流による減衰曲線が得られる。この場合、現像剤搬送量が多くなると、現像剤と蓄電要素90(具体的には導電層91)との接触面積が増加するために、蓄電要素90を流れる充電電流が増加する。したがって、電流波形での最大電流も増加するようになり、減衰曲線も緩やかになる。
【0066】
このような電流波形で、例えばある時刻の電流値から現像剤搬送量を算出しようとすると、電流のピークの位置は例えば電源や測定系の立ち上がりも含まれるため、常に一定とは限られず、電圧の立ち上げ時から一定時間が経過した時点での電流値を基に現像剤搬送量を算出することは多くの誤差が含まれる虞がある。これに対し、本実施の形態では、一回の電圧変更によって生じる電流量、例えばt1までの間の電流波形の電流積分値を求め、これから現像剤搬送量を算出するようにしているため、検知のために現像剤層に与える電気的な影響時間(例えば本実施の形態のt1としては約100msもあればよい)を最小限にでき、ばらつきの少ない現像剤搬送量の算出がなされる。尚、このような現像剤搬送量の算出には、例えば事前に現像剤搬送量と電流積分値との関係を求め、対応表としておけばよい。
【0067】
更に、本実施の形態では、対応表の作成にあたっては、感光体31上のトナー濃度や環境条件も同時に加味したものとなっている。それ故、層規制部材43の回転速度を制御することで、より適正な現像剤搬送量が維持されるようになる。一方、現像剤自体の劣化が進行した場合には、現像剤を交換させるようにすればよい。
【0068】
一般に、二成分現像剤を用いて現像を繰り返すと、現像剤中のキャリアの帯電性能の劣化の他、流動性の低下などが進行し、現像剤としての十分な帯電がなされ難くなると共に現像剤搬送量の低下や背景かぶりが生じ易くなる。また、環境条件では、例えば高温高湿条件の方が低温低湿条件に比べて現像剤の流動性が低下し、現像剤搬送量は減少し易くなる。また、現像濃度を一定に保つためにトナーの濃度制御を行っていくと、高温高湿条件では低いトナー濃度へ移行し、若干現像剤搬送量は増加する。例えば図12に示すような対応表で想定している範囲よりも現像剤搬送量が低下した場合は、現像剤自体の劣化の虞があり、この場合、現像剤の交換を促す告知を行うことで、速やかな現像剤の交換がなされる。
【0069】
以上の説明においては、電流波形の積算電流値から現像剤搬送量を算出する態様を示したが、次のようにしてもよい。つまり、図13(a)〜(c)にも示すように、電流波形のピーク値も現像剤搬送量によって変化する。そのため、電流波形のピーク検出を行い、そのときのピーク値を求めて、現像剤搬送量としてもよい。このときも、ピーク値と現像剤搬送量との対応表を事前に求めておけばよい。
【0070】
更に、電流波形ではなく、蓄電要素90に作用する電圧を下に現像剤搬送量を算出するようにしてもよい。
図14(a)〜(c)は蓄電要素90に作用する電圧波形、つまり、蓄電要素90の絶縁層93に作用する電位差の変化を示したもので、(a)から(c)に向かうに従い現像剤搬送量が増加したものとなっている。電源83による電圧が印加されると、蓄電要素90に作用する電位差(電圧)は瞬時に立ち上がり(図では負側)、その後若干増加する傾向を示す。この変化には、電源83の立ち上がり、現像剤に流れる電流、測定系の影響が含まれるが、電圧波形は、電流波形を積分したような波形となるため、増加傾向となる部分は非常にゆっくりと変化するため、電圧波形の変化開始時期から予め決められた時間後(立ち上がった後にしばらく経過した時点で図中例えばt1で示す時点)の電圧の大きさに応じて現像剤搬送量を算出する場合、例えば現像剤の配列の変化や導電路の抵抗変化などがあっても、これらの影響が非常に小さく抑えられる。そして、このような電圧を検知する時間(ここではt1が相当する)としては、例えば図13にも示したように、電流積分値や電流値のピークが確認できる時間を基準として決めることも可能である。
【0071】
電圧波形自体は、現像剤の体積抵抗率がおよそ109〜1011Ω・cmであるのに対し、絶縁層93の体積抵抗率を現像剤より1桁以上大きいおよそ1013Ω・cm以上とすることで、現像スリーブ42aと蓄電要素90の導電層91との間の現像剤による抵抗成分より、絶縁層93での抵抗成分の方が大きいため、電圧波形の立ち上がりは急峻となり、その後の変化は漸増する傾向を示す。そのため、電流波形の予め決めた時刻の電流値を下に現像剤搬送量を算出するようにしても、精度の高い現像剤搬送量の算出がなされる。
【0072】
本実施の形態では、蓄電要素90を固定して配置する態様を示したが、例えば現像剤の搬送力に合わせて従動回転するように構成しても差し支えない。また、蓄電要素90の絶縁層93の層数は一層に限られず、複数層備えるようにしてもよい。この場合、絶縁層93の相互間は導電性または半導電性の部材で構成されていればよい。更に、現像剤搬送量を測定する場合、現像スリーブ42aを停止する態様を示したが、現像スリーブ42aの回転を行わせて現像剤搬送量を算出するようにしても差し支えない。そして、この場合、現像スリーブ42aを固定するものに比べて、得られる電気的特性の安定性が多少低下することが想定されるが、それも加味した制御を行うようにすればよい。
【0073】
また、本実施の形態では、磁石体42bの蓄電要素90に対向する部位に磁極を設ける態様を示したが、必ずしも磁極を必要とせず、磁極を設けないようにしてもよい。更に、蓄電要素90の導電層91表面の汚れを清掃するため、例えば現像剤搬送量の測定を終えた時点で、例えば現像スリーブ42a側に現像剤中のトナーを吸引する方向の電界を作用させるようにしても差し支えない。
【0074】
更に、現像スリーブ42a上の現像剤搬送量を層規制部材43の回転速度を調整して行う場合、次のようにする方がより細かい現像剤搬送量の制御が可能になる。
例えば現像スリーブ42aの表面粗さが最大高さRzで5μm以下(JIS B 0601:’01に準拠)の平滑性を備えたものを使用することで、現像スリーブ42a上の現像剤の規制が層規制部材43の回転によって容易になされるようになる。また、層規制部材43の表面も同様の平滑性を備える方がよい。
【0075】
また、上述した実施の形態では、現像剤が蓄電要素90の導電層91に接触する態様を示したが、導電層91に対する現像剤の擦れを防ぎ、蓄電要素90として長期に亘る安定した働きを確保するため、通常、現像剤を蓄電要素90に接触させない方式としてもよい。
図15は、変形例として、現像剤が、通常、蓄電要素90の導電層91に接触していない場合の制御フローを示すもので、図10を参照しながら説明する。
【0076】
先ず、切替器81を電源82側にした状態で、感光体31に予め決められた大きさの濃度パッチを作成する(ステップS11)。作成された濃度パッチのトナー濃度を濃度センサ98にて測定すると共に環境条件を環境センサ99によって測定する(ステップS12)。
ここで、この変形例では、現像剤が、通常、蓄電要素90の導電層91に接触していないことから、現像剤搬送量を測定するために、層規制部材43の回転速度を予め決められた比率で上昇させ、現像剤搬送量を増加させる(ステップS13)。このとき、層規制部材43の回転速度としては、現像剤が蓄電要素90に接触する量になるように、事前に実験等で比率を求め、この求めた比率に応じて回転速度を増加させるようにすればよい。
【0077】
その後、現像スリーブ42a及び層規制部材43の回転を停止した状態で切替器81を電源82側から電源83側に切り替えた後、現像スリーブ42aと蓄電要素90の中心導体92との間にこの電源83によってゼロから予め定めた電位の直流電圧に急峻に変化する電圧を印加し、電流センサ97によって検出される電流波形のうち、電圧の印加開始から予め決められた期間までの積算電流値から、現像スリーブ42aと蓄電要素90との間の現像剤量を求め、求められた現像剤量から現像スリーブ42a上の現像剤搬送量を算出し、この算出結果から、増加させる前の現像剤搬送量を推定する(ステップS14)。このときの推定は、事前の実験等で層規制部材43の回転速度を上昇させた比率での現像剤の増量割合を求めておき、これから逆算するようにすればよい。
【0078】
次に、測定されたトナー濃度、環境条件及び推定された現像剤搬送量から、トナー濃度や環境条件に対して推定された現像剤搬送量が目標範囲内にあるか否かの判別が、例えば事前に記憶されている対応表を参照しながらなされる(ステップS15)。そして、目標範囲内にあると判別された場合には、層規制部材43の回転速度を上昇させた比率の逆数となる比率で下降させ、これを層規制部材43の回転速度として設定して(ステップS16)終える。
また、ステップS15で推定された現像剤搬送量が目標範囲内にない場合は、層規制部材43の回転速度を増減させ、ステップS14から再度行う。
【0079】
このように、通常、現像剤を蓄電要素90(具体的には導電層91)に接触させずに、現像剤搬送量を測定する際に接触させるようにすると、蓄電要素90に対する現像剤の摩耗が抑えられると共に、現像剤搬送量の測定時にも安定した測定がなされる。
また、このように、現像剤を蓄電要素90に接触させずに長期間使用すると、蓄電要素90の表面(導電層91の表面)に現像剤中のトナーの付着が起きやすいため、例えば現像剤搬送量を測定した後に、現像剤が蓄電要素90に接触している状態で、現像スリーブ42a側にトナーを吸引して回収する方向の電界を作用させて、蓄電要素90の表面を清掃するようにしてもよい。
【0080】
◎実施の形態2
図16は、実施の形態2の現像装置40の概要を示す説明図である。本実施の形態の現像装置40は、実施の形態1の現像装置40(図10参照)と略同様に構成されるが、層規制部材が異なるものとなっている。尚、同様の構成要素には同様の符号を付し、ここではその詳細な説明を省略する。
【0081】
同図において、本実施の形態の層規制部材44は、その一端側が現像容器41に固定され、他端側が現像スリーブ42aから予め決められた間隔を持って離れた状態で配置されている。また、この層規制部材44に対向する位置に磁石体42b側の磁極が設けられている。そのため、磁石体42b内の磁極によって穂立ちがなされた現像スリーブ42a上の現像剤は、層規制部材44によって規制されることで、層規制部材44を通過する現像剤量でほぼ一定となった現像剤が下流側に搬送される。
【0082】
本実施の形態においても、切替器81、電流センサ97、濃度センサ98、環境センサ99等を有し、これらを制御する制御装置100が設けられている。
本実施の形態の制御装置100による現像剤搬送量の測定制御について、図17に示す制御フローを参照しながら説明する。
【0083】
現像剤搬送量の算出を開始する場合、先ず、切替器81を電源82側にした状態で、感光体31に予め決められた大きさの濃度パッチを作成する(ステップS21)。作成された濃度パッチのトナー濃度を濃度センサ98にて測定すると共に環境条件を環境センサ99によって測定する(ステップS22)。
その後、現像スリーブ42a及び層規制部材43の回転を停止した状態で切替器81を電源82側から電源83側に切り替えた後、この電源83によって階段状電圧、つまり、ゼロから予め定めた電位の直流電圧に急峻に変化する電圧を現像スリーブ42aと蓄電要素90との間に印加し、電流センサ97によって検出される電流波形のうち、電圧の印加開始から予め決められた期間までの積算電流値から、現像スリーブ42aと蓄電要素90との間の現像剤量を求め、求められた現像剤量から現像スリーブ42a上の現像剤搬送量を算出する(ステップS23)。
【0084】
次に、測定されたトナー濃度、環境条件及び算出された現像剤搬送量から、トナー濃度や環境条件に対して現像剤搬送量が予め定めた許容範囲内にあるか否かの判別が、例えば事前に記憶されている対応表を参照しながらなされる(ステップS24)。ここで、現像剤搬送量が許容範囲を超えていると判別された場合は、現像剤の劣化が進行している状況であるものと判断し、現像剤の交換を促すように告知して(ステップS25)、終える。
【0085】
本実施の形態では、層規制部材44が実施の形態1のように回転するタイプでないことから、現像剤搬送量の増減を行うことはせず、現像剤の劣化に至るものと判断すればそれを告知するようにしている。そのため、現像剤の交換が必要な場合にはスムーズになされる。
【0086】
また、本実施の形態では、層規制部材44が固定するタイプのものを説明したが、例えば層規制部材44を、現像スリーブ42aに対し、例えばその法線方向に沿って移動できるように構成することで、実施の形態1の回転する層規制部材43(図10参照)と同様に作用させることも可能である。この場合、例えば図11のステップS4で現像剤搬送量が目標範囲内にないと判別された場合、層規制部材44を移動させ、層規制部材44と現像スリーブ42aとの間隙を変化させることで現像剤搬送量を増減すればよい。
【0087】
本実施の形態では、積算電流値を用いて現像剤搬送量を算出する態様を示したが、電流波形のピーク値を用いるようにしてもよいし、電流波形ではなく、電圧波形を用いて現像剤搬送量を算出するようにしてもよいことは言うまでもない。
【0088】
◎実施の形態3
図18は、実施の形態3の現像装置40の概要を示す説明図である。本実施の形態の現像装置40は、実施の形態1の現像装置40(図10参照)と異なり、層規制部材44が実施の形態2と同様に固定して配置されるものであり、また、蓄電要素90の形状は板状のものとなっている。尚、同様の構成要素には同様の符号を付し、ここではその詳細な説明を省略する。
【0089】
同図において、本実施の形態の蓄電要素90は、現像スリーブ42aに面する側に導電層94、反対側に導電性の電極部材95、導電層94と電極部材95との間の絶縁層96を有する平板状の部材である。また、本実施の形態の蓄電要素90は実施の形態1の蓄電要素90とは形状が異なるが、現像剤に対する作用は同様になされる。このとき、蓄電要素90としては平板状の部材の他に例えば弧状の部材であっても差し支えない。
【0090】
本実施の形態では、実施の形態2と同様の層規制部材44を用い、蓄電要素90が例えば三層構成の板状部材にて構成されている。このような構成の実施の形態での制御装置100による制御フローは、実施の形態2と略同様(図17参照)であるため、ここではその説明は省略する。
そして、このような態様にあっても、現像スリーブ42a上の現像剤搬送量に対する安定した算出がなされる。更に、本実施の形態においても、電流波形から積算電流値若しくはピーク値を求め、現像剤搬送量を算出するようにしてもよいし、電圧波形から現像剤搬送量を算出するようにしてもよいことは言うまでもない。
【0091】
上述した実施の形態1〜3では、現像剤搬送量を測定する際、現像剤が蓄電要素90(具体的には現像剤保持体側の導電層)に接触している状態で測定を行ったが、例えば現像剤が蓄電要素90に接触していない状態で測定することも可能である。ただし、この場合、現像剤が蓄電要素90に接触する態様に比べ、感度が低下することから、例えば、現像剤搬送量の測定レベルの一つ又は二つとして、現像剤が蓄電要素90に接触していない状態を付加する方が好適である。
また、現像剤として二成分現像剤を用いる態様を示したが、一成分現像剤を用いて同様に現像剤搬送量を算出することも可能である。この場合、より現像剤に負荷を与えないようにするには、例えば蓄電要素としてフィルム状の部材を用いるか、蓄電要素に対しては現像剤を通常接触させないようにする方がよい。
【実施例】
【0092】
◎実施例1
本実施例は、実施の形態3の構成と同様の構成の現像装置を用い、測定時に現像スリーブを停止した状態で現像スリーブ上の現像剤搬送量と、電流波形との関係を確認したものである。横軸に現像スリーブ上での単位面積当たりの現像剤搬送量をプロットし、縦軸に現像スリーブと電極部材との間に急峻に変化する電圧を印加したときの電流波形に基づいて、電源立ち上がり後から一定時間(例えば200ms等の予め定めた時間)までの電流積分値(積算電流値に相当)を算出し、それをプロットした。
また、比較例として、電流波形での電流積分値ではなく、電源立ち上がり後から一定時間経過後の電流値をプロットしたものも確認した。
【0093】
本実施例の結果は、図19に示すように、現像剤搬送量と電流積分値とがほぼ一直線状に並ぶ良好な直線性を有する関係が確認された。
一方、比較例の結果は、図20に示すように、現像剤搬送量と電流値との間に良好な直線性の関係は見受けられなかった。
つまり、本実施例のように、電圧を急峻に変化させたときの電流積分値を用いるようにすれば、この電流積分値から現像剤搬送量が容易に算出される一方、電流積分値ではなく一定時刻での電流値を用いると、現像剤の動き易さ等に起因するばらつきが生じ、電流値から現像剤搬送量を推定することは困難であることが確認された。
【0094】
更に、本件発明者らは、電流波形のピーク値についても同様の確認を行ったところ、電流積分値と同様の作用が見受けられることを確認した。また、得られる電圧波形についても同様の確認を行ったところ、予め決められた時間後の電圧値を用いることで、電流積分値の場合と同様の作用が見受けられることを確認した。
【0095】
◎実施例2
本実施例は、蓄電要素の絶縁層の厚さについて、好適な一例を求めたものである。
蓄電要素による検知感度を高くするには、蓄電要素の絶縁層が現像剤層と同等の誘電的厚みを有する場合である。一般的には、現像剤搬送量が350g/m2で、現像スリーブと蓄電要素との間隙が0.35mm程度、絶縁層の比誘電率が2程度であれば、絶縁層の厚みとしては15μm前後が好適となる。
また、検知感度が多少低下しても使用できる範囲としては、絶縁性を保ち、検知感度が最大値に対して1/10以上のものとするには、絶縁層の(層厚/比誘電率)が1〜100(μm)程度であれば、現像剤に対して使用可能な範囲となるものと推定される。
【符号の説明】
【0096】
1…像保持体,2…現像装置,3…現像剤保持体(粉体保持体),4…電極部材,5…蓄電要素,6…絶縁層,7…導電層,8…電圧印加手段,9…特性検知手段,10…算出手段,11…層規制手段,12…層規制部材,D…現像剤(粉体)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯電された粉体を保持して搬送する粉体保持体と、
この粉体保持体と対向して設けられる導電性の電極部材と、
前記粉体保持体から離れた位置に設けられ、前記電極部材を一方の導電層とし且つ当該電極部材の粉体保持体側に絶縁層を介して導電層を形成することで電位が変化する電圧を印加したときに一時的に電荷が蓄積可能に構成される蓄電要素と、
前記粉体保持体と前記電極部材との間に粉体が介在された状態で予め決められた時間だけ予め決められた電位の電圧を印加する電圧印加手段と、
この電圧印加手段にて前記電圧が印加されたときに電圧の印加開始に伴って前記蓄電要素に蓄積された電荷の時間変化に相当する電気的特性を検知する特性検知手段と、
この特性検知手段にて検知された電気的特性に基づいて蓄積された電荷量の大きさに対応する電気特性値を割り出し、この電気特性値の大きさに応じて前記粉体保持体上の粉体搬送量を算出する算出手段と、
を備えることを特徴とする粉体搬送量測定装置。
【請求項2】
請求項1記載の粉体搬送量測定装置において、
前記特性検知手段は、前記蓄電要素に流れる電流を検知する電流検知手段であり、
前記算出手段は、この電流検知手段にて検知される電流の変化に基づいて、電流の時間的な積算量若しくは電流ピークに相当する電気特性値を割り出し、この電気特性値の大きさに応じて前記粉体保持体上の粉体搬送量を算出するようにしたことを特徴とする粉体搬送量測定装置。
【請求項3】
請求項1記載の粉体搬送量測定装置において、
前記特性検知手段は、前記蓄電要素の一対の導電層間に作用する電圧を検知する電圧検知手段であり、
前記算出手段は、この電圧検知手段にて検知される電圧の変化に基づいて、電圧の変化開始から予め決められた時間経過後の電圧に相当する電気特性値を割り出し、この電気特性値の大きさに応じて粉体保持体上の粉体搬送量を算出するようにしたことを特徴とする粉体搬送量測定装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の粉体搬送量測定装置を含み、
前記粉体保持体が粉体としての現像剤を保持して搬送する回転可能な現像剤保持体であることを特徴とする現像装置。
【請求項5】
請求項4記載の現像装置において、
前記算出手段は、前記現像剤保持体を回転させた後に停止させて前記現像剤保持体上の現像剤搬送量を算出するものであることを特徴とする現像装置。
【請求項6】
請求項4又は5に記載の現像装置において、
前記電極部材より現像剤保持体の回転方向に沿う上流側部位にて前記現像剤保持体に対応して設けられ、当該現像剤保持体上の現像剤搬送量を規制する層規制手段を備えることを特徴とする現像装置。
【請求項7】
請求項6記載の現像装置のうち現像剤がトナー及びキャリアを含む二成分現像剤である態様において、
前記層規制手段は、
前記現像剤保持体に対して離れて移動可能に配置され且つ当該現像剤保持体上の現像剤搬送量を変化可能に規制する層規制部材と、
前記現像剤保持体上の現像剤搬送量を可変するように前記層規制部材の移動状態を制御する制御手段と、
を備えることを特徴とする現像装置。
【請求項8】
請求項7記載の現像装置において、
前記層規制部材は、前記現像剤保持体との対向部位で現像剤保持体と同方向に回転し且つ回転速度が可変な回転部材であり、
前記制御手段は、前記現像剤保持体上の現像剤搬送量を増加させるときに前記層規制部材の回転速度を増加前の回転速度より速めるように制御するものであることを特徴とする現像装置。
【請求項9】
請求項8記載の現像装置において、
現像された画像の現像剤濃度を判別する濃度判別手段と、
環境条件を判別する環境判別手段と、を更に備え、
前記制御手段は、
現像剤濃度及び環境条件と現像剤搬送量の予め決められた目標値とを対応付けて記述した対応表を有しており、前記濃度判別手段及び前記環境判別手段による判別結果から、現像剤搬送量が前記対応表の目標値になるように前記層規制部材の回転速度を制御することを特徴とする現像装置。
【請求項10】
請求項6記載の現像装置において、
前記算出手段にて算出された現像剤搬送量が予め決められた許容範囲内にあるか否かを判別する判別手段と、
前記判別手段にて現像剤搬送量が予め決められた許容範囲内にないと判別された場合当該現像剤の交換を促すようにユーザーに告知する告知手段と、
を備えることを特徴とする現像装置。
【請求項11】
請求項6記載の現像装置のうち現像剤がトナー及びキャリアを含む二成分現像剤である態様において、
予め決められた初期の現像剤搬送量は、前記蓄電要素と前記現像剤保持体との対向部位で現像剤が前記蓄電要素のうち前記現像剤保持体側の導電層に接触する量に設定されていることを特徴とする現像装置。
【請求項12】
請求項7記載の現像装置において、
予め決められた初期の現像剤搬送量は、前記蓄電要素と前記現像剤保持体との対向部位で現像剤が前記蓄電要素のうち前記現像剤保持体側の導電層に接触しない量に設定され、
この設定された現像剤搬送量で使用し、
前記現像剤保持体の現像剤搬送量が測定される場合には、現像剤が前記蓄電要素のうち前記現像剤保持体側の導電層に接触するように使用時の現像剤搬送量から一旦増量させ、現像剤搬送量が測定された後、前記使用時の現像剤搬送量に戻すようにすることを特徴とする現像装置。
【請求項13】
請求項11又は12に記載の現像装置において、
現像剤搬送量を測定した後、前記蓄電要素と前記現像剤保持体との対向部位で現像剤が前記蓄電要素のうち前記現像剤保持体側の導電層に接触する量である状態で、現像剤中のトナーが現像剤保持体側に吸引される方向の電界を前記現像剤保持体に作用させて前記蓄電要素のうち前記現像剤保持体側の導電層に付着したトナーを現像剤保持体側に回収する回収手段を有することを特徴とする現像装置。
【請求項14】
潜像を保持する像保持体と、
この像保持体に対向するように設けられる請求項4乃至13のいずれかに記載の現像装置と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項1】
帯電された粉体を保持して搬送する粉体保持体と、
この粉体保持体と対向して設けられる導電性の電極部材と、
前記粉体保持体から離れた位置に設けられ、前記電極部材を一方の導電層とし且つ当該電極部材の粉体保持体側に絶縁層を介して導電層を形成することで電位が変化する電圧を印加したときに一時的に電荷が蓄積可能に構成される蓄電要素と、
前記粉体保持体と前記電極部材との間に粉体が介在された状態で予め決められた時間だけ予め決められた電位の電圧を印加する電圧印加手段と、
この電圧印加手段にて前記電圧が印加されたときに電圧の印加開始に伴って前記蓄電要素に蓄積された電荷の時間変化に相当する電気的特性を検知する特性検知手段と、
この特性検知手段にて検知された電気的特性に基づいて蓄積された電荷量の大きさに対応する電気特性値を割り出し、この電気特性値の大きさに応じて前記粉体保持体上の粉体搬送量を算出する算出手段と、
を備えることを特徴とする粉体搬送量測定装置。
【請求項2】
請求項1記載の粉体搬送量測定装置において、
前記特性検知手段は、前記蓄電要素に流れる電流を検知する電流検知手段であり、
前記算出手段は、この電流検知手段にて検知される電流の変化に基づいて、電流の時間的な積算量若しくは電流ピークに相当する電気特性値を割り出し、この電気特性値の大きさに応じて前記粉体保持体上の粉体搬送量を算出するようにしたことを特徴とする粉体搬送量測定装置。
【請求項3】
請求項1記載の粉体搬送量測定装置において、
前記特性検知手段は、前記蓄電要素の一対の導電層間に作用する電圧を検知する電圧検知手段であり、
前記算出手段は、この電圧検知手段にて検知される電圧の変化に基づいて、電圧の変化開始から予め決められた時間経過後の電圧に相当する電気特性値を割り出し、この電気特性値の大きさに応じて粉体保持体上の粉体搬送量を算出するようにしたことを特徴とする粉体搬送量測定装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の粉体搬送量測定装置を含み、
前記粉体保持体が粉体としての現像剤を保持して搬送する回転可能な現像剤保持体であることを特徴とする現像装置。
【請求項5】
請求項4記載の現像装置において、
前記算出手段は、前記現像剤保持体を回転させた後に停止させて前記現像剤保持体上の現像剤搬送量を算出するものであることを特徴とする現像装置。
【請求項6】
請求項4又は5に記載の現像装置において、
前記電極部材より現像剤保持体の回転方向に沿う上流側部位にて前記現像剤保持体に対応して設けられ、当該現像剤保持体上の現像剤搬送量を規制する層規制手段を備えることを特徴とする現像装置。
【請求項7】
請求項6記載の現像装置のうち現像剤がトナー及びキャリアを含む二成分現像剤である態様において、
前記層規制手段は、
前記現像剤保持体に対して離れて移動可能に配置され且つ当該現像剤保持体上の現像剤搬送量を変化可能に規制する層規制部材と、
前記現像剤保持体上の現像剤搬送量を可変するように前記層規制部材の移動状態を制御する制御手段と、
を備えることを特徴とする現像装置。
【請求項8】
請求項7記載の現像装置において、
前記層規制部材は、前記現像剤保持体との対向部位で現像剤保持体と同方向に回転し且つ回転速度が可変な回転部材であり、
前記制御手段は、前記現像剤保持体上の現像剤搬送量を増加させるときに前記層規制部材の回転速度を増加前の回転速度より速めるように制御するものであることを特徴とする現像装置。
【請求項9】
請求項8記載の現像装置において、
現像された画像の現像剤濃度を判別する濃度判別手段と、
環境条件を判別する環境判別手段と、を更に備え、
前記制御手段は、
現像剤濃度及び環境条件と現像剤搬送量の予め決められた目標値とを対応付けて記述した対応表を有しており、前記濃度判別手段及び前記環境判別手段による判別結果から、現像剤搬送量が前記対応表の目標値になるように前記層規制部材の回転速度を制御することを特徴とする現像装置。
【請求項10】
請求項6記載の現像装置において、
前記算出手段にて算出された現像剤搬送量が予め決められた許容範囲内にあるか否かを判別する判別手段と、
前記判別手段にて現像剤搬送量が予め決められた許容範囲内にないと判別された場合当該現像剤の交換を促すようにユーザーに告知する告知手段と、
を備えることを特徴とする現像装置。
【請求項11】
請求項6記載の現像装置のうち現像剤がトナー及びキャリアを含む二成分現像剤である態様において、
予め決められた初期の現像剤搬送量は、前記蓄電要素と前記現像剤保持体との対向部位で現像剤が前記蓄電要素のうち前記現像剤保持体側の導電層に接触する量に設定されていることを特徴とする現像装置。
【請求項12】
請求項7記載の現像装置において、
予め決められた初期の現像剤搬送量は、前記蓄電要素と前記現像剤保持体との対向部位で現像剤が前記蓄電要素のうち前記現像剤保持体側の導電層に接触しない量に設定され、
この設定された現像剤搬送量で使用し、
前記現像剤保持体の現像剤搬送量が測定される場合には、現像剤が前記蓄電要素のうち前記現像剤保持体側の導電層に接触するように使用時の現像剤搬送量から一旦増量させ、現像剤搬送量が測定された後、前記使用時の現像剤搬送量に戻すようにすることを特徴とする現像装置。
【請求項13】
請求項11又は12に記載の現像装置において、
現像剤搬送量を測定した後、前記蓄電要素と前記現像剤保持体との対向部位で現像剤が前記蓄電要素のうち前記現像剤保持体側の導電層に接触する量である状態で、現像剤中のトナーが現像剤保持体側に吸引される方向の電界を前記現像剤保持体に作用させて前記蓄電要素のうち前記現像剤保持体側の導電層に付着したトナーを現像剤保持体側に回収する回収手段を有することを特徴とする現像装置。
【請求項14】
潜像を保持する像保持体と、
この像保持体に対向するように設けられる請求項4乃至13のいずれかに記載の現像装置と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2012−159619(P2012−159619A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−18254(P2011−18254)
【出願日】平成23年1月31日(2011.1.31)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月31日(2011.1.31)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
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